| 番号 (No.) |
書籍 | 巻 | 章 | 内容 |
|---|
|
1 (49) |
ひふみ神示 | 2_下つ巻 | 第7帖 | この神示読んでうれしかったら、人に知らしてやれよ、しかし無理には引張って呉れるなよ。この神は信者集めて喜ぶやうな神でないぞ、世界中の民みな信者ぞ、それで教会のやうなことするなと申すのぞ、世界中大洗濯する神ざから、小さいこと思うてゐると見当とれんことになるぞ。一二三祝詞するときは、神の息に合はして宣れよ、神の息に合はすのは三五七、三五七に切って宣れよ。しまひだけ節長くよめよ、それを三たびよみて宣りあげよ。天津祝詞の神ともこの方申すぞ。七月十五日、一二 |
|
2 (169) |
ひふみ神示 | 5_地つ巻 | 第32帖 | 仕組通りに出て来るのざが大難を小難にすること出来るのざぞ。神も泥海は真っ平ぞ、臣民喜ぶほど神うれしきことないのざぞ、曇りて居れど元は神の息入れた臣民ぞ、うづであるのぞ。番頭どの、役員どのフンドシ締めよ。十月の七日、ひつ九のか三。 |
|
3 (228) |
ひふみ神示 | 7_日の出の巻 | 第15帖 | 十柱の神様奥山に祀りて呉れよ、九柱でよいぞ、何れの神々様も世の元からの肉体持たれた生き通しの神様であるぞ、この方合はして十柱となるのざぞ。御神体の石集めさしてあろがな、篤く祀りて、辛酉の日にお祭りして呉れよ。病あるかないか、災難来るか来ないかは、手届くか届かないかで分ると申してあろがな。届くとは注ぐ事ぞ、 手首と 息と 腹の息と 首の息と 頭の息と 足の息と 胸の息と 臍の息と 脊首の息と 手の息と 八所十所の息合ってゐれば病無いのざぞ、災難見ないのざから、毎朝神拝みてから克く合はしてみよ、合ってゐたら其日には災難無いのざぞ、殊に臍の息一番大切ざぞ、若しも息合ってゐない時には一二三唱へよ、唱へ唱へて息合ふ迄祷れよ、何んな難儀も災難も無くしてやるぞ、此の方意富加牟豆美 神であるぞ。神の息と合はされると災難、病無くなるのざぞ、大難小難にしてやるぞ、生命助けてやるぞ、此の事は此の方信ずる人でないと誤るから知らすではないぞ、手二本足二本いれて十柱ぞ、手足一本として八柱ぞ、此の事早う皆に知らしてどしどしと安心して働く様にしてやれよ。飛行機の災難も地震罪穢の禍も、大きい災難ある時には息乱れるのざぞ、一二三祝詞と祓え祝詞と神の息吹と息と一つになりておれば災難逃れるのぞ、信ずる者ばかりに知らしてやりて呉れよ。十二月十八日、ひつ九か三。 |
|
4 (234) |
ひふみ神示 | 7_日の出の巻 | 第21帖 | 神かがりと申しても七つあるのであるぞ、その一つ一つがまた七つに分れてゐるのざぞ、
|
|
5 (251) |
ひふみ神示 | 8_磐戸の巻 | 第15帖 | この方の道、悪きと思ふなら、出て御座れ、よきかわるきか、はっきりと得心ゆくまで見せてやるぞ。何事も得心させねば、根本からの掃除は出来んのざぞ、役員気つけて呉れよ。皆和合して呉れよ。わるき言葉、息吹が此の方一番邪魔になるぞ、苦労なしにはマコト判らんぞ、慾はいらぬぞ、慾出したら曇るぞ。めくらになるぞ、おわびすればゆるしてやるぞ、天地に御無礼ない臣民一人もないのざぞ。病治してやるぞ、神息吹つくりてやれよ、神いぶきとは一二三書いた紙、神前に供へてから分けてやるもののことざぞ。腹立つのは慢心からぞ、守護神よくなれば肉体よくなるぞ、善も悪も分からん世、闇の世と申すぞ。天照皇太神宮様の岩戸開きは、だました、間違ひの岩戸開きぞ、無理にあけた岩戸開きざから、開いた神々様に大きなメグリあるのざぞ、今度はメグリだけのことはせなならんぞ、神にはわけへだて無いのざぞ、今度の岩戸開きはちっとも間違ひない、まぢりけのない、マコトの神の息吹でひらくのざぞ。まぢりありたら、にごり少しでもありたら、またやり直しせなならんからくどうきつけてゐるのざぞ。何時迄もかわらんマコトでひらくのざぞ。一月十四日、旧十一月三十日、 |
|
6 (268) |
ひふみ神示 | 9_キの巻 | 第11帖 | 一二三とは限りなき神の弥栄であるぞ、一は始めなき始であるぞ、ケは終りなき終りであるぞ、神の能が一二三であるぞ、始なく終なく弥栄の中今ぞ。一二三は神の息吹であるぞ、一二三唱えよ、神人共に一二三唱へて岩戸開けるのざぞ、一二三にとけよ、一二三と息せよ、一二三着よ、一二三食せよ、始め一二三あり、一二三は神ぞ、一二三は道ぞ、一二三は祓ひ清めぞ、祓ひ清めとは弥栄ぞ、神の息ぞ、てんし様の息ぞ、臣民の息ぞ、けもの、草木の息ぞ。一であるぞ、二であるぞ、三であるぞ、ケであるぞ、レであるぞ、ホであるぞ、 |
|
7 (274) |
ひふみ神示 | 9_キの巻 | 第17帖 | すり鉢に入れてコネ廻してゐるのざから一人逃れ様とてのがれる事出来んのざぞ、逃れようとするのは我れよしざぞ、今の仕事五人分も十人分も精出せと申してあろがな、急ぐでないぞ、其の御用すみたら次の御用にかからすのざから、この世の悪も善も皆御用と申してあろが。身魂相当の御用致してゐるのざぞ、仕事し乍ら神示肚に入れて行けば仕事段々変るのざぞ、神示声立てて読むのざと、申してあること忘れるなよ、その上で人に此の道伝へてやれよ、無理するでないぞ。我捨てて大き息吹きにとけるのざぞ、神の息吹きにとけ入るのざぞ、 御みいづ にとけ入るのざぞ、愈々神示一二三となるぞ、一二三とは息吹ぞ、みみに知らすぞ、云はねばならぬから一二三として、息吹きとして知らすぞ。神示よく読めば分ることぞ、神示読めよ、よむと神示出るぞ、此の巻はキの巻と申せよ。富士は晴れたり |
|
8 (344) |
ひふみ神示 | 13_雨の巻 | 第10帖 | 天の岩戸開いて地の岩戸開きにかかりてゐるのざぞ、我一力では何事も成就せんぞ、手引き合ってやりて下されと申してあること忘れるでないぞ。霊肉共に岩戸開くのであるから、実地の大峠の愈々となったらもう堪忍して呉れと何んな臣民も申すぞ、人民には実地に目に物見せねば得心せぬし、実地に見せてからでは助かる臣民少ないし神も閉口ぞ。ひどい所程身魂に借銭あるのぢゃぞ、身魂の悪き事してゐる国程厳しき戒め致すのであるぞ。
五と五と申してあるが五と五では力出ぬし、四と六、六と四、三と七、七と三ではカス出るしカス出さねば力出んし、それで神は掃除許りしてゐるのざぞ、神の臣民それで神洲清潔する民であるぞ、キが元と申してあるが、キが餓死すると肉体餓死するぞ、キ息吹けば肉息吹くぞ、神の子は神のキ頂いてゐるのざから食ふ物無くなっても死にはせんぞ、キ大きく持てよと申してあるが、キは幾らでも大きく結構に自由になる結構な神のキざぞ。臣民利巧なくなれば神のキ入るぞ、神の息通ふぞ、凝りかたまると凝りになって動き取れんから苦しいのざぞ、馬鹿正直ならんと申してあろがな、三千年余りで身魂の改め致して因縁だけの事は否でも応でも致さすのであるから、今度の御用は此の神示読まいでは三千世界のことであるから、何処探しても人民の力では見当取れんと申してあろがな、何処探しても判りはせんのざぞ、人民の頭で幾ら考へても智しぼっても学ありても判らんのぢゃ。ちょこら判る様な仕組ならこんなに苦労致さんぞ、神々様さえ判らん仕組と知らしてあろが、何より改心第一ぞと気付けてあろが、神示肚にはいれば未来見え透くのざぞ。此の地も月と同じであるから、人民の心其の儘に写るのであるから、人民の心悪くなれば悪くなるのざぞ、善くなれば善くなるのぞ。理屈悪と申してあろが、悪の終りは共食ぢゃ、共食ひして共倒れ、理屈が理屈と悪が悪と共倒れになるのが神の仕組ぢゃ、と判ってゐながら何うにもならん事に今に世界がなって来るのざ、逆に逆にと出て来るのぢゃ、何故そうなって来るか判らんのか、神示読めよ。オロシヤの悪神の仕組人民には一人も判ってゐないのざぞ。神にはよう判っての今度の仕組であるから仕上げ見て下されよ、此の方に任せておきなされ、一切心配なく此の方の申す様にしておりて見なされ、大舟に乗って居なされ、光の岸に見事つけて喜ばしてやるぞ、何処に居ても助けてやるぞ。雨の神、風の神、地震の神、荒ノ神、岩の神様に祈りなされよ、世の元からの生き通しの生神様拝がみなされよ。日月の民を練りに練り大和魂の種にするのであるぞ、日月の民とは日本人許りでないぞ、大和魂とは神の魂ぞ、大和の魂ぞ、まつりの魂ぞ、取違ひせん様に気付けおくぞ。でかけのみなとは九九ぢゃぞ、皆に知らしてやりて下されよ、幾ら道進んでゐても後戻りぢゃ、此の神示が出発点ぞ、出直して神示から出て下されよ、我張りてやる気ならやりて見よれ、九分九分九厘で鼻ポキンぞ、泣き泣き恥ずかしい思いしてお出直しで御座るから気付けてゐるのぢゃ、足あげて顔の色変へる時近付いたぞ。世建替へて広き光の世と致すのぢゃ、光の世とは光なき世であるぞ、此の方の元へ引寄せて目の前に楽な道と辛い道と作ってあるのぢゃ、気付けてゐて下されよ、何ちらに行くつもりぢゃ。十一月二十七日、一二 |
|
9 (346) |
ひふみ神示 | 13_雨の巻 | 第12帖 | 上面洗へばよくなるなれど、肚の掃除なかなか出来んぞ、道広める者から早う掃除まだまだであるぞ、今度神から見放されたら末代浮ぶ瀬ないぞ。食ひ物大切に家の中キチンとしておくのがカイの御用ざぞ、初めの行ざぞ。出て来ねば判らん様では、それは神力無いのぞ、軽き輩ぢゃぞ、それで神示読めとくどう申してゐるのざぞ、神の申す事誠ざと思ひながら出来んのは守護神が未だ悪神の息から放れてゐぬ証拠ざぞ、息とは初のキであるぞ、気であるぞ。悪神は如何様にでも変化るから、悪に玩具にされてゐる臣民人民可哀想なから、此の神示読んで言霊高く読み上げて悪のキ絶ちて下されよ、今の内に神示じっくりと読んで肚に入れて高天原となっておりて下されよ。未だ未だ忙しくなって神示読む間もない様になって来るのざからくどう申してゐるのざぞ、悪魔に邪魔されて神示読む気力も無くなる臣民沢山出て来るから気付けておくのざ。まだまだ人民には見当取れん妙な事が次から次にと湧いて来るから、妙な事此の方がさしてゐるのざから、神の臣民心配ないなれど、さうなった神の臣民未だ未だであろがな、掃除される臣民には掃除する神の心判らんから妙に見えるのも道理ぢゃ。天の様子も変りて来るぞ。何事にもキリと云ふ事あるぞ、臣民可哀想と申してもキリあるぞ、キリキリ気付けて下され、人に云ふてもらっての改心では役に立たんぞ、我と心から改心致されよ、我でやらうと思ってもやれないのざぞ、それでも我でやって鼻ポキンポキンか、さうならねば人民得心出来んからやりたい者はやって見るのもよいぞ、やって見て得心改心致されよ、今度は鬼でも蛇でも改心さすのであるぞ。これまでは夜の守護であったが、愈々日の出の守護と相成ったから物事誤魔化しきかんのぞ、まことの人よ、よく神示見て下され、裏の裏まで見て下され、神国の誠の因縁判らいで、三千年や五千年の近目ではスコタンぞ、と申してあろがな、天四天下平げて、誠の神国に、世界神国に致すのざぞ、世界は神の国、神の国真中の国は十万や二十万年の昔からでないぞ、世の元からの誠一つの神の事判らな益人とは申されんぞ、神の申すこと一言半句も間違ひないのざぞ。人民は其の心通りに写るから、小さく取るから物事判らんのさぞ、間違ひだらけとなるのざ、人民が楽に行ける道作りて教へてやってゐるのに、我出すから苦しんでゐるのざ、神が苦しめてゐるのでないぞ、人民自分で苦しんでゐるのざと申してあろがな。十二月七日、七つ九のか三神示。 |
|
10 (401) |
ひふみ神示 | 18_光の巻 | 第5帖 | 病神がそこら一面にはびこって、すきさへあれば人民の肉体に飛び込んでしまう計画であるから、余程気付けて居りて下されよ。大臣は火と水と二人でよいぞ、ヤとワと申してあろが、ヤ、ワ、は火の中の水、水の中の火であるぞ、後はその手伝いぞ、手足ざぞ、役人自ら出来るぞ。ヤクはヤクであるぞ、今迄は神国と外国と分れてゐたが、愈々一つにまぜまぜに致してクルクルかき廻してねり直して世界一つにして自ら上下出来て、一つの王で治めるのぢゃぞ。人民はお土でこねて、神の息入れてつくったものであるから、もう、どうにも人間の力では出来ん様になったらお地に呼びかけよ、お地にまつろへよ、お地は親であるから親の懐に帰りて来いよ、嬉し嬉しの元のキよみがへるぞ、百姓から出直せよ。ミロク様とはマコトのアマテラススメラ太神様のことでござるぞ。六月十七日、ひつくの神。 |
|
11 (451) |
ひふみ神示 | 20_梅の巻 | 第24帖 | 待てるだけ待ってゐるが世をつぶすわけには行かん、人民も磨けば神に御意見される程に身魂に依ってはなれるのざぞ、地の日月の神と栄えるのざぞ、何より身魂磨き結構。人気の悪い所程メグリあるのざぞ、日本のやり方違って居たと云ふこと、五度違ったと云ふ事判って来ねば、日本の光出ないぞ。表面飾るな。コトもかめばかむ程味出て来るのが磨けた身魂。中味よくなって来ると表面飾らいでも光出て来るぞ。これまでの日本のやり方悪いから、神が時々、神がかりて知らしてやったであらうが、気付けてやったが気の付く臣民ほとんどないから、今度五度の岩戸一度に開いてびっくり箱開いて、天晴れ神々様に御目にかけ申すぞ、お喜び載くのぢゃ。神示通り出て来ても、まだ判らんか。神示は神の息吹きぢゃ。心ぢゃ。口上手身振り上手で誠ない者この方嫌ひぢゃぞ。とどめ |
|
12 (540) |
ひふみ神示 | 24_黄金の巻 | 第29帖 | 二二の盗み合ひ、世の乱れ。心して怪しと思ふことは、たとへ神の言葉と申しても一応は考へよ。神の言葉でも裏表の見境なく唯に信じてはならん。サニワせよ。薬、毒となることあると申してあらうが。馬鹿正直、まことの道見失ふことあると申してあらうが。道は易し、楽し。楽しないのは道ではないぞ、奉仕ではないぞ。世界に呼びかける前に日本に呼びかけよ。目醒まさねばならんのぢゃ。それが順序と申すもの。神示で知らしてあらうが。ここは種つくるところ、種は人民でつくれんぞ。神の申すやう、神の息戴いて下されよ。天の道、地の道、天地の道あるぞ。人の道あるぞ。何も彼も道あるぞ。道に外れたもの外道ぢゃぞ。前は一筋ぞ。二筋ぞ。三筋ぞ。曲ってゐるぞ。真直ぐであるぞ。心得なされ。節分から |
|
13 (679) |
ひふみ神示 | 27_春の巻 | 第22帖 | 宇宙の総てはこの神の現れであり、一面であるから、その何処つかんで拝んでもよいのである。その何処つかんで、すがってもよいのであるぞ。水の流れも宗教ぞと申してあらう。総てに神の息、通ふているぞ。一本の箸拝んでもよいのぢゃが、ちゃんとめあて、よいめあて、きめねばならん。内の自分に火つけよ。心くらくては何も判らん。世の中は暗う見えるであろう。真暗に見えたら自分の心に光ないのぢゃ。心せよ。自分光れば世の中明るいぞ。より上のものから流れてくるものにまつりて行くこと大切ぢゃ。それがまつりの元。それが宗教ぢゃ。宗教は生活ぢゃ。生活は宗教ぢゃ。裏と表ぢゃ。 |
|
14 (746) |
ひふみ神示 | 29_秋の巻 | 第4帖 | 道徳、倫理、法律は何れも人民のつくったもの。本質的には生れ出た神の息吹きによらねばならん。神も世界も人民も何れも生長しつつあるのざ。何時までも同じであってはならん。三千年一切りぢゃ。今迄の考へ方を変へよと申してあらう。道徳を向上させよ。倫理を新しくせよ。法律を少なくせよ。何れも一段づつ上げねばならん。今迄のやり方、間違ってゐたこと判ったであらう。一足飛びには行かんなれど、一歩々々上って行かなならんぞ。ぢゃと申して土台をすててはならん。土台の上に建物たてるのぢゃ。空中楼閣見て居れん。 |
|
15 (975) |
ひふみ神示 | 39_月光の巻 | 第43帖 | そなたはまだ方便をつかってゐるが、方便の世はすんでゐるのぞ。方便の教とは横の教、いろはの教、平面の教のことぞ。仏教もキリスト教も回教もみな方便でないか、教はみな方便ぢゃ。教ではどうにもならん。ぎりぎりの世となってゐるのぞ。理でなくてはならん。変らぬ太道でなくてはならんぞ、方便の世はすんでほうべんの世となり、そのほうべんの世もやがて終るぞと知らしてあろうが。理とは三界を貫く道のことぞ。字宙にみちみつ |
|
16 (1520) |
霊界物語 | 11_戌_コーカス山の大気津姫退治 | 07 露の宿 | 第七章露の宿〔四七四〕 東彦神[※石凝姥神の旧名]、高彦神の宣伝使は、梅ケ香姫、月、雪、花の宣伝使と共に一行六人新玉原の枯野を分けつつ宣伝歌を口々に歌つて、明志の湖の方面指して進み行く。 日は漸く西に舂いて夕暮告ぐる鐘の音は仄かに響いて来た。 東彦『ヤア久し振りで鐘の音を聞きました。最早人里間近くなつたと見えます。併し乍ら日も漸く暮かかりましたから、幸ひ彼方に見える森蔭で一夜を明しませうか』 一同『さう致しませう』 と森を目当に疲れた脚を速めて進み行く。千年の老樹、梢の先まで苔蒸して昼尚暗き、こんもりとした森蔭である。 東彦『ヤア月影も、星影も見えぬ天然の家の中、今宵は久し振りで悠乎と休みませう』 と云ひ乍ら、例の如く神言を奏上し、宣伝歌を謡ひ始めた。 東彦『神が表に現はれて善と悪とを立別ける 此世を造りし神直日心も広き大直日 唯何事も人の世は直日に見直せ聞直せ 身の過は詔り直せ日の出神や木の花の 神の依さしの宣伝使クス野ケ原を行き過ぎて 漸う此処にきたの森神の稜威も高彦や 梅ケ香匂ふ神の道空に輝く秋月の 心も清く照り渡る五六七の御代を深雪姫 神の教を開かむと天教山の橘の 姫の命や東彦世は常闇となるとても 神の守りは明けく空照り渡る東彦 東の空を彩どりて豊栄昇る朝日子の 神の教をまつぶさに明志の湖の底深く コーカス山の峰高くしこのかうべを照しつつ 功は高きアーメニヤ荒振る醜のウラル彦 ウラルの姫の荒魂三五教の言霊に 言向け和す和魂神の教も幸魂 悟の道の奇魂曲を直日の神魂 直日に見直し聞直し醜の叫びを宣り直し 空に輝く月照の彦の命の治す世に 大足彦や真澄姫恵は四方に弘子の 神の力の現はれてこの世に曲は少名彦 かたき教も竜世姫空照り渡る言霊の 姫の命の御恵に百の民草純世姫 豊国姫の幸ひて一度に開く木の花の 姫の命の奇魂日の出神と現はれて 浦安国と治め行くウラルの山の曲神の 八十の曲津も悉く神の息吹きに吹祓ひ 祓ひ清むる神の道朝日は照るとも曇るとも 月は盈つとも虧くるともたとへ大地は沈むとも ウラルの彦の曲業を矯直さずに置くべきや 詔り直させで置くべきや奥のわからぬ神の道 底ひも知れぬ神の恩底ひも知れぬ神の恩 天地に響く琵琶の湖琵琶の言霊勇ましく 進む吾こそ尊けれ神の柱ぞ尊けれ』 と異口同音に歌ひ終つて、蓑を敷き二男四女の宣伝使は、やすやすと眠に就きぬ。 森蔭より現はれた四五人の男、差足抜足宣伝使の前に近寄り来り、寝息を考へ、 甲『オイ、何奴も此奴も、よく草臥果てて潰れたやうになつてゐやがるワイ。どうぢや今の間にソツと頸首に綱をかけて引張つて酋長さんの所へ連れて行つたら何うだ』 乙『待て待て、若し慌てウラル教の宣伝使だつたら、ドテライ御目玉を喰はにやならぬ、それより気を落つけて調べた上の事にしようかい』 甲『それでも最前宣伝歌が聞えて居つたが、何うやら節廻しが三五教らしかつたぞ。月が照るとか、曇るとか云つてゐたぢやないか』 丙『定つたことだ。今夜の月を見い。照つたり曇つたりしてゐるぢやないか。三五教の宣伝使でなくても、俺等も月を見たら、照るとか、曇る位は知つとるワイ、貴様そんなことで三五教の宣伝使なぞと思つて下手をやつたら詰らぬぞ』 丁『マア、八釜敷う言ふことはない。先方は六人だ。此方は五人、一人宛掴み合ひしてもモー一人残つて居る。ようマア考へて見よ。衆寡敵せずと云ふことがある』 甲『何を吐すんだい。此方は荒男五人、先方は男が二人に女が四人だ。俺一人でも女だけは………』 丁『貴様の力はそんなものだ。併し乍ら貴様の家のお福のやうな女だと思つたら、的が外れるぞ。男の一人や二人は抓んで放すやうな力がなくて、どうして天下を廻ることが出来やうぞ。たとへ一人対一人で組み合うて見た所で、先方には一人空手があるのだ。其奴が一人残りやがつて組み合うとる俺等の頭をコンコンとやりやがつたら、それこそ犬に噛まれた様なものだ。それだから多勢に無勢、衆寡敵せずと云ふのだ』 甲『アヽ衆か』 丁『莫迦にすない。愚図々々云うて居ると、目をさましやがつたら大変だ。今の間に杢兵衛も八公も吉公も源公も、村中の脛腰の立つ奴は、皆寄つて来て遠捲に取捲いて無理往生に往生さしてやらう』 一同『さうだ、それもよからう。オイ八公、貴様一人ここに見張りをするのだ。俺等四人は手分をして皆の奴を非常召集だ』 丁『オイ待て待て、俺も一緒に連れて行かぬかい。五人でさへも危いのに、一人居つて、万一中途に目でもさましやがつたら、何うするか』 甲『何うするも、斯うするも、そんな事は知らぬワイ。八公が八裂きに会ふ迄のことだ』 斯く囁く声に、梅ケ香姫はフツト目をさまし、むくむくと起上がり、 梅ケ香姫『アヽ、何れの方か知りませぬが、水がありましたら一杯与えて頂戴な』 甲『ナニツ、水くれつて。みずしらずの俺に向つて水一杯頂戴なぞと、幽霊か、餓鬼のやうに此奴は一寸可笑しいぞ。ヤイコラ、幽々霊々奴が』 梅ケ香姫『イーエ、湯でなくても、水で結構でございます。れいは後で』 乙『オイオイ、矢張り幽と霊とぢや、水くれと吐かす筈ぢや。逃げろ逃げろ。キヤアー』 バラバラと足音をさせ乍ら、転けつ輾びつ逃げて行く。 梅ケ香姫『モシモシ、皆さま、折角御寝みになつてる所を御目をさまして済みませぬが、妙なものが参りまして、何だか吾々の首に縄をかけて引張るとか、下るとか云うてゐました。チツト気をつけねばなりませぬ』 東彦『ナニツ、首に縄をかける。莫迦にして居る。我々を徳利と間違へやがるな』 高彦『アハヽヽヽ、とつくりと見ないから間違ふのだ。そんなことは何うでもよい。大分に疲れた。吾々も今晩は、とつくりと寝ようかい』 梅ケ香姫『それでも怪しいことを云つてゐました。何でも酋長にいふとか、れいを貰はうとか云うてゐましたぜ』 東彦『そら大変だ。彼奴はウラル彦の目付かも知れぬ。油断は大敵だ。サア、月、雪、花の三人さまも起なさい起なさい。是から戦闘準備だ』 一同は眠りをさまし、身仕度を為し、幽かに宣伝歌を歌つてゐる。前方を見れば、ワイワイと人声が聞えて来た。数十の松明は朧夜を照して皎々と輝き乍ら此方に向つて走つて来る。 東彦『ヤア、捕手だ。皆さま、一人々々は面倒だ。出て来る奴を残らず言向け和さう。宣伝使は一人旅と定つてゐるのに、妙な拍子に六人連れになつて、神様に御叱りを受けねばよいがと心配して居た所だ。これ丈沢山やつて来れば、六人前の仕事には沢山だ。代る代る言向け和すことにしませうかねー。併し乍ら何を持つて居るか分らぬから、気をつけねばなりませぬ。女の方の宣伝使さまは、吾々の後の方に屈んで宣伝歌を歌ひなさい。二人は力一杯大声で呶鳴つてやりませう』 群衆はチクチクと怖さうに松明を振り翳して、森を目蒐けて進んで来た。群衆の中より一人の男、片肌を脱ぎ、稍酒気を帯び乍ら彼方へヒヨロヒヨロ、此方へヒヨロヒヨロ、千鳥足危く杖をつき乍ら、つかつかと宣伝使の前に現はれた。 男(鴨公)『ヤイ貴様は何処の奴だい。セヽヽ宣伝使だろ。ここはウラル彦の神様の御領分だぞ。三五教の宣伝使とか云ひやがつて、生命知らず奴が』 東彦『ヤア貴方は此里の御方と見えますが、我々は御推量の通り三五教の宣伝使です』 男(鴨公)『コラ、俺は斯う見えても年寄りぢやないぞ。貴様のやうな強さうな面をしよつても、いつかないつかな驚くやうな爺さまドツコイ兄さまだないわ。サア、れいか、幽か、正体か白状せい』 東彦『吾々は現界、神界、幽界の霊に対して』 男(鴨公)『ナニツ、幽界の、霊のつて矢張り怪体な奴だ。オイオイ皆の奴、幽界だ霊界だ。何を怖さうにしてやがるのだい。早う松明を持つて来んかい。化物は火をつき出したら消えると云ふことだ』 群衆の中より二三人の男、松明を持つた儘、バタバタと男の前に現はれ来り、 二三人の男『オイ、鴨、何を愚図々々云つてゐやがるのだ。幽霊でも何でもないわ。擬ふ方なき三五教の宣伝使だ。貴様日頃の業託に似ず、其の腰付は何だ。逃げ腰になりやがつて尻を一町程も、後方へ突出しやがつて、其のざまつたら、ないぢやないか。ヤアヤア三五教の宣伝使、何人居るか知らねども、どうせ六人な奴ぢやあるまい。尋常に手を廻せ』 四人の宣伝使一度に、 四人『ホヽヽ、可笑しいわ』 鴨公『ヤアツ、ソヽヽそれ見い。ホヽヽほうぢや。オイオイ貴様等ばかり逃げて年寄を一人ほつとくのか』 三人の男『エイ八釜敷いワイ。貴様の事どころか、捨てとけ、放とけだ』 鴨公『ヤイ、待たぬか待たぬか』 六人の宣伝使は悠々として鴨公の前に現はれた。 鴨公『コヽヽこら幽霊のバヽ化物奴が、俺をかもうと思つても、さうは行かぬぞ。俺の名は鴨さまだ。かもうてくれるな。ソヽヽそれより噛みたければ、彼方に甘い奴が、何程でも居るワイ』 高彦『ヤア鴨さまとやら、御心配下さるな。我々は化物でも、何でもない。三五教の宣伝使だ。皆の方を此処へ呼んで来て下さい。我々たちが結構な話を聴かして上げよう、盲は目が開き、聾は耳が聞え、腰の抜けた者は腰が立ち、躄は歩く、それはそれは結構な教だ』 鴨公『ヤイヤイ皆の奴、此奴はヤヽヽ矢張り化物だ。盲が目が開くといひ、躄が立つと云ひくさる。躄が立つても俺の腰は立たぬ。ヤイヤイ噛まれぬうちに助けぬかい助けぬかい』 宣伝使一同『アハヽヽヽ、オホヽヽヽ』 又もや群衆の中より頑丈な一人の男、鉄棒を携へ現はれ来たり、 男(勝公)『何だ、宣伝使とやら、アヽヽホヽヽと笑ひやがつて貴様こそ余程好い阿呆だ。飛んで火に入る夏の虫、これ程ウラル彦の目付が沢山居る所へ、ウカウカと出て来やがつて、何を偉さうに云ふのだ。これでも喰へ』 と云ふより早く、高彦の肩先目がけてウンと打つた。高彦はひらりと体を躱した。又もや鉄棒を前後左右に水車の如く振り廻してやつて来る。 東彦、高彦は右に左に鉄棒を避け乍ら、ウンと一声霊をかけた。忽ち鉄棒は葱の如くになつた。其の男は無我夢中になつて、和かになつた鉄棒を振り廻してゐる。高彦は地上に安坐した。男は一生懸命頭上より打ち下す。 男(勝公)『ヤア、俺はこの界隈に名の響いた勝さまだ。何時でも負たことの無い、勝つ計りだから勝さまと云はれてゐるのだ。それに此奴はこの鉄棒をこれだけ喰はしても素知らぬ顔をしてゐやがる。矢張りバの字にケの字だ。何ぢや鉄棒が葱のやうになりやがつた』 と云ひながら一目散に駆け出さうとする。東彦はウンと霊縛を施した。勝公は足を踏張つた限り化石のやうになつて了つた。 東彦『オイ勝さまとやら、マア一時ほど懲して縛つて置かう、御苦労だが此処にさうして居つて下さい。我々はこんな八釜敷い所に安眠は出来ないから、宿換をする。お前が来ると面倒だから硬めて置く。マア御ゆるりと、左様なら』 と云ひ乍ら、一行六人は宣伝歌を歌ひつつ又もや西へ西へと進み行く。数多の村人は勝公の霊縛されしに驚いて、各自に逃げ失せ固く戸を鎖し家々の火を消し小さくなつて慄ひゐたり。 六人『北の森にと馳けついて一行ここに眠る時 ひそびそ聞ゆる人声に梅ケ香姫は目をさまし 水をくれよとおとなへば怖けきつたる里人は 幽ぢや霊ぢやと口々に走つて何処へか身を匿す 暫くありて人の声眼をあげて眺むれば 提燈松明ここ彼処腰の曲つた老爺さま 酒の機嫌で我前に現はれ来り泡を吹く 又もや一人の荒男負けぬ嫌ひの勝さまが 鉄棒打振り迫り来る鎮魂の神術を 行ひ見れば鉄棒は葱の如くに柔かく 打てど打てども応へぬに肝を潰して吾々を 魔性の者と見誤り恐れて逃げむとする時に 一寸霊をばかけてやる忽ち化石のやうになり 脚をまたげたその儘に立つて二つの目の玉を きよろきよろ見廻す面白さあゝ勝さまよ勝さまよ 月日の如き明かな神の教に目をさませ 固き心を打解けて心を和げ気を和め 世人に清く交はれよ汝の心柔がば 体も共に元の如自由自在にかへるらむ あゝ勝さまよ勝さまよ三五教の神の道 夢にも忘れ給ふまじ吾は是より海山を 越えて闇夜を明志湖明し暗しを立別ける 此世を造りし神直日心も広き大直日』 と歌ひ乍ら、悠々として此場を立ち去りにける。 (大正一一・二・二八旧二・二外山豊二録) |
|
17 (1535) |
霊界物語 | 11_戌_コーカス山の大気津姫退治 | 22 征矢の雨 | 第二二章征矢の雨〔四八九〕 岩窟の中には二人の宣伝使を始め、時公外六人は、足音が岩戸の前にピタリと止りしより、頭を傾け思案に暮れ居たり。暫くありて時公は、 時公『今外に立ち止つて中の様子を窺つて居る奴は、ウラル教の間者か。よもや三五教の宣伝使ではあるまい。松代姫様どうでせう、いつその事、戸をガラリと開いて、ウラル教であれば言向け和してはどンなものでせうなア』 松代姫『心配は入りませぬ、開けて下さいませ』 時公『承知致しました』 と、ガラリと岩室の戸を引張り開けた。戸に凭れて居た男は戸を引くと共に岩窟の中にゴロリと転げ込んだ。見れば石凝姥の宣伝使である。 時公『ヤア、貴方は東彦様、エライ失礼をしました。これは又不思議な処でお目にかかつたものです』 石凝姥は起き上り、塵を払ひながら、 東彦『ヤア、貴方は時さま、ヨウ梅ケ香さま、これはこれは不思議の御対面と申すもの、も一人の女の方は誰人で御座いますか』 梅ケ香姫『ヤア東彦さま、よう来て下さいました。妾の姉の松代姫の宣伝使でございます。姉さまの竹野姫がコーカス山の岩窟に、悪魔のために閉ぢ込められて居ると聞きまして今救ひ出しに行かうとする途中です』 東彦『それは誠に都合のよい事、我々もこの山にはウラル彦の一派が立籠ると聞き、その魔神を言向け和さむと、雪掻き分けて唯一人やつて来ましたところです。斯様な所にお目にかかるも神のお引合せ、明日は花々しく働きませう。我々もこの岩戸の前迄二人の男に案内さして出て来ましたが、外に立つて漏れ来る声を耳を澄ませて聞けば、三五教の宣伝歌、これは不思議だと戸に凭れて窺つて居ますと、二人の奴は、ウラル教の間者と見えて雲を霞と引返して仕舞ひました。いづれ彼等は我々の此処に居る事を大気津姫に報告にいつたのでせう。油断は大敵、サア、これから皆さま御一緒に前進する事と致しませう。先んずれば人を制すと云ふ事がある』 松代姫『初めてお目にかかりました。貴方は名高い石凝姥の宣伝使様ですか。梅ケ香姫がお心安う願つたさうです。どうぞ私もお心安う願ひます』 八公、鴨公『ヤア、石凝姥様とやら、私は八、鴨と云ふ俄信者で御座います、何卒お心安く願ひます』 牛公『私は三五教の古い古い信者で御座います、何卒お心安う』 八公『ハヽヽ、古いは古いだが今の前まで悪事が現はれて、菎蒻のやうにピリピリとフルイ震い信者さまです。こンなお方の仰有る事は根つから当になりませぬ』 時公『ヤア、喧しい奴だな。小供は小供らしう寝るのだよ』 鴨公『これがどうして寝られませうか。竹野姫さまを救ひ出すまで』 時公『それもさうだ。併し心配して心を痛めて体を弱らすより、刹那心だ。寝る時は悠りと寝て、働く時にや働けばよいのだ』 かく云ふうち、岩窟の外には、ワイワイと数多の人声聞えて来た。 時公『ヤア、来た来た。ヤア、一緒にこんな岩窟へ閉ぢ込まれては働く事は出来はしない。皆さま出て下さい。オイ牛、馬、鹿、虎、貴様等は出る事ならぬ、何時裏返るか知れぬ』 と云ひながら時公は飛び出した。 白壁に沢山の蠅が止まつたやうな黒い影、ワイワイと刻々に岩窟目蒐けて押寄せて来る。 松代姫『ヤア皆さま、たとへ幾万の敵が来ても、我々には誠の神様がついてゐらつしやいますから驚くに及びませぬ。皆さん此処で悠くり神言を奏上しませうか』 東彦『ヤア、松代姫さま、梅ケ香姫さま、貴女方は此処に悠りと神言をもつて応援して下さい。私は時公さまと二人で活動いたします』 と言ひながら、東彦は岩戸を開けて外に現はれ、泰然自若として寄せ来る群衆を眺めて居る。 矢は雨の如く東彦、時公に向つて、ヒウヒウと集まつて来る。時公は来る矢を両手に掴んでは落しながら大音声、 時公『ヤアヤア、此方は古今無双の英雄豪傑天地の間に名の轟いた時雷の大神だ。三人五人は面倒だ。百人千人億万人、束に結うて一度にかかれツ、虱潰しにしてやるぞ』 群衆の中より一人の大男、ヌツと前に現はれ来り、右の肩を無理に聳かし、左の肩をトタンと落し、体を斜に構へ、眼をくしやくしやさせながら、 男『ヤアヤア、此方はヒツコス神の棟梁のビツコの熊さまだ。三五教の宣伝使の奴、三人までは此方の指揮によつて生擒にいたした豪の者、時雷の痩せ浪人、今に一泡吹かせて呉れん。覚悟を致せよ』 東彦は歌ふ。 東彦『朝日は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも 雪は積むとも解けるともコーカス山に立籠る 大気津比売の曲業を言向け和しておくづきの 敵は幾万来るとも神の御霊の増鏡 照らして雲霧吹き払へビツコの熊も諸共に 高い鼻をば打ち砕き噛んで砕いて神の道 腹に詰め込み洗てやる八王神やヒツコスや クスの神まで打ち揃ひ天の岩戸を速かに 開く時こそ来りけり神が表に現はれて 善と悪とを立てわける此世を造りし神直日 心も広き大直日直日に見直し聞き直し 曲の言霊宣り直せコーカス山の峰の雲 伊吹き払ふは神の息勢猛き曲津見の 曲の砦を言霊の玉の功に打ち砕き 心を砕く宣伝使大気津比売の改心を 神に祈りて松代姫心も固き石凝の 姥の命の宣伝使春待ち兼ねし梅ケ香の 姫の命の姉の君竹野の姫を今此処に 送り来りて天地の神に罪をば贖へよ 北光彦や淤縢山の神の命の宣伝使 三つの御霊を揃へたて早く返せよ返さねば 神が表に現はれてコーカス山を立替へる 善と悪との真釣合ふ松の神代の宣伝使 心直ぐなる竹野姫朝日は昇る東彦 光に笑める梅ケ香の恵の露のかかる時 かかる例も烏羽玉の闇世を開く時さまの 神の化身の宣伝使三十三相の其一つ 光現はれ北光の彦の命と諸共に コーカス山を照らすなり日は照る光る月は盈つ 三五の月の御教に心の雲を掻き分けて 神の御霊に立ち帰れ本津御霊に立直せ 一度に開く梅の花一度に開く梅の花 一度に開く梅の花』 と歌ひ終つた。雨と降り来る矢の音は、この言霊と共にピタリとやみて、数多の捕手はいづれも雪の谷道に蹲まり、中には感涙に咽び、声を放ちて泣くものさへもありけり。 松代姫、梅ケ香姫は此場に現はれ、一同に向つて三五教の教理を懇に説き諭しけり。数多の捕手は神の清き言霊に打たれて、いづれも心を改め、遂には大気津姫の部下の八王神の帰順に全力を尽す事となりぬ。 神の誠の心を知り、言霊を清め、身も魂も神に等しく、勇智愛親四魂の活用全く成りし神人の宣伝は、如何なる悪鬼邪神と雖も、其言霊に帰順せざるものは無いのである。故に宣伝使たるものは己先づ身魂を研き、総ての神人に対し、我身に対すると同様の心懸を持たねばならぬ。此心懸なき宣伝使は、如何に智を振ひ弁を尽すとも、神の御国に救ふ事は出来ないものたるを知るべきなり。 (大正一一・三・三旧二・五加藤明子録) |
|
18 (1917) |
霊界物語 | 27_寅_麻邇宝珠の紛失/琉球物語 | 10 太平柿 | 第一〇章太平柿〔七九二〕 紀州熊野の片畔天地の神の御教を 朝な夕なに宣べ伝ふ三五教の若彦が 常楠爺さまと諸共に熊野の滝に参詣で 御禊祓の最中に現はれ出でし姫神は 心の花の開くなる蓮華の山の守り神 木花姫の忽然と滝の畔に現れまして 言葉静かに宣らすやう汝は是により常楠と 旅装を整へ船に乗り熊野の浦を立ち出でて 浪間に浮ぶ宝島琉と球との瑞宝の いや永久に納まれる聖地に到りてハーリスの 山に棲まへる荒神を言向け和し竜神の 腮の珠を受け取りて三五教の神司 玉照彦や玉照姫の貴の御前に奉れ 高天原の聖地より言依別を始めとし 国依別の宣伝使後より来り給ふべし 汝はそれに先だちて此神島に到着し ハーリス山の深谷に棲む竜神を言霊の 神の息吹に言向けよ木花姫は汝が身の 前に後につき添ひて必ず功績を建てさせむ 一日も早く進めよと言葉終ると諸共に 早や御姿は消え給ひ後に芳香馥郁と 四辺に薫る床しさよ幽玄閑雅の音楽は 梢を渡る科戸辺の風に相和し面白く 耳も若やぐ若彦が常楠伴ひ天を覆ふ 樟の老木生茂る熊野の森を後にして 神の御言を畏みつ浪のまにまに出で来り ハーリス山の麓なる槻の大樹の洞穴を 暫時の住家と定めつつ日日毎日竜神を 言向け和す其為に数多の土人に侍かれ 嶮しき山坂昇降し心の限り真心を 尽して神業に仕へける今日は殊更竜神の 出現遅く暇どりて槻の大木の仮宅に 帰りし頃は夜半頃数多の篝火かがやかし 我が洞穴に近づきて外より中を眺むれば 虎狼か鬼か蛇かはた竜神の化身にや 異様の物影忽ちに嘯く声はウーウーと 四辺に響く大音に若彦胆を潰しつつ 小声になりて数歌を唱へ終れば中よりも 声調揃はぬ怪声に一二三つ四つ五つ六つ 七八つ九つ十たらり百千万と応酬する 若彦大地に平れ伏して轟く胸を押へつつ 虎狼か鬼か蛇か但は誠の神様か 名乗らせ給へと呼はれば国依別は声を変へ ハーリス山の竜神が琉と球との宝玉を 言依別や国依別の神の司に授くなり 夢々疑ふ事なかれ是を聞いたる若彦は 正直一途の性質誠の神と喜んで 感謝の涙に暮れて居る常楠爺さまは怪しんで 心の僻みか知らねども竜の化身の姫神と 思へぬ節がやつとある言依別神様や 国依別の宣伝使此洞穴に入りまして 息を休ませ給ふらん此姫神は正しくも 三五教の国依別の神の司が茶目式を 発揮したるに相違なしこれこれ国依別さまよ 早く正体現はせと云ふ間もあらず国依別は 察知の言葉に耐りかね思はず吹き出す笑ひ声 忽ち化は現はれて茲に三人暗黒の 洞穴内に押し入つて闇に彷徨ひ燧石 カチカチ打てど何故か今日に限つて火は出でぬ 三人闇に包まれて盲の神の垣覗き 四辺を探る折柄に松明持つて両人が 此場に現はれ入り来り其処に明火を立て置いて 忽ち表へ駆け出す言依別は起上り 三人の姿を透し見て不意の邂逅祝しつつ 久方振りに四方山の話と共に夜は明けぬ あゝ惟神々々尊き神の引き合せ 四魂揃うて神人は旭の光を浴びながら 四五の土人を従へて棕櫚や花櫚の生ひ茂る 林の中を掻い潜り土柔かくぼかぼかと 足を没する山麓の小径を踏占め登り行く。 冬とは云へど雪も無ければ霜も降らぬ、自転倒島の夏の如き陽気に、汗を垂らしながら脛を没する灰のやうなボカボカ道を踏み慣れぬ足に登つて往く。 国依別は空腹に耐へ兼ね、傍の芭蕉の葉を一枚剥つて之を四つに畳み、敷物の代りにして路傍にドツカと坐し、左の手を膝に上向けにチンと乗せ、右の手を握り食指のみヌツと前に突き出し、太平柿の甘さうに断崖絶壁に実つて居るのを見て、喉を鳴らせながら無言の儘坐つて居る。言依別、若彦は七八間も先に立つて居る。国依別の後から従いて来た常楠、チヤール、ベース其他の土人は、国依別の態度に不審の念晴れず、ジツとして顔を見詰めて居た。国依別は膝の上に乗せた左の手を一二回上げ下げし乍ら、右の手の食指にて向ふの柿を指し、次で自分の口を指し、又柿を指し又口を指しやつて居る。 常楠『モシモシ国依別さま、此常楠は年は老つても耳は近いのだから、そんな仕方をせずに口で言つたら如何ですか』 国依別は自分の口を指し又柿を指し、遂には腹を指して見せた。 常楠『察する所あの柿が食ひたいと仰有るのですか。そんなら今喰はして上げませう。これこれチヤールさま、誰か此中で木登りが上手な人、此谷を向ふへ渡つて、あの甘さうな柿を二つ三つ採つて来て下さらぬか。国依別の喉の神さまが彼の柿を献れよと御命令して御座る』 チヤール『ハイ畏まりました。併し乍ら彼処に残つて居るあの柿は、竜神さまの柿と云つて人間の喰ふ物ぢや御座いませぬ。若し一つでも喰はうものなら、男女に拘はらず、忽ち腹が膨れ、遂に臍がはぢけて、大蛇の児が生れ、親はそれつ切り国替致すと云ふ険難の柿です。それ故誰も採つた者もなければ、食つた者もありませぬ。従つて其味を知る者もないのです。此方に竜神様が御憑りになつて居られますのかなア。そんなら竜神さまに御上げ申すつもりで、取つて参りませうか』 ベース『オイオイ、チヤール、さう安請合をするものぢやないぞ。何程常楠様が天降つた神様だと云つても、竜神の柿を自由になさる事は出来ない。又仮令御憑りになつても、それは霊だから、ムシヤムシヤお食りになる筈がない。お食りになるとすれば此方の肉体が食ふのだから、それこそ大変だ。サア往かう。若彦様や言依別神様は、最早御姿が見えなくなつて了つた』 国依別『汝チヤール、ベースの両人、其争ひは尤もだ。併し乍ら此の方は真の竜神の化身、元の姿の儘ならば谷間に下つて鎌首をキユウと立て、舌をニヨロニヨロ出せば、手もなく口にニユウと這入るのであるが、斯う人間に化て居る間は、ヤツパリ人間並に採ることが出来ない。神が命令する、チヤール、ベース、早く採つて参れ。苦しうないぞ』 チヤール『ハイ畏まりました』 ベース『苦しうないと仰有いましたね。そりや其筈だ。ジツとして芭蕉の葉の上に胡坐をかき、人に苦しい思ひをさして、あの柿を採り、居乍らにして据膳を戴き遊ばすのだもの、何が苦しいものか。楽なものだよ』 国依別『グヅグヅ申さずに早く採つて献上致せ。国依別空腹に依り、最早一歩も歩行けなくなつて、此処に極楽往生を致しかけたぞよ』 常楠『オツホヽヽヽ』 チヤール、ベースの両人は、猿の如く断崖を下り、可なり深い谷川の点在せる岩の頭を飛び乍ら、流を避けて向ふ側に渡り、柿の木に喰ひついて二人は登り行く。 水の垂る様な甘さうな柿が、幾つともなく沢山に葉の蔭にぶらついて居る。其大きさは牛の睾丸位確かにある。チヤール、ベースの両人は得も言はれぬ甘さうな香に耐りかね、自分の使命を忘れて一生懸命に甘さうな奴から、採つては食ひ採つては食ひ、舌鼓を打つて居た。 常楠は下から声を掛け、 常楠『コレコレ、チヤール、ベースの両人、柿を落さないか』 此声にチヤールはフト気がつき、 チヤール『今落しませう。併し斯んな柔かい柿を落せば、潰れて了ひます。生憎容れ物もなし、私の腹の中へ入れて持つて下りますから、待つて居て下さい』 常楠『此処に竜神さまがお待兼だ。少し固くつても良いから、むしつて此方へ抛つて呉れ』 チヤール『堅いものは渋くつて喰へませぬぞえ』 常楠『エー仕方がないなア』 国依別『あゝ斯うして居て、人が甘さうに食うて居るのを見ると、腹が余計空くようだ。エー仕方がない、人を力にするな、師匠を杖に突くなと、神様が仰有つた。人の力で甘い柿を採つて、徳を取らうと思つても駄目だ。ドレ自分の事は自分で埒をつけるに限る』 とペコペコした腹を抱へ、二重腰になつて、断崖を辷り落ち、谷川から浮き出した岩の頭を、ポイポイと飛び越え、辛うじて対岸の柿の根元に着いた。見れば二人は蚕が桑の葉を食ふやうに、小口ごなしに赤い甘いのを平らげて仕舞ひ、下の方には青い渋いのがぶら下つて居る。国依別は空を仰きながら、 国依別『オイ、チヤール、ベースの両人、些とは赤いのを残して置いて呉れよ。今登るから……』 と柿の節だらけの瘤に手をかけ足をかけ、やつと一の枝に取りつき下を見れば、激潭飛沫の谷川凄惨の気に襲はれ、空腹の上の事とて目も眩む様な感じがして来た。国依別は漸くにして一方の細き枝に身を寄せ、 国依別『アヽ危いものだ。この枝が一つペキンと折れようものなら忽ち寂滅為楽だ。併し怖い所に行かねば熟柿は食へんぞよと神様が仰有つた。美味しい熟柿は矢張り怖い所にあるものだナア』 と呟きながら辛うじて美味さうな奴を一つむしり、飛びつくやうに矢庭に頬張つて見た。何とも云へぬ美味で思はず目も細くなり、顔に皺を寄せて賞翫した。忽ち腹は布袋の如く刻々に膨れ出した。 国依別『ヤア此奴は耐らん、チヤールの云ふやうに大蛇が腹に宿つたのかなア。何だか腹の中がクレクレとして来たぞ。天足、胞場の昔のやうに体主霊従になつて仕舞ふのではあるまいかなア。高山の伊保理、低山の伊保理を柿わけて食し召せと云ふからは、強ち神罰も当るまい。アヽグヅグヅして居ると腹が大きくなつて下りられないやうになる。あゝ惟神々々霊幸倍坐世』 と樹を下りんとする。相当に黒い大きな大蛇、亀甲型の斑紋を光らせながら絡繹として柿の樹目蒐けて上つて来る嫌らしさ。国依別は一生懸命に一二三四と天の数歌を唱へた。 国依別は追々登り来る勢猛き悪蛇に僻易し、樹上より両手を拡げて空中を掻きながら、谷川の蒼味だつた深淵の上にドブンと落ち込んだ。逆巻く浪に捲き込まれて暫くは其姿も見えなくなつて仕舞つた。蛇は急速度を以て数限りなく柿の木に上つて来る。 チヤール、ベースの両人は、国依別の飛び込んだ青淵目蒐けて又もやドブンドブンと飛び込んで仕舞つた。パツと立つた水煙と共に二人の姿は又々消えて仕舞つた。あゝ此三人の行方は如何なつたのであらうか。 (大正一一・七・二五旧六・二加藤明子録) |
|
19 (2248) |
霊界物語 | 39_寅_大黒主調伏相談会/言霊隊の出発 | 13 浮木の森 | 第一三章浮木の森〔一〇七八〕 印度と波斯との国境天地の神の御稜威をば アフガニスタンの大原野浮木ケ原の森蔭に 佇む母娘の宣伝使斎苑の館をたち出でて ハルナの都に立ち向ふその御姿ぞ雄々しけれ 秋野の木の葉色づきて黄金姫や清照姫 神の命の御気色実に麗かに照妙の さながら小春の如くなり。 母娘の宣伝使とは云はずと知れた黄金姫、清照姫である。清照姫は四方の風景を眺め乍ら、 清照姫『お母さま、随分お足が疲れたでせう。河鹿峠で悪漢に出会つてから最早十日ばかり山坂を無難に此処まで参りました。これも全く神様の御守護の厚き所以で御座いませう』 黄金姫『私は何と云つても年をとつた丈世の中の辛酸を嘗め尽して居るから別に何とも……これ位の旅行は苦にもならぬが、年若きそなたは随分苦痛を感じたであらう。早くお父さまに会はして上げ度いは胸一杯だが、肝腎要の信仰を異にして居るのだから思想上から云へば矢張敵味方の仲、三五教の教には天ケ下には他人もなければ鬼もない、何れも尊き神の御子ぢやと教へられてある、けれどもバラモンの教はさう広く道理が判つてゐないのだから折角親子の対面をした所で其結果は如何なるやら判つたものぢやない。これを思へば嬉しいやら悲しいやらテンと心が落ち着きませぬ』 清照姫『お母さま、決してそんな心配は要りませぬ。三五教の仁慈無限の言霊を以て如何なる鬼大蛇曲神も言向和さねばならぬ吾々の天職、況して血を分けた親子夫婦、如何に頑強な父上ぢやとて、吾等母娘が熱心に誠を以て説きつければ、屹度改心して下さるでせう』 黄金姫『お前も一つ島のクヰーンと迄なつた丈の腕前を持つて居るのだから大丈夫とは思へども、此思想上の問題ばかりはさう易々と動かせるものではない。何は兎もあれ神様にお願ひ申して一時も早く夫の館に到着し、御神力を以て天地の真理をお話し申上げ、悪逆無道のバラモン教を脱退……否々改良せなくてはなりませぬが、これこそ私にとつては非常に重大な任務だ。神素盞嗚大神様の御心は実に寛仁大度、いやもう有難うて、涙がこぼれます。鬼熊別の妻たり、娘たる吾等を見込んで此大任を仰せつけられた其襟度の広い事、到底凡神の企て及ぶ所でない。ここ迄良く人を信じ玉ふ其御心に対しても、仮令吾等母娘が如何なる運命に陥るとも此大神の御心は背く事は出来ませぬ』 清照姫『左様で御座います。たとへ父上様がお怒り遊ばしてお母さまと私をお殺し遊ばしても、決してバラモン教へ帰順する事は出来ませぬ。お母さまも其御決心で御座いませうなあ』 黄金姫『それは勿論のことだ。仁慈無限の大神様の仰せには背かれぬ。どこ迄も誠一つを立てぬかねばなりませぬ』 斯く話す折しも、馬に跨がり数十人の部下を率ゐて、浮木ケ原の宝の森を目蒐けて進み来るバラモン教の宣伝使があつた。矢庭に馬を飛び下り同勢を引つれ、二人が休息せる前に堂々と進み来り眼を怒らして、 (大足別)『此方はバラモン教の大黒主様の御家来大足別と云ふ宣伝使だ。レーブの注進に依て汝等母娘を召捕らむ為め部下を引率れここに立向うたり。サア尋常に手を廻せよ』 と大音声に突立ち乍ら呶鳴つて居る。瞬く間に数十人の部下は母娘の周囲を満月の形に取り囲んで了つた。清照姫は笠を脱ぎ棄て花の如き顔をさらし乍ら、 清照姫『妾は三五教の宣伝使、心も清く照り渡る清照姫であるぞよ。これなるは清照姫の母、黄金世界を建設する大任を帯び給ふ黄金姫だ。汝大足別とやら其気張り様は何事だ。も少し肩を削り腰を屈めおだやかに掛合つては如何だ。頭抑へに女と侮つて抑へつけようと致すのはバラモン教の教理ではあるまい。少しは心得たがよからうぞ』 大足別『此者こそは繊弱き女の分際として強力無双の曲者、レーブの注進によつて何も彼も手にとる如く判つてゐる。到底一筋縄では行かぬ母娘の巡礼と化けたる三五教の宣伝使、搦め捕つてハルナの都へ立帰り、大黒主の神様に御褒美の詞を頂戴せむ。者共かかれ』 と下知すれば『オー』と応へて四方より母娘を目蒐けて十手を打振り打振り攻めかくる。母娘は『心得たり』と金剛杖を水車の如くに空気を鳴動させ乍ら防ぎ戦ふ勢に、何れも辟易し、遠巻に巻き乍ら『あれよあれよ』と口々に叫ぶのみ。大足別は劫を煮やし、 大足別『えー、言ひ甲斐なき味方の小童子共、御供にも足らぬ蠅虫奴等、控へ居れ』 と呶鳴りつけ長剣をスラリと引ぬき、母娘に向つて斬りかくるを、二人は笠を以て右に左に受けとめ、かい潜り隙を狙つて清照姫は敵の足を杖の先にて力限りに打たたけば何条以て堪るべき、大足別はアツと叫んで其場に顛倒し目をぱちつかせ呻きゐる。数多の手下共は此態を眺めて『素破一大事』と命を的に武者振りつく。此方は名うての勇者、一人も残らず息の根を止めて呉れむは易けれど神に仕ふる身の上、仮令虫族一匹でも殺すと云ふ訳には行かないので、何れも金剛杖の先にて猫が蛇にじやれる様な態度でチヨイチヨイと扱つて居る。かかる所へ四五人の部下の注進によつて武装を整へたるバラモン教の軍勢、鋭利なる鎗を日光に閃かし乍ら幾百千とも限りなく轡を並べて攻め来り、二人の母娘を十重二十重に取囲み、四方八方より鎗にて突きかけ来る物凄さ、流石の母娘も衆寡敵せず、もう此上は天則を破り寄せ来る武士を片端から打殺して呉れむと覚悟を極めし折柄に天地も揺ぐばかりの呻り声、森の木蔭より忽然として現はれ来れる数十頭の狼は敵の集団に向つて目を怒らせ大口を開いて驀地に襲撃する。其早業にエール将軍は部下を纏めて雲を霞と逃げ散つたり。此時打倒れたる大足別の肉体も運び去られて敵の影だにも見えなくなつてゐた。 二人はハツと息をつき、森の木の間より湧き出づる清水を掬ひて咽を湿してゐた。 数十の狼は敵を四方に追ひ散らし、頭を下げ尾を垂らし乍ら謹慎の態度を装ひつつ母娘が前に現はれ、二列となつて『ウー』と一声呻ると共に煙の如く消え失せて了つた。 森の彼方より何人とも知れぬ涼しき声の宣伝歌が聞えて来た。 (国公)『神が表に現はれて善と悪とを立別ける 三五教の神の道吾等は神の子神の宮 とは云ひ乍ら人の身のいかでか神を審かむや 神は尚更世の人の善悪正邪が分らうか 身魂の因縁性来を立別けむとする醜司 彼方此方に現はれて誠の道を蹂躙し 世を常暗と汚し行くあゝ惟神々々 神の御霊の幸ひて三五教は云ふも更 バラモン教やウラル教教の道に仕へたる 神の司を悉く魂の御柱建て直し 五六七の御世を永久にたてさせ玉へ惟神 神に仕ふる国公が慎み敬ひ願ぎ奉る。 ○ 照国別に従ひて斎苑の館を出でしより 夜を日に次いで河鹿山西の峠に差しかかり 不思議な事よりバラモンの道に仕ふる神司 イール、ヨセフの両人が命を救ひ助けつつ 照国別や梅照の後に従ひ来る折 坂の此方に倒れたる二人の男を救へよと 命令しながら出でて行く後に残りし国公は 二人の男を救はむと立寄り見れば此は如何に ガランダ国のハム初め香具耶の彦の子と生れし タールの二人の物語神の仕組と喜びて 互に心を打明かし三五教に帰順させ ここまで進み来りけりあゝ惟神々々 尊き神が現はれて善神邪神を立別ける 互の身魂の因縁を神のまにまに説き諭し 救はせ玉ひし有難さ尊き神の御威光を アフガニスタンの高原地浮木ケ原の此森に 俄に聞ゆる鬨の声唯事ならじと一行が 駒を早めてシトシトとここ迄進み来て見れば さも騒がしき鬨の声今は松吹く風となり 四辺に人の影もなしあゝ惟神々々 神の息吹に退はれて荒振る神は逸早く 逃げ失せたるかいぶかしや朝日は照るとも曇るとも 月は盈つとも虧くるとも仮令大地は沈むとも 悪魔の猛びは強くとも三五教に仕へたる 誠を守るわれわれに刃向ふ敵はあるべきぞ 吾等は正しき神の御子尊き神の生れませる 珍の宮居ぞ何者か恐るる事のあるべきや 進めよ進め、いざ進め浮木の森の麓まで あゝ惟神々々御霊幸ひましませよ』 と歌ひ乍ら母娘の憩ふとは夢にも知らず駒を早めて進み来る。 国公は駒をとどめてツカツカと二人の前に現はれ、 国公『ヤア、貴方は』 黄金『シー』 国公『黄金姫様、もはやお隠しには及びませぬ。此処へ参りましたタール、ハム、イール、ヨセフの四人は全く三五教に心の底より帰順致しました善人で御座いますから、何卒可愛がつてやつて下さいませ。重々の御無礼は私が代つてお詫び致しますから何卒御許しを願ひます』 黄金姫『そなたは照国別のお供に仕へた国公さまぢやないか。照国別様は如何なつたのだ。心もとなし、早く其お所在を知らしてお呉れ』 国公『実の所はタール、ハムの両人、河鹿峠の山道に負傷を致し倒れて居たので、照国別の宣伝使は此国公に介抱を命じおき、サツサと先に立つて行かれました。それより群がる野馬を引捉へ吾々一行五人照国別様のお後を追かけて此処まで参りましたが、まだお行衛が判らず、ヒヨツとしたら私達が先になつたかも知れませぬ』 黄金姫『一足先へ出た妾でさへも、まだここ迄到着した所だから、屹度後からおいでになるのだらう。清春山の岩窟にバラモン教の悪神共が立籠り国人を悩ますとの噂があるから、大方照国別の宣伝使はそこへ御出になつたのだらうよ』 国公『これから私は貴方様母娘のお供をしてハルナの都まで参りませう、何卒お許し下さるまいか』 黄金姫『ウン』 清照姫『国公さま、そんな勝手な事は出来ませぬ。吾々母娘は供をも許されず、神様の深き思召あつてお使に参る者、其方は照国別様のお供に仕ふるものだ。他人の供人を横取りにしたと云はれては神様に申訳たたず、又宣伝使の吾々として義務が立たない。サア早く国公さま、清春山の岩窟に引返し照国別様の危難をお救ひなされ、決して吾々母娘の後へついて来る事はなりませぬぞえ』 国公『照国別の宣伝使は二人の男をお伴れ遊ばします以上は、国公一人居なくても大丈夫でせう。何を云つても貴方は女の二人連れ、魔神の猛び狂ふ此の荒野ケ原をお渡りなさるのは、何とはなしに案じられてなりませぬ。照国別様が私を後に残して行かれたのは貴方のお供をせよとの謎であつたかとも考へられます。何卒タルの港までなりとお供をさせて下さいませ』 清照姫『折角の御親切なれどもこればかりは平にお断り致します』 黄金姫『国公さまの誠心は有難く受けまする。然し乍ら前申した通り私のお供は許しませぬ。一時も早く清春山の岩窟へお越しなされ、照国別様は敵の計略にかかつて大変危い所で厶いますぞ。今私の霊眼に映じました。時おくれては一大事、僅かに十里ばかりの道程、早く引返しなされよ』 と云ひ乍ら母娘二人は国公一行を振棄てて荒野ケ原をイソイソと足早に進み行く。国公はハム、イール、ヨセフ、タールの四人を従へ駒の頭を並べて元来し道を一目散に清春山の岩窟さして進み行く。野路を渉る秋風は中空に笛を吹き乍ら遠慮会釈もなく森の梢を渡り行く。 (大正一一・一〇・二八旧九・九北村隆光録) |
|
20 (2267) |
霊界物語 | 40_卯_照国別と黄金姫&清照姫母子 | 08 使者 | 第八章使者〔一〇九二〕 ケーリス、タークス両人は照国別の命令を 喜び勇み守りつつ栗毛の駒に跨りて クルスの森を駆け出し一目散に大野原 吹き来る風に頭髪を梳りつつ驀地 谷を飛び越え山渉り秋野にすだく虫の声 いと悲しげに聞ゆなる荒野ケ原を辿りつつ 勢ひ込んで村肝の心も勇み魂も 清春山の岩窟に進み行くこそ健気なれ 清春山の麓にて駒を乗りすて両人は 崎嶇たる坂を登りつつ三五教の宣伝歌 歌ひ歌ひて進み行く。 ケーリス、タークス両人は清春山の山麓に駒をつなぎ、烈しき山颪に当りながらエイヤエイヤと一歩々々力をこめて登るのであつた。ケーリスは道々歌ふ。 ケーリス『神が表に現はれて善神邪神を立分ける 人は神の子神の宮とはいひながら人の身の いかでか神を審きえむ三五教の神司 神素盞嗚大神は仁慈無限の御聖徳 五六七の神と現れましぬバラモン教を統べ給ふ 大黒主の神司尊き神と聞ゆれど 其源をたづぬれば常世の国に生れませる 常世神王自在天大国彦の御裔なる 大国別の神司開き給ひし御教 此正統は貴の御子国別彦が現はれて バラモン教を守りまし統べさせ給ふ道なるに 鬼雲彦が現はれて国別彦を放逐し 自ら教主となりすまし大黒主と名を変へて 月の都に威勢よく現はれ来りし曲津神 善と悪とは明かにこれにて思ひ知られけり ウラルの教を奉じたるウラルの彦も源を 詳しくたづね調ぶれば此世を開き給ひたる 塩長彦の神柱盤古神王の正系を 疎外しながら傲然と八王大神の御裔なる ウラルの彦やウラル姫その正系と詐りて 枉の教を遠近に拓いて此世を乱し行く 其やり方の物凄さあゝ惟神々々 御霊幸はひましまして三五教やウラル教 バラモン教の障壁を一時も早く撤回し 天地を造り固めたる国治立大神の 一つの教に服ひて神の御為め世の為めに 世界揃うて一日も早く誠を尽すべく 守らせ玉へ三五の尊き神の御前に ケーリス、タークス両人が慎み敬ひ願ぎまつる 朝日は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも 仮令大地は沈むとも誠一つの三五の 教を守る事ならば如何なる事か成らざらむ 如何なる枉も恐れむや神は吾等と倶にあり 人は神の子、神の宮これの尊き御諭は 三五教の御教バラモン教に比ぶれば 天地霄壌の違ひあり月日は空に明かに 輝き渡り吾々が頭を照らし給ひつつ 心にかかる村雲を神の息吹に払ひ除け 清く照らさせ給ひけり此世を造りし神直日 心も広き大直日只何事も人の世は 直日に見直せ聞き直せ身の過ちは宣り直せ かく明けき御教を守り給へる神司 照国別は吾々の百の罪をば赦しまし 生命を助け労りてまだホヤホヤの信徒をば 少しも疑ひ給はずにかくも尊き御使を 任さし給ひし有難さ心は海の如くなり 魂は空の如くなりあゝ惟神々々 神の守りの深くして今まで迷ひしバラモンの 胸は全く覚め来り至仁至愛の大神の 教に仕ふる嬉しさよあゝ惟神々々 御霊幸はひましませよ』 と歌ひながら清春山の峻坂を登りつつあつた。最早山の三合目迄登りついた。これより坂は益々険しく道悪しく容易に登る事は出来ない難路である。タークスは一歩々々指先に力を入れながら、息を喘ませ登りつつ拍子をとつて歌ひ出した。 タークス『ウントコドツコイ、ハアハアハアフウフウフウフウ息苦し 断崕絶壁きつい道こんな処で倒けたなら 体は忽ち千仭の谷間にドツコイ転落し 頭はめしやげ腕は折れ手足も五体もグタグタに なつて猛獣のウントコシヨうまい餌食になるだらう ウントコドツコイ、ハアハアハアコリヤコリヤケーリス気をつけよ これから先が難関だ照国別の御命令 首尾よく御用をウントコシヨ済まして目出度く復り言 申し上げねば命をば助けて貰うたウントコシヨ 御恩報じが出来まいぞ又もや烈しい風が吹く そこらの樹木をしつかりと掴まへながら指先に 力をこめて登らうかこんな烈しいドツコイシヨ 凩風に吹かれては俺の体は散りさうだ ポーロやシヤムの連中は嘸今頃はドツコイシヨ 目玉の光つたウントコシヨ大足別の司等が カルマタ国へ出陣し主人の留守の間鍋焚き 奥の一間に胡坐かきウントコドツコイ、ドツコイシヨ 味よい酒を取り出して鱈腹飲んで管を巻き ウントコドツコイ、ヘベレケになつて頭を右左 張子の虎のウントコシヨ様にプリプリふりながら 駄法螺を吹いて居るだらう照国別の御手紙に 如何なる事がドツコイシヨ書いてあるかは知らねども ポーロの奴はドツコイシヨ定めて驚く事だらう ウントコドツコイ其顔が今目のあたり見るやうに 思ひなされて仕様がない雨か霰か又風か 地震雷火の雨か何れはドツコイ悶錯が 起つて来るに違ひない其時ケーリス、ドツコイシヨ シツカリ致して曲神にちよろまかされてはならないぞ 一旦誠の御教を悟つた上はウントコシヨ ハアハアハアハア後返りしてはならない神の道 登り難きは坂道だ誠の道を進むのは 此坂道をのぼるやうなウントコドツコイものだらう チツとの油断があつたならガラガラガラガラ後戻り 鋭く尖つたガラ石の車に乗つて谷底へ 落ちてはならぬドツコイシヨ神が表に現はれて 善悪邪正を立分ける其功績はドツコイシヨ 天地に広く鳴り渡る雷の如ドツコイシヨ 眠れる人の目を覚まし心の枉を追ひやりて 水晶玉の神の宮救はせ給ふ有難さ あゝ惟神々々ドツコイドツコイ御霊 幸はひ給ひて吾々が堅き心を弥固に 練らせ給へよ三五の神の司の太柱 神素盞嗚大神の御前に願ひ奉る 朝日は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも ウントコドツコイ山は裂け海はあせなむ世はありとも 一旦悟つた三五の神の教は忘れなよ あゝ惟神々々ケーリスしつかり肝玉を 据ゑてかかれよ今暫し登つて行けば岩窟だ ポーロやシヤムの顔を見てもとの如くに撥返り バラモン教に堕落して神の怒りに触れざらめ 俺はお前の親友だお前を思ふ心から くどい事とは知りながら一寸此処にて気をつける ウントコドツコイ、ドツコイシヨアイタタタツタ、アイタツタ あんまり喋つて足許に眼を配るを忘れたか 尖つた石のウントコシヨ坂の車に乗せられて したたか打つた膝頭赤い血潮がドツコイシヨ タラタラタラと流れ出す此血の色を眺むれば 余程俺の魂は清められたに違ひない 鮮血淋漓と迸り東の空に茜さす 日の大神の如くなり誠の道に服ひて 朝な夕なに肉体を活動させて居るならば 筋肉次第に活動し血液流通よくなつて ウントコドツコイ、ドツコイシヨ鬱血するよな憂ひない 体をヂツと遊ばせて体主霊従の事ばかり 考へ暮す枉神の血潮の色は真黒気 ヤツトコドツコイ小人は閑居しながらウントコシヨ 不善を為すと聞くからは人と生れし此上は 月日の如く朝夕にタイムを惜んで活動し ウントコドツコイ光陰を空しく費やすウントコシヨ 不道理至極の事をせず朝から晩まで道のため 誠のために働けばこんな美しい血が循る あゝ惟神々々三五教の神様の 貴の御前に真心を捧げて感謝し奉る』 漸くにしてポーロ、シヤム等が守つて居る岩窟の前に両人は辿りついた。岩窟の口に二人はソツと佇み、中の様子を密に窺へば、奥には何となく騒々しい阿鼻叫喚の声が聞えて居る。ケーリス、ターリス両人は腕を組み頭を傾けながら、 『はてな』 (大正一一・一一・二旧九・一四北村隆光録) |