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ひふみ神示 6_日月の巻 第40帖 ここに伊邪那美の命語らひつらく、あれみましとつくれる国、未だつくりおへねど、時まちてつくるへに、よいよ待ちてよと宣り給ひき。ここに伊邪那岐 命、みましつくらはねば吾とつくらめ、と宣り給ひて、帰らむと申しき。ここに伊邪那美 命九聞き給ひて、 御頭に大雷、オホイカツチ、 胸に火の雷、ホノイカツチ、 御腹には黒雷、黒雷、 かくれに折雷、サクイカツチ、 左の御手に若雷、ワキ井カツチ、 右の御手に土雷、ツチイカツチ、 左の御足に鳴雷、ナルイカツチ。右の御足に伏雷、フシ井カツチ、なり給ひき。 伊邪那岐の命、是見、畏みてとく帰り給へば、妹伊邪那美 命は、よもつしこめを追はしめき、ここに伊邪那岐 命黒髪かつら取り、また湯津々間櫛引きかきて、なげ棄て給ひき。伊邪那美 命二の八くさの雷神に黄泉軍副へて追ひ給ひき。 ここに伊邪那岐 命十挙 剣抜きて後手にふきつつさり、三度黄泉比良坂の坂本に到り給ひき。坂本なる桃の実一二三取りて待ち受け給ひしかば、ことごとに逃げ給ひき。 ここに伊邪那岐 命桃の実に宣り給はく、汝吾助けし如、あらゆる青人草の苦瀬になやむことあらば、助けてよと宣り給ひて、また葦原の中津国にあらゆる、うつしき青人草の苦瀬に落ちて苦しまん時に助けてよとのり給ひて、おほかむつみの命、オオカムツミノ命と名付け給ひき。 ここに伊邪那美 命息吹き給ひて千引岩を黄泉比良坂に引き塞へて、その石なかにして合ひ向ひ立たしてつつしみ申し給ひつらく、うつくしき吾が那勢 命、時廻り来る時あれば、この千引の磐戸、共にあけなんと宣り給へり、ここに伊邪那岐 命しかよけむと宣り給ひき。 ここに妹伊邪那美の命、汝の国の人草、日にちひと 死と申し給ひき。伊邪那岐 命宣り給はく、吾は一日に千五百生まなむと申し給ひき。 この巻二つ合して日月の巻とせよ。十一月三十日、ひつ九のか三。
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(352)
ひふみ神示 14_風の巻 第1帖 用意なされよ。いよいよざぞ、愈々九 三。神のみこと知らすぞ。知らすぞ、眼覚めたら起き上がるのざぞ。起きたらその日の命頂いたのざぞ。感謝せよ、大親に感謝、親に感謝せよ、感謝すればその日の仕事与へられるぞ。仕事とは嘉事であるぞ、持ち切れぬ程の仕事与へられるぞ。仕事は命ざぞ。仕事喜んで仕へ奉れ。我出すと曇り出るぞ。曇ると仕事わからなくなるぞ。腹へったらおせよ。二分は大親に臣民腹八分でよいぞ。人民食べるだけは与へてあるぞ。貪るから足らなくなるのざぞ。減らんのに食べるでないぞ。食よ。おせよ。一日一度からやり直せよ。ほんのしばらくでよいぞ。神の道無理ないと申してあろが。水流れる様に楽し楽しで暮せるのざぞ、どんな時どんな所でも楽に暮せるのざぞ。穴埋めるでないぞ、穴要るのざぞ。苦しいという声此の方嫌ひざ。苦と楽共にみてよ、苦の動くのが楽ざぞ。生れ赤児みよ。子見よ、神は親であるから人民守ってゐるのざぞ。大きなれば旅にも出すぞ、旅の苦楽しめよ、楽しいものざぞ。眠くなったら眠れよ、それが神の道ぞ。神のこときく道ざぞ。無理することは曲ることざぞ。無理と申して我儘無理ではないぞ、逆行くこと無理と申すのざ。無理することは曲ることざ、曲っては神のミコト聞こへんぞ。素直になれ。火降るぞ。相手七と出たら三と受けよ、四と出たら六とつぐなへよ、九と出たら一とうけよ、二と出たら八と足して、それぞれに十となる様に和せよ。まつりの一つの道ざぞ。の世の世にせなならんのざぞ、今はの 世ざぞ、 の 世 の 世となりて、 の世に入れての世となるのざぞ。タマなくなってゐると申してあろがな、タマの中に仮の奥山移せよ、急がいでもよいぞ、臣民の肉体神の宮となる時ざぞ、当分宮なくてもよいぞ。やがては二二に九の花咲くのざぞ、見事二二に九の火が鎮まって、世界治めるのざぞ、それまでは仮でよいぞ、臣民の肉体に一時は静まって、此の世の仕事仕組みて、天地でんぐり返して光の世といたすのぢゃ。花咲く御代近づいたぞ。用意なされよ、用意の時しばし与えるから、神の申すうち用意しておかんと、とんでもないことになるのざぞ。の世輝くと となるのざぞ、 と申して知らしてあろがな。役員それぞれのまとひつくれよ、何れも長になる身魂でないか。我軽しめる事は神軽くすることざ、わかりたか。おのもおのも頭領であるぞ、釈迦ざぞ。キリストざぞ。その上に神ますのざぞ、その上神又ひとたばにするのざぞ、その上に又でくくるぞ、その上にもあるのざぞ、上も下も限りないのざぞ。奥山何処に変っても宜いぞ、当分肉体へおさまるから何処へ行ってもこの方の国ぞ、肉体ぞ、心配せずに、グングンとやれよ、動くところ、神力加はるのざぞ、人民のまどひは神無きまどひぞ、神無きまどひつくるでないぞ、神上に真中に集まれよ。騒動待つ心悪と申してあること忘れるなよ、神の申した事ちっとも間違ひないこと、少しは判りたであろがな。同じ名の神二柱あるのざぞ、善と悪ざぞ、この見分けなかなかざぞ、神示よめば見分けられるように、よく細かに解いてあるのざぞ、善と悪と間違ひしてゐると、くどう気付けてあろがな、岩戸開く一つの鍵ざぞ、名同じでも裏表ざぞ、裏表と思ふなよ、頭と尻違ふのざぞ。千引の岩戸開けるぞ。十二月二十五日、ひつぐのかミ。
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(813)
ひふみ神示 32_碧玉之巻 第10帖 岩戸しめの始めはナギ(伊邪那岐命)ナミ(伊邪那美命)の命の時であるぞ、ナミの神が火の神を生んで黄泉国に入られたのが、そもそもであるぞ、十の卵を八つ生んで二つ残して行かれたのであるぞ、十二の卵を十生んだことにもなるのであるぞ、五つの卵を四つ生んだとも言へるのであるぞ、総て神界のこと、霊界のことは、現界から見れば妙なことであるなれど、それでちゃんと道にはまってゐるのであるぞ。一ヒネリしてあるのぢゃ、天と地との間に大きレンズがあると思へば段々に判りてくるぞ。夫神、妻神、別れ別れになったから、一方的となったから、岩戸がしめられたのである道理、判るであろうがな。その後、独り神となられた夫神が三神をはじめ、色々なものをお生みになったのであるが、それが一方的であることは申す迄もないことであろう、妻神も同様、黄泉大神となられて、黄泉国の総てを生み育て給ふたのであるぞ、この夫婦神が、時めぐり来て、千引の岩戸をひらかれて相抱き給う時節来たのであるぞ、うれしうれしの時代となって来たのであるぞ。同じ名の神が到るところに現はれて来るのざぞ、名は同じでも、はたらきは逆なのであるぞ、この二つがそろうて、三つとなるのぞ、三が道ぞと知らせてあろうがな。時来たりなばこの千引の岩戸を倶にひらかんと申してあろうがな。 次の岩戸しめは天照大神の時ぞ、大神はまだ岩戸の中にましますのぞ、ダマシタ岩戸からはダマシタ神がお出ましぞと知らせてあろう。いよいよとなってマコトの天照大神、天照皇大神、日の大神、揃ふてお出まし近うなって来たぞ。 次の岩戸しめは素盞鳴命に総ての罪をきせてネの国に追ひやった時であるぞ、素盞鳴命は天下を治しめす御役神であるぞ。天ヶ下は重きもののつもりて固まりたものであるからツミと見へるのであって、よろづの天の神々が積もる-と言ふ-ツミ(積)をよく理解せずして罪神と誤って了ったので、これが正しく岩戸しめであったぞ、命をアラブル神なりと申して伝へてゐるなれど、アラブル神とは粗暴な神ではないぞ、あばれ廻り、こわし廻る神ではないぞ、アラフル現生る-神であるぞ、天ヶ下、大国土を守り育て給う神であるぞ、取違ひしてゐて申しわけあるまいがな。このことよく理解出来ねば、今度の大峠は越せんぞ。絶対の御力を発揮し給ふ、ナギ、ナミ両神が、天ヶ下を治らす御役目を命じられてお生みなされた尊き御神であるぞ。素盞鳴の命にも二通りあるぞ、一神で生み給へる御神と、夫婦呼吸を合せて生み給へる御神と二通りあるぞ、間違へてはならんことぞ。 神武天皇の岩戸しめは、御自ら人皇を名乗り給ふより他に道なき迄の御働きをなされたからであるぞ。神の世から人の世への移り変りの事柄を、一応、岩戸にかくして神ヤマトイハレ彦命として、人皇として立たれたのであるから、大きな岩戸しめの一つであるぞ。 仏教の渡来までは、わずかながらもマコトの神道の光がさしてゐたのであるなれど、仏教と共に仏魔わたり来て完全に岩戸がしめられて、クラヤミの世となったのであるぞ、その後はもう乱れほうだい、やりほうだいの世となったのであるぞ、これが五度目の大き岩戸しめであるぞ。
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(894)
ひふみ神示 36_至恩之巻 第8帖 ナギ、ナミ夫婦神は八分通り国土を生み育てられたが、火の神を生み給ひてナミの神は去りましたのであるぞ。物質偏重の世はやがて去るべき宿命にあるぞ、心得なされよ。ナミの神はやがて九と十の世界に住みつかれたのであるぞ。妻神に去られたナギの神は一人でモノを生むことの無理であることを知り給ひ、妻神を訪れ給ひ、相談されたのであるなれど、話が途中からコヂレて遂に別々に住み給ふ事となり、コトドを見立てられて千引の岩戸をしめ、両神の交流、歓喜、弥栄は中絶したのであるぞ。
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(895)
ひふみ神示 36_至恩之巻 第9帖 千引岩をとざすに際して、ナミの神は夫神の治らす国の人民を日に千人喰ひ殺すと申され、ナギの神は日に千五百の産屋を建てると申されたのであるぞ。これが日本の国の、又地上の別名であるぞ、数をよく極めて下されば判ることぞ、天は二一六、地は一四四と申してあろうが、その後ナギの神は御一人で神々をはじめ、いろいろなものを生み給ふたのであるぞ、マリヤ様が一人で生みなされたのと同じ道理、この道理をよくわきまへなされよ。此処に大きな神秘がかくされている、一神で生む限度は七乃至八である、その上に生まれおかれる神々は皆七乃至八であるが、本来は十万十全まで拡がるべきものである。或る時期迄は八方と九、十の二方に分れてそれぞれに生長し弥栄し行くのであるぞ。
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(926)
ひふみ神示 38_紫金之巻 第8帖 千引岩今ぞあけたり爽し富士はも。 神は宇宙をつくり給はずと申して聞かせてあろうが、このことよく考へて、よく理解して下されよ、大切なわかれ道で御座るぞ。福はらひも併せて行はねばならん道理。光は中からぢゃ、岩戸は中からひらかれるのぢゃ、ウシトラがひらかれてウシトラコンジンがお出ましぞ、もうよこしまのものの住む一寸の土地もなくなったのぞ。
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(928)
ひふみ神示 38_紫金之巻 第10帖 この巻五葉の巻と申せよ、四つの花が五つに咲くのであるぞ、女松の五葉、男松の五葉、合せて十葉となりなりなりて笑み栄ゆる仕組、十()と一()の実り、二二と輝くぞ、日本晴れ近づいたぞ、あな爽々し、岩戸あけたり。国土をつくり固める為に、根本大神が何故にヌホコのみを与へたまひしか?を知らねば、岩戸ひらきの秘密はとけんぞ。千引岩戸をひらくことに就いて神は今迄何も申さないでゐたのであるなれど、時めぐり来て、その一端をこの神示で知らすのであるぞ、素盞鳴の命のまことの御姿が判らねば次(通基)の世のことは判らんそ、神示をいくら読んでもカンジンカナメのことが判らねば何にもならんぞ。
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(1022)
霊界物語 01_子_霊界探検/玉の争奪戦 25 武蔵彦一派の悪計 第二五章武蔵彦一派の悪計〔二五〕 武蔵彦、春子姫、足長彦の悪神は、最初の黄金橋破壊に失敗したので、こんどは大挙して一挙に之を打ち落さむとし、数万の雷神や、悪竜、悪狐および醜女、探女の群魔を堂山の峡に集め密議を凝らした。その時に参加した悪神は竹熊、木常姫を大将とし、八十熊、鬼熊、猿飛彦、魔子彦、藤足彦、中裂彦、土彦、胸長彦、牛人らの悪神が部将の位地につき、黄金橋の占領破壊に全力をつくした。 そして木常姫、魔子彦は東の空より、猿飛彦は東南より、牛人、藤足彦は西北より現はれて三角形の陣をとり、数万の魔神を引率して、疾風迅雷的に竜宮城を占領すべき計画をめぐらし手筈を定めた。 この目的を達するには、地の高天原を内部より混乱瓦解させねばならぬとし、魔軍はたくみに探女を放ち、そして瑞の霊の肉体を陥れむとして炎の剣や、氷柱の槍にて大々的攻撃を開始した。 瑞霊は茲に霊を下して大八洲彦命と現はれ、寄せくる探女を真澄の剣を振かざし山の尾ごとに追ひ伏せ、河の瀬ごとに切りまくつた。その神勇に驚き周章ふためき四方に逃げ散つた。竹熊、木常姫らの計画は全く水泡に帰し、数多の部下を失ひ、失望の結果、ふたたび計を定め、金勝要神を薬籠中のものとせむとした。その主謀者は奸智に長けたる春子姫であつた。 春子姫は藤足彦、牛人とともに、小島別を甘言をもつて説きつけ、小島別の手によつてその目的を達せむと企らんだのである。小島別は元来正直の性質であるから、春子姫の詐言を信じて車輪の運動を開始したが、彼は厳の霊の霊眼に見破られて目的を妨げられ、つひに自棄気味になつて大々的活動をはじめ、木常姫、中裂彦の悪神を加へ、鞍馬山に立てこもつて該山の魔王と諜し合せ、数万の邪霊を引つれ、強圧的に竜宮城を占領せむと企てた。しかし注意ぶかき大八洲彦命の烱眼に再び看破られ、小島別の覚醒的返り忠とともに第二の計画も全然破れてしまひ、春子姫は遂に悶死を遂げ、根の国底の国に落ち行くの止むを得ざる破目となつた。 春子姫の親なる武蔵彦は、こんどは筑波仙人の体を藉り、またもや竜宮城の占領を企てた。しかるに武蔵彦の目的とするところは竜宮城の占領ばかりではなく、地の高天原の聖地をも占領し、その上国常立尊を退去させ、盤古大神をもつて、これに代らしめむとするのが根本的の目的であつた。 さて仙人には神仙、天仙、地仙、凡仙の四階級がある。そしてその四種の仙人にも、正邪の区別がある。筑波仙人は邪神界に属し、第三階級に属する地仙である。 またもや武蔵彦は黒姫、菊姫、八足姫を先頭に立て、竹熊に策を授けて再挙を企てた。竹熊はまづ第一に金勝要神をわが手に籠絡せむとし、土彦、牛人、中裂彦、鬼熊らの部将株と、大江山に集まつて熟議を凝らした。竹熊は表面きはめて温良な風姿を装うてゐるが、その内心は実に極悪無道の性質をもつてをり、いろいろと手を換へ品を換へ、厳の御魂に取りいつて、表面帰順の意を表し木常姫を手に入れ、またもや小島別を誑惑し、牛人をしてつひに大八洲彦命を計略をもつて亡ぼさしめむとした。牛人の悪霊は謀計をもつて大八洲彦命を堂山の峡に導き、竹春彦、藤足彦その他数名の邪神に命じて、雙方より之を攻め討たしめむとした。そこへ守高彦といふ武勇絶倫の神現はれて、大八洲彦命の危難を救はむとした。されど守高彦はある附属の女神のために後髪をひかれて、進むことができなかつた。 竹熊の部下は、今や大八洲彦命に接近しきたり、十握の剣を抜き持ちて前後左右より斬りつけた。大八洲彦命は雷のごとき言霊を活用し、厳の御魂の御加勢により、脆くも敵は退散した。 この時地の高天原においては稚姫君命は大いに御心配あそばし、不思議な神術を実行され、その神術と言霊と相俟つて敵を退散せしめ無事なるを得たのである。その神法は千引の岩を大神の神殿に安置し、岩の上に白き真綿と、赤き真綿とを重ねて岩にかぶせ、赤色の長き紐をもつて十二廻り廻し、これを固く縛らせられたのである。これは神界の禁厭であつて、一身上の一大事に関した時に行ふものである。 大八洲彦命の言霊の雄健びと神術の徳によつて一旦退却した竹熊の一派は、ただちに地の高天原に馳せ登り、稚姫君命の御前にまかり出でて表面に改心を装ひ、命をして深く安堵せしめおき、油断の隙に乗じて、執念深くも金勝要神を手にいれむと百方苦心をめぐらし、夜を日についで大々的活動を続けをるを見たまひし大神は、竹熊一派を憐れみ、善心に立ち帰らしめ、善道に導き救はむとして、種々と因果の理法を説き教へられた。 されど元来悪神の系統なれば、表面には改心せしごとく装ひをれども、内心はますます荒んで来るばかりである。そこへこの度は、大江山から現はれた邪神の頭領株、鬼熊なるもの現はれきたり、竹熊と密謀を凝らし、あくまでも最初の目的を達せむと試みたが、この鬼熊と木常姫との間に、非常な意見の衝突をきたしたために、竹熊との関係上自滅的に破れてしまつた。竹熊は木常姫と同腹で、今度の計画を立ててゐたのである。そこで鬼熊と木常姫は、意見の大衝突より大争闘をはじめた。又ある事情のために竹熊は鬼熊と争ひ、鬼熊に対して非常の打撃を加へた。この衝突たるや総て彼ら悪神の権力争ひのために起つたのである。 (大正一〇・一〇・二一旧九・二一加藤明子録)
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霊界物語 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 14 水星の精 第一四章水星の精〔六四〕 ここに田依彦、中裂彦は麗しき庭園を造り、稚桜姫命を慰め奉らむとし、ヨルダン河の上流にあまたの神々を引きつれ、千引の岩をとり、広き石庭を造らむとした。稚桜姫命はにはかに身体に大痙攣を発し、劇烈なる腹痛に悩まされたまうた。諸神司は驚き集まりて、あるひは天に祈り、あるひは薬を献じ、百方手を尽せども、何の効をも奏せなかつた。このとき小島別は言霊別命の前に出で、命の重病に罹り給ひし原因につきて神界に奉伺し裁断を請ひ、神示を得むことを依頼した。言霊別命は大いに驚き、ただちに神言を奏上し神示を請ひ奉つた。天津神の神示によれば、 『ヨルダン河の上流に、水星の精より出でたる長方形にして茶褐色を帯べる烏帽子型の霊石あり、これを掘りだし持ち帰り、汚れたる地上に奉置し、その上にあまたの岩石を積みたり。水星の霊苦しみにたへず、これを諸神司に知らさむがために稚桜姫命に病を発せしめ、もつて警告せるなり。すみやかに種々の巌岩を取り除きて、その霊石を黄金水にて洗ひ清め、宮を作りてこれを鎮祭せば、命の病はたちまち恢復せむ。しかしてこれを掘り出したるは中裂彦にして、これを汚したるもまた同神司なり。田依彦以下の神司も共に、水星の祟りを受くべきはずなれども、その責任は主神たる稚桜姫命に負はせたまへるなり。されば諸神司は慎みて水星の神に陳謝し恭しくこれを祭れ』 との神示であつた。 小島別はこれを聞きて大いに恐れ慎みてその命のごとく取計らつた。不思議なるかな稚桜姫命の病苦は、霊石を洗ひ清めて恭しく神殿に祭るとともに拭ふがごとく癒えたのである。 ヨルダン河の上流に、この水星の精なる烏帽子型の霊石ありしため、河広く水深く、清鮮の泉ゆるやかに流れて、あたかも水晶の如くなりしを、この霊石を掘り出してより、山上よりは土砂を流し河を埋め、濁水の流れと変化してしまつた。そして中裂彦はここに心狂ひてヨルダン河に身を投じ、その霊は悪蛇と変じ、流れて死海に入り、変じて邪鬼となつた。水星の精を祭りたる水の宮は、言霊別命特に斎主として日夜奉仕さるることとなつた。 一時霊石を祭りて恢復し給ひし稚桜姫命は、その後健康勝れたまはず、時々病床に臥したまふことがあつた。茲に常世姫は信書を認め、熊鷹の足に結びこれを放ち、真道知彦に何事かを報告した。真道知彦は稚桜姫命の長男であつた。この信書を見てたちまち顔色を変じ、怒髪天を衝き竜宮城に参入し、神国別命、花森彦、真鉄彦、小島別その他の神司を集めて、何事か凝議したのである。そしてその結果は、稚桜姫命に進言された。稚桜姫命はこれを聞きて大いに怒り、言霊別命にむかひ、 『汝は水星の霊石を祭りもつて吾を苦しめ、或ひは呪咀し、つひに取つて代らむとの野心ありと聞く、実に汝の心情疑ふにあまりあり。もし汝にして誠意あり、吾が疑ひを晴らさむとせば、すみやかに水星の宮を毀ち、その神体なる霊石を大地に抛ち、これを砕きて誠意を示せ』 と厳しく迫られたのである。あまたの従神は集まり来りて、異口同音に宮を毀ちて、神体を打ち砕けと迫るのであつた。 言霊別命は衆寡敵せず、涙を呑んで天に訴へ、霊石に謝し、恭しく頭上に奉戴し、ついで麗しき芝生の上に擲げつけた。敬神に厚き言霊別命は、このとき熱鉄を呑む心地をせられたであらう。たちまち霊石より旋風吹きおこり、その風玉は高殿に立てる稚桜姫命にあたり、高楼より地上に吹き飛ばされ、腰骨を挫き身体の自由を失ひ、非常に苦悶したまうた。諸神司は群がりきたりて命を介抱し、奥殿に担ぎ入れ、心力をつくして看護に余念なかつた。稚桜姫命は久しうしてやや恢復され、神務に差支なきにいたられた。されど遂に不具となり、歩行に苦痛を感じたまふに立ちいたつた。 言霊別命は庭園の八重梅の枝を切り、御杖を作りてこれを奉つた。これが老衰者の杖を用ふる濫觴である。ここに言霊別命は神威を恐れ千引の巌を切り、うるはしき石造の宮を造り、月読命の従神として永遠に鎮祭し置かれた。[※戦前の二版・愛世版では「月読命の従神として永遠に鎮祭し置かれた」だが、校定版・八幡版では「月読命の従神として、霊石を永遠に鎮祭し置かれた」になっている。意味が通じるようにするため「霊石を」を挿入したのではないかと考えられる。] (大正一〇・一〇・三〇旧九・三〇加藤明子録)
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(1103)
霊界物語 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 附録 第一回高熊山参拝紀行歌 附録第一回高熊山参拝紀行歌 王仁 高熊山参拝者名簿 (大正十年十二月三日) 千引の岩石打破る日本男子の大丈夫と(石破馨) 色香も馨る女丈夫が世界をま森国々の(森国幹造) 助けの幹を造らむと東や西や北南 日出る国のまめ人が善男善女を誘ひて(西出善竜) 竜宮城に参集ひ浦保国を永遠の 珍の住処と歓びて神の啓示を次々に(保住啓次郎) 宣べ伝へ行く言霊は円満晴朗澄の江の 天竜藤に登る如我日の本の権威なる(藤本十三郎) 一と二三四五つと六ゆ七八九つ十り三年 今よりきよく田なびかむ村雲四方にかき別けて(今きよ) 六合兼太る我国土真奈井の海の洋々と(田村兼太郎) 渡も静かに浦靖の国の栄えも九重の(土井靖都) 玉の都や小都会深山の奥も押並べて(小山貞之) 忠勇仁義孝貞之道明らけく治まれる 三十一年如月の梅ケ香匂ふ九日の 月をば西に高熊の神山に深くわけ井りて(高井寿三郎) 聖寿万歳祈らんと三ツ葉つつじの其上に 村肝清く端坐しつ言霊彦の神教を(上村清彦) 耳を澄ませてマツの下吹き来る風もいとひなく(同マツ) 岩窟の前に寛ぎつ心の中の村雲も(同寛) かすみと共に消え行きて稍清新の魂となり(中村新吉) 神の恵みに浴しける今日は如何なる吉日ぞ 吉や屍を原野に曝すとも国常立の大神や(吉原常三郎) 三ツの御魂の教ならなどや厭はむ鈴木野や(鈴木延吉) 深山に足を延ばすとも心持吉き岩清水(水戸富治) 戸閉さぬ国と賑はしく富みて治まる君ケ御代 五十鈴の流れ清くして大川口や小川口(大川ロトク) 水は溢れてトク川の泥にまみれし幕政も 茲に亡びて大小名名主庄司に至るまで(庄司キツ) なキツ倒れつ四方に散るその状実に憐れなり かかる例しも在原の丑寅金神太元に(在原丑太郎) 現はれまして前の世の神と田美との有様を(前田美千香) 説き教へたる三千年の一度に香ふ白梅の 花咲く春の山の根に菊太に目出度神言を(山根菊太郎) 天地の神に奏上し三千世界の改造を チカへ玉ひし雄々しさよ四尾と本宮の山の根に(山根チカヘ) 経と緯との神の機錦の糸の絹枝姫(同絹枝子) 神の助けの有が田や鶴九皐に高く鳴き(有田九皐) 岸に登りし緑毛の亀のよはひの長のとし(高岸としゑ) ゑびす大黒福の神真奈井の上に舞ひ遊ぶ(井上あや) あやに尊き神の苑海の内外別ちなく 山野河海の神々の介けの道も昭々と(外山介昭) 植ゑ拡め行く道芝の盛りの花も隆々と(植芝盛隆) 薫る常磐の神の森良きも悪しきも仁愛の(森良仁) 神の恵みは変りなく竹の御園の下斯芸琉(竹下斯芸琉) 御国の誉れ照妙の綾の高天に北東の(東尾吉雄) 神尾伊都吉て雄々しくも教は広瀬の仁義邦(広瀬義邦) 昇る旭は高橋のその勢ひも常永に(高橋常祥) 開き行く世ぞ祥たけれ誉れもたかき瑞祥の やかたに基いを固めつつ遠津御国も近村も(津村藤太郎) すさぶ曲津を藤太郎秋津島根の田広路に(島田頴) 千頴八百頴実のりゆく稲木の村の中心に(木村研一郎) 霊魂研きを第一と教へ導く白藤の(藤井健弘) 井や栄え行く健げさよ誠の教を遠近に 弘むる時や北の空村雲四方に掻き別けて(北村隆光) 隆々のぼる日の光本宮山や玉の井の(宮井懿子) 空に映え行く御懿徳に浴する魂ぞ浦山し(浦山専一) 霊魂修行を専一と深山の奥に分け入りて 佐とり了ふせし高熊のイワ屋の内も賑はしく(山佐イワ) 朝日夕日を笠として祝詞奏上や神の詩を(日笠吟三) 吟じて進む三ツ御魂藤の仙人芙蓉坊が 穴太の村に伊智はやく現はれ来たりて大神之(藤村伊之吉) 吉き音信を宣り伝へ石より固き信仰を(石井孝三郎) 井や益々も励みつつ忠孝敬神愛国の 三ツの綱領怠らず加たく御魂に納めつつ(加納録平) 心に録して平けくたとへ野山の奥の奥(山口佐太郎) 率土の浜も宣べ伝へ口佐賀あしき悪太郎が そしり嘲り山ぬ内布教伝道厭トイなく(山内トイ) 四方の国中大日本日高の村の佐男鹿の(中村鹿三) 妻呼ぶ如き有様に世人を思ふ三千年の 神の光りは西東村雲四方にかき理けて(西村理) 大海原も平けく波も鎮まる八洲国(海原平八) 神須佐之男の神魂沢田の姫が現はれて(佐沢広臣) 教を広く君臣の中を執持つ一条の(中条勝治郎) 至誠に勝るものはなし明治の廿五年より 佐藤りの開く大善の艮神の四郎し召す(佐藤善四郎) 梅花の開く神の世は老も若きもおしなべて 五六七の御世の活動を汗と油をしぼりつつ 山田の果ても伊藤ひなくくさきり耕やせ三伏の(伊藤耕三郎) 暑さも涼し高野原円く治まる太平の(高野円太) 風に黒雲吹き払ひ四方の沢ぎも静まりて(黒沢春松) さながら春の如くなり常磐の松や白梅の 枝にて造りし神の杖菅野小笠に身を包み(菅野義衛) 仁義の教衛らむと京都をさして谷波より(京谷朝太郎) 出口の教祖は朝まだき綾の太元立出でて 海潮純子諸共に昨日や京屋明日の旅(京屋フク) 風フク山路をすくすくと字司朗も見ずに足早に(同司朗) 飛田つ如く進まるる豊かなそのの梅香り(飛田豊子) 五六七の御代に逢坂のキミの恵みに報いむと(同香) 鞍馬をさして出でて行く出口の守の雄々しさは(逢坂キミ) 日本魂の鏡なり月に村雲花に風(村松タミ) 浮世の常と聞きつれど松の神世のタミ草の 心はいつも春の空深山の奥も仁愛の(山崎珉平) 花崎にほひ王民のなか平けく安らけく 上野おこなひ下ならひ国は豊かに足御代は(上野豊) 業務を伊藤ものも無く正しき男の子女子が(伊藤正男) 大内山の御栄えを春かに祝ひよろこびつ(大山春子) 君に捧ぐる真心の強きは波田野国人の(波田野菊次郎) 菊もまれなる次第なり澆季末法の世の瀬戸に(瀬戸幸次郎) 現はれ玉ひし艮の神の御幸は次々に いやちこまして国民は同じ心のきみが御よ(同きみよ) 四方の山々内外の風も静かに笹川の(山内静) 水にも神光煕り渡る雄々しき清き葦原の(笹川煕雄) 神の御国ぞたふとけれ日本御魂の大丈夫が 勇気も古井現し世の濁りを清め市村野(古井清市) 戸口も佐和に佐和佐和に五六七の御世を松の色(野口佐七) 本つ御魂も幸ひて長閑な春の政事(松本春政) 国常立の分御魂仁義の道を一と筋に(国分義一) 守るや洋の西東山の尾の上に出入る月(西山勝) 光り勝れし大御代に立て直さむと昔より 水野御魂の大御神貞めなき世を弌らんと(水野貞弌) 道も飯田の神の詔千代の松ケ枝澄み渡り(飯田千代松) 昇る月影高橋の夜の守りとありがたき(高橋守) 御代に太田の楽もしや神の御国に伝はりし(太田伝九郎) 九つ花の咲き匂ふ深山の奥の寒村も(奥村芳夫) 大和心の芳ばしき大丈夫須佐の大神を 斎ひ藤とみ惟神御霊幸ひて吉祥の(斎藤幸吉) 聖の御代ぞたふとけれ 道の蘊奥を塞ぎ居る村雲四方にかきわけて(奥村友夫) 心も清き友の夫が至誠を内外に長谷川の(長谷川清一) 清きながれも一と筋に久米ども尽きぬ川水に(米川太介) 濁世を洗ひ太介んと田庭綾辺の政雄等が(田辺政雄) 神の御声をいや高き雲井に告げよほととぎす(雲井恒右衛門) 恒の誠のおこなひはこの右衛門なき神の笑み その身の佐賀も康正の実にも鈴し木忠と孝(佐賀康正) 慈悲を三つ楯戸して田助澄まして国の祖(鈴木孝三郎) 古き昔の神代より高き神徳次ぎつぎに(戸田澄国) かくれて御世を守りつつ忍び玉ひし大神を(古高徳次郎) 斎きまつるぞ藤とけれ吉きもあしきも三吉野の(斎藤吉三) 花と散りしく大八嶋長き平和の夢さめて(大島長和) 西洋の国原見渡せば神を敬ふ人もなし(西原敬昌) 物質文明昌ふとも心の花は散りにけり 谷波の国にあらはれし出口の神の御教は(谷口清満) 清く天地に満ちぬらむ桧杉原かきわけて(杉原佐久) 梅佐久そのを杉の山見当てに進む日本一(杉山当一) 長閑けき風も福の井の大精神は平らかに(福井精平) 神の林に著二郎く鳴り渡るなり高倉の(林二郎) 高き厳に八重むぐら青き苔蒸し小田牧野(林八重子) 蔓さえ光る万世の亀の歓吉て岩の上(牧野亀吉) 鶴さへ巣ぐふ高倉の三ツ葉つつじ之御助に(上倉三之助) 小野が御田間を研きつつ生れ赤子と若がへり(小野田若次郎) 次第々々にたましひを石とかためて世を渡り(石渡たみ) 四方のたみ草同一に神の真道に進ましめ(同進) 御代の栄えを内外に照らすは神の大本ぞ 谷波の国は狭くとも広く賢こき神の道(谷広賢) 雲井の上も海原も神武と仁徳かがやきて(井上武仁) 神の守りの金城は所在神の守りにて(城所守息) 神々安息遂げたまふその聖世美馬ほしと(美馬邦二) 心の清き神人が御邦二つくす真心は 大小高下の差こそあれ林のナカの下木まで(小林ナカ) よろこび祝ふ細し矛千田琉の国の神の徳(細田徳治) 円く平穏に治まりて身椙の元も二三太郎(椙元二三太郎) 広き新道進むより神の大道踏める身は 笹原義登と悉後藤くいと康らか仁進み行く(笹原義登) 無事平安の神の道達るは神の温たかき(後藤康仁) あまき乳房にすがる児の太郎次郎の生命の(安達房次郎) 親の光りと松の御代上田の家に生れたる(松田文一郎) 三文奴の只一人神の御前にぬかづきて(前田茂寿) 世人を田すけ守らんと昼はひねもす夜茂寿がら 愛宕の山の片ほとりつづきが岡のふもとなる(片岡幸次郎) 小幡神社の幸ひに祈願の効もいち次郎く 大河口や小川口教を日々にトク人の(大河口トク) 心の丈けは庄司きにシウジウの苦辛を耐へつつ(庄司シウ) 安く達せん大神の心は清き白ユキの(安達ユキ) 黄金の世界銀世界真鯉の上る滝津瀬の(上滝美祐) さま美はしき神祐に心の垢を洗ひつつ 西山林谷の道作り治めて登り行く(西谷作治) 四十八個の宝座ある高倉山に崎にほふ(山崎耕作) 三ツ葉つつじの花の下耕し作る田男の 中にも邨で新しき由緒を知れる由松の(中邨新助) 道の手引に助けられ万寿神苑立出でて 詣づる信者二百人出口の海潮を先導に 田舎の村の小幡橋金神竜神一同に(村橋金一郎) 渡り田所は宮垣内鹿蔵住むなる松林(田所鹿蔵) 紅葉は散れど青々と茂る木の葉のうるはしき 豊かな冬の木の本に四方の景色を覚めつつも(豊本景介) 婦人子供に至るまで介々しくも谷川を(谷前貞義) 飛び越え前み貞勇き義近藤初めて修業場と(近藤貞二) 神の貞めに一同は第二霊地と感謝しつ 祝詞の声も晴やかに木魂に響く床しさよ 勝又五六七の神政に水野御魂があらはれて(勝又六郎) 久米ども尽きぬ真清水のかはく事なき吉祥の(水野久米吉) 命の親の神心仰ぐも高し田加倉の(高田権四郎) 神の権威は四ツの海珍の国土も井や広に(土井理平) 摂理は届く公平のうましき御世は北村の 人は勇みて神寿ぎの祭祀の道も庄太郎(北村庄太郎) 日本の国は松の国浦安国と日五郎より(松浦国五郎) 御三木清めし神の国善一と筋の世の元の(三木善建) 神の建てたる御国なり外国人に惑はされ 御国の精華も白石の五倫五常の道忘れ(白石倫城) 難攻不落の堅城と神の造りし無比の園(比村中) 心にかかる村雲を払ふて清め腹の中 神の授けし御魂をば汚さむ事を鴛海つつ(鴛海政彦) 国家の政り家政り彦と夜毎にいそしみて たとへ悪魔の襲ふとも少しも鎌はず田力男(鎌田徴) 日本心を微かに照して見せよ三日月の 敏鎌の光り鋤の跡稲田も茂る八百頴野(鎌田茂頴) 間田なき秋にアイの空瑞穂の国の中国の(野間田アイ子) 誉れを西洋までノブエ姫姫氏の国の豊の年(中西ノブヱ) 稔も吉田の花ぞサク清き水穂にフク風の(吉田サク子) 薫りは外に比類なき富貴の草香村肝の(清水フク子) 心の美佐尾芳ばしく続鎌ほしや曇りたる(比村美佐尾) 世を田貞か江て神の世になれば曲事かくろひて(鎌田貞江) 吉きこと斗り村幸の雲間を照らす神のトク(吉村トク) まコトを那須の神人は神にすがりツヤはらぎつ(同コト子) 吾身のことを打捨てて多田道のためクニのため(那須ツヤ子) つくしの果の人々も海河こえて田庭路の(多田クニ) 神の御親の膝元に直子の刀自の跡慕ひ(河田親直) 滋しげ通ふ楽もしさ小柴田間萩米躅躑(同滋子) 茂れる山路ふみ別けて同じ心の一隊は(柴田米子) 神の恵與と勇みつつ清水湧き出る宮垣内(同一與) 上田の家も市々に立出で田渡る野山路(内田市子) 心せきセキヨぢ登る新池馬場を一斉に(田渡セキヨ) 進めば砂止山の神祠の跡を右に見て(馬場斉) 谷の村杉潜りぬけ真の道の友垣は(谷村真友) 山奥見かけ村々と貞めの場所雄さして行く(奥村貞雄) 黄昏近く湯ふ浅の空に出口の王仁が(湯浅仁斎) 岩屋の神を斎ひつつ降雨も知らぬ森の中(雨森松吉) 松葉の露の一雫味はひ吉しと喜びて 呑みし昔の思ひ出に水の冥加を藤とみつ(加藤明子) 天地神明の洪徳を感謝しまつる此一行 折も吉野のときつ風吹かれて顔の湯煙りも(吉野とき子) 御空になびく浅曇り霊魂を研く三柱の(湯浅研三) 神の宝座の大前に東尾さして神吉詞(東尾吉三郎) 拍手三拝上々の坂えの声をきくの年(上坂きく) 山の尾の上を崎わけて昇る旭日のあけの空(山崎あけ子) 小男鹿妻恋ふ高熊の見るも勇まし一つ岩(小高一栄) 栄え久しき神国の牧の柱とまめ人の(牧慎平) 慎み仕え大前に低頭平身祈りつつ 松のお千葉もいと清く月も見五郎の十五日(千葉清五郎) 大山小山の中道をおのが寿美家へ雄々しくも(大山寿美雄) 松岡神使に誘はれて本の古巣へ帰りける(岡本尚市) 尚き教へを市早く上田の炉辺に宣ぶる時(田辺林三郎) 小松林の神憑り三ツの御魂が現はれて 近藤二度目の立替は御国を思兼の神(近藤兼堂) 現はれまして堂々と小畠の宮の山の跡(畠山彦久) 本宮神宮の聖邑に国武彦の大神は 世も久方の天津神月見の神や天照す(佐藤かめ) 皇大神の神言もて世人を佐藤し身をたかめ(平野千代子) 天下太平野千代の基佐藤りて三よしの花の春(佐藤よし) お土の井とく水の恩正しき御木の宮柱(土井とく) 千本高知りてきんぎんや珠玉を飾る三体の(正木きん) 神の御舎殿荘厳に大宮小宮建て並べ(小宮きゑ) 深きゑにしを説き諭す高天原の神の道(原竹蔵) 松のみさをは神の国竹蔵即ち外国に たとへて東尾日の本とさきはひ玉ふぞ尊とけれ(東尾さき) 板り尽せしあがなひの千倉の置戸を負ふ神の(板倉寛太郎) 寛仁太度の胸の内同じ教も寛々と(同寛文) 文化の魁け梅の花御空は清く山青く(青野都秀) 野村も都会も秀れたる神の大道に従ひて 日東帝国安らけく日五郎の信仰現はれて(東安五郎) 安全無事の世の中に到達せしめ聖哲の(安達哲也) 教は四方に響く也同じ天地に生ひ立ちし(同佐右衛門) 草木で佐右衛門色艶を増して歓こぶ君が御代 世は古川の水絶えず万寿の苑は亀岡の(古川亀市) 市中に高く聳えつつ曇れる社会を照らし行く 神の仕組の万寿苑瑞祥閣の芽出度けれ。 ○  教の花の桜井愛子中野祝子の太祝詞(桜井愛子) 同じく作郎青年も巌の上田に参ゐ詣で(中野祝子) 各自気分も由松の前駈し田るは十四夜の(同作郎) 稲田を照らす月の影風も清けき秋の末(上田由松) 此一行廿二人巻尾に記して証となす。(前田満稲) (以上)
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霊界物語 03_寅_十二の国魂/大道別/天使長の更迭 35 宝の埋換 第三五章宝の埋換〔一三五〕 大道別は道彦と改名し、南高山の城内に長くとどまり、大島別夫妻の非常なる信任を受け、南高山の八島姫を娶はせて、わが身の後継者たらしめむとし、大島別みづから道彦に向つてその旨をうち明し、しきりに勧めて止まざりにける。 また八島姫は生命の恩人なる上、道彦の英傑なるに心底より心をよせ、ぜひ道彦の妻たらむことを祈願しつつありける。道彦は親子の日々の親切にほだされて、これを素気なく辞退するに苦しみゐたりける。 あるとき大島姫は、身体にはかに震動しはじめ、両手を組みしまま上下左右に振りまはし、城内くまなく駆けめぐり、これを静止すること困難をきはめたり。大島別は大いにこれを憂慮し、地の高天原にむかつて、国治立命の救助を祈願せり。道彦はただちに姫の狂暴を取押へむとして後を追ひ、表の階段の上にて姫とともに格闘をはじめける。 その刹那、道彦は階段より顛落して頭部を負傷し、流血淋漓失神不省の態となりぬ。大島姫は初めて口をきり、 『われは南高山に年古くすむ高倉といふ白狐なり。道彦はわが頭首をうち滅ぼせしにより、その仇を報ゆるために姫の体内を借り、これを階下になげつけ、傷口より毒血を注ぎいれたれば、彼はたちまち聾唖となり、痴呆となり、かつ発狂の気味を有するにいたるは火をみるよりも明らかなり。アヽ嬉しや、喜ばしや』 と肩を前後左右にゆすり、足踏みして愉快気に哄笑するにぞ、八島姫はおほいに悲しみ、道彦を抱きおこし、別殿にかつぎこみて種々介抱に手をつくしたれども道彦の容態すこしも変らず、八島姫の言葉にたいして何の反応もなく、ただただげらげらと涎をたらして笑ふのみなりける。 大島姫はふたたび身体を前後左右に震動させながら、大島別にむかひ、 『われはもはや道彦を術中に陥れたれば、これに憑依するの必要なし。イザこれより常世城に遁げ帰らむ』 と言ふかとみれば、大島姫はバツタリ殿中にうち倒れたり。諸神司は右往左往に周章狼狽して水よ薬よと騒ぎまはりしが、やうやくにして大島姫は正気に復し、さもはづかしき面色にて大島別の前に平伏し、城中を騒がせし罪を拝謝したりける。ここに道彦は真正の聾唖にして、かつ痴呆にかかり、全快の望みなきものと一般に信ぜらるるにいたりけるぞ口惜しけれ。 道彦は白狐の高倉と旭の二柱にみちびかれ、南高山の山頂にある数多の珍宝を調査すべく上りゆく。されど痴呆と思ひつめたる神司らは、道彦の行動に毫も注意を払はざりしは、道彦にとりて非常なる幸福なりける。 道彦は、夜陰に乗じ白狐の案内にて山頂に登りみれば、常世姫の間者なる高山彦は、山頂の土を開掘し、すでに種々の珍宝を奪ひ、常世の国に帰らむとして同類とともに、あまたの荷物をこしらへゐたる最中なりき。そこへ突然道彦が現はれきたりたれど、高山彦は、痴呆にして聾唖なる道彦と思ひ、少しも懸念せず種々の宝を掘出し、かつ貴重なる宝物を道彦の背に負はせ、山を下らしめむとせり。一味の曲者はおのおの宝を背負ひ、山を下りゆかむとするこの時、高倉、旭の白狐はにはかに千仭の谷間を平地と見せかけたれば、いづれも平坦の道路と思ひ誤り、残らず谷間におちいり、岩角に傷つき、あるひは渓流に流され、ほとンど曲者の一隊は全滅しをはりしぞ愉快なれ。 高山彦も大負傷をなし、つひに滅亡せしかば、道彦は白狐に導かれ谷間に下りけるに、不思議にも、その谷間は自分のかつて顛落したりし同じ箇所なりき[※第三三章参照]。すべての宝は皆この谷底に集まりありければ、白狐の指示すままにその宝を一所にあつめ、土を掘りてこれを深く秘め蔵し、その上に千引の岩をもつて覆ひ、何くはぬ顔にて帰り来たりける。 南高山の城内には、高山彦以下のあまたの神司の姿見えざるに不審をおこし、四方八方に手配りして、その行方を探しつつありしところへ帰り来たりし道彦の衣類には、血が一面に附着しゐたれば、大島別は、道彦の衣類の血を見て、やや不審を抱きつつありけるところへ、数多の神司は高山彦の屍骸を担ぎ帰り来たりぬ。しかして数多の神司は渓流に落ちて苦しみ、ほとンど全滅せることを委細に奏上したりける。時しも高山彦の従臣なる高彦は、危難をまぬがれ帰り来り、道彦のために全部滅ぼされむとしたることを、涙とともに奏上したりける。 大島別は烈火のごとく憤り、長刀を引抜き、真向より道彦に斬りつけたるに、道彦はヒラリと体をかはし、手をうつて笑ひながら後退りしつつ、 『ここまで御座れ、甘酒のまそ』 と踊りつつ城門をにげだしたり。八島姫は血相かへて道彦の後を追ひつつ門外に出づるや、たちまち暗にまぎれて行方をくらましにける。 (大正一〇・一二・六旧一一・八外山豊二録) (第三四章~第三五章昭和一〇・一・一八於延岡市吉野家王仁校正)
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霊界物語 04_卯_常世会議/国祖隠退/神示の宇宙 附録 第二回高熊山参拝紀行歌 附録第二回高熊山参拝紀行歌 王仁作 高熊山参拝者名簿 (大正十一年二月五日) (一) 大き正しき壬の戌の節分祭すみて 神の出口の道王く仁慈の三代の開け口(出口王仁三郎) 直く正しく澄渡る心も清き大空二(出口直澄) 大本瑞祥会々長湯川貫一始めとし(出口大二) 神徳高木高熊の四十余り八ツの宝座をば(湯川貫一) 拝して神慮を息めむと金鉄溶かす信仰の(高木鉄男) 心も固き益良男が御国に尽す真心は 天地の神もうべなひて雲井の上に留五郎(井上留五郎) 神と君とに捧げむと孕む誠は世の人の 夢にも知らぬ岩田帯二十五年の久しきを(岩田久太郎) 耐り詰めたる太元の前の教主の王仁三郎 教の花も桜井の一視同仁神界の(桜井同仁) 経綸に開く白梅の四方に薫るを松心(松村仙造) 村雲四方に掻別けて須弥仙山にこしを掛け 天地を造りし大本の神の稜威は内外の(外山豊二) 国々嶋々山川に豊二あらはれ北の空(原あさ) 光もつよき天の原あさぢケ原もいやひろこ(原ひろこ) 遠き近きの別ちなく世はあし引の山ふかみ(遠山一仁) 神人一致仁愛の祥たき御代となりぬらむ 東は小雲西四ツ尾川を隔つる吉美の里(東尾吉雄) 中に雄々しき竜やかた節分祭も相すみて 同じ心の信徒がさきを争ひステーション(同さき) 汽車に揺られて勇ましく東尾さして進み行く(東尾万寿) 名さえ芽出度万寿苑瑞祥会の大本部(森良仁) 神の真森も良仁の和知の高橋打ち渡り(高橋常祥) 常磐の松の心もて瑞祥閣に入りにけり 大井の河も名をかへて保津の谷間降り行く(河津雄) 水勢益々雄大に鳴り響くなる高熊の 小竹小柴の中分けて玖仁武彦や小和田姫(小竹玖仁彦) 神の聖跡を慕ひつつ常磐の松の色も吉く(小沢常吉) 茂りて高井神の山いこう間もなく登り行く(高井こう) 田二と谷とに包まれし巌に繁る一ツ葉の(田二谷繁) 色青々と威勢よく栄え三谷の眺め良し(三谷良一郎) 一行二百五十人祝詞の声も清郎に 藤蔓生ふる坂道を津たいて暹む神の子が(藤津暹) 同じ心の神の道ひさを没する草原を(同ひさ) 射る矢の如く走り岸役員信者が金鉄の(矢岸金吉) 誠の心ぞ雄々しけれ色吉く重れる松の山(重松健義) 健固の足の進み義く浜端ならぬ池の端(浜端善一) 善男美女の一隊は森の下路永々と(森永熊太) 熊もつつまず太どりゆく (二) 甲子四月江頭がしら右も左も知らぬ身の(江頭右門) 門口あけて上り行く大原山や経塚を(上原芳登志) 上るを芳登志神風や福井の空を笠に着て(福井又次郎) 又もや進む神の山次第に倉き馬の瀬の(倉瀬吉稚) ながめ吉ろしく稚雄が奥山さして夜の道 いなむ由なき稲川のいと泰らけく渡り行く(稲川泰造) 神の造りし蛙岩右手にながめて薄原 山口近くなりければ恒に似合ぬ山彦の(山口恒彦) とどろく声をしるべにて一視同仁博愛の(同安子) 神のふところ安々と足を早めて長谷川や(長谷川八重子) 八重津草村藤の蔓ふみ分け進む太間子原(津村藤太郎) 拓く道芝茂り行く神の教えぞたふとけれ (三) 吾故郷に勝たれる神の御山哉世を渡す(吾郷勝哉) 小幡の橋の本清く流るる瑞の水勢は(橋本瑞孝尼) 忠孝々と響くなり由緒も深き宮垣内(垣口長太郎) 神の出口の長として世の太元の大神の 珍の言霊神賀の亀の瑞祥も充ち太郎(大賀亀太郎) 五六七の御代を松浦の教の道もいち治郎し(松浦治郎助) 人力車に助けられ気は針弓の遠き道(針谷又一郎) 谷又谷を一越えに円満清郎太祝詞 古き記憶を田どりつつ初めて九郎の味を知り(古田初九郎) 名さへ目出度亀岡の森良仁氏東尾氏(岡森常松) 常磐の松の心もて久方ぶりに勇ましく(久勇蔵) 登りて行く蔵楽しけれ梅花の薫る神の村(梅村隆保) 隆々昇る朝日影天保爺の阿房面(房前市三) お前はよつぽど市助と三くびられたる皮堤(堤嘉吉) 安本丹の嘉すてらと吉くも言はれぬ吉松野(吉野光俊) 伜の力光る俊曽我部穴太の宮垣内(宮内喜助) 上田喜三郎の野呂助も青鼻垂らした幼年野(青野郁秀) 小さき心に馥郁と包みし神力現はれて 人に秀れた神の術ねがい金井のえみ深く(金井のえ) 神の教にしたがひて佐伯ませうと山路を(佐伯史夫) 史わけ進む大丈夫の宇城も見ずに信仰の(宇城信五郎) 日五郎の力試めさむと土ン百姓の小伜が しけこき居宅を立て出でて重い身体夫運びつつ(土居重夫) 岩石ふみ別けまつ崎によこ米もふらず上り行く(石崎米吉) 心持吉き高倉の山に成りなる神の徳(倉成徳郎) ワンパク野郎が関々と谷川渉るも世の為二(関川為二郎) つくさむものと三ツ栗の中執臣のそのみすえ(中安元務) 安閑坊の喜楽人世の太元の神務をば 清く尽さにやおか内藤いち目散に神の道(内藤いち) 心も身をも投げ島田とくに解かれぬ神の文(島田文) どうかこう加藤案じつつ神の光に照されて(加藤明子) 心の空も明けにけり (四) 吉野の花の開く時時子そよけれ神徳を(吉野時子) 重ぬる春と村肝の心も敏く雄々しくも(徳重敏雄) 長井夜道の露亨けて二つなき身を山の中(長井亨二) 谷川こえて松の木の繁り栄ゆる高蔵の(中川繁蔵) 神山目当てに只一人神谷仏を頼りとし(神谷千鶴) 千年の松に鶴巣ぐふ神世に早く渡辺の(渡辺淳一) 至粋至淳の善の道只一と筋に立て通し その功績も大久保の世界一と蔵響くなり(大久保一蔵) (五) 浦安国の神徳を顕はす道は敬神と(安徳敬次) 次に尊皇愛国心松岡神使の世の中を(松岡均) 治めて桝掛ひき均す教の花の道開き(開徳蔵) 神の御徳蔵たふとけれ山川野辺に崎匂ふ(野崎信行) 信の花のまつりごと行ひま森東の(森山登) 山の尾ノ上に旭影登るが如き祥瑞の 五六七の御代は昔より例しも内藤歓びつ(内藤正照) 斯の世を渡る正人の頭に神の光り照る 春の緑の若林家支しげき神の国(若林家支) 万世の亀玉の井に遊ぶ目出度き巌の御代(亀井巌義) 仁義の君の知召す豊葦原の中津国(中森篤正) 神のま森のいや篤く世人の行ひ正しくて 人跡絶えし山中もきくの薫りの芳ばしく(山中きく) 下万民も上窪も純み渡り行く雄々しさよ(上窪純雄) 多田何事も百の玖仁麿く治まり開けつつ(多田玖仁麿) 一視同仁神の道正義に強き益良雄の(同義雄) 胸も鈴し木源之瑞の御魂の助け神(鈴木源之助) 古木神代の有様を物語りつつ民草の(古木民三郎) 迷を開く三ツ葉彦綾の高天にあらはれて 音吐郎々述べ立つる宇宙のほ加納空に立ち(加納森市) 神のま森の市の森忠義一途の人生は(森義一) 一度は参れ皇神の教の元の修行場(生一正雄) 道は正しく雄大に天下に伝はる麻柱の(同つね) 教の花はつねならず和光同塵今の世の 世の持方を根本より同じ心の道の友(同清子) 力協はせて清め行く災ひ多き世の中の 村雲四方に掻分けて誠つくしの神のみよ(中村みよ) 古きを捨てて新しく心の海に日月の(新海留吉) 影を留めて住吉の神の稜威も有が田く(有田九皐) 千年の鶴は九皐に翼を並べ神の代を 謳ふときはの松の国四方の国土を玉の井の(土井靖都) 水に清めて靖都と治むる御代も北の空(北村隆光) 村雲ひらく星の影隆く光る世ぞ来るときく(同きく) アヽ有が田き加美代ぞ登天津神たち八百万(有田美登) 国津神たち八百万民草けもの虫けらも 同じ恵の露を浴み義夫あしきを超越し(同義夫) 仁慈の雨の森きたる月日を松の大本の(雨森松吉) 神の館ぞ楽もし吉坂え目出度木日の本は(坂木義一) 仁義一途の神の国湯津桂木の浅からぬ(湯浅寛康) 神の御陰は寛康聖の御代のいま近藤(近藤国広) まつ国民の胸の内広く清けく田のもしく(清田西友) 西洋国人も友々に雲井ノ上に坐す神の(井上頼次) 力を頼り次々に集り来る神の前 亀の齢の田のもしく斯世の親とあれませる(亀田親光) 神の光を道の辻山の奥までいと安く(辻安英) 照らす梅花の英の中井しずまるこの教(中井しず) 一同順次に味ひつ大原山や西山の(同順次郎) 谷を佐して六合治の皇大神の御教を(大西佐六) 谷具久渡る国の端神を敬ひ世の人を(大谷敬祐) 祐け渡して六道の辻にさまよふ正人を(辻正一) 誠一つの善の道神の宮なる人の身を(宮田光由) 田すけ光らすことの由四方の国々伝遠藤(遠藤鋭郎) 精新気鋭の神司鳴る言霊も朗かに 天地に響く勇ましさ (六) 松樹茂れる神の森岩窟の前に端坐して(森礼子) 神に御礼の祝詞子と浅桐山に立ち籠めて(桐山綾子) 綾に畏子き久方の高天原と田々へつつ(原田益市) 天の益人市なして東や西や北南(西村寿一) 四方の国人村寿々目一度に開く言霊の 花咲き匂ふ千引岩この堅城に信徒達(岩城達禅) 座禅の姿勢を取り乍ら怪し木心の村雲を(木村敬子) 伊吹払ひて天地の神を敬ひ真心を 煉りて仕ふる神の子の同じ思ひは八百よね子(同よね子) 杵築の宮に神集ひ世の悉々を神議り 議らせ玉ふ神の徳重き使命もい佐三つつ(徳重佐三郎) 三郎九の神の御使ひ武内宿禰の代へ御魂(武内なか) なかき月日を送りまし小松林と現はれて(同久米代) この一同の信徒に久米ども尽きぬ神の代の その有様をた上倉あきらめ諭し玉はんと(上倉あきこ) 天地兼ぬる常磐木の松の大道を教ゑつつ(兼松ゑつ) 伊賀しき稜威もうしとらの隅にかくれて世を衛る(伊賀とら) 藤き昔の襄と姥神代一代耐へ忍び(衛藤襄一郎) 現はれ出でし沢田姫豊栄昇りに記し行く(沢田豊記) 奇しき神代の物語り聞くも嬉しき十四夜の 空に輝やく月の影西山の尾に舂きて(西尾愛蔵) 明くれば二月十五日仁愛の教を胎蔵し 上田の家に帰りたる中の五日のおしまれぬ(田中しま) 上田野家に生まれたる年も二八の喜三郎(上野豊) 豊国姫の教受け吾家に帰り北の里(北里利義) 利益を捨てて義に勇む心とこそは成にけり 皇大神の御教はいよいよ深く浩くして(大深浩三) 普く天地に三ツの魂過ぎ西罪の除け島い(西嶋新一) 心新らしく一つ道柴り附い田る元の垢(柴田元輔) 神の輔けに拭はれて漸やく佐藤りし神心(佐藤六合雄) 御六合雄思ふ村肝の心の中島恒也の(中島恒也) 塵も消え失せ心地吉し浜の真砂の数々を(吉浜芳之助) 花芳ばしき大神之助けに生れ変りつつ 神と同じく暉りにけり(同暉) (七) 佐藤りの道を貞やかに吉く諾なひし信徒は(佐藤貞吉) 神の御徳を慕ひつつ大島小島に出修し(小島修吾) 心も垢も荒波の吾の身魂を清めむと 嶋の中なる神の嶋卯の花匂ふ大三空(中島卯三郎) 朝日受けつつ五里の路つ田井て進む正男(日田井正男) 女も共にまひ鶴の狼の面高き中塚見(高塚忠俊) 暗礁危ふく避け乍ら忠勇義烈の俊才や 小児も交り漕ぎ渡るよろこび泉の涌く如く(小泉清治) 清く治まる小島沖義侠の心富永の(富永熊次郎) 波路熊なく次々に島へ島へと行く船も 波と浪との谷あ井を又もや潜る面四郎さ(谷井又四郎) 舞鶴丸を忠心に教祖の神の一隊は(鶴丸忠一) 心も清く進みけり (八) 斎きまつれる藤津代の神の吉言を次々に(斎藤吉次) 異口同音に唱へつつ神のまさ道ふみて行く(同まさ) 堅き心の信徒は百のなやみも伊東ひなく(伊東きくよ) 神声きくよの嬉しさに世の大本野金の神(大野金一) 善一と筋を田て通ほすその真心ぞ神の村(田村慶之助) 至慶至祥之限りなり助けも著るき金神の 錦織りなすいさをしは日に夜に月に益太郎(金織益太郎) 上中下なる三段の神の御魂ぞ崎はひて(三段崎みち) 円く治まる神のみち世人救はにや岡崎の(岡崎よしの) 花もよしのの芳ばしくながめ吉田の十曜の紋(吉田紋助) 助けよま森田まへかし誠の道も富太郎(森田富太郎) 千倉の置戸を負ひながら世人に心掛巻も(倉掛徳義) 畏こき神の御威徳仰ぐもき義上の園(上園権太郎) 無限の権威並びなく充ち太郎なり三ツの魂 宝も沢に人清く親しみ睦ぶ至治太平(三沢治平) 国の中村おだやかに進む神徳著治郎し(中村徳治郎) (九) 高天原は取わけて太宮柱たかみ蔵(高取太蔵) 斎ひ奉る藤みゆき空ふるき千年の松ケ枝に(斎藤みゆき) 鶴も巣を組み治まれる国の稜威も高橋や(同鶴治) 栄え二栄えます鏡福知田辺の外がこひ(高橋栄二) 筆の林の茂り合ふ三柱神の崎はひて(田辺林三郎) 国を保つ之助け船命の親の千田五百田(神崎保之助) 前田に満つる稲の波有りあり見ゆる働きの(前田満稲) 続く限りの真心は黄金の色の秋の野辺(有働続) 心持ち良き正人の教に魂を奥村の(真金良人) 誠一つに晋むなり難波ン鉄次のいやかたき(奥村晋) 日本心は万代の亀鑑とこそは知られけり(難波鉄次) 遠き山道太どりつつそ郎そろ開く神の教(亀山道太郎) 藤の神山を田子の浦武蔵甲斐より眺むれば(藤田武寿) 寿ぎ祝ふ白扇の末広々と白雲や 吉田の時雨治まりて金字の山姿いと気善し(吉田時治) 国の誉れもいち次郎く根占かなめや忠孝の(金山善次郎) 道明らけき大本の教の園は天の原(根占忠明) かきわけ来る神の筆固く信次て疑はず(園原信次) よしも芦きも沢々に世はひさ方のいつまでも(芦沢ひさ) 曽加部の里に鳴瀰る神を斎ける藤原氏(加部瀰) 栄華の夢は一朝に消えた家系の上田姓(斎藤栄一) 沖野かもめのいと長く行き交ふごとく造作なき(神野長造) 筆の運びの信司つは神人ならば分かるべし(同信司・同かる) (十) いかに手荒井兵もの之勢ひたけく攻め来とも(荒井兵之助) 神の守に助けます親の心も暖かに 小川いがりいたはりて人の愛にもいや政り(小川政男) 国に心を男木村の大御めぐみぞ尊とけれ(木村伴太郎) 教の伴の充ち満てる太元神の開きたる 誠の道の牧ばしら慎み仕へ平けく(牧慎平) 村雲払ふ上林治まる御代もいと長井(村上林治) 吉事は日五郎次々に大き小さきまがつ神(長井吉五郎) 原ひ清むる竹箒三つの御魂の現はれて(小原竹三郎) 高熊山の神の教彼岸に波も平けく(高岸平八) 渡す八百重の游藤田か亀神のみいづぞ雄々しけれ(藤田亀雄) 黒白も分かぬ暗の世の田からとあがめ歓こひて(黒田ひで) 天津祝詞に曲の霊かたく藤岡世は澄ぬ(藤岡澄) 大山小山かきわけて昇る朝日の影清く(小山昇) 桧木杉生ふ山かげに光も当る一と筋の(杉山当一) 神の御綱につながれて道安々藤唯一人(安藤唯夫) 日本大丈夫進み行く神の恵も浅からず(浅田正英) 上田正英九日の月に照らされ青木原(青木久二) 久二も病まず小杉原たか熊さして登りゆく(杉原たか) 神の林二生ひたてる諸の木草に時じくの(林二郎) 木の実も沢に成岡のその味はひもうるはしく(成岡銀一郎) 銀月一天すみ切りて西へ西へと渡辺の(渡辺泰次) 珍の姿の泰然と追次に山にかくれ行く(同常吉) 同じ常磐の松の露吉く味はひし木下暗(木下愛隣) 至仁至愛の心もて遠隣救ふ神の教 世の根本を保々と夫れ夫れ御魂にさとし行く(根本保夫) 縦横山谷英二のぼり神の定めし金神の(横山英二) 道伝へ行く神兵が衛りに勇み堂々と(定金伝兵衛) 前む正しき益良雄が花も盛りの岩城に(堂前正盛) 繁々通ふ太郎次郎同じ身魂のよしあしを(岩城繁太郎) さばく審神者の修行場小野が御田麻も安々と(同よし) 男子と女子の跡たづねうさも忘るる神の道(小野田安男) 小野が御田麻の定め蔵と田がひに進む皇神の(同うさ) 恵みの淵に浮びつつ神の政の男々しくも(小野田定蔵) 仕へ奉るぞ楽しけれ(田淵政男) (十一) 佐かえ目出度き神の道大みたからも沢々に(佐沢広臣) 広まり茂る瑞穂国君と臣との中きよく 能く治まれる矢嶋国常世の端に伊太郎まで(矢嶋伊太郎) 山跡国なる日の本の神の大道に納め行く(山本納吉) 日嗣の君の大前に吉くも仕ふる山川の(山川石太郎) 草木や石にい太郎まで固く守らす岩の松(岩淵久男) 淵瀬と変る世の中に天の久方雲わけて 男神女神の二柱山の上原熊もなく(上原熊蔵) 下も蔵まる西東青垣山をめぐらせる(西垣岩太郎) 下津岩根に宮柱太しき建てて浦安の(安田武平) 国の田からは農と武士世は泰平に進みつつ 神の御前にたなつもの横山の如たてまつり(横山辰次郎) 豊の烟も辰次郎木の下潜る清泉も(木下泉三) 神の恵と三谷口千代の基蔵肇めたる(谷口千代蔵) 瑞穂の魂のその流れ長く清けき吉川の(同肇) 世界改良の神策地氏や素性や家柄を(吉川良策) ほこらず只に道の為力雄つくせ須臾も(氏家力雄) 田釜の原のいや広き神之助けをあななひて(須釜広之助) 神の司と成田身は常磐かきはに世を衛る(成田常衛) 田すけの神の其中にわけて尊き国竹の(田中竹次郎) 彦の命の神徳は外に勝れていち次郎し 黄泉津の坂の坂本に善と悪とを立別ける(坂本善兵衛) 神兵堅く衛りつつ大神津実の崎みたま(神崎保之助) 浦保国之助け神醜の曲津も在原の(在原丑太郎) 言向和はす丑寅の神の御息のいや太く 清郎無垢の神守天津神国の日の神の(神守) その分霊幸ひて忠義一途の神司(国分義一) 八嶋の国は掛巻も畏こき神の御教を(八巻市三郎) まづ第市とたつと三て神を君とに竭す身は その名も倉も清く吉く中津御国野醜の名は(名倉清吉) 必ず寅次とこしへに神の誠の道守れ(中野寅次) 中津御国野皇神の作り玉ひし言霊の(中野作朗) 円満清朗淀みなく言向け北る出口王仁(北口新平) 心新しく平けく小幡の川の水清き(川村喜助) 曽我部の村に生れたる幼名上田の喜三郎 神の助の命毛の筆を揮ひて高熊の 山の因縁あらあらと頭を掻いて恥をかき 下らぬ歌をかき残す。
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霊界物語 07_午_日の出神のアフリカ物語 21 飲めぬ酒 第二一章飲めぬ酒〔三二一〕 またもや海面は波荒く猛り狂ひ、出帆を見合はすの止むなきに致り、風を待つこと殆ど一ケ月に及びける。 この島は潮満、潮干の玉を秘めかくされ、豊玉姫神、玉依姫神これを守護し給ひつつありしが、世界大洪水以前に、ウラル彦の率ゆる軍勢の為に玉は占領され、二柱の女神は遠く東に逃れて、天の真名井の冠島、沓島に隠れたまひし因縁深き嶋なりける。 その後はウラル彦の部下荒熊別といふ者、この島を占領し、数多の部下を集め、酒の泉を湛へて、体主霊従のあらむかぎりを尽しゐたり。然るに天教山に鎮まり給ふ神伊邪那岐神はこの島の守護神として真澄姫命を遣はし給ひぬ。それより荒熊別は神威に怖れ、夜陰に乗じて常世の国に逃げ帰つたりける。その時の名残として、今に酒の泉は滾々と湧き出て居たるなりき。 日の出神は真澄姫命の神霊を祭る可く、久々神、久木神に命じ、大峡小峡の木を伐り、美しき宮を営ましめたまふ。是を竜宮島の竜の宮といふ。而して田依彦をこの嶋の守護神となし、名を飯依彦と改めしめたまへり。 久々神、久木神はこの嶋の人々をかり集め、宮殿造営の棟梁として忠実に立働きぬ。嶋の谷々には木を伐る音、削る音、人の叫び声盛ンに聞えける。 日の出神は海辺の見はらし佳き高殿に昇りて、海上の静まるを待ちゐたまひぬ。 山の奥には彼方にも此方にも、斧鉞の音丁々と聞え盛に伐木しゐたり。 甲『おい、皆一服しやうじやないか。いま久々神があちらへ行きよつたで、叔母の死ンだも食き休みと云ふ事があるよ。鬼の様な大将が彼方へ行つた留守の間に、鬼の来ぬ間の洗濯だ。おいおい、休め休め』 乙『おーい皆の奴、一緒に休まうかい』 丙『それでも休むと音が止るから、また呶鳴られるよ』 甲『休ンで、そこらの木を叩いて居ればよいワイ』 乙『一体、宮を建てるとか云つて、まるで吐血の起つた様に、夜さにも俺らを寝ささずに、ひどく酷使ひよるじやないか。結構な酒はあーして湧いて居るのに、飲まれぬなどと吐かしよるし、堪つたものじやない。合間には酒位、ただ湧いて居るのじやもの、飲まして呉れたつてよかりさうなものじやないか。一体こりや何の宮だらう』 甲『酒を飲まさぬから、お前達ア腹が立つ、その腹を立てさせぬため、神さまを祭らすのだ。それで何でも、腹がたつよ姫とか、真澄姫とか桝呑姫とかいふ神さまじやさうだよ』 乙『けたいな神さまだね。立つものは腹ばかりぢやない。疳癪も立つし、鳥も立つし、立疳姫の神やら、立鳥姫の神も祭つたらどうだらう』 丙『馬鹿いふない。それまた彼処へ痛い奴さまが来たぞ。それそれ釘の神さまだ』 甲『釘ぢやない。久木神さまといふのだい。なまくらをして居ると、首きりの神さまにならつしやるぞ』 かかる処へ久木神は廻り来たり、 久木神『オー、皆の者御苦労だな。酒が飲みたさうな顔をして居るが、酒はあまり飲まぬがよいぞ。俺も今まで酒が好きだつたが、たうとう嫌ひになつて了つた。好きなものを無理に止めよと云つても、止むものぢやない。お前たちは充分に酒を飲ンで満足したら、しまひには舌がもつれ口が痺れ副守が飛出して酒が飲めなくなるかも知れぬぞよ。飲みたい飲みたいと思つて辛抱して居ると、根性が曲つてよく無い。酒は百薬の長だ、御神酒あがらぬ神は無いから、お前たちも神さまになりたくば、ちつとも遠慮は要らぬ。自然に湧く酒だから遠慮なしに飲ンで来い』 と云ひ捨てて、この場を立ち去る。後見送つて、 甲『おいおい、久々神は酒を飲むなと、喧しう吐かすが、いま来た久木神さまは流石に苦労人じやなあ。根性が歪ンではいかぬから、飲みたい丈け飲ンで来いと云ひよつたぞ。お許しが出たのだ。天下御免だ。飲ンで来うかい』 一同『よからう、よからう』 と、大勢は先を争うて、酒の湧き出る滝壺指して走り行く。 来て見れば酒の泉の滝壺は、千引の岩にてすつかり包まれ、処々に人の口位な孔が上面に開いてをる。 甲『やいやい皆の奴、久木神も腹が悪いじやないか。こンな巨大きな岩で、何時の間にやら、ぴつたりと蓋をして置きよつて、飲みたけりや飲ンで来いなンて、俺らを馬鹿にするじやないか』 一同『さうだな、しかし其処に孔が開いて居るじやないか。その孔から口を突込ンだらどうだい』 甲『おー、それもさうだ。皆の奴ここから飲まう飲まう』 一同は岩蓋の上に取り縋つて、その孔より舌を突き出して見てゐたるが、 甲『おい甘さうな酒は沢山あるが、舌が届かぬワイ。もう一分といふ所だ』 乙『貴様舌が短いのだ、どれどれ俺が飲ンで見てやらう』 甲『貴様は何時も舌の長い奴だ。舌長に物を吐かすから、こンな時にや重宝だ。やつて見よ』 乙『エヘン』 と咳払ひしながら、岩の孔から舌を突込ンで見たが、是も届かない。交る交るやつて見たが、どうしても酒の所までは、間隔があつて嘗めることが出来ない。しかしその孔からは何とも云へぬ馨しい酒の匂ひがして居るので、各自に口を当てて匂ひを嗅いだ。喉は各自にごろごろ唸り出して、腹の中の焼石は残らず酒壺に向つてジユンジユンと音を立てて、落ち込みにける。 それよりこの郷の人間は、酒の匂ひを嗅ぐさへも嫌になり、神の教をよく守り、飯依彦神の指揮に従ひて、名にし負ふ竜宮島の楽しき生活を送りたりける。 (大正一一・一・三一旧一・四井上留五郎録)
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霊界物語 08_未_日の出神の弟子たちの南米物語 11 海の竜宮 第一一章海の竜宮〔三六一〕 足曳の山の草木は枝繁り葉も春風に霞み行く 一望千里の波の上浮び出たる八尋の亀の其の背に 春日を受けて跨りつ千尋の浪路を掻き分けて 底へ底へと沈み行く御稜威輝く伊弉諾の 神の命の御子と生れし大道別の命の後身 日の出神はやうやうに大和田津見の神の宮 底ひも知らぬ大神の経綸の奥を探らむと 進み来ますぞ雄々しけれ 門前には正鹿山津見神、淤縢山津見神の二柱が、仁王のごとく阿吽の息を凝らし、真裸体のまま、全身力瘤を現はして傲然として守り居る。淤縢山津見神は、真先に進み出で、 淤縢山津見『ここは竜宮の入口なり。畏れ多くも大和田津見の大神の御住処、何神の許しを受けて此処に到着せしぞ。速かに本津国に引返さばよし、違背に及ばば此の拳骨を御見舞申さむ』 と云ふより早く、日の出神に打つてかかるを、琴平別の化身なる八尋の大亀は、二神の間に突立ち千引の岩と化し去りけり。このとき門内より騒々しき物音聞え来たり。日の出神は大音声を張上げ歌を歌ひ玉ふ。 日の出神『天津御神の御言以て常世の暗を照さむと 心も軽き蓑笠の世界を巡る宣伝使 天津御空も海原も豊葦原の神国も 大御恵の隈もなくい行き渡らふ世の中に この竜宮の城のみは神の守りの弥深き 試しに漏るる事ぞある天の御柱大神の 任のまにまに出で来る朝日輝く夕日照る 日の神国の宣伝使日の出神が現はれて 迷ひ来れる面那芸の神の命を救けむと 琴平別の亀に乗りここに現はれ来るなり 千尋の底の海の宮其の岩屋戸を押開き 音に名高き乙米姫の貴の命の神業を 探らむための此の首途ただ一時も速かに これの金門を開けよや吾は日の出神なるぞ 淤縢山津見や正鹿山津見の命の門守り 深き経綸も不知火の汝が身の心の愚さよ 汝が身の心の愚さよ』 と、声たかだかと歌ひ玉へば、二柱の神はこの歌に驚き、平身低頭ぶるぶる慄ひながら、陳謝の意を表しけり。淤縢山津見は、一目散に門内に駈入り奥殿に進み、何事か奏上したり。正鹿山津見は、日の出神の先に立ち、別殿に迎へ入れたり。城内の一方にはますます騒々しき物音聞え来たりければ、平凡事ならじと、日の出神は、耳を澄まして聴き入りたまひ、正鹿山津見の顔をふと眺め、 日の出神『やあ、貴下は桃上彦に非ずや。かかる所に金門を守り給ふは何故ぞ。それにしても彼の騒々しき物音は如何に』 と言葉忙しく問い詰めたまへば、正鹿山津見は、 正鹿山津見『御推量に違はず、われは聖地ヱルサレムに於て、暫し天使長の職を勤め遂には吾が身の失敗のために、国祖国治立大神に累を及ぼし、八百万の神人に神退ひに退はれ、根の国、底の国に落ち行かむとする時しも、慈愛深き高照姫神に救はれ、今は竜宮城の門番を勤むる卑しき身の上、貴下に斯る処にて御目にかかり、実に慙愧に堪へず、陸の竜宮に於て時めき渡りし桃上彦も有為転変の世の習ひ、世の荒波に浚はれて不知不識の身の過、昨日に変る和田の原、千尋の水の底深き、海の竜宮の門番の日夜の苦労艱難御察しあれ』 と、声も曇りて其の場に泣き伏しにける。 日の出神は同情の念に堪へざるが如く、しばらく差俯向いて悲歎の涙さへ流し居けるが、更に言葉を継いで、 日の出神『貴下の今日の境遇は御察し申す。至急訊ねたきことあり。彼の騒がしき物音は何事ぞ、委しく述べられよ』 正鹿山津見『竜宮海の秘密、門番の分際として申上げ難し。ただただ貴下の御推量に任すのみ』 と体よく刎ねつける。阿鼻叫喚の声はますます激しく、あたかも修羅場のごとき感じなりける。 日の出神は突立ち上り、 日の出神『桃上彦、われを奥殿に案内されよ』 と云ひつつ、どんどんと進み行かむとする。桃上彦は周章て、 正鹿山津見『あゝ、もしもし一寸待つて下さいませ。タヽヽヽ大変です。彼様な処へ御出でになつては乙米姫より、如何なる厳罰を蒙るやも知れませぬ。第一私も共にあの恐ろしい声のする処へ投り込まれねばなりませぬ。先づ先づ御待ち下され、一先づ伺つて参ります』 と、先に立ち足早に奥殿目がけて姿を隠したり。日の出神はただ一人茫然として四辺をキヨロキヨロと見廻し居たまひにけり。 (大正一一・二・七旧一・一一外山豊二録) (序文~第一一章昭和一〇・二・七於東京銀座林英春方王仁校正)
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霊界物語 08_未_日の出神の弟子たちの南米物語 37 珍山彦 第三七章珍山彦〔三八七〕 大蛇の背に乗りたる宣伝使一行は、一瀉千里の勢で山麓に下り行きたり。 駒山彦は得意顔にて、 駒山彦『ヤア、馬には乗つて見い、人には添うて見い、大蛇には跨つて見いだな。杏よりも桃が易い。割りとは楽に来たよ。コンナ事なら、これから大蛇に遇うても一寸も怖くは無い。この行く先々に、山へかかれば的さんがやつて来て呉れると、本当に重宝だね』 蚊々虎は、 蚊々虎『大蛇どの、もうよろし、ここでオロチて下さい』 見れば五人の宣伝使は、広き芝生の上に下され居たり。そして大蛇は影も形も見えなく成り居たりける。 駒山彦『なんだ、夢だつたらうかな。現に今、大蛇に乗つた積りだつたのに、此の様な芝生の上に坐つて居るとは、一体全体駒山には訳が分らぬわい』 蚊々虎『神変不可思議の神業だ。三五の教には、ドンナ結構なお方が落魄れて御座るかも知れぬから、必ず侮ることは成らぬとあるだらう。この蚊々虎さまは此様に粗末に見えても立派な神様だぞ。化けて御座るのだよ。それだから大蛇で有らうが、何であらうが、宇宙一切のものは、この蚊々虎さまの一言で自由自在になるのだ。風雨雷霆を叱咤し、天地を震動させるのも、吾々が鼻息一つで自由自在だぞ』 駒山彦『また始まつた。オイ、もう吹くのは止めて呉れぬか。お前の二百十日には駒山彦だよ』 淤縢山津見はアフンとして、 淤縢山津見『合点の往かぬは蚊々虎の神力だ。ヒヨツとしたら、此奴はお化けかも判らないぞ』 正鹿山津見『お化けでも何でも宜いぢやありませぬか。あの様な大きな大蛇を自由自在に使ふなんて吾々は到底、目から火を出して気張つた処で、石亀の地団太だ。物には成らない、偉い方ですね。正鹿も感心しましたよ』 五月姫も、 五月姫『ほんたうに感服しましたわ』 駒山彦はシヤシヤリ出で、 駒山彦『「妾、ほんたうに感服しましたわ」と、仰有りますワイ。蚊々虎さま、お目出度う』 淤縢山津見も、 淤縢山津見『今日まで蚊々虎々々々と言つて居たが、こりや何うしても宣り直さなくちやいけない。何とか名をあげませうかな』 正鹿山津見も呆れて、 正鹿山津見『さうだなあ、大蛇を使つた神力に依つて大蛇彦と命名たら何うだらう』 蚊々虎『大蛇彦は御免だ。珍山彦だ。珍山彦と言つて貰ひたいね』 淤縢山津見も、 淤縢山津見『ヤア、それは本当にいい名だ。それなら是れから、珍山彦様と申上げるのだねー』 蚊々虎『尤も、尤も。蚊々虎を改名しますよ』 五月姫『ホヽヽヽヽ、なんとはんなりとしたいいお名ですこと、妾、蚊々虎さまより、珍山彦様の方が気持が宜しいわ』 駒山彦は口を尖らして、 駒山彦『ホヽヽヽヽ、「なんといい名だこと、妾、蚊々虎さまより、駒山彦が好きだわ」とおいでたな、とは言はぬ「珍山彦様の方が好きだわ」ヘン、馬鹿にしてらあ』 正鹿山津見は、 正鹿山津見『御一同様、話は途々伺ひませう。はるか東方に当つて小高き森がありませう。そこに田螺をぶちあけた様に小さき家が沢山に並んで居ませうがな。彼の辺が珍の都です。サアもう一息だ。私の宅まで御足労になつて、悠々と休息いたしませうかい。都近くなつた祝ひに、此処で一つ神言を奏上し、宣伝歌を歌ひながら参りませう』 と一同は芝生の上に端坐し神言を奏上し終つて、宣伝歌を歌ひつつ都を指して進み行く。 正鹿山津見は唄ふ。 正鹿山津見『巴留の都を後にして汗水垂らす夏の山 涼しき風に煽られて心は秋の如くなり 樹々の梢の紅葉の色にも勝る村肝の 身魂も清き宣伝使珍山峠を乗り越えて 千引の岩に夜を明し仰ぐも高き天雲山の 峠を越えて五柱大蛇の船に乗せられて 漸うここに月の空月照彦の鎮まりし この高砂の神島は神の選みしうづの国 花の都も近づきて心の駒は勇むなり 神が表に現はれて善と悪とを立別る この世を造りし神直日心も広き大直日 大野ケ原を右左眺めて通る心地よさ 向ふに見ゆる白壁は珍の都のわが住家 ただ何ごとも人の世は直日に見直せ聞き直せ 蚊々虎さまの名前さへ珍山彦と宣り直し 天津御神の貴の御子大御宝と現はれて 世界を開く宣伝使淤縢山津見や五月姫 勇む心の駒山彦や夏の真盛り正鹿山 津見の命の五人連れ誠の神に救はれて 漸う都へ着きにけりやうやう都へ着きにけり 朝日は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも たとへ大地は沈むとも誠の神の教へたる 三五教は世を救ふ救ひの神と現はれし 厳の御魂の五柱瑞の御魂の月の影 尽きぬは神の御恵ぞ尽きぬは神の御恵ぞ』 と節面白く歌ひながら、漸く一行の宣伝使は正鹿山津見の館に着きにける。 駒山彦は、 駒山彦『ヤア、宣伝使の住居にしては贅沢な構へだね』 珍山彦(蚊々虎)『決つたことだよ。珍一国の守護職だもの、当然だ』 門内よりは、数多の下僕蒼惶しく走り来り、 下僕『これはこれは御主人様、ようこそお帰り下さいました。皆の者が、もう今日はお帰りか明日はお帰りかと、首を伸ばしてお待ち申して居りました。サアサアお疲労れでせう、早くお休み下さいませ。ヤア、これはこれは、何れの方か知りませぬが、よく送つて来て下さいました。何卒悠くりと湯でも飲つて、寛いで下さいますやうに』 正鹿山津見は、 正鹿山津見『オー、国彦か、よくまあ留守を仕て呉れた。御苦労であつたな。イヤ、御一同様、見苦しき荒屋で御座いますが、どうぞ御遠慮なくお上り下さいませ』 淤縢山津見も、 淤縢山津見『仰せに従ひ遠慮なく休まして貰ひませう』 と、正鹿山津見の後に随いて、奥の間にドツカと安坐したり。 国彦は恭しく湯を沸かして持ち来り、 国彦『ヤー、御一同様、山道と云ひ、この頃の暑さと云ひ、嘸お疲労でせう。承はれば、主人も偉いお世話になられたさうで御座います。よくまあ生命を助けてあげて下さいました。今お湯がすぐに沸きますから、どうぞ悠くりと湯浴でもして、お寛ぎ下さいませ』 と、挨拶を終つて、部屋の方へ姿を消す。 四人の宣伝使は打ち解けて、岩上に一夜を明かし、悪戯をされた事やら、大蛇に出会した時の感想を語り、面白可笑しくさざめき居たり。 襖を開けて、正鹿山津見は、 正鹿山津見『どうやらお湯が沸きました様です。皆さま何うでせう。一緒に這入りませうか』 珍山彦『そら面白からう、一緒に願はうかい』 正鹿山津見『どうかこちらへ』 と、先に立つて行く。一同は浴槽の側に衣服を脱ぎ捨て、バサバサと一度に飛び込みぬ。 珍山彦は、 珍山彦(蚊々虎)『ヤアヤア、湯に入つた気分はまた格別だね。湯々自適とはこのことだ。ゆはぬはゆふにいや勝る。ゆうて見ようかゆはずにおこか。ゆはな矢張り虫がゆふ』 駒山彦『そら貴様何をゆふのだ。湯快さうに自分一人はしやいで』 珍山彦(蚊々虎)『それでも湯快だよ。湯ぐらゐ結構なものは無いぢやないか。お前は何とゆふことをゆふのだ』 と珍山彦、駒山彦の二人は湯の中で揶揄ひながら、やや暫し汗を流して、一同と共に湯を上り、元の間に引き返し見れば、山野河海の珍味佳肴が並べられてゐたり。一同はその厚意を感謝しながら、漸く夕餉を済ませける。 正鹿山津見を中心に、国魂の神を祀れる神前に向つて、天津祝詞を奏上し、宣伝歌を歌ひ了つて楽しみ話に耽り、その夜は疲労れはて、何れもよく熟睡し、明る日の八つ時に各自目を醒まし、又もや四方山の話に耽り居たり。 (大正一一・二・一〇旧一・一四東尾吉雄録)
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霊界物語 08_未_日の出神の弟子たちの南米物語 43 言霊解五 第四三章言霊解五〔三九三〕 『最後に其妹伊弉冊命、身自ら追来ましき』 今迄は、千五百の黄泉軍を以て攻撃に向つて来たのが、最後には世界全体が一致して日の神の御国へ攻め寄せて来たと云ふ事は、伊弉冊命身自ら追ひ来ましきといふ意義であります。是が最后の世界の大峠であります。すなはち神軍と魔軍との勝敗を決する、天下興亡の一大分水嶺であります。 『爾ち千引岩を、其の黄泉比良坂に引塞へて、一日に千頭絞り殺さむと申したまひき』 千引岩とは、非常に重量の在る千万人の力を以てせざれば、微躯とも動かぬ岩といふ意義であります。千引岩は血日国金剛数多といふ意義で、君国を思ふ赤誠の血の流れたる大金剛力の勇士の群隊と云ふことであつて、国家の干城たる忠勇無比の軍人のことであります。また国家鎮護の神霊の御威徳も、国防軍も皆千引岩であつて、侵入し来る魔軍を撃退し又は防止する兵力の意義であります。 『中に置き事戸を渡す』と云ふ事は、霊主体従の国家国民と、体主霊従の国家国民とは、到底融合親睦の望みは立たぬ。堂しても天賦的に、国魂が異つて居るから、神国の行り方、異国(黄泉国)はその国魂相応の行り方で、霊主体従国と体主霊従国とを立別ると云ふ神勅が事戸を渡すと云ふ事であります。 善一筋の政治や神軍の兵法は、体主霊従国の軍法とは根本的に相違して居るから、一切を茲に立別て、霊主体従国は霊主体従国の世の持方、体主霊従は体主霊従の世の治め方と、区別を付けられた事であります。要するに神国の土地へは、黄泉軍の不良分子は立入るべからずとの御神勅であります。人皇第十代崇神天皇様が、皇運発展の時機を待たせ玉ふ御神慮より、光を和げ塵に同はりて、海外の文物を我国に輸入せしめ玉ひし如く、何時までも和光同塵の制度を、墨守する事が出来ないので、断然として、事戸を渡さねば成らぬ現代に立到つた如き有様であります。事は言辞論説の意味で、戸は閉塞するの用であります。要するに日本は皇祖大神の御聖訓を以て、治国安民の要道と決定され、一切体主霊従国の不相応なる言論を輸入されないと云ふ意義が、乃ち事戸を渡し給うと云ふ事であり、之を夫婦の間に譬へますと離縁状を渡して、一切の関係を断つと云ふ事であります。何時までも和光同塵的方針を採るのは我々の今日の処世上に於ても一考せなくては成らぬ。悪思想や貧乏神には、一日も早く絶縁するが、家の為めにも一身上の為にも得策であります。今日の我国家も、一日も早く目覚めて我国土に不相応なる思想や、論説や哲学宗教なぞと絶縁して、所謂事戸を立て渡し度いもので在ります。 『伊弉冊命宣りたまはく愛くしき我那勢命如此為たまはば汝の国の人草、一日に千頭絞り殺さむとまをしたまひき』 黄泉大神の宣言には、我々の愛慕して止まない、神国兄の国の神宣示を以て、斯の如く黄泉国の宗教学説を排斥さるるならば、此方にも一つ考へがある。汝の国の人民の、上に立つて居る所の頭役人どもを黄泉軍の術策を以て、一日に千人即ち只一挙にして、上の方の役人どもを馘つて了つてやる、即ち免職をさせて見せようと云ふ事である。 惟神の大道即ち皇祖の御遺訓に依つて思想界を統一せむとする守護神があれば、直に時代に遅れた骨董品格にして、役人の頭に採用せないのみならず、直に首を馘られて了ふから、伊弉諾命即ち日本固有の大道を、宣伝実行する事を、避けむとする利己主義のみが発達するのであります。 是皆黄泉軍、体主霊従魂の頤使に甘んずる腐腸漢計りに成つて居る現代であります。我々は伊弉諾命の神教、即ち天神天祖の聖訓を天下に宣伝し実行せむとするに当つて、黄泉の軍の体主霊従国魂の守護神から圧迫され、日々千人即ち赤誠の信者を、大本より離れさせむとして、黄泉神の手先が、百方邪魔をひろぐのも同じ意味であります。 たとへ日本の神の教が結構と知り、又大本の出現が、現代を救ふには大必要である事を、充分了解し乍ら世間を憚り且つ又、旧思想家と云はれ、終には現今の位置より馘られ、社会的に殺され葬られて了ふ事を恐れて世間並に至誠貫天的の、社会奉仕の大本を悪評し、かつ圧迫するを以て、安全の策と心得て居る守護神許りで表面上大本の信者たる事を標榜するが最後、直に其の赤誠人は軍人と言はず、教育家と言はず会社員と言はず、馘られ職を免ぜられると云ふ事が『一日に千人絞り殺さむとまをしたまひき』と云ふ事になるので在ります。 『爾に伊弉諾命詔り玉はく、愛くしき我那邇妹命、汝然為たまはば吾はや、一日に千五百産屋立ててむと詔りたまひき。是を以て一日に必ず千人死に一日に必ず千五百人なも生るる』 茲に伊弉諾命は、我愛する那邇妹命よ、思想問題を以て日の御国を混乱せしめ猶ほ亦、今一致して武力を以て、我国を攻め給ふならば、我にも亦大決心がある。吾は惟神の大道を発揮して、以て一日に千五百の産屋を立てて見ませうと仰せられた。御神諭にある産の精神の人民、生れ赤子の心の人民を養成する霊地を、産屋と云ふのであります。 チは血なり赤誠也、霊主体従の意也、父の徳也、乳也、塩也。 イ[※ヤ行イ]は結び溜る也、身を定めて不動也。 ホは、上に顕はる也、太陽の明分也、照込也、天の心也。 ウ[※ア行ウ]は結び合ふ也、真実金剛力也、親の働き也。 ブは茂り栄ふ也、世の結び所也、父母を思ひ合ふ也。 ヤは固有の大父也、天に帰る也、経綸の形也。 以上のチイホウブヤの六言霊を納むる時は、神の血筋因縁の身魂が集り合ひて、赤誠の実行を修め、霊主体従の本領を発揮し、天の父たり、地の母たるの位を保ちて、仁恵の乳を万民に含ませ、大海の塩の如く、総ての汚れを浄め、総ての物に美はしき味を与へ腐敗を防ぎ、有為の人材一団と成りて、我身の方向進路を安定し、以て邪説貪欲に心を動かさず、俗界の上に超然として顕はれ、大神の大御心を宇内に照り込ませ、太陽の明分即ち日の神国の天職を明かに教へ覚し、至真至実の大金剛力を蓄へ、世界の親たるの活動を為し、上下の階級一つの真道に由りて結合し、日々に結びの力を加へ、終には世界を統一結合し、父母として万民慕ひ集まり固有の大父なる国祖大国常立神の御稜威を仰ぎ、天賦の霊性に帰りて世界を経綸し以て、三千世界を開発し、救済する聖場の意義であります。要するに、地の高天原なる綾部の大本の、神示の経綸は、乃ち千五百産屋に相当するのであります。大本の御神諭には『綾部は三千世界の世の立替立直しの地場であるから、日の大神様の御命令によりて、世界の人民を天の大神の誠一とつで此の世を治める結構な地の高天原であるぞよ』と示されてあるも、所謂千五百産屋の意義にして、生れ赤子の純良なる身魂を産み育て玉ふ神界の大経綸の中府であります。故に何程黄泉大神の精神より出でたる、過激的思想も侵略的の体主霊従国軍も、綾部に千五百産屋の儼存する限りは、如何ともする事が出来ないのであります。亦之を文章の侭に解する時は、一日に千人死して千五百人生れ出づる時は、結局人口は年を追うて増進する故に、之を天の益人と謂ふのであります。天の益人は天下国家の為に利益を計る、至誠の人の意味にも成るのであります。我大本の誠の信徒は、皆一同に天の益人とならねば成らぬ。亦日本全体を通じて天の益人たるの行動をとつて、国家を開発進展せしめ、黄泉国なる国々に其の範を垂れ示さねば、神国の神民たる天職を尽す事は出来ぬのであります。今日社会主義や過激派にかぶれた、不良国民が黄泉軍の眷属となり、大官連中に不穏なる脅迫状を送つたり、大本の幹部連中に向つて、同様の脅迫状が舞ひ込んで来るのも、千人を殺さむと白したまひきの意味であります。米国加州の排日案が通過したのも、西伯利亜満洲支那朝鮮の排日行動も、排貨運動の実現も、各地の小吏が大本に極力反対し、且つ我行動を妨害しつつあるのも、皆黄泉軍の一日に千人くびらむ、と白し玉ひきの実現であります。 太陽面に、地球の七八倍もある円形にして巨大なる黒点が出現し、約七万哩の直径を有し、吾人の肉眼を以て明視し得る如くに成つて居るのも、日の若宮に坐す伊弉諾命を、黄泉軍の犯しつつある表徴であります。亦この黒点が現はれると、其の年及び前後数年間は、従来の記録に依つて調べて見ると、第一気候が不順で、悪病天下に蔓延し、饑饉旱魃等は大抵その時に現はれ、人心の騒擾極点に達する時であります。天明の大饑饉も、太陽の黒点と時を同じうして現はれて居る。今日此頃の天候の不順も亦この黒点の影響である。況んや今度の如き、開闢以来未曾有の大黒点に於ておやであります。アヽ一天一日の太陽の黒点、果して何を意味するものぞ。伊弉諾命の持たせ玉へる一ツ火の光も、半ば消滅せむとするには非ざるか、我等は一日も早く千五百産屋は愚、八千五百産屋万産屋を建て、以て君国の為めに大活動を開始せざるべからざるを切に感ぜざるを得ないのであります。 『故其伊弉冊命を、黄泉津大神と謂す。亦其の追及しに由りて、道敷大神と称すとも云へり』 チシキの大神の言霊を解すれば、 チは血也、数の児を保つ也、外に乱れ散る也。 シは却て弛み撒る也、世の現在也。 キは打返す也、打ち砕く也。 之を一言に約する時は、数多の児即ち千五百軍を部下に有し、血脈を保ち外に向つて乱を興し終に自ら散乱し現在の世の一切を弛廃せしめ、以て正道を打返して、邪道に化し、至仁至愛の惟神の、生成化育の道を打砕く、大神と云ふ事であります。現代は国の内外を問はず、洋の東西を論ぜず道敷の大神の最も活動を続行し玉ふ時であります。 『亦其の黄泉の坂に塞れりし石は道反大神とも号し塞坐黄泉戸大神とも謂す』 チカヘシの大神はウチカヘシの大神と云ふ事で在り、又邪道を塞ぎて邪道を通過せしめずと云ふ意義であります。古来町の入口や出口には、塞の神と謂うて巨大なる石が祭つて在つたもので在ります。是も邪悪を町村内に侵入させぬ為の目的であります。吾人の家屋を建つるにしても、礎石を用ゐ、又その周囲に石を積み、又は延べ石を廻らすも、皆悪鬼邪神の侵入を防止するの意義より、起元したもので在ります。今日の思想界にも此の大石が沢山に欲しいものであります。 『故其の所謂黄泉津比良坂は、今出雲国の伊賦夜坂とも謂ふ』 伊賦夜坂の言霊を解すれば、 イ[※ア行イ]は強く思ひ合ふ也、同じく平等也、乱れ動く也、破れ動く也。 フは進み行く也、至極鋭敏也、忽ち昇り忽ち降る也、吹き出す也。 ヤは外を覆ふ也、固有の大父也、焼く也、失也[※「失」は「矢」の誤字の可能性がある。「言霊の大要」(『神霊界』大正7年3月1日号p20)では「矢」でフリガナが無いが、大石凝眞素美の『大日本言霊』では「矢」に「ヤ」とフリガナが付いている。黄泉比良坂の古事記言霊解は大正9年11月1日に綾部の五六七殿で講演した講演録であり、3つの文献に掲載されている。『神の国』大正9年12月1日号(皇典と現代2)p24では「失(うしなふ)」、『霊界物語』第8巻第43章「言霊解五」(大正11年2月9日再録、昭和10年3月4日校正)では「失(しつ)」、『出口王仁三郎全集第5巻』(昭和10年6月30日発行)p59は「失(しつ)」になっている。]、裏面の天地也。 ザ[※以下の活用は「ザ」ではなく「サ」の言霊の活用である。]は騒ぎ乱る也、⦿に事在る也、降り極る也、破壊也。 カは一切の発生也、光輝く也、懸け出し助くる也、鍵也。 イフヤザカの五言霊を約言する時は善悪正邪の分水嶺であります。男神の伊弉諾命と女神の伊弉冊命と、互ひに自分の住し、かつ占有する国土を発展せしめむと、強く思ひ合ひて争ひ賜ふ所は同じく平等にして何の差別もなく、只々施政の方針に大なる正反対の意見あるのみ。然れど女神黄泉神の御経綸は惟神の大道に背反せるが故に、終に海外の某々の如く悉く大動乱大破裂の惨状を露出したのは、近来事実の確証する所であります。 男神の神国は、日進月歩至極鋭敏にして、終に世界の大強国の仲間入りを為したり。されど忽ち昇り忽ち降るの虞れあり。黄泉国の二の舞を演ぜざる様、注意を要する次第であります。ヤは日本にして、何処までも徳を積み輝きを重ねつつ、外面を覆ひ、以て克く隠忍し、天下の大徳を保ちて天下に臨むと雖も黄泉国の八雷神や、千五百の妖軍は何の容赦も荒々しく、焼也、天也、の活動を成し、裏面の天地を生み成しつつあり。故に世界各国は殆ど騒乱の極みに達し正義仁道は地を払ひ、⦿に事の在りし暴国なり。茲に仁義の神の国の一切の善事瑞祥発生して、仁慈大神の神世に復し治め、暗黒界を光り輝かせ、妖軍に悩まされ滅亡せむとする、国土人民に対しては身命を投げだして救助し治国平天下の神鍵を握る可き、治乱興亡の大境界線を画せる、現代も亦これ出雲の国の伊賦夜坂と謂ふべきものであります。(完) (大正九・一一・一午前五六七殿講演外山豊二録) (大正一一・二・一一旧一・一五谷村真友再録) (第三七章~第四三章昭和一〇・三・四於綾部穹天閣王仁校正)
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霊界物語 09_申_松竹梅の宣伝使の南米・中米の旅 10 言葉の車 第一〇章言葉の車〔四〇三〕 五月姫は立つて唄ふ。 五月姫『あふげば高し天の原い行き渡らふ日の神の うづの都の守護神えにしの糸に繋がれて おしの衾の永久にかはらざらまし何時までも きよく正しき相生のくにの護りと現はれて けしき卑しき曲津見をこらしてここに神の国 さかゆる松も高砂のしま根に清く麗しく すみきる老の尉と姥せぜの流れは変るとも そろふて二人松の葉のたがひに心を合はせつつ ち代も八千代も永久につると亀との齢もて てらす高砂島の森ときは堅磐に治めませ なみ風荒き海原をにしや東や北南 ぬひ行く船の徐々とね底の国の果てまでも のどかにしらす天津神は留の国をば立ち出でて ひ照りきびしき砂原をふみわけ進む四人連れ へり譲れとの御教のほまれは四方に響くなり まさ鹿山津見神様のみのいたづきを救ひつつ むすぶ縁の温泉場めぐり会うたる妹と背の もも世の契百歳やや千代の固め睦まじく いや永久に永久にゆみづ湧き出る珍山の えにしも深き旅の空よは紫陽花の変るとも わが身に持てる真心はゐく千代までも変らまじ うづ山彦の御神にゑにしの糸を結ばれて をさまる今日の夕かな』 と、四十五清音の言霊歌を歌ふ。 駒山彦『ヤア、恐れ入りました。四十五清音の祝ひの御歌、どうか始終御静穏でゐらつしやいますやうに』 珍山彦『オイ、駒山さま、大分によう転ぶな』 駒山彦『きまつた事だ。山の頂辺から、駒を転がしたやうなものだよ。アハヽヽヽ』 珍山彦『サア駒山さま、山の頂辺から駒を転がすのだよ。一つ言霊歌を聴かして貰ひませうかな』 駒山彦『歌は御免だ、不調法だからな』 珍山彦『この目出度い場所で、御免だの、不調法だのと、是非言霊の宣り直しをやつて貰ひたいものだ。主人側の五月姫さまが言霊でお歌ひになつたのだもの、お客側の貴公がまた言霊で返歌をするのは当然だ。吾々は一度歌つたから最早満期免除だ。サアサア早く早く、言霊の駒を山の上から転がしたり転がしたり、珍山彦の所望だ』 駒山彦も、 駒山彦『こまつたな、止むに止まれぬこの場の仕儀、オツトドツコイ祝儀だ。 あふげば高し山の端をいづる月日のきらきらと うづの都を照すなりえにしは尽きぬ五月姫 おしの衾の暖かにかたみに手に手をとり交し きのふも今日も睦まじくくらせよ暮せ二人連れ けはしき山を乗り越えてここに漸く月の宵 さかづき交す目出度さよしま根に生ふる松ケ枝に すずしく澄める月影はせん秋万歳尉と姥 そろふ夫婦の友白髪たかさご島の守護神 ちよに八千代に色深くつるの巣籠る神の島 てらす朝日は清くしてとこよの闇を晴らすなり なつの半の五月空にしに出で入る月照彦は ぬば玉の世を照らしつつね底の国まで救ひゆく の山もかすみ笑ふなるはる(巴留)の栄えは桃の花 ひらく常磐の松代姫ふたりの娘御諸共に へぐりの山をあとにしてほのかに夢の跡尋ね まぎて来りし父の国みたり逢うたり今日の宵 むすぶ夫婦の新枕めでたかりける次第なり もも上彦は年長くやちよの春の玉椿 いづみのみたまの御教をゆはより堅く守りませ えにしは尽きじ月照のよは紫陽花の変るとも わかやぐ胸を素手抱きてゐきと水火とを合せつつ うつし世幽世隔てなくゑらぎ楽しめ神の世の をさまる五月の今日五日』 と歌ひ了れば、珍山彦は膝を打つて、 珍山彦『ヤア、転んだ転んだ、駒公がころんだ』 駒山彦『これで駒山は除隊ですかな』 珍山彦は、 珍山彦『ヤア、じよたいのない男だな。それよりも五月姫さま、アヽこの館の奥さまとならば、じよたいのうしよたいを保つのだよ。心の底から水晶に研いて研き上げて、華を去り実に就き、曲津の正体を出してしまふのだ』 五月姫は小さき声にて、 五月姫『ハイハイ』 とばかりうなづく。 珍山彦『サア、これから御主人公の番だ。まさか否とは言はれますまい。サアサア祝ひ歌を歌つて下さい。珍山彦の註文だ』 正鹿山津見『皆さまの立派な御歌を聴いて、恐れ入りました。私の言霊は、充分研けて居りませぬから、耳ざはりになりませうが、今日は思ひ切つて、神様の御力を借りて歌はして頂きませう。 あゝ思へば昔其の昔高天原に生れませる 心もひろき広宗彦の兄の命に助けられ 神の真釣を補ひのかみと代りし桃上彦の 神の命のなれの果心の駒の進む間に 八十の曲津に使はれて恵も深き広宗彦の 兄の命に相反き二人の兄を退けて かみのまつりを握りたる高天原の主宰神 常世の闇の深くして心は雲る常世彦 常世の姫に謀られて恋しき都や三柱の 愛しき御子を振り捨てて行方も知らぬ流浪の 身のなり果ては和田の原浪に浮べる一つ島 竜宮の島に渡らむと高砂丸に身をまかせ 常世の浪の重浪を渡る折しも吹き来る 颶風に船は打ち破られ吾は儚なき露の身の 朝日に消ゆる悲しさを闇を照らして昇り来る 日の出神の御光や琴平別の救ひ舟 背に跨り遥々と千尋の海の底の宮 乙米姫の知食す竜の宮居の金門守る 賤しき司と仕へつつ涙に沈む折からに 浪を照して出で来る日の出神に救はれて 神伊邪那美の大神や従属の神と諸共に 音に名高き竜宮を亀の背中に乗せられて 躍り浮びし淤縢山祇の神の命や和田の原 つらなぎ渡る浪の上大海原の真中に 皇大神と右左袂を別ち高砂の 朝日も智利の国を越え珍の都に辿り着き 日の出神の任けのまに名さへ目出度き宣伝使 巴留の御国を救はむと山野を渉りはるばると 吾は都に竜世姫三五の月照る真夜中に 威勢も高き鷹取別の醜の軍の戦士が 鋭き槍の錆となり沙漠の中に埋められて やうやう息を吹き返し闇に紛れて帰り往く 負傷は痛く足蹇へて一足さへもままならぬ 破目に陥る谷の底流るる水を掬ぶ時 香り床しく味もよき瑞の御魂の幸はひを 喜び谷間を攀ぢ登り温泉のいさに浴して 百の負傷は癒えたれど如何はしけむ玉の緒の 命の絶ゆる折柄に淤縢山津見や五月姫 珍山、駒山現はれて神の救ひの御手をのべ 助け給ひし嬉しさよ茲に五人の神の子は さしも嶮しき珍山の峠を越えて千引岩の 上に一夜を明しつつ天雲山をも打越えて 木の花姫の分霊大蛇の船に助けられ もとの住家に立帰り憩ふ間もなく淤縢山祇の 神の命の御執成し珍山彦の真心に 今日は妹背の新枕天津御神や国津神 百神等に永久の誓約をたてし今日の宵 清き心の玉椿八千代の春の梅の花 開いて散りて実を結ぶみろくの世までも変らまじ 朝日は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも 高砂島の永久に妹背の仲は睦まじく 親子夫婦は睦び合ひ花咲く御代を楽しまむ 花咲く御代を楽しまむ此世を造りし神直日 心も広き大直日ただ何事も人の世は 直日に見直し聞直し身の過は宣り直し 光眩ゆき伊都能売の神の御魂と現はれて 天地四方の国々を守る諸神諸人と 共に生代を楽しまむ共に足代を楽しまむ』 と、声もすずしく歌ひ終る。一同は手を拍つて感嘆の声を漏らすのみ。珍山彦は、 珍山彦『サアサア、これで婚礼組の歌は一通り済んだ。これから親子対面の御祝ひだ。モシモシ松代姫様、貴女のお番です。御遠慮なく親の前だ、お歌ひなさいませ』 松代姫は、 松代姫『ハイ』 と答へて立ち上りぬ。 (大正一一・二・一三旧一・一七河津雄録)
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霊界物語 09_申_松竹梅の宣伝使の南米・中米の旅 25 窟の宿替 第二五章窟の宿替〔四一八〕 神の御稜威も高照の山より落つる琴滝の 響に飛び散る玉川や水音清き渓流の 右と左に千引岩堅磐常磐の巌窟に 千代の言霊宣り伝ふ神の恵も大蛇彦 教は深き穴の奥浅き賤しき人の身の 如何でか知らむ志芸山祇の神の命や肝向ふ 心も迷ふ熊公が問ひつ答へつ烏羽玉の 暗夜をここに明しける暗夜をここに明しける 七十五声の音調に天地神人を清むる言霊の滝は、水晶の飛沫の玉を遺憾なく飛散し、水煙濛々と立ち昇つて深き谷間を包んでゐる。 志芸山津見、熊公の二人は、この巌窟の前に端坐し、言霊の問答に胸の帳は開かれて、天津日の影、空を茜に染めなしつ、豊栄昇りに輝き初めり。志芸山津見は何か口の中にて巌窟の神に向ひ問答を始めてゐる。その声極めて微にして、傍にある熊公の耳にさへも入らぬ程度である。 志芸山津見はつと巌窟の前に立つて、立ち昇る狭霧の中に姿をかくし、ひそかに谷川を渡りて西の巌窟の奥ふかく姿を隠し、滝壺の傍にある鉢と竹筒を左右の手に提げ、水鉢に水を盛つて巌窟の奥深く身を潜めたるを見て、熊公は、 熊公『オイ、志芸山津見、何処へ行くのだ。先づ待て、俺も一緒に行かう』 この時巌窟は又もや、 声(大蛇彦)『ウー、オー』 と山も崩るるばかりの大音響を発したるが、暫時にしてその音響止まると共に巌窟の中より、 声『熊公々々、その方は暫くこの場を動く事はならぬ。志芸山津見を杖につき力と頼むやうな事で、どうして宣伝が出来やうか。汝の身体には、志芸山津見に百千倍の神力を持つた神が守護をいたして居るぞ』 熊公『ソソそれは、誠に結構ですが、一体彼は何処へ参つたのでせうか』 巌窟の中より大蛇彦は、 大蛇彦『それを訊ねて何とする。汝が心の神に訊ねるがよい』 かかる所へ、昨日山口の芝生で会つた鹿公は、数多の村人と共にこの巌窟の前に現はれ来り、叩頭拍手し熊公の姿を見て、 鹿公『オヤ、お前は昨日会つた熊公ぢやないか、どうだつた。随分叱られただらう。さうして虎公はどうしたのだ』 熊公『オー、鹿公か、虎の奴、友達甲斐もない、俺をこんなとこへ置き去りにして何処か勝手に行つて仕舞つたのだ。俺も後を追つて行かうかと思つたが、何だか知らぬが、俄に胴が据つて動けぬのだ』 鹿公『そりや貴様、腰を抜かしよつたのだらう、弱い奴だなア。モシモシ、巌窟の中の神様、今日は沢山の村人を連れて参りました。どうぞ村の者に結構な教を聞かしてやつて下さいませ』 大蛇彦『ヤア鹿公か、よくも出て来た。この巌窟は昨日虎公がやつて来て汚しよつたによつて、唯今より西の巌窟に宿替を致す。熊公は霊縛を許したれば、足腰は自由に立つであらう。サア熊公に随いて、鹿その他の者共はこの谷川を越えて、西の巌窟の前に行け。誠の事を聞かしてやらう。ウー、オー』 と又もや大音響を発し、巌窟も破裂せむかと思ふばかりなり。 熊公を先頭に一同は滝の下の谷川を飛び越えて、西の巌窟の前に辿り着き頭を下げて、 熊公『ヨー今日は大蛇彦様の新しき御殿、ではない暗い巌窟のお座敷に御転宅遊ばされまして、誠にお目出度う存じます。お取込の際とて、嘸お忙しい事でございませう。私でお間に合ふ事ならば、どうぞ手伝はせて下さいませ』 巌窟の中より、 大蛇彦『ブー、ブー、ブル、ブル、ブル、ブル』 熊公『大蛇彦の神さまとやら、私がこれ程叮嚀に頭を下げて御挨拶を申上げて居るのに、只一言のお答もなく、ブー、ブー、ブル、ブル、ブル、ブルとは、何程神様でも些と失敬ぢやありませぬか。水桶に尻を捲つて、揚げたり浸けたりしながら、屁を放つてお尻で返事をなさるとは、それは本気でなさるのか、吾々を侮辱するのか』 鹿公『オイオイ、熊公、本気も何もあつたものかい、神様は平気なものだよ。貴様のやうな奴はこれで結構だ。水の中で屁をこいたやうな三五教とやらに恍けて居るから、神様が阿呆らしいと云つて、屁を御かまし遊ばしたのだ』 この時巌窟の中より、竹筒を吹くやうな声が聞え来る。 大蛇彦『ブウー、ブウー、ブル、ブル、ブル、ブル、ブル』 熊公『なんだ、阿呆くさい、また屁だ、屁の神様だ』 巌窟の中から、 大蛇彦『アヽヽヽ悪に強い鹿公の奴、朝から晩まで、神の使はしめの当山の猪を狩立て、兎を獲り、威張り散らして、玉山の麓の玉芝の上で、虎、熊の二人に向つてほざいた事覚えて居るか。イヽヽヽ否応なしに改心いたせばよし、違背に及べば、今この場において白羽の矢を持つて射殺して仕舞はうか』 鹿公『モヽヽもし、神様、それは、あまりぢやありませぬか。貴神様は、悪に強い者は善にも強い、悪をようせぬやうな者は、人間ぢやない、この神の氏子ぢやない、力一杯山河を駆けまはつて、イヽヽ生物の命を取つて、人の生血をしぼつて威勢よく暮せ、と仰有つたぢやないか。それに今日は全然掌をかへしたやうに妙な事を仰有います。大方貴神は悪魔でせう。東の穴の神さまとは違ふのだらう』 熊公『オイ鹿公、それでも貴様、これから西の巌窟へ宿替へすると仰有つたぢやないか』 鹿公『ウン、それも、さうぢやつたなあ』 熊公『貴様は、今日は叱られる番だ、確と耳を掃除して聞くがよからう。神に叱られ気は紅葉、踏み迷ひ鳴く鹿の、声聞く時は気の毒なりける次第なりけりだ』 鹿公『馬鹿にするない』 巌窟の中から、 大蛇彦『ウー、ウー疑ふか、鹿の奴、疑へばその方の素性を大勢の前で素破抜かうか。朝から晩まで、猪や兎の尻を追ひまくるのはまだしも、東の後家や西の後家、五十の尻を作つて、若い娘の後を追ひ廻し、肘弓に弾かれて、腹立紛れに酒を喰ひ、家へ帰つて女房に面当、その態は何の事だ』 鹿公『アヽもしもし、岩の神様、それはあまりです。どうぞ、そればかしは言はぬやうにして下さい。あまり気のよいものでは御座いませぬ』 巌窟の中より、 大蛇彦『エヘヽヽえらう困つたさうなその顔は、人を酷い目に遇はした報いで、今日はえらい恥を曝されるのも身から出た錆、まだ、まだ、まだ、まだあるぞ』 熊公『エヽヽ好い加減に往生せぬか、鹿の野郎』 鹿公『何を貴様まで、エヽヽなんて真似をしよつて、何をほざきよるのだ』 巌窟の中より、 大蛇彦『オヽヽ大蛇彦の眼は、隅から隅まで透き通る、鬼の眼に見落しはなし。大盗賊の張本人、大悪魔の容器、大馬鹿者の鹿の奴、この大穴の前で、大恥かいて大味噌つけて、怖ぢ怖ぢと尾を捲く可笑しさ、アハヽヽ』 鹿公『ヤア此奴、些とをかしいぞ。東の巌窟の声とは余程変だ。竹筒を吹いて、物を言ふやうな事を言ひよる。大方虎公の奴、俺を一杯かけやうと思つて、熊公と申合せて芝居を仕組みよつたのだらう。よし、よし、よし、これから、この鹿公が、虎穴に入らずむば虎児を得ずだ。一つ命を的に穴の中に探険と出かけやうカイ』 と云ひながら、むつくと立ち上り、鹿公が今や巌窟に立ち入らむとする時、天地も破るるばかりの大音響、 大蛇彦『ウー、オー』 鹿公は、 鹿公『イヨー此奴は矢張り本物だ。どうぞお赦し下さいませ』 と拍子抜けしたやうな声で、又もや巌窟の前に平伏する。 折から吹き来る烈風の梢を渡る音、滝の響きと相和して心砕け、魂消ゆる如き騒然たる光景を現出したり。 (大正一一・二・一六旧一・二〇加藤明子録)
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霊界物語 09_申_松竹梅の宣伝使の南米・中米の旅 33 栗毛の駒 第三三章栗毛の駒〔四二六〕 夫、娘や諸人の、信仰強き真心に、恥ぢ入り言葉も夏姫は、あからむ顔に紅の、袖に涙を拭ひつつ、 夏姫『あゝあさましの吾心神の造りし神直日 心も広き大直日教の道に真心を 朝な夕なに籠め給ふ春山彦の夫神や 月雪花の可憐し子の神の大道に身を委ね 心を尽くし麻柱の誠捧ぐる心根の その健気さに引換へて母と生れし夏姫の 心の空は紫陽花の色も褪せたる恥かしさ 日に夜に祈る神言の清き尊き御教を 臨終の際に忘れ果て女心のはしたなく 思ひ切られぬ愛惜心絆の糸に繋がれて 解くに解かれぬ心の迷ひ言ふに言はれぬ縺れ髪 奇しき御稜威の隈もなく照らさせ給ふ神の前 あゝ恥かしや面目なや神の御為め国の為め 世人のためになるならばたとへ夫婦は生別れ 可憐しき娘の玉の緒の絶えなむ憂きを見るとても 千引の岩の永久に揺がぬ身魂となさしめ給へ 弱き女の心根を笑はせ給はず諸人よ 春山彦よ月雪花の吾娘拙き母と笑うては下さるな 焼野の雉子夜の鶴子の可愛さに絆されて 歩み迷ひし心の闇あゝ恥かしや恥かしや 松竹梅の宣伝使見下げ果てたる夏姫と 笑はせ給はず幾千代も吾身の魂を照させ給へ』 と、慚愧の涙一時に、滝津瀬のごと降る雨の、袖ふり当てて泣き沈む。 この場の憂を晴らさむと、御稜威も開く梅ケ香の、姫の命の宣伝使、声淑かに、 梅ケ香姫『あゝ勿体なや夏姫様生みの母にも弥勝る 厚き尊き御志何時の世にかは忘れませうぞ 春待ち兼ねて咲き匂ふ花の蕾の梅ケ香姫 げにあたたかき春山彦の神の命の御情 木枯そよぐ冬の宵妾を助け労りて 心も堅き岩屋戸に姉妹三人助けられ 何の不足も夏姫の命の厚き御待遇し 神の恵みも高砂の尾の上の松に木枯の 当りて冷たき人の世に五六七の神の松心 堅磐常磐に松代姫心も清き秋月の 姫の命の志繊弱き竹野姉君を 助けむ為めに雪より清き神心愛の女神の深雪姫 親子団居の睦まじき六つの花散る初冬の 空に彷徨ひ道の辺に橘姫のそれならで 旅に労れし梅ケ香姫天教山にあれませる 木の花姫の御恵み黄金山に現はれし 埴安彦や埴安姫の命の生魂かからせ給ふ 春山彦の御情五十六億七千万年 五六七の御代の果てしなく御夫婦親子の御情 どうしてどうして忘れませう真心深き夏姫様 何卒妾に心を配らせ給はず三五教を守ります 神の御教に従ひて玉の緒の御命を 堅磐常磐に保たせ給ひ親子夫婦は睦まじく 日に夜に感謝の暮しを続かせ給へ妾は繊弱き宣伝使なれど 山海の御恩を報ずるため朝な夕なに御無事を祈り奉らむ 心も安くましませや』 と声も優しく述べ立つる。斯かる処へ、門前騒がしく村人の声、 村人『申し上げます、只今間の森に強力無双の三五教の宣伝使現はれ、盛んに宣伝歌を歌ひ始めました。吾々村人は前後左右より十重二十重に取り巻いて生捕り呉れむと思へども、眼光鋭く何となく、威勢に打たれて進み寄ることが出来ませぬ。何卒々々春山彦の命様、御出馬あつて彼の宣伝使を召し捕り給へ』 と門口より呼ばはるにぞ、春山彦を始め一同は思はず顔を見合せ、暫時思案に暮れけるが、春山彦は立ち上り、表に聞ゆる大音声にて、 春山彦『常世神王の御家来、鷹取別の治し召す、間の国に参来り、三五教の宣伝歌うたふとは心憎き宣伝使、今打ち取らむ。者共先へ帰つて弓矢の用意いたせ、ヤア家来共、駒の用意』 と呼ばはりたり。数多の村人はこの声にやつと胸撫で下し、間の森に一目散に走り行く。春山彦は一同に向ひ、 春山彦『何事も、吾々が胸中に御座いますれば、何れも様は御安心の上、ゆつくり休息遊ばされよ』 と言ひ捨て、栗毛の駒に跨り、手綱かいくり、しとしとしとと表を指して進み行く。 (大正一一・二・一七旧一・二一大賀亀太郎録)
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霊界物語 10_酉_黄泉比良坂の戦い 24 言向和 第二四章言向和〔四五四〕 善と悪とを立別る遠き神代の大峠 黄泉の島の戦ひに弱りきつたる美山別 国玉姫の部下たちは朝日輝く日の出神の 味方の軍に艱まされ天地に轟く言霊の 貴の力に這々の体悶え苦しむ折からに 黒雲塞がる大空を轟かしつつ舞ひ降る 磐樟船の刻々に地上に向つて降り来る 大国姫を神伊邪那美大神と敵や味方を偽りて 日頃企みし枉業を遂げむとするぞ浅ましき。 神軍の言霊に魂を抜かし、胆を挫かれ、腰を抜かした醜女探女の悪神等は、泥に酔うたる鮒の如く、毒酒に酔うた猩々の如く、骨も筋も菎蒻然と悶え苦しむ其処へ、常世の国の総大将、神伊邪那美神の御出陣と聞いて、再び元気を盛り返し、八種の雷神を始めとし、百千万の魔軍は一度にどつと鬨をつくつて、黄泉比良坂指して破竹の如くに攻め登る。 「ウロー、ウロー」の叫び声、天地も震撼するばかりにて、天津御空は黒雲益々濃厚となり、雷霆鳴り轟き、大地は震動し、海嘯は山の中央までも襲ひ来り、黄泉の国か、根の国か、底の判らぬ無残の光景に、美山別、国玉姫は、 美山別、国玉姫『常世の国の興亡此一挙にあり』 と、部下の魔軍を励まして、 美山別、国玉姫『進め進め』 と下知すれば、命知らずの魔軍は、醜女探女を先頭に、心の闇に迷ひつつ、力限りに戦ひける。 爆弾の響き、砲の音、矢の通ふ音は、暴風の声と相和して益々凄じくなり来る。 此の時日の出神は比良坂の坂の上に立ちて、攻め登り来る数万の魔軍に向ひ、 日の出神『神伊邪那岐大神、神伊邪那美大神、守らせ給へ。常世の国より疎び荒び来る黄泉神、大国姫の伊邪那美命に一泡吹かせ、心の曲を払ひ去り、皇大神の神嘉言の声に邪の心を照させ給へ。一二三四五六七八九十百千万の神等よ、日の出神の一つ炬を、天地に照すは今この時ぞ。許させ給へ』 と云ふより早く、姿は消えて巨大なる大火球と変じ、魔軍の頭上に向つて唸りを立て、前後左右に飛び廻るにぞ、数多の魔軍は、神光に照されて眼眩み、炬の唸りに頭痛み、耳痺れ、身体忽ち強直して化石の如く、幾万の立像は大地の砂の数の如くに現はれける。 正鹿山津見は涼しき声を張りあげて、 正鹿山津見『神が表に現はれて善と悪とを立別る 此世を造りし神直日心も広き大直日 只何事も人の世は直日に見直せ聞き直せ 身の過失は宣り直せ黄泉の島は善悪の 道を隔つる大峠言問ひわたす神々の 誠の道を千代八千代定むる世界の大峠 鬼も大蛇も曲津見も言問ひ和す言問岩 此坂の上に塞りたる千引の岩は神の世と 邪曲世を隔つる八重の垣出雲八重垣妻ごみに 八重垣造る神の国ソモ伊邪那美の大神と 詐り来る曲神の大国姫よ国姫よ 汝が命は幽界の黄泉醜女を悉く 言向け和せ現世をあとに見捨てて帰り行く 百の霊魂を守れかし黄泉の国に出でまして 一日に千人八千人の落ち行く魂を和めつつ 現の国に来らじと黄泉の鉄門をよく守れ 神伊邪那岐の大神の生成化育の御徳に 日の出神と現はれて一日に千五百の人草や 万民草を大空の星の如くに生み殖やし 神の御国を開くべし那岐と那美との二柱 互に呼吸を合せまし国の八十国八十の嶋 青人草や諸々の活ける物らを生みなして 堅磐常磐に神の世を樹てさせ給へ常世国 ロッキー山をふり捨てて心をしづめ幽界の 黄泉の神と現れませよ黄泉の神と現れませよ』 大国姫はこの歌に感じてや、千引の岩の前に現はれて、 大国姫『吾は常世の神司神伊邪那美の大神と 百の神人詐りて日に夜に枉を行ひつ 心を曇らせ悩ませてあらぬ月日を送りしが 神の御稜威も明けき日の出神や諸神の 清き心に照されて胸に一つ炬輝きぬ 輝きわたる村肝の心の空は美はしき 誠の月日現れましぬ嗚呼天地を固めたる 神伊邪那美の大神の吾は黄泉に身をひそめ 醜の枉霊の醜みたま醜女探女を悉く 神の御教に導きて霊魂を洗ひ清めさせ 再び生きて現世の神の柱と生れしめむ 美し神世に住みながら曲業たくむ醜神を 一日に千人迎へ取り根底の国に連れ行きて 百の責苦を与へつつきたなき魂を清むべし あゝ皇神よ皇神よ常世の暗の黄泉国 暗を照して日月の底ひも知れぬ根の国や 底の国まで隅もなく照させ給へ朝日照る 夕日輝く一つ炬の日の出神よいざさらば 百の神等いざさらば』 と歌つて改心の誠を現はし、黄泉の大神となつて幽政を支配する事を誓ひ給ひたるぞ畏けれ。ここに伊邪那岐神の神言以ちて、日の出神その他の諸神将卒は、刃に衂らず、言霊の威力によつて、黄泉軍を言向け和し、神の守護の下に天教山に向つて凱旋されたり。 数多の曲津神は悔い改めて、生きながら善道に立帰るもあり、霊魂となりて悔い改むるもあり、或は根底の国に落ち行きて黄泉大神の戒めを受け、長年月の間苦しみて、その心を改め霊魂を清め、現界に向つて生れ来り、神業に参加する神々も少からずとの神言なりけり。 (大正一一・二・二五旧一・二九井上留五郎録)