| 番号 (No.) |
書籍 | 巻 | 章 | 内容 |
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21 (1494) |
霊界物語 | 10_酉_黄泉比良坂の戦い | 24 言向和 | 第二四章言向和〔四五四〕 善と悪とを立別る遠き神代の大峠 黄泉の島の戦ひに弱りきつたる美山別 国玉姫の部下たちは朝日輝く日の出神の 味方の軍に艱まされ天地に轟く言霊の 貴の力に這々の体悶え苦しむ折からに 黒雲塞がる大空を轟かしつつ舞ひ降る 磐樟船の刻々に地上に向つて降り来る 大国姫を神伊邪那美大神と敵や味方を偽りて 日頃企みし枉業を遂げむとするぞ浅ましき。 神軍の言霊に魂を抜かし、胆を挫かれ、腰を抜かした醜女探女の悪神等は、泥に酔うたる鮒の如く、毒酒に酔うた猩々の如く、骨も筋も菎蒻然と悶え苦しむ其処へ、常世の国の総大将、神伊邪那美神の御出陣と聞いて、再び元気を盛り返し、八種の雷神を始めとし、百千万の魔軍は一度にどつと鬨をつくつて、黄泉比良坂指して破竹の如くに攻め登る。 「ウロー、ウロー」の叫び声、天地も震撼するばかりにて、天津御空は黒雲益々濃厚となり、雷霆鳴り轟き、大地は震動し、海嘯は山の中央までも襲ひ来り、黄泉の国か、根の国か、底の判らぬ無残の光景に、美山別、国玉姫は、 美山別、国玉姫『常世の国の興亡此一挙にあり』 と、部下の魔軍を励まして、 美山別、国玉姫『進め進め』 と下知すれば、命知らずの魔軍は、醜女探女を先頭に、心の闇に迷ひつつ、力限りに戦ひける。 爆弾の響き、砲の音、矢の通ふ音は、暴風の声と相和して益々凄じくなり来る。 此の時日の出神は比良坂の坂の上に立ちて、攻め登り来る数万の魔軍に向ひ、 日の出神『神伊邪那岐大神、神伊邪那美大神、守らせ給へ。常世の国より疎び荒び来る黄泉神、大国姫の伊邪那美命に一泡吹かせ、心の曲を払ひ去り、皇大神の神嘉言の声に邪の心を照させ給へ。一二三四五六七八九十百千万の神等よ、日の出神の一つ炬を、天地に照すは今この時ぞ。許させ給へ』 と云ふより早く、姿は消えて巨大なる大火球と変じ、魔軍の頭上に向つて唸りを立て、前後左右に飛び廻るにぞ、数多の魔軍は、神光に照されて眼眩み、炬の唸りに頭痛み、耳痺れ、身体忽ち強直して化石の如く、幾万の立像は大地の砂の数の如くに現はれける。 正鹿山津見は涼しき声を張りあげて、 正鹿山津見『神が表に現はれて善と悪とを立別る 此世を造りし神直日心も広き大直日 只何事も人の世は直日に見直せ聞き直せ 身の過失は宣り直せ黄泉の島は善悪の 道を隔つる大峠言問ひわたす神々の 誠の道を千代八千代定むる世界の大峠 鬼も大蛇も曲津見も言問ひ和す言問岩 此坂の上に塞りたる千引の岩は神の世と 邪曲世を隔つる八重の垣出雲八重垣妻ごみに 八重垣造る神の国ソモ伊邪那美の大神と 詐り来る曲神の大国姫よ国姫よ 汝が命は幽界の黄泉醜女を悉く 言向け和せ現世をあとに見捨てて帰り行く 百の霊魂を守れかし黄泉の国に出でまして 一日に千人八千人の落ち行く魂を和めつつ 現の国に来らじと黄泉の鉄門をよく守れ 神伊邪那岐の大神の生成化育の御徳に 日の出神と現はれて一日に千五百の人草や 万民草を大空の星の如くに生み殖やし 神の御国を開くべし那岐と那美との二柱 互に呼吸を合せまし国の八十国八十の嶋 青人草や諸々の活ける物らを生みなして 堅磐常磐に神の世を樹てさせ給へ常世国 ロッキー山をふり捨てて心をしづめ幽界の 黄泉の神と現れませよ黄泉の神と現れませよ』 大国姫はこの歌に感じてや、千引の岩の前に現はれて、 大国姫『吾は常世の神司神伊邪那美の大神と 百の神人詐りて日に夜に枉を行ひつ 心を曇らせ悩ませてあらぬ月日を送りしが 神の御稜威も明けき日の出神や諸神の 清き心に照されて胸に一つ炬輝きぬ 輝きわたる村肝の心の空は美はしき 誠の月日現れましぬ嗚呼天地を固めたる 神伊邪那美の大神の吾は黄泉に身をひそめ 醜の枉霊の醜みたま醜女探女を悉く 神の御教に導きて霊魂を洗ひ清めさせ 再び生きて現世の神の柱と生れしめむ 美し神世に住みながら曲業たくむ醜神を 一日に千人迎へ取り根底の国に連れ行きて 百の責苦を与へつつきたなき魂を清むべし あゝ皇神よ皇神よ常世の暗の黄泉国 暗を照して日月の底ひも知れぬ根の国や 底の国まで隅もなく照させ給へ朝日照る 夕日輝く一つ炬の日の出神よいざさらば 百の神等いざさらば』 と歌つて改心の誠を現はし、黄泉の大神となつて幽政を支配する事を誓ひ給ひたるぞ畏けれ。ここに伊邪那岐神の神言以ちて、日の出神その他の諸神将卒は、刃に衂らず、言霊の威力によつて、黄泉軍を言向け和し、神の守護の下に天教山に向つて凱旋されたり。 数多の曲津神は悔い改めて、生きながら善道に立帰るもあり、霊魂となりて悔い改むるもあり、或は根底の国に落ち行きて黄泉大神の戒めを受け、長年月の間苦しみて、その心を改め霊魂を清め、現界に向つて生れ来り、神業に参加する神々も少からずとの神言なりけり。 (大正一一・二・二五旧一・二九井上留五郎録) |
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霊界物語 | 10_酉_黄泉比良坂の戦い | 25 木花開 | 第二五章木花開〔四五五〕 天雲も伊行きはばかる遠近の鮮岳清山抜き出でし 天教山の真秀良場や心もつくしの山の上 地底の国より吐き出す猛き火口に向ひたる 天津日向のあをぎ原穢き国に到りたる 醜のけがれを清めむと神伊邪那岐の大神は 日の出神と諸共に千五百軍を呼び集へ 浅間の海に下り立ちて御身の穢を払ひます 大神業ぞ勇ましき天の教を杖となし 進む衝立船戸神心の帯を固く締め 曲言向けし神ながら道之長乳歯彦の神 国治立の大神の御稜威の御裳になり出でし 道の蘊奥を時置師一度に開く木の花の 散りては結ぶ大御衣神の心も和豆良比能 宇斯能御神や御褌になります神は道俣神 心の空も飽咋の宇斯能御神と冠りに 戴き奉り左手の手纏に救ひの御手を曲神の 穢れの上に奥疎神四方の大海国原も 神の心に奥津那芸佐毘古奥津甲斐弁羅神 神世幽界辺疎神辺津那芸佐毘古 辺津甲斐辺羅神十二柱の神たちは 黄泉の島へ出でましてこの世の曲霊を照し給ふとき 穢に生れし神ぞかしアヽ麗しく尊さの 限り知られぬ神業よ限り知られぬ神業よ。 伊邪那美大神 伊邪那美大神『久方の天津御神の言霊の伊吹の狭霧に黄泉島 黄泉軍を言向けて暗よりくらき烏羽玉の 常夜の空も晴れ渡り天と地とに冴え渡る 日の出神の功績はこの世の光となりぬべし 三五の月に弥まさり御魂も清き月照彦の 神のみことの宣伝使尊き御代に大足彦の 神のみことの言霊別や嶮しき国は平けく 狭けき国は弘子の神の伊吹に払はれて 世の曲神も少彦名神の光の高照姫や 心も清き真澄姫八咫の鏡の純世姫 清き教も竜世姫地教の山に現はれし 神伊邪那美大神の御稜威輝く瑞御魂 世は望月の永遠に円く治まる五六七の世 天津御国も国原も堅磐常磐に常立と 開化くる御世ぞ楽しけれ天津御神の御教は 一度に開く木の花の咲き匂ふなる天教山の 嶺永遠に動揺なく天津日嗣の何時までも 変らざらまし神の御世豊葦原の瑞穂国 御稜威も高き厳御魂この世の泥をことごとく 洗ひ清むる瑞御魂厳と瑞との二神柱は 天に現はれ地に生れ清き神世を経緯の 錦の御旗織りなして天津御空の星の如 八洲の国の砂の如天の益人生み生みて 世を永久に永遠に雲に抜き出た高砂の 珍の島ケ根の尉と姥千歳の松の弥茂り 栄え尽きせぬ神の国限りも知れぬ青雲の 棚引く極み白雲の向伏す限りたてよこの 神の御稜威に治むべし神の御稜威に治むべし』 と歌ひ終らせ、伊邪那美大神はあをぎが原の神殿深く御姿を隠し給ふ。 木花姫命は満面に笑を湛へ、諸神の前に現はれ給ひて声音朗かに歌ひ給ふ。 木花姫命『豊葦原の中国に一輪清く芳ばしく 匂へる白き梅の花神世の昔廻り来て 国治立の大神が日に夜に心配らせし 常夜の国も晴れ渡り曲津軍も服従ひて 一度に開く木の花のうましき御代となりにけり 闇より暗き世の中を天津御神の神言もて 黄泉の島に天降り醜の国原言向けて 日の出神と現れし天と地との大道別の 神の命と勇ましく事戸を渡し琴平別の 厳の御魂の百引千引岩をも射ぬく誠心を 貫き徹す桑の弓弓張月の空高く 輝き渡る神々の功は清し天教山の 尾根に湧き出る言霊は湖の鏡に映るなり 移り替るは世の中の習ひと聞けど兄の花姫や 咲き匂ふなる春の日も瞬く間に紅の 色香も夏の若緑涼しき風に送られて 四方の山々錦織り紅葉も散りて木枯の 風吹き荒み雪霜のふる言の葉にかへり見て 心を配れ神々よ心を配れ神々よ 春の花咲く今日の日は吾胸さへも開くなり 吾胸さへもかをるなりかをりゆかしき神の道 一度に開く梅の花一度に開く梅の花 一度に開く梅の花』 日の出神は、神人らの総代として凱旋の歌を詠ませ給ひぬ。その歌、 日の出神『日の若宮に現れませる神伊邪那岐の大神は 妹伊邪那美の大神と天津御神の神言もて 天と地との中空に架け渡されし浮橋に 立たせ給ひて二柱撞の御柱大神と 天の瓊矛をさしおろし溢れ漲る泥海を こをろこをろにかきなして豊葦原の中津国 筑紫の日向のたちばなのをどのあをぎが原の辺に 天降りまし木の花姫の神の命と諸共に この世の泥を清めつつ珍の国生み島を生み 万の神人生みまして山川草木の神を任け 大宮柱太知りて鎮まり給ふ折からに 天足の彦や胞場姫の醜の魂より現れし 八岐大蛇や鬼狐荒ぶる神の訪に 万の災群れ起り常夜の暗となり果てし 世を照さむと貴の御子日の出神に事依さし 大道別と名乗らせて世界の枉をことごとに 言向け和せと詔り給ふ力も稜威もなき吾は 恵みの深き木の花姫の三十三相に身を変じ 助け給ひし御恵みに力添はりて四方の国 荒振る曲を言向けて黄泉の島の戦ひに 神の御稜威を顕はせしその功績は木の花姫の 神のみことの稜威ぞかし厳の御魂や瑞御魂 三五の月の御教に世界隈なく晴れ渡り 千尋の海の底深く竜の宮居も烏羽玉の 暗き根底の国までも天津日かげの永遠に 明し照さむ神の道富士と鳴門のこの経綸 富士と鳴門のこの経綸弥永遠に永遠に 神の大道を天地と共に開かむ、いざさらば 鎮まりませよ百の神鎮まりいませ百の神 桃上彦の貴の御子堅磐常磐の松代姫 心すぐなる竹野姫色香目出たき梅ケ香姫の 神の命の三柱は意富加牟豆美の桃の実と この世に現れ厳御魂瑞の御魂と何時までも 三五の月の御教を堅磐常磐に守り坐せ 堅磐常磐に守り坐せ』 この御歌に数多の神々は歓喜の声に満たされて、さしもに高き天教山も破るる許りの光景なりき。 木の花の鎮まり給ふこの峰は 不二の三山と世に鳴り渡る (大正一一・二・二五旧一・二九上西真澄録) |
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霊界物語 | 10_酉_黄泉比良坂の戦い | 27 言霊解一 | 第二七章言霊解一〔四五七〕 皇典美曽岐の段 『是を以て伊邪那岐大神宣り玉はく』 『是を以て』とは前の「黄泉大神と事戸を渡し玉ひ」云々の御本文を受けて謂へる言葉であります。 イザナギの命の御名義は、大本言霊即ち体より解釈する時は、イは気なり、ザは誘ふなり、ナは双ことなり、ギは火にして即ち日の神、陽神なり。イザナミのミは水にして陰神なり、所謂気誘双神と云ふ御名であつて、天地の陰陽双びて運り、人の息双びて出入の呼吸をなす、故に呼吸は両神在すの宮である。息胞衣の内に初めて吹くを号けて天浮橋と云ふ。その意義はアは自らと曰ふこと、メは回ることである。ウキはウキ、ウクと活用き、ハシはハシ、ハスと活用く詞である。ウは水にして㎞也。ハは水にして横をなす、即ち㎎である。水火自然に廻り、浮発して縦横を為すを天浮橋と云ふ。大本神諭に『此の大本は世界の大橋、この橋渡らねば世界の事は判らぬぞよ。経と緯との守護で世を開くぞよ。日の大神月の神様は、此世の御先祖様であるぞよ』とあるは此の意味に外ならぬのであります。 天地及び人間の初めて気を発く、之を二神天浮橋に立ちてと云ふのである。孕みて胎内に初めて動くは、天浮橋であり綾の大橋である。是の如く天地の気吹き吹き、人の息吹き吹きて、其末濡りて露の如き玉を為す、是れ塩累積成る島である。水火はシホであり、シマのシは水なり、マは円かと云ふ事で、水火累積て水円を成し、息の濡をなす、その息自づと凝り固まる、之を淤能碁呂嶋と云ふのである。要するに伊邪那岐、伊邪那美二神は、地球を修理固成し、以て生成化々止まざるの御神徳を保有し、且之を発揮し、万有の根元を生み玉ふ大神である。併し一旦黄泉国の神と降らせ玉へる時の伊邪那美の大神は、終に一日に千人を殺さむ、と申し玉ふに立到つたのであります。更に日本言霊学の用より二神の神名を解釈すれば、伊邪那岐命は万有の基礎となり土台となり、大金剛力を発揮して修理固成の神業を成就し、天津神の心を奉体して大地を保ち、万能万徳兼備し⦿の根元を定め、永遠無窮に活き徹し、天津御祖の真となり、善道に誘ふ火水様である。次に伊邪那美命は、三元を統べ体の根元を為し、身体地球の基台となり玉となりて暗黒界を照し玉ふ、太陰の活用ある神様であつて、月の大神様であり、瑞の御霊である。斯の如き尊貴円満仁慈の神も、黄泉国に神去ります時は、やむを得ずして体主霊従の神と化生し給ふのである。此処には御本文により男神のみの御活動と解釈し奉るのであります。 『吾は厭醜悪穢国に到りて在りけり』 アの言霊は天也、海也、自然也、○也、七十五声の総名也、無にして有也、空中の水霊也。これを以て考ふれば、吾とは宇宙万有一切の代名詞である。この宇宙万有一切の上に醜悪汚穢充満して、実に黄泉国の状態に立到つたと曰ふ事である。現代は実に天も地も其他一切の事物は皆イナシコメシコメキキタナキ国と成り果てて居るのである。政治も外交も教育も実業も道義も皆悉く廃れて、神の守り玉ふてふ天地なるを疑ふばかりになつて来て居るのであります。 『故に吾は御身の祓為なと詔りたまひて、筑紫の日向の立花の小門の阿波岐原に到りまして美曽岐祓ひたまひき』 大々的宇宙及び国家の修祓を断行せむと詔りたまうたのである。御神諭に、『三千世界の大洗濯、大掃除を天の御三体の大神の御命令に依りて、艮の金神が立替立直しを致す世になりたぞよ』と示されたるは、即ち美曽岐の大神事であります。 ツは実相真如決断力也、照応力也。 クは暗の交代也、三大暦の本元也、深奥の極也。 シは世の現在也、皇国の北極也、天橋立也。 ノは天賦の儘也、産霊子也、無障也。 ヒは顕幽貫徹也、無狂也、本末一貫也。 ムは押し定む也、国の億兆を成す也、真身の結也。 カは晴れ見る也、際立ち変る也、光り暉く也。 ノは続く言也。 タは対照力也、平均力也、足り余る也。 チは溢れ極まる也、造化に伴ふ也、親の位也。 ハは太陽の材料也、天体を保つ也、春也。 ナは火水也、真空の全体也、成り調ふ也、水素の全体也。 アは大本初頭也、大母公也、円象入眼也。 ハは延び開く也、天の色也、歯也、葉也。 ギは霊魂の本相也、天津御祖の真也、循環無端也。 ハは切断力也、フアの結也、辺際を見る也。 ラは高皇産霊也、本末打合ふ也、無量寿の基也。 以上の言霊を約むる時は、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原は、実相真如の顕彰にして一切の事物を照応し、決断力を具有して、暗黒界を照変し、神政を樹立し、御倉棚の神なる宇宙経綸の三大暦即ち恒天暦、太陽暦、太陰暦の大本元を極めて、深甚玄妙の極を闡明し、現在の世を済する為に天橋立なる皇国の北極に天賦自然の産霊子を生成化育して、障壁なく狂ひなく顕幽貫徹、本末一貫、以て万象を押定め、真身の結に依りて国の億兆を悉皆完成し、光輝以て神徳を発揚し、青天白日の瑞祥を照して、宇宙一切の大変革を最も迅速に敢行し給ひ、上下一致、顕幽一本、平均力を以て、善悪美醜清濁を対照し、全智全能にして、親たるの位を保ち、溢れ極まる霊力を以て造化に伴ひ、太陽に等しき稜威を顕彰して天体を保有し、春の長閑なる松の代を改立し、真空の全体たる霊魂球を涵養し、水素の本元たる月の本能を照して、宇宙一切を完成調理し、万有を結びて一と成し、天地を祭り人道を守り、国家を平けく安らけく治め幸はひ、男性的機能を発揮し、大仁大慈の神心を照し、造化の機関たる位を保ち、元の美はしき神世に突き戻し、円象入眼、総ての霊と体に生命眼目を与へ、大母公として世の大本となり、初頭と現はれ、無限に延び無極に開き、蒼天の色の如く清く、且つ高く広く、生成化育の徳を上下の末葉に及ぼし、天津御祖神の真を体得し、循環極まりなく、各自霊魂の本相を研ぎ尽し、妖邪を切断し世の辺際を見極め、言霊力を以て破邪顕正し、本末相対して世を清め洗ひ、一切無量寿たるの根基を達成すべき霊系高皇産霊の神業を大成する霊場と曰ふことである。現代の世に於て、斯の如き霊場たる神界の経綸地が、果して日本国に存在するであらう乎。若し存在せりとせば、其地点は何国の何れの方面であらう乎、大本人と云はず、日本人と云はず、世界の人類は、急ぎ探究すべき問題であらうと思ふのであります。 次に美曽岐の言霊を解釈すれば、 ミは水也、太陰也、充也、実也、道也、玉と成る也。 ソは風の種也、身の衣服也、⦿を包裏居る也。 ギは活貫く也、白く成る也、色を失ふ也、万に渡る也。 要するに、所在汚穢を清め塵埃を払ひ、風と水との霊徳を発揮して、清浄無垢の神世を玉成し、虚栄虚飾を去り、万事に亘りて充実し、活気凛々たる神威を顕彰し、金甌無欠の神政を施行して、宇内一点の妖邪を留めざる大修祓の大神事を云ふのである。現代の趨勢は、世界一般に美曽岐の大神事を厳修すべき時運に遭遇せる事を忘れては成らぬ。大本の目的も亦、この天下の美曽岐を断行するに在るのであります。 『故投棄つる御杖に成りませる神の御名は衝立船戸神』 御杖の言霊、ツは大金剛力決断力で玉の蔵であり、ヱは中腹に成就し行き進み玉を保つことであつて、即ち神の御力添へをする役目であります。然るに神は、この杖までも投げ棄て玉うたと云ふことは、よくも汚れたものであります。現代で曰へば大政を補弼する大官のことであります。 衝立船戸神の名義は、上と下との中に衝立ち遮り、下情を上に達せしめず、上の意を下に知らしめざる近親の神と云ふことである。現代は何事にも総てこの神様が遮り玉ふ世の中であります。杖とも柱とも成るべき守護神が、却て力に成らず邪魔になると曰ふので、伊邪那岐大神は、第一着に御杖を投げ棄て賜うたのであります。 『次に投棄つる御帯に成りませる神の御名は道の長乳歯の神』 御帯の言霊は、オは霊魂、精神を治め修むることで、亦神人合一の連結帯である。ビは光華明彩、照徹六合の意である。即ち顕界の政を為すに当りては、必ず精神的に天地人道を説き諭し、以て億兆をして帰依せしめ、顕界の政治に悦服帰順せしめねば成らぬのである。是が所謂神の御帯であります。神は此御帯も穢れて使へなく成つたから投げ棄て玉うたのであります。 道の長乳歯の意義は、天理人道を説く宗教家、教育家、倫理学者、敬神尊皇愛国を唱ふる神道家、皇道宣伝者、演説説教家等の大家と曰ふ事である。この帯を投棄て給ふと云ふ事は、総ての教育、宗教、倫理の学説を根本より革正し給ふと曰ふ事であります。 (大正九・一・一五講演筆録谷村真友) |
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霊界物語 | 10_酉_黄泉比良坂の戦い | 32 土竜 | 第三二章土竜〔四六二〕 海月なす漂ふ国を真細さに固め成したる伊邪那岐の 皇大神は日の国の元津御座に帰りまし 神伊邪那美の大神は月の御国に帰りまし 速須佐之男の大神は大海原の主宰神と定め給ひて 伊都能売の神の霊の木之花姫日の出神に現界、幽界、神の界を 守らせ給ひ天地は良く治まりて日月は 清く照り渡り風爽かに雨の順序も程々に 栄えミロクの御代となり天津神等八百万 国津神等八百万百の民草千万の 草木獣に至るまで恵みの露に潤ひて 歓ぎ喜ぶ其声は高天原に鳴り響く 芽出度き神世となりにけり黄泉軍の戦争に 八十の曲津は消え失せて此世を造りし神直日 心も広き大直日直日に見直し聞き直し 互に睦み親しみて天の下には争闘も 疾病も老も死も無くて治まりけるも束の間の 隙行く駒の此処彼処荒振る神の曲津見は 八岐大蛇や醜の鬼醜の狐の曲業の おこり来りて千早振る神の御国を撹き乱し 世人の心漸くにあらぬ方にと傾きて 乱れ騒ぐぞ由々しけれ恵みも深き皇神の 誠の光に照らされて常世の国の自在天 大国彦や大国姫の命は畏くも魂の真柱樹て直し 任のまにまに黄泉国常世の国に留まりて 四方の神人守れども常世の彦や常世姫 神の末裔なるウラル彦ウラルの姫は懲りずまに 盤古神王と詐りてウラルの山の麓なる アーメニヤの野に都を構へ探女醜女と諸々の 八十の曲津を引寄せて又もや此世を乱し行くこそ是非なけれ。 闇を照す東雲別の宣伝使、東彦は石凝姥神となつて、アルタイ山の麓の原野に進み行く。ここには可なり大きな川が流れて居る。之を宇智川と謂ふ。此川を渡るもの、百人の中ほとんど九十九人まで生命をとらるるので、一名死の川又は魔の川と称へて居る。石凝姥神はアーメニヤに宣伝を試みむとし、アルタイ山を越え、クスの原野を渉り、アカシの湖、ビワの海を渡つてコーカス山の南麓を通り、アーメニヤに行かむと行を急ぎける。 石凝姥神は漸う此魔の川の辺に着いた。橋も無ければ舟も無い。加ふるに濁流が漲つて居る。偶上流より巨大なる材木が続々として流れ来り、川に横たはり、自然に浮橋が出来た。この時四五の男は川辺に立ち此光景を眺めて話に耽り居たり。 甲『此川は何時も泥水が流れ通しで、向ふへ渡らうと思へば誰も彼も川の真中で皆生命をとられて仕舞ふのだが、今日は又珍らしい材木が沢山に流れて来よつて、自然の橋が出来たがどうだらう。吾々も三年前にあの橋が出来て、こちらに良い果物があるのを幸ひに漸う渡つたと思へば橋は流れて仕舞ひ、帰る事は出来なくなつて、もう一生川向ふの吾家には帰る事はあるまいと覚悟して居たのに、今日は又如何した事か、橋が架かつた。此機を幸ひに帰らうぢやないか』 乙『まア待て、一つ思案せなくてはならぬ。大切な、一つより無い生命だ。魔の川の藻屑になつても困るからのう』 丙『何、構ふものかい。恋しい女房や兄弟が心配して待つてゐるから、運を天に任して一つ渡つて見ようかい』 丁『何でも此水上にウラル彦の家来の悪神が居つて、三五教の宣伝使とやらが此川を渡らぬ様に魔神が守護して居ると云ふ事だよ。吾々はウラル教でもなければ、三五教でもない。いろいろの神さまが現はれて、両方から喧嘩をなさるものだから、吾々の迷惑此の上なしだよ』 甲『オー、其三五教で想ひ起したが、ウラル彦の神とやらが、三五教の宣伝使が来たら、引攫へてアルタイ山の砦まで引立てて来い。さうすれば此川に橋を架けてやる。そして沢山の褒美を与るとの事だから、こんな処へ三五教の宣伝使が来よつたら、それこそ引捉まへて一つ手柄をしようぢやないか』 乙『そんな都合の良い事があれば結構だが、吾々の様な賓頭盧型では、到底思ひも寄らぬ事だ。三年も斯うして川を隔てて、棚機さまでさへも年に一度の逢瀬はあるに、永い間川を隔てて互に顔を見乍ら、侭ならぬ憂目に遭うて居る様な不運な者だから、そんな事はまア孫の代位には会ふかも知れぬよ』 斯く語り合ふ処へ何気なく石凝姥神は、三五教の宣伝歌を歌ひ乍ら進み来る。一同は此声に耳をすませ頸を傾け、 甲『オー、噂をすれば影とやら、呼ぶより誹れとは此事だ。三五教の宣伝使の歌らしい。オイオイ皆の奴、此川辺の砂の中へ体躯をスツカリ匿して首だけ出して、様子を考へて見ようかい』 一同は灰の様な軽い柔かい砂の中へ、首から下をスツカリ隠して仕舞ひ、俯伏になつて宣伝歌を聞いて居る。石凝姥神は何気なく此川辺に進み来り、川の面を見れば、沢山の材木が横倒れになつて自然の橋を架けてゐる。 石凝姥神『ホー、神様の御恵と言ふものは結構なものだナア。実は此宇智川は死の川とか魔の川とか謂つて到底渡る事が出来ない。此川を首尾克く渡るものは百人に一人より無いと云ふ事を聞いて居たが、今日は又、何と云ふ都合の好い事だらう。之も全く三五教の神の御守護だ。アヽ之を思へば前途の光明は赫々として輝き渡る様な思ひがするワイ。何は兎もあれ広大無辺の神恩を感謝する為めに、此処で一つ神言を奏上し、宣伝歌を潔く歌つて渡る事にしよう』 と独語ち乍ら神言を奏上し始むる。 日は西山に傾いて川水に光を投げて居る。祝詞の声始まると共に、附近の川辺から呻き声聞え来る不思議さ。 石凝姥神は不図声する方を眺むれば、四五の黒い円いものが何だかウンウンと呻いてゐる。 石凝姥神『ホー、此奴はウラル彦の部下の魔神の所作だナア。大方悪魔が化けてゐるのだらう。何だ西瓜畑の様に……黒い、円いものがウンウンと呻き出したぞ。どれ一つ正体を見届けてやらうか』 と膝を没する柔かき砂原に足を向け、黒い円い塊を掴んで見れば、土人の首である。見れば眼をギヨロギヨロさせ口を開けて、 土人の一人『アヽヽア、お前は三五教の宣伝使か、此川は魔の川と謂つて渡るものは皆生命が無くなるのだ。三五教がある為めに此土地の人民はどれだけ苦労するか知れやしない。之から吾々が寄つてたかつて、お前を引捉まへてアルタイ山の魔神の砦に連れて行くから覚悟をせい。斯う橋が架つた様に見えても此橋は化物だ。吾々も向ふ岸に帰りたいのだが土産が無ければ渡る事は出来ぬ。オイ皆の者、出て此奴を引捉まへて呉れ。俺の頭の毛を引掴へよつて離さうとしよらぬので如何する事も出来やしない』 此声に四人の頭は俄に砂よりムツクと姿を現し、前後左右より石凝姥を取り囲む。 一同『ヤア、待ちに待つたる三五教の宣伝使、さア尋常に手を廻せ』 石凝姥神『貴様等は一体何だ、砂の中に住居を致す人間か。オチヨボ虫かベンベコ虫の様な奴だなア。斯んな馬鹿な態をすな。此方は三五教の宣伝使だ。此川を渡つてアーメニヤに進み、ウラル彦の悪神を平げてお前等の難儀を救うてやるのだ。心配致すな』 一同『板すなも糞もあるものかい、砂の中を自由自在に潜る此方だ。弱い奴は引捉まへてウラル彦の神に奉り御褒美を頂戴致す積りだが、万々一お前が手に負へぬ剛の者なら、俺等は砂の中を潜つて隠れるから、如何する事も出来やせぬぞ』 石凝姥神『何だ、貴様は土竜か、火鼠か、蚯蚓の様な奴だな。砂を潜る、それは面白い。一遍その芸当を旅の慰めに見せて呉れないか。素直に砂くぐりを致せ。やり損なひはすな』 一同『洒落やがるない。貴様こそ素直に手を廻せ、取り損なひを致して後で、後悔すな』 と言ひ乍ら砂を掴んで石凝姥神の両眼めがけて一生懸命に投げつける。石凝姥神は目を閉ぎ乍ら思はず一人の男を手放した。五人は一度に立ち上り、 五人『さア、斯うなつてはもう大丈夫だ。早く此方の申す通りに致さぬか』 石凝姥『一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、百、千、万』 五人『ヤア、こいつは堪まらぬ。頭が痛い、目が眩む、潜れ、潜れ』 と土竜の様に砂をムクムクさせ乍ら全身を隠して走り行くのが浪の様に見えて居る。石凝姥は砂を両手に握つて団子を拵へ息をふつかけると、忽ち凝結して石の玉となりける。その玉を砂の浪を目がけて、ポンポンと投げつくれば、一同の土人は堪まり兼ねてか、砂まぶれの体躯をヌツと現はし、両手を合せ、 五人『カヽヽヽ勘忍々々』 と砂上に平伏して謝り入る。 石凝姥神『オイ、土竜、許してやるから俺の前へ出て来い。何を怕ぢ怕ぢとして居るか。少しも恐い事はないぞ』 五人『ハイ、本当に、タヽヽヽ助けて貰へますか』 石凝姥神『仮りにも三五教の宣伝使たるもの、嘘偽りは少しも申さぬ。素直に此方の前に集まり来れ。良い事を聞かして与らう』 土人は恐る恐る前に集まり来り、俯伏せになり半泣きになつて居る。石凝姥は又もや宣伝歌を声爽かに歌ひ始めたり。 石凝姥神『吾は石凝姥の神ウラルの神の曲津見を 言向け和し三五の神の教に救はむと 東雲の空別け昇る東の彦の宣伝使 心も固き石凝姥神の命と現はれて 数多悪魔もアルタイの山の砦を清めむと 夜を日に次いで道の為め世人を救ふ真心に 宇智の川辺に来て見れば瓜の畑を見る如く 円い頭の此処彼処これ枉神の曲業と 川辺に下り立ち髪の毛を一寸握つて眺むれば 烏の様な黒い顔美事、目鼻も口耳も 眉毛も額も出来てゐる頭ばかりの人間が 如何して此処に住まうかと思案にくるる折柄に 土竜の様にムクムクと砂もち上げて現はれし 黒さも黒し鍋墨の様な体躯は化物か 大馬鹿者か知らねども三五教の宣伝使 召捕り呉れむと四方より吾に向つて攻め来る その有様の可笑しさに天の数歌宣りつれば 頭を抑へ目を顰め堪へ兼ねたる体たらく 吾行く道は三五の教なれどもお前等は 穴有り教か忽ちに土竜の様に穴あけて 砂に波をば立たせゐるあな面白や面白や 一つ嚇して見ようとて砂を握つて固めおき 神の御息を吹き掛けて石凝姥の玉となし 前後左右に投げやればこりや堪まらぬと各自が 生命惜しさに我を折つて素直に吾に従ひし 心の神の助け神もう之からは慎みて 決して馬鹿な真似はすな素直に心を改めよ 素直に心を改めよ』 と滑稽交りに宣伝歌を歌ひければ、五人は一斉に顔を上げ、 五人『アヽヽア、有難う御座います。もう之からスツカリと改心を致します。すなと仰有つた事はすなほに廃めまする。オイオイ皆の奴、これから素直になれよ』 石凝姥『貴様もよく洒落る奴だな、さア之から此橋を渡るのだ。お前達も俺に跟いて来い。俺が宣伝歌を歌ふ後から一緒に歌ふのだ。さうすれば無事安全に渡れるから』 甲『可愛い嬶に久し振りに御面会が叶ひますかなア』 乙『又嬶の事を言ひよるワ。渡つた上の事だ。一寸先は暗の世だよ』 石凝姥『貴様はウラル教だな』 乙『滅相な、ウラメシ教です。もう之から私も三五教になります。然し私の女房だけはあなない教にして貰つては困ります』 丙『三五教でも心配するな。矢つ張り、あな有難やアルタイ山だ』 としやれながら、石凝姥神の後に跟いて浮木の橋を西に向つて漸く渡り終りぬ。 (大正一一・二・二七旧二・一北村隆光録) |
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霊界物語 | 10_酉_黄泉比良坂の戦い | 37 祝宴 | 第三七章祝宴〔四六七〕 鉄彦夫婦は最愛の一人娘清姫の大難を免がれ、かつ国中の禍の種を除かれたるは、全く神の御恵みと、天津祝詞を奏上し、宣伝歌を奉唱し、祝ひの宴を開き、村中数百の老若男女は、上下の区別なく祝ひの酒に酔ひ潰れ、喜んで泣く者、笑ふ者、法螺を吹く者など、沢山現はれ来り、其中より四五の若者は門番の時公を取り巻き、 甲『オイ時公、貴様は随分えらい勢で帰つて来て、途法途轍もない法螺を吹き居つたが、宣伝使様の御歌を聴けば、何だ、貴様は腰を抜かして、吠面かわいたぢやないか。何でソンナ空威張をするのだ』 時公『吠面かわくつて当然だ。ところで吠えぬ犬はないと言ふぢやないか。法螺を吹くのも吠面かわくのも、時公にとつての愛嬌だよ』 甲『また洒落よるナ。貴様ア、昔は時野川と言つて小角力をとつたと言つただらう。サア、俺と一つ、此座敷で角力をとつて見ようかい』 時公『措け措け、危ないぞ。葱の様なヒヨロヒヨロ腰で、鉄のやうな時さまに当るのは、自滅を招くやうなものだ。それよりもアルタイ山に行つた時の実地談を聴かしてやらうかい』 乙『オイ、皆の者、此奴の言ふ事は、いつも法螺ばかりだ。眉毛に唾を付けて聴いてやれ』 時公『ヨー、俺に敬意を表してツハモノと言ふのか。イザこれより時公がアルタイ山の曲神退治の梗概を物語るから確かり聴け。抑々アルタイ山は深山幽谷、これに進み行く者は、虎狼か山犬か、但しは熊か時公さまか……』 甲『オイオイ、初めから吹くなよ。吾々も唐櫃を舁いで、現に登つた連中ぢやないか』 時公『ヤア、縮尻つた。これからが真実の物語だ。そもそも汝ら村の弱虫等に、砦の前で別れてより、暗さは暗し、雨は車軸と降つて来る、風は唸りを立てて岩石も飛び散るばかりの凄じさ。それを物とも致さず時公さまは、三五教の宣伝使石凝姥を従へて、梅ケ香姫を舁ぎつつ巌窟を指して、天地も呑まむず勢に、七八尺も一足に跨げながら、巌戸の前にと立現はれ、ウン、ウーンとばかりに唸つて見せた。流石に剛き蛇掴の野郎も、吾言霊に縮み上つて大なる火の玉と変じ、小さき火玉と諸共に、天に舞ひ昇り、西南の空を指して、アーメニヤに逃げ去つたり、と思つたのは彼が計略、忽ち時公さまの身体に神憑りいたし「ヤア、吾こそはアルタイ山の主神蛇掴であるぞ」と呶鳴り立てた。流石の宣伝使も慄ひ上つて、モシモシどうぞ生命ばかりはお助け下され、コヽこの通り腰の骨が宿替へ致しました、とほざきよるのだ。そこでこの時公さまに憑つて来た蛇掴奴が「ヤア、この時公は赦す積りで居れども、副守護神の蛇掴が赦さない。頭から塩をつけてムシヤムシヤとかぶつて喰つてやらうか」と仰有るのだ。梅ケ香姫は白い手を合して「モシモシ時公さま、どうぞ石凝姥の宣伝使を助けて下さい」と可愛い顔して頼むものだから、時公さまも、副守護神も、俄に憐れを催して「今晩は喰ひ殺す処なれど、汝の優しい顔に免じて赦してやらう」と仰有つた。さうすると宣伝使が平蜘蛛になつて、喜ぶの喜ばないのつて、譬へるに物なき次第なりけりだ』 丙『オツト、時公、待つた。そりやお人が違やせぬか』 時公『人の一人ぐらゐ違つたつて何だ。一寸身代りになつて言つとるのだ』 乙『ハハー、さうすると時公が石凝姥の宣伝使で、その宣伝使が時公としたら真実だな』 時公『そんな種明かしをすると、酒の座が醒める。マア黙つて聴かうよ。それからこの時公が手頃の岩を拾つて、フツと息を吹きかけ、固いかたい石の槌を造つて、鬼の化石の首を片つ端からカツンカツンとやつた。その腕力は炮烙でも砕ぐやうに、首は中空に舞ひ上つて、どれもこれもアーメニヤに向つて飛んで行つてしまつたよ。アハヽヽヽ』 甲『オイ鰤公、チツト勇まぬか。この目出度い酒に、何をベソベソと吠えてゐるのだ』 鰤公は泣き声で、 鰤公『貴様達は嬉しからうが、俺は三年振りでヤツト故郷へ帰つたと思へば、俺の娘は今年の春、蛇掴の悪神に喰はれてしまつたと言ふ事だ。天にも地にも一人よりない娘の顔を見ようと思つて、今の今まで楽しんでゐたのが、噫夢となつたか。夢の浮世と云ひながら、さてもさても悲しい事だワイ。これが泣かずにゐられよか。アーンアーンアーン』 時公『ウアハヽヽヽヽヽ』 鰤公『ヤイヤイ、貴様は何が可笑しい。俺が大切な娘を喰はれて悲しんでゐるのに、笑ふと云ふ事があるものかい。ヤイ、アーンアーンアーン』 時公『ワハヽヽヽヽヽ』 鰤公は四辺かまはず、 鰤公『ウオーンウオーンウオーン』 と狼泣きをする。 甲『オイオイ鰤公、泣くな。貴様とこの娘は、そら、そこに来て居るぢやないか。最前から貴様が帰つたと言ふ事を聞いて、探しまはして居るのだけれど、あまり色が黒くなつたものだから、分らぬので迷つてゐるのだ。時公の奴、貴様を威かしてやらうと思つて、アンナ法螺を吹きよつたのだよ』 鰤公『ウオーンウオーンウオーン、娘、娘、居るか居るか、女房も居るか』 此声に女房も娘も走り来つて、鰤公に取り付き嬉し泣きに泣き立てる。 清姫は立上り、声も涼しく歌ひ始めた。 清姫『年てふ年は多けれど月てふ月は多けれど 日といふ日にちは多けれど世界晴した今日の日は 如何なる吉日の足日ぞや曲津の神に呪はれて 命も既になきところあな有難や三五の 神の教の宣伝使石凝姥の神司 梅ケ香姫の御恵み神の御稜威の輝きて 吾身はここにアルタイの山より高き父の恩 母の恩にも弥勝る神の恵の露に濡れ 湿り果てたる吾袖の涙も乾く今日の空 噫有難やありがたや吾が父母と諸共に 今より心を改めて天教山に現れませる 日の出神や木の花の厳の御魂の御教と 黄金山に現れませる埴安彦や埴安姫の 神の命の御教を麻柱ひまつり祝ぎまつり 地教の山に現れましし神伊邪那美の大神の 鎮まり給ふ月夜見の円き身魂を洗ひつつ この世の暗を照すべし朝日は照るとも曇るとも 月は盈つとも虧くるともたとへ天地は覆るとも 三五教を守ります誠の神は世を救ふ 救ひの舟に棹さして浮世の浪を漕ぎ渡り 大海原に棹さして高天原に漕ぎ行かむ 月の光も清姫の清き心の真寸鏡 隈なく光る今日の空光り輝く今日の空 あゝ諸人よ諸人よ返すがへすも三五の 教に魂を研けかし神に身魂を任せかし 祈れよ祈れよ真心を神に捧げて祷れかし 祈るは命の基なるぞ祈るは命の基なるぞ』 と歌ひ終り、賑かに此宴会は閉された。茲に鉄彦は、二人の宣伝使と共に宣伝歌を歌ひながら後事を妻の鉄姫に託し、アルタイ山を右に見て、西へ西へとクス野ケ原の曠野を進み行く。 (大正一一・二・二七旧二・一河津雄録) (全文昭和一〇・三・三〇王仁校正) |
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霊界物語 | 12_亥_天の岩戸開き | 26 秋月皎々 | 第二六章秋月皎々〔五二二〕 心も広き琵琶の湖中に漂ふ竹の島 神素盞嗚大神の瑞の御霊と現れませる 十握剣の分霊秋月姫の神司は 島の頂上を搗き固め珍の御舎千木高く 仕へ奉りて皇神の瑞の御霊を朝夕に 斎き奉らせ天地に塞がる四方の村雲を 払ひ清めて麗しき神の御稜威を照さむと 朝な夕なに真心を籠めて祈願の神嘉言 市杵嶋姫神司夜も呉竹の宮の奥に 天津祝詞の太祝詞宣らせ給へる折もあれ 眼下に響く鬨の声沖の嵐か波の音か 穏かならぬ物音と足もいそいそ高楼に 上りて真下を眺むれば思ひも掛けぬ戦士 雲霞の如く群がりて鋼鉄の鉾を打振りつ 島に住まへる百人を当るを幸ひ斬りまくる その勢に辟易し右往左往に逃げ惑ふ その惨状は中々に他所の見る目も憐れなり 処狭きまで茂りたる小笹の籔に火放てば 折から吹き来る潮風に火は煽られて濛々と 破竹の音も騒がしく宛然修羅の戦場と 忽ち変る神の島見るに忍びぬ次第なり。 秋月姫は立ち上り、 秋月姫『ヤアヤア、敵軍間近く押寄せたり。高倉別はあらざるか、竜山別は何処ぞ』 と呼はる声に、高倉別は目を擦り乍ら忽ちこの場に飛むで出で、 高倉別『只今お召しになつたのは何の御用で御座いますか』 秋月姫『汝高倉別、速に高楼に上り相図の鼓を打てよ』 ハツと答へて、高倉別は飛鳥の如く高楼目がけて馳上り、 高倉別『神聖無比のこの嶋に向つて攻め来る大軍は果して何者ぞ。ウラル姫の部下の魔軍か、但は天教山の神軍か。何は兎もあれ、防禦の用意』 と其儘ヒラリと一足飛び、 高倉別『ヤアヤア竜山別はあらざるか。敵軍間近く押寄せ来り乱暴狼藉、竹藪に火を放つて只一戦にこの神嶋を屠らむとする憎き計画と覚えたり。ヤアヤア諸人共、防禦の用意』 と呼はれば、竜山別は声に応じてこの場に現はれ来り、 竜山別『思ひ掛けなき敵の襲撃、敵は何者なるや、一先づ偵察仕らむ』 高倉別は早く行けよと下知すれば、ハイと答へて竜山別は、栗毛の馬に跨り、八十曲りの坂道を手綱を掻い繰り、シトシトと阪下さして進み行く。高倉別は館の内の人数を残らず招集めたるに、集まるもの男女合せて僅に四十八人。 高倉別『ヤア皆の者共、雲霞の如き大軍本島に攻め寄せたり。斯くなる上は衆寡敵せず、体を以て体に対し、力を以て力に対する時は勝敗已に明々白々たり。如かず、汝等は口を清め手を洗ひ、呉竹の宮の前に致つて恭しく神言を奏上し、宣伝歌を唱へて神の守護を受け、寄せ来る敵を言向け和せよ。我はこれより奥に進み秋月姫の御身の上を守護し奉らむ』 と言ひ捨て奥殿目がけて進み入る。一同は命の如く身体を清め呉竹の宮の前に端坐し声も朗かに天津祝詞を奏上したりける。秋月姫は高楼に登り、寄せ来る敵に打向ひ悠々迫らざる態度を以て声淑かに天津祝詞の神嘉言を奏上し、終つて天地に向ひ祈願の言葉を奏上し給ふ。 秋月姫『仰げば高し久方の天津御空を知食す 神伊邪那岐の大御神大海原を知食す 神伊邪那美の大御神神素盞嗚大神と 現れ出でませる大空の光も清き月照彦の 神の命や足真彦少名彦神、弘子彦の 神の霊の幸ひに醜の軍を言向けて この竹嶋に寄来る百の仇をば平けく いと安らけく鎮めませ十握の剣の威徳にて 勢猛り進みくる荒ぶる神も程々に 生言霊の御光に照し給ひて天が下 四方の国には仇もなく穢れも罪も枉事も 薙払へかし神の風神が表に現はれて 善と悪とを立別ける善を助けて悪神を 言向け和す神の道唯何事も人の世は 直日に見直し聞直し世の枉事は詔り直す 誠の神の在しまさば嶋に塞がる村雲を 霽して誠の日月を照させ給へ逸早く 此世を造りし大本の皇大神の御前に 畏み畏み祈ぎ奉る』 と歌ひ終り、高楼より降り来る折しも、高倉別は馬に跨り急ぎ館に立帰り、 高倉別『秋月姫神に申し上げます。当山の寄せ手はウラル彦、ウラル姫の魔軍ならむと思ひきや、撞の御柱大神の珍の御子なる五柱の一神、天津彦根神、鋼鉄の鉾を打揮ひ竹藪に火を放ち、狼狽へ騒いで逃げ廻る嶋人を一人々々引捕へ、見るも悲惨なその振舞、建物を破壊し生物を屠戮し乱暴狼藉至らざる無く、群がる数万の軍勢に対し、味方は僅に老若男女を合して四十余人、人盛なれば天に勝つとやら、もう斯うなる上は是非に及ばず潔く自刃を遂げ、名も無き敵の奴輩に殺されむは末代の恥、我より冥途の魁仕らむ』 と早くも両肌を脱ぎ、短刀を脇腹に突き立てむとする一刹那竜山別は、宙を飛むでこの場に現はれ来り、高倉別が短刀を矢庭に引奪り声を励まして、 竜山別『ヤア高倉別殿、貴神は尊き神に仕ふる神司、この場に及ンで神より受けし貴重なる生命を自ら捨てむとし給ふは何事ぞ。今の今迄全心全力をつくし、力およばずして後に運命を天に任さむのみ。是人を教ふる我々の採るべき道には非ざるか。少時思ひとどまり給へ。善悪邪正を鏡にかけし如く明知し給ふ誠の神はいかで吾等を捨て給はむや。自殺は罪悪中の罪悪なり。貴神は何故に斯かる危急の場合に臨みて神に祈願せざるや』 高倉別『アヽ貴神は竜山別殿、俄の敵の襲来に心も眩み一身の処置に迷ひ、神を忘れ道を忘れたるこそ我不覚、恥かしさの限りなれ。然らば仰せの如くこれより高楼に登り、天地の神に祈願を凝らさむ』 と悠々として高楼目がけて登り行く。 天津彦根神は数万の神軍を率ゐて勝に乗じ表門に迫り来たる。館の老若男女は悲鳴をあげて前後左右に逃げ廻るにぞ勝誇つたる神軍は潮の如くに門内に乱れ入る。奥殿の高楼には荘厳なる一絃琴の音爽かに天津祝詞の声清々しく響き居る。天津彦根神は祝詞の声に心和ぎ茫然として耳を傾け聞き入りぬ。暫くにして太刀、弓矢を大地に投げ付け両手を拍つて共に神言を奏上する急変の態度に数多の戦士は、大将軍のこの挙動に感染しけむ、何れも武器を捨て大地に端坐して両手を拍ち天津祝詞を声高々と奏上する。 時置師神、行平別神は宣伝歌を歌ひながら神軍の後方に立つて面白可笑くし手を振り足を轟かし歌ひ舞ふ。秋月姫は高倉別、竜山別を従へこの場に現はれ、長袖しとやかに、 秋月姫『とうとうたらりや、とうたらり、たらりやアたらり、とうたらり』 と扇を開いて地踏み鳴らし舞ひ狂ひ玉ふ。高倉別、竜山別を初め神軍の大将天津彦根命、時置師神、行平別神は中央に現はれ、秋月姫と諸共に手拍子足拍子を揃へ、敵味方の区別も忘れて狂ふが如く踊り廻る。 この時天上に群がれる黒雲は科戸の風に吹き散りて、天日の光晃々と輝き始め素盞嗚命の疑は全く晴れ渡つた。天津彦根神は喜び勇むで数多の将卒を引連れ、琵琶の湖を渡りて天教山に凱旋せり。後に残りし時置師神、行平別神は、或は殺され或は負傷に悩む嶋人に一々伊吹の狭霧を施し、死したる者を生かし傷つける者を癒やし、焼けたる林は天の数歌を歌ひ上げて再旧の如く青々と緑の山に化せしめける。 茲にまた高光彦の宣伝使は時置師神、行平別神と共に窃にこの嶋に現れ来り、森林の中に身を潜めて天の数歌を歌ひこの惨状を平和に治めたる勇神なり。秋月姫は高光彦と結婚の約を結び、永くこの島に留まりて神業に参加し給ひぬ。又、中の弟玉光彦は瀬戸の海の一つ島なる深雪姫を娶り、万寿山に立ち帰り父磐樟彦神の後継者となりて永遠に神業に参加し給ひけるとなむ。 (大正一一・三・一一旧二・一三北村隆光録) |
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霊界物語 | 12_亥_天の岩戸開き | 28 三柱の貴子 | 第二八章三柱の貴子〔五二四〕 神代の太古、伊邪那岐命よりお産れ遊ばした天照大御神様、この神様は日の大神様と申上げて、本部綾部に御祀りしてあります所の神様であります。このへんから申上げます。 伊邪那岐命が 『筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐ケ原に於て禊身し玉ふ時、左の御目を洗ひ給ひて成りませる神の御名は天照大御神、次に右の御目を洗ひ給ひて成りませる神の御名は月読命』 といふことが書いて御座います。目といふものは吾々肉体から申しますると、右と左と両方に持ちて居りまして物を視るといふことの上に最も大切なものであります計りか、眼は心の窓と申します位重要なもので御座います。所が一歩進んで考へて見ますと、総てこの宇宙間に形を持つて居るものは森羅万象残らず目すなはち眼目といふものがなくてはならぬ。実際凡ゆるものに眼目があると云ふ事は吾人は常に之を認め得るのであります。姿こそ人間のやうな姿ではないけれど、他の動物に於てもこの眼をもつて居ります。禽獣虫魚草木の類に至るまで此眼のないものはありませぬ。また一つの文章を読みましても、この中にも必ず眼目といふものがあります。御勅語の中にも眼があります。 『皇祖皇宗国ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ、汝臣民克ク忠ニ克ク孝ニ』 これが教育勅語の眼目であります。また戊申詔書には、 『淬礪ノ誠ヲ輸サバ国運発展ノ本近ク斯ニ在リ』 これが詰り眼になつて居る。その通り初め天地をお造りになるに当つても、この宇宙を治める為にはどうしても、眼といふものが必要であるといふので、そこで伊邪那岐命は天地の主をお創めになつたのであります。すなはち伊邪那岐命は、先づ天の主をこしらへたい、この霊界の主宰者をこしらへたいと思召しになりまして左の目を洗ひ給うた、この左の目といふのは日であります。太陽神であつて上である。右の目といふのが太陰神であつて下であります。言霊の天則から申しますと左は男、右は女と、これは既に神様の御代から定まつた掟である。然るにこの左の目を洗うてお生れになつたのが日の大神、天照大御神であつて、右の目を洗うてお生れになつたのが月読命、さうすると目からお生れになつたのは、変性男子女子でありました。左の目をお洗ひになつて直ぐお生れになつたのが変性男子の天照大御神でありました。これで詰り左を宇宙霊界とし、右を地球として、天上天下の君をお生みになつた訳であります。 『次に御鼻を洗ひ給ひしときに成りませる神の御名は建速須佐之男命』 はなは初めに成るの意義で即ち初めである。物質の元であります。花が咲いて而して後から実を結びます。人間の身体が出来るにつきましても、先づ胎内に於て人間の形の出来る初めは鼻である。それから眼が出来る。絵師が人間の絵を描きましても、その輪廓を描くのに何より先に鼻を描く、鼻は真中である。鼻を先へ描いて然る後に目を描き口を描いてそこで都合好く絵が出来るのである。この初めて出来た統治の位地にお立ちになるのが須佐之男命であります。俗に何でも物の完成したことを眼鼻がついたと申します。神様も此世界をお造りになつて、さうしてそこに初めて眼鼻をおつけになつたのであります。 『此時伊邪那岐命太く歓喜して詔り給はく』 愈天地が完全に出来たから、神様は非常にお喜びになつた。これまでに神様は随分沢山な御子達をお産みになつて居りますが衝立船戸の神様から十二柱ありました。その次に三柱お生れになつてをるので都合十五柱であります。男神様は我はかやうに沢山の子を産むだが、しかし今度の様な眼鼻になる所の子は初めてである。 『吾は御子生みて、生みの果に三柱の貴子得たり』 と仰せられまして、やがて、 『其御頸珠の玉の緒母由良に取りゆらかして』 即ちむかしの勾玉と申したやうな、高貴な人が飾りとしてかけて居つた頸珠であります。丁度今で申しますと大勲位章とか、大綬章とか、一等勲章とか云ふ意味の、曲玉のやうなのを掛けて居られたかと思はれます。 そこでこの玉を自分からお取り脱しになつて天照大御神にお渡しになつた。母由良にとりゆらかしてといふことは何でも非常に喜んで物を渡すときには、自然に手や身体が揺れる。一面から云へば揺つて渡す。頂くときにも亦揺つて頂く、今は然う云ふやうなことでは御座いませぬけれども、本当に嬉しいときには然うなつて来るのであります。さて之を揺りよい音鳴りをさせながら天照大御神に賜ひまして詔給はく、 『汝が命は高天の原を知らせ』 と高天原を主宰せよと仰せになつて珠をお授けになつたのであります。 『かれ其御頸珠の名を御倉板挙之神と申す』 此の御倉板挙之神といふことは、言霊学上から見ても、神様の方で申されまする暦――此世界には恒天暦、太陽暦、太陰暦の三つの暦が常に運行循環して居るのであります。で、此御頸珠をお授けになつたといふのは、所謂御倉板挙之神、即ち恒天暦、太陽暦、太陰暦をお授けになつたのであります。 『次に月読命に詔給はく「汝が命は夜の食国を知らせ」と事依さし給ひき』 右の眼よりお生れになつた月読命に夜の主宰をせよと仰せられた。知らせといふことは、大事に守護り能く治めよといふ意味で、太陰の世界を主宰せよと仰有つた。高天原は全大宇宙である。夜の食国は昼の従である。それで月読命はどこまでも天照大御神を扶けて宇宙の経綸に当れと、斯う云ふ詔であります。 『次に建速須佐之男命に詔給はく「汝が命は海原を知らせ」と事依さし給ひき』 須佐之男命は鼻からお生れになつた方であります。海原といふのは此地球上のことであります。地球は陸が三分の一しかありませぬ、三分の二といふものは海であります。で地球を総称して大海原と申すのであります。斯うして伊邪那岐命様は深いお考へから夫々其知ろしめす所を、各々にお分けになつて、汝は高天原を、汝は夜の食国を、汝は地球上即ち大海原を知ろしめせと、御神勅になつたのであります。今日は天照大御神の三代の日子番能邇々芸命が、どうも此お国が治まらぬといふので天から大神の神勅を奉じて御降臨になつて、地球上をお治め遊ばして、さうして我皇室の御先祖となり、其後万世一系に此国をお治めになつてあるのでありますが、それより以前に於きましては、古事記によりますと須佐之男神が此国を知召されたといふことは前の大神の神勅を見ても明白な事実であります。 『故各々依し給へる御言の随に、知らしめす中に、速須佐之男命、依さし給へる国を知らさずて、八拳髯胸前に至るまで啼いさちき』 須佐之男命は大神の仰に随つて地上に降臨遊ばされた。地上を治める為めに、お降りになりましたけれども、その時この地上は乱れて居つて、神代にも丁度今日のやうな世があつたものと見えます。で今日のやうに政治であらうが、宗教であらうが、教育であらうが、何から何まで一切のものが行き詰つて了うて、もう行きも戻りも上げも下しも出来ぬ様になつて居つた。それで須佐之男命様は、この世の中を安らけく平けく治めて大神を安堵させ奉る事が出来ないから非常にお歎きになつて、『八拳髯胸前に至るまで』長く長く髯が延びて胸前の所まで下つて来るまで御心配をなすつた。人といふものは髯を拵へたり髪を整へたり、いろいろのことをして、容貌を整へなくてはならぬけれども、此国を治めようといふ事に、余り御心配を遊ばしたのでありますから、知らぬ間にこの髯が八拳に長く伸びて居つたのであります。 『泣きいさちき』 といふのは、世の中の一切悉くのものが、もうどうしても、これから進むで行くとか、開けて行くとか、どうしたらよいかといふ方法がない、手のつけやうがないといふまでに非常に行き詰つて了つた状態を、お歎きになるさまに形容したのであります。 『其泣き給ふ状は』 どういふ工合であつたかといふと、 『青山を枯山なす泣き枯らし』 今まで山などの草木が青々と生ひ繁つて居たのに、世が行き詰つた為に枯れて了うた。枯らして了うた。山がすつかり一変して枯山となつてしまうた。これは今日の状態によつく似て居るではありませぬか。今まで十年計画、百年計画といふやうな風にいろいろな事業が企てられた。何会社が立つの、或は何事業が起されたと、無茶苦茶に四五年前から本年の春までは偉い勢で、好景気を謳歌して、青々とした山の如くに有頂天になつて居りましたが、青山がいつまでも天空につかへないが如くに、なんぼ木が伸びたつて天につかへる気遣ひのないやうに、一朝行きつまれば最早さう云ふ勢はすつくり枯れて了ふ。今年の春からこの方、元も子もなくなつて、青山は枯山になつた。どうしても伸びる方法もない、火の消えたるが如き有様になつて了つたのであります。 『河海は悉に泣き乾しき』 山が枯山となつたと同じく、河も海も悉く乾いて了うて、一滴の水もなくなつたといふのであります。今日の世の中に譬へて申しますれば、郵船会社とか、商船会社とか其他いろいろの海運業も追々と仕事がなくなつて二進も三進も行かなくなつた。すると此海河の労働仕事に従事して居るものは、稼殖の途のなくなるのは勿論、稼業に離れる、職に離れるといふことになつて来ると一家は子供に至るまで、悉く泣き乾しになる。最早や食ふ道がないやうになると、もう乾干になるより仕様がない。総て海に稼いで居る者も、河に従事して居る者も、其他一切のことに従事して居る者も、みんな泣き乾しになつて了うたのである。 『是を以て悪神の音なひ、狭蠅なす皆沸き、万の物の妖悉に発りき』 神代に於ても世が行き詰つて来れば、そこにいろいろの不祥なる事件が起つて来たものと見えます。 畏くも明治天皇陛下が、 『之ヲ古今ニ通ジテ謬ラズ之ヲ中外ニ施シテ悖ラズ』[※教育勅語の一節] と仰せられましたやうに、真理といふものは何れの時代にも適応するので御座います。既に古事記の明文にある所で御座います。今日の状態を考へて見れば、丁度此岩戸開き前の状態と克く似て居る。世がどん底に行き詰つて労働しようにも仕事がない、仕事がなければ妻子眷族を養ふことが出来ない。生活といふことが出来なくなるとそこで悪神の音なひとなり、いろいろの騒動が起つて来る、人間の心が荒んで来る。衣食足つて礼節を知る、今まで善い魂を持つて居つたものも、だんだん悪い魂の力に押へられて悪化して了ふ。食ふか食はぬか、死ぬか生きるか、喰うて死ぬか食はずに死ぬか、斯う云ふ苦しい立場になりますと、人心は日増しに悪化して善くないことが往々始まる。甚だしきは警察へ行つて御厄介になつた方が楽で、養なつて呉れて安全だといふものが出来る。監獄に入れば食はして呉れる、金銭はなくても可いといふ具合に自暴自棄的に悪神の音なひが始まる。此音なひといふのは、神様の御真意に背いた所の、いろいろの論説が出て来るといふので、あちらからも此方からも異端邪説が叢り起ることであります。然うした結果が、うるさい所の五月蠅のやうにブンブンブンといろいろの事が湧いて、 『万の物の妖悉に発りき』 一切のものに災禍が起つて来る。外交の上に於きましても、内治の上に於きましても、商工業の上にも、一切万事、何も彼にも、世の中のありと凡ゆるものに向つて、みな災禍が起つて来るのであります。そこで天から伊邪那岐大神が之を御覧になつて、 『速須佐之男命に詔給はく』 仰有るのには、 『何とかも、いましは、事依させる国を治さずて泣きいさちる』 そなたは、此大海原の国を治めよと言うてあるのに、何故それを治めぬのか、世の中を斯う云ふ難局に陥らせたのか、何うして騒がしい世の中として了うたのか、と大変にお責になつたのであります。すると須佐之男命は、誠に相済まぬ事であります。兎も角これは私に力が足らぬからであります。私が悪いのでありますとお答へになつた。併し斯うなつて来ては如何なる人が出て来ても、此時節には敵はない。治まるときには治めなくても治まるが、治まらぬときに之を治めるといふ事は難かしいものであります。人盛んなれば天に勝ち、天定まつて人を制す、悪運の強い時には如何なる神もこれを何うも斯うもする事が出来ない。艮の金神様も此時節の勢には敵はぬと仰せられて、それで三千年間あの世に隠れて、今日の神政成就の時節を待つて、現在に顕はれ天の大神様の御命令を奉じて、三千世界の立替立直しをなさらうといふのであります。大神様でさへもさう仰せに成るのでありますから、況して須佐之男命が大変に行き詰つた地上を治めようとなさつてもどうして治まらう筈がありませう。然らば何故須佐之男命御一人では治まらないのであるかと申せば、それは今日文武百官がありまして、亦た政党政派が互に相争ひ、一方が斯うすれば一方が苦情を持ち出して思ふやうにならぬ如く前に申しましたやうに既にいろいろの神様達が沢山あつて、其神々様が各自に天津神の御心を取り違へて、所謂体主霊従に陥つて居られたので、一人の須佐之男命がどれ程誠の途を開かうとなすつた所で、更に耳に入れるものがない、各自に勝手な真似をなさる。丁度強情な盲と聾との寄合のやうであります。そこに千仭の谷があつても盲は顛覆へるまでは知らぬ顔をしてをる。どれ程雷が鳴つても聾は足下に落ちるまでは平気である。それに強情を張つて誰が何と注意しても聴かない。神代の人もそのやうに体主霊従で、どうしても命の命令を聴かなかつた。それで須佐之男命は、これは取りも直さず自分の責任である、自分の不徳の致す所である、到底自分の力では及ばないのであると、自らをお責めになつて、 『あは妣の国、根の堅洲国に罷らんと思ふが故に泣く』 私はもうお暇を頂いて、母の国に帰らうと仰せられたのであります。根の堅洲国と申すのは母神の伊邪那美命がおいでになつてゐる所であります。尤もこれまでの或る国学者達は根の堅洲国といふのは地下の国であると云つて居りますが、併し一番に此伊邪那美命は月読命と同じく月界に御出でになつたのでありますから、月界を根の堅洲国と言つたのであります。で須佐之男命は自分の力が足らないのである、不徳の致す所であるからして自ら身を引いて、根の堅洲の国へ行かうと仰有つて、一言も部下の神々の不心得や、其悪い行状を仰せられなかつた。如何にも男らしい潔白なお方で御座います。所が伊邪那岐命は非常に御立腹になつた。 『然らばみまし此国にはな住みそ』 其方のやうな此海原を治める力量の無いものならば、二度と此国に住むではならぬ。勝手に根の堅洲国へ行つたがよからう。一時でも居つてはならぬぞとお叱りになつたけれども、伊邪那岐命は須佐之男命の心中は疾くに克く御存知である。自分の子がどうして此国を治める事が出来ないか、どうして自分の珍の児の言ふことを万の神々が聴かぬか、腹の底では充分に御存知でありますが、それを彼此仰有らない。心の中には千万無量のお悲しみを持つて居られまするけれども、他に多くの神々に傷をつけるといふことは考へ物である。それで須佐之男命に刑罰を与へて罪人としたならば、その他の八百万の神、これに随いて居る所の神等はそれを見て皆改心するであらう、その悪かつたことを悟るであらうと思召して大神様は自分の子を罰せられたのでありまして、普通の者の出来難いことで御座います。その広大なるお情深い御心は、誠に勿体ない次第でありませぬか。此須佐之男命を罪に問うたならば、あれこそ吾々の為めに罪せられたのである、誠に済まないことであるから、吾々は悔い改めて本当の政治をしなければならぬ、改心を早く致して命の罪を赦されむ事を八百万の神々が思ふであらうと思召して伊邪那岐命は此処置をお取り遊ばしたのであるが、矢張体主霊従に陥られた八百万の神達は容易にそれがお解りにならず、あれは当然である、政治の主権をあんな者が握つて居つては国の治まらう筈がない、あれが居なくなれば又善い神様が来るに違ひない、否吾々の力で充分に世を治めようといふやうな頗る冷淡な間違つた考へを有つて居つたのであります。寔にこんな世の中を治めようとするには並大抵の事ではないので御座います。 (大正九・一〇・一五講演筆録) (大正一一・三・五再録谷村真友録) |
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霊界物語 | 17_辰_丹波物語2 丹波村/鬼ケ城山 | 06 瑞の宝座 | 第六章瑞の宝座〔六一七〕 樹木鬱蒼として生茂れる四方山に包まれたる清浄の境域に、水晶の如き水は潺々として流れ、処々に青み立ちたる清泉幾つとなく散在して居る。中空には容色麗しき天津乙女の七八人、微妙の音楽につれて右往左往に舞ひ狂ひ、迦陵頻伽、鳳凰、孔雀の瑞鳥相交はりて前後左右に飛び交ふ様は、天国浄土の大祭日も斯くやと思はるる許りの壮観なりき。苔生す美はしき巌の上に容色端麗にして威儀儼然たる一人の女性、日の丸の扇を両手に持ちて唄ひ居れり。 女神『自転倒島は松の国堅磐常磐に揺ぎなく 御代は平らに安らかに国も豊に治まりて 天下泰平国土成就五穀成熟山青く 水清く実に豊国姫の神の命の知らす世は 天津御空の神国か常世の春の永久に 栄え久しき松の御代天津神たち国津神 万の神等始めとし百の民草押し並べて 歓ぎ賑ふミロクの世天津乙女は天上に 錦の袖を翻し鳥は万代囀ひ舞ふ 天と地との水鏡真如の月を浮べつつ 神素盞嗚の大神の此世を清め洗ひます 瑞の霊は弥赫耀に輝き渡る大御代の 誉目出度き三五の神の教の遠近に 真名井ケ原と鳴り響く豊国姫の神霊 神素盞嗚の瑞霊野立の彦や野立姫 暗夜を照らす日の出別一度に開く木の花の 咲耶の姫の御神姿青雲高き富士の山 轟き鳴戸瀬戸の海深き恵みの神の露 潤ふ世こそ楽しけれ潤ふ世こそ楽しけれ 春とは言へど尚寒き四方の山々樹々の雪 纒ひて謳ふ君が御代君と臣とは睦び合ひ 青人草も服ひて世は永久に栄え行く 国治立の大神の表に現はれ知らす世を 松竹梅の永久に待つ間の長き鶴の首 万代祝ぐ緑毛の亀の齢の限りなく 三五教の神の教千代に栄えよ永久に 幾億年の末迄も動かぬ御代と進み行け 変はらぬ御代と開け行け教の道は開け行く 御代の扇の末広く神の御風に靡く世を 来たさせ給へ惟神霊幸倍坐し坐世よ アヽ惟神惟神霊の幸を永久に 世人の上に悉く蒙らせ給へ大御神 豊国姫の神霊千代に八千代に祈ぎ奉る』 と自ら謡ひ自ら舞ひつつあるのは三五教の宣伝使悦子姫なりき。音彦は立ち上り、 音彦『高天原を追はれて地教の山に伊邪那美の 尊に会はせ給ひつつ名も高国別と現はれし 活津彦根と諸共に山河渡り野路を越え 高山四方に廻らせる西蔵国を言向けて フサの国をば横断しウブスナ山の頂に 斎苑の宮居を建て給ひ熊野樟日の命をば 守護の神と定めつつ神素盞嗚の大神は 八洲の国を悉く廻り給ひて今此処に 自転倒島に渡りまし由良の港の国司 秋山彦の神館に暫時息をば休ませつ 聖地を指して出で給ひ国武彦の大神に 神政成就の経綸を神議りに議らせつ 東を指して出で給ふ後に残りし英子姫 万代祝ふ亀彦の神の命は大江山 曲の猛びを鎮めむと悦子の姫を伴ひて 剣尖山の谷の底由緒も深き霊泉に 魂を清めて皇神の珍の御舎仕へまし 悦子の姫は青彦を伴なひ再び大江山の 魔窟ケ原に来て見れば心汚き黒姫の 辻褄合はぬ繰言に言向け兼ねて進み来る 心も清き雪の道天の橋立後に見て 駒に鞭つ膝栗毛此音彦も諸共に 悦子の姫の後を追ひ真名井ケ原に来て見れば 聞きしに勝る神の園天の真名井と名にし負ふ 清き流れに身禊して瑞の霊となり代り 四方の国々島々に羽振りを利かす曲神を 言むけ向和し神国の守護の神と現はれて 瑞の霊に神習ひ御代永久に守るべし アヽ勇ましし吾心アヽ美はしき神の庭 神より生れし神の子の務めを尽すは此時ぞ 神の力を世に広く輝き照らすは此時ぞ アヽ惟神々々霊幸倍坐世よ 朝日は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも 仮令大地は沈むとも神の大道は変へざらめ 誠の道は外さざれ容も貌も悦子姫 聖の御代に青彦や万代祝ふ加米彦の 身魂照らすは今なるぞ勇み進みて皇神の 珍の御業に仕へなむ珍の御業に仕へなむ アヽ惟神々々御霊幸倍坐世よ』 音彦の此歌に悦子姫を始め一同は勇み立ち、豊国姫の時々神姿を現はし給うてふ、中央の石の宝座に向つて天津祝詞を奏上し、宣伝歌を謡ひ終る。折しも息せききつて走り来る加米彦は、 加米彦『ハー悦子姫様、音彦さま、青彦さま、その他の御連中様、御用心なされませ、只今ウラナイ教の魔神の大将株なる黒姫は、何時の間にやら数多の眷族を駆り集め、此地に向つて攻め寄せ、貴方等を十重二十重に取捲き、霊肉ともに殲滅せしめむとの計略整へ、時ならず此場に向つて進撃し来る形勢歴然たるもので御座いますれば、別条はありますまいが其お考えで居て下さい。仮令黒姫幾千万の曲神を引率れ押寄せ来るとも、此加米彦が円満清朗なる言霊の発射に依つて、一人も残らず言向け和すは案の内、必ず共に御油断あるな』 と息を喘ませ物語る。 音彦『アハヽヽヽ、黒姫の奴、百計尽きて今度は死物狂ひになりよつたな、小人窮すれば乱すとかや。ヤア之は面白い面白い、それに就いても俄に偉い元気になつたものだナア』 加米彦『承はれば高姫の肝煎りにて、フサの国より高山彦と云ふ勇将、数多の軍勢を引き率れ来り、黒姫と結婚の式を挙げ勢力を合して大団体を作り、一挙に素盞嗚尊の根拠地たる、真名井ケ原を攻略せむとの彼等が計画と承はる、必ず必ず御油断あるな』 音彦『アハヽヽヽ、又しても又しても、飛んで火に入る夏の虫か、憐れな者だな。青彦、汝は加米彦と共に、言霊を以て寄せ来る敵を言向け和せ、吾は悦子姫様と共に豊国姫の降臨を仰ぎ神勅を乞はむ』 青彦『委細承知仕りました。吾々二人ある限り仮令雲霞の如き大軍一時に攻め寄せ来るとも、言霊の速射砲を以て鏖殺しに仕らむ、アヽ面白し面白し』 と勇み喜ぶその健気さ。悦子姫は声を掛け、 悦子姫『ヤア加米彦殿、青彦殿、妾は皇大神の深き御威霊を賜り、最早神変自由の神業を修得したれば、天下に恐るるものは何物もなし。汝等妾に心惹かれず力限り言霊を以て奮戦せよ』 加米彦、青彦一度に頭を下げ地上に両手をつき、 加米彦、青彦『委細承知仕りました、何分宜敷御願ひ申す』 と勇み進みて此場を立退かむとする。時しもあれ、加米彦の急報に違はず近づき来たる黒姫が軍勢、高山彦を先頭に旗鼓堂々と此方に向つて進み来る物々しさ。 加米彦、青彦は寄せ来る高山彦の軍勢に向ひ、 加米彦、青彦『ヤア高山彦、御参なれ、身の程知らぬ馬鹿者共、某が言霊の速射砲にかかつて斃るな』 高山彦は馬背に跨り乍ら、 高山彦『ヤア汝は噂に聞く木端武者の加米彦とやら、その広言は後に致せ、ヤアヤア者共、加米彦、青彦に向つて進撃せよ』 常彦、菊若、夏彦、富彦、岩高の大将株は高山彦の指図の許に、各々数多の部下を引率れ、二人の周囲をバラバラと取り囲み、 常彦ら『サア加米彦、青彦、其他の奴輩、もう斯うなつては叶ふまい、此方が刃の錆とならむよりは、一時も早く心を改め素盞嗚尊の邪教を捨ててウラナイ教の誠の道に帰順致すか、神は汝等を憐れみ給ふぞ、我を折り降参致せば、如何に反対せし悪の身魂も赦して遣はす、サア返答は如何じや、如何に汝勇猛なりとて多勢に無勢、最早汝が運の尽、返答如何に覚悟は如何ぢや』 と四方八方より抜刀を揃へ攻めかかる、加米彦、青彦は一度に高笑ひ、 加米彦、青彦『アハヽヽヽ、心も黒い色も真黒々の黒助の黒姫に加担致す馬鹿者共、仮令幾万人攻め来る共蟷螂の斧を揮つて竜車に向ふにも等しき奴輩、吾言霊の神力を見よ』 と云ふより早く双手を組み一生懸命に神霊の注射をサーチライトの如く指頭より発射し、右に左に向つて振り廻せば、数多の寄せ手は俄に頭痛み、眩暈ひ、舌つり、身体或は強直し或は痳痺し、ウンウンと呻声を立てて此場にバタリと倒れたり。黒姫は此体を見て高山彦の馬に跨り、馬上に二人抱き合ひ乍ら雲を霞と逃げ行く可笑しさ。加米彦は打笑ひ、 加米彦『アハヽヽヽ、青彦殿、扨ても扨ても愉快な事では御座らぬか、吾々誠の神の教を伝ふる宣伝使に向ひ、傍若無人にも凶器を携へ攻め来り、脆くも吾言霊の発射にザツクバラン、身体竦み忽ち地上に倒れて藻掻く可笑しさ、それに付けても一層面白きは黒姫、高山彦の両人、味方を見捨て逃げ行く狼狽へさ加減、何と愉快では御座らぬか』 青彦『アハヽヽヽ、実に愉快ですな、矢張三五教は違ひますよ』 加米彦『貴方も、もう高姫のウラナイ教には、よもや後戻りは成されますまいなア』 青彦『仮令大地が覆へるとも変つてなりませうか』 加米彦『サア、何とも分らぬ、まだお前さまの言霊には少し許り濁りがある、その濁りの分がまだウラナイ教に執着心があるのだ』 青彦『殺生な事を言つて下さるな、其濁りはウラナイ教の信仰の惰力でせう。もう暫らくお待ち下さらば本当の言霊が出る様になりませう』 加米彦『それは兎も角、悦子姫様、音彦さまがお待ち兼ねでせう、サアサア早く霊場へ引き返しませう』 と先に立つて行く。悦子姫は音彦の審神の許に豊国姫の神の御降臨の最中なりける。 音彦『只今悦子姫の肉の宮に懸らせ給ふ大神は何れの神に坐しますぞ、仰ぎ願はくば御名を名乗らせ給へ、某は三五教の宣伝使音彦の審神者に御座います、神界の思召、何卒委細に吾等に仰せ聞けられ下されますれば有難う御座います』 神懸者(悦子姫)『我は豊雲野尊、又の御名豊国姫の神なるぞ、国治立の大神と共に一旦地底の国に身を潜め、再び地教の山に現はれて、大海原に漂へる国土を修理固成なしつつ時の至るを待ち居たりしに、天運循環して天津神より此聖地を我鎮座所と神定め給ひたり。我は此地に霊魂を止め自転倒島はいふも更なり、大八洲の国々島々に我霊魂を配り置きて世を永久に守らむ。汝は之より鬼雲彦を使役しつつありし八岐大蛇の片割れ鬼ケ城山に姿を隠し時を窺ひ、聖地を蹂躙せむとしつつあれば一日も早く此場を立ち去り、加米彦、青彦を引率れ此比治山の峰伝ひに鬼ケ城山に向へよ、我は汝が影身に添ひ、太しき功勲を永久に立てさせむ、必ず必ず案じ煩ふな、仮令幾千万の曲神攻め来るとも屈するな、恐るるな、神を力に誠を杖に善く戦へ、誠の鉾を執つて敵を言向け和せよ、又此聖地は我霊魂永久に守りあれば後に心を残す事なく一刻も早く此処を立ち出でよ。加米彦、青彦、汝等も音彦と共に鬼ケ城に向つて進撃せよ』 音彦『委細承知仕りました、いざ之よりは悦子姫様を先頭に吾々一同時を移さず、八岐大蛇の退治に立ち向ひませう、何卒々々御守護を仰ぎ奉る』 豊国姫『何事も神に任せ汝等が力のあらむ限り誠を尽せよ』 と云ひ残し神あがり給ひければ、悦子姫は初めて正気に復り、 悦子姫『アヽ有難し有難し、大神の御降臨、サア音彦殿、その他御一同様、鬼ケ城に時を移さず神勅のまにまに向ひませう』 音彦、青彦『委細承知仕りました、左様ならば之より参りませう』 加米彦『サア平助、お楢、お節どの、御苦労でありました、之でお別れ致しませう』 平助『私達は之から貴方等に別れて後は如何致しませう、只今の如く数多の軍勢押し寄せ来らば、吾々は如何とも防ぎ戦ふ事は出来ませぬ、何卒吾々も一緒に連れて行つて下さいませぬかナア』 音彦『ヤ、それはなりませぬ、然し乍ら如何なる敵も御心配遊ばすな、叶はぬ時は三五教の祝詞を奏上し宣伝歌をお謡ひなさい。さすれば如何なる強敵も雲を霞と逃げ去つて仕舞ひます、之が神歌の功力であります。左様なら、親爺どの、婆アさま娘子、御縁があらば又御目に懸らう』 と左右に分れ比治山の嶺伝ひに南を指して宣伝歌を謡ひつつ一行四人は進み行く。平助親子三人は名残を惜みつつ、トボトボと家路を指して帰り行く。 (大正一一・四・二一旧三・二五北村隆光録) |
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29 (1786) |
霊界物語 | 21_申_高春山のアルプス教 | 13 夢の女 | 第一三章夢の女〔六八七〕 竜国別は祠の下より蜘蛛の巣だらけになつて現はれ来り、あたりの木の葉や枯枝を集め、社側の広場に火を焚いた。此火光に照らされて以前の女は、艶麗譬ふるに物なく、暗よりポツと浮出たかの如うに輪廓も判然として、竜国別の前に徐々近寄つて来た。 竜国別『ヤア何処のお女中か知りませぬが、大変な危い事で御座いましたなア』 女(お作)『ハイ私は此里のもので、お作と申す一人娘で御座います』 竜国別『貴女は御兄弟はありませぬか』 お作『兄が二人、弟が一人、さうして両親共壮健に暮らして居ります』 竜国別『それは何よりお目出度い事で御座います。併し乍ら此真夜中にどうして、あの様な悪漢が貴女を引攫へたのでせう。貴女は女に似ず夜徘徊をなさいますと見えますなア、それ丈親もあり御兄弟もあれば、何程無茶な奴でも、貴女の家へ乗込むことは出来ますまいに』 お作『ハイ妾は恥かし乍ら一つの御願があつて、何時も此山口の宮様へ丑満の刻に、親兄弟にも知らさず、参詣を致して居りました。今日は三七二十一日の上りで御座ります。然るにどうして妾のお宮詣りを覚つたか知りませぬが、此お山の入口に彼等が待伏せして、妾を惟神にお宮の前に連れて来て呉れましたのよ』 竜国別『さうして其御願とは如何なる事で御座いますか。何か一身上に関はる御難儀でもおありになるのですか』 お作『貴方は今社の背後より大自在天大国別命と仰有りましたなア。それは本当で御座いますか。大自在天大国別命様なれば、彼等悪漢の日頃尊敬する、バラモン教やアルプス教の祖神様です。それにも不拘彼等が脆くも逃散つたのは、不思議ぢやありませぬか。妾は察するに、どうしても大自在天系統の、貴方の言霊とは受取れませぬ。屹度三五教の宣伝使………』 と図星を指されて竜国別は、 竜国別『イヤもう恐れ入りました、貴女の御明察。さうして貴女の御願ひの筋は、何か六ケ敷い事が出来て居るのではありませぬか』 お作『妾の一生に取つて一大事が突発したので御座います』 竜国別『それや又どういふ理由ですか』 お作『ハイ妾も最早十八才になりました。彼方此方から嫁にくれいと、父母兄弟に向つて日々迫つて参ります。然し乍ら私としては理想の夫が、まだ一人も見付かりませぬ。それ故適当な夫を授けて下さるようにと、今日で三週間お詣りを致しました。神様の夢の御告には、三週間目に宮の前で、一人の男に逢はして遣らう。それがお前の本当の夫だと教へられました。貴方は神様から御許し下された本当の夫、どうぞ可愛がつて下さいませ』 竜国別『これはしたりお女中、聊か迷惑のお言葉』 お作『ホヽヽヽヽ、迷惑と仰有いますか、貴方は女はお嫌ひですか。広い世の中に女嫌ひな男はありますまい』 竜国別『男の方から申し込んだ女房なら兎も角も、女の方からさう出られては何だか恐ろしくて、早速に御返事が出来ませぬワ』 お作『貴方は独身でせう。奥さんがあれば兎も角、今のお身の上、どうで一度妻帯を遊ばさねばならないのでせう。神の結んだ二人の縁、どうぞ色よき御返事をして下さいな』 竜国別『モシモシお作さんとやら、貴女は随分新しい女と見えますなア。世の中が変つて来ると、女の方から男に直接談判を始める様になつて来ると見える。ハテ変れば変るものだワイ』 お作『どうしても私の様な不束者はお気に入らないのですか』 竜国別『イエ滅相もない。天女の天降りか、弁財天の再来とも云ふ様な立派な綺麗な貴女、花で譬へて見れば、今半開の美しき露を帯びた最中、決して厭でも嫌ひでもありませぬが、何を申しても、神命を奉じ高春山に悪魔の征服に参る途中ですから、夫婦の約束なぞ思ひもよらぬ事で御座います』 お作『それでは女には決して目を呉れないと仰有るのですなア』 竜国別『勿論の事です。折角乍ら今日はお断りを申しませう』 お作『そんなら何時約束をして下さいますか』 竜国別『刹那心です。明日の事は分らないから、お約束する訳には参りませぬ』 お作『貴方は高春山の軍功を現はし、其上で天下の立派な女を抜萃して、女房にする考へだから、お前見たやうな草深い山家育ちの女には、目を呉れないと云ふお積りでせう』 竜国別『イエイエ決して決して、そんな事は毛頭、心には浮びませぬ。何は兎もあれ一つの使命を果すまでは、女に関係は致しませぬ。神界に対して恐れ多う御座いますから』 お作『神様は高春山の征服が済む迄は、女に会つて約束をしてはならないと仰せられましたか、伊邪那岐命、伊邪那美命様は、夫婦水火を合せて、国生み島産み神産みの神業を遊ばしたぢやありませぬか。神様も夫婦なくては真の御活動は出来ますまい。陰陽の水火を合して、初めて万物が発生するのでせう。然るに大切なる神業の途中だから、女には絶対に約束せないと仰有るのは、少し合点が参りませぬワ』 竜国別『イヤ絶対にと申すのではありませぬが、今度ばかりは何卒許して下さいませ。又首尾好く目的を達した上、御相談に乗りませう』 お作『オホヽヽヽ、勝手なお方、貴方は杢助さんの奥さまの葬式までなさつたでせう。それを思へば私と今夫婦の約束を結んだ位が、何故神様のお気に入らないのでせう。貴方の御神業の妨げになるのでせうか』 竜国別『アヽどうしたら好からうかなア。かう追求されては、我々は身の振方に迷はざるを得ない』 お作『宜しいぢやありませぬか。これだけ女の真心を無になされますと、遂には女冥加に尽きて、一代セリバシー生活を送らねばなりますまい』 竜国別『アヽ情に脆いは男子の心、さう懇切に仰有つて下さらば、折角のお志、無にするも済まない様な感じが致します。そんなら此処で約束だけ固めませうか』 此時樹上より「馬鹿ツ」と一喝した。 竜国別『折角ながらお作さんとやら、今彼の通り頭の上から私の言葉に対し「馬鹿」と呶鳴り付けました。矢張これは取消しませう』 お作『男が一旦歯の外へ出した言葉を、無責任にも引込めなさる積りですか。そんな事が出来るのなれば、吐いた唾を飲んでも宜しからう。妾は、どうしても此約束を履行して貰はねば承知致しませぬよ』 竜国別『まだ約束はして居ませぬ。約束をしようかと云つたまでですワ』 お作『其お言葉が出るに先立ち、貴方の心の中では既に承諾をしたのでせう。 人問はば鬼は居ぬとも答ふ可し心の問はば如何に答へむ 貴方は自ら心を欺く積りですか』 竜国別『さうぢやと言つて、どうしてこれが承諾出来ませう。又頭の上から馬鹿呼ばはりをされますから』 お作『オホヽヽヽヽ、あれは何時も此森に棲まひをして居る、大天狗が云つたのですよ。貴方は結構な神様のお使でありながら、天狗の一匹や二匹が、それほど怖いのですかい』 竜国別『何天狗ならば怖くはありませぬが、あの言葉は、どうしても私の考へに共鳴して居る様ですから、服従せなくてはなりませぬ。どうぞ此場を見遁して下さいませ』 お作『エヽ男と云ふものは気の弱いものだなア。もうかうなれば仕方がない』 といきなり握手した。 竜国別『何んと仰有つても、こればかりは後にして下さい』 お作『イエイエ何と云つても、妾の願ひを聞き容れて貰はなくては放しませぬよ』 竜国別『そんなら、もう仕方がない。サア私から進んで握手致しませう』 と竜国別は右手を延ばして、お作の手を握らうとした。お作は喜ぶかと思ひきや、 お作『エヽ汚らはしき三五教の宣伝使竜国別』 と言ふより早く、満身の力を籠めて其場に突き倒した。 竜国別『これや怪しからぬ。何としたらお気に入るのですか』 お作『苟くも神命を受けて、曲津の征服に向ふ途中に於て、如何なる切なる女の願ひなればとて、堅き決心を翻すとは何事ぞ。かかる柔弱なる汝の魂で、どうして悪魔の征服が出来ようぞ』 竜国別『ハテ合点の行かぬ女の振舞ひ』 と双手を組んで暫時思案に耽つて居る。忽ち轟く雷鳴にフト頭を上ぐれば、以前の女は跡形もなく消え失せ、其身は古社の縁の下に眠つて居た。雷と聞えしは社に棲む古鼠の荒れ狂ふ足音であつた。竜国別は直に神前に額づき、夢の教訓を感謝し心魂を練つて、愈高春山の征服に向つて進み行く。 (大正一一・五・二〇旧四・二四谷村真友録) |
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霊界物語 | 47_戌_治国別の天国巡覧1 | 総説 | 総説 最上天界即ち高天原には、宇宙の造物主なる大国常立大神が天地万有一切の総統権を具足して神臨し給ふのであります。そして大国常立大神の一の御名を天之御中主大神と称へ奉り、無限絶対の神格を持し、霊力体の大原霊と現はれ給ふのであります。この大神の御神徳の完全に発揮されたのを天照皇大御神と称へ奉るのであります。そして霊の元祖たる高皇産霊大神は、一名神伊邪那岐大神又の名は日の大神と称へ奉り、体の元祖神皇産霊大神は一名神伊邪那美大神又の名は月の大神と称へ奉るのは、此物語にて屡述べられてある通りであります。又高皇産霊大神は霊系にして厳の御霊国常立大神と現はれ給ひ、体系の祖神なる神皇産霊大神は、瑞の御魂豊雲野大神又の名は豊国主大神と現はれ給うたのであります。この厳の御魂は再び天照大神と顕現し給ひて天界の主宰神とならせ給ひました。因に天照皇大御神様と天照大神様とは、その位置に於て神格に於て所主の御神業に於て大変な差等のある事を考へねばなりませぬ。又瑞の御魂は、神素盞嗚大神と顕はれ給ひ、大海原の国を統御遊ばす神代からの御神誓である事は神典古事記、日本書紀等に由つて明白なる事実であります。然るに神界にては一切を挙げて一神の御管掌に帰し給ひ宇宙の祖神大六合常立大神に絶対的神権を御集めになつたのであります。故に大六合常立大神は独一真神にして宇宙一切を主管し給ひ厳の御魂の大神と顕現し給ひました。扨て厳の御魂に属する一切の物は悉皆瑞の御魂に属せしめ給うたのでありますから、瑞の御魂は即ち厳の御魂同体神と云ふ事になるのであります。故に厳の御魂を太元神と称へ奉り、瑞の御魂を救世神又は救神と称へ又は主の神と単称するのであります。故に此物語に於て主の神とあるは、神素盞嗚大神様の事であります。主の神は宇宙一切の事物を済度すべく天地間を昇降遊ばして其御魂を分け、或は釈迦と現はれ、或は基督となり、マホメツトと化り、其他種々雑多に神身を変じ給ひて天地神人の救済に尽させ給ふ仁慈無限の大神であります。而して前に述べた通り宇宙一切の大権は厳の御魂の大神即ち太元神に属し、この太元神に属せる一切は瑞の御魂に悉皆属されたる以上は神を三分して考へることは出来ませぬ。約り心に三を念じて口に一をいふことはならないのであります。故に神素盞嗚大神は救世神とも云ひ、仁愛大神とも申上げ、撞の大神とも申し上げるのであります。この霊界物語には産土山の高原伊祖の神館に於て神素盞嗚尊が三五教を開き給ひ数多の宣伝使を四方に派遣し給ふ御神業は、決して現界ばかりの物語ではありませぬ。霊界即ち天国や精霊界(中有界)や根底の国まで救ひの道を布衍し給うた事実であります。ウラル教やバラモン教、或はウラナイ教なぞの物語は、大抵顕界に関した事実が述べてあるのです。故に三五教は内分的の教を主とし其他の教は外分的の教を以て地上を開いたのであります。故に顕幽神三界を超越した物語と云ふのは右の理由から出た言葉であります。主の神たる神素盞嗚大神は愛善の徳を以て天界地上を統一し給ひ、又天界地上を一個人として即ち単元として之を統御したまふのであります。譬へば人体は其全分に在つても、其個体にあつても千態万様の事物より成れる如く天地も亦同様であります。人間の身体を全分の方面より見れば肢節あり機関あり臓腑あり、個体より見れば繊維あり神経あり血管あり、斯くて肢体の中にも肢体あり部分の中に部分あれども個人の活動する時は単元として活動する如く、主神は天地を一個人の如くにして統御し給ふのであります。故に数多の宣伝使も亦主神一個神格の個体即ち一部分として神経なり繊維なり血管なりの活動を為しつつあるのであります。天人や宣伝使のかく部分的活動も皆主神の一体となりて神業に奉仕するのは恰も一個の人体中に斯の如く数多の異様あれども、一物としてその用を遂ぐるに当り、全般の福祉を計らむとせざるはなきに由る如きものであります。即ち全局は部分の為に、部分は全局の為に何事か用を遂げずと云ふ事はありませぬ。蓋し全局は部分より成り部分は全局を作るが故に、相互に給養し相互に揖譲するを忘れない。而して其相和合するや部分と全局とに論なく何れの方面から見ても統一的全体の形式を保持し且つ其福祉を進めむとせないものはない。是を以て一体となりて活動し得るのである。主神の天地両界に於ける統合も亦之に類似したまふのである。凡て物の和合するは各其為す所の用が相似の形式を踏襲する時であるから、全社会のために用を為さないものは天界神界の外に放逐さるるのは当然である。そは他と相容れないからであります。用を遂ぐると云ふ事は総局の福祉を全うせむために他の順利を願ふの義であり、そして用を遂げずと云ふは、総局の福祉如何を顧みず、只自家の為の故に他の順利を願ふの義である。此はすべてを捨てて只自己のみを愛し、彼はすべてを捨てて只主神のみを愛すと云ふべきである。天界にあるもの悉く一体となりて活動するは之が為である。而して斯の如くなるは主神よりするのであります。諸天人や諸宣伝使自らの故ではない。何となれば、彼等天人や宣伝使は主神を以て唯一となし、万物の由りて来る大根源となし、主神の国土を保全するを以て総局の福祉と為すからであります。福祉といふは正義の意味である。現世に在つて、国家社会の福祉(正義)を喜ぶこと私利を喜ぶより甚しく、隣人の福祉を以て自己の福祉の如くに喜ぶものは、他生に於ては主神の国土を愛して之を求むるものである。そは天界に於ける主神の国土なるものは、此世に於ける国家と相対比すべきものだからである。自己の為でなく、只徳の故に徳を他人に施すものは隣人を愛することに成るのである。天界にては隣人と称するは徳である。すべて此の如きものは偉人であつて、即ち高天原の中に住するものである。三五教の宣伝使は皆、善の徳を身に備へ、且つ愛の善と信の真とを体現して智慧と証覚とを本具現成してゐる神人計りである。何れも主の神の全体または個体として舎身的大活動を不断に励みつつある神使のみで、実に神明の徳の広大無辺なるに驚かざるを得ない次第であります。願はくは大本の宣伝使たる人は神代に於ける三五教の宣伝使の神業に神習ひ、一人たりとも主の神の御意志を諒解し、国家社会の為に大々的活動を励み、天国へ永住すべき各自の運命を開拓し、且つ一切の人類をして天国の楽園に上らしむべく、善徳を積まれむことを希望する次第であります。太元神を主神と云つたり、救世神瑞の御魂の大神を主神と云つたりしてあるのは前に述べた通り太元神の一切の所属と神格そのものは一体なるが故であります。読者幸に諒せられむことを。 附けて言ふ 主の神なる神素盞嗚大神は神典古事記に載せられたる如く大海原を知食すべき御天職が在らせらるるは明白なる事実であります。主の神は天界をも地の世界をも治め統べ守り給ふと言へば、大変に驚かるる国学者も出現するでせう。然し乍ら天界と言つても天国と云つても矢張り山川草木其他一切の地上と同一の万類があり土地も儼然として存在して居るのであるから、天界地球両方面の守宰神と言つても余り錯誤ではありますまい。天界又は天国と云へば蒼空にある理想国、所謂主観的霊の国だと思つてゐる人には容易に承認されないでせう。天国とは決して冲虚の世界ではありませぬ。天人と雖も亦決して羽衣を着て空中を自由自在に飛翔するものとのみ思つてゐるのは大なる誤解であります。天国にも大海原即ち国土があるのです。只善と真との智慧と証覚を得たる個体的天人の住居する楽土なのであることを思考する時は、主の神の天地を統御按配し給ふといふも決して不可思議な議論ではありませぬ。故に大海原の主宰たる主の神は天界の国土たると地上の国土たるとを問はず守護し給ふは寧ろ当然であります。 大正十二年一月八日 王仁識 |
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霊界物語 | 48_亥_治国別の天国巡覧2 | 12 西王母 | 第一二章西王母〔一二六六〕 高天原の総統神即ち大主宰神は大国常立尊である。又の御名は天之御中主大神と称へ奉り、其霊徳の完全に発揮し給ふ御状態を称して天照皇大神と称へ奉るのである。そして此大神様は厳霊と申し奉る。厳と云ふ意義は至厳至貴至尊にして過去、現在、未来に一貫し、無限絶対無始無終に坐ます神の意義である。さうして愛と信との源泉と現れます至聖至高の御神格である。さうして或時には瑞霊と現はれ現界、幽界、神界の三方面に出没して一切万有に永遠の生命を与へ歓喜悦楽を下し給ふ神様である。瑞と云ふ意義は水々しと云ふ事であつて至善至美至愛至真に坐まし且円満具足の大光明と云ふ事になる。又霊力体の三大元に関聯して守護し給ふ故に三の御魂と称へ奉り、或は現界、幽界(地獄界)、神界の三界を守り給ふが故に三の御魂とも称へ奉るのである。要するに神は宇宙に只一柱坐ますのみなれども、其御神格の情動によつて万神と化現し給ふものである。さうして厳霊は経の御霊と申し上げ神格の本体とならせ給ひ、瑞霊は実地の活動力に在しまして御神格の目的即ち用を為し給ふべく現はれ給うたのである。故に言霊学上之を豊国主尊と申し奉り又神素盞嗚尊とも称へ奉るのである。さうして厳霊は高天原の太陽と現はれ給ひ、瑞霊は高天原の月と現はれ給ふ。故にミロクの大神を月の大神と申上ぐるのである。ミロクと云ふ意味は至仁至愛の意である。さうして其仁愛と信真によつて、宇宙の改造に直接当らせ給ふ故に、弥勒と漢字に書いて弥々革むる力とあるのを見ても、此神の御神業の如何なるかを知る事を得らるるのである。善悪不二、正邪一如と云ふ如きも、自然界の法則を基礎としては到底其真相は分るものでない。善悪不二、正邪一如の言葉は自然界の人間が云ふべき資格はない、只神の大慈大悲の御目より見給ひて仰せられる言葉であつて、神は善悪正邪の区別に依つて其大愛に厚き薄きの区別なき意味を善悪不二、正邪一如と仰せらるるのである。併しながら自然界の事物に就ても亦善悪混淆し美醜互に交はつて一切の万物が成育し、一切の順序が成立つのである。故に人は霊主体従と云つて自然界に身を置くとも、凡て何事も神を先にし、愛の善と信の智を主として世に立たねばならないのである。然るに霊的事物の何たるを見る事の出来ない様になつた現代人は、如何しても不可見の霊界を徹底的に信じ得ず、稍霊的観念を有するものと雖も、要するに暗中模索の域を脱する事が出来ない。それ故に人は何うしても体を重んじ、霊を軽んじ物質的欲念に駆られ易く地獄に落ち易きものである。かかる現界の不備欠点を補はむが為に大神は自ら地に降り其神格に依つて精霊を充し、予言者に向つて地上の蒼生に天界の福音を宣伝し給ふに至つたのである。凡て人間が現実界に生れて来たのは、云はば天人の胞衣の如きものである。さうして又天人の養成器となり苗代となり又霊子の温鳥となり、天人の苗を育つる農夫ともなり得ると共に、人間は天人其ものであり又在天国の天人は人間が善徳の発達したものである。さうして天人は愛善と信真に依つて永遠の生命を保持し得るものである。故に人間は現界の生を終へ天国に復活し、現界人と相似せる生涯を永遠に送り、天国の円満をして益々円満ならしむべく活動せしむる為に、大神の目的に依つて造りなされたものである。故に高天原に於ける天国及び霊国の天人は一人として人間より来らないものはない。大神様を除く外、一個の天人たりとも天国に於て生れたものはないのである。必ず神格の内流は終極点たる人間の肉体に来り、此処に留まつて其霊性を発達せしめ、而して後天国へ復活し、茲に初めて天国各団体を構成するに至るものである。故に人は天地経綸の司宰者と云ひ、又天地の花と云ひ、神の生宮と称ふる所以である。愚昧なる古今の宗教家や伝教者は概ね此理を弁へず、天人と云へば、元より天国に在つて特別の神の恩恵に依つて天国に生れたるものの如く考へ、又地獄にある悪鬼どもは元より地獄に発生せしものの如く考へ、其地獄の邪鬼が人間の堕落したる霊魂を制御し或は苦しむるものとのみ考へてゐたのである。之は大なる誤解であつて、数多の人間を迷はす事、実に大なりと云ふべしである。茲に於て神は時機を考へ、弥勒を世に降し、全天界の一切を其腹中に胎蔵せしめ、之を地上の万民に諭し、天国の福音を完全に詳細に示させ給ふ仁慈の御代が到来したのである。されど大神は予言者の想念中に入り給ひ、其記憶を基礎として伝へ給ふが故に、日本人の肉体に降り給ふ時は即ち日本の言葉を以て現はし給ふものである。科学的頭脳に魅せられたる現代の学者又は小賢しき人間は「神は全智全能なるべきものだ。然るに何故に各国の民に分り易く、地上到る所の言語を用ひて示し給はざるや」と云つて批判を試み、神の遣はしたる予言者の言を以て怪乱狂妄と罵り、或は無学者の言とか或は不徹底の言説とか何とかケチをつけたがる盲が多いのは、神の予言者も大に迷惑を感ずる所である。 高天原と天界は至大なる一形式を備へたる一個人である。さうして高天原に構成されたる天国の各団体は之に次げる所の大なる形式を備へたる一個人の様なものである。さうして天人は又其至小なる一個人である。人間も亦天界の模型であり、小天地である事は屡述べた所である。神は此一個人なる高天原の頭脳となつて其中に住し給ひ、万有一切を統御し給ふ故に、又地獄界も統御し給ふは自然の道理である。人間も亦其形体中に天国の小団体たる諸官能を備へ種々の機関を蔵し、而して天国地獄を包含してゐるものである。 扨て高天原の如き極めて円満具足せる形式を有するものには、各分体に全般の面影があり又全般に各分体の面影がある。其理由は高天原は一個の結社の様なものであつて、其一切の所有を衆と共に相分ち、衆は又一切の其所有を結社より受領して生涯を送る故である。かくの如く天界の天人は一切の天的事物の受領者なるによつて、彼は又一個の天界の極めて小なるものとなすのである。現界の人間と雖も、其身の中に高天原の善を摂受する限り、天人の如き受領者ともなり、一個の天界ともなり、又一個の天人ともなるのである。 治国別、竜公両人は言霊別命の案内によつて第一天国の或個所に漸く着いた。此処には得も云はれぬ荘厳を極めた宮殿が立つてゐる。これは日の大神の永久に鎮まります都率天の天国紫微宮であつて、神道家の所謂日の若宮である。智慧と証覚と愛の善と信の真に充されたる数多の天人は此宮殿の前の広庭に列をなし、言霊別一行の上り来るを歓喜の情を以て迎へて居たのである。言霊別命は遥か此方より此光景を指さし、 言霊別『治国別様、あの前に金色燦然として輝いてゐるのは、エルサレムで厶ります。さうしてあの通り巨大なる石垣を以て造り固められ、数百キユーピツトの城壁を囲らしてあるのを御覧なさいませ』 治国別『ハイ、有難う厶ります、如何したものか吾々は円満の度が欠けて居りまするために、エルサレムは何処だか、石垣は何処にあるか、城壁の高さも分りませぬ。只私の目に映ずるのは赫灼たる光と天人の姿が幽かに見ゆるばかりです。さうしてエルサレムとか仰有りましたが、それは小亜細亜の土耳古にある聖地では厶りませぬか』 言霊別『エルサレムの宮とは大神様の御教を伝ふる聖場の意味であります。又高き処の意味であつて即ち最高天界の中心を云ふのです。石垣と申すのは即ち虚偽と罪悪との襲来を防ぐ為の神真其ものであります。度と申すのは性相其ものであつて、聖言に云ふ、人とは凡ての真と善徳とを悉く具有するものの謂であります。即ち人間の内分に天界を有するものを人と云ひ、天界を有せないものを人獣と云ふのです。ここには決して人なる天人はあつても現界の如き人獣は居りませぬ。然し私が今人獣と云つたのは霊的方面から云つたのです。凡て神の坐します聖場及び其御教を伝ふる聖場を指して貴の都と云ひ、或はエルサレムの宮と云ふのです』 治国別『さう致しますと、現界に於けるウブスナ山の斎苑館を始め、黄金山、霊鷲山、綾の聖地及び天教山、地教山、万寿山其他の聖地は凡て天国であり、エルサレムの宮と云ふのですか』 言霊別『さうです、実に神格によつて円満なる団体の作られたものは凡てエルサレムとも云ひ、地上に於ては地の高天原と称ふべきものです。地上の世界は要するに高天原の移写ですから、地上にある中に高天原の団体に籍をおいておかなくては、霊相応の道理順序に背いては、死後天国の生涯を送る事は出来ませぬ。サア之より最奥天国の中心点、大神の御舎に御案内致しませう』 と先に立つて歩み出した。二人は足の裏がこそばゆい様な気分に打たれ、いと恥かし気に従ひ行く。路傍に堵列せる数多の天人は『ウオーウオー』と手を拍つて叫び、愛善の意の表示をなしてゐる。二人は言霊別命の背後に従ひ、被面布を冠りながら心落ち着き、静々と日の若宮の表門を潜り入る。 言霊別命は二人を門内に待たせ置き悠々として奥深く入り給うた。二人は門内に佇み園内に繁茂せる果樹の美しきを眺めやり、舌うちしながら頭を傾け『アーア』と驚きに打たれ吐息を洩らしてゐる。暫くすると庭園の一方より目も眩むばかりの光を放ち悠々と入り来り給ふ妙齢の天女があつた。二人は思はずハツと大地に踞み敬礼を表した。此女神は西王母と云つて伊邪那美尊の御分身、坤の金神であつた。西王母と云ふも同身異名である。女神は二人の手をとりながら言霊別命の奥殿より帰り来る間、庭園を巡覧させむと桃畑に導き給うた。二人は恐る恐る手を曳かれながら芳しき桃樹の園に導かれ行く。此処には三千株の桃の樹が行儀よく繁茂してゐる。さうして前園、中園、後園と区劃され、前園には一千株の桃樹があつて美はしき花が咲き且一方には美はしき実を結んだのも尠なくはない。此前園の桃園は花も小さく又其実も小さい。さうして三千年に一度花咲き熟して、之を食ふものは最高天国の天人の列に加へらるるものである。さうして此桃の実は余程神の御心に叶つたものでなければ与へられないものである。西王母は二人に一々此桃の実の説明をしながら中園に足を踏み入れた。ここにも亦一千株の桃の樹があり、美はしき八重の花が咲き充ち又甘さうな実がなつて居る。之は六千年に一度花咲き実り、之を食ふものは天地と共に長生し、如何なる場合にも不老不死の生命を続けると云ふ美はしき果物である。西王母は又もや詳細に桃畑の因縁を説き諭し、終つて後園に足を入れ給うた。此処にも亦一千株の桃樹が行儀よく立ち並び、大いなる花が咲き匂ひ、実も非常に大きなのが枝も折れむばかりに実つてゐる。此桃の樹は九千年に一度花咲き実り、之を食ふものは天地日月と共に生命を等しうすると云ふ重宝至極な神果である。西王母は此因縁を最も詳細に治国別に諭し給うた。然し此桃の密意については容易に発表を許されない、然しながら桃は三月三日に地上に於ては花咲き、五月五日に完全に熟するものなる事は、此物語に於て示されたる所である。之によつて此桃に如何なる御経綸のあるかは略推知し得らるるであらう。西王母は一度地上に降臨して黄錦の御衣を着し、数多のエンゼルと共に之を地上の神権者に献げ給ふ時機ある事は、現在流行する謡曲によつても略推知さるるであらう。 却説、西王母は桃園の案内を終り、二人の手を引きながら元の門口に送り来り、 西王母『治国別殿、竜公殿、之にてお別れ申す』 と云ふより早く桃園内に神姿を隠し給うた。二人は其後姿を伏し拝み、王母が説明によつて神界経綸の深遠微妙なる密意を悟り、思はず合掌して感涙に咽びつつあつた。 かかる所へ紫微宮の黄金の中門を開いて現はれ来る美はしき天女、五色の光輝に充ちた羽衣を着しながら出で来る其荘厳さ、天国の天人は何れも美はしく円満の相を具備すれども、未だ嘗て斯の如き円満なる妙相を備へたる神人を見るのは二人とも天国巡覧以来初めてであつた。 因に羽衣とは決して謡曲にある如き中空を翔ける空想的のものでない。最も美はしき袖は手より数尺長く、裾は一二丈も後に垂れてゐる神衣の事である。 扨て十二人の天女は、無言の儘二人を指し招き、前に六人、後に六人、二人を守りながら黄金の中門を潜つて迎へ入れるのであつた。此時今まで聞いた事もない様な微妙な音楽四方より起り、芳香馥郁として薫じ、二人は吾身の何処にあるやも忘るるばかり歓喜に充されながら、微の声にて天津祝詞を奏上しつつ欣々として進み入る。 (大正一二・一・一三旧一一・一一・二七北村隆光録) |
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霊界物語 | 54_巳_ビクの国の物語2(後継者問題) | 08 祝莚 | 第八章祝莚〔一三九四〕 ビクトリヤ城の客殿には刹帝利、ヒルナ姫を始め治国別の一行、及び内事司のタルマン、左守、右守を始めハルナ、カルナ姫、並びに数多の役員が列を正し、結婚式が行はれた。此事誰云ふとなく城下に拡がり、寄ると触るとレコード破りの結婚だと云つて、話の花が長屋の裏迄咲いてゐた。さうして政治大改革の象徴だと国民一同に期待されたのである。ここに治国別の媒介にて神前結婚の式も恙なく相済んだ。 それから刹帝利、ヒルナ姫は治国別に厚く礼を述べ吾居間に帰つた。後に新夫婦を始め一同の祝宴が開かれた。 治国別は祝歌を歌ふ。 治国別『神代の昔伊邪那岐の皇大神は伊邪那美の 神と諸共高天原にて天の御柱巡り会ひ 妹背の道を結びまし山川草木の神までも 完全に委曲に生み玉ひ此世を安く美はしく 造り給ひし雄々しさよその神術に習ひまし ビクトリヤ城の奥の間で時代に目覚めたアールさま 上下の障壁撤回し耕奴の家に生れます ハンナの姫と合衾の式を挙げさせ玉ひしは 之ぞ全く天地の尊き神の御心に かなひ奉りし吉例ぞ尊き卑しき差別をば 神の御子たる人草につけて待遇に差別をば 作ると云ふは皇神の心を知らぬ曲業ぞ 一陽来復時臻り至仁至愛の大神の 大御心のそのままに妹背の道を開きまし 国人等に其範を示させ玉ふ尊さよ かくなる上は国民は王をば誠の親となし 主と崇め師となして心の底より真心を 捧げて仕へまつるべし神が表に現はれて 善と悪とを立別ける此世を造りし神直日 心も広き大直日只何事も人の世は 直日に見直し聞直し世の過ちは宣り直す 皇大神の御前に今まで道に違ひたる 形式差別を撤回し上下心を一にし 御国のために国民が力を協せ心をば 一になして君の辺を弥永久に楽しみて 守り仕へむ惟神神は嘸々此式を 諾ひまして永久に妹背の道を守りまし ビクの国をば弥栄に栄え賑せ玉ふべし ああ惟神々々神の御前に誠心を 捧げて祝ひ奉る』 左守司は金扇を開き自ら踊り自ら謡ふ。 左守(謡曲)『ああ有難や尊やな、掛巻も綾に畏き天地の、皇大神の神勅もて、ビクの国に鎮まり居ます、刹帝利、ビクトリヤ王の、初めての御子と在れませる、王子アールの君に、耕奴の家に生れ玉ひし、心雄々しき才女と、鴛鵞の衾の永久に、睦み親しみ妹と背の、道を開き玉ひたる、これの御式の尊さよ。仮令首陀の家に生れたりとも、誠に明かき賢女を、娶らせ玉ふ若君は、天地開けし其時より、例もあらぬ珍の御子、賢しき御子に在しまして、上と下との隔を絶ち、下国民を憐みまし、美はしき政を開かせ玉ふ、端緒ぞと左守の司を始めとし、右守司は云ふも更、百の司に至るまで、今日の芽出度き御式をば、仰ぎ喜び拍手の声も賑しく、その喜びは天地に、響き渡りて大空の、雲をつきぬき和田の原、水底深く響き渡り、四方八方の国の内外隈もなく、此新しき妹と背の御契を、仰がぬものぞなかるべし。実にも芽出度き君が代の、千代万代も極みなく、鶴は御空に舞ひ遊び、亀は御池に浮びつつ、君が幾代を祝ぎて、仕へまつるぞ芽出度けれ。朝日は照るとも曇るとも、月は盈つとも虧くるとも、天は地となり地は天となるとも、君が誠は幾千代も、変らせ玉ふ事ぞあるべき。実にも尊き三五の、神の教に仕へます、御空も清く治国別の、珍の宣伝使、二人の仲に立たせ玉ひ、神代の例そのままに、婚嫁の道を新しく、始め玉ひし尊さよ、神の御稜威も高砂の、尾上の松の友白髪、積もる深雪の何処迄も、溶けずにあれや妹と背の道、ああ惟神々々、恩頼を喜び勇み願ぎ奉る』 と謡ひ終つて座についた。右守司は又謡ふ。 右守(謡曲)『天なるや乙棚機のうながせる、玉の御統瓊御統瓊に、あな玉はや、みたにふたわたらす、あぢしき高彦根の神の、その御神姿にも比ぶべき、珍の御子なるアールの君、神の恵みに抱かれて、ここに理想の妻と在れませる、ハンナの姫を娶らせ玉ひ、今宵芽出度く合衾を、完全に委曲に挙げさせ玉ひ、四海波風静にて、枝も鳴らさぬ君の代の、その礎と畏くも、婚嫁の道を行はせ玉ひ、天地の神に代らせ玉ひて、吾国民を心安く、治め玉はむ天の御柱、国の御柱とこれの館に並ばして、すみきり玉ふぞ尊けれ。吾は右守の神司、まだ新参の身なれども、君の御為国の為、誠の事と知るなれば、仮令生命は捨つるとも、仕へまつらむ若君の御前、ハンナの姫の御前に、ああ二柱の妹と背の君よ、左守司を始めとし、その外百の司等を、誠の家の奴と思召され、如何なる事も打明けて、吩ひ咐け玉へ宣らせ給へ、上下睦ぶ君が代の、瑞祥示す今宵の空、月の光もさやかにて、星さへ今日は何時もより、光りも強くきらめき渡り、世継の君の行末を、祝ぎ守らせ玉ふなり、荒き風もなく悪き雨もなく、五穀は豊に実のり、天下太平国土成就、天神地祇を崇め祀り、父と母との君によく仕へまし、下国民を憐れみて、美はしき清き政を、布かせ玉へ聖の君と謡はれて、神の賜ひしビクの国を、弥永久に守らせ玉へ、神に誓ひて右守の司、若君二柱の御前に、慎み敬ひ願ぎ奉る。朝日は照るとも曇るとも、月は盈つとも虧くるとも、星は空より墜つるとも、地は震ひ山は裂け、海はあせなむ世ありとも、君に対して二心、吾あらめやも、心の限り身の限り、身を犠牲に奉り、君の御為世の為に、清き尊き三五の、神を拝み仕へまつり、君の御言を畏みて、下万民に臨みまつらむ、二柱の若君心安くましませよ。右守の司が天地の、皇大神の御前に、誠心捧げ今日の慶事を、寿ぎ奉る、ああ惟神々々、御霊幸はひましませよ』 タルマンは又謡ふ。 タルマン『ビクトル山の山麓に大宮柱太知りて 皇大神を奉りつつ国の王と在れませる ビクの御国の刹帝利仁慈の君に仕へたる 内事司のタルマンが今日の慶事を心より 喜び勇み祝ぎ奉る三五教の神司 治国別の宣伝使松彦竜彦万公の 珍の御子をば伴ひて天降りましたるその時ゆ 此城内に塞がれる醜の雲霧あともなく 吹き払はれて千万の艱みは科戸の春風に 散り行くあとは青々と野辺の草木は茂り合ひ 四方の山辺はニコニコと笑ひ初めたる芽出度さよ かかる時しも刹帝利世継の君と在れませる アールの御子を始めとしその外五人の御子等は 恙もあらず大神の恵みに安く帰りまし 吾君始め司等喜び歓ぐ間もあらず 又もや今日は合衾の芽出度き式を挙げられて 千代の礎を築きますその瑞祥ぞ有難き 三千世界の梅の花一度に来る常磐木の 松の緑もシンシンと花咲き匂ふ君が御代 枝も茂りて鬱蒼と巣ぐへる鶴の声さへも いと勇ましく千代と呼ぶ雀雲雀も諸共に 今度の慶事を祝ふ如声勇ましく歌ひけり ああ惟神々々神の恵は目のあたり 今迄悩ませ玉ひたる君の心は春の日の 氷と解けて桜花一度に咲き出す如くなり 花と蝶とに譬ふべき妹背の君の御姿 仰ぐも畏し大空の八重の雲路を掻き別けて 下り玉ひし天人か天津乙女の降臨か 見るも芽出度き御姿喜び勇み御前に 真心こめて祝ぎ奉る朝日は照るとも曇るとも 月は盈つとも虧くるとも仮令大地は沈むとも 誠の力は世を救ふ誠一つを立て通し ビクの御国を何処迄も上下心を協せつつ 守らせ玉へ惟神若君様の御前に 慎み敬ひ願ぎ奉るああ惟神々々 御霊幸ひましませよ』 と歌ひ終つて座に着きにける。 (大正一二・二・二一旧一・六於竜宮館北村隆光録) |
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霊界物語 | 54_巳_ビクの国の物語2(後継者問題) | 09 花祝 | 第九章花祝〔一三九五〕 婚姻の当事者たる王子アールは金扇を披いて立ち上り自ら謡ひ自ら舞ふ。 アール(謡曲)『高天原に八百万神集ります、神伊邪那岐尊神伊邪那美尊、筑紫の日向の立花の青木ケ原に、あもりまして天の御柱国の御柱見立てたまひ、左右りの廻り合ひ、廻り廻りてあな愛乙女をと、宣らせたまひし古事の、今目の当り廻り来て、今日の喜び千秋万歳楽。首陀の家に生れたる、心やさしきハンナを娶り、妹と背の盃を取り交し、天と地との御息を合せ、ビクの御国は云ふも更なり、国主と現はれ出でしビクトリヤの王家を、千代万代に守らむと、授けたまひし妹の命、目出度茲に相生の、松の緑の色深く、栄え果てなき珍の御国、下国民も穏かに、聖の君の御代を仰ぎつつ、日々の生業歓ぎ楽しみ、山川は清くさやけく、野は穀物実のり、人の心は穏かに、澄みきりすみきる、今宵の空、恵の露を永久に、降らさせ給ふミロク神、月の顔せ、望の夜の、弥つぎつぎに変りなく、天の河原のいつ迄も、乾く事なく時あつて、甘露を地上に降らし給ひ、五穀木の実は云ふも更、総ての物に慈愛の露を、恵ませたまふ深き尊き御恵、戴く吾こそ楽しけれ、戴く吾こそ楽しけれ、日は照るとも曇るとも、月は盈つとも虧くるとも、仮令大地は沈むとも、誠をもつて盟ひたる、妹背の道は永久に、変らざらまし、動かざらまし、ああ惟神々々、今日の寿千秋万歳楽と、喜び祝ひ奉る。いざこれよりは父の御後を継ぎ奉り、アールの君と現はれて、ハンナの姫と諸共に、左守右守を力とし、柱となして神つ代より、伝はり来りしビクトリヤの家を、神を敬ひ拝み奉り、麻柱の清き教によりて、祖先の家を守り国民を撫で慈しみ、ミロクの御代の礎を、固めむための今日の御式、芽出度く祝ひ納むる、目出度く祝ひ納むる』 と謡ひ終り座についた。拍手の声は急霰の如く、広き殿中に響いた。ハンナ姫は中啓を披き、長袖淑かに自ら歌ひ自ら舞ふ。 ハンナ『嗚呼有難し有難しサアフの家に生れたる 吾は賤しきハンナ姫尊き神の引き合せ 雲井の空に輝き給ふビクの御国の国主の御子 アールの君に見出されパインの林の木下蔭 籠や熊手を携へて枯れて松葉の二人連れ 掻き集めたる数々を籠におしこみ居る折もあれ 天の八重雲掻きわけて降りましたる一人の珍の御子 一目見るより勿体なくも卑しき乙女の手を曳いて いと懇に労はりつ音に名高きビクトリヤ城に 還らせたまふ畏さよ妾は心も戦きて 如何になり行くものなるかと案じ煩ひ居たりしが 結ぶの神の引き合せ蠑螈は化して竜となり 九五の位にあれませる吾が背の君の妻となり 今日はいよいよ結婚の式を挙げさせ給ひけり ああ有難し有難し総て女と云ふものは 氏なくして玉の輿と里の翁に聞きし事も 佯ならず今ははや吾身の上に降りかかり 繊弱き女の身をもつて重き位にのぼせられ もしや冥加に尽きはせざるかと静けき心はなけれども 君の心の深き情に絆されて否みも得せず身の程も 弁へ知らぬ女よと世の人々の譏をも 心にかけず謹みて君が御旨に従ひ奉りぬ ああ吾君よ吾君よ足らはぬ妾をいつ迄も 愍みまして永久に御傍に仕へさしてたべ 左守の司よ右守さま内事司のタルマンの君 愚かなる身を憐れみたまひいや永久に足らはぬ事は気をつけて 家内の事は云ふも更国の祭の要をば 教へてたべや惟神神の御前に願ぎ奉る ことに尊き三五の教の道に仕へます 治国別の宣伝使松彦竜彦万公の 珍の司も諸共に吾背の君を導きて 国の祭を過たず神の教を背かずに 誠一つを経となし仁慈の教を緯として いや永久に国民を守らせ給へ惟神 神素盞嗚の大神の珍の御前に謹みて 畏み畏み願ぎ奉る朝日は照るとも曇るとも 月は盈つとも虧くるとも星は空より落つるとも ハンナの姫の赤心は仮令死すとも変らまじ 恵ませ給へ大御神父の命や母命 あが背の君よ諸共にいや永久に吾ために 教を垂れさせ給へかし偏に願ひ奉る 千秋万歳万々歳』 と歌ひ舞ひ納めた。ハルナは立ち上り自ら歌ひ自ら舞ふ。 ハルナ『神の造りて治めます神代は云ふも更なれど このビク国も神の国如何に上下の人々の 心は乱れ果つればとて誠の道にかはりのあるべきや 古き道徳打ち破り相思の男女が赤心を 捧げて盟ふ結婚は千代も八千代も永久に 変る事なき天国のその有様にさも似たり 天の下をばよく治め民の心を治めむと 祈り祈らせ給ふ聖の君はまづ第一に結婚の 道を改め上下の差別を取りて雲井の空も 八重葎茂り栄ゆる地の上も一つに治め世界桝かけひきならし 運否なき世の手本を示し給ふにつけて今宵の結婚 一つはお家のため一つは国のため 実にも目出たき次第なり此結婚を恙なく 結び給ひし上からは天が下には曲もなく 曇りも非ず国民は君の恵を悦びて 赤き心を捧げつつ誠を尽し君の社稷を永久に 守り仕へむ惟神神にかなひし吾君の 尊き御業ぞ有難き左守の家に生れたる ハルナの司謹みて今日の慶事を心より 喜び祝ぎ奉るアールの君よハンナの君よ いや永久にいつ迄も御国の柱となりまして 家の子達を恵みつつビクの御国に生茂る 天の益人一人も残さず恵の露を下しまし 黄金時代を現出し世界稀なる聖の君と 世に謳はれて王者の模範を示させ給へ 偏に願ひ奉るああ惟神々々 御霊幸倍ましませよ』 (大正一二・二・二一旧一・六於竜宮館加藤明子録) |
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霊界物語 | 54_巳_ビクの国の物語2(後継者問題) | 18 真信 | 第一八章真信〔一四〇四〕 緑葉滴る初夏の候山野の木々は自然のカブオットをなし 風は自然の和琴を弾ず見渡す限り原野には 首陀や耕奴の三々伍々列を正して 命の苗を植ゑつける其光景は天国を 地上に移せしごとくなりビクトル山の頂上より 瞳をはなてば麗はしき譬方なきフリイスの 棚引くごとく見えにけりミンシンガーは何と見る 天の描ける大画帖画中の人は何人か 牛を追ひゆくパストラルカンタビールナ歌うたひ 或は交るプレストの其対照の面白さ 百日百夜の丹精も漸く茲に現はれて ビクトル山の勝地をば卜して建てる御舎も いと荘厳な神まつり其の祝詞は天地に 響き渡りて霊国や天国界の天人が 奏でたまへるロンドの床しさ 走法又は軽快調クラブイコードを中空に 並べて奏づるアダヂオスメロデイー、モーティフ マヂヨワ、アビニシモフアンセット、トンブルノ 生言霊も順序よくフレーズの限りを尽し リズム正しく天地の神の心を慰むる 其光景を目の当り霊に目覚めし人の耳に いと涼やかに聞えくる治国別を祭主とし ビクの国王の刹帝利ヒルナの姫やアールの君 其外百の司達席を正して遷宮の 式に列せる勇ましさ開闢以来の盛況と 褒め称へぬはなかりけり。 ビクトル山の頂上に檜皮葺の立派な社殿が落成し大国常立尊を初め奉り、天照皇大御神、神伊邪那岐大神、神伊邪那美大神、神素盞嗚大神、豊国姫大神、稚桜姫大神、木花姫大神、日の出神を初め、盤古神王を別殿に祭り、荘厳なる祭典の式は無事終了された。刹帝利のビクトリヤ王は国家無事に治まり、王家安泰の曙光を認めかつ神殿の落成した事を感謝すべく、神殿に向つて恭しく祝歌を奏上した。 刹帝(謡曲調)『久方の天津御空に永久に 鎮まり居ます天地の元津御祖の神と現れませる 大国常立の大御神豊国主の大御神 天津日の御国を統べさせ給ふ 神伊邪那岐の大御神月の御国を統べたまふ 神伊邪那美の大御神厳の御霊と現れませる 国治立の大御神瑞の御霊と現れませる 神素盞嗚の大御神大地球の御魂と現れませる 金勝要の大御神海の底ひの限りなく 統べ守ります大海津見の神天教山に現れませる 木花姫の大御神日の出神を初めとし 三五教を守ります百の司の神柱 常世の国に現れませる盤古神王塩長彦の命 其外百の神達の大前に天地と共に限りなき 神の授けしビクの国国王に仕へまつりたる 御国を守る刹帝利ビクトリヤの神の僕 尊き清き大前に謹み敬い天地の 高き恵を悦びて海河山野種々の 美味しものをば奉り厚き恵の千重の一重にも 報い奉らむとして今日の御祭り仕へ奉る 天津神達八百万国津神等八百万 吾心根を憐みてビクの御国は云ふも更 吾等が命を永久に守らせ給へ国民の 一日も早く穏かに神の恵に浸りつつ 家富み栄え生業を歓ぎ楽しむ御代となし 月日と共に永久に茂り栄ゆべく 守らせ給へ惟神神の御前に願ぎまつる 朝日は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも 仮令此世は変るとも皇大神の御恵 治国別の宣伝使松彦竜彦神司 ビクの御国を救ひましし其勲功はいつの世か 忘れ奉らむ惟神神の御前に赤心を 謹み畏み誓ひおくビクの御国は今迄は ウラルの神の御教を柱となして世を治め 蒼生を慈み仕へまつりてありけるが ミロクの御代の魁と現はれませる素盞嗚の 尊き神の御教に目覚めし上はビクトリヤ城の 百の司を初めとし国民挙りて神恩を 慕ひ奉りて永久に珍の教を守るべし 治国別の神司御前に謹み再生の 御恩を感謝し奉るああ惟神々々 御霊幸倍ましませよ』 ヒルナ姫は白装束に紫色のスカートを穿ち銀扇を披らいて、アッコムパニメントを並ばせ乍ら翼琴を弾じさせ、自ら祝歌を歌ふ。 ヒルナ姫『ビクトル山に千木高く大宮柱太しりて 鎮まり居ます皇神の珍の御前に謹みて 感謝の言葉奉る抑々ビクの国柄は 遠き神代の昔より月日と共に伝はりて 君と臣との差別をば正しく守りし神の国 雲井の空も地の上も睦び親しみ親と子の 如くに治まり来りしが天津御空の日は流れ 月ゆき星は移ろひて醜の魔風は吹き荒び 四方の山辺の木々の枝冷たき風に叩かれて 羽衣脱ぎし如くなるいと浅猿しき国柄と 忽ち乱れ淋れけり御国の柱と現れませる 吾が背の君の刹帝利深く心を悩ませつ 常世の国に現れませし塩長彦の大神に 朝な夕なに祈りつつ天が下をば平けく いと安らけく治めむと祈り給ひし丹精も 水泡と消えて曲津神八岐大蛇や醜鬼の 荒びすさめる世となりぬライオン川は滔々と 水永久に流るれど絶えなむ許りの刹帝利家 既倒に之を挽回し救ひて君の神慮をば 慰め安んじ奉らむと女の繊弱き心より 悪逆無道の曲神にあらぬ秋波を送りつつ 吾身の血潮を濁したる其過を悔い奉り 御仁慈深き三五の神の御前に宣り直し 聞き直されて元のごと治まるアーチ・ダッチェス 実に有難き限りなりかくも尊き神恩に 報いまつらむ赤心の印とここに大宮を 刹帝利様に願ひ上げ治国別の神人に やつと許され珍の宮仕へ終りし嬉しさよ ああ惟神々々皇大神は永久に ビクの御国は云ふも更吾君様や百司 四方の国民恙なく此麗しき現世に 命を存らへ日々の身の生業を励みつつ 国の栄えを松の代の常磐堅磐の聖代と 進ませ給へ惟神御前に謹み願ぎまつる』 と歌ひ終つて座についた。 (大正一二・二・二三旧一・八於竜宮館加藤明子録) |
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霊界物語 | 54_巳_ビクの国の物語2(後継者問題) | 20 建替 | 第二〇章建替〔一四〇六〕 左守の司の長子ハルナの歌。 ハルナ『高天原の移写としてビクトル山の聖場に 大宮柱太知りて鎮まり居ます大神の 御前に祝ぎ奉る高天原の司神 厳の御霊と現れまして一二三つ四つ五つ六つ 七八つ九つ十百千万のものの元津祖 大国常立大御神高皇産霊の大御神 神皇産霊の大神の稜威を以て限り無く 万のものを造りまし天が下なる神人を うまし御国に永久にいと安らけく住ませむと 日月大地を造りまし各清き霊をば 授け玉ひて八百万尊き神を生み玉ひ 天地万有守ります広大無辺の御恵を 尊み敬ひ奉る豊葦原の瑞穂国 生言霊の幸はひて百の宝を下しまし 君の位は千代八千代動きもやらず変る無く 島の八十島八十の国天の壁立つ其極み 国の聳立つ其限り棚引く雲の果てまでも 伊照り透らす大御稜威これぞ全く日の守り 神の守りと悦びて朝な夕なに仕へなむ 常夜を照らす月読の神の光は夜の守り 蒼生を撫で玉ひ天勝国勝国の祖 国治立の大神は天地成出し其時ゆ 隠身ましてすみ玉ひ玉留魂の霊徳以て 海月の如く漂へる国土をば造り固めなし 大地の海陸別ちまし豊国主の大神は 足玉魂の御霊徳もて植物を生み出し守りまし 葦芽彦遅の大神は生玉魂の霊徳もて あらゆる動物愛で育て動く力は大戸地 静まる力は大戸辺解ける力は宇比地根神 凝まる力は須比地根の神引力守る生杙神 弛力を守る角杙神[※「生杙神」「角杙神」の「くひ」の字は、戦前の二版(p300)・校定版(p253)・愛世版(p249)いずれも「枠」。古事記では「杙」である。「枠」は「くい」ではなく「わく」であり、誤字だろうから、霊界物語ネットでは「杙」を使う。]合力守る面足神 分ける力は惶根の御稜威を以て世の中の すべての物に与へまし天と地との霊をば 神の大道に依らしめ玉ひ日の神国を治し召す 神伊邪那岐の大御神月の神国を治し召す 神伊邪那美の大神は天津御神の神勅もて 天の瓊矛をとりもたせ千五百の秋の瑞穂国 千足の国や浦安国と完全に委曲につくりなし 遠き近きの国々に国魂神を生み玉ひ 産土神を任けまして青人草を氏子とし 各も各もに持ち分けて親しく守らせ給ひける 大御恵を謹みて仰ぎ喜び奉る ああ惟神々々御霊幸はひましませよ 人は神の子神の宮とは云ふものの何時となく 曲津の神の曲事に相交こりて日に夜に 罪や穢に沈みつつ憂瀬に沈む憐れさを 愍み玉ひ厳御霊瑞の御霊の大神は 綾の聖地は云ふも更黄金山やウブスナの 珍の真秀良場云ふも更青垣山を周らせる 下津岩根の此山に現はれまして世の人を 教へ導き天の下四方の国々平けく いと安らけく治めます其御恵の万分一 報いむ由もなけれども能ふ限りの赤心を 尽して神と君の為生命の限り仕へなむ 愍れみ給へ惟神神の御前に平伏して 謹み敬ひ願ぎ奉る天地初発の其時ゆ 隠身玉ひし国の祖大国常立大神の 御前にハルナ謹みて畏み畏み願ぎ申す 清き尊き天が下四方の御国に生り出でし 青人草の霊等に授け玉ひし御分霊 直日の霊を照らしつつますます光り美はしき 伊都能売魂となさしめよもしたまさかに過ちて 醜の曲津に精霊を汚し破らる事も無く 四魂五情の全けき其働きによりまして 皇大神の天業をばいと安らけく平らけく 仕へ奉らせ玉へかし如何なる災禍来るとも よく耐え忍び人たるの尊き品位を保たせて 神の玉ひし玉の緒の生命も長く家の業 いやますますに富み栄えいと美はしき天地の 花と現はれ光となり天地の御子たる身の本能を 発き上げしめ玉へかし仰ぎ謹み願はくば 皇大神の御心に叶ひ奉りて現世の 霊に罪も穢なくいみじき過ちあらしめず 神の賜ひし精霊を守らせ玉へ惟神 すべての事業を営むも恩頼を幸はひて いと善き事や正行は破竹の勇みを振り起し 益々進み全きの域に到達せしめまし 朝な夕なに神たちを敬ひ奉りわが君を 尊み御言に違ふなく国の司や国民の 務めを全く遂げ完ふせ普く世人と親しみて 争ひ狂ふ事もなく身の過ちは詔直し 善言美詞を楯として神と人とを和めつつ 天地に代る勲功を堅磐に常磐に立てさせよ 愛も深き幸魂生とし生ける万物を 損ひ破る事も無く生成化育の大道を 畏み仕へ奇魂の光りによつて曲神の 教の真理に狂へるを完全に委曲に悟るべく 直日の霊幸はひて理非曲直を省みつ 誠一つの信仰を励ませ玉へ言霊の 助けに神の御心を覚りて心を練り鍛へ 吾が身に触るる許々多久の罪や穢も村肝の 心に思ふ迷ひをも祓ひ退はせ玉へかし ビクトル山の永久にビクとも動かぬ其如く ライオン河の其流れいや永久に清き如 動かず変らず息長くいと偉大しくあらしめ給へ 世の長人よ遠人と生命を保ち健全に 五倫五常を守りつつ公共のために美はしき 功績を万世に相伝へ天地の御子と生れたる 務めを尽させ玉へかしああ惟神々々 すべての感謝とわが祈り神世の昔高天にて 千座の置戸を負ひ玉ひ大和田原の一つ島 退はれ玉ひて天津罪国津罪咎許々多久の 穢を祓ひ玉ひたる現世幽世の守り神 国常立の大御神豊国主の大御神 厳の御霊の大御神瑞の御霊の大神の 御名に幸はひ聞し召し諾ひ玉ひ夜の守り 照る日の守りに幸はへませと神の御前に平伏して 頸ね突抜き願ぎ奉るああ惟神々々 御霊幸はひましませよ』 カルナ姫は又歌ふ。 カルナ姫『右守司の妹となりて生れしカルナ姫 今日のよき日のよき時にいとなみ玉ひし御祭り 謹み敬ひ祝ぎ奉る神の守りしビクの国 思ひがけなきバラモンの鬼春別や久米彦が 数多の軍勢引率れて短兵急に攻めよする 右守の司の吾が兄は卑怯未練に腰ぬかし 見す見す敵に本城を蹂躙されし悔しさよ 吾が背の君と諸共にヒルナの姫に従ひて 寄せ来る敵に打向かひ獅子奮迅の活動を 試みたれど如何にせむ雲霞の如き敵兵を 支ふる由も無きままに忽ち一計案出し 巡礼姿となり代りわざとに敵に担がれて 両将軍の陣営に送られたりし其時の 心を思ひ廻らせば剣を渡りし心地なり ああ惟神々々かかる危き離れ業 守らせ玉ひ抜群の勲功を立てさせ玉ひたる 皇大神ぞ尊けれ一旦敵は退却し ヤレ嬉しやと思ふ間もあらせず右守の叛軍は 三千余騎を従へて再び謀叛の旗を挙げ 旗鼓堂々と攻め来る一つ免れて又一つ 如何はせむと城内の守将は案じ煩ひつ わが背の君は全軍を指揮して防ぎ戦へど 勝に乗つたる叛軍は退く由さへも見えざりき かかる処へ久方の天の八重雲かきわけて 下らせ玉ふ三五の神の使の宣伝使 治国別の一行が生言霊の幸ひに 心汚き右守司ベルツを始めシエールまで 威勢に打たれて顛倒し身動きならぬあさましさ ヒルナの姫に従ひて駒に跨り猪倉の 峠を後にカツカツと蹄の音も急がしく 帰りて見れば城内は修羅の巷と成り果てぬ 表門には宣伝使裏門よりはヒルナ姫 妾と共に攻めよせて敵を残らず追ひ散らし 再び天下太平の曙光を仰ぎし有難さ 旭は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも 仮令天地は覆るとも誠の神の御恵み 幾千代迄も忘るまじヒルナの姫の願ひにて 此聖場に宮柱太しき立てて大神を 斎き奉りし嬉しさは天国浄土が目の当り 開き初めたる心地なりああ皇神よ皇神よ 恩頼を垂れ玉ひビクの御国の刹帝利 百の司は云ふも更万の民を平けく いと安らけく永久に守らせ玉へ惟神 御前に謹み願ぎ奉る』 竜彦『天地の皇大神の宮柱 太しく立ちし今日ぞ嬉しき。 天地の神も諾ひ玉ふらむ 百の司の誠心を。 古の神代の儘のビクの国 立直したる今日ぞ嬉しき』 万公『千代八千代万代迄と祈るかな ビクの御国の栄えまさむを。 治国別神の命に従ひて 今日の祭に会ふぞ嬉しき。 ビクの国治め玉へる刹帝利 君の誠は神もめでなむ。 君は今七十路の坂を越えませど 万代までと祈る万公。 万年の生命を保ちビクの国に 臨ませ玉へ刹帝利の君』 治国別『千早振る神の御稜威の高くして 仕へ奉りぬ玉の宮居を。 ヒルナ姫助け玉へるビクの国は 夜なき国と栄えますらむ。 暗の夜も治国別の神司 ビクの御国の万代祈る』 斯く各祝歌を奉り目出度く遷座の式を終り、次いでホーフスに於て大直会の宴を開かるる事となつた。 (大正一二・二・二三旧一・八於竜宮館外山豊二録) |
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霊界物語 | 54_巳_ビクの国の物語2(後継者問題) | 附録 神文 | 附録神文 是の幽斎場に神術を以て招請奉る、掛巻も畏き、独一真神天御中主大神、従ひ賜ふ千五百万の天使等、一柱も漏れ落る事無く、是の斎庭に神集ひに集ひ玉ひて、正しき人の御霊々々に、奇魂神懸らせ玉はむ事を乞祈奉る。天勝国勝奇魂千憑彦命と称へ奉る、曽富戸の神亦の御名は、久延毘古の神、是の幽斎場に仕へ奉れる、正しき信徒等に、御霊幸へまして、各自各自の御魂に、勝れたる神御魂懸らせ玉ひて、今日が日まで知らず知らずに犯せる、罪穢過ちを見直し聞直し、怠りあるを宥させ給はむことを、国の大御祖の大前に詔らせ玉へ。伊怯く劣在き吾等は、出口大教祖の御勲功に依り、神国の神典と、大神の御諭を、読み窺ひ奉りて、天地の御祖の神の御勲功を覚り、国祖大国常立尊が、伊邪那岐伊邪那美の二柱の天使に、是の漂流る地球を修理固成せと、天の瓊矛を事依さし賜ひしより、その沼矛を指し下ろし塩コヲロコヲロに掻き鳴し給ひて、淤能碁呂島を生み、之を胞衣となして、天の御柱国の御柱を見立て給ひ、八尋殿を化作たまひ、妹兄の二柱所就たまひて、大八島の国々島々を生み、青人草等の始祖等を生み万の物を生み、青人草を恵み撫で愛しみ給はむが為に、日月国土を生み給ひて、各自各自其の神業を別け依さし玉ひ、万の事を始め玉ひて、為しと為し勤しみ玉へる事毎に、天津御祖神、国津御祖神等の大御心を御心として、青人草を恵み玉ひ愛はしみ、弥益に蕃息栄ゆべく、功竟へ玉ひしを初め、天津御祖神其の御神業を受持ちて、天津国を知ろしめし、五穀物の種を御覧して、此のものは現しき青人草の食て活くべき物ぞと詔りて、四方の国に植ゑ生したまひ、天の下の荒振神達をば神払ひに払ひて、語問ひし岩根木根立草の片葉をも語止めて、幽り事は、神素盞嗚命の御子杵築の大神に言依さし治めしめ、皇御孫命を、天津日嗣の高御座に坐せ奉りて、万千秋の長五百秋に、大八嶋の国を安国と平けく治め玉へと、天降し依さし奉り顕明事、知ろしめさしめ玉へる時に、神漏岐、神漏美の命の御言依さしませる、天津祝詞の太祝詞に依りて、皇御孫命の御代々々、天津神社国津神社を斎ひ、神祭りを専らとして、天の下四方の国を治め、大御田族を恵み撫で給ふ事なも、天津御祖の神、国津御祖の神の伝へ玉へる道の大本にして、其の御任のまにまに、天津神国津神達受持ちて世の中の有りと有りの悉は、皇神の大御業に漏るる事なく遺る事無く、広く厚く恩頼を蒙りて、有る縁由を確に窺ひ得て、戴に尊み辱なみ、赤誠を以て仕へ奉るべきにこそ、青人草の勤めならめ。然るに中津御代より、邪さの教説ども伝はり来たり吾等が祖先たち世人諸共に、心は漸く邪神の風習に移ろひ、異しき卑しき蕃神を専らと斎き奉りて、高く尊き天地の御祖神等の、厳の御霊の幸ひに依りて、惟神の大道の中に生れ出で、食物衣服住む家等為しと為す事毎に大御恵を蒙りつつも、然は思ひ奉らず、神の道を粗略に思ひ居る人々どもも多く出で来り神に仕へ奉る事も追々に廃れて、天津神社国津神社も衰へ坐せるに依りて、皇神等は弥放りに放り坐し、神の稜威も隠ろひまし、邪神は所を得つつ、大神を潜めおきて世人を欺き美はしき神の御国を乱したるこそ憤うろしく慷慨く思ふの余り、大本皇大神の御教を能く説明して、世人に普く大神等の御恵みの辱き尊き、大本の由緒を説き諭す神の御柱となるべく、この幽斎場に在る信人、又其の守護神に聞しめさへと宣る。信人よ、守護神よ、此時この砌り、各自々々霊の柱立て固めて、厳の御霊瑞の御霊の教を以ちて、猶この行先も、如何なる異しき思想論説ども蔓り来るとも、相交らひ相口会ふこと勿れ。 辞別けて天地の大神等、三千歳の長き年月天地を清めて、安国と平けく知ろしめすべく、世に隠れて事計り給へりし、国の大御祖大国常立大神、亦教の柱なる惟神真道弥広大出口国直霊主命の、神随の御教のまにまに、幸へまし荒振神等御霊等は、皆御心を直し和めまして、善しき心を振り興しませ。中津御代より、人の心の随々何事も行はしめて、大神等も神習と宥め給ひて、用ひしめ玉へる蕃国々の事どもの、天地の神の大道に甚く違へる非事は神より糺し改めて退けしめ給へ。天地の大神等、神代の随の大稜威を振り起して、各自々々掌分たまふ功徳の任に任に、相宇豆那比相交こり相口会へ玉ひて、今迄に神の大道を知らず、惟神の大本を、弁へずして、過失犯せる雑々の罪怠り穢を祓ひ退け、神の子たる道に天の下の人草を導き給へ、亦人草の今も猶ほ日に夜に過失犯す事の在らむをば、神直日大直日に見直し聞直し宥め許して清めしめ給へ、神の神典は更なり大本の国之御祖の御神諭は、漏らす事無く過つ事無く、正語を正語と覚らしめ給へ、亦た教司等の説き誤りあらば、次々に思ひ得て、疾く改め直さしめ玉へ、足は歩まねども、天の下の事どもは悉に神の霊徳によりて知らしめ給へ、外国の教にもあれ、正語は正語としてひらひ得さしめたまへ、高天の神祖の神の産霊に造り給ひて、尊き神霊を分賦り与へ玉へる、神の宮居として神懸り玉ひて、神の大道を好む良き信人と為さしめ玉へ、二度目の天の岩戸を開かむ道に仕へて、御代の太き御柱の教に入れしめ玉へ、掛巻も畏けれども、吾々青人草の霊魂は乃ち神の分霊にしあれば、幽り事神事をも知らるる限りは知らしめ玉ひて、此世ながらに神にもまみえ奉り、亦生ける神とならしめ玉ひて、世の為め道の為に祈りと祷る事ども為しと為す術ども、悉に神術なす伊都速き験しあらしめ玉ひて普く天の下の乱れを治め、世人の災難を救ふ尊き人となさしめ玉ひて、所在邪神どもも形隠し敢へず恐ぢ怖れしめ給へ、吾無く一向に大神の道に仕へ奉る身は是れ奇魂千憑彦の命に等しければ天地の大神等、殊に大国常立大神、豊雲野大神たちを初め、諸々の正しき御霊等、青人草と生れ出し、之の幽斎場の人々の請願奉るまにまに、霊幸へ坐し神懸りまして、其の御威徳に似えしめ玉へと大神の大前に祈り奉る。幸に皇神等の御霊の御稜威に由りて、神の世界の尊き広き美はしき、状況を伺ひ得て、神と吾等と相親しみ、睦み、神の御子たる身魂に立復りて邪神の教の侫け曲れる徒の邪さ説は次々に問和し言向けて、惟神の大本の正道に趣かしめ、同じ心に神習はしめ玉へ、若し大神の教と御国の法に帰順ずして四方四隅より、荒び疎び来る妖鬼枉人は、速に追ひ退け罰めて、例のまにまに黄泉国に逐ひ下し、大神の御稜威と天皇の御光りを世に炳じるく知らしむべく神力を与へ給ひて、花々しく世の為人の為に、立働かしめ給へ。常世の暗を照し清むる大神の神諭を、普く広く滞る事なく美はしく、世に説き明かし、世人の悉正しき直き清き広き惟神の大本の教に復らしめ、吾等が神国に尽す麻柱の誠を、最高き雲の上にも、世を政りごちます公辺にも、伊吹挙げ吾等の御国を思ふ赤誠を、徒には捨てず採り用ゆべく思はしめ給へ、吾等信人が神世の由縁を畏み、大神の御神勅を仕へまつりて、本宮の山に宮柱太敷く立て、千木高く仕へ奉れる如く、古の神の政に建替へ立上げ、永遠無窮に親と子の中は弥睦びに親び栄えしめ給へ、此の功績を以て罪怠穢犯し有るをも宥め恕し玉ひて、大神等の御恩に報ひしめ玉ひ、立替立直しの神業に加はりて、人の勤めの功為し了へて、現世を罷れる後の魂の往く方は、神の定めのまにまに、産土の神の執持ち玉ひて、大本大神の御許に参り仕へ奉らしめ給へ、大神の御後に立ちて、高天原に復命曰さしめ玉へ、弥益々も正しき直き太き心を固めて動く事なく、天地の有らむ限りの後の世の次々も、現世に立たむ功績のまにまに、大神の教を世人に幸へしめ玉ひて、邪さの道を糺し弁へ、伊吹払ひ平げ退くる神業に仕へ奉る御霊と成らしめ玉ひ、又子孫の家の者とも朋友親族教子等の万の枉事罪穢を、払ひ清めて病しき事なく、煩はしき事なく睦び親しみ、諸々の義理に叶へる願事は幸へ助けて、大神の大道を説き弘むる身魂と生かし助け、天翔り国翔る仙人等御霊等を率ゐて、世を守る奇魂千憑彦の御魂と成らしめ賜はむ事を、高天原の大本の広庭に斎廻り清廻りて、天つ御祖の大神国の大神祖の大神、大本教の教御祖の御前に、慎み畏み請のみ奉る。惟神霊幸倍坐世(完) |
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霊界物語 | 55_午_ビクの国の物語3(玉木の里) | 17 万巌 | 第一七章万巌〔一四二五〕 玉置の村のテームスは治国別の教を聞いて今迄の貪欲心や執着心を弊履を捨つるが如くに脱却し、広き邸を開放し村人の共有とし、且つ山林田畑を村内に提供して共有となし、茲に一団となつて新しき村を経営する事となつた。先づ大神の神殿を造営すべく村人は今迄テームスの持ち山たりし遠近の山に分け入つて木を切り板を挽き、日夜赤心を尽し、漸くにして一ケ月を経たる後仮宮を造営し、大神を鎮座する事となつた。治国別は村人に教を伝ふべく、又この神館の完成する迄神勅に依つて待つ事とした。数百人の老若男女は悦び勇みて社前に集まり、この盛大なる盛典に列した。治国別は祭主となり、神殿に向つて祝詞くづしの宣伝歌を奏上した。 治国別『久方の天津御空の高天原に、鎮まり居ます大国常立の大神、神伊邪那岐の大神伊邪那美の大神、厳の御霊の大神瑞の御霊の大神を初め奉り、天津神国津神八百万の神達の御前に、三五教の神司治国別の命、清き尊き珍の御前に慎み敬ひ、畏み畏みも申さく、高天原の月の御国を知し召す、瑞の御霊の大御神、日の神国を知し召す、厳の御霊の大神は、現身の世の曇り汚れ罪過を、科戸の風に吹き払ひ、速川の瀬に流し捨て、清き麗しきミロクの御代に立直さむと、神素盞嗚の大御神に、千座の置戸を負はせたまひ、産土山の聖場に、斎苑の館を立て給ひ、千代の住所と定めつつ、神の御言を畏みて、遠近の国々に珍の教を完全に、開かせ給ふ有難さ、百の司を初めとし、四方の国人達は、皇大御神の大御恵を、喜び仰ぎ奉り、早風の如く潮の打寄する事の如く、神の御前に伊寄り集ひて、神の賜ひし村肝の心を錬り鍛へ、百の罪汚れ過を、払ひ清めて天地の、神の柱と生れ出でたる人の身の務めを、完全に委曲に尽し終へむと、励しみ仕ふる勇ましさ、掛巻も畏き皇大神の領有ぎ給ふ、豊葦原の千五百秋の瑞穂の国は、生言霊の幸はふ御国、生言霊の助くる御国、生言霊の生ける御国にましませば、天の下に生きとし生ける民草は、日に夜に心を研き身を謹み、神の賜ひし珍の言霊を祝り上げ奉り、仮にも人を罵らず、譏らず嫉まず憎みなく、睦び親しみ兄弟の如く、現世に生永らへて、日々の生業を楽しみ仕へ奉り、神の依さしの大御業に、仕へ奉るべき者にしあれば、三五教の御教を、夢にも忘るる事なく、朝な夕なに省みて、神の御国の幸ひを、完全に委曲に受けさせ給へと、皇大神の大前に、謹み敬ひ願ぎ奉る、下つ岩根に千木高く、仕へまつりし此宮の、いとも広くいとも清けきが如く、いや永久に、いづの玉置の村人は、テームスの村司を親と崇め、各自の生業を、いそしみ勤めて大神の、御前に勲功を奉り、家内は睦び親しみて、恵良々々に歓ぎ賑ひ、茂り栄えしめ給へ、ああ惟神々々、御霊幸倍ましませよ』 斯かる所へ村の若い衆と見えて赤鉢巻を締め乍ら、鐘や太鼓を叩きつつ、千引の岩を車に載せ、神の御前に奉らむと、大綱を老若男女が握り乍ら汗をタラタラ流しつつ、歌を唄つて進み来る其勇ましさ。(以下()内はワキ) 『(エンヤラヤー、エンヤラヤア)三五教の神司 治国別の宣伝使(ヨーイヨーイ、エンヤラヤア) 天津御空の雲別けて玉置の村に下りまし (ヨーイトセー、ヨーイトセー)(エンヤラヤーのエンヤラヤー) 欲に抜目のない爺テームスさまを説きつけて (ヨーイヨーイエンヤラヤ)も一つそこらで(エンヤラヤア) (ヨーイヨーイヨーイトナ)皆さま揃うてモ一つぢや 昔の昔の先祖から欲をかはいて溜めおいた 山も田地もすつかりと(ヨーイヨーイ、エンヤラヤ) 玉置の村へ放り出して上下なしに安楽な 生活をせよと云はしやつた時節は待たねばならぬもの (ヨーイヨーイ、エンヤラヤア)皆さま揃うてモ一つぢや (ヨーイヨーイ、ヨーイトセ)広き邸を開放して 尊き神の宮を建て老若男女が睦び合ひ 今日は目出度い宮遷し(ヨーイヨーイエンヤラヤ) (ヨーイトセ、ヨーイトセ)皆さまそこらで一気張り (ヨーイヨーイヨーイヤナ)これから玉置の村人は 今度新にお出ました万公さまの若主人に 心の底から服従し上下揃うて神様の 御用を励み日々の野良の仕事や山仕事 喜び勇んで務めませう(ヨーイヨーイエンヤラヤ) (エンヤラヤーのエンヤラヤー)皆さまここらで一気張り 千引の岩は重くとも大勢が心を一つにし 力限りに曳くならば何程甚い阪だとて 神の守りに安々と苧殻を曳くよに上るだらう (ヨーイヨーイエンヤラヤ)(エンヤラヤーのエンヤラヤー) 抑々玉置の村人は昔の昔の神世から この神村を住所としウラルの神の御教を 守り来りし人ばかり(ヨーイヨーイエンヤラヤ) (エンヤラヤーのエンヤラヤー)ウラルの神さまどうしてか 幾何信心したとても些ともお蔭を下さらぬ テームスさまが唯一人お蔭を横取許りして 吾等一同の汗膏絞つて楽に日を暮し 栄耀栄華にやつて居た(ヨーイヨーイエンヤラヤ) (エンヤラヤーのエンヤラヤー)それをば黙つて見て厶る ウラルの彦の神さまは此頃盲になつたのか 但は聾になつたのか村の難儀を知らぬ顔 (ヨーイヨーイエンヤラヤ)(エンヤラヤーのエンヤラヤー) 皆さま揃うて一気張り(ヨーイヨーイエンヤラヤア) 此度救ひの神様が天の河原に棹さして 治国別と名を変へて玉置の村に下りまし 吾等一同を救はむと仁慈無限の御教を 宣らせ給ひし嬉しさよ(ヨーイヨーイエンヤラヤ) (エンヤラヤーのエンヤラヤア)これから玉置の村人は 飢に苦しむ人も無く凍えて死ぬる人もなし 上下運否のないやうにミロクの御代が築かれて 喜び勇んで暮すだらう(ヨーイヨーイエンヤラヤ) (エンヤラヤーのエンヤラヤー)此神殿に祭りたる 救ひの神は厳御霊瑞の御霊の神柱 柱も清く棟高く御殿も宏く風景は 勝れて絶佳の御場所よ(ヨーイヨーイエンヤラヤ) (エンヤラヤーのエンヤラヤー)捻鉢巻の若い衆よ 早階段に近付いたもう一気張り一気張り お声を揃へてヨーイヤナ(ヨーイヨーイエンヤラヤ) (エンヤラヤーのエンヤラヤー)』 と唄ひ乍ら方形の大岩石を社の傍に据ゑたり。これは村人が……此岩石の腐る迄は心を堅く変へませぬ、何処迄も御神の為に尽します……と云ふ赤心の供へ物である。 万公は村人と同じく捻鉢巻をし、運んで来た石を適当の場所に据ゑむとして二三人の部下と共に槌を振り上げ、大地をドンドンと固め、杭を打つて石のにえ込まないやうと勤めて居る。相方が交互に歌を唄ひ乍ら拍子をとつて居る。 万公『神と神との引き合せ(ドーン、ドーン、ドンドンドン) 玉置の村の里庄なるテームスさまの若主人 万公司も現はれて今日の目出度いお祭りを 力限りに祝ひませう(ドーンドーン、ドンドンドン) 打てよ打て打て確り打てよ地獄の釜の割れる迄 今打つ槌は神の槌槌が土うつ面白さ (ドーンドーン、ドンドンドン)玉置の村の皆さまが キールの谷から千引岩毛綱に括つて引き来り 尊きお宮の御前に信と真との光をば 現はし給うた目出度さよ(ドーンドーン、ドンドンドン) 大神様の御利益でテームス館は云ふも更 此村人は永久に尊き此世を楽しんで 堅磐常磐に玉の緒の命を保ち心安く 家も豊に栄えませう(ドーンドーン、ドンドンドン) これから村中心をば一つに合して田を作り 山には木苗を植付けて(ドーンドーン、ドンドンドン) 共有財産沢山と造つて子孫の末迄も (ドーンドーン、ドンドンドン)宝を残し身を治め 心を清めて神様の尊き教に心従し 此世を安く頼もしく(ドーンドーン、ドンドンドン) 千引の岩の御霊もて悪魔を払ひいつ迄も ビクとも動かぬ鉄石の信仰励もぢやないかいな (ドーンドーン、ドンドンドン)どうやら準備が出来たよだ 皆さまモ一つ頼むぞや(ヨーイヨーイエンヤラヤ) (エンヤラヤーのエンヤラヤア)力の強い若い衆は 挺をば四五本持つて来て千引の岩を此上に 何卒据ゑて下されよ万公別が頼みます (ヨーイヨーイエンヤラヤ)(エンヤラヤーのエンヤラヤア) 朝日は照るとも曇るとも轟き渡る滝の水 洗ひ晒した此身体神の御前に奉り 舎身供養を励みませうああ惟神々々 (ヨーイヨーイエンヤラヤ)(エンヤラヤーのエンヤラヤー) 神の御心畏みて村人心を一つにし 今日の祭を恙なく済ませた事の嬉しさよ 玉置の村は万世に玉置の宮と諸共に 栄え尽きせぬ事だらう喜び祝へ諸人よ (ヨーイヨーイエンヤラヤ)(エンヤラヤーのエンヤラヤア)』 (大正一二・三・四旧一・一七於竜宮館加藤明子録) |
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霊界物語 | 60_亥_イヅミの国3/三美歌/祝詞/神諭 | 16 祈言 | 第一六章祈言〔一五四一〕 感謝祈願詞 感謝 至大天球の主宰に在坐て。一霊四魂、八力、三元、世、出、燃、地成、弥、凝、足、諸、血、夜出の大元霊、天之御中主大神、霊系祖神高皇産霊大神。体系祖神神皇産霊大神の大稜威を以て、無限絶対無始無終に天地万有を創造賜ひ。神人をして斯る至真至美至善之神国に安住せ玉はむが為に、太陽太陰大地を造り、各自々々至粋至醇之魂力体を賦与玉ひ。亦八百万天使を生成給ひて万物を愛護給ふ、其広大無辺大恩恵を尊み敬ひ恐み恐みも白す。 掛巻も畏き大地上の国を知召します、言霊の天照国は。千代万代に動く事無く変る事無く。修理固成給ひし、皇大神の敷坐す島の八十島は。天の壁立極み国の退立限り。青雲の棚引極み、白雲の堕居向伏限り、伊照透らす大稜威は、日の大御守と嬉しみ尊み。常夜照る天伝ふ月夜見神の神光は、夜の守と青人草を恵み撫で愛しみ賜ひ。殊更に厳の御魂天勝国勝国之大祖国常立尊は、天地初発之時より独神成坐而隠身賜ひ。玉留魂の霊徳を以て、海月如す漂へる国土を修理固成て、大地球の水陸を分劃ち賜ひ。豊雲野尊は足魂の霊徳を以て植物を生出、葦芽彦遅尊は生魂の霊徳を以て動物を愛育て。大戸地、大戸辺、宇比地根、須比地根、生杙、角杙[※「生杙」「角杙」の「くひ」の字は、戦前の初版(p286)・校定版(p247)・愛世版(p232)いずれも「枠」。古事記では「杙」である。「枠」は「くい」ではなく「わく」であり、誤字だろうから、霊界物語ネットでは「杙」を使う。]、面足、惶根の全力を以て。万有一切に賦り与へ、天地の万霊をして、惟神の大道に依らしめ賜ひ。神伊邪那岐尊、神伊邪那美尊は。天津神の神勅を畏み、天の瓊矛を採持ち。豊葦原の千五百秋の水火国を。浦安国と、𪫧怜に完全具足に修理固成し賜ひて。遠近の国の悉々、国魂の神を生み、産土の神を任け賜ひて。青人草を親しく守り賜ふ。其大御恵を仰ぎ敬ひ喜び奉らくと白す。 現身の世の習慣として。枉津神の曲事に相交こり、日に夜に罪悪汚濁に沈みて。現界の制律に罪せられ。幽界にては神の政庁の御神制の随々、根の国底の国に堕行むとする蒼生の霊魂を憐み賜ひて。伊都の霊、美都の霊の大神は。綾に尊き豊葦原の瑞穂の国の真秀良場畳並る、青垣山籠れる下津岩根の高天原に、現世幽界の統治神として現れ給ひ。教親の命の手に依り口に依りて、惟神の大本を講き明し。天の下四方の国を平けく安けく、豊けく治め給はむとして。日毎夜毎に漏る事無く遺る事無く。最懇切に百姓万民を教へ諭し賜ふ。神直日、大直日の深き広き限り無き大御恵を。嬉しみ忝なみ、恐み恐みも称辞竟へ奉らくと白す。 祈願 天地初発之時より。隠身賜ひし国の太祖大国常立大神の御前に白さく。天の下四方の国に生出し青人草等の身魂に。天津神より授け給へる直霊魂をして。益々光華明彩至善至直伊都能売魂と成さしめ賜へ。邂逅に過ちて枉津神の為に汚し破らるる事なく。四魂五情の全き活動に由て、大御神の天業を仕へ奉るべく。忍耐勉強もつて尊き品位を保ち、玉の緒の生命長く。家門高く富栄えて、甘し天地の花と成り光と成り。大神の神子たる身の本能を発き揚しめ賜へ。仰ぎ願はくは大御神の大御心に叶ひ奉りて、身にも心にも罪悪汚穢過失在らしめず。天授之至霊を守らせ給へ、凡百の事業を為すにも。大御神の恩頼を幸へ給ひて、善事正行には荒魂の勇みを振起し、倍々向進発展完成の域に立到らしめ給へ。朝な夕な神祇を敬ひ。誠の道に違ふ事無く、天地の御魂たる義理責任を全うし。普く世の人と親しみ交こり、人欲の為に争ふ事を恥らひ。和魂の親みに由て人々を悪まず、改言改過悪言暴語無く、善言美詞の神嘉言を以て、神人を和め。天地に代るの勲功を堅磐に常磐に建て。幸魂の愛深く。天地の間に生とし生ける万物を損ひ破る事無く。生成化育の大道を畏み、奇魂の智に由て。異端邪説の真理に狂へる事を覚悟可く。直日の御霊に由て正邪理非直曲を省み。以て真誠の信仰を励み、言霊の助に依りて大神の御心を直覚り。鎮魂帰神の神術に由て村肝の心を練り鍛へしめ賜ひて。身に触る八十の汚穢も心に思ふ千々の迷も。祓ひに祓ひ、退ひに退ひ、須弥仙の神山の静けきが如く。五十鈴川の流の清きが如く。動く事無く変る事無く。息長く偉大く在らしめ賜ひ。世の長人、世の遠人と健全しく。親子夫婦同胞朋友相睦びつつ。天の下公共の為、美はしき人の鏡として。太じき功績を顕はし、天地の神子と生れ出たる其本分を尽さしめ賜へ。総の感謝と祈願は千座の置戸を負て、玉垣の内津御国の秀津間の国の海中の沓嶋神嶋の無人島に神退ひに退はれ。天津罪、国津罪、許々多久の罪科を祓ひ給ひし、現世幽界の守神なる、国の御太祖国常立大神、豊雲野大神。亦た伊都の御魂美都の御魂の御名に幸へ給ひて聞食し、相宇豆那比給ひ。夜の守日の守に守幸へ給へと。鹿児自物膝折伏せ宇自物頸根突抜て。恐み恐みも祈願奉らくと白す。 祖先拝詞 遠都御祖の御霊、代々の祖等、家族親族の霊。総て此祭屋に鎮祭る、御魂等の御前を慎み敬ひ。家にも身にも枉事有らせず、夜の守り日の守りに守幸へ宇豆那比玉ひ。弥孫の次々弥益々に令栄賜ひて。息内長く御祭善く仕奉らしめ給へと。畏み畏みも拝み奉る。 |
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霊界物語 | 60_亥_イヅミの国3/三美歌/祝詞/神諭 | 17 崇詞 | 第一七章崇詞〔一五四二〕 祖霊社朝夕日拝祝詞 是の祖霊殿に斎き奉り鎮まり坐す三五皇大御神の宇豆の大前に慎み敬ひ畏み畏み白さく、言巻も畏けれども、大神等の深き高き御徳を蒙りて、常も撫で給ひ愛給へる青人草等(何某家遠祖代々祖等)の神霊諸々を、此祖霊殿に斎ひ鎮めて惟神なる大道の随々恩頼を幸ひ給ふ事を、嬉み忝み畏みも称へ言竟奉らくと白す。 言別て此の霊舎に斎き奉り坐せ奉る諸々(何家遠祖代々祖等)の神霊の御前に白さく、人は皇御祖の奇に妙なる造化に依りて天津御魂を賜はり、伊邪那岐、伊邪那美二柱の大神の生成し給ひて、天照大御神の大御光の中に養育はるる者なれば、顕世の心の律法、身の行を惟神清く正しく務め励みせば、天津御国の神の廷に帰り坐して其程々に天津神の御愛顧を受て、永く久しく仕へ奉るべき神理を尊み、重みつつ、供へ奉る幣帛を(毎日の御饌を)平らけく安らけく聞食て、是の教の御廷に拝み仕奉る諸人等は、異き心悪き行ひ無く、病しき事なく、煩はしき事なく、家の業緩ぶ事なく怠る事なく、弥栄に栄しめ給ひ、夜の守り日の守りに守り幸ひ給へと、畏み畏みも白す。 祖霊遷座祭 何々家の遠津祖、世々の祖等の御霊の御前に慎み敬ひも白さく、此の御宮を祓清めて、今日より遷し奉り坐せ奉る事を、平らけく安らけく聞食相諾ひ給ひて、弥益々に家門高く子孫の八十続をも守幸へ給へと、種々の神饌物を捧げ奉りて、恐み恐みも白す。 一年祭祭文 此の霊殿に斎ひ奉り坐せ奉る、○○命故○○毘古の神霊の御前に白さく。汝命や現世を身退坐つるは、昨年の此月の今日と早くも一年廻れる御祭の日に成ぬ。故常も忘るる間なく、慕ひつつ花紅葉の美麗き色を見ては昔を思ひ、百鳥の囀る声を聞ては其世を恋ひ、種々に恋しみ偲び奉りて、此の家の守神と持斎、御前には夜となく昼となく仕奉中にも、今日は親族家族諸人等、弥集へに集へて広く厚く祭祀治め奉るが故に、礼代の幣帛と種々の神饌物を百取の机に横山の如く供へ奉りて、称言竟奉らくを、平けく、安らけく聞食て、弥遠永に世々の祖等と御心を一び御力を合せ給ひて、子孫の遠き世の守り、家の鎮と坐す御徳を現はし給ひ、家門高く立栄しめ給ひ家族親族和び睦び、浦安く転楽しく在しめ給へと畏み畏みも白す。 辞別て何々の家の遠津御祖、世々の祖等の御前に白さく、今日はしも○○毘古の神霊の一年の御祭仕奉るとして、供へ奉る美味物を相甞に聞食相諾ひ給へと、恐み恐みも白す。 五十日間新霊拝詞 ○○命、故○○の神霊や、汝命の御為には、善き事議り為さむと真心を尽して大神に乞祈奉り、善き事は褒め給ひ、過あらむには宥め給ひて其所を得しめ給ひ、其楽を極めしめ給へと祈白す事を聞食て、只管に大神を憑頼坐して。惑はず多由多はず平穏に鎮まり給へと白す。 家祭祝詞 畏きや、○○命の御前に白さく、汝命は百年千年の齢を重ねて、世の長人の名を負ひ坐む事をし、家族は更なり、諸人も常に多能母志美思ひつつ在経し間に、現身の人の慣と(病には得堪給ずて)現し世を離て幽冥に隠り坐し天津御国に昇り坐しぬれば惟神の御掟の任々事議りて、神葬の礼も既功竟ぬれば、瑞の殿の内外も清らかに祓ひ清めて種々の物供へ奉りて、御祭仕奉る状を平けく安らけく聞食て、大神の広き厚き御恵の蔭に隠ひ、浦安く、浦楽しく坐して、子孫の八十続き遠き世に此の家の守護神と鎮り坐して、時々の祭の礼をも、絶る事なく、懈る事なく、仕奉らむ事を相諾ひ給へと、恐み恐みも白す。 招魂祓詞 掛巻も畏き祓戸四柱の大神等の大前に謹み敬ひて白さく。此郷に住る、何某、此月○日に顕世を去りぬるに因りて、其霊魂の為に三五皇大神辞別て産土の大神に乞祈奉り霊代を造備へて、遠く永く此家に鎮め斎ひ奉らむとす。故供へ奉る神饌物は更なり祭員及家族親族諸人等が過犯けむ罪穢有らむには祓ひ賜へ清め給ひて、清々しく成幸へ給へと、恐み恐みも白す。 発葬祓詞 掛巻も恐き祓戸四柱の大神等の宇都の大前に祓主、何某、畏み畏みも白さく、去し○日に顕世を神避り坐しつる何某が葬儀の祭仕奉るとして供へ奉る神饌物は更なり、仕奉る祭員及家族親族参来集へる諸人等が過犯しけむ罪穢有らむをば、祓給ひ、清め給ひて行道をも枉神の枉事なく、清々しく発葬の式仕奉らしめ給へと、恐み恐みも白す。 五十日間及年祭奥都城祝詞 ○○命故○○毘古(子)の奥都城の御前に白さく、今日はしも○年(日)の御祭仕へ奉るべき日に廻り来ぬれば、家族親族諸人打集ひて、種々の美味物供へ拝み奉る状を平けく安らけく聞食して子孫の遠永に家をも身をも守り幸ひ給へと恐み恐みも白す。 幽家復祭奏上詞 掛巻も畏き三五皇大神の大前に慎み敬ひも白さく。何某(霊の名)の霊は御祭仕奉るべき神胤の無きが故に、今回惟神の御教の任に任に改め斎ひて、幽家に鎮め、大神の知食す幽冥の神事に仕奉らしめむとして、今日の生日の足日の良辰に御祭仕へ奉らむとす。故神酒御饌、海川山野の種々の物を供へ奉りて乞祈白す事の状を、平けく安らけく聞食相諾ひ給ひて、弥遠永に広く厚く恩頼を蒙らしめ給へと畏み畏みも称へ言竟へ奉らくと白す。 復祭合祀祝詞 此の日茂呂木に斎ひ奉り坐せ奉る、何某の霊の御前に慎み敬ひも白さく。汝命等は前の御祭に洩れ落ち給ひしに依りて、今日の吉日の吉辰に、何々家代々の祖等の鎮り坐す霊祠に合祀の御祭仕奉らむとして、御前には神酒、御饌、種々の物を取添へて仕奉らくを御心穏に聞食せと白す。抑現世の人の生ける間は言ふも更なり、死れる後の霊魂は専ら皇大神の広き厚き御心に愛み給ひ、恵み給ひて、神の列に入らしめ給ひ、歓び楽しみをも得しめ給ふ事を、丁寧に窺ひ覚りて、今も此の如く汝命等の御霊の御為に、大神の御寵愛を乞祈奉りて、惟神の大神国風に改め斎ひ奉らくを、汝命等の御心にも嬉しみ悦び平かに安かに聞食し給ひて、今日より以後は只管に大神に仕へ奉りて、高き御位に進み、弥広に弥益々に広所を得給ひ、何々家代々の祖等と御力を合せ、御心を一び給ひて春秋の遠永に、子孫の八十連に参出侍ひて、御祭美しく仕奉らしめ給へと、乞祈奉らくを聞食して、御心も平穏に鎮まり給へと畏み畏も白す。 祓戸昇降神詞 掛巻も綾に恐き 瀬織津比売之大神 速秋津比売之大神 伊吹戸主之大神 速佐須良比売之大神 総て祓戸四柱の大神等 是の日茂呂木に降居坐し坐せ。 此の日茂呂木に招ぎ奉り座せ奉る掛巻も綾に恐き 瀬織津比売之大神 速秋津比売之大神 伊吹戸主之大神 速佐須良比売之大神 総て祓戸四柱の大神等 本津御座に昇り坐し坐せ。 祖霊大祭祝詞 畏きや此の霊社に鎮め奉り斎き奉る神霊等の御前に持ち由まはり謹み敬ひも白さく。八十日日は有れども、今日を生日の足日と選み定めて、春(秋)の大御祭仕へ奉るとして、御前には奥山の五百枝真栄木を伊伐り来て、時の花をも折り添へて、御饌は高杯に盛足らはし、餅の鏡を八十平瓮に積み重ね、御酒は甕の戸高知り甕の腹満て並べて、海川山野の種々の美味物、御水堅塩に至る迄横山の如く置き足らはして、家族親族諸人をも弥集へに集へて、斎廷もとどろに饒び笑らぎ、掌もやららに打上げつつ称へ言竟へ奉らくを、汝命等は現世の事、成し竟へまして幽冥の神の列に入りましつれば、大神の大御心にも愛しみ給ひ撫で給ひて、弥高に高き位に進み給ひ、弥広に広所を得しめ給ひて、現身の世に坐しし間こそ飽かず口惜く思しし事も有けめ、今はしも万の事等御心のまにまに、足らひ調ひて、心安く転た楽しき事となも思ひ奉らくを愛で給ひ、美はしみ給ふ子孫等家族親族の悉、汝命等の創め給ひ伝へ給へる御功業を、樛木の次ぎ次ぎ弥弘めに弘め、言霊の清けく坐しし祖の名墜さず、勤め締りて有る状を聞食し、清き名をも高き功をも、今の世に立ちて後の世に伝へしめ給ひ、幽冥に入りなむ後の霊魂をも、あななひ給ひて、汝命等と共に歓び楽を得べく、守り幸へ給へと乞祈奉らくを、御心も和親に聞食して、子孫の八十続き、弥遠長に毎年の今日の御祭、美しく仕へ奉らしめ給へと、家族親族諸々氏子等が真心を取持ちて、称言竟へ奉らくと白す。 祖霊社大祭斎主祝詞 掛巻も畏き三五皇大御神の宇豆の大前に斎主某畏み畏みも白さく。 大神等の奇霊に玄妙なる天津御量りを以て、天地を鋊造堅め、万物を造化成し給ひし中にも、天下の大公民はしも、三五皇大御神の天津御霊を皇産霊に産霊成し給へるまにまに、諾冊二柱の御祖神の生み成し給ひ、日の大御神の養育ひ給へる物にして、元より清き明き神魂を給はりて、生れ出でたる事著ければ、惟神直き正しき道に神習ひ恪まむ人は、大御神等の広き厚き仁恩以て弥栄えに栄え往くべく守り給はむ事は、唯斯世のみに限らず、必ず後の世までも慈み育み守り給はむ事を、尊み辱みつつ八十日日は有れど、今日を生日の足日と斎ひ定めて、毎年の例のまにまに、大御祭仕へ奉るとして、奥山の五百枝真栄木に木綿取り垂て、御饌、御酒、海川山野の種々の美味物、御水堅塩に至るまで、百取の机代に置き高成して仕へ奉らくを、神慮も和かに聞食して皇大神の統治す大八洲国は堅磐に常磐に動く事なく揺ぐ事なく敷き坐す御祭政治は春の花の清く美しく、秋の果実の宇麻良に安らかに行はしめ給ひ、地の上に成出でむ天の益人、弥益々に繁殖て直き正しき大和心の真心を、一つ心に治めさせ給ひ、是の神殿に斎ひ鎮め奉る遠津御祖の神霊等、及世々の祖等諸々の御魂等は、弥広に広所を得しめ給ひ、高き位に進ましめ給ひ、参来集へる子孫の弥次々、男女の別なく、老も若も心正しく身健かに、命長く君臣、師弟、父子、夫婦の道を始めて、人の行ふべき業は遺る隅なく励み勤めて、生涯は神の教に違ふ事なく、世の人をも賛け導き、各も各も罷らむ後は、高天原に復命白さむまにまに、其行の分々に、永き世の幸福を授け給はむ縁由をも、説き明さしめ給ひ、太き雄々しき功績を立てしめ給ひ、顕世も幽冥も、弥遠永に守り恵み幸へ給へと各も各も玉串を持ち捧げ、乞祈奉る状を聞食せと畏み畏みも白す。 復祭鎮祭祝詞 此の日茂呂木に斎ひ鎮むる何某家遠津御祖世々の祖等の神霊の御前に、神裔何某に代りて、何某慎みて白さく、皇大神の御手風の万古に復し給へる太じき御典のまにまに今此月何日の朝日の豊阪登りを(夕日の降知を)(夜昼を)吉時と此の神祠に、汝命等の神霊を安置奉り斎ひ奉り、是の小床に鎮め奉りて真榊木差しはやし、木綿取り垂でて、礼代の幣帛と奠る豊御饌の大御饌、味し御酒の大御酒を、高杯平甕に満て並べて、海の物、野の物、山の物、種々の果実を取添へて仕へ奉らくを、御心穏に聞食し給ひて、家族親族は邪悪の道に惑ふ事なく、諸々過つ事なく、攘ひ給ひて、清き赤き直き正しき真心に、誘ひ導き給ひ、家の業をも弥奨めに奨め給ひ、子孫の八十連五十橿八桑枝の如く立栄えしめ給ひて息長く御祭美しく仕奉らしめ給へと、乞祈白す事をも、平かに安らかに聞召して夜の守り日の守りに守り、堅磐に常磐に恵み幸へ給へと畏み畏みも白す。 鎮祭日より年祭の祝詞(年月日不明の霊) 是の日茂呂木に斎ひ奉り移し奉る何某の命(等)の御前に斎主何某慎み敬ひも白さく、汝命(等)の御祭日詳かならねば、惟神の皇国風に改め奉りし日を、吉日の良辰と斎ひ定めて、其が神霊(等)を慰め仕へ奉らむとして、種々の御饌物を備へ奉りて、乞祈奉る状を相諾ひ給ひて、皇神等の任け給ひ依さし給はむ程々の御位に進み給ひて、枉津神の群に入り給はず、此の何々家が代々の栄を此上なき幸と心安く、心楽しく、時々の御祭を、御心も閑に享け聞食し給へと畏み畏みも白す。 霊社月次祭祝詞 掛巻も畏き三五皇大御神の宇豆の大前に斎主何某畏み畏みも白さく、八十日日は有れども、今日を生日の足日の良辰と選み定めて、毎月の例のまにまに月次の御祭典執行ひ仕へ奉らむとして御前には餅の鏡を積み重ね、大海原に住むものは鰭の広物鰭の狭物、奥津藻菜、辺津藻菜、野山に生ふる物は甘菜辛菜、及種々の果実、御水堅塩に至るまで横山の如く盛り高成して、平素に大神等の広き厚き威徳を仰ぎ奉り、尊み辱けなみつつ在り経るを畏み奉りて、言巻も畏けれど天皇命の大寿命を手長の大寿命と湯津石村の如く、堅磐に常磐に茂し御代の足御代と成し幸ひ給ひて、遠津御祖、世々の祖等、親族諸々の神霊等の御栄を乞祈白す状を聞食して、三五の御教は天地と共に変りなく、月日と共に動き傾く事なく、朝日の豊栄登りに咲み栄えしめ給ひ、三五信徒等は本末内外を過たず、大神等の深き高き慈愛を過つ事なく、違ふ事なく広め導かしめ給ひ、恩頼を蒙らしめ給へと、乞祈白す事を聞食し、相諾ひ給へと恐み恐みも白す。 辞別けて遠津御祖、世々の祖等、親族家族諸々の神霊等の御前に白さく、今日はしも月次の御祭仕へ奉り、御饌物供へ奉りて、日毎に恩頼を蒙りつつ、不意なくも過ち犯しけむ種々の罪穢在らむをば、見直し聞き直し坐して、親の名汚さず、子孫の弥次々、山松の弥高々に立栄えしめ給ひ、夜の守り日の守りに守り幸へ給へと、五十橿鉾の中取持ちて恐み恐みも白す。 新祭殿月次祭祭文 此の神殿に斎き奉り坐せ奉る、掛巻も畏き三五皇大御神の御前に恐み恐みも白さく、月毎の例のまにまに今日の生日の足日に、御祭仕へ奉るとして、奉る幣帛は御饌は高杯に盛足らはし、御酒は甕の戸高知り甕の腹満て並べて、大海原に住める物は鰭の広物鰭の狭物、山野に生る物は甘菜辛菜種々の果実、奥津藻菜、辺津藻菜、御水堅塩に至る迄、百取の机に横山の如く置足らはして称言竟へ奉らくを、平けく安らけく聞食して、此の霊殿に鎮ります家々の霊等をば、弥益に御霊幸ひ給ひて、弥高に高き位に進ましめ給ひ弥広に広所を得しめ給ひ、参出来む親族家族が家をも身をも守幸へ給ひ、子孫の八十続に至る迄五十橿八桑枝の如く茂久栄に立栄えしめ給ひ、忘るる事なく、堕る事なく、御祭仕へ奉らしめ給へと白す事を聞食し相諾ひ給へと鵜自物頸根突抜きて恐み恐みも白す。 辞別けて此の霊殿に鎮まり坐す諸々の家の御霊等の御前に白さく。今日はしも月次の御祭仕へ奉るとして、御前をも持斎き種々の多米津物を備へ奉らくを、相甞に聞食して、大神等の広き厚き大御恵を蒙り給ひて、弥広に広所を得しめ給ひ、永遠に安く穏に鎮まり坐して、春秋の歓び楽しみをも極め給ひて、断る事無く御祭仕へ奉らしめ給へと白す。 |
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霊界物語 | 61_子_讃美歌1 | 12 神徳 | 第一二章神徳〔一五六二〕 第一一二 一 うつし世に為せる業をら神の前に さらけ出さるる時は来にけり。 二 むら肝の心のそこに潜みたる 鬼も大蛇も今や怖ぢつつ。 三 よしあしも洩れなくさばく伊都御魂 世に現はれぬ謹み悔いよ。 四 人の身はいつ死るとも白露の 果敢なきものぞ神に頼れよ。 第一一三 一 聖霊よ吾身に宿らせたまひつつ 妙なるちからわかち玉はれ。 二 皇神の御教の書をおろかなる われにも正しく悟らせ玉へ。 三 いや広きめぐみの翼伸べ玉ひ 曇りし魂を守る伊都の神。 四 諸々の罪に曇りしたましひを 照させたまへ伊都の光に。 五 いや深き愛のながれの水底を はからせ玉へ伊都の光に。 六 古のモーゼエリヤにハリストス ヨハネの魂のみつの御柱。 七 御めぐみの光は豊にみつ御魂 暗を照して現れましにけり。 第一一四 一 曇り切りたる御魂を照しいさみ歓び溢るるいづみ 汲みて嬉しく思はず知らずたたへの御歌うたふ大前。 二 悲しき辛き思ひに沈む果敢なき身にも光をあたへ 守りたまへば思はず知らずよろこび歌ふ貴美の大前。 三 玉の殿にも伏屋の軒も仁慈の神は照りかがやきて のぞみ坐すこそいと尊けれ清き祈りを諾ひまして 罪もけがれも伊吹にはらひ千代の宮居と住まはせ玉へ。 四 皇神と倶にありせば陸奥の 荒野の末もなにか恐れむ。 五 鳥さへも通はぬ深き山奥も 神とありせば天津御国ぞ。 六 朝夕にあふるる恵を身にうけて 露の生命の玉はかがやく。 第一一五 一 瑞御魂吾魂に降りまして 神の御姿おがませ玉へ。 二 ねぎごとを御心平にやすらかに 聞こしたまひて守りませ岐美。 三 岐美といへどこの世を治むる君ならず 魂を治むる清めの神ぞや。 四 瑞御魂きみとふ名をば楯にとり 醜のたぶれの迫り来るかも。 五 現世の君より外にきみなしと おもふ人こそ愚なりけり。 六 伊邪那岐の岐の字と並び伊邪那美の 美の字合せて岐美とこそなれ。 七 神と云ひ岐美と称ふも一つなり 夢あやまつな神の御子たち。 八 聖霊よけがれし身をもめぐまひて 宮居となして宿らせたまへ。 九 叢雲を伊吹払ひて天津日の 魂の光を照しませ岐美。 一〇 春風の薫りて諸の花開く 長閑な御代となさしめ玉へ。 第一一六 一 暗夜を照す厳御魂世人を守る瑞御魂 定めなき世のたづきをも知らず浮世の旅をなす 人を導き天津日の神国に来よと宣り給ふ 珍の御声を具さにかけさせ玉へと願ぎまつる。 二 光つきせぬ厳御魂月より清き瑞御魂 栄光と希望の消え失せし常世の暗に踏み迷ひ 恐れ戦きする民を恵の御手をさしのべて 天津御空の神国に登り来れと宣り玉ふ 珍の御声を安らかに聞かしめ玉へと宣り奉る。 三 千座の置戸のあななひに只管頼り世の中の 百の務めを相果たし天津御空の故郷へ 勇みて上る佳き日をば喜び勇み松の御代 早く来れと玉の声かけさせ玉ふ瑞御魂 命の頼りを願ぎ奉るあゝ惟神々々 御霊幸ひましませよ。 第一一七 一 浮雲のかかる心を打開き 日の出の国に上らせ玉へ。 二 罪穢れ清めて生かす瑞御魂 常世の春に導き玉へ。 三 皇神の稜威の光に疑の 暗き雲霧はれ渡り行く。 四 限りなき又新しき命をば 賜ふ主こそ珍の母なる。 五 皇神の魂の光を身に受けて 愛の御園に進む嬉しさ。 第一一八 一 吾祈る誠を愛でて惟神 奇しき力を授け玉へよ。 二 暗の夜を稜威の光に照しつつ 命の道に進ませ玉へ。 三 厳御魂燃ゆる焔に現身の 穢れを焼きて吾を清めませ。 四 科戸辺の風の響に四方の国 神の訪れ宣べ伝へませ。 五 八咫烏愛の翼に吾魂を 乗せて神国へつれ行けよかし。 六 聖霊よ吾言霊を諾ひて 神の柱と使はせ玉へ。 第一一九 一 照り渡る清き御魂の御光に 照し玉はれ暗き心を。 二 百の罪に曇る心を研き上げ 妙なる力を下し玉はれ。 三 天津国の永遠の歓喜此身にも 充たし玉はれ神の御使。 四 村肝の心に住みて天使 治め玉へよ吾魂を。 第一二〇 一 鳩の如天降りましたる天使 吾魂を慰め玉へ。 二 村肝の心の思ひ為す業も いと清かれと守らせ玉へ。 三 明けき神の大道を歩むべく 厳の光を吾に与へよ。 四 皇神の御前を去らず謹みて 心の限り仕へしめ玉へ。 五 永久の命の主に従ひて 天津御国へ進む嬉しさ。 六 吾身魂清めて神の御舎に 進ませ玉へ導き玉へ。 第一二一 一 冷渡る吾身に愛の焔をば 燃やし玉へよ厳の大神。 二 さまよひて果敢なき影を追ひ慕ひ 露だに知らぬ身こそ悲しき。 三 力なき吾等の祈祷も称へ言も いと安らかに聞し食す主。 四 八千座を負ひし主をば思はずに 夢現にて暮す愚さ。 五 瑞御魂恵みの聖火を下しつつ 冷たき心を温め玉ふ。 (大正一二・五・五旧三・二〇北村隆光録) |