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書籍 内容
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(205)
ひふみ神示 6_日月の巻 第32帖 おもてばかり見て居ては何も判りはせんぞ。月の神様まつりて呉れよ。此の世の罪穢れ負ひて夜となく昼となく守り下さる素盞鳴神様あつくまつり呉れよ。火あって水動くぞ。水あって火燃ゆるぞ。火と水と申しておいたが、その他に隠れた火と水あるぞ。それを一二三と云ふぞ、一二三とは一二三と云ふ事ぞ、言波ぞ。言霊ぞ、祓ひぞ、ぞ。スサナルの仕組ぞ。成り成る言葉ぞ、今の三み一たいは三み三たいぞ。一とあらはれて二三かくれよ。月とスサナルのかみ様の御恩忘れるでないぞ。御働き近づいたぞ。十一月十七日、ひつ九かみ。
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(266)
ひふみ神示 9_キの巻 第9帖 悪いこと待つは悪魔ぞ、何時建替、大峠が来るかと待つ心は悪魔に使はれてゐるのざぞ。この神示世界中に知らすのざ、今迄は大目に見てゐたが、もう待たれんから見直し聞き直しないぞ、神の規則通りにビシビシと出て来るぞ、世界一平に泥の海であったのを、つくりかためたのは国 常立 尊であるぞ、親様を泥の海にお住まひ申さすはもったいないぞ、それで天におのぼりなされたのぞ。岩の神、荒の神、雨の神、風の神、地震の神殿、この神々様、御手伝ひでこの世のかため致したのであるぞ、元からの竜体持たれた荒神様でないと今度の御用は出来んのざぞ、世界つくり固めてから臣民つくりたのであるぞ、何も知らずに上に登りて、神を見おろしてゐる様で、何でこの世が治まるものぞ。天と地の御恩といふことが神の国の守護神に判りて居らんから難儀なことが、愈々どうにもならん事になるのぞ、バタバタとなるのぞ。臣民生れおちたらウブの御水を火で暖めてウブ湯をあびせてもらふであろが、其の御水はお土から頂くのざぞ、たき火ともしは皆日の大神様から頂くのざぞ、御水と御火と御土でこの世の生きあるもの生きてゐるのざぞ、そんなこと位誰でも知ってゐると申すであろが、其の御恩と云ふ事知るまいがな、一厘の所分かるまいがな。守護神も曇りてゐるから神々様にも早うこの神示読んで聞かせてやれよ、世間話に花咲かす様では誠の役員とは云はれんぞ、桜に花咲かせよ。せわしくさしてゐるのざぞ、せわしいのは神の恵みざぞ、今の世にせわしくなかったら臣民くさって了ふぞ、せわしく働けよ。三月十一日、ひつぐの神。
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(337)
ひふみ神示 13_雨の巻 第3帖 草木は身を動物虫けらに捧げるのが嬉しいのであるぞ。種は残して育ててやらねばならんのざぞ、草木の身が動物虫けらの御身となるのざぞ、出世するのざから嬉しいのざぞ、草木から動物虫けら生れると申してあろがな、人の身神に捧げるのざぞ、神の御身となること嬉しいであろがな、惟神のミミとはその事ぞ、神示よく読めば判るのざぞ、此の道は先に行く程広く豊かに光り輝き嬉し嬉しの誠の惟神の道で御座るぞ、神示よく読めよ、何んな事でも人に教へてやれる様に知らしてあるのざぞ、いろはに戻すぞ、一二三に返すぞ、一二三が元ぞ、天からミロク様みづの御守護遊ばすなり、日の大神様は火の御守護なさるなり、此の事魂までよくしみておらぬと御恩判らんのざぞ。悪も善に立ち返りて御用するのざぞ。善も悪もないのざぞと申してあろがな、の国真中に神国になると申してあろがな、日本も外国も神の目からは無いのざと申してあろうが、神の国あるのみざぞ、判りたか。改心すれば・の入れかへ致して其の場からよき方に廻してやるぞ、何事も我がしてゐるなら自由になるのであるぞ。我の自由にならんのはさせられてゐるからざぞ、此の位の事判らんで神の臣民と申されんぞ、国々所々に宮柱太敷キ立てよ、たかしれよ。此の先は神示に出した事もちいんと、我の考へでは何事も一切成就せんのざぞ、まだ我出して居る臣民ばかりであるぞ。従ふ所には従はなならんぞ、従へばその日から楽になって来るのざぞ、高い所から水流れる様にと申して知らしてあろがな。十月の十五日、ひつ九のかみ。
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(351)
ひふみ神示 13_雨の巻 第17帖 天地の先祖、元の神の天詞様が王の王と現はれなさるぞ、王の王はタマで御現はれなされるのざぞ。 礼拝の仕方書き知らすぞ、節分から始めて下されよ、 先づキ整へて暫し目つむり心開きて一拝二拝八拍手せよ、 又キ整へて一二三四五六七八九十と言高くのれよ、 又キ整へてひふみ三回のれよ、これはこれは喜びの舞、清めの舞、祓の歌であるぞ。世界の臣民皆のれよ、身も魂も一つになって、のり歌ひ舞へよ、身魂全体で拍手するのざぞ、 終って又キ整へて 一二三四五六七八九十、 一二三四五六七八九十百千卍と言高くのれよ、 神気整へて 天の日月の大神様弥栄ましませ弥栄ましませと祈れよ、これは祈るのざぞ、 九二のひつくの神様弥栄ましませ弥栄ましませと祈れよ、 終りて八拍手せよ、 次に 雨の神様、 風の神様、 岩の神様、 荒の神様、 地震の神様、 百々の神様、 世の元からの生神様、 産土の神様に御礼申せよ、 終りてから神々様のキ頂けよ、キの頂き方前に知らしてあろがな、 何よりの臣民人民の生の命の糧であるぞ、病なくなる元の元のキであるぞ、 八度繰り返せと申してあろ、暫くこのやうに拝めよ、神代になる迄にはまだ進むのざぞ、 それまではその様にせよ、 此の方の申す様にすればその通りになるのざぞ、さまで苦しみなくて大峠越せるぞ、大峠とは王統消すのざぞ。新しき元の生命と成るのざぞ。神の心となれば誠判るぞ。誠とはマとコトざぞ、神と人民同じになれば神代ざぞ、神は隠身に、人民表に立ちて此の世治まるのざぞ。雀の涙程の物取り合ひへし合ひ何して御座るのぞ、自分のものとまだ思ってゐるのか。御恩とは五つの音の事ざぞ、御音-恩-返さなならんのざぞ、此の事よく考へて間違はん様にして下されよ。此の巻は雨の巻ぞ、次々に知らすからミタマ相当により分けて知らしてやれよ、事分けて一二三として知らしてやるのもよいぞ。役員皆に手柄立てさしたいのぢゃ、臣民人民皆にそれぞれに手柄立てさしたいのぢゃ、待たれるだけ待ってゐるのぢゃ、一人で手柄は悪ぢゃ、分けあってやれよ、手握りてやれよ。石もの云ふぞ、十六の八の四の二の一目出度や目出度やなあ。神の仕組の世に出でにけり、あなさやけ、あな面白や、五つの色の七変はり八変はり九の十々て百千万の神の世弥栄。十二月十九日、ひつ九のかミ。
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(492)
ひふみ神示 22_青葉の巻 第23帖 かねて見してある弥栄祈願せよ、やさかきがん、やさかきがん、やさかきがん、やさ火き火ん、やさ水き水ん、火と水の御恩、弥栄きがん、やさかのまつりぞ、やさかまつりの秘訣火水は知らしてあらう。神示よく読めよ。これからの神示はひふみと申せよ。弥栄。弥栄。二六五曰曰一二五七三二八一六七一二三曰一三三三一六六六七二六八五二一七六六六三三二八八一三三五二曰八二六一二三八八五五曰曰百千一二一二三曰五六七八九十百千卍ア火八のキ九て八がつの十二にち。ひつ九の 。ア火ハの巻これまで。八月十二日、ひつ九の
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(765)
ひふみ神示 29_秋の巻 第23帖 神が主であり人民が従であると申してあろう。これを逆にしたから世が乱れてゐるのぞ。結果あって原因あるのでないぞ。今の人民、結構すぎて天地の御恩と申すこと忘れてゐるぞ。いよいよとなって泣面せねばならんこと判りてゐるから、くどう気付けてゐるのぢゃ。マコトのことはトリの年。
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(1001)
霊界物語 01_子_霊界探検/玉の争奪戦 04 現実的苦行 第四章現実的苦行〔四〕 つぎに自分の第一に有難く感じたのは水である。一週間といふものは、水一滴口に入れることもできず、咽喉は時々刻々に渇きだし、何とも言へぬ苦痛であつた。たとへ泥水でもいい、水気のあるものが欲しい。木の葉でも噛んでみたら、少々くらゐ水は含んでをるであらうが、それも一週間は神界から飲食一切を禁止されてをるので、手近にある木の葉一枚さへも、口に入れるといふわけにはゆかない。その上時々刻々に空腹を感じ、気力は次第に衰へてくる。されど神の御許しがないので、お土の一片も口にすることはできぬ。膝は崎嶇たる巌上に静坐せることとて、是くらゐ痛くて苦しいことはない。寒風は肌身を切るやうであつた。 自分がふと空をあふぐ途端に、松の露がポトポトと雨後の風に揺られて、自分の唇辺に落ちかかつた。何心なくこれを嘗めた。ただ一滴の松葉の露のその味は、甘露とも何ともたとへられぬ美味さであつた。 これを考へてみても、結構な水を火にかけ湯に沸して、温いの熱いのと、小言を言つてゐるくらゐ勿体ないことはない。 草木の葉一枚でも、神様の御許しが無ければ、戴くことはできず、衣服は何ほど持つてをつても、神様の御許しなき以上は着ることもできず、あたかも餓鬼道の修業であつた。そのお蔭によつて水の恩を知り、衣食住の大恩を覚り、贅沢なぞは夢にも思はず、どんな苦難に逢ふも驚かず、悲しまず、いかなる反対や、熱罵嘲笑も、ただ勿体ない、有難い有難いで、平気で、社会に泰然自若、感謝のみの生活を楽むことができるやうになつたのも、全く修行の御利益である。 それについて今一つ衣食住よりも、人間にとつて尊く、有難いものは空気である。飲食物は十日や廿日くらゐ廃したところで、死ぬやうな事はめつたにないが、空気はただの二三分間でも呼吸せなかつたならば、ただちに死んでしまふより途はない。自分がこの修行中にも空気を呼吸することだけは許されたのは、神様の無限の仁慈であると思つた。 人は衣食住の大恩を知ると同時に、空気の御恩を感謝せなくてはならない。しかし以上述べたるところは、自分が高熊山における修行の、現界的すなはち肉体上における神示の修行である。霊界における神示の修行は、到底前述のごとき軽い容易なものではなかつた。幾十倍とも幾百倍ともしれぬ大苦難的修練であつた。
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(1114)
霊界物語 03_寅_十二の国魂/大道別/天使長の更迭 07 諷詩の徳 第七章諷詩の徳〔一〇七〕 大八洲彦命は、ロツキー山は悪神のために根底より覆へされ、貴治彦、靖国別夫妻のいづこともなく逃亡し、かつ言霊別命は敵のために捕はれ、牢獄につながれ呻吟せることを知り、ここに諸神司を集めて、ロツキー山を回復し、言霊別命を救ひ出さむことを協議したまひぬ。諸神司は鳩首謀議の結果、神軍をおこしてロツキー山を一挙に奪還するは、さまで難事にあらざれども、言霊別命の身辺にかへつて危険の迫らむことを慮り、表面これを攻撃することを躊躇したまひぬ。 ここに言霊別命の侍者に、忠勇義烈の誉高き言代別といふ者ありき。言代別は恐るおそる諸神将の前に出で、 『我つらつら考ふるに、ロツキー山の攻撃に先だち、言霊別命を救ひださざれば、命は人質同様なれば、魔軍は危急におちいりたる場合、命を殺害したてまつるは必定なり。我は「偽るなかれ」の厳しき律法を破りみづから犠牲となりて、我が主を救ひたてまつらむとす。幸にこの大任を我に許したまへ』 と誠心おもてに表はして嘆願したりければ、大八洲彦命は打ちうなづき、 『汝は主を救はむとして敵を偽らむとする行為は、元来忠良の真情よりいでたるものなれば決して罪とならざるべし。すみやかにロツキー山にいたりて言霊別命を救ひだせよ』 と命じたまひぬ。言代別はおほいに悦び天にも昇る心地して、ただちにロツキー山にむかひける。言代別は円き石に金鍍金をほどこし、如意宝珠の珠を偽造して懐中に深く秘蔵し、ロツキー山の南門に現はれ、 『国直姫命に奉るべき珍宝あり。拝謁を乞ひたし。願はくば貴下らの斡旋によりこの由を奏上されむことを』 と、言葉たくみに頼みこみけるを、番卒はいふ。 『果して貴下が如意宝珠の珠を所持さるるならば、我らに一目拝観せしめよ。珠の有無をたしかめざるにおいては、軽々しく奏上することを得ず』 とてやや難色ありければ言代別は、 『貴下の仰せ実に尤もなり』 とて懐をひらき、金色燦然たる珠の一部を現はし見せたるに、番卒はこれを上級の神司に伝へ、漸次国直姫命にこの次第を奏上したりける。国直姫命は、 『ロツキー山には未だ如意宝珠の珠なきを憾みとす。しかるに天運循環してここに珍宝の手に入るは、いよいよ願望成就の時期到来せしならむ。すみやかに言代別を我が前によびきたれ』 といそいそとして命令したり。かくて言代別はしばらくして城内の神司にみちびかれ、国直姫命の前に現はれ一礼の後、懐中より珠を取出し八足の机上にうやうやしく安置し、 『吾こそは高白山の麓に住む言代別といふ者なり。いまや当山に国治立大神現はれたまふと聞きて歓喜にたへず。吾は往古より家に伝はる如意宝珠の珠を持参し、これを大神に奉り、もつて神業に参加せむと欲し、遠き山河を越えてここに参のぼりたり』 と言葉をつくして奏上したるに、国直姫命はおほいに悦び、その珠を手にとり熟視して満面笑を含み、 『実に稀代の珍宝なり。汝はこの珠を奉りし功により、いかなる望みなりとも叶へつかはさむ』 と宣言せり。言代別は頓首再拝、喜色満面にあふれ、 『実に有難き大神の御仰せ、御恩は海山に代へがたし。願はくば卑しき吾をして牢獄の番卒たらしめたまへ、これに過ぎたるよろこびはなし』 と願ひけるに、国直姫命は少しく首をかたむけ、 『心得ぬ汝が望み、かかる麗しき世界の珍宝を奉りたる功労者でありながら、何を苦しみてかかる卑しき職を求むるや』 と反問するを、言代別はただちに言葉を反していふ。 『諺にも喬木よく風にあたり、出る杭は打たれ、高きに昇る者は、地に落つることありと聞きおよぶ。吾は役目の高下を望まず、ただ誠心誠意大神に仕へ、神業の一端に加へたまはばこれに過ぎたる幸なし。それとも吾が技倆を大神において認めたまはば、其のとき相当の地位を与へたまふべし。急に上職をたまはるより漸次に重く用ゐさせたまはば、吾が一身にとりてもつとも安全ならむ』 との言に、国直姫命は言代別の名利を求めず、寡欲恬淡なるに感激し、ただちにその乞ひを容れて牢獄の番卒仲間に加へけり。言代別は日夜番卒として忠実に奉務し、心ひそかに言霊別命の繋がれたる牢獄を探りゐたりける。言霊別命は頭髪長く背後に伸び、髯は胸先に垂れ、顔色憔悴して、ほとんど見擬ふばかりの姿と変じゐたまへば、言代別は命の御姿を認めること容易ならざりける。 あるとき国治立命出現の祝ひとして、ロツキー山の城内に祝宴を張られ、また獄卒一般は獄前において祝意を表するため、酒宴を催しける。獄卒は珍しき酒肴に酔ひ、あるひは舞ひ、あるひはうたひ、踊りて立騒ぎけり。中に言代別は立ちて歌をうたひ、踊りはじめたり。その歌は、 昔の昔のさる昔猿が三疋飛ンできて 鬼に遂はれて二疋は逃げた。残りの一疋捕まへられて いまは鬼らの玩弄とせられ暗い穴へとほりこまれ 消息せうにも言伝しよにもいまは詮なしただ一言の 言霊別の神代と現はれいでし言代別の わけて苦しき暗の夜半高天原より降りきて お猿の命を助けむと思ふ手段は有明の 十五の月のまンまるい光をあてに飛ンで出よ。 猿が餅搗きや、兎がまぜる。まぜる兎が言代別よ。 今年や豊年満作ぢや。心持よき望月の 光とともに飛ンで出よ。光とともに飛ンで出よ。 よいとさのよいとささつさとぬけ出て東へ走れ。 東に羊が千疋をつて猿をかかへて飛ンでゆく。 よいとさのよいとさ。 と節面白くみづから謡ひみづから踊り狂ふにぞ、あまたの番卒は何の意味なるやを知らず、ただ面白き歌とのみ思ひて笑ふばかりなりける。言霊別命はこの歌を聞きて言代別の我を救ひ出さむために番卒となり、合図の歌をうたひしものと大いによろこび、十五夜の月を待ちゐたまひぬ。昼きたり夜去りて、つひには仲秋の月の夜となりぬ。国直姫命以下の曲人は、高台に昇り月見の宴を催しゐたれば、番卒もまた一所に集まりて月見の宴を開き、酒に酔ひくるひ面白き歌をうたひて余念なくたわむれゐたりけり。このとき言代別は、ふたたび以前の歌をうたひ牢獄を見廻りぬ。ある牢獄の中より小声にて、 『言代別』 と呼ぶ声あり。疑ひもなく聞きおぼえたる主の声なるに、言代別は大いによろこび、ただちに戸をひらき縛を解き、やつれたる言霊別命を背に負ひ、東門指して逃げ出したり。 外には言霊別命の部下の神卒あまた現はれきたり、命を天磐船に乗せ、天空高くロツキー山を後に、地の高天原へ無事帰還したりける。言代別は何喰はぬ顔にて牢獄の戸を閉ぢ、もとのごとく酒宴の場に現はれ、あまたの番卒とともに酒に酔ひ踊り狂ひゐたり。後に残りし言代別は後日いかなる活動をなすか、趣味ある問題と云ふべし。 (大正一〇・一一・一四旧一〇・一五土井靖都録)
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霊界物語 04_卯_常世会議/国祖隠退/神示の宇宙 20 長者の態度 第二〇章長者の態度〔一七〇〕 森鷹彦の峻烈なる攻撃演説と、猿田姫の流暢なる水も漏さぬ歌意とによつて、並居る満場の諸神司はややその本心に立復り神威の畏るべく、神律の儼として犯すべからざるを今さらの如く自覚し、神人らは以心伝心的に八王大神らの今回の言動の信憑すべからざるを固く知了したるごとき形勢は、会場の各所に漂ひける。この形勢を目敏くも見てとりし八王大神は、ヤオラ身を起して演壇の前に立ち現はれたり。 さて八王大神常世彦は頭髪長く背後に垂れ、身躯長大にして色白く、眼清く、眉正しく鼻は高からず低からず、骨格逞しうして神格あり、何処となく長者たり頭領たるの権威自然に備はり、諸神人の猛烈なる攻撃も嘲罵も、少しも意に介せざるがごとく、如何なる強敵の襲来も、たとへば鋼鉄艦に蝶々の襲撃したるごとき態度にて悠々せまらず、光風霽月の暢気さを惟神に発揮しゐたりけり。かくのごとき神格者の八王大神も、少しく心中に欲望の念萠さむか、たちまち体主霊従的行動を敢行して憚らぬまで神格一変したりしなり。心に一点の欲望おこるや、宇宙間に充満せる邪神は、その虚に乗じて体内に侵入し、ただちにその神格をして変化せしめ、悪心欲望をますます増長せしめむとするものなり。ゆゑに八王大神も常世姫も、天授の精魂体内を完全に支配するときは、じつに智仁勇兼備し且つ至聖至直の神格者となり得る人物なり。邪神の憑依せしときの二人は、俄然狂暴となり、時に由つては意外の卑怯者と変ずることあり。如何に善良なる神人といへども、その心中に空虚あり、執着あり、欲望あるときは直様邪神の容器となる。実に恐るべきは心の持方なりける。これに反し、至誠一貫わづかの執着心も欲望もなき神人は、いかなる場合にも恐怖し嗟嘆し失望することなく、行成彦のごとく、敵城にありながら少しも恐れず滔々として所信を述べ、その目的の達成に努力を吝まず、その使命を完全に遂行することを得るものなり。 常世彦は悠々せまらず静かに壇上に行儀正しく佇立し、温顔に溢るるばかりの笑を湛へて両手を揃へて卓上におき、ややうつむき気味になりて、諸神人の面上を見るごとく見ざるごとく、諄々として口演を始めたり。 『あゝ満場の諸神司ら、吾が最も敬愛するところの八王をはじめ、慈愛と正義の権化とも称ふべき神人らの前に、謹ンで吾が胸中に深く永年納めおきたる赤心を吐露し、もつてその同情ある御了解を得て、這般の大会議の目的を世界平和のために達成せむことを、天地の神明に誓ひ、至誠をもつて貫徹せむことを希望する次第であります。そもそも、宇宙の大元霊たる大国治立命の大宇宙を創造し、太陽、太陰、大地および、列星を生み成し洪大無辺の神業を樹て給ひしは、万有一切の生物をして、至安至楽の世に永遠無窮に栄え住はしめ、かつ宇宙の大意志を完全に遂行せしめたまはむが為であります。大神は太陽を造り、これに附するにその霊魂と、霊力と霊体をもつてし、太陽の世界にその守護神を任じたまひ、太陰にも同じくその霊魂と霊力と霊体とを附与して、各自の守護神を定めて、太陽界と太陰界の永遠無窮の保護神として、それぞれの尊き神をして守護せしめたまふ如く、我地上にも大国治立命の分霊をして、これを守護せしめたまふたのであります。これぞ、吾々の日夜尊敬して止まざる大地の主宰たる国治立命であります。賢明にわたらせらるる諸神司の方々は、吾々のごとき愚者の言は、耳を傾くるの価値なきものとして一笑に付して顧みられざるは、当然であらうと思ひます。しかしながら、宇宙一切のものには凡て本末がありますから、幼稚極まる論説でありますが、今日は天地開闢にも比すべき神聖祥徴の大会議でありますから、賢明なる諸神司の特に御承知のこととは存じながら、神の御恩徳を讃美したてまつるために、謹ンで天地根本の大道より説きはじめた次第であります。そもそも我地上の大主宰にまします、国祖の国治立命は、鋭意世界の平和と、進歩発達の聖業を完成せむと、不断の努力を続けさせたまふは、諸神司の熟知さるるところと堅く信じて疑はざる次第であります。国祖は大慈大悲の大御親心を発揮し、神人その他の生物をして各自そのところを得せしめむと、大御心を日夜に砕かせたまふは、吾々は実に何ンとも申上げやうのなき有難きことであつて、その洪恩に報いたてまつり、大神の御子と生れ出でたる地上の万有も、大神の御心を心として、吾々はそれぞれ神のために、最善の努力と奉仕を励まねばならぬのであります。国祖の神は、その御理想を地上に完全に遂行せむがために、ここに国魂の神を祭り、八王、八頭を配置し、もつて神政の完成を企図したまひしことは、諸神司も御承知のことと思ふのであります。しかるに、現今世界の状況をつらつら思考するに、賢明なる八王、八頭の方々の鋭意心力を尽して治めらるる各山各地は、いづれも星移り月代りて、次第に綱紀は緩み最早収拾すべからざるに立到つたことは、直接その任に当りたまふ、諸神司らの熟知さるるところでありませう。かくのごとき世界の混乱を放任して、これを修斎せざるは、果して国祖の御聖慮に叶ふものでありませうか、いづれの神司らも、我々としては実に申上げがたき言葉でありますが、これでも、立派に国祖の大御心を奉体されてをらるるのでありませうか。国祖は現代の世界の状況を見て、いかに思召したまふでありませうか。吾々は、深夜ひそかに国祖の神の大御心を推察したてまつるときは、熱涙滂沱として腮辺に伝ふるを覚えざる次第であります。仁慈に富ませたまふ、国祖の神の御聖慮はいかに残念に思召さるるでありませう。一旦神命を下したまひて八王と定めたまひし以上は、その不都合なる神政をおこなふ神司が、万々一ありとしても、神司らの体面を重ンじ、容易にその御意思を表白したまはず、神司らの本心に立復り、神意の神政をおこなふを鶴首して待たせたまふは、必定であらうと思はれます。アヽ国祖は今日の八王らの、優柔不断の行動を見て、日暮ンとして途遠しの御感想をいだき、内心御落涙の悲惨を嘗めたまはぬでありませうか。吾々神人の身をもつて、国祖の大御心を拝察したてまつるは畏れ多きことではありますが、大神は必ずや、各山各地の八王の退隠を、自発的に敢行するのを希望されつつ、心を痛めさせたまはぬでありませうか。諸神司はここにおいて、一つ御熟考を願はねばなりませぬ』 と自発的八王の退隠を慫慂したりける。並ゐる八王、八頭は、国祖を笠にきての堂々たる八王大神の論旨にたいして、一言半句も返す辞なく、羞恥の念にかられて太き息を吐くのみなりける。この時いかがはしけむ、八王大神の顔色俄に蒼白となり、アツ、と叫ンで壇上に打倒れたり。アヽこの結末は如何に治まるならむか。 (大正一〇・一二・二一旧一一・二三出口瑞月)
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霊界物語 05_辰_顕恩郷/天の浮橋/言触神 28 地教山の垂示 第二八章地教山の垂示〔二二八〕 ややあつて、高照姫神は以前のごとく、あまたの女性をともなひ祭壇の前に現はれ、神人らに向つて、太き竹を割りたるその内側に、 『朝日は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも 大地は泥に浸るとも誠の力は世を救ふ 誠の力は世を救ふ』 と書きたるを一々手渡しされた。神人らは垂訓を記したる大竹の片割を背に確とくくりつけ、これより諸方を宣伝の旅に出ることとなつた。首途の祝ひとして珍らしき酒肴は持ち出され、女神はここに千秋万歳楽を唱へ、かつ淑やかなる舞曲を奏でて一行の首途を祝したのである。高照姫神は奥殿へ、天道別命一行は門前へ、一歩々々互の影は遠ざかりつつ、ここに嬉しき悲しき別れを告げたのである。祝部神はこの垂示を受取るや否や、酒宴の席に坐するのも憔かしがり、あわてて門前に飛び出し、一目散にヒマラヤ山を、ドンドンドンドンと四辺に地響きを立てながら下つて行く。山麓には数多の神人集まり、 『呑めよ騒げよ一寸先や暗よ 暗の後には月が出る 時鳥声は聞けども姿は見せぬ 姿見せぬは魔か鬼か』 と一生懸命に果実の酒に酔ひ、踊り狂うてゐる。祝部神はこれを聞くと忽ちムツとして、負けず劣らず声を張りあげ、 『三千世界一度に開く梅の花開いて散りて実を結ぶ 須弥仙山の時鳥月日や土や空気なぞ 深き御恩を忘れるなこの世を救ふ生神は 天教山にましますぞ朝日は照るとも曇るとも 月は盈つとも虧くるとも大地は泥に浸るとも 誠の神は世を救ふ誠の神は世を救ふ』 と反抗的に謡ひはじめた。神人らは此声を聞くとともに、頭は割るるごとく、胸は引き裂かるるごとき苦痛を感じた。そして此言葉を発する神は吾らを苦しむる悪神ならむと云ひながら、四方八方より祝部神にむかつて棍棒、石塊などをもつて攻め囲み、一寸の逃げ道もなきまでに立ちふさがつた。神人らの一行は、ゆるゆるこの山を下りきたり、途中この光景を見てやや思案にくれてゐたが、いづれも一同に、 『三千世界一度に開く梅の花』 と謡ひはじめた。何れの神人も、またもや神々に向つて、 『吾を苦しむる悪神なり』 といひつつ、多数を楯に攻め囲んだ。神人らはたちまち被面布を被りながら、なほも力を籠めてこの歌をうたつた。被面布を被れる神人の姿は、山麓の者の目には止まらず、ただ不快なる声の聞ゆるのみであつた。 祝部神はこれを見て、われもまた、被面布を被らむとし、あわてて黒色の被面布を顔に当て、一生懸命に、 『三千世界一度に開く梅の花』 を高唱した。命の姿は見えなくなつた。されど黒布のあたりし部分のみは中空にありありと残つてゐた。神人らはその黒布を目がけて打つてかかつた。たちまち中空に声あり、 『ヒマラヤ山は今まで、ヒマラヤ彦、ヒマラヤ姫の管轄なりしも、今は高山彦、高山姫の専管することと神定められたり。汝らヒマラヤ彦の部下なる神人よ、一時も早く天の声に聞け、天の声に目を覚ませ。是よりヒマラヤ山を改めて地教山と称ふべし』 と最も荘重なる声の中空に聞ゆるのであつた。数多の神人はこの声に驚き、いづれも大地に平伏して謝罪した。祝部神は、ここぞと云はぬばかり又声はりあげて、 『三千世界一度に開く梅の花云々』 と節面白く唱へ出した。神人らは頭をかかへ、耳を押へ目を閉ぢ、 『許せ許せ』 といひつつ四這ひとなつて転げまはる。 ここに何処よりともなく天の磐船現はれ来り、天道別命その他の一行を乗せ、天空高く東西南北におのおの其姿を隠してしまつた。 (大正一一・一・一〇旧大正一〇・一二・一三加藤明子録)
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霊界物語 06_巳_大洪水/国生み神生み/三五教の誕生 04 立春到達 第四章立春到達〔二五四〕 花の顔色、霞の衣、姿優しき春の日の、花に戯る蝶々の、得も言はれぬ風情をば、遺憾無くあらはし乍ら、宣伝使の前に座を占めたる美人あり。 足真彦は思はず、 足真彦『ヤア』 と叫べば、女性はハツと胸を仰へ、 春日姫『鬼熊はあらざるか、鬼虎はいづこぞ、申付く可き事あり早く来れ』 と、しとやかに呼はつた。されど何れの神も、この女に任せて何彼の準備に取かかり、近辺には一柱の厄雑男さへ居らざりける。 女性は四辺に人無きを見済まし、梅花のごとき美しき唇を漸く開いて、 春日姫『アヽ貴下は足真彦にまさずや。月照彦は、当山に割拠する美山彦の謀計にかかり、今や奥殿に休息されつつあり。悪人の奸計にて、痛はしや、今宵の間にその生命も、晨の露と消え給はむ。貴下もまた同じ運命の下に刃の露と消えさせ給ふも計り難し。心配らせ給ひ、妾と共に力を協せ、この館の悪人どもを打亡ぼして、世界の難を救ひ給へ。妾は月照彦の懇篤なる教示を拝し、吾夫鷹住別は宣伝使となつて天下を遍歴し、妾は御恩深き月照彦の御跡を慕ひ、一つは吾夫鷹住別に巡り会はむと、モスコーの城を後にして、雨に浴し風に梳り、流浪ひめぐる折から、今より三年のその昔、美山彦の計略に乗せられ、鬼熊彦の馬に跨り、この深山の奥に誘拐かされ、面白からぬ月日を送りつつある春日姫にて候』 と有りし次第を涙と共に物語り、かつ足真彦の耳に口寄せ、何事か囁きにける。 足真彦は、無言のまま打ちうなづきぬ。 春日姫は、四辺に何人も無きに安心したるものと見え、涙を片手に、激昂の色を満面に漂はせながら、 春日姫『妾は美山彦の妻なる国照姫が、ウラル彦に招かれて、ウラル山に出発せしより、閨淋しき美山彦のために「昼は娘となり、夜は妻となれよ」との日夜の強要に苦しみ、涙の日を送ること茲に三年に及ぶ。されど妾は貞操を守り、今にその破られたることなし。しかるに美山彦は執拗にも、最初の要求を強要してやまざるを幸ひ、今宵は一計を案出し、美山彦の一派の悪人間を打ち懲しくれむ。その手筈はかくかく』 と再び耳うちしながら、悠々として一間に姿を隠したりける。 場面は変つて、ここは見晴らしの佳き美山彦の居間なり。美山彦にとつて強敵たる月照彦、足真彦の甘々とその術中に陥り、吾が山寨に入り来れるは、日頃の願望成就の時到れりとなし、勝誇りたる面色にて、花顔柳腰の春姫に酌させながら、 美山彦『飲めよ騒げよ、一寸先きや暗黒よ 暗黒のあとには月が出る 月照彦の運のつき 足真の寿命も今日かぎり 春日の姫は軈て妻』 と小声に謡ひながら、上機嫌で果物の酒をあほり居たり。 かかるところに、衣摺れの音しとやかに、襖を押開け入りきたる女は、美山彦の須臾も忘るる能はざる春日姫なりける。 春日姫は満面に笑みを湛へ、美山彦に向つて会釈しながら盃を執り、美山彦に差したりしに、美山彦は意気揚々として、満足の色をあらはし乍ら、春日姫の顔を酔眼朦朧として眺めて居たり。春日姫は春姫に目配せしたれば、春姫はこの場を立つて、奥殿の月照彦命の居間に急ぎける。春日姫は形容をあらため、襟を正し、さも嬉しげに言ふ。 春日姫『今日は如何なる吉日ならむ。日ごろ妾が念頭を離れざる彼の月照彦の、貴下の術中に陥れるさへあるに、又もや足真彦の、貴下の神謀鬼略によつて、この山寨に俘虜となりしは、全く御運の強きによるものならむ。妾は此の二人さへ亡きものとせば、この世の中に恐るべき者は一柱も無し。今宵は時を移さず、貴下の妻と許し給はざるか。幸ひに夫婦となることを得ば、互に協心戮力して二人を平げ、彼が所持する被面布の宝物を奪ひ、かつ足真彦は、天教山の木の花姫より得たる国の真澄の玉を所持し居れば、之またマンマと手に入るからは、大願成就の時節到来なり。この吉祥を祝するため今宵妾と夫婦の盃をなし、かつ残らずの召使どもに祝意を表するために充分の酒を饗応はれたし』 と言ふにぞ、美山彦は大いに喜び、心の中にて、「アヽ時節は待たねばならぬものだなア、日ごろ吾を蛇蝎のごとく、毛蟲のごとく嫌ひたる春日姫の今の言葉、全く縁の神の幸ひならむ。善は急げ、又もや御意の変らぬうちに」と二つ返事にて春日姫の願を容れ、手を拍つて侍者を呼び招けば、禿頭の鬼熊彦は忽ち此の場に現はれたり。美山彦は機嫌良げに、イソイソとして、 美山彦『今宵ただちに結婚式を挙ぐる用意をせよ。又召使一同に残らず祝酒を与へて、思ふままにさせ、各自に唄ひ舞ひ踊らしめよ』 と命令したれば、鬼熊彦は、 「諾々」 と頭を幾度も畳にうちつけ乍ら、喜び勇んで此の場を駈け出したり。而して一般的に今宵の結婚の次第を一々伝達せしめたりけり。 (大正一一・一・一六旧大正一〇・一二・一九藤松良寛録)
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霊界物語 06_巳_大洪水/国生み神生み/三五教の誕生 35 北光開眼 第三五章北光開眼〔二八五〕 霊鷲山の宣伝神北光天使は泰然自若として、一心不乱に神教を説き進めつつあつた。一同の中より、 乙『宣伝使にお尋ねします。私は御存じのとほり、片目を抉られました。幸ひに片目は助かつたので、どうなりかうなり、この世の明りは見えますが、時々癪に触ります。貴下の御話を承り、かつ御忍耐の強きに感動しまして、私も貴下のやうに美しき心になつて、直日とやらに見直し聞き直さうと、覚悟は定めましたが、どうしたものか、腹の底に悪い蟲が潜んで居まして承知をして呉れませぬ。これでも神様の御意に叶ひませうか。どうやらすると、仇を討て、仇を討て、何をぐづぐづしてゐる。肝腎の眼球を刳られよつて、卑怯未練にもその敵を赦しておくやうな、弱い心を持つなと囁きます。どうしたら之が消えるでせうか。どうしたら之を思はぬやうに、綺麗に忘れる事ができませうか』 北光彦『御尤です、それが人間の浅ましさです。しかし、そこを忍耐せなくてはならないのです。何事も惟神に任せなさい。吾々がかうして一口話をする間も、死の悪魔は吾々の身辺を狙つて居るのです。また吾々の心の中には、常に鬼や悪魔が出入をします。それで人間は生れ付の直日の霊といふ立派な守護神と相談して、よく省みなくてはなりませぬ。笑つて暮すも泣いて暮すも、怒つて暮すも勇んで暮すも同じ一生です。兎にかく忘れるが宜しい。仇を討つべき理由があり、先方が悪ければ神様はきつと仇を討つて下さるでせう。人間は何よりも忍耐といふことが第一であります。人を呪はず、人を審判ず、ただ人間は神の御心に任して行けばこの世は安全です。何事も神様の御心であつて、人間は自分の運命を左右する事も、どうする事も出来ないものです。生くるも死するも、みな神様の御手の中に握られて居るのである。ただ人は己を正しうして人に善を施せば、それが神様の御心に叶ひ、幸福の身となるのです。人間としてこの世にある限り、どうしても神様のお目に止まるやうな善事をなすことはできませぬ。日に夜に罪悪を重ねてその罪の重みによつて種々と因縁が結ばれて来るのです。あなたが眼球を刳られたのも決して偶然ではありますまい。本守護神たる直日に見直し聞き直し、省みて御覧なさい。悪人だと思つても悪人でなく神様に使はれてをる人間もあり、善人だと見えてもまた悪魔に使はれてをる人間もあります。善悪正邪は到底人間として判断は出来ませぬ。ただ惟神に任せて、神の他力に頼つて安養浄土に救うて貰ふのが人生の本意であります。惟神霊幸倍坐世』 と合掌する。折しも甲は、 甲『ヤイ皆の奴、こんな恍けた教示を聞く馬鹿があるか。それこそ強い者勝の教だ。此奴はきつとウラル彦の間諜だぞ。俺のやうな弱い者を、舌の先で、ちよろまかしよるのだ。オイ金州、貴様は片目を刳られて、今朝まで仇を討つと吐かして力んでけつかつたが、今の態つたらどうだい。さつぱり宣伝使に盲にせられよつて、今に片方の目も取られてしまふのを知らぬか。オイ片目、所存の臍をかんち、否、固めてかからぬと馬鹿な目玉に遇はされるぞ。コラヤイ、何処から北光彦の宣伝使、貴様もえらい目に遇はしたらうか』 といふより早く、削竹を持つて宣伝使の右の眼をぐさと突いた。宣伝使は泰然としてその竹槍を抜き取り、片手に目を押さへながら、右の手に竹槍を持ち、押戴き天に祈り始めた。 甲『ヤイ腹が立つか。天道様に早く罰を与へて下さいなんて、竹槍を頭の上に戴きやがつてるのだらう。滅多に此方さまに罰が当つてたまるかい。悲しいか、痛いか、苦しいか、涙を雫しよつて。今まで太平楽の法螺ばかり垂れてその吠面は何だ。今迄の広言に似ず、何をメソメソ呟いてゐるのだイ』 と言を極めて嘲弄した。宣伝使は竹槍を頭に戴き、右手にて目を押さへながら、[※校定版・八幡版では「右手(めて)」ではなく「左手(ゆんで)」になっている。これは、前の方で「右の手に竹槍を持ち」と書いてあり、その竹槍を右手で持ったまま、同時に目を押さえるのではおかしいため、「左手」に変更したものと思われる] 北光天使『アヽ天地の大神様、私は貴神の深き広きその御恵と、尊き御稜威を世の中の迷へる人々に宣伝して神の国の福音を実現することを歓びと致します。殊に今日は広大無辺の御恩寵を頂きました。二つの眼を失つた人間さへあるに、私は如何なる幸か一つの眼を与へて下さいました。さうして一つのお取り上げになつた眼は、物質界は見ることは出来なくなりましたが、その代りに、心の眼は豁然として蓮の花の開くが如く明になり、三千世界に通達するの霊力を与へて下さいました。今日は如何なる有難い尊き日柄でありませう。天地の大神様に感謝を捧げます』 と鄭重に祈願を捧げ、天津祝詞を声朗かに奏上した。一同の人々は感涙に咽んでその場に平伏しうれし涙に袖絞る。甲は冷静にこの光景を見遣りながら、 甲『オイ腰抜け、弱虫、洟垂れ、小便垂れ、減らず口を叩くな。三文の獅子舞口ばかりぢや。それほど眼を突かれて嬉しけりやお慈悲に、も一つ突いてやらうか』 と又もや竹槍を持つて左の目を突かうとした。このとき東彦命はその竹槍を右手にグツと握つたとたんに右方へ押した。甲はよろよろとして倒れ、傍のエデン河の岸より真逆さまに顛落した。北光天使は驚いて真裸体となり河中に飛び入り、甲の足を掴み浅瀬に引いて之を救うた。 これよりさしも猛悪なりし乱暴者の甲も衷心よりその慈心に感じ、悔い改めて弟子となり宣伝に従事することとはなりぬ。宣伝使は之に清河彦と名を与へたり。因みに北光天使は天岩戸開きに就て偉勲を建てたる天の目一箇神の前身なりける。 (大正一一・一・二二旧大正一〇・一二・二五加藤明子録)
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霊界物語 06_巳_大洪水/国生み神生み/三五教の誕生 46 若年神 第四六章若年神〔二九六〕 三伏の炎暑、酷烈にして火房に坐するがごとく、釜中にあるがごとき中に、御年村田圃の木蔭に四五の農夫、折から吹きくる涼風に身を浴しながら田圃を望みて話に耽り居る。 甲『今年は何といふ変な年だらうね。大歳神様がこの村にお出遊ばしてからといふものは、年々続いた不作もすつかり止んで稲はよく実り、吾々百姓は鼓腹撃壌の有難き世を暮してきたが、あの神様が、黄金山とやらへ帰られてからといふものは、又々不作がつづき、百姓は米を作りながらその米は一粒も口にする事はできず、木の葉を喰つたり木の皮をむいて、やうやう命をつないでゐる。何と悲惨なことだらう。何かこれについては、神様のお気に召さぬ事があるのではあるまいか』 乙『サア、どうかなア、困つたことだ、この稲を見ろ、吾々は目を開けて見られぬぢやないか。去年といひ、今年といひ、せつかく青々と株も茂り葉も延びたと思ふと、田圃一面に稲虫が発生きやがつて、見る間に稲葉はコロリコロリと倒れて、青田はまるで冬の草野のやうに真赤いけに萎れてしまふ。これでは今年もまた結構なお米を頂くことはできはしない。命の親ともいふべきお米の樹が、かう、ベタベタ倒れてしまつては、米喰ふ虫の吾々は何れはこの稲のやうな運命に遇はなければなるまい、アーア』 と吐息を吐く。 丙『それだから俺が毎度いふのだ。御年村の人間は頑迷不霊で物が分らぬから困るのだ。大歳神様が毎度仰有たぢやないか、結構なお米のできるのは皆天道様のお光と、結構な清らかなお水と、お土の御恩だ。百姓は第一この火と水とお土の御恩を忘れたり、火を汚したり、水を汚したり、お土を汚すと、稲に虫がついて一粒もお米は頂けぬから気をつけと仰有つただらう、俺やそれを一日も忘れた事はない。それで俺やその有難い教をいつも守つてをるのだがなア』 乙『そんなら貴様ところの田畑は虫が喰ひさうもないものだ。貴様の田もやはり虫が喰つてゐるぢやないか』 丙『それや時節だよ。時節には神様も叶はぬと仰有るからなア』 乙『貴様が火や水やお土を汚さぬやうにして神様のお気に入るのなら、なぜ貴様のところの田地だけは虫に喰はさぬやうにして、吾が神の教を守るものはこんなものだと、手本を出さつしやりさうなものぢやないか』 丙『俺んとこ一軒なにほど清めたつて、隣の田から移つてくるのだもの仕方がないさ。村中が一同に改心せなくちや、清い者まで巻添へに遇はされて共倒れにならねばならぬ。それで神様は村中一致和合して信心せよとおつしやるのだ』 甲『汚すなといつたつて、百姓してをれば糞や小便を田にやらねばならず、肥料をやらねば稲は大きくならず、収穫は従つて少なく、汚さぬわけにゆきやしない。それは神様も無理といふものぢや』 丙『勿論肥料もやらねばならぬが、それは時による。今肝腎の田を植ゑるときに、糞を撒いたり、小便を撒いたり、田の中で便をしたり、そんな戯けたことをやると、神様は守つては下さらぬのだ。田を植ゑるときは心を清め、体を清潔にし、神様を祭つて、月経などある時はなんぼ忙しくつても、田植の時だけは遠慮をせぬと、その日は神様が守つて下さるのだからなア。間の日はチト汚いものをやつても、お土が吸ふてそれが稲の根に廻つて肥料になるのだ。それにこの頃は田植のときに神様を祭るのでもなく、糞や小便は田の中で肥料になると云つてやりはうだい。おまけに百姓の宝たるべき牛肉を喰つたり、月経の女が入つたりするから、大歳神様も御守護して下さらぬのだ。皆村中の難儀だから各自が心得て欲しいものだ』 と、かく語り合ふ其のところへ、脊は高からず低からず、容色端麗なる女の宣伝使現はれ来たりける。 『命の親を植ゑつける夏の初の田人等が お土を汚し火を汚し水まで汚して牛の肉 喰つた報いは眼の当り見渡すかぎり広野原 山の木草の蒼々と茂れる中に田の面は 冬の荒野の如くなり嗚呼大歳の神様よ 百姓の行ひを立替へさせて世を清め 年も豊かに実らせて豊受の国となさしめよ 埴安彦や埴安の姫の御心汲みとりて 百姓と名に負ひし田人よ心改めよ 秋の実りのたわたわに命の親の実は倉に 膨るるばかり与へかし膨るるばかり与へかし』 と低声に歌ひつつ、木蔭に憩ふ田人の前を過ぎらむとせり。 甲は、 『モシモシ』 と呼び留めたるより、宣伝使は立ち留まり 『貴郎はこの村のお百姓と見受けますが、この稲の虫に喰はれて斯くのごとく全滅せむとするのは何と思はれます。大歳神様の御立腹ではありますまいか。百姓の宝を殺して食つた方が、きつとこの村にありませう。この後はさういふ汚れた事をなさらぬやうに心がけられたが宜しからう。私が今禁厭をしてあげますから、今後は決して百姓の宝を喰はないやうにして下さい』 と傍の長き草をむしり男根の形を作り、これを田の水口に祭り、祝詞を奏上したるに、見るみる稲は青々として、霜野のごとき田面はにはかに青海原の浪のやうに、稲葉は風にそよぎ、見る間に繁茂してさやさやと音を立つるに至つた。百姓どもは手を拍つて喜んだ。傍を見れば、女の宣伝使は何処へ行つたか、姿が見えなくなりゐたり。これは若年神の変化神なりける。 (大正一一・一・二四旧大正一〇・一二・二七加藤明子録)
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霊界物語 07_午_日の出神のアフリカ物語 41 枯木の花 第四一章枯木の花〔三四一〕 時世時節と云ひながら稜威も高き高照彦の 貴の命は畏くも国治立の大神の かくしの珍の神の御子天より高く咲く花も 豊の御国に身を隠し八十熊別と名を変へて 沙漠の包む豊国の都に現はれ酋長の いやしき司となり果てて月日を松の時津風 花咲く春の今日の空日の出神と諸共に 長の年月住馴れし豊の都を後にして 天と地との神々に赤き心を筑紫潟 御空を指して出でて行く日の出神を先頭に 続く面那芸宣伝使四方の雲霧祝姫 登る山路も高照彦の貴の命と諸共に 声も涼しく宣伝歌四方の山々谷々に 木霊響かせ勇ましく進みて来る一行は 筑紫の国の国境玉野の里につきにける。 ここに四人の宣伝使は路傍の岩角に腰打ちかけ、息を休めながら空ゆく雲を眺めて、回顧談に耽りける。 高照彦『アヽ昨日に変る今日の空、流れ行く雲を眺むれば、実に人間の身の上ほど変るものはない。回顧すれば吾こそはヱルサレムの聖地に現はれ給うた国治立命の珍の御子と生れ、少しの過ちより父神の勘気を蒙り、この島に永らく神退ひに退はれ、身装も卑しき八十熊別となつて永い月日を送つて来た。聖地の大変を耳にし、一時も早くヱルサレムに帰つて父の危難を救はむと心は千々に焦つてみたが、何を云うても勘気を受けたこの体、父母の危難を居ながらに聞き流し、見流し、助け参らすその術さへも泣きの涙で月日を送る苦しさ。世は段々と立替り世界は大洪水に浸され、その時吾は方舟を作つて、ヒマラヤ山に舞ひ戻り、目も届かぬ大沙漠を拓いて、やうやう今日まで過してきた。アヽ時節は待たねばならぬもの、今日は如何なる吉日か、畏れ多くも神伊邪那岐の大神の珍の御子たる、日の出神に吾が素性を打ち明かし、実にも尊き天下の宣伝使となつて、今日のお供に仕へまつるは何と有難い事であらう。父の大神は常に仰せられた。この私をアフリカの沙漠に神退ひ給うた時に、二つの眼に涙を垂して「英雄涙を振つて馬稷を斬る、俺の胸は焼金をあてる様だ、何うして吾子の憎いものがあらう、かうなり行くも時世時節と諦めてくれ、ただ何事も時節を待てよ、時節が来れば煎豆に花の咲く事もある、枯木に花の咲く例もないではない、籠の鳥でも時節を待てば籠の破れる事もある。無慈悲な親ぢやと恨まずに、天地の規則は破られぬ、サツサと行つてくれ、老少不定、これが現世の見納めになるやも知れぬ」と仰有つた事を今思ひ出せば、何とも云へぬ心持がして来る。これを思へば今日の吾々のこの嬉しさを父の大神に、一度お目にかけて見たいものだ。父のこの世を知召す時代は神代といつて誰も彼も皆神の名を賜つたが、世界の立替以後大洪水の後のこの世は神の名は無くなつて、誰も彼も人といふ名になり、彼方、此方の頭するものばかりが司となつて、加美といふ名をつけることになつた。然し神代は乱れたというても今日の様な惨たらしい世の中ではなかつた。人間の代になつてからは悪魔はますます天下を横行し、血腥い風は四方八方より吹き荒ンでくる。これに付いてもこの世を治め給ふ伊邪那岐大神の大御心使ひが思ひやられ、杖柱と思つてゐた伊邪那美命は、この世に愛想をつかし、火の神の為に夜見の国にお出ましになつたとかいふ事だ。アヽ吾々は伊邪那岐の大神の珍の御子なる日の出神に引き出され、こンな有難いことはない。この御恩を酬ゆるために骨身を砕いても大神様のために尽さねばならぬ。アヽ有難いありがたい、変れば変る世の中だなア』 と長物語をしながら、両眼から滴る涙を拭ふ。日の出神一行はこの詐らざる話に感激して、何れも袖をしぼりける。 (大正一一・二・二旧一・六吉原亨録)
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霊界物語 08_未_日の出神の弟子たちの南米物語 18 巴留の関守 第一八章巴留の関守〔三六八〕 激潭飛沫囂々と音騒がしき千仭の谷間に、身を躍らして飛び入り、重傷に悩む荒熊を助け起して吾背に負ひ、漸く此処に駆上つて来た淤縢山津見は、荒熊を大地に下して神言を奏上し鎮魂を施し、頭部の傷所に向つて息を吹きかけたるに、不思議や荒熊の負傷は拭ふが如く癒え、苦痛も全く止まりて元の身体に復したり。荒熊は大地に両手をつき高恩を涙と共に感謝し、且つ無礼を陳謝したりける。 蚊々虎『オイ荒さま、ドツコイ黒坊の熊さま、三五教の御神徳とはコンナものだい。耳の穴を浚つてとつくりと聞かう。エヘン、蚊々虎様の』 と云ひつつ指の先で鼻を押さへながら、 蚊々虎『この大きな鼻の穴からフンと伊吹をやつたが最後、貴様は蠑螈が泥に酔つたやうに大きな口を開けよつて、アヽアーと虚空を掴んで仰向けに顛覆返つたが最後、この深い深い谷底へスツテンドウと顛覆返つて頭を打ち割つて、「アイタツタツタ、コイタツタツタ、アーア今日は如何なる悪日かと、処もあらうにコンナ深い深い谷底へ取つて放られ、此処で死ぬのか、後で女房は嘸やさぞ、悔むであらう。死ぬるこの身は厭はねど、昨日に変る今日の空、定め無き世と云ひながら、さてもさてもあまりだわ、不運が重なれば重なるものか、と云つて女房が泣くであらう」などと下らぬ事を、河鹿のやうに、谷水に漬つて吐きよつた其処へ、天道は人を殺さず、三五教の俺らの先生様の醜国別オツトドツコイ淤縢山津見様が悠然として現はれたまひ、摂取不捨、大慈大悲の大御心をもつてお助け遊ばしたのだよ。何と有難いか、勿体ないか、エーン改心を致せ、慢心は大怪我の基だぞよ。慢心するとその通り、谷底に落ちて酷い目に遇つてアフンと致さねばならぬぞよと、三五教の神様は仰有るのだ。その実地正真を此方がして見せてやつたのだぞ。改心ほど結構なものは無いぞよ。エヘン』 淤縢山津見『コラ、コラ蚊々虎、黙らぬか。何といふ法螺を吹く、神様の教を聞きかじりよつて、仕方のない奴だ。黙つて俺の云ふ事を聴いて居れ』 蚊々虎『ヘン、大勢のところで耻を掻かさいでも、ちつとは俺に花を持たして呉れてもよささうなものだなあ』 と小声にて呟く。荒熊は宣伝使の顔をじつと見上げ、 荒熊『ヨウヨウ、貴下は醜国別様では無かつたか』 淤縢山津見『ヤヽさういふお前は高彦ではなかつたか。これはこれは妙な処で遇うたものだ。一体お前はコンナ処へどうして来たのだ。常世会議の時には随分偉い元気で弥次りよつたが、かうなつた訳を聞かして呉れないか』 荒熊(高彦)『ハイ、ハイ、委細包まず申上げますが、併しながら、貴下は大自在天様の宰相醜国別様、一旦幽界とやら遠い国へお出になつたと云ふ事だのに、どうしてまあ此処へお越しになつたのか、ユヽ幽霊ぢや無からうかナア』 淤縢山津見『幽霊でも何でもない』 実は斯様々々でと、有し来歴を詳細に物語り、高彦の経歴談を熱心に聴き入りぬ。高彦は両眼に涙を湛へながら、 高彦(荒熊)『私は貴下が宰相として大自在天にお仕へ遊ばした頃は、貴下のお加護で相当な立派な役を与へられ、肩で風を切つて歩いたものでございますが、貴下の御帰幽後は鷹取別の天下となり、悪者のために讒言されて常世神王様の勘気を蒙り、常世国を叩き払ひにされて妻子眷属は離散し、私は何処へ取つく島もなく、寄る辺渚の捨小舟、漸く巴留の国に押し流され、夜に紛れてこの国に上り、労働者となつて働人の仲間に紛れ込み、些し力のあるを幸に今は僅に五人頭となつて、この巴留の国の関守となり、面白からぬ月日を送つて居ります。この巴留の国には常世神王の勢力侮り難く今また伊弉冊命様が何処からかお出になつて、ロッキー山にお鎮まりなされ、常世神王の勢力ますます旺盛となり、この巴留の国は鷹取別の御領地で、それはそれは大変厳しい制度を布かれ、他国の者は一人もこの国へ這入れない事になつて居ます。万一これから先へ貴下がお越しなさるやうな事があれば、私は関守としての役が勤まらず、鷹取別の面前に引き出され、裁きを受けねばなりませぬ。その時私の顔を見知つてゐる鷹取別はヤア貴様は高彦ではないか、と睨まれやうものなら、又もやこの国を叩き払ひにされて辛い目に遇はねばならぬ。折角命を助けて貰つて、その御恩も返さず、これから元へ帰つて下さいと申上げるは恩を仇にかへす道理、ぢやと申して行つて貰へば今申す通りの破目に遇はねばならず、貴下がお出になるならば、この関守の荒熊の首を刎ねて行つて下さい』 と滝の如き涙を垂らして大地に泣き伏しける。蚊々虎は笑ひ出し、 蚊々虎『ウワハヽ弱い奴ぢや。何だい、高の知れた鷹取別、彼奴がそれほど恐ろしいのか。俺の鼻息で貴様を吹き飛ばしたやうに、鷹取別もまた吹き飛ばしてやるワイ。エヽ心配するな、蚊々虎に従いて来い、俺が貴様を巴留の国の王様に為てやるのだ。面白い面白い』 淤縢山津見『オイ蚊々虎、貴様は口が過ぎる。この国の守護神が、其辺一面に聞いてをるぞ』 折から吹き来る夏の風、この場の囁きを乗せて巴留の都へ送り行く。 (大正一一・二・八旧一・一二加藤明子録)
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霊界物語 08_未_日の出神の弟子たちの南米物語 38 華燭の典 第三八章華燭の典〔三八八〕 一同は国魂の神前に神言を奏上し、讃美歌を唱へ終つて休息してゐた。正鹿山津見は襖を押開け入り来り、 正鹿山津見『御飯が出来ました。どうぞ御上り下さいませ。何分長らく留守に致して置きましたのと、家内がないので不行届き、不都合だらけですけれど』 と挨拶を述べ、この場を立ち去りぬ。 珍山彦(蚊々虎)『皆の方々、今承はれば正鹿山津見様は女房が無いと云ふ事だ。一国の守護職として宣伝使を兼ねられた急がしい身体、肝腎の女房が無いとは気の毒でないか。一つ珍山彦が奥様を御世話しようと思ふが如何でせうな』 駒山彦は膝をのり出し、 駒山彦『それは結構だな。適当の候補者の見込みがあるのかい』 珍山彦(蚊々虎)『あらいでか、確にあるのだ。吾々の御世話したいのは、女宣伝使の五月姫だよ。ナア五月さま、貴方は珍山峠の麓の岩の上で、正鹿山津見さまは誠に男らしい、立派な御顔付きの方だと云うて居ましたね、御異存はありますまい』 五月姫は黙つて袖に顔を隠す。駒山彦は言葉せはしく、 駒山彦『そらいかぬ。お人が違ふではないかな。貴様はあれ丈け惚れてゐたではないか。俺は貴様の奥さまに世話したいと思つてゐたのだ。ソンナ遠慮は要らぬ。遠い所からくすぐるやうに謎かけをせずに、「五月姫殿、珍山彦の女房になつて下さい」と、男らしくキツパリと切り出したら如何だい。奥歯に物の詰つたやうな事を言ひよつて、何処までも図々しう白ばくれる男だな』 珍山彦(蚊々虎)『このはなさまは故あつて女房は持ぬのだ。それ丈は怺へて呉れ。余り俺が洒落るものだから、本当にし居つて痛うない腹を探られて迷惑だよ。さうぢやと云つて、此の可愛らしい五月姫が嫌ひだと云ふのでは無い。好きの好きの大好きだが、女房を持れぬ因縁があるのだよ』 駒山彦『オイ蚊々虎、ドツコイ珍山彦、その因縁を聞かうかい』 珍山彦(蚊々虎)『お前に聞かせるやうな、因縁なら何に隠さう。こればかりは怺へて呉れ。俺は未だ未だ重大なる任務があるのだから』 淤縢山津見は、 淤縢山津見『ヤア珍山さま、貴方の事は何うしても吾々は合点が往かない。丸切り天空を翔る蛟竜の如く、千変万化捕捉すべからずだ。もう何事も言ひませぬ。貴方の御意見に任して五月姫さまを、此家の主人の奥様に推薦したいものですな』 珍山彦は、 珍山彦(蚊々虎)『どうか貴方も御同意ならば、正鹿山津見さまに一つ掛合つて見て下さいな』 淤縢山津見は『よろしい』といつて其の場を立ち一室に行つた。 五月姫は顔を赤らめて俯向いてゐる。駒山彦は、 駒山彦『これこれ五月さま、女にとつて一生の一大事、俯向いてばかり居つては事が分らぬ、珍山さまにするか、正鹿山津見さまにするか、右か左か返答しなさい。御意見あらば吾々に、隔ても何もない仲だ、キツパリ云つて下さい。万々一両人の御方が気に入らねば、外に候補者も無いことはありませぬよ。コーと云ふ頭字のついた人を御世話致しませうか』 珍山彦は駒山彦の顔を眺めて、 珍山彦(蚊々虎)『ウフヽヽヽ』 五月姫は漸くに面を上げて、 五月姫『ハイハイ、正鹿山津見さまさへ御異存無くば』 珍山彦は手を拍つて、 珍山彦(蚊々虎)『お出でたお出でた、願望成就、時到れりだ。ヤア、さすがは五月姫殿、天晴れ天晴れ、よう目が利いた。夫れでこそ天下の宣伝使だ。思ひ立つたを吉日に、今日婚礼の式を挙げませう』 駒山彦は、 駒山彦『コラコラ、珍山彦、一方が承知したつて、一方が何う云ふか判りはしない、鮑の片想ひかも知れないのに、よく周章てる奴だな』 珍山彦『なに大丈夫だよ。猫に鰹節だ、狐に鼠の油揚だ、二つ返事で喰ひつき遊ばす事は、請合ひの西瓜だ、中まで真赤だ。コレコレ五月姫さま、貴方も今までは押しも押されもせぬ一人前の女だ、男も女も同じ権利だつた、言はば男女同権。しかし今日から結婚したが最後、夫に随はねばならぬ。夫唱婦従の天則を守り、主人によう仕へ、家の中を治めて行くのが貴女の役だよ。男女同権でも、夫婦同権でないから、それを忘れぬやうに良妻賢母の鑑を出して、三五教の光を天下に現はすのだ。広い世の中に夫となり妻となるのも深い深い因縁だ、神様の御引合せだから、決して気儘を出してはいけませぬぞ。私が珍山峠で御話ししたやうに、どうぞこの花婿を大切にして蓮の台に末永う、必ず祝姫の二の舞を踏まぬやうにして下さい。頼みます』 五月姫は涙をボロボロと零しながら、 五月姫『ハイ、何から何まで、貴方の御親切は孫子の時代は愚か、五六七の世まで決して忘れは致しませぬ。貴方の御教訓は必ず固く守ります。御安心して下さいませ』 駒山彦『ナント珍山、貴様は変な男だねー。ホンニ合点のゆかぬ男だ。コンナ別嬪を人にやるなどと、ナントした変人だらう。が併し感心だ。この駒山だつたら迚も其処まで身魂が研けて居らぬからなー』 斯く話す折しも、正鹿山津見は淤縢山津見に伴はれ、[※御校正本・愛世版では「淤縢山津見は正鹿山津見を伴ひ」だが、校定版・八幡版では「正鹿山津見は淤縢山津見に伴はれ」に修正されている。後に続く「御一同様~」のセリフは正鹿山津見のセリフであるため、御校正本は主語が間違っている。そのため霊界物語ネットでは校定版に準拠して文章を修正した。]この場に現はれ叮嚀に辞儀をしながら、 正鹿山津見『御一同様、いろいろと御世話になつた上、今度は結構な御世話を下さいまして有難う。御恩の返し様は、もう御座りませぬ』 と感謝の意を漏した。 珍山彦は、 珍山彦(蚊々虎)『あゝ結構々々、それで安心して吾々も宣伝に参ります。どうぞ幾久しく夫婦仲好くして此の神国を永遠に治めて下さい。一朝事ある時は、夫婦諸共神界の御用に立つて下さい』 と日ごろ快活な男に似ず、声を曇らして嬉し涙を零し居たり。 淤縢山津見は、 淤縢山津見『ヤア、斯く話が纏まつた上は、善事は急げだ。早く神前結婚の用意にかかりませうか』 茲に一同は家の子郎党と共に、盛大なる結婚の式を挙げける。一同は直会の宴にうつり、各手を拍ち歌を歌ひ、感興湧くが如き折しも、番頭の国彦は襖を開いて、 国彦『御主人様に申上げます。只今ヱルサレムの聖地から松代姫、竹野姫、梅香姫の三人の御嬢様が、「御父様の住家は此処か」と云つて、一人の供を伴れて御出でになりました。如何が取計らひませうか』 正鹿山津見は驚きながら、 正鹿山津見『あゝ嬉しいことが重なるものだな』 一同手を拍つて、ウローウロー。 附言 正鹿山津見は、聖地ヱルサレムの天使長であつた桃上彦命である。兄広宗彦命、行成彦命の神政を奪ひ、体主霊従の限りを尽し、地の高天原は為に混乱紛糾の極に陥り、その妻は病死し、自分は常世彦、常世姫のために、或一時の失敗より追放され、三人の娘を後に残して住み慣れし都を後に、一つ島に進む折しも、暴風に逢ひ船は忽ち顛覆し、琴平別の亀に救はれ竜宮城にいたり、門番となり果てし折しも、日の出神に救はれ、この珍の都の守護職となれるなり。 この事を三人の娘は、神夢に感じて遥々此処に尋ね来たり。黄泉比良坂の坂の上に於て、黄泉軍を待ち討ち給ひし伊弉諾命の三個の桃の実は、即ち桃上彦命の三人の娘の活動を示されたるなり。 (大正一一・二・一〇旧一・一四外山豊二録)
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霊界物語 09_申_松竹梅の宣伝使の南米・中米の旅 28 窟の邂逅 第二八章窟の邂逅〔四二一〕 冷えたる月は天空に光輝き、木枯の風は肌に沁み渡り、骨も徹さむばかりなる寒けき夜の細道を一人の男に伴はれ、年は二八か二九からぬ、花の蕾の梅ケ香姫は、疲れし足もたよたよと、とある山蔭の瀟洒たる一つ家に伴はれ行く。一人の男は、 男(春山彦)『私は今まで途中の事と言ひ、名前も申上げませんでしたが、春山彦と申す者で御座います。実に見窄しき荒屋なれど、どうかゆるゆる御休息の上、尊きお話を聴かせて下さいませ』 と挨拶しながら、密かに門の戸を開いて梅ケ香姫を迎へ入れたり。春山彦は手軽なる夕餉を出し、梅ケ香姫と諸共に食膳の箸を採り、茶漬さらさらと茲に夕餉を済ませたり。春山彦の娘と見えて、花を欺く三人の娘は、叮嚀に会釈しながら膳部を片づける。春山彦の妻夏姫はこの場に現はれ、叮嚀に挨拶をしながら、 夏姫『モシ宣伝使様、お年にも似合はぬ、お道のために世界をお廻り遊ばすとは、真に感心いたします。妾も御覧の通り三人の娘を持つて居りますが、何れも此れも嬢さま育ちで、門へ一つ出るのにも、風が当るの、風をひくの、恥かしいのと申して、親の懐ばかりに甘えて居りますにも拘らず、貴女様の雄々しき御志、真に感じ入りました。私も今年の夏の初め頃より、三五教の信者となり、神様を祀つて信仰を致して居りますが、何分にも此処は高砂の島から常世の国へ渡る喉首、常世神王の宰相司鷹取別の権力強く、三五教の宣伝使がここを通つたならば、一人も残らず縛り上げて、常世城へ連れ参れとの厳しき布令が廻りまして、誰も彼もこの国人は欲に迷ひ褒美に与らうとして、昼も夜も宣伝使の通行を探して居るやうな次第でございます。夫春山彦は信仰の強い者でありまして、夏の初め智利の国から此方へ帰つて来る際、アタル丸の船中において美しい姉妹三人の宣伝使の歌を聞いて、今まで奉じてゐたウラル教をスツカリ止め、三五教に転じましたのでございます。然るに表向き三五教を信ずれば、常世神王様の御気勘に叶はぬので、何んな責苦に遇はされやうも知れませぬ故、密かに後の山に岩屋戸を築き、石室の中に祀つて居ります。可なり広い座敷でございますれば、何卒一度、神様に宣伝歌と神言を奏上して下さいませぬか』 梅ケ香姫『有難うございます。危ふき処を助けられ御恩の返しやうも御座いませぬ。左様ならば神様に神言を奏上さして戴きませう』 夏姫は、 夏姫『妾が案内いたしませう』 と先に立つて裏庭を越え、広き巌窟の傍に伴ひ行く。 石室の中には、淑やかなる女の声にて宣伝歌が聞えて居る。夏姫は梅ケ香姫に向ひ、 夏姫『サア、どうぞ此戸を向ふへ押して下さいますれば、可なり広い間がございまして、大神様が祀つてございます。どうぞ神言を奏上して下さいまして、悠りと御休息なさいませ。表に少しく用がございますから、妾は是にて失礼いたします』 と本宅の方へ姿を隠したり。 梅ケ香姫は戸口に立つて、室内の宣伝歌を床しげに聞いてゐる。 声(松代姫、竹野姫)『天地の神の守ります美しの御国に生れたる 青人草のここかしこ茂り栄ゆるその中に この世の花と謳はれし高天原の貴の宮 神の長なる桃上彦の父の命の御跡辺を 日に夜に恋ひつ慕ひつつ雨の夕や風の朝 心をいため暮したる松竹梅の姉妹が 心の暗を晴らさむと花咲く春の上三日 花の都を立ち出でて山川渡り海原の 浪おし分けてやうやうに智利の港に着きにけり 朝日もてるの港より大蛇の船に乗せられて 空鳴き渡る杜鵑悲しき三人の姉妹が 心も清き照彦の御供の神と諸共に 菖蒲も匂ふ五月空五日の宵に嬉しくも 珍の館のわが父に父子の縁の浅からず 神の恵みに助けられ会うて嬉しき相生の 祝ひの宴席とこしへに喜ぶ間もなく惟神 神の教を開かむと四男三女の宣伝使 父の館を後にして智利山峠の頂きに 立ちて都を振返り父母に名残を惜しみつつ ハルの港[※他の箇所では「ハラの港」と呼ばれている]を船出して秘露とカルとの国境 アタルの港を後になし神の御稜威も高照の 御山を越えて進み来る歩みも軽きカルの国 ここに三人の姉妹は袂を分ちめいめいに 三五教の宣伝歌歌ひて進む折柄に 間の国に差掛る頃しも秋の末つ方 冬の境の木枯に吹かれて艱む旅の空 鷹取別の目付らに虐げられて玉の緒の 息も絶えなむその時に花も実もある春山彦の 神の命に助けられこの世を忍ぶ松代姫 竹野の姫は今ここに美しき顔を見合はせて 神の御言を宣りつれど心にかかるは梅ケ香姫 わが妹の一人旅いづくの果に漂浪の 旅に足をや痛むらむあゝ懐かしき妹よ あゝうつくしき梅ケ香の姫の命よ松竹の 姉の心も白浪の大海原に漂ふか 荒野の果にさまよふか心慢れる鷹取別の 曲の手下の曲神に虐げられて千万の 責苦に遇うて苦しむか聞かまほしきは妹の 便りなりけりいたはしや会ひたさ見たさ懐しと 思へば心もかき曇るこの世を造りし神直日 心も広き大直日唯何事も人の世は 直日に見直し聞き直し三五教の御教を 思ひ廻せば廻す程妹の行方偲ばれて 涙のかわく暇もなしあゝわが涙この涙 天に昇りて雨となり雪ともなりて世の人の 心の玉を洗へかし力に思ふ照彦の 下僕の神は今何処曲神の猛ぶ黄泉島 黄泉の国に渡れるか常世の国にさまよふか せめては空行く雁の便りもがもと思へども この世を忍ぶ今の身の何と詮方なくばかり 誠の神よ皇神よわが妹や照彦に 一日も早く会はしませ一日も早く会はせまし あゝ梅ケ香よ妹よあゝ妹よ照彦よ』 と歌つてゐる。梅ケ香姫はこの声を聞いて、かつ驚きかつ悦び、静かに戸を開けて一室の内にまろび込み、 梅ケ香姫『あゝ恋しき姉上様』 と言つたきり、嬉しさに言葉詰つて泣くばかりなり。 松代姫、竹野姫は思はぬ姉妹の対面に、狂喜の涙堰きあへず、三人は無言のまま嬉し涙に咽ぶのみなり。 折しも表に当つて騒々しき物音聞え来る。アヽこの三人の娘の運命は如何になるべきか、心許なき次第なり。 (大正一一・二・一六旧一・二〇森良仁録)
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霊界物語 09_申_松竹梅の宣伝使の南米・中米の旅 29 九人娘 第二九章九人娘〔四二二〕 十六夜の初冬の月は、御空に皎々と輝いてゐる。 春山彦の門前には、照山彦、竹山彦の二人が数多の家来を引き連れ、突棒、刺股、十手、弓矢を携へながら、門戸を押し破り進み来たり、大音声。 照山彦、竹山彦『春山彦は在宅か』 と呼ばはるにぞ、春山彦は静かに門の戸を押開き、 春山彦『これはこれは、何方かと思へば照山彦、竹山彦の御両所様、数多の供人を引き連れ、この真夜中に、よくもよくも御入来下さいました』 照山彦『オー、今日はよく来たのではない。照山彦は汝の為には悪く来たのだ。気の毒ながら今日の役目、申し渡す仔細がある、奥へ案内を致せ』 春山彦は二人を導き一間に入る。竹山彦は数多の部下に向ひ、 竹山彦『その方共はこの館を取り巻けよ。必ずともに油断を致すな』 と言ひ置いて正座になほるを春山彦は、 春山彦『貴方は鷹取別の神の御家来、この真夜中に何御用あつてお越しになりました。御用の次第を仰せ聞けられ下さいますれば有難う存じます』 照山彦は威儀を正し、春山彦をグツと睨めつけ、 照山彦『吾々が今日参つたのは余の儀ではない。その方はこのはざまの国の目付役を致しながら君命に背き、三五教の宣伝使、松、竹、梅の三人を密かに隠匿ひ置くと聞く。この里人の密告によつて、確かな証拠が握つてある以上は、否応は言はれまい。ジタバタしてももう敵はぬ。百千万言の言ひ訳も、空吹く風と聞き流すこの照山彦だ』 竹山彦は威儀儼然として、 竹山彦『かうなつた以上は百年目だ、一時も早く三人の女をこの場へ引摺り出して渡さばよし、何の彼のと躊躇に及ばば、汝も諸共引き縛つて常世の国に連れ帰り、拷問を致してでも白状させる。サア春山彦、返答は何うだ』 春山彦『これはこれは、寝耳に水の鷹取別の御仰せ、モウかうなる上は是非に及ばぬ。可愛らしい天にも地にもかけ替へのない吾三人の娘……イヤ娘のやうに可愛がつて居る三人の宣伝使をこれへお渡し申す。それについても種々の仕度もござれば、半刻ばかりの御猶予をお願ひ致します』 照山彦『イヤ、その手は喰はぬ。ゴテゴテと暇取らせ、風を喰つてこの家を逃げ失せる汝の企み、屋敷の廻りには数百人の配下をつけて置いたれば、蚤の飛び出る隙もない。キリキリチヤツと渡したが為であらうぞよ』 竹山彦『イヤ、照山彦殿、仰せの如くもはや遁走の憂ひもなければ、半刻ばかりの猶予を与へ、吾々はここに休息して待つことに致さう、竹山彦がお請合申す』 照山彦『しからば半刻の猶予を与ふる。その間に三人の宣伝使をこれへズラリと引き出せよ』 春山彦は胸に鎹打たるる心地。 春山彦『承知いたしました』 と落つる涙をかくしつつ、この場を悠然として立去り、別殿に進み入る。妻の夏姫は様子如何にと案じ煩ふ折りしも、春山彦の常ならぬ顔を見て、 夏姫『思ひがけなき夜中のお使者、様子は如何でございますか』 春山彦は吐息をつきながら、 春山彦『女房、汝に一生の願ひがある。聞いては呉れようまいかなア』 夏姫『これは又、あらたまつたお言葉、夫の言葉を女房として、どうして背きませう。何なりと叶ふ事ならば仰せ付け下さいませ』 春山彦『オー夏姫、よく言うて呉れた。夫婦の者が長の年月、蝶よ花よと育て上げた秋月姫、深雪姫、橘姫の三人の生命を与れよ』 夏姫『エヽ』 春山彦『返事がないは、否と申すのか。野山の猛き獣さへも、子を思はざるものがあらうか。焼野の雉子、夜の鶴、朝な夕なに、蝶よ花よと育て上げ、莟の花の開きかけたる、月雪花の三人の娘をば、宣伝使の身代りに立てたいばかりの夫が頼み、どうぞ得心して呉れ。わが三人の娘は世界の為には働きの出来ぬお嬢育ちに引き代へて、珍の都にまします正鹿山津見の神の御娘子は天下の宣伝使となつて衆生済度を遊ばす、その清き御志、思へば思へば、これがどうして鷹取別に渡されようか。今まで尽した親切が却つて仇となつたるか。あゝどうしたらこの場の苦しみを免れる事が出来ようぞ。サア夏姫返答を聞かして呉れよ』 夏姫はさし伏向いて何の応答もなく涙を袖に拭ふのみ。 この時一間を開けて現はれ出でたる三人の娘は、知らぬ間に宣伝使の服を着け、 月、雪、花『お父さま、お母さま、吾々姉妹三人は宣伝使の御用に立つて、常世の国に引かれて参ります。老少不定は世の習ひ、随分まめで暮して下さいませ』 と袖に涙をかくして、畳に手をつき頼み入る。 春山彦夫婦は一目見るより吾子三人の決心に感じ入り、一度にワツと泣かむとせしが、待て暫し、聞えては一大事と、涙をかくす苦しさ。 かかる処へ松竹梅の宣伝使現はれ来り、 松、竹、梅『委細の様子は残らず聞きました。海山の御恩を蒙りて、まだその上に勿体なや、天にも地にもかけ替へのない可愛い三人の娘子を身代りに立てて、妾達を助けて遣らうとの思召は、何時の世にか忘れませう。あゝそのお心は千倍にも万倍にも受けまする。三人の娘子様、よくもそこまで思うて下さいました。併しながら吾々は、人を助ける宣伝使の役、卑怯未練にも敵を詐つて替へ玉を使ひ、三人の娘子を敵に渡すといふ事が、どうして忍ばれませうか。その御親切は有難うございますが、かへつて吾々の心を痛めます。大事の娘子を身代りに立てさして、吾々三人はどうしておめおめとこの世に生きて居られませうか。どうぞこればかりは思ひ止まつて下さいませ。わらは達は天晴れと名乗つて参ります』 と先に立つて松竹梅の三人は、照山彦の居間に行かむとするを、親子五人は宣伝使に縋りつき、春山彦はあわてて、 春山彦『マア待つて下さいませ。折角の娘が志、あなたは神様の為にこの世を救はねばならぬお役。その身代りに立つた娘は、まことに光栄の至り、喜んで身代りに立たしていただきます。どうか娘の志を叶へさして下さいませ』 と頼み入る。 照山彦は大音声、 照山彦『アイヤ春山彦、時が迫つた。早く宣伝使をこの場へ連れ出せ。何をぐづぐづ致して居るか』 と呶鳴り声。 春山彦『ハイハイ、暫くお待ち下さいませ。今直に参ります』 竹山彦『何をぐづぐづ埒の明かぬこと。早く三人をこれへ出せ』 春山彦は是非もなく、二人の前に立現はれ、 春山彦『只今これへ連れ参ります。よく御実検下さいませ』 竹山彦『オー、早く出せ。ここの家には秋月姫、深雪姫、橘姫の三人の娘があると云ふ事は聞いてゐる。その娘の顔をよく見知つたる竹山彦、身代りを出さうなどと量見違ひいたして、あとで吠面をかわくな』 春山彦は進退これ谷まり、如何はせむと心の中に、 春山彦『野立彦命、野立姫命、木花姫命守らせ給へ』 と一生懸命に念じ入る。松竹梅の宣伝使はこの前に現はれ、 松、竹、梅『オー照山彦、竹山彦の御使とやら、妾は三五教の宣伝使、昔はヱルサレムに於て時めき渡る天使長桃上彦命の娘と生れた、松代姫、竹野姫、梅ケ香姫の、今は天下の宣伝使、わが顔をよく検めて一時も早く連れ帰り、常世神王の前に手柄をいたされよ。ヤー、春山彦、汝の志、何時の世にかは忘れむ。妾三人は今捕はれて常世の国に到ると雖も、尊き神の御恵みにて、再び御目にかかることもあらむ。親子夫婦むつまじく達者に暮して下されませ』 春山彦は涙を拭ひながら、 春山彦『これはこれは勿体なき宣伝使のお言葉、どうぞ御無事で帰つて下さいませ』 照山彦『エー、グヅグヅと、何をベソベソ、早くこの場を立ち去らぬか。竹山彦殿、よく調べられよ』 竹山彦は三人の顔をトツクと眺め、 竹山彦『オー、これは秋月姫でもない、深雪姫でもない、また橘姫でもない。擬ふ方なき松竹梅の宣伝使にきまつた。アイヤ、春山彦、今日までこの三人の宣伝使を隠匿うた罪は赦して遣はす。今後は気をつけて再びかやうな不都合な事はいたすでないぞよ』 と、三人の宣伝使を無理矢理に駕籠に乗せ、大勢の家来に兒がせながら、凱歌を奏して帰り行く。 春山彦、夏姫は、ワツとばかりに声を張りあげ泣き伏す。この声に驚いて、月、雪、花の三人の娘と、松、竹、梅の宣伝使は、この場にあわただしく走せ来り、 月、雪、花『オー、父上、母上』 松、竹、梅『春山彦どの、夏姫様』 と声かけられて夫婦は頭を上げ、ハツとばかりに二度吃驚、夢か現か幻か、合点ゆかぬと夫婦は顔を見合せ、思案に暮れゐたる。 あゝ今引かれて行つた松竹梅の宣伝使は、何神の化身なるか、いぶかしき。 (大正一一・二・一六旧一・二〇東尾吉雄録)
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霊界物語 09_申_松竹梅の宣伝使の南米・中米の旅 31 七人の女 第三一章七人の女〔四二四〕 海の内外の分ちなく神の御稜威は照り渡る 常世の浪を隔てたる北と南の大陸の 荒ぶる浪も高砂や間の国の神の森 花咲き匂ふ春山の郷の司の春山彦 心の花も麗しく梅か桜か桃の花 野山も笑ふ春姫のあやどる野辺の若緑 栄えさかえて五月空暗も晴れ行く夏姫の 心の空に照る月は光眩く澄み渡り 秋月姫の真心は紅葉の錦織る如く 東の海を分け昇る月の姿も西の空 空つく山の頂に光も深雪のきらきらと 輝きわたる深雪姫冷酷無惨の世の中に 春の花咲き夏山の緑滴る夫婦が情 神の教もたちばなや非時薫る橘姫 親子五人の真心はいづの身魂の世を救ふ 神の心と知られけりミロクの御代を松代姫 常世の空を晴らさむと春夏秋の露霜を 凌ぐ心の竹笹や風に揉まるるなよ草の 撓むばかりの竹野姫霜の剣や雪の衣 冷たき風に揉まれつつ心の色の永久に 万の花に魁けて咲も匂へる梅ケ香姫の 真心こそは香ばしき花の蕾ぞ麗しき 神の守りの顕著く大江山に現はれし 鬼武彦の御従神神の御稜威も高倉や 空照り渡る白狐の旭月日も共に変身の その働きぞ健気なれ。 鬼武彦は立ち上り、座敷の中央にどつかと坐し、 鬼武彦『さしもに清き癸の、亥の月今日の十六夜の月は早西山に傾きたれば、四更を告ぐる鶏鳴に、東の空は陽気立ち、光もつよき旭狐の空高倉と昇るらむ。月日の駒の関もなく、大江山を出でしより、東や西や北南、世界隈なく世を照らす、日出神の御指揮、常世の国に渡り来て、千変万化に身を窶し、神の経綸に仕へたる、吾は卑しき白狐神、数多の眷属引き連れて、神の大道を守る折、心驕れる鷹取別の、曲の企みを覆へさむと、朝な夕なに心を砕き、旭、高倉、月日と共に、三五教を守護せし、鬼をも摧ぐ鬼武彦が、心を察したまはれかし。八岐の大蛇に呪はれし、大国彦の曲業は、比類まれなる悪逆無道、鷹取別や遠山別、中依別の三柱神は、姫の命を捕へむと、四方八方に眼を配り、醜女探女を数限りもなく配り備ふるその危さ、手段をもつて鷹取別が臣下となり、竹山彦と佯はつて甘く執り入り、常世神王の覚も目出度く、今日の務を仰せつけられしは、天の恵の普き兆、善を助け悪を亡す、誠の神の経綸、ハヽア嬉しやうれしや勿体なや。さはさりながら御一同の方々、必ず共に御油断あるな、一つ叶へばまた一つ、欲に限りなき、体主霊従の邪神の魂胆、隙行く駒のいつかまた、隙を狙つて、三人の月雪花の御娘御を、奪ひ帰るもはかられず、只何事も神直日、大直日の神の御恵みによつて、降り来る大難を、尊き神の神言にはらひ退け、朝な夕な神に心を任せたまへ、暁告ぐる鶏の声、時後れては一大事、吾はこれよりこの場を立去り、鷹取別の館に参らむ。いづれもさらば』 と云ふかと見れば姿は消えて、何処へ行きしか白煙、夢幻となりにけり。 合点の行かぬこの場の有様、春山彦を始めとし、花にも擬ふ七人は、茫然として暫し言葉もなかりしが、春山彦は立ち上り、天を拝し地を拝し、 春山彦『あゝ有難や尊やな、親子夫婦が真心を、神も照覧ましませしか』 と、涙と共に宣伝歌、いと淑やかに歌ひ始むる。七人の女も口を揃へて、 一同『神が表に現はれて善と悪とを立別る この世を造りし神直日心も広き大直日 ただ何事も人の世は直日に見直せ聞き直せ 世の曲事は宣り直せ朝日は照るとも曇るとも 月は盈つとも虧くるともたとへ大地は沈むとも 誠の神は世を救ふ誠の神は世を救ふ』 と歌ひながら拍手する声は天地も揺ぐばかりなり。松代姫は立ち上り、 松代姫『天と地とは睦び合ひ四方の民草神風に 靡き伏す世を松代姫ミロクの神の現はれて 親子五人のいつ御魂松竹梅のみつ御魂 三五の月も空高く輝き渡る麻柱の 神の教を伝へむと高砂島を後に見て 常世の国の空寒くカルの都に差しかかる 神の使の宣伝使冷たき風に曝されて 間の国にさしかかる雨か涙か松の露 露のこの身を神国に捧げて間の国境 来る折しも鷹取別の猛き力に小雀の かよわき女の一人旅尾羽打枯らす手弱女を 捕へ行かむとする時に空を焦して降り来る 唐紅の火柱に打たれて逃ぐる曲津見の 消え行く後に唯一人疲れしこの身を横たへて 心私かに宣伝歌歌ふ折しも春山彦の 神の命に救はれて堅磐常磐の巌窟に 来りて見れば懐かしき竹野の姫のすくすくと 笑顔に迎へし嬉しさよ世人の心冷え渡る 中にも目出度き夏姫の日に夜に厚き御仁慈 神の恵のいや深く神の御稜威はいや高く 輝く月雪花の御子春山彦や夏姫の 御恩はいつか忘るべき心はいつか忘るべき 嗚呼有難や麻柱の教を立てし皇神の 御稜威は千代に栄ゆべし功は四方に開くべし』 と感謝の歌を詠みて、元の座に復しける。 屋外には、天空を轟き渡る天の磐船、鳥船の音、天地を圧し、木枯の風は唸りを立てて雨戸を叩くぞ淋しけれ。 (大正一一・二・一七旧一・二一加藤明子録)
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霊界物語 09_申_松竹梅の宣伝使の南米・中米の旅 33 栗毛の駒 第三三章栗毛の駒〔四二六〕 夫、娘や諸人の、信仰強き真心に、恥ぢ入り言葉も夏姫は、あからむ顔に紅の、袖に涙を拭ひつつ、 夏姫『あゝあさましの吾心神の造りし神直日 心も広き大直日教の道に真心を 朝な夕なに籠め給ふ春山彦の夫神や 月雪花の可憐し子の神の大道に身を委ね 心を尽くし麻柱の誠捧ぐる心根の その健気さに引換へて母と生れし夏姫の 心の空は紫陽花の色も褪せたる恥かしさ 日に夜に祈る神言の清き尊き御教を 臨終の際に忘れ果て女心のはしたなく 思ひ切られぬ愛惜心絆の糸に繋がれて 解くに解かれぬ心の迷ひ言ふに言はれぬ縺れ髪 奇しき御稜威の隈もなく照らさせ給ふ神の前 あゝ恥かしや面目なや神の御為め国の為め 世人のためになるならばたとへ夫婦は生別れ 可憐しき娘の玉の緒の絶えなむ憂きを見るとても 千引の岩の永久に揺がぬ身魂となさしめ給へ 弱き女の心根を笑はせ給はず諸人よ 春山彦よ月雪花の吾娘拙き母と笑うては下さるな 焼野の雉子夜の鶴子の可愛さに絆されて 歩み迷ひし心の闇あゝ恥かしや恥かしや 松竹梅の宣伝使見下げ果てたる夏姫と 笑はせ給はず幾千代も吾身の魂を照させ給へ』 と、慚愧の涙一時に、滝津瀬のごと降る雨の、袖ふり当てて泣き沈む。 この場の憂を晴らさむと、御稜威も開く梅ケ香の、姫の命の宣伝使、声淑かに、 梅ケ香姫『あゝ勿体なや夏姫様生みの母にも弥勝る 厚き尊き御志何時の世にかは忘れませうぞ 春待ち兼ねて咲き匂ふ花の蕾の梅ケ香姫 げにあたたかき春山彦の神の命の御情 木枯そよぐ冬の宵妾を助け労りて 心も堅き岩屋戸に姉妹三人助けられ 何の不足も夏姫の命の厚き御待遇し 神の恵みも高砂の尾の上の松に木枯の 当りて冷たき人の世に五六七の神の松心 堅磐常磐に松代姫心も清き秋月の 姫の命の志繊弱き竹野姉君を 助けむ為めに雪より清き神心愛の女神の深雪姫 親子団居の睦まじき六つの花散る初冬の 空に彷徨ひ道の辺に橘姫のそれならで 旅に労れし梅ケ香姫天教山にあれませる 木の花姫の御恵み黄金山に現はれし 埴安彦や埴安姫の命の生魂かからせ給ふ 春山彦の御情五十六億七千万年 五六七の御代の果てしなく御夫婦親子の御情 どうしてどうして忘れませう真心深き夏姫様 何卒妾に心を配らせ給はず三五教を守ります 神の御教に従ひて玉の緒の御命を 堅磐常磐に保たせ給ひ親子夫婦は睦まじく 日に夜に感謝の暮しを続かせ給へ妾は繊弱き宣伝使なれど 山海の御恩を報ずるため朝な夕なに御無事を祈り奉らむ 心も安くましませや』 と声も優しく述べ立つる。斯かる処へ、門前騒がしく村人の声、 村人『申し上げます、只今間の森に強力無双の三五教の宣伝使現はれ、盛んに宣伝歌を歌ひ始めました。吾々村人は前後左右より十重二十重に取り巻いて生捕り呉れむと思へども、眼光鋭く何となく、威勢に打たれて進み寄ることが出来ませぬ。何卒々々春山彦の命様、御出馬あつて彼の宣伝使を召し捕り給へ』 と門口より呼ばはるにぞ、春山彦を始め一同は思はず顔を見合せ、暫時思案に暮れけるが、春山彦は立ち上り、表に聞ゆる大音声にて、 春山彦『常世神王の御家来、鷹取別の治し召す、間の国に参来り、三五教の宣伝歌うたふとは心憎き宣伝使、今打ち取らむ。者共先へ帰つて弓矢の用意いたせ、ヤア家来共、駒の用意』 と呼ばはりたり。数多の村人はこの声にやつと胸撫で下し、間の森に一目散に走り行く。春山彦は一同に向ひ、 春山彦『何事も、吾々が胸中に御座いますれば、何れも様は御安心の上、ゆつくり休息遊ばされよ』 と言ひ捨て、栗毛の駒に跨り、手綱かいくり、しとしとしとと表を指して進み行く。 (大正一一・二・一七旧一・二一大賀亀太郎録)