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霊界物語 61_子_讃美歌1 02 神影 第二章神影〔一五五二〕 第一三 一 天津日影は西天に煙の如くうすれ行く 淋しき夕べ世の中の業に放れて瑞霊と 神の望みを語らまし。 二 御目に暗なき光の神よ深く包みし吾身の罪を 遺る隈なく細やかに心平に示しませ。 三 罪も穢れも無き身を以ちて千座の置戸を負ひ玉ひ 人のなやみを清めます瑞の御霊よ吾なやみ かへりみ玉へ救はせ玉へ。 四 いつか吾身は現世出でて夜なき国へ到りなば 移り変らぬ月日の光を心楽しく仰ぎ見む。 第一四 一 皇大神の給ひてし今日の生日も暮れにけり いざいざさらば晨の如く瑞の御霊や厳御霊 尊き御名を称へまし。 二 神の光に向つて動く大海原に浮びたる 大地に住める神の子は神の光に照されて 常世の暗に勝ちにけり。 三 次第々々に夜のとばり明けゆく国々嶋々の 青人草は悉く神の御徳を賞め称へ 歌ひ眼さめて朝夕に神に祈りの絶間なく 栄ゆも嬉し五六七の代。 四 労れ休めと人の子に別れたまひし日の神は 西の洋なる友垣を神の御国に誘ひて 永遠の眠りを醒します。 五 興亡常なき現世の数多の国と事かはり いや永遠に栄え行く神の御国ぞ尊けれ。 第一五 一 神の力の昼去りて恵の露の下ります 安けき夜とはなりにけりいざこれよりは御恵に 抱かれ楽しく休らはむ仁慈無限の瑞霊の いと暖かきふところに。 二 朝の空に日の神の輝き渡り玉ふまで 曇りもあらぬ神使の夢路を進ませ玉へかし 尊き守りの一夜を。 三 病になやむ貴の子や囚はれ人は言ふも更 親なき子供背の君の頼りさへ無き人妻に いとも尊き仁愛の御姿あらはし玉へかし せめては夢の中なりと。 四 生言霊の助けにて現はれ出でし天地は 何処の果に至るとも皇大神を外にして 休らひぬべき処なしあゝ皇神よ主の神よ。 第一六 一 夕日の名残刻々に山の尾上にうすれ行きて 恵みの露の白玉も草木の花に宿るなり あゝ天地の大神よ御前に捧ぐる太祝詞 うまらに完全に聞召せ 二 災多き現世の諸の歎きも皇神の 恵みの露に浸されて切なる祈りの栞となし 黒白も分かぬ暗の夜も霊肉脱離の関門も 恐れず撓まず永遠に見ぬ夜の光に吾魂を 照させ玉へと願ぎまつる。 三 常夜の暗に包まれし山海河野のその如く 吾世の望みは消えぬれどほの見え初めし星影の 上なき望みぞいと高く天津御空にかがやきぬ。 四 木の間を洩れし月光の御池の面に澄渡る 静けき清き御姿に神習はめや吾心 今宵の息もやすやすと休ませ玉へ瑞御魂。 第一七 一 瑞の御魂の生れませる今日の生日の足日こそ 実にも目出度き限りなれ吾等は神の御恵みに この日を迎ふる嬉しさよ。 二 救ひの神と現れませる瑞の御霊の大神の 豊の明りのこの宴今まのあたり開かれぬ いざ諸共に大前に心楽しく進みなむ。 三 皇大神の永遠に鎮まり坐ます神の家に 住める一日は許々多久の罪に穢れて世を渡る あはれ果敢なき楽みの千代にも優る思ひかな。 四 御前に侍る今日の日の清き心を心とし 瑞の御霊や厳御霊神の御言をかしこみて 楽しく吾世を送るべし。 第一八 一 七日の旅路もいと安く過ぎて御前に参ゐ詣で かしこみ仰ぐ今日こそは高天原の神人も 休ませたまふ吉き日なり。 二 厳と瑞とのあがなひの神に頼りて祈りなば 仁慈の顔を向けたまひ諸の罪咎あやまちを 直日に見直し宣り直し安きに清めたまふべし あゝ惟神々々御霊幸はへましませよ。 三 清き祭に集へる人に神は涼しき御声もて 瑞の御霊の口を藉り明き神国に導きて 限り知られぬよろこびと栄光を授け悩みたる 身魂を慰め玉ふこそ実にも尊き極みなれ。 四 大国常立大神は高き恵みを朝夕に 称へ奉れる吾魂と倶に坐しまし限り無き。 栄誉を与へたまひつつ天津御国の賑しき 豊の宴に手を曳きて進ませ玉ふぞ嬉しけれ。 第一九 一 清き尊き今日の日を安く迎へて信徒が 父と母との皇神の貴の御前に相集ひ 神の御子等諸共に厚き恵みの雨祈る。 二 神の御国のおん為に十の日足を早送り 今日はこの身の生命の為に身も魂もいさぎよく 聖き休日を楽しまむ。 三 きよき朝に夙く起き出でて神の御前に真心ささげ 鹿児自物膝折り伏せ鵜自物頸根突きぬきて 恩頼を仰ぎつつ神の清めを受けまつる。 四 現世に居て真道を歩み旅路終りて歓喜と 栄光に充てる神の国昇る人こそ尊けれ。 第二〇 一 国常立の大御神瑞の御霊の大前に 集ひて御名を称へつつ心清むる楽しさは 何にたとへむものもなしあゝ惟神々々 恩頼ぞ有難き。 二 瑞の御霊の神柱慕ひまつれる真心の 調べは正しくス・スヷラポーヂーサツトヷの琴の音に 通ふが如く楽しけれ。 三 朝日の豊栄昇る時現世を創造りたまひたる 元の御祖の神を思ひ夕に瑞の御教を 学ぶ吾身ぞ楽しけれ。 四 さかしら為せる人々に対して愚に見る智慧も 清き尊き神の子の召されし身にはいと強き 神の給ひし力なり。 五 皇大神の御めぐみを知る人ぞ知るよろこびの 雨はこの日も新しく降りそそぐこそ尊けれ。 六 我皇神の御在舎はいとも尊く美はしく 栄光の花は咲きみちぬ瑞の御霊の玉の座は 心の底より慕はしき。 第二一 一 清めの神の御光も強くかがやく今日こそは 諸のなやみも癒やされむ心嬉しく楽もしく 常世の春の如くなり。 二 荒き風吹き浪猛る海路を免れ村肝の 心平らに安らかに神の港に進み行く 吾身の上ぞ楽しけれ。 三 荒野ケ原にさまよひてかわき苦しむ旅人の 喉をうるほす真清水は涼しき清き瑞御魂 恵みの泉の限りなく湧くぞ嬉しき神の道。 四 仁慈無限の瑞御魂誓ひ玉ひし神の国 ほの見え初めし嬉しさよ神は吾等と倶にあり。 五 たかきひくきの隔て無く老も若きも押並べて 神の功績をほめたたへ常世の春を祝ひつつ 勇むも嬉し神の前。 第二二 一 今日は畏き御光を授けたまひし吉き日なり 暗き心を隈も無く照させ玉へ惟神 瑞の御霊の大前に謹み祈りたてまつる。 二 今日の生日の足日こそ吾等に平安を賜ふべき 神の祭の吉き日なり罪や穢れの浪風を 平げ治め玉へかし。 三 今日の生日の足日こそいとも楽しき祈りの日なり 瑞の御霊の御光を仰ぎ仕ふる信徒に 近づきたまへと願ぎまつる。 四 千座の置戸を負ひながら曲津神等に勝たせたる 清き畏き吉き日なりいや永遠に栄えゆく 生ける神霊さはさはに吾等が身魂に給へかし。 (大正一二・五・一旧三・一六加藤明子録)
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霊界物語 61_子_讃美歌1 03 神雲 第三章神雲〔一五五三〕 第二三 一 皇大神の御めぐみ瑞の御魂の御慈愛 豊に充てる神の家是の御門の限りなき 恵みを受けよ神の愛子溢るる清き真清水を 苦み悩み悲しみも朝日に露と消え失せむ 神の御門にとく来たれたえずに給ふ御めぐみ。 二 雲井に高く聳えたる宇都の宮居も賤の男が 住める伏屋も押並べて憂きに漏れたる人ぞなし 世の人々の運命は草木の花にもさも似たり あしたの栄えはたちまちに夕べの空に散り失せむ いや永遠に御幸ある宇都の御門にとく来れ 神は汝を待ちたまふ。 三 教祖の御救ひ世にあまねしはやく来りて悔い改めよ 罪に沈みし涙もかわきちりも清まる愛の御顔 向けさせ玉はむよろこびはいやとこしへに充あふれ 憂ひは失するこの御殿。 第二四 一 清めの神よ瑞霊よ珍の宮居に帰り来て その御姿を眼のあたり拝みまつる嬉しさよ。 二 神のみいづをほめまつる御子の一人となしたまひ にぶき沼矛にも大功をうたはせ玉へや神の前。 三 信徒たちの願ぎ事を聞召す時罪ふかき わが祈言を平かにかへりみまして聞召せ。 四 神の御掟を正しく守り神の御子たる吾等の身魂に 尊き厚き御恵を仰がせたまへ瑞御魂。 五 夕べの空を打仰ぎ今日の吉き日は主と倶に 歩みし吾ぞと心より祝ひよろこばせ玉へかし。 第二五 一 皇大神の大前に鰭伏し祈る吾ねがひ 御心平にやすらかに諾なひたまへや瑞御魂。 二 恵の雨を吾胸に降らせたまひて魂を 充たせ活かせて皇神の御名の栄光を謳はせ玉へ。 三 綾に畏き御教を示し清めの道を宣べたまふ 伊都の言霊まつぶさに深くさとらせ玉へ瑞御魂。 四 憂きをなぐさめ病めるを癒やし身魂を清め許々多久の 罪のなはめを解き捨てたまへ。 五 瑞霊を知るものひたすら頼め神は近づき玉ふべし 至仁至愛の瑞御霊かならず見捨てたまふまじ。 第二六 一 斯世に形あるものも形の見えぬ霊の世も 統守ります大御神よ天津神国に住む民の いや永久の歌の音に声を合せてほめたたへ いとも尊く美はしき神の御門に進み得む。 二 島の八十島八十の国青人草は言ふも更なり 山河海野草も樹も禽獣虫魚に至るまで 皇大神の御前に声なき歌をうたひつつ 尊き御名をあがめまつり浄めの御教を賞めたたへ 寄りて仕ふる神の御代。 三 この世に在りとしあるものは元津御祖の御恵を 歓びうたひ仕へまつれば人の子と生出ましし瑞御魂 浄めの瑞霊と吾等は称へましよしや言霊歌の調べ 低くかよわくありとても。 第二七 一 万有のものの主と坐す国常立の大御神が 稜威充たせる教祖の宮は吾等の罪を清めむと 天の八重雲掻別けて綾の聖地のエルサレム 竜の館に天降りましぬ仰ぎ敬へ教祖の徳を。 二 清めの主の瑞御魂慕ひて聖地に登り行く 家族親族は云ふも更親しき友垣世の人の 悩みを浄むるそのためにシオンの道行く楽しさよ。 三 元津御祖の大神の永遠に住みます綾の聖地に 心清けく遊ぶ一日は百千万の日数に勝り いとも楽しく思ふかな。 四 皇大神はわが日なり瑞の御霊は月の神 サタンを防ぐ盾となり力となりて守ります 恵と栄光に充てる神。 五 万の神人の主なる神に赤き心を捧げつつ 祈る誠のピュリタンは世にも勝れて幸深し。 第二八 一 何国の果も民草の寄りて仕ふる折々を 瑞の御霊は倶にありて厚きめぐみを垂れ玉ふ。 二 飛騨の工匠の造りたる形の宮に住みまさで 心やさしく温順に身を謙だる人々の 清き御魂に住みたまふ。 三 瑞の御魂の仁愛神清き生命の歓喜を 吾等の魂に充たしめて貴の御名をばいと高く 各も各もにほめたたへ仰ぎ敬はしめ玉へ。 四 朝な夕なに御前に祈る善言美詞に力をあたへ 清き望みをかためさせ玉ひ神の坐します楽しき国を 一日も早く来らせ玉へ。 第二九 一 瑞の御霊の御栄光と深き恵を言葉の限り 心きよめて楽しげに朝な夕なに称へま欲しき。 二 厳の御魂よ瑞御魂仁愛の岐美よ雲井の上に 秀でて高き宇豆の御名を拡むる吾身を朝夕に 生かさせ玉へ元津御祖。 三 諸の悲しみ歎きを除き罪の恐れを去りたまふ 瑞の御魂の御名をば称へ仕へまつるぞ楽しけれ。 四 瑞の御魂の命の神は罪の牢獄を打砕き 手足の爪や髭を抜き血をもて償ひ生かさせ玉ふ。 五 亡び行くなる身魂を永遠に蘇生らせて楽しみと 栄光に充てる希望の綱を与へ玉ふなる仁愛の神の 清き御名をば称へ奉らむ。 第三〇 一 神に仕ふる信徒たちよ汝が心の門の戸はやく 神のまにまに開けよひらけよろこび勇みて吾たましひは 瑞の御魂の主を待ちのぞむ。 二 愛善と栄光と平和に充てる瑞の宮居の美はしさ 御前に出でて伏し拝む吾身は実にも慕はしきかな。 三 吾等を守る尊き父よ罪を償ふ仁愛の母よ 珍の御前に謹み出でぬ母もまた下りて吾魂を 伊都の宮居と定めさせ玉へ。 四 瑞の御魂よ神代の基を語らせたまへ畏み聴かむ 生命の泉は母より流れこころの苦痛は瑞御魂 母の御声に癒やされむ。 第三一 一 教の友よいざや進めいさみて進め宝座の御前 言霊調べいやたかく天津御神を嬉しみて 清き御名をば称へまつらむ (折返) 霊山会場のエルサレム楽しき都へ進み行く。 二 罪に穢れし人草は兎にも角にもあれやあれ 天津御神の世継王山のふもとに集る神の子は 歌はで在るべき溢れ出づる限りも知らぬよろこびを。 三 天津御神の永遠に鎮まり坐す神国へ 旅立ち進む道芝はいとも安けく平けく 薫り床しき望の花は所曼陀羅咲き充ちて 生命の木の果いとしげし。 四 黄金の御門うち仰ぎながむる空に天使 玉の緒琴を奏でつつ遊べる姿の崇高さよ 限りも知らぬ幸福の泉は清く湧き充ちて 溢れ流るる尊さよ。 五 瑞と厳との教の道を踏みて進まむ仁愛の園に 奇しき妙なる栄光に充てる高天原の天国の 神の宝座の御前に勇みて進め躍りて昇れ。 第三二 一 神の御前に教の御子が謹みかしこみ称言 仕へまつるを聞召せ平安を祝ふ神の声 われ等に掛けさせ玉へかし。 二 瑞の御魂の尊き御名を称へまつりし吾言霊や 心を清めさせたまひ神の御国の故郷の 家路にかへる道の辺を守りて平安と幸福を 腕もたわわに与へませ。 三 朝夕べに教の御子に仇なす仇を言向やはし 暗きを明きに照り返し栄光と平安を垂れ玉へ。 四 魔神の猛る現世にありて日夜に道のため 戦ふ力を今われに下させ玉ひ復命 申し上げたる暁はいや永遠に平安をば わが身の上に与へ玉へ。 第三三 一 伊都の大神美都の神深き恵を吾等に注ぎ よろこびに充ちて生き返り仁愛の神のはたらきを 広く正しく為さしめ玉へ。 二 神の御手もて斯世の中に植ゑし言葉を御魂の畑に 栄え実らせ結びたる清き果実を天津国の 厳の御倉にいと高く蓄へおかせ玉へかし 三 瑞の御魂の浄めの御手に召されて進む吾精霊は よろこび勇みて天津国御殿に昇り安らかに 常磐の春を楽しみつ神の誠の御力を 心の限り称へしめ玉へ。 (大正一二・五・一旧三・一六加藤明子録)
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霊界物語 61_子_讃美歌1 04 神田 第四章神田〔一五五四〕 第三四 一 暗につつみしこの世の中を いづのみたまは隈なくてらす みひかり。 (折返) いときよけき神の御祖 あめと地とを清めまもらす 御はしら。 二 夕べにかへる田人のごとく ただしきたまを招かせ玉へ 御前に。 三 あまの川原をよく打ちながめ たかくながるる御姿見れば かしこし。 四 つみにかすめる眼を照らし 瑞のすがたををがませ玉へ みかみよ。 第三五 一 聖きたふとき国の御祖大国常立大神は 三千世界の大宇宙完全に具足に造りまし 天の御中主大神と現り大元霊の真神として 聖き御姿見えねども天地万有に普遍して 総てのものを守り玉ふ高天原の霊国に 月の大神と現れ玉ひまた天国に到りては 日の大神と現はれて顕幽神の三界を 守りたまふぞ畏けれ仰ぎ敬へ伊都御魂 この世の大本大御神。 二 上無き権威ある人も学びの道の司等も 御祖の神の御まへに冠を捨てて伏しをがむ この世の御祖伊都御霊吾等は謹みあさ夕に 真心尽して仕へ奉らむ。 三 伊都の大神日の御霊美都の大神月の御霊 夜の御守り日のまもり青人草をあはれみて 罪より浄め助けむと天津御神の御こと以て 綾の高天に降りましこの世にありとしある罪を 神の伊吹に吹き払ひ安の河原にあひすすぎ 清め玉ひて人草を神の御国に生かさむと 神慮配らせ玉ふこそ畏き尊き神業なれ 仰ぎ敬へ神の恵み。 四 淤能碁呂嶋は神の国珍の経綸の真秀良場ぞ 照る日の下に住む民は神の選りたる珍の民 神にすべてを打ち任せ神国を地上に来さむと おもひは胸に三千年の諸のなやみや虐げを 忍びて仕ふる尊さよ。 五 瑞の御魂の神ばしら誠一つの神の子と 再び現世に現はれて千座の置戸を負ひながら 世人のために身を砕き心をなやまし道を伝ふ そのいさをしぞ畏けれ。 六 天津御神のおん父と瑞の御魂の貴の子と 聖き神霊の天使一つになりて世に降り 三ツの御魂と現はれてマイトレーヤの神業を 開かせたまひし畏さよ仰ぎ敬へ三ツ御魂 伊都の御魂の神の徳あゝ惟神々々 神の教ぞいと清し。 第三六 一 宇宙万有一切を堅磐常磐に知食す 元津御祖の伊都の神空蝉なせる人の世の 暗を晴らして浄めむと教御祖に降りまし 貴の御教をねもごろに普く地上に布きたまふ その御心をいときよく汲み上げ玉ひ世に広く 流し伝ふる瑞の神諸の譏やしひたげを その身一つに負はせつつウヅンバラ・チャンドラと諸共に いそしみたまふぞ有難きあゝ惟神々々 神の御いづを称へまつれ。 第三七 一 宇宙の祖とあれませる真の独り神柱 伊都の御霊は永久に顕幽神の世界を知召し 山海河野くさぐさの物皆造り育みて 栄光と平安を賜ひつつわれ等を生かし楽しませ 幸ひ玉ふ御恵をよろこび感謝したてまつる。 二 瑞の御魂の月の神はこの世を生かし清めむと 卑しき人の子と生れ神の使とえらまれて 言霊つるぎ振りかざし天津御国の権威もて 醜の曲霊をことごとく言向和し地の上に 奇しき楽しき神の国を建てて万有に生魂の 瑞の栄光をあたへむと朝な夕なに真心の 限りをつくし身を尽しいそしみたまふぞ畏けれ 仰ぎ敬へ伊都御霊慕ひまつれよ美都御霊。 三 綾に畏き瑞の神伊都の御神の御命もて 総てのものに歓喜と栄光と平安を降しつつ 青人草のたましひを静かに治めしめ玉へ 御神を慕ふ吾々をいや永久に万代に 守り幸はへたまへかし謹みかしこみ願ぎまつる。 四 三つに神業を別ちつつ天と地とを只ひとり うしはぎ玉ふ元津御祖真の神のみさかえを いやとこしへに賞めたたへ仕へまつらむ真心もちて。 第三八 一 御稜威かがやく高天原の貴の宝座にマヅラスバラ ボーヂーサットヷの声の如カラビンセラビン勇ぎよく 常世の春をうたふなり実にも尊き天津国の 司とあれます大神の大御さかえは天地に 溢れて充ちつつ叫びつつ。 二 瑞の御魂の御使が神の御教をいさぎよく うたへばももの草も木も皆まつろひてうたふなり 神の御つかひ貴の御子天にも地にもみ栄光あれと。 三 あめつち百の神人や山海川野も声そろへ 神のみいづをうたふなりあな尊きかな伊都の神 この世を浄むる美都御魂天にも地にも御栄光あれと。 第三九 一 永久に坐ます元津御祖神奇しきみいづの輝きて 天津御使集ひまし玉の小琴を掻き鳴らし マヅラスヷラやマノーヂニヤガンダルヷをかなでつつ 貴のみめぐみに報いむと勤しみ仕ふる芽出度さよ 神の大道に生かされしわれ等は神国のこのすがた はるかに拝み御栄光を畏み嬉しみ祝ぎまつる。 二 神の造りし神の世にみたまのふゆを蒙りて 生れ出でたる民草はしこの嵐にもまれつつ きたなき罪の身となりぬあゝ罪ふかき人の身は 元津御国へ如何にして安々還り得らるべき 底なき地獄におちいりて永久の苦みにふるふ身を 瑞の御神は友となり力となりてねもごろに 仁慈の御手を伸ばしつついとなつかしきかんばせを われらに向けさせ玉ひつつ天津御国へみちびきて 栄光と平安とよろこびを授けたまふぞ尊けれ あゝなつかしき瑞御魂あゝしたはしき月の神。 三 伊都の御魂や美都御魂塵に染まりし吾からだ いとはせ玉はず宮として鎮まり坐しまし諸々の 光をさづけ楽しみに酔はせ身魂を弥遠に 生かせたまふぞ嬉しけれ。 四 霊と力と身体の三ツの大元を一つとし 現れたまひし伊都の神大国常立の大神は 天地百の身魂をば完全に具足に造り了へ 始め終りの主としてスメール山に腰を据ゑ 三千世界を隈もなく守らせたまふ御いさをを われ人ともに勇ましくたたへ奉らむ大前に あゝ惟神々々神のいさをぞ尊けれ。 第四〇 一 われらが崇むる真の神は嶋の八十嶋八十の国 海川山野の草も木も禽獣に至るまで みいづを称へぬものぞなきよろこび称へよ人の子よ ほめよ称へよ人の子よ。 二 貴き稜威は天地四方の国々嶋々隈なく照りぬ 大地も御稜威を仰ぎ見てその崇高さに打ちふるふ ほめよ称へよ神のいづ。 三 誰かは否まむ神の御神業を誰かは拒まむ神の御むねを。 四 すべてのぬしなる御神に従へまことの権力は天にこそあれ。 五 天津御空も地の上も称への御歌聞ゆなり 厳と瑞とはまことの神よと。 第四一 一 ちからの主とあれませる元津御神の宣り言は 山川草木も打ち伏して御旨のままに従はむ 伊都の言霊清くして天津空なる月も日も 歩みを止めて大前に寄りて仕ふる尊さよ。 二 山と寄せくる荒浪も地震雷鳴火の雨も 来らば来れ寄せ来れ神は吾等と倶にあり 天地経綸の主宰者なる人は神の子神の宮 神と親しくある身魂は如何なるなやみも恐れむや 吾等も神の子神の宮神は吾等と倶にあり。 三 いかに荒ぶる夜嵐も虎狼や獅子熊の 伊猛り狂ふ暗の夜も神の恵のある上は 犯す術なき神の国人は神の子神の宮 神に習ひて世にあらば醜の曲霊も露と消え 嵐も和ぎて天津国の清けき安き花園と 易るぞ目出度き珍の御国ほめよたたへよ神のその うたへよ舞へよ神の子等。 四 尊き厳の御声は天津御空に雷のごと 鳴り轟きて聞えけり綾の高天の聖き場に 進め進めと宣りたまふあゝ有難し神の声 あゝかむながら神の声。 五 陸地の上に生出でし御子よ伊都の御霊の御前に かしこみ鰭伏し貴の御名を称へよ祝へよ真心こめて 粟生すつかさも跪づきて御名を称ふる時来るらむ。
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霊界物語 61_子_讃美歌1 05 神山 第五章神山〔一五五五〕 第四二 一 天津御国の神人も大空にかがやく日のかげも 夜の守りの月かげもきらめき渡る星さへも 元津御祖の大神をたたへまつりて仕ふなり この地の上に住むものは上なき権力を初めとし 青人草に至るまで神の御稜威をほめたたへ 御前にひれ伏し畏みて愛の善徳身にひたし 信と真との光明にかがやき渡りて天津神に あななひ仕へたてまつれ人はこの世にあるかぎり 神より外に力とし柱となして頼るべき ものは一つだにあらじかしほめよたたへよ神のいづ したへよ愛せよ伊都の神。 二 世界の太初に言葉あり言葉は道なり神に坐す すべてのものは言霊の清き御水火にもとづきて 造られ出でしものぞかし現しき此の世は言霊の 幸ひ助け生ける国天照り渡る貴の国 すべての法規も更生も言葉をはなれて外になし あゝ惟神言霊の幸ひ助くる神の国に 生れ出でたる嬉しさよ。 三 瑞の御魂に身も魂も捧げて仕ふる信徒は ほろびと罪のまが神に苦も無く勝ちて世に栄ゆ 神のめぐみをいつまでもまご子の末まで語りつぎ かならず忘るる事なかれ神にしたがひあるうちは つねに歓びと楽しみの花も絶間なく匂ふなり よろこび祝へ神の徳慕ひまつれよ神の愛。 四 伊都の御魂の教をひらき世人を導き許々多久の 罪をあがなひ清めます瑞の御魂のいさをしを 諸人声を一つにし謳へよ称へよ心のかぎり 三五の月のいときよく日に夜に神をたたへかし。 第四三 限り知られぬ天のはら伊照りかがやく日の神の 清けく明き霊光は元津御祖のはてしなき 貴の神力を顕はせりすべてのものの祖とます 真の神の神業は日々に新たに天地に かがやき渡るぞ畏けれ。 第四四 一 海の内外の隔てなく万の国の人の子よ 天地万有の主宰なる元津御祖の大神の 広き尊き大稜威言霊きよく唱へつつ よろこび歌ひたてまつれ清き言霊善き祈りは 神に捧ぐる御饌津ものぞ。 二 神はわれ等を育てたる真誠の御祖にましませば 現世の事悉く捨てて御仕へたてまつれ 人は神の子神の民神より外に頼るべき 力も柱も世にあらじほめよたたへよ神の恩。 三 花咲き匂ふ弥生空蝶舞ひ遊ぶ天津国の 善言美辞の歌をうたひつつ神の御門にすすみゆく 人は神の子神の民。 四 伊都の大神瑞の御魂恵みは豊かに愛は絶えず 八洲の河原に溢れたり汲めよ信徒まごころ籠めて 生命の清水を飽くまでも人は神の子神の民。 第四五 一 あやにかしこき伊都の神教御祖とあれまして 万の国の人草に恵みの光投げたまふ 仰ぎ敬へ御祖の徳を人は神の子神の民。 二 凡てのものは皇神の厳言霊に生出でぬ 人は神の子神の宮伊都の言霊さづけられ この世に生きて道のため尽す身魂と造られぬ 心を清めて朝夕に生神言を宣り奉り 生成化育の神業に身も棚知らに仕ふべし。 三 この世の栄ゆも言霊ぞ滅び失するも言霊ぞ 舌の剣の矛先に神も現れまし鬼も来る あゝ惟神々々謹むべきは言霊の 水火の一つにありといふ真の教をかしこみて かならず罵ることなかれ人は神の子神の宮。 四 神は吾等を生み成せし誠の御祖にましませば 朝な夕なに大前にぬかづきひれ伏し神恩を 感謝なさずにあるべきや御徳を仰がであるべきや 吾等は神の子神の宮。 五 天津御空より恵みは広く稜威は須弥より猶高し 仰ぎ奉れよ父の徳慕ひ奉れよ母の恩 堅磐に常磐に皇神の定めたまひし大神律は 月日の輝き渡るかぎり亡びず失せじ惟神 神のいさをぞ畏けれ。 六 百千万の生言霊の変れる国々もいとひなく 誠一つを楯となし神の御ため世のために 厳の教を伝へ行く誠の人こそ神の御子 神は汝等と倶にあり勇みて立てよ道のため 振ひ立て立て御代のため権力の主とあれませる 神は守らせ玉ふべしあゝ惟神々々 神の御子達奮ひ起てもはや神代は近づけり。 第四六 一 愛の善徳天地にかがやき渡りて現世の 雲きり四方に吹き払ふ後にきらめく日月は 信の真なる力なり。 二 皇大神の言の葉はスメール山の動きなき 高き姿にさも似たり八千万劫の末までも 堅磐常磐にゆるがまじ仰ぎ敬へ神の教。 三 天地万有遺ちもなく神の御手以て造られし ものにしあれば限りなき恵みの泉は湧き充てり 汲めよまめ人心をきよめ神に習ひて生命の水を。 四 月の御神の恵みの露は天地四方に限りなく 雨のごとくに降りそそぐ清き身魂の盃持ちて 尽きぬいつくしみ汲めよかし生命を維ぐ真清水を。 五 生命は深山の谷水の如くいや永久に湧き出づる 瑞の御魂の清ければ汚れを洗ひ世をめぐみ 清水となりて人を生かす神のいさをを称へかし 人は神の子神の民。 六 瑞の御魂の誓約によりて青人草は日に月に 八桑枝如して栄えゆく罪に汚れし人の子よ 来りてすすげ八洲の河集ひて飲めよ由良川の 清き生命の真清水を。 第四七 一 厳の御魂の御ひかりは至らぬ隈なく世を照らす 罪に曇りてさまよへる人よ来りて御光あびよ。 二 瑞の御魂は月にしあれば寝れる夜の間も守らせ玉ふ 東雲近く朝日の空も蔭に坐まして恵ませ玉ふ。 三 瑞の御教を心にかけて日々の業務いそしみ励み 神の栄光を世に広くあらはし奉らむ道のため。 第四八 一 神のめぐみは天地のはてしも知らぬ御国まで 広けく高くましましてその神業は日に月に いや新しく現れませり。 二 天と地とを抱きつつ霊の御国には月と化り 天津御国には日と化りて天津使や信徒の 霊魂をいともねもごろに恵まひたまふぞ有難き 海とあらはれ山と成り河野となりて物皆に 生命を授くる伊都の神瑞の御魂ぞいと尊し。 三 八束の生髭抜き取られ手足の爪まで除かれて 血潮に染りし瑞御霊天津国人地の上の 青人草になりかはり千座の置戸を負ひませし 更生主ぞ誠の母に坐すわれらの死せるたましひに 生命の清水そそがせて呼び生け浄め大神の 貴の御柱となさしめ玉へあゝ惟神々々 瑞の御魂ぞ慕はしき。 四 瑞の御霊のおんめぐみわれらに降らせ玉ふ上は 厳の御楯を前におき戦ふ如き思ひして 身もたなしらに道のため御神のために仕ふべし 守らせたまへ瑞みたま。 第四九 一 真誠一つは荒磯に並べる千引の巌のごと 逆捲きかみ付き襲ひ来る浪にも動がぬ神国魂よ。 二 神のめぐみは由良河の真砂のごとくいつまでも 数へつくすべき時もなし大海なせるみづの御魂。 三 世は紫陽花の七変りさだめなき身の果敢なさを 命の神にまつろひて永久の栄光を楽しまむ。 四 山と積みてし身の罪やふかき心のけがれをば みづの御魂の真清水に洗はれ清く世に生きむ。 第五〇 一 遠き神代の昔より末の末まで吾魂を 守り玉ひし伊都の神瑞の御魂ぞ御祖神。 二 天と地との別れざる前より坐ます皇神は 斯世を造りし御祖なる大国常立の大神ぞ。 三 千年八千年万の年も神の御眼より見たまへば 川の水泡か草の露短き夏の夢の如し。 四 空蝉の世の人の身は消えて跡なき草の露 水泡となりて亡ぶとも永久に滅びず栄えます まことの神の御ひかりを身魂に浴びて限りなく 天津御国に栄えかし人は神の子神の民。 五 天と地とは変るとも永久に動かぬ神の国 伊都の御座ぞ尊けれわれらが御魂の住む家は 高天原の貴の国夜と冬なき神のその。 第五一 一 伊都の大神瑞の神深き恵みをうかがへば 人の言葉に尽し得ぬ尊きひろき限りなき 計り知られぬ姿なり。 二 暗き浮世にふみ迷ひ道を忘れし人の身に 聖き光をあたへつつ安きにすくふ神の稜威 こころおごりし時にまた慈悲の鞭を加へつつ 眼を覚まし生魂の力を振り立て給ふこそ 実にも尊き神の恩。 三 いやしき吾等の身にあまる厚きめぐみを限りなく 幼き時よりたまひつつ山より高く海よりも 深き仁愛の御守りうれしみ畏み仰ぎまつる。 四 月と現れます瑞御魂あつき恵の露あびて うつし世かくり世隔て無く神の功績を称ふべし。
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霊界物語 61_子_讃美歌1 06 神天 第六章神天〔一五五六〕 第五二 一 天と地とを統べ給ふ元津御神の御功を ほめよ称へよ人の子よ御神のまします高天原の 珍の宮居はきらきらと月日の如く輝きて 千代に八千代に栄えけり。 二 真と信との光明をみけしとなして八重雲を 珍の車となしたまひ鳴る雷を遣はして みさきを馳けらせ玉ひつつ天と地との諸々を 知召すこそ畏けれ。 三 神の掟のいすくはし落つるくまなく雪としき 恵の雨は非時に降りて谷間に溢れつつ 河を渡りて海に入る命の風は永遠に吹き 栄光の花は咲き匂ふ。 四 塵の浮世に生れたる汚れ切りたる人の身は 瑞の御霊の真清水に清むる外に道ぞなき 幾世変らぬ御恵を与へたまひし大御神 瑞の御霊の御功績を謹み感謝し奉れ。 第五三 一 天津御神の永遠の厳の恵みをことほぎし 称への歌のうるはしさ大海原に鼓うつ 浪の音よりも弥高く響く言霊勇ましき 晨の風や夕風の音よりも清く聞こゆなり 二 この世を洗ふ瑞御霊天津御神の御言もて 綾の高天に天降りまし限り知られぬ慈愛 開かせたまふ尊さよその功績は現世に たとふるものも無かるべし聖の君の筆にさへ 写さむ術もなかるべし 三 わが垂乳根の父母の愛より厚く恵みまし 千尋の海の底よりも深き恵を垂れたまふ 厚き尊き御心は人の思ひの上に聳え 大空よりも弥広し。 四 金銀瑪瑙瑠璃硨磲七宝よりも美はしき 誠の宝は御神より下し給へる御宝ぞ あゝ諸人よ諸人よ神に受けたる魂を 八洲の河原に禊して清き身魂となり変り 神の御前に勇ましく仕ふる魂となれよかし。 第五四 一 奇しき貴き御恵の珍の光は現身の 世人の悩む暗路をば清く照させたまふなり 神は愛なり世を守る人よ愛せよ愛の神を。 二 醜の叢雲塞がりて珍の御顔を包めども 誠の神は笑み栄え光り輝き給ふなり 神は愛なり光なり人よ愛せよ愛の神を。 三 百の禍群起り吾身を責むる時さへも 愛の御神は弥広き望みを吾等に与へつつ いと平かに安らかに慰め給ふぞ尊けれ 神は愛なり光なり人よ愛せよ愛の神を。 四 世は紫陽花の七変り河の淵瀬と移るとも 恵の光は永久に輝き渡り給ふなり 神は愛なり光なり人よ愛せよ愛の神を。 第五五 一 吾身の末は如何にして浮世を渡るか知らねども 恵の深き皇神は厳の御霊や瑞御霊 此世に降したまひつつ行手を照らし禍を 科戸の風に吹き払ひ安きに導き給ふべし。 二 如何なる曲の襲ふとも心たゆまず恐れずに 神の光に従ひてひたすら真道を進むべし 世の人々は変りゆき総ての物は移るとも 我皇神の御心は弥永遠に動かまじ 賞めよ称へよ神の徳慕ひまつれよ神の愛。 三 荒き海路を打ち開き限りも知らぬ沙漠をも 厭ひたまはず雨降らせ恵の露を平けく 与へ給ふぞ尊けれ神は愛なり光なり 喜び敬へ神の徳慕ひまつれよ神の愛。 第五六 一 皇神の深き恵は伊勢の海 如何でか知らむ底の心を。 二 罪汚れ吾過ちを憐れみて 赦すは神の力なりけり。 三 許々多久の犯せる罪を浄めむと 開かせ給ひぬ命の門を。 四 ためらはで御神のかたに任せかし 罪の重荷も助けたまはむ。 五 皇神の清めの道を聞く人は 人より幸の多き身魂ぞ。 六 言の葉に称へ尽せぬ皇神の 恵に酬ふ術もなきかな。 第五七 一 高き恵はスメールの珍の御山の白雪に 朝日輝く如くなり天教山や地教山 高天原の霊場の姿も如何で及ばむや 神は愛なり光なり。 二 厳の恵はいと深し窺ふよしも荒波の 千尋の海も如かざらめ夕日輝く十和田湖の 水にも勝り深きかな神は愛なり光なり。 三 瑞の恵はいと広し空打ち仰ぐ青雲の 棚曳くかぎり白雲の降居むかふす果までも 限りあらしの真砂地に三五の月の澄み渡る 蒙古の野にも弥勝る霊の海の広きかな 神は愛なり光なり。 第五八 一 此世に生とし生けるもの挙りて迎へ奉れ 三千年の昔より待ちに待ちたる更生主 厳の御霊は現れましぬ瑞の御霊は現れましぬ 五六七の御世は近づきぬ。 二 堅く鎖せる鉄の厳の扉を打ち開き 擒となりし罪人を放ちて許す更生主 厳の御霊は現れましぬ瑞の御霊は現れましぬ 五六七の御代は近づきぬ。 三 天と地との常世行く常夜の闇を打ち開き 照させ給ふ御光と厳の御霊は現れましぬ 瑞の御霊は現れましぬ五六七の御世は近づきぬ。 四 悩み萎れし村肝の心の花を馨らせて 恵の露を垂れ給ふ厳の御霊は現れましぬ 瑞の御霊は現れましぬ五六七の御代は近づきぬ。 五 高天原の主と坐す誠の神の一人子と 現はれたまひし更生主其御功績を信徒等 賞めよ称へよ真心に賞めよ称へよ真心に 賞めよ称へよ神の御子を。 第五九 一 勇み喜べ人の子よ命の神は現れましぬ 闇に鎖せし胸の戸を神の御声に打開き 迎へ奉れよ瑞御霊神は愛なり力なり。 二 神の恵の御光は天地四方に充ち足らふ 天津神人初めとし蒼生も諸共に 珍の光を謳へかし神は愛なり権威なり。 三 醜曲神に呪はれし暗き国にも皇神の 恵の光充ちぬれば茨も生えず曲もなく 幸あれと祝ひ玉ふ神は愛なり権威なり。 四 神が表に現れて善と悪とを立て別ける 此世を造りし神直日心も広き大直日 唯何事も人の世は神の御胸に任しつつ われも人も共に赤心を捧げて仕へまつるべし 神は愛なり権威なり。 第六〇 一 暗世を照す朝日子の光は清く昇りけり 罪に迷へる人々よ来りて仰げ御光を 愛の御徳に充てる更生主輝き玉へり現世に 悩める人よ逸早く集ひ来りて御恵の 露の御玉を浴びよかし。 二 智慧と権威に充ちたまふ命の主は現れませり 虐げられし人々よ集まり来りてひたすらに 平安と栄光と歓喜を下したまへと願ぎまつれ 五六七の神代も近づきて霊の国より瑞御霊 天津国より厳御霊世界十字に踏み鳴らし 豊葦原の中津国其の真秀良場に照り玉ふ あゝ惟神々々神の御心有難き。 三 憂きを慰め浄めます瑞の御霊は現れましぬ 悩み苦しむ人々は来りて珍の御前に 心の丈を告げまつれ生命を賜ふ神の御子 鳩の如くに下りましぬ罪と汚れに死せし人 来りて生きよ神の前。 四 現世幽世諸共に生かさせ給ふ瑞御霊 綾の聖地に下りましぬ貴き卑きの隔てなく 老も若きもおしなべて来りて祝へ神の徳。 五 天と地とを統べたまふ大国常立大御神 光となりて現れましぬ蒼生は云ふも更 山河草木一時に動みて謳ふ神の御代 あゝ惟神々々恩頼ぞ尊けれ。 第六一 一 神々達は栄えませ大地は安く穏かに 蒼生の身魂には幸あれかしと謳ひます 御使達の称へ言御歌を聞きて諸人よ 共に喜び謳ひつつ再び此世に現れましし 命の主を称へかし。 二 世を久方の神代より定めたまひし時来り 救ひの御手を伸べたまひ天津御座を立ち給ひ 八重棚雲を掻分けて綾の高天に下りまし いとも卑しき賤の女の身魂に宿りたまひつつ 世人の中に交こりて厳の御霊の御柱と 現れます教の教祖神称へ奉れよ信徒よ。 三 厳の御霊は東雲の御空を照して昇ります 朝日の如く輝きて厳の光を世に放ち 暗き浮世を照しつつ地より生れし人の子に 尽きぬ生命を与へむと国常立の命もて 現はれましし神柱称へ奉れよ信徒よ 元津国なる神国に生れあひたる人々よ。 (大正一二・五・二旧三・一七加藤明子録)
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霊界物語 61_子_讃美歌1 07 神地 第七章神地〔一五五七〕 第六二 一 天津御空に集ひます神の使よ詳細に 洽く世人に伝へませ珍の聖地に逸早く 来りて拝めよ厳御魂瑞の御魂の御柱をと。 二 教を伝ふる神司身もたなしらに励みて 空より来る清めの神の声を畏み逸早く 厳の御魂や瑞御魂下りましたる綾の園 来りて拝めよ清めの主を。 三 形の上に囚はれし学びの司よ逸早く 綾の聖地にあれ給ふ此上なく尊き御光を 尋ね来りて大稜威崇め奉れよ厳御魂 瑞の御魂の清めの主を。 四 神の御霊を宿したる翁嫗よ逸早く 綾の御そのに上り来て清めの主の御前に 心の限り告げ奉れ汝等を浄めむ其為に 天より降りし瑞御魂五六七の神の御前に。 五 寄辺渚の捨小舟とりつく島もなく斗り 憂ひに沈む人々よ綾の聖地に上り来て 清めの主を伏し拝み身魂を清く明けく 鍛へ奉れよ神の前五六七の神は天降りまし 恵みの御手を伸べさせて汝が身魂を救ふべし あゝ惟神々々神の御稜威ぞ尊けれ。 第六三 一 天津使の宣る歌は御空を渡り地に響く 神の一人子と現れませる瑞の御魂は御空より 地上に降り給ひぬと。 二 更生主は降りて世の為に賤の御舟となり給ひ 宝座となりて現世の穢れし人の身魂をば 珍の宮居となし給ふ。 三 高き低きも押並べて神の御子なる厳御魂 清めの主を祝ひませ望みの光の天地に 充てる東の月光を称へ奉れよ人の子よ。 四 厳の御魂よ瑞御魂吾等を清むる神柱 御側に近く吾魂を住まはせ給へ現身の 生命の更生主よ永遠に吾等と共にましませよ。 第六四 一 三千年あまる古に初めて天より降りまし 御代を守りし厳御魂瑞の御魂の訪れを あかして茲に千万の妙なる歌となりにけり。 二 世を艮に隠れたる厳の御魂の表はれて 三千世界の梅の花薫る常磐の春は来ぬ 二度天の岩屋戸を開きて暗夜を照します その神業を祝ぎて今千万の称へ歌 いとも清けくなりにけり。 三 老も若きも皆歌へ恵の日光は春の如 長閑に天地に輝きて冬の夜半さへ春景色 変りし五六七の神の世を祝ひて百千の歌成れり。 四 八十路の坂を越え乍ら罪の重荷を負ひたまひ 世人を清め助けむと国常立の命もて 現はれ給ひし厳御魂その御恵を称へむと 百千万の歌成れり。 第六五 一 青人草に御恵の露をば降らせ荒金の 土には平安を来しつつ神には御栄光あれかしと 謳ふも清き神の御子天津使の涼しげに 謳ふ御声は春霞遥かに更行く夜の耳に いと賑しく響きけり。 二 瑞の御魂の更生主数多の使と諸共に つかれし此世を守らむと綾の高天に降りまし 騒ぎ悲しむ都路や苦しみ悩む鄙にさへ 慰め与ふる言霊の栄光の歌を宣り給ふ。 三 罪の重荷を背負ひつつ浮世の旅路に行き悩む いとも憐れな人の子よ頭をもたげて大空に 輝き渡る喜びの光を謳ふ神人の いと楽しげな御声をば聞きて安けく憩へかし。 四 天津御国の御使の清けき歌に地の上は 平安と栄光と歓喜の雨は頻りに降り来る 代々の聖者のあこがれて待ちに待ちたる神国に 五六七の神を仰ぎ見て清めの主と称へつつ 普く此世に住める民声を揃へて御恵の 広き厚きを謳はなむ。 第六六 一 心の限り身のかぎり天津御神や国津神 拝み奉り吾魂を清め助くる瑞御魂 功績を称へて勇みたつ。 二 卑しき此身も捨てまさず御使人となし玉ひ 堅磐常磐の御末まで恩頼を幸ひて 恵ませ玉ふ嬉しさよ。 三 神の御名はいと清くその神業は畏けれ 世々に絶えせぬ慈愛真心こめて朝夕に 伊仕ひ奉る人こそは宇豆の恵を受くるなり。 四 憂瀬に落ちて悩みたる孱弱き人を救ひ上げ 高天原の神国に進ませ給ふ有難さ 心驕れる曲神を言向和し雲霧も 朝の御霧と打払ひ守らせ給ふ尊さよ。 五 此世を照す神の子の御裔を永久に省みて 五十鈴の川の流れをば忘れ玉はず永久に 洗はせ玉ふ瑞御魂その功績ぞ尊けれ。 第六七 一 御空に清く澄渡り響くは何の調ぞや 天津使の寄り合ひて神の稜威の妙なるを 歌ひ舞ひつつ叫ぶ声。 二 世の大本を造らしし誠一つの皇神に 御栄えあれとすがしくも合ひたる歌の声清し。 三 神の恵みの訪れは高天原は言ふも更 豊葦原のはてまでも神のまにまに響き行く。 四 瑞の御魂の更生主天津御神の御言もて 地上に生れ給ひけり島の八十島八十の国 至らぬ隈なく住む人は清く迎へて御栄光の 誠の更生主と仰ぐべしあゝ惟神々々 五六七の御代ぞ有難き。 第六八 一 厳の御魂の清め主天より降り玉ひけり 求ぎてや行かむ綾の里清き御声を聞かむため。 二 賤が伏屋に生れましし教御祖の厳御魂 直日の主の神代は誠の神の御柱ぞ 仰ぎ敬へ百人よ。 三 天にまします皇神に御栄光あれと歌ひつる 天津使の声すなり此地の上に住む人も 皆押並べて御光を賞め称へつつ村肝の 心の玉を研くべしいや永久の御言葉は 今更めて降りけり五六七の御代の来る日を 待ち佗びゐたりし諸人よ己が御幸を祝ふべし。 第六九 一 御空に閃めく千万の伊都の星光眺むれば 神の御威稜を永遠に謳ひ奉れど罪人の 清めの頼りと仰ぎてし光は高き花明山の 御空に輝く三つの星。 二 黒白も分かぬ暗の夜に嵐は烈しく吹き猛り 荒れに荒れたる海原に漂ふ舟は危くも 今や沈むと死を待ちし悲しき時に只一つ 望みとなりしは花明山の空に輝く三つの星。 三 嵐を残し暗を後に見捨てて船路恙なく 神の港に来りけり今より夜な夜な畏れ謹みて 御空を仰ぎ手を拍ちて称へ謳はむ花明山の 空に輝く三つの星。 第七〇 一 野山の草木も花咲く春を焦れて楽しく眠りつつ 木枯荒ぶ冬の夜の悩みも知らぬ神心 天と地とに隈もなく望みは充ちて月の神 瑞の御魂の御誓ひのなる日を静かに待ち暮す 人こそ実にも尊けれ。 二 雨と露との霑ひに百の草木も茂るなり 草木によりて諸々の生きたるものは皆育つ 己の命を捨ててこそ始めて愛の御業をば 詳細に委曲に遂ぐるなり。 三 元津御祖の皇神も背きし御子を憐れみて 瑞の御魂の珍の子に千座の置戸を負はせつつ 世人の為に御空より降し玉へる有難さ 限りも知らぬ皇神の恵みの露の畏さを 如何にうつさむ術もなし。 四 天津御空に御使の輝く群を伏し拝め 涼しく響く琴の音にいとも清けく耳すませ 妙なる神の御歌に寄りて御国と此世界 日月の調は整ひぬ。 五 背きし仇を弥深く慈みます瑞御魂 此世の清めの御柱と貴の聖地に現れましぬ いざ人々よ身も魂も捧げて今宵の御恵を 心の限り祝へかし。 六 天地も清き今宵こそ昔の神代ぞ偲ばるる 島の八十島八十の国神の御国と変り行く 五六七の末の代偲ぶ時喜び溢れて歌となりぬ。 第七一 一 東の空に輝ける星をしるべに道遠く たづね来りし識者が救ひの御子に会ひし如 今も吾等を御前に導き玉へと願ぎまつる。 二 喜び胸に充ち溢れ天津御神の一人子を 馬槽に近づき拝みたる人の如くに吾々も 瑞の御魂の更生主仰がせ玉へと願ぎ奉る。 三 竜の宮居の皇神の授け玉ひし玉手筥 開きし如く大前に礼代通して吾宝 一つも残さず大前にいたさせ玉へと願ぎ奉る。 四 狭き野道も嶮しき坂も踏みあやまらで草枕 旅路終らば望月のしるべを頼らむ神国に 入らしめ玉へと願ぎ奉る。 五 天津御国を永遠に照す光は現世の 目に見る月日に非ずして永遠の栄光の御神なり 神の御子と生れたる吾等は朝夕潔く 神の称への御声を歌はせ玉へと祈ぎ奉る。 (大正一二・五・二旧三・一七北村隆光録)
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霊界物語 61_子_讃美歌1 23 神暉 第二三章神暉〔一五七三〕 第二二二 一 黄昏れて家路を遠く迷ふ時 行く手を照す厳の大神。 二 御恵の稜威の光に暗の夜も いと明けくなりにけるかな。 三 人足の行く手の暗を具に 照し玉はば進み行かなむ。 四 吾弱き足を守りて山阪を いと安らけく渡らせ玉へ。 五 定めなき世にさすらひて死の影の 襲ひ来るを恐れ戦く。 六 皇神の恵の光なかりせば 常世の暗を如何に渡らむ。 七 皇神は野にも山にも永遠の 光を投げて恵み玉ひぬ。 八 古ゆ厳の力を隠しつつ 五六七の御代を待ち玉ひけり。 九 永久の世の曙となりぬれば 身の亡び行く人もありけり。 一〇 麻柱の道の友垣寄り集ひ 笑み栄えつつ神を迎ふる。 第二二三 一 弥広き智慧と力の充ち玉ふ 神の言葉に仇言はなし。 二 いと弱き神の僕も日に月に 厳の力を受けて栄ゆる。 三 塵の世に住む人の子は神事に 愚なるこそ歎かりけり。 四 麻柱の教の光の輝きて 愚なる世を照して洗ふ 五 足曳の山より高き御恵を はかり知るべき術もなきかな。 六 和田津見の底よりも深き神の智慧を 暗き吾身の如何で知るべき。 七 悩む時喜ぶ時も押並べて 神の恵を夢な忘れそ。 八 御恵の雨に潤ふ人の身は 飢うる事なく渇く事なし。 九 友垣や家族親族は離るとも 神の恵は永久にはなれず。 一〇 人の親の愛と恵は限りあり 限りなきこそ神の御恵。 第二二四 一 月夜見の神の御手にひかれつつ 浮世を渡る身こそ嬉しき。 二 木枯の吹き荒びたる冬の夜も 恵の神は倶にまします。 三 吾身魂いと懇に導きて 神の神園に遊ばせ玉ふ。 四 行きなやむ嶮しき山も谷底も 神としあれば安く過ぎまし。 五 死の川の荒波いかで恐れむや 御神は吾と倶にありせば。 第二二五 一 夜の守り日の御守りと月と日の 恵の神は世をば導く。 二 荒波の伊猛り狂ふ波の上も 瑞の御魂の恵たふとし。 三 荒波は虎の如くに咆え猛り 迫り来るともいかで恐れむ。 四 神吾と倶にいまさば曲津霊も 醜の大蛇もさやる事なし。 五 春の日の花咲き匂ふ元津国へ 伴ひ玉へ瑞の大神。 第二二六 一 揺ぎなき神の言葉は麻柱の 清めの道の基なりけり。 二 御言葉に頼る身魂はスクスクと 常世の暗も安く渡らむ。 三 我神は吾身を愛し親しみて 夜昼もなく守らせ玉ふ。 四 御恵の珍の御手こそいや強し 吾身に添ひて離れまさねば。 五 苦しみの川深くともためらはず 進みて行かむ神のまにまに。 六 喜びの彼方の岸に渡らひの 神は吾等と倶にありけり。 七 吾身魂研かせ玉ふ御心の 火は燃えたちぬ彼方此方に。 八 瑞御魂貴の守護のある上は 火も焼くを得じ水も浸さじ。 九 霜雪の頭に積る老の身も 神の恵にあたためられつつ。 一〇 変りなき神の恵にある吾は いと安らけく栄え行くべし。 第二二七 一 荒野原道にさまよふ吾魂を 照させたまへ厳の大神。 二 瑞の御魂恵の露を下しつつ 暗きに迷ふ魂を潤す。 三 人の身の力となりて夜昼の 区別もなしに守る我救主。 四 いと安く由良川の波を越え 珍の聖地に上らせ玉へ。 五 永久に尽きぬ流れは皇神の 恵の露の溢れしならむ。 第二二八 一 罪深き吾現身も魂も 神の清めによりて安けし。 二 世の中の業を営む折々に 降らせ玉ふ神の御恵。 三 悲しみの雨しきりなる夕にも いと安らけし神の懐は。 四 親と子と遠く離れて住むとても いと安らけし神の教へ子。 五 陸奥の深山の奥に住むとても 神としあれば心安けし。 六 仮令身は朽ち果つるとも魂は 常世の春に安く住むべし。 七 瑞御魂情の御手にすがりつき 安き御国に進む嬉しさ。 第二二九 一 世は亡び身はいつしかに朽つるとも 何か恐れむ神とありせば。 二 許々多久の罪の清めを得しと聞く 瑞の御魂の御声尊し。 三 身体も時も宝も皆神の 物とし聞けば捧げまつらむ。 四 身体は萎みて朽ちて失するとも 生命の国に甦り行く。 五 永久に歓喜溢れ御栄光の 尽きぬは神の御国なりけり。 六 厳御魂あれます神の花園に 立ち寄る人ぞ珍の御子なり。 第二三〇 一 御恵のもとに集まる人の子は いかなる業も安く遂げなむ。 二 緑なす牧場に吾を休ましめ 上らせ給へ夜なき国へ。 三 亡び行く吾魂を呼び返し 光の道に導き玉ふ。 四 死して後醜の谷間を行くとても いかで恐れむ神とありせば。 五 御教の恵あふるる蓆には 醜の曲霊も集ふ術なし。 六 永久の神の御国にある限り 身の幸の尽くる事なし。 第二三一 一 高天原に永久に鎮まりゐます大御神 月日の御魂を降しまし世人の胸を照さむと 厳の言霊宣り伝へ弥永久に人草の 魂を守りて故郷に帰らせ給ふ御仕組 仰ぐも畏し麻柱の教柱の大御神。 二 誠一つの麻柱の教の道よ永久の 生命の綱よと仰ぎつつ厳の御霊や瑞御霊 宣らせ給へる言霊を朝な夕なに畏みて 守る身魂は御光の輝き亘る故郷に 安く楽しく帰るべし仰ぎ喜べ神の徳。 三 命の主とあれませる瑞の御霊の月の神 神の僕と朝夕に勇み仕ふる人の身を 守らせ給ひ災に歎き悲しむ折々も 尽きぬ希望を与へまし身魂を立たしめ給へかし。 四 無限絶対無始無終宇宙の主とあれませる 大国常立大御神その分身と現はれし 厳と瑞との神御霊弥永久の生命をば 神の御子なる人草に与へ給ひし尊さよ 吾等は神の子神の宮いかなる災来るとも 大御心とあきらめて只一歩も退かず 御神の為に進むべし守らせ給へ惟神 御幸を祈り奉る。 (大正一二・五・九旧三・二四北村隆光録)
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霊界物語 62_丑_讃美歌2 22 神樹 第二二章神樹〔一五九七〕 第四六二 一 葦原の瑞穂の国のことごとは 天津御神の御許に仕ふ。 二 天地のすべてを造り玉ひたる 神の御前に山河寄り来む。 三 山河も皇大神の大前に より来仕ふる御代ぞ尊き。 四 言の葉も胸の思ひもよろこびも みな皇神のめぐみし賜もの。 五 大前に地のことごと集まりて みいづ称へむ日は近づきぬ。 六 石の上ふるき神代の初めより 神の御国とえらまれし大和。 七 神の民とえりぬかれたる国人の さすらひの夢も今は醒めけり。 八 葦原の中津御国に降ります 教への主を仰ぎつつ待つ。 九 よろこびを胸にたたへて皇神の いづの救ひをまつの代のたみ。 一〇 わが魂よ貴の教によみがへり 雲より来る神にならへよ。 第四六三 一 限りなき教の神の御恵みを 心にとめて夢な忘れそ。 二 いたづきの身もやすかれと朝夕に わが皇神はわづらひたまふ。 三 ほろびゆく生命を救ひ愛の雨を そそがせ玉ふ瑞の大神。 四 ゆたかなる恵の雨の降りそそぎて 怒のちりを清めさせたまひぬ。 五 とこしへに怒らせたまふ事もなく せむることなき瑞の大神。 六 人の罪を数へたまはず憎みまさず 只愛のみを御身となしたまふ。 七 天津空の高きがごとく皇神の みいづはスメール山も及ばじ。 八 東西分るるごとくわが罪を 遠ざけたまふ仁愛の大神。 九 始めなく終りも知らに栄えませ すべてを造り守る大神。 第四六四 一 千引岩動かぬ主の御恵を 力となして進む嬉しさ。 二 喜びの声を揃へて皇神の あれます都を讃め称へかし。 三 天地の総ての神を統べ玉ふ 誠の神は厳の大神。 四 足曳の山の頂き海の底も 皆皇神の御手にありけり。 五 海陸を造り玉ひし皇神の 御子と生れし人は神なり。 六 跪きてわが身生ましし元津祖を 綾の高天原に伏し拝むかな。 七 村肝の心の清き供物 受けさせ玉へ元津大神。 八 地の限りその大前に畏みて いと美しく称へまつれよ。 九 正しきと誠をもちて諸々の 民を審かせ玉ふ時来ぬ。 一〇 元津御祖厳と瑞との二柱の 御稜威常磐にあれと祈りつ。 第四六五 一 神国には御栄光あれや地の上は 平穏あれよ恵みあれかし。 二 皇神を讃めつ称へつ拝みつ 御栄光仰ぎて御稜威を崇む。 三 天にます大国常立大神は 総てのものの誠の祖なり。 四 祖神は瑞の御霊の瑞の子を 下して世をば救はせ玉ふ。 五 世の罪をわが身一つに引受けし 瑞の御霊の恵み畏し。 六 穢れたるわが魂を洗へかし 瑞の御霊の教の主よ。 七 皇神の右にまします瑞御霊 わが祈りをも受けさせ玉へ。 八 いと清く尊き瑞の神霊 厳の御霊は世を生かしますも。 九 厳御霊瑞の御霊は祖神の 栄光の中にいや栄え玉ふ。 第四六六 一 神路山五十鈴の川の水上に 世を照します神はましけり。 二 暗き世を照さむ為に厳御霊 教祖の宮に下りましけり。 三 更生主の魂に宿りて天地の 奇き誠を諭し玉へり。 四 攻め来る醜の仇さへ憎まずに 言向和す瑞の大神。 五 遠津祖世々の祖等に仕へよと 教へ玉ひぬ瑞の御霊は。 六 世を照す油の教主はあれましぬ 古き誓ひを証しせむため。 七 御教の聖き義しき言の葉に 仕ふる身こそ楽しかりけり。 八 精霊を充たし玉ひて更生主に 天降りし国の常立の神。 九 老の身を賤が伏屋に横たへて 明き尊き道を宣べけり。 一〇 皇神の深き恵に罪人を 救はむとして下りましけり。 一一 御恵の珍の光は死の影と 暗き身魂を照しましけり。 一二 わが足を安き大道に導かむと 輝き玉ふ厳の大神。 第四六七 一 わが心厳の御霊を崇つつ 喜び祝ふ更生の神を。 二 元津神厳の御霊の御教を 伝へ玉へる更生の御神。 三 瑞御霊万代までもわが魂を 真幸くあれと守りますかも。 四 御力に富ませ玉へる厳の神は わが身を尊きものとなしませり。 五 名は清く恵の深き皇神を 畏るるものは世々恵まれむ。 六 村肝の心驕れる枉人の 曲を散らして救はせ玉ふ。 七 高山の伊保里[※「伊保里」の「里」は他の箇所では「理」だがここでは「里」になっている。]を分けて谷に下し いやしきものを上らせ玉ふ。 八 飢渇く人をば飽かせ富めるものも 許させ玉ふ日は近づけり。 九 神孫と其御裔をば限りなく 憐れみ玉ふ元津大神。 一〇 遠津祖に誓ひ玉ひし言の葉を 現し玉ふ時は来にけり。 一一 古の神の誓ひを詳細に 証させ玉ふ瑞の大神。 第四六八 一 新しき御歌を神の大前に 向ひて歌へ声も涼しく。 二 神津代の奇き尊き物語 中に交はる厳の御歌を。 三 御救ひを知らせ正しき理を 世の悉に示させ玉ふ。 四 瑞御霊現れまして五十鈴の 家を堅磐に守らせ玉ふ。 五 地のはても神の救ひを得たりけり 聞けよ諸人神の言葉を。 六 琴の音と歌の声もて皇神を 崇めまつれよ上にある人。 七 海も山も皆諸共に鳴り動み やがては神の御代となるべし。 八 瑞御霊神の御前に手を拍てば 山川共に声挙げて答へむ。 九 地の上の総てのものは大前に 戦き畏み仕ふる御代かな。 一〇 地の上の総ての民を審かむと 下り玉ひぬ神の言葉に。 第四六九 一 節分の夜に退はれし我神の 再び現れます時は来にけり。 二 邪心と悪徳を捨てて愛善の 誠の種子を地の上に蒔け。 三 瑞御霊東の空に甦り 雲に乗りつつ来る日近し。 四 罪に死し神に生きたる瑞御霊 今は此世の柱なりけり。 五 至聖なる旧の都に雲の如 降らせ玉ふ時は来にけり。 六 時満ちて救ひの神は元津国に 甦りましぬ来りて崇めよ。 七 瑞御霊五六七のもとに寄り集ふ 誠の人に生命賜はむ。 第四七〇 一 三柱の御前に向ひて喜びの 声を上げつつ謡ひ舞へかし。 二 わが身魂生ませ玉ひて懇に 哺育みたまふ元津祖神。 三 身体も霊魂も神のものならば 只御心に任すのみなり。 四 綾錦厳の御門に寄り来り 讃めよ称へよ厳の御前に。 五 千早振る神代は愚か万代の 末も守らす元津大神。 第四七一 一 惟神御霊幸ひましませと 三柱神の御前に祈る。 二 スメールの山は何処と打仰ぐ わが目に映る紫の雲。 三 わが魂を助け守らす皇神は 三柱神の外なかりけり。 四 わが持てる五官の機関あるうちに 祈れよ称へよ勤しみ仕へよ。 五 葦原の地の悉を守ります 神は夜昼眠り玉はず。 六 人は只神の守りを受くるより 外に栄光の道こそ無けれ。 七 夜の守り日の守りと月日の神は 光り恵みを与へ玉ひぬ。 八 諸々の醜の災打払ひ わが魂を守らせ玉ふ。 九 皇神は永久までも汝が身の 出づると入るとを守り玉はむ。 (大正一二・五・一四旧三・二九隆光録)
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霊界物語 62_丑_讃美歌2 23 神導 第二三章神導〔一五九八〕 第四七二 一 身体と霊魂までに祖神は 要るべきものを与へ玉ひぬ。 二 花薫る野辺に遊ばせ息休む 汀に清く住まはせ玉ふ。 三 わが魂を生かし尊き御名の故に 正しき道に導き給ふ。 四 皇神は恵みの笞杖をもて 弱き身魂を立たせ給ひぬ。 五 御恵みの露の溢るる盃は わが魂を潤し給ふ。 六 御恵みの花咲く綾の花園に 集ふ身魂ぞ楽しかりけり。 第四七三 一 皇神の定め給ひし大神教を 守らせ給へ朝な夕なに。 二 皇神は言葉の儘にわが魂を 導き給ふ珍の宮居に。 三 清まりし眼に映る神姿は 東雲の空仰ぐ如くなり。 四 外国の人の身魂も照します 神の光を崇めまつれよ。 五 皇神の選み給ひし至聖地は 広き御恵の泉なりけり。 六 大前に捧ぐる百の種子物も 皆皇神の造らししもの。 七 さり乍ら吾等の清き真心を 受けさせ給へいと平かに。 第四七四 一 御恵みの清き御顔をわが上に 照させ給へ幸はひ給へ。 二 大道は普し地のはしばしに 救ひの教を知らさむ為に。 三 朝夕に感謝祈願の太祝詞 宣る氏の子を恵ませ給へ。 四 皇神の現れまして善悪を 審き給はむ時は来にけり。 五 地裂けて宝現れ埋もれし 御玉は清く高く栄えむ。 六 山川もよりて仕ふる神の代に 生れ出でたる人の幸かも。 第四七五 一 瑞御霊現はれ給ふ時来れば 荒野に沙漠に川も流れむ。 二 潤ひを知らぬ国土も御功績に 清き清水の源と変らむ。 三 山犬の棲処も神の代とならば よしあし茂る沼と変らむ。 四 丹波の山の奥にも皇神の 聖き大道は開かれにけり。 五 穢れたる人は聖地に入るを得ず 迷ひの雲の晴れやらぬ間は。 六 さり乍ら恵みの神は穢れをも 憐れみ給ひ濺がせ給ふ。 七 攻め寄せし獅子も来らず鬼大蛇 再び襲ふ事もあるまじ。 八 醜虎の爪磨ぎすまし後より 不意に抱へぬ瑞の御霊を。 九 枉ものも瑞の御霊に清められ 姿を変へて仰ぎけるかな。 一〇 道の辺に深く穿ちし陥穽に 倒れむとして起き上りけり。 一一 皇神の厳の御守りある上は 醜の枉津も襲ふ術なし。 一二 勝鬨の声を揃へて神のます 珍の都へ帰る日勇まし。 一三 歌ひつつ栄光の雲に打乗りて 永久の栄光の聖地に帰る。 一四 悲しみも嘆きも後を隠しけり 獄舎の中も神の栄光に。 一五 元津神厳の御霊や瑞御霊 救ひの主に御栄光あれや。 第四七六 一 天津国の珍の都を地の上に うつし給ひし大本大神。 二 天になる日毎の糧を地の上に 恵み給ひぬ綾の高天原に。 三 われに罪を負はせしものを赦す如く 赦させ給へ世人の罪を。 四 試練に遭はせ給はずわが魂を 悪より救ひ出させ給へ。 五 神の国の御稜威御栄光御権力は 堅磐常磐に神のものなれ。 第四七七 あゝ吾は天地の造り主、全智全能の誠の御祖神大国常立之大神を信ず。その聖き美はしき大御霊より現はれ給ふ厳の御霊、瑞の御霊の二柱、聖霊に導かれて綾の高天原に降らせ給ひ、現世のあらゆる苦患を受け、厳の御霊は奥津城に隠れ給ひ、稚姫君の御霊と共に天津国に上りまし、地の上の総てを憐み恵ませ給ひ、又瑞の御霊は千座の置戸を負ひて黄泉に下り、百二十日あまり六日の間虐げられ、再び甦りて綾の高天原に上り、無限絶対無始無終の皇大御神の大御恵を伝へ、又生ける人と死れる人の霊を清めむが為めに、神の御使として勤み給ふ瑞の御霊の神柱を信ず。又吾は大神の聖霊に充たされたる精霊の変性男子変性女子の肉の宮に下り、教の場と信徒の為に限りなき歓喜と栄光と生命を与へ給ふ事を固く信ず。惟神霊幸倍坐世。 第四七八 一 天津神大国常立之大神の 外に誠の神ありと思はじ。 二 目に見えぬ神を誠の神として 敬ひまつれ諸々の民。 三 徒に神の御名をば称へまじ 穢れ果てたる言霊をもて。 四 清き日は総ての業を休らひて 神を斎きて歌へ舞へかし。 五 地の上の汝の生命の永かれと 父と母との神を敬へ。 六 よしもなき事に生物殺すなよ 皆天地の身霊なりせば。 七 徒に白日床組なす勿れ 神の御業の勤め忘れて。 八 目を偸み宝を盗み日を窃む 人こそ神の罪人と知れ。 九 詐りの証を立ててわが罪を 隣の人に夢なきせまじ。 一〇 仁愛の心忘れて世の人の 総ての業の妨げなすな。 第四七九 一 小雲の川を波枕百の妨げ艱みをも 直日に見直し宣り直し何の憚る処なく 暗路を照らす神の代の奇き尊き物語 言霊車転ぶまに水の流るる音を聞き いと安らかに述べて行く。 二 神のかかりて物されし瑞の言霊聞く人は なやみも罪も速川の波に埋めて曇りなき 光の神の御恵に照らされ乍ら正道を 神と諸共歩むべし。 三 厳の御霊の御言もて述べ初めたる神の物語 穢れ果てたる現世を尊き清き神の代に 立直さむと朝夕に百の司の妨げも 心にかけずスクスクと川瀬の波の淀みなく 神のまにまに述べて行く。 四 高天原に現れし皇大神の御栄光の 冠を頂き勇み立ち白き衣をまとひつつ 瑞の聖霊に充たされて天津御神の歌ふ声に 節を合せて述べて行く此物語拡ごりて 堅磐常磐に栄え行く神の仕組ぞ尊けれ。 第四八〇 一 朝な夕なに積りてし数多の罪科穢れをば 棄てて高天原に参上り心の色も新しく 咲き匂ひたるわが身魂厳の御霊や瑞御霊 聖き尊き御名により昔の神のふまれたる 御跡を慕ひ詳細にその経緯を述べて行く あゝ惟神々々恩頼をたまへかし。 二 八十の枉津の醜魂に穢され果てし烏羽玉の 黒き汚き身体は潮の八百路の八潮路の 千尋の海の藻屑とし恵み普き皇神の 御跡を踏み分け奉り根底の国や中有界 神の御国の有様をいと細々と述べて行く 奇き霊界物語開かせ給へ四方の国。 三 瑞の御霊の救ひより天津御国に上りなば いと新しき神の世に御霊を受けて甦り 浸染なく傷なき日本魂赤き血潮の道筋を 只一条に歩み行くあゝ惟神々々 恩頼ぞ尊けれ。 第四八一 一 和知川の流れに罪を流し捨て 新しき神の御園に進む。 二 御園には宣伝使数多集りて 天津御国の教を伝ふる。 三 古びたるわが身を洗ひ清めつつ 生かせ給ひぬ新しき命に。 四 現界の今日を終りと思ひなして 甦りてむ神の大道に。 五 身を殺す罪の中をば浮び出でて 命の汀に今は立ちぬる。 六 現界の夢は水泡と消え果てて 行かむ花咲き匂ふ神国に。 (大正一二・五・一四旧三・二九隆光録)
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霊界物語 63_寅_伊太彦の物語 序歌 序歌 此世を救ふマイトレーヤボーヂーサトーヴ現はれて ウヅンバラチャンドラの体を藉りシブカ(苦聖諦)サムダヤ(集聖諦) ニローダ(滅聖諦)マールガ(道聖諦)苦集滅道四聖諦 完美に審細に道説し無明の世界を照波して マハー・ラシミブラバーサマハーヸユーバ(弘大)に開かむと スーラヤ、チヤンドラ世に降しスメール(須弥)山に腰をかけ ジヤムブドヸーバ(全世界)を守らむと アクシヨーバヤ[※校定版はここに括弧書きで「(阿閦如来)」という言葉を挿入している。フリガナは付いていないが一般に「あしゅくにょらい」と読む。]の天使を前後左右に侍らせつ 現はれたまひし尊さよ神が表面に現はれて チャンドラスーラヤヸマラブラバーサ スリー[※校定版はここに括弧書きで「(日月浄明徳仏)」という言葉を挿入している。]、サルヷサトーヴブリヤダルシヤナ[※校定版はここに括弧書きで「(一切衆生喜見菩薩)」という言葉を挿入している。] 完全無欠の神国といと平けく安らけく 治めたまふぞ有難き仰げば高し神の国 大日の下のエルサレム豊葦原の真秀良場と 定め給ひて厳御魂国常立の大御神 豊国主の大御神三五の月日と現れまして 再び清き神の代をこの地の上に建設し 天の下なる神人が暗き御魂を照しつつ 黄金世界を樹て給ふその神業を一身に 担任したる瑞御魂神素盞嗚の大神の 御命畏み伊苑館清く仕ふる宣伝使 マハーカーシヤバ亀彦やヤシヨーダラーの音彦や クンヅルボーヂーサツトワ梅彦がマンジユシリボーヂーサツトワ岩彦と 黄金姫のスヴアラナ神の司や清照姫の スヴルナブラバーシヤ初稚姫と相共に 梵天王のブラフマンサハームバテー祀りて醜の御教を 四方に流布する魔の頭カビラマハールシの大黒主を 言向け和し天界の大荘厳や光明を 斯の土の上に築かむと苦集滅道の荒浪を しのぎて進む物語竜の宮居に現はれて 神の使のウヅンバラチヤンドラ爰に謹みて 世人のために述べ伝ふアヽ惟神々々 御霊幸はへ坐しませよ。 大正十二年五月二十九日旧四月十四日
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霊界物語 63_寅_伊太彦の物語 01 玉の露 第一章玉の露〔一六〇八〕 天地万有悉く霊力体の三元を 与へて創造なし給ひ各其所を得せしめし 国の御祖の大御神国常立の大神は 大国治立大神の貴の御言を畏みて 大海原の中心地黄金山下にあれまして 天地百の生物をいと安らけく平けく 守らせ給ひ厳かに珍の掟を定めまし 神と人との踏みて行く道を立てさせ給ひしが 日は行き月たち星移り世はくれ竹のおひおひに 天足の彦や胞場姫の醜の身霊ゆなり出でし 八岐大蛇や醜神のいやなき業に畏くも 珍の聖地を後にして神の仕組と云ひ乍ら 大海中に浮びたる自転倒島にかくれまし 国武彦と名を変へて此世を忍び曙の 日の出の御代を待ち給ひ女神とあれし瑞御霊 豊国姫の大神は夫神の命のなやみをば 居ながら見るに忍びずと豊葦原の中津国 メソポタミヤの山奥に永く御身を忍びまし 五六七の御代を待ち給ふ大国常立大神は 厳の御霊と現はれて四方久方の天盛留向津媛 御稜威も殊に大日婁女貴女神となりて諾冊の 二神の間に生れまし豊国姫の大神は 神素盞嗚の大神と現はれ給ひ天地を おのもおのもに持ち分けて守らせ給ふ折もあれ 魔神の猛り強くして岩の根木根立百草の 片葉も言向ひ騒ぎ立て豊葦原の瑞穂国 再び常世の暗となり神素盞嗚の大神は この惨状を如何にして鎮めむものと村肝の 御心千々に砕かせつ朝な夕なに憂ひまし 山河草木枯れ果てて修羅の巷となりにけり 父とあれます伊邪那岐の皇大神は大空ゆ 下らせ給ひて素盞嗚の珍の御子に打向ひ 憂ひ歎かすその理由を尋ね給へば瑞御霊 完全に詳細に世の状を語らせ給ひ我は今 母のまします月の国罷らむものと思ひ立ち この世の名残に泣くなりと答へ給へば父の神 いたく怒らせ給ひつつ胸に涙を湛へまし 大海原を知食す権威なければ汝が尊 根底の国に至れよといと厳かに宣り給ふ 千万無量の悲しみを胸に湛へて父神は 日の若宮にかへりまし神素盞嗚の大神は 姉大神とあれませる厳の御霊の大日婁女 天照神の御前に此の世の名残を告げむとて 上らせ給へば山河は一度に動み地は揺り 八十の枉津の叫ぶ声天にまします大神の 御許に高く響きけり天照します大神は 此有様をみそなはし弟神の来ませるは 必ず汚き心もて吾神国を奪はむと 攻め寄せたるに間違ひなし備へせよやと八百万 神を集へて剣太刀弓矢を飾り堅庭に 弓腹振り立て雄猛びし待ち問ひ給へば素盞嗚の 瑞の御霊の大神は言葉静に答へらく 我は汚き心なし父大神の御言以て 母の御国に行かむとすいとも親しき我姉に 只一言の暇乞ひ告げむが為に上りしと 云はせも果てず姉神はいと厳かに宣らすやう 汝の心の清きこと今この場にて証せむ 云ひつつ弟素盞嗚の神の佩かせる御剣を 御手に執らせつ安河を中に隔てて誓約ます この神業に素盞嗚の神の尊は瑞御霊 清明無垢の御精神いと明かになりにけり 神素盞嗚の大神は姉のまかせる美須麻琉の 玉を御手に受取りて天の真名井に振り濺ぎ 奴那止母母由良に取由良し狭嚼みに咬て吹き棄つる 伊吹の狭霧に五御魂現はれませしぞ畏けれ 姉大神の御心は初めて疑ひ晴れぬれど 天津神等国津神容易に心治まらず 高天原は忽ちにいと騒がしくなりければ 姉大神は驚きて天の岩戸の奥深く 御姿かくし給ひけり六合忽ち暗黒と なりて悪神横行し大蛇曲霊のおとなひは 狭蠅の如く充ち沸きぬここに神々寄り集ひ 岩戸の前に音楽を奏でまつりて太祝詞 宣らせ給へば大神は再び此世にあれまして 六合ここに明け渡り栄光の御代となり初めぬ 斯くもかしこき騒ぎをば始めし神の罪科を 神素盞嗚の大神に千座の置戸を負はせつつ 高天原より神退ひ退ひ給ひし歎てさよ 天地一時は明けくいと穏かに治まりし 如く表面は見えつれど豊葦原の国々は 魔神の健び猛くして再び修羅の八巷と なり変りたる惨状を見るに忍びず瑞御霊 国武彦と相共に三五教を開きまし 深山の奥の時鳥八千八声の血を絞り この土の上に安らけき五六七の御代を建設し 八岐大蛇や醜神を生言霊に言向けて 姉の御神に奉り世の災を除かむと コーカス山やウブスナの山の尾の上に神館 見立て給ひて御教を開き給ひし尊さよ 八岐大蛇の分霊かかりて此世を乱し行く ハルナの都の悪神を先づ第一に言向けて 此世の枉を払はむと心も清き宣伝使 数多派遣し給ひしが瑞の御霊の御娘 五十子の姫の夫とます玉国別の音彦に 心の空も真純彦教を伝ふる三千彦や 伊太彦司を添へ玉ひハルナの都に遣はして 神の恵を人草の身魂に照らし給はむと 任け給ひしぞ尊けれ。 ○ 玉国別の宣伝使三人の司と諸共に 河鹿峠を打渡り懐谷の山猿に 苦しみ乍ら神力に守られ祠の神の森 とどまり病を養ひつ珍の宮居を建て終り 祝詞の声も勇ましく御前を立ちて山河を 渡り漸くテルモンの館に入りてデビス姫 親と妹との危難をば救ひて神の御名を挙げ デビスの姫を三千彦の妻と定めてテルモンの 湖水を渡り種々の珍の神業なし遂げて アヅモス山のバーチルが館に立ち寄りアヅモスの 山に隠れしタクシャカの竜王始め妻神の サーガラ竜王救ひつつ夜光の玉や如意宝珠 竜王の手より受取りて真澄の空の夏の道 草鞋に足をすり乍ら伊太彦デビス四柱の 御供と共にエルサレム聖地を指して進み行く 日も黄昏れて道の辺の祠の前に立寄れば 思ひも寄らぬ法螺の貝鬼春別の治道居士 比丘の司に廻り会ひここに一行六人は スダルマ山の山麓を右に眺めて辿りつつ 声も涼しき宣伝歌四辺の山河轟かし 空気を清めて進み行く。 (大正一二・五・一八旧四・三於竜宮館北村隆光録)
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霊界物語 63_寅_伊太彦の物語 04 山上訓 第四章山上訓〔一六一一〕 玉国別の一行はスダルマ山の麓にて 伊太彦徒弟に立別れ焦つく如き炎天の 音の名高き急坂を汗をたらたら絞りつつ 迦陵嚬伽の鳴く声に慰められつ登り行く 見渡す限り野も山も緑彩どる夏景色 眺めも飽かず頂上に黄昏ちかき夕の空 漸く辿りつきにけり。 真純『お蔭によつて此急坂を漸く無事に登つて参りました。今夜は月を枕に草の褥、蒼空の蒲団を被つて安けき夢を結びませう。天空快濶一点の暗雲もなく、星は稀に月の光は吾等一行を照らし守らせたまふ有難さ愉快さ、旅をすればこそ、こんな結構な恵の露に霑ふ事が出来るのですなア』 三千『本当に愉快だ。スダルマ山の峠の頂上に月の光を浴びて寝ると云ふ事は、実に爽快の気分に漂はされる。四方の山野は宏く遠く展開し、西南方に当つてスーラヤの湖は鏡の如く月に輝き恰も天国のやうだなア。先生是からは下り阪、今晩は此処で寝む事に致しませうか』 玉国『本当に有難い事だ。此処で一夜の雨宿り、恵の露を浴びて霊肉共に天国に進まう。併し乍ら先づ第一に吾々の務めを果し、神様に感謝の言葉を奏上し、それから悠りと話でも交換して華胥の国に入らうぢやないか』 三千『さう願へば実に有難いです』 と茲に一同は声も高らかに、スダルマ山の谷々の木魂を響かせ天津祝詞を奏上し、終つて蓮の実を懐より出し夜食にかへ四方八方の話に時を移し、且つ歌など詠んで楽しんで居る。 玉国別『大空に輝く月も安々と 傾きたまへば軈て明けなむ。 此景色天津御国か楽園か 何に譬へむ術もなければ』 真純彦『スダルマの山の尾上に来て見れば いよいよ高き月の輝く。 真澄空星はまばらに輝けど 月のみ独り世を知し召す』 三千彦『大空に星はみちけり三五の 月の光も天地にみちぬ。 みちみちし神の御稜威を只一人 頂きにけり三千彦の胸に。 さりながら天津御空に照り渡る 玉国別の恵忘れじ』 治道『三五の神の司と諸共に 伊都のみやこに行くぞ楽しき。 村肝の心に宿る曲神も 逃げ散りにけり月の光に』 デビス姫『師の君の御跡慕ひて背の君と 漸く登りぬ恋の山路を。 見渡せば吾故郷は霞みけり テルモン山の雪のみ見えて』 治道『ベル、バット軍の司は今いづこ 早や泥棒となり果てし彼』 三千彦『吾が寝ねし隙を窺ひ抜足に 近よりバット首を掻かなむ。 心して今宵一夜は眠るべし ベルとバットの曲のありせば』 玉国別『ベル、バット如何に力は強くとも 吾には神の守りありけり。 身の外の仇に心を焦すより 吾身の中の仇を恐れよ』 デビス姫『皇神と吾師の君の在す上は 何か恐れむ露の夜の宿も』 真純彦『いざ来れベルもバットも曲津見も 生言霊に服へて見む。 大空に輝く月の影見れば 吾心根の恥かしくなりぬ』 斯く互に歌ひ終り、蓑を敷き雑談に耽つた。 治道『拙者の部下に使つて居たベル、バット其外の連中が軍隊を放れて猛悪な泥坊となり、四方に放浪して数多の人間を苦しめるのを思へば、早や私は立ても居ても居られないやうな苦しい思ひが致します。どうしても人間は境遇に左右せらるるものと見えますなア。吾々は自分の罪は申すも更なり、部下一同の罪を贖ふために将軍職を廃し、治国別様の御教によりて三五教の教の子となり、比丘となりてビクトル山に根拠を構へ同僚三人と共に交る交る天下を遍歴して居ますが、思へば思へば神様に対し恥かしい事です。かう云ふ部下が出来たのも全く私の罪で厶います』 と述懐を述べ、吐息をついて涙に沈む。玉国別は気の毒さに堪へやらぬ面持にて言葉静かに、 『治道居士様、必ず御心配なさいますな。現在親子の間でも、体は生んでも魂は生みつけぬと云ふ譬が厶います。決して貴方の罪では厶いませぬ。其人々の心の垢によつて種々と迷ふのですよ。吾々人間の精神といふものは、いつも健全なものでは無い。時々一時的の変調異常が起るものでこの異常には五つの型があるやうです。 先づ 第一は利欲に迷ふた時だ。利欲に迷ふた時は誰人も冷静な判断と周密な考慮を失ひ易いものだから、利を以て釣らるる事が多いものだ。たとへば他人の物品を預かつて居るやうな場合にフト「是が自分のもので在つたらなア」と云ふやうな心が浮ぶと、責任観念などが無くなり、それを自分が使つた場合の状態などに眩惑されて自分のものに為たり、また平生から欲しい欲しいと思つて居るものが眼の前にあると前後を考へる暇がなくなつて万引をしたりするやうに成る、これは言ふまでも無く副守先生の発動で、利益のために理智を塞がれ健全なる働きをせないといふ事に原因するものです。 第二の型は、強い強い刺戟に接した時だ。単純な蔭口位ゐ聞いても心を乱さない様な人間でも、面と向つて手酷しく痛罵されると、吾身を忘れて予期しなかつた行為をしたり、また普通の異性に対しては普通の態度が保たれ得る人間が、美しく化粧した異性の誘惑的な嬌態に接すると日頃の平静を破られやすいと云ふ様に同じ刺戟でもその程度によつて精神に異常な影響を与へる事がある。無論是等はその人間の先天的性質や後天的教養によつて程度の差が在ることは云ふまでもないが、副守先生の活動に原因する事が最も多いのである。又異常なる強烈な刺戟が人間の精神を異常ならしむると云ふ事は間違ひの無い事実だ。 第三の型は、焦心したり狼狽した時に起る精神の状態だ。こんな時には精神の活動が安静を欠いで居るので精神的の作業にしても、又肉体的の作業にしても過失や失敗を招き易いものだ。少々許りの失策を隠さうと為たために却て、その失策を大きくしたり、又少々の損失に狼狽した結果、大損失を招くやうな事をした事実は、能く世にあることだ。こんな時には副守先生の最も煩悶を続けて居た際である。 第四の型は、失意の時と得意の時だ。失意の時には精神の能率が減退して因循になり、消極的になつて努力を厭ふやうな傾きになり、得意の時には其反対に精神の能率が増進して快活になり、積極的になつて努力を惜まぬやうになるものです。従つて事業の成功と身体の健康慰安のある時と無い時、名誉を得た時と恥を受けた時とは其精神に及ぼす影響は全く正反対だ。そして精神が極端に沮喪した時は余り消極的になる結果、次第々々に社会生活の敗残者となり、極端に精神を発揚した時は積極に進み過ぎた結果、実力以上に仕事をするやうに成つて冒険的や独断的に走るやうに成るものだ。これも副守先生の活動の結果と云つても良い位なものです。 第五は迷信に陥つた時に起る精神状態だ。不健全なる信仰を持て居る人間は其他の方面の事物に就ては普通の判断を誤ることが無いにも拘らず、信仰の方面になると著しい誤解を来たすものです。従つてそれが難病治癒に関する場合であつても又利欲に関して居る場合であつても、冷静な判断や、前後の考へも廻らす余裕がなくなつて遂に、幼者を誘拐したり、死体を発掘したり、或は七夕の夕に七軒の家から物を盗む様になるのです。以上の外に婦人が妊娠、月経などの生理的原因に基いて、一時的に精神に異常を来すことは言ふまでも無いことです。それだから凡ての人間は狂人の未製品だ予備品だ、と言つたのだ。伊都の教祖や美都の教主而己が突発性狂人では無い。本正副守護神さまの容器たる人間は実に不可思議なものです』 治道『有難う御座います。貴師の御説に由つて拙者も漸く安心致しました。人間と云ふものは実に困つたものですなア』 三千『治道様、貴方も先生のお説で御安心なさつたでせう。私も一寸得心致しました。併し乍ら突張の無い蒼雲の天井の下に寝るのですから、何時頭の上に月が落ちて来て目を醒ますか、ベル、バットがやつて来て、玉を取るか分りますまいが、そこは惟神にまかして寝みませうか。比丘さまは経が大事、拙者は明日が大事だ』 治道『アハヽヽヽ。然らば御免蒙つて寝みませう』 茲に一同はスダルマ山の峠の頂上に、河も無きに白河夜船を漕いで眠つて仕舞つた。一塊の黒雲天の一方に起るよと見るまに忽ち満天に急速力をもつて拡がり、今迄皎々と照り輝いて居た月も星も皆呑んで仕舞つた。かかる所へ峠をスタスタと登つて来た二人の覆面頭巾の男があつた。此男は云ふ迄もなく、ベル、バットの泥棒である。二人は鼾の声を聞きつけ小声になつて、 ベル『オイ、バット、何だか暗がりに、フゴフゴと云つたり、粥を炊くやうにグツグツグツグツと云ふやつがあるぢやないか、こんな所に畚売りも登つて来る筈もなし、お粥を炊く婆も居る道理が無い。一体何だらうな、余りバットせぬぢやないか』 バット『これや、ベル、大きな声でシヤーベルない、バットせないのが俺達の豊年だ。此奴はどうしても人間の鼾だよ。一つそつと枕探しでもやつてボロつたらどうだ。こんなよい機会は又とあるまいぞ』 ベル『枕探しと云つても、こんな山の上に枕をして寝て居る奴も無いぢやないか、探さうと云つても真暗で一寸先も分りやしない。どうしたらよからうかなア』 バット『真暗の中を探すからまつくら探しだ、暗がりに仕事が出来ないやうな泥棒が何になるかい』 治道居士は横になつた儘一目も寝ず、玉国別一行の保護の任に当つて居た。夫故ベル、バットの囁き声を残らず聞いて居る。そんな事とは知らぬ両人は声低に尚も囁きを続けて居る。 バット『オイ、鬼治別将軍も、随分耄碌したものぢやないか。あれだけ権要な地位を放り出して身窄しい比丘となり、昨夜も昨夜とて祠の森に寝て居たぢやないか。いい馬鹿だなア。大方彼奴は発狂したのかも知れないねえ』 ベル『そんな事は云ふだけ野暮だよ。喇叭を法螺貝にかへ三千の部下を棄て、只一人墨染の衣を身に纒ひ殊勝らしく乞食に廻ると云ふのだから大抵極つて居るわ。あいつは治国別と云ふ極道宣伝使に霊をぬかれ、呆けて仕舞つたのだよ』 治道居士は一つ喝かしてやろうと、法螺貝を口に当て、ブウブウと吹き立てた。寝耳に水の法螺の声に二人は驚きドスンと其場に尻餅をつき慄い戦いて居る。治道居士は闇の中から細い作り声をしながら、 『諸行無常是生滅法、生滅滅已寂滅為楽』 と称へてみた。 バット『オイ、ベル彼奴は法螺の化者だ、俺達にわざをしようと思うてあんな事を吐きやがる。一つ此方にも武器があるのぢやから対抗せなくてはなるまい。かう云ふ時には悪事災難除けに大自在天大国彦命様のお助けを蒙るために陀羅尼を称へるに限つて居る』 ベル『泥棒が陀羅尼を称へても神様は聞いて呉れるだらうかなア』 バット『きまつた事だ。是から俺が化物に対抗して見るつもりだ。 イテイメーイテイメーイテイメー イテイメーイテイメーニメー ニメーニメーニメー ニメールヘールヘー ルヘールヘースッヘー スッヘースッヘースッヘー スッヘースヷーハー』 ベル『そりや何と云ふことだい。妙なことを吐くぢやないか。痛いわい痛いわい痛いわいなアんて』 バット『これは陀羅尼品の文言だ。是を義訳すれば、「是に於て斯に於て爾に於て氏に於て極甚に我無く吾無く身も無く所無し倶に同じくす己に興し己に生じ己に成じ而して住し而して立ち亦住す嗟嘆亦非ず消頭大疾加害を得る無し」と謂つて有難い御経だ。大病にも罹らず一切の難を受けないと云ふ呪文だ。今の比丘比丘尼どもは、「いでいび、いでいびん、いでいび、あでいび、いでいび、でび、でび、でび、でび、でび、ろけい、ろけい、ろけい、ろけい、たけい、たけい、たけい、とけい、とけい」と囀つて居るのだ。恰度油蝉が樹上に鳴いて居る様に聞こえるから、サンスクリットで唱えたのだ。アハヽヽヽ』 附記註解 陀羅尼品 経語義訳梵語 伊提履(於是)イテイメー 伊提泯(於斯)イテイメー 伊提履(於爾)イテイメー 阿提履(於氏)イテイメー 伊提履(極甚)イテイメー 泥履(無我)ニメー 泥履(無吾)ニメー 泥履(無身)ニメー 泥履(無所)ニメー 泥履(倶同)ニメー 楼醘(己興)ルヘー 楼醘(己生)ルヘー 楼醘(己成)ルヘー 楼醘(而住)ルヘー 多醘(而立)スッヘー 多醘(亦住)スッヘー 多醘(嗟嘆)スッヘー 兜醘(亦非)スッヘー №兜(消頭大疾無得加害)スッヘースヷハー ○ 法螺貝の声は益々高くなつて来る。玉国別外一同は直に夢を破られバットが称ふる陀羅尼の声を興味をもつて聞いて居た。治道居士頓に大きな声で、 『拙者は月の国ハルナの都に名も高き、バラモン教の神司、大黒主の神の幕下、鬼春別将軍のなれの果、今は三五教の信者治道居士と申す比丘であるぞよ。汝ベル、バットの両人早く心を入れ替へ、神の正道につけ』 と厳かに呼ばはれば、二人何となく其言霊に打たれて、『ハイ』と僅かに云つたきり其場に跼んで仕舞つた。黒雲の帳をやぶつて大空の月はパツと覗かせたまふた。一同の姿は昼の如く見えて来た。 治道『黒雲に包まれたまひし月影も 誠の光あらはしたまひぬ。 ベルバット心の雲を押し除けて 玉の光を研き照らせよ』 と詠みかけた。二人は恐る恐る慄ひ声にて、 バット『村肝の心の闇を照らすため 神の恵の燈火ともさむ。 今迄の深き罪咎赦せかし 元津御霊にかへる吾身を』 ベル『盗みする心は露もなけれども 醜の鬼奴に使はれけるかな。 鬼春別軍の君の御前に 拝む吾を赦させたまへ。 三五の清き教の神司 吾を許せよ神のまにまに』 治道『村肝の心の暗の晴れぬれば その身も明かく清まりぬべし』 玉国別『ベル、バット二人の男子に言告げむ 神は誠の恵なるぞや』 バット『有難し司の君の御言葉に 胸は晴れけり心澄みけり。 吾心バット明るくなりにけり 神の教の燈火に遇ひて』 ベル『大空の月に心を照らされて 心恥かしくなりにけるかな。 今迄は醜の曲霊にさやられて 黒白も分かず踏み迷ひけり』 治道『大空に輝く月の御姿を 心となして世を渡れかし』 三千彦『スダルマの山の尾上に仮寝して 今日はうれしき夢を見しかな』 真純彦『村肝の心の空は真純彦 かかるくもなき今宵の嬉しさ』 デビス姫『あら尊月の恵の輝きて 二人の御子の蘇生りぬる』 斯く話す所へ天空に嚠喨たる音楽聞え、月を笠に被りながら一行が前に雲押し分けて悠々と下りたまうた大神人がある。玉国別一同はこの神姿を見るより忽ち大地に平伏し感涙に咽んで居る。この神人は月の御国の大神に在しまして産土山の神館に跡を垂れたまひし、三千世界の救世主、神素盞嗚の大神であつた。大神は一同の前に四柱の従神と共に輝きたまひ、声も涼しく神訓を垂れたまうた。一同は拝跪して感謝の涙に暮れながら一言も漏らさじと謹聴して居た。 神素盞嗚の大神が山上の神訓 一、無限絶対無始無終に坐しまして霊力体の大元霊と現はれたまふ真の神は只一柱在す而已。之を真の神又は宇宙の主神と云ふ。 汝等、この大神を真の父となし母と為して敬愛し奉るべし。天之御中主大神と奉称し、又大国常立大神と奉称す。 一、厳の御霊日の大神、瑞の御魂月の大神は、主の神即ち大国常立大神の神霊の御顕現にして、高天原の天国にては日の大神と顕はれ給ひ、高天原の霊国にては月の大神と顕はれ給ふ。 一、愛善の徳に住するものは天国に昇り、信真の光徳に住するものは霊国に昇るものぞ。 一、此外天津神八百万坐しませども、皆天使と知るべし。真の神は大国常立大神、又の名は天照皇大神、只一柱坐します而己ぞ。 一、国津神八百万坐しませども皆現界に於ける宣伝使や正しき誠の司と知るべし。 一、真の神は、天之御中主大神只一柱のみ。故に幽の幽と称え奉る。 一、真の神の変現したまひし神を、幽の顕と称へ奉る、天国に於ける日の大神、霊国に於ける月の大神は何れも幽の顕神なり。 一、一旦人の肉体を保ちて霊界に入り給ひし神を顕の幽と称え奉る。大国主之大神及び諸々の天使及び天人の類を云ふ。 一、顕界に肉体を保ちて、神の大道を伝え、又現界諸種の事業を司宰する人間を称して顕の顕神と称へ奉る。 而して真に敬愛し尊敬し依信すべき根本の大神は幽の幽に坐します一柱の大神而已。其他の八百万の神々は、主神の命に依りて各その神務を分掌し給ふものぞ。 一、愛善の徳に住し信真の光に住し、神を愛し神を信じ神の為に尽すものは天界の住民となり、悪と虚偽とに浸りて魂を曇らすものは地獄に自ら堕落するものぞ。 斯く宣り終へたまひて以前の従神を率ゐて紫の雲に乗り大空高く月と共に昇らせたまふた。 玉国別『素盞嗚の瑞の御霊の御恵に 教の泉湧き出でにけり。 昔よりためしも聞かぬ御教を 居ながらに聞く事の尊さ』 治道『水火の中をかい潜り求ぎて往くべき道芝の 恵の露に濡れながらスダルマ山の頂上に 聞くも嬉しき御教あゝ惟神々々 神の恵を赤心に留めて感謝し奉る』 三千彦『大空ゆ瑞の御霊の下りまして 生命の清水与へたまひぬ』 デビス『夜の露うけて寝らう身の上に 注がせたまひし恵の御露』 真純彦『大空の雲押し分けて輝きつ 真澄の水の教を賜ひぬ』 治道『あら尊誠の神の御姿に 謁見まつりし吾ぞ嬉しき』 ベル『村肝の心の闇の晴れ往きて 誠の神の光に遇ひぬ』 バット『限りなき神の恵を悟りけり 悔改めて正道に入らむ』 茲にベル、バットの両人は心の底より悔改め、玉国別一行に従ひて聖地エルサレムを指して進む事となつた。あゝ惟神霊幸倍坐世。 (大正一二・五・一八旧四・三於教主殿二階加藤明子録)
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霊界物語 63_寅_伊太彦の物語 22 蚯蚓の声 第二二章蚯蚓の声〔一六二九〕 大き正しき癸の亥年卯月の十四日 新に建ちし天声社二階の一間に立て籠もり 口述台に横臥して遠き神世の物語 弥六十三巻の夢物語述べてゆく 御空は清く地青く垂柳は粛然と 戦ぎもしない夕間暮三五教の宣伝使 玉国別の一行が斎苑の館を立ち出て 諸の悩みに遇ひ乍らスーラヤ山に鎮まれる ナーガラシャーの瑞宝を教の御子の伊太彦に 受け取らせつつ海原を漸く越えてエル港 茲に一行恙なく無事な顔をば合せつつ 前途の光明楽しみて聖地に向うて出でむとす 神の司の初稚姫が木花姫の勅もて 百千万の宣言を宣らせたまへば三千彦も また伊太彦も謹みて妹の命と立ち別れ 各自々々に唯一人聖地を指して進み往く 道に起りし物語いと細々と述べてゆく。 ○ 豊葦原の中津国大日の下の聖場と 遠き神代の昔より定まり居ますエルサレム 珍の聖地に名も高き黄金山に現れませる 野立の彦や野立姫御霊の変化在して 埴安彦や埴安姫と世に現はれて三五の 珍の教を垂れたまふ其大御旨を畏みて 神素盞嗚の大神は島の八十島八十の国 由緒の深き霊場に教の園を開きまし 数多の司を教養し仁慈無限の御教を 開かせたまふ尊さよバラモン教を守護する 八岐大蛇や醜鬼の醜の御霊を言向けて 汚れ果てたる地の上を神の御国に立て直し 妬み嫉や恨みなき誠一つの神の代を 作らむために千万の艱みを恐れず遠近と 玉の御身を砕きつつ励ませたまふ尊さよ 旭は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも 仮令大地は沈むとも三五教の御教は 幾万劫の末迄も宇宙と共に変らまじ あゝ惟神々々神の御稜威の有難き。 ○ 若葉も戦ぐ神の園梅は梢に青々と 頭を並べて泰平のミロクの御代を謡ひつつ 池に泛べる魚族は恵の露を湛へたる 金竜池に悠々と曇りし世界を知らず気に いとたのもしく遊び居る月は御空に皎々と 輝きたまひ神苑を隈なく照らし給へども 木下の闇に潜むなる曲の猛びは未だ絶えず 神に体も魂も供へきつたる瑞月は 体の筋や骨までもメキメキメキと痛めつつ 闇に迷へる世の人を救はむ為に朝夕に 心を千々に砕けども知る人稀な今の世は 救はむよしも荒浪に漂ふ船の如くなり あゝ惟神々々御霊幸倍ましませよ。 ○ 朝な夕なに身を砕き教御祖の残されし 生ける教を委曲に説き諭さむと朝夕に 神の御前に太祝詞清き願を掛け巻も 畏き瑞の御心を知らぬ信徒多くして 夏の若葉の木下闇騒ぎ廻るぞうたてけれ。 ○ 和知の河水淙々と弥永久に御恵の 露を湛へて流るれど瑞の御霊にヨルダンの 清き清水を汲む人ぞいとも稀なる今の世は 清き尊き皇神の教を軽んじ疎みつつ 日頃の主張も打ち忘れいろいろ雑多と口実を 設けて逃げ出すうたてさよ皇大神の御教に 高天原の大本は三千世界を天国に 渡す世界の大橋と教へられたる言の葉を 空吹く風と聞き流し大橋越えてまだ先へ 行方も知らぬ醜霊の身の行先ぞ憐れなり 皇大神の試練に遇ひて漸く眼さめ 悔い改めてかへるとも白米に籾の混るごと 何とはなしに疎ましく初の如くなきままに 又もや醜の曲津霊は高天原の大本は 必要の時は大切に扱ひ旨く使ひつつ 一人歩みが出来だせば素知らぬ顔の半兵衛を 極めこむ所とそしりつつ泡吹き熱吹き末遂に あてども知らぬ法螺を吹き煙の如く消えて往く 誠の足らぬ偽信者神の教を現界の 皆法則にあて箝めて真理ぢや非真理ぢや不合理と 愚痴を唱ふる可笑しさよ何程知識の秀でたる 物識人も目に見えぬ神の世界の有様や 全智全能の大神の御心如何で解るべき 慢心するのも程がある唯何事も人の世は 皇大神の御心に任せて進めば怪我はなし あゝ惟神々々御霊の恩頼を願ぎまつる。 ○ 科学を基礎とせなくては神の存在経綸を 承認せないと鼻高が下らぬ屁理窟並べ立て 己が愚をも知らずして世界に於ける覚者ぞと 構へ居るこそをかしけれ学びの家に通ひつめ 机の上にて習ひたる畑水練生兵法 実地に間に合ふ筈がない口や筆には何事も いとあざやかに示すとも肝腎要の行ひが 出来ねば恰も水の泡夢か現か幻の 境遇に迷ふ亡者なり肉の眼は開けども 心の眼暗くして一も二もなく智慧学を 唯一の武器と飾りつつ進むみ霊ぞ憐れなり。 ○ 山河草木三つの巻弥々茲に述べ終る 又瑞月が出鱈目を吐くと蔭口叩くもの 彼方此方に出るであらう著述の苦労の味知らぬ 文盲学者や仇人の如何で悟らむ此苦労 如何に天地の神々が吾身を助けたまふとも 神より受けし魂の意志と想念光らねば 唯一言の口述も安くなし得るものでない 神の苦労も白浪の上に漂ふ浮草の 心定めぬ人々の囁きこそはうたてけれ 世界に著者は多くとも一日に数万の言の葉を 口述筆記するものは開闢以来例なし 作りし文の巧拙を云々するは未だしもと 許しもなるが一概にこの瑞月が物好に 下らぬ屁理窟並べ立て心に積りし欝憤を 神によそへて歌ふなぞ分らぬ事を云ふ人が 神の教の中にあるかかる汚き人々は 吾身の欲に絆されて表面に神を伏し拝み 棚から牡丹餅おち来る時節を待つよなやり方ぞ 世の立替や立直し今ぢや早ぢやと書くなれば 耳を聳て目を丸め口尖らして読むだらう そんな事のみ一心に待ち暮すのは曲津神 世の禍を待つものぞ大慈大悲の大神は 世界に何事無きやうと朝な夕なに御心を 配らせたまひ大本の教御祖は朝夕に 世界の難儀を救はむと赤心こめて祈りましぬ 其御心も知らずして世界の大望待ち暮す 人は大蛇か曲鬼か譬方なき者ぞかし あゝ惟神々々神の御前に平伏して 此聖場に寄り集ふ信徒達の魂に まことの光を与へつつ耳をば清め目を照らし 天の瓊鉾を爽かに研かせたまひて言霊の 御稜威を四方に輝すべく守らせたまへと朝夕に 体の骨を痛めつつ一心不乱に願ぎまつる あゝ惟神々々大国常立大御神 豊国姫の大御神天津御空に永久に 鎮まりたまふ日の御神月の御神の御前に 世の有様を歎きつつ密かに一人願ぎまつる あゝ惟神々々御霊幸倍ましませよ。 (大正一二・五・二九旧四・一四於天声社加藤明子録) (昭和一〇・六・一六王仁校正)
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霊界物語 64_下_卯エルサレム物語2 16 誤辛折 第一六章誤辛折〔一八二二〕 トルコ亭の細い路地の衝き当りに、お寅が設立しておいた五六七の霊城には、トンク、テクの両人が、お寅と共に、三人首を鳩めて、ヒソビソと話に耽つて居る。 お寅『コレ、トンクさま、一体あの守宮別さまとあやめのお花は、どこへ行つたのか、お前どうしても分らぬのかい』 トンク『ハイ、丸で煙のやうな、魔者のやうなお方ですもの、サーッパリ、見当がつきませぬがな。併し噂に聞けば、お花さまは守宮別さまと、夫婦約束をしられたとかいふ話ですよ。一昨日の晩或人から十字街頭で其話を聞きましたので、早速報告しようと思ひましたが、生宮様の御病中、お気をもませましては……と実は控えてをりました』 お寅は顔色を変へ、 お寅『ナニ、二人が結婚した。ソラ本当かいな、ヨモヤ本当ぢやあるまい』 トンク『イエイエ、実際の事云やア、貴方が、何でせう。二人よつて、何でせう。守宮別とお花さまと手を曳いてやつて来る所を、ペツタリ出会し、肚立紛れに卒倒なさつたのぢやありませぬか。噂で聞いたと云ふのは実はお正月言葉で、実際、私も睦まじ相にして歩いてる所を目撃したのですもの。なア、テク、さうだつたな』 テク『ウンさうともさうとも、あの時生宮さまがクワアッと逆上して、暈を遊ばし、大地に転倒されたぢやないか、警察医がやつて来る、群集は山の如くに出てくるし、もうエライ乱痴気騒ぎで、やつとの事生宮さまの気がつき、三台の俥で、生宮さまの警護をし乍ら、此処へ帰つて来たのですワ』 お寅『なる程、さう聞くと、夢のやうにボーッと記憶に浮んで来るやうだ。ハテナ、コンナ大問題を今迄スツカリ忘れて居たのかいな』 トンク『そらさうです共、エライ発熱でしたよ。昨日迄ウサ言計り仰有つて、吾々二人はどれ丈介抱したか知れやしませぬワ』 お寅『いかにも、憎い憎いあやめのお花奴、十年が間、懇篤な教育をうけ乍ら、師匠の私に揚壺をくはし、おまけに人の男を横領して出て行くとは、犬畜生にも劣つた代物だ。これが此儘見逃しておけるものか。仮令両人天を駆けり地をくぐる共、此生宮が命のあらむ限り、岩をわつても捜し出し、生首かかねがおくものか……』 と面色朱をそそぎ、握り拳を固めて、二つ三つ自分の胸をうち乍ら、又もやパタリと倒れ伏しけり。 トンク『オイ、テク何うせうかな。しまひにや気違ひになつて了やしまいかな』 テク『サ、さうだから、守宮別、お花の事はいふないふなと俺が注意するのに、トンク汝が軽はずみな事を言ふから、コンナ事になつたのだよ。男の口の軽いのも困るぢやないか』 トンク『それだと言つて、いつ迄もかくしてゐる訳にも行かず、モウ余程精神が安定したとみたものだから、一寸云つてみたのだよ。俺だつて、コンナになると思や、うつかり喋るのぢやなかつたけれどなア』 テク『兎も角、冷水でも汲んで、頭を冷してやらうぢやないか。コンナ所で死なれて見よ、俺達が殺した様に警察から睨まれたらつまらぬからな』 トンク『一層の事、今の内にトンクトンクテクテクと逃出したら何うだ、到底駄目だらうよ』 テク『馬鹿云ふな。ソンナ事をせうものなら、益々疑はれて了ふよ。一樹の蔭の雨宿り一河の流れを汲んでさへ、深い因縁があるといふぢやないか。仮令三日でも養つて貰つたお寅さまを見捨てて帰れるものか。そんな不義理な事をすると、アラブ一党の面汚しになるぢやないか。絶対服従を以て主義とする回教のピュリタンを以て任ずる吾々が、ソンナ事がどうして出来ようかい。お天道さまが御許し遊ばさないからの』 トンク『そらーあ、さうだ。天道様の御弔ひだ、空葬だ、大いに悪かつた。ヨシ、之からお前と俺と両人が力を併せ心を一にして、此生宮さまの命を助け、天晴全快して貰つて、此霊城を立派に開かうぢやないか。俺ア之から橄欖山へお寅さまの病気祈願の為参つて来るから、お前気をつけて介抱してあげてくれ』 テク『そら、可い所へ気がついた。サ、早く参つて来て呉れ。後は俺が引受けるからな』 トンク『ヨーシ、ソンナラ之からお参りして来うよ』 と云ひ乍ら、夕日を浴びて、橄欖山へと登り行く。山上の祠の前に来て見れば、ブラバーサが一生懸命に何事か祈願をこめてゐる。トンクは傍により、 トンク『もしもし貴方は三五教の宣伝使様ぢや厶いませぬか』 ブラバーサ『ハイ、左様で厶います。貴方はトンクさまぢやありませぬか。何時やらはエライ失礼を致しました』 トンク『イヤもう、御挨拶痛み入ります。全く私が悪かつたので厶いますから、どうぞモウソンナこたア云はないでおいて下さいませ』 ブラバーサ『時にお寅さまは御壮健にゐらつしやいますかな』 トンク『ハイ有難う厶います。実の所は、お寅さまと、お花さま守宮別さまが大喧嘩をせられまして、終局の果にや、守宮別さまはお花さまと一緒に結婚とか何とか云つて、手に手を取つて、面当に霊城を飛び出して了はれたものですから、生宮さまの御立腹と云つたら、夫れは夫れは言語に絶する有様で厶いました。そこへ受付にをつたヤクの奴、生宮さまの気のもめてる最中へ毒舌を揮つたものですから、生宮様がクワツとなり、ヤクを叩きつけようと遊ばした其刹那、ヤクの奴、庭箒をひつかたげて飛出し、途中で生宮さまの御面体を泥箒で擲りつけたり、いろいろ雑多の侮辱を加へたものですから、疳の強い生宮様はたうとう逆上して了ひ、それが元となつて、今では発熱し、ウサ言許り云つてゐられます。こんな塩梅では、生命もどうやら覚束なからうと存じ、テクに介抱させておき、私は此祠へ御祈願に参つた所で厶います。いやモウエライ心配で困りますワイ』 ブラバーサ『話を承れば、実にお気の毒な次第です。コンナ事を聞いて聞逃す訳にも行きませぬから、平常は平常として、私は霊城へ参りませう。そして一時も早く御全快なさる様に御祈願をさして貰ひませう』 トンク『ハイ、そら御親切有難う厶いますが、常平生から、貴方を敵の様に罵つてゐられますから、貴方がお出になつたのをみて、益々逆上し、上も下しもならないやうになつちや却て御親切が無になりますから、何ならお断りが致したいので厶いますワイ』 ブラバーサ『ハヽヽヽ非常な御警戒ですな。併し人間といふ者はさうしたものぢや厶いませぬよ。災難の来た時にや互に助け合ふのが人間の義務ですからな。何程我の強いお寅さまだつて、滅多に私の親切を無になさる道理はありますまい。キツと喜んで下さるでせう。そして之を機会にお寅さまの心を和らげ、同じ日出島から来た人間です。和合の曙光を認めたいと思ひますから、たつて御訪問を致します』 トンク『ヘーエ、誠に以て、お志は有難う厶いますが。併し乍ら私は知りませぬで、どうか生宮さまに、私から病気の次第を聞いた、なんて云つて貰つちや困りますからな。貴方が勝手に御越しになつた事にしておいて頂かねば、後の祟りが面倒ですから』 ブラバーサ『エ、それなら、私は之から霊城を訪問致しますから、トンクさま、貴方はゆつくり御祈願をなし、エヽ加減に時間を見計らつて何くはぬ顔で御帰りなさい。そすりやお寅さまだつて、貴方に小言はありますまいからな』 トンク『あ、さう願へば私も安心です。どうか宜しう頼みませぬワ』 ブラバーサは急いで山を降り、何くはぬ顔して、トルコ亭の細い路地を伝ひ、霊城へ来てみると、テクが甲斐々々しく頭を冷してゐる。 ブラバーサ『ヤ、これはこれは、テクさまで厶いますか。生宮さまは御不例にゐらつしやるのですかな』 テク『ハイ、左様です。そして又お前さまは何の御用で御出になりました。お前さまの顔見ると生宮さまの御機嫌が益々悪くなり、病気が又重くなりますから、トツトと帰つて下され』 ブラバーサ『帰らうと思へば、さう追立てられなくても返りますよ。併し乍ら同国人の病気と聞いて、宣伝使たる私、見逃す訳に行きませぬから…』 と云ひ乍ら、枕許にツカツカとより、熱誠籠めて天の数歌を三唱し、大国常立尊、神素盞嗚尊助け玉へ、許し玉へ…と祈願するや、今迄火の如き発熱に苦しみてゐたお寅は嘘ついた様に熱は去り、忽ち起き上り座布団の上にキチンと行儀よく両手をのせ、 お寅『ハ、これはこれは、何方かと思へば、ブラバーサさまで厶いましたか。ようマ御親切に来て下さいましたね。私も此間からチツと許り風邪の気で臥せつてをりましたが、夜前あたりからスツパリと全快致し、モウ寝てゐるのも何だか辛気臭くて堪らないのですが、日の出さまの御忠告に仍つて、養生の為、ねて居りました。決してお前さまの算盤の声で直つたのぢや厶いませぬから、ヘン、どうか恩に着せて下さいますなや。併し乍ら此霊城へお前さまが御参りさして頂いたのも、ヤツパリ神さまのおかげだよ。此お寅が病気だといふ噂をパーッと立たせておき、お前さまの心を引く為に、此生宮をチツと許り苦しめ遊ばしたのだから、必ず必ず仇に思つちやなりませぬよ。結構な結構な御霊城さまへお前さまが大きな顔で参拝出来たのも此お寅がチツと許り悪かつたおかげだ。神様の御仕組といふものは偉いものだな。サ、之からブラバーサさま、チツと我を折つて日出神の生宮を認めて下さい。いつ迄もいつ迄も変性女子のガラクタ身魂にトチ呆けて居つちやダメですよ。神政成就に近よつた此時節に、何の事ですいな。早く改心して、日の出神の片腕となつて、ウラナイ教を開き、天下万民を塗炭の苦より救つて下さいや』 ブラバーサ『ハイ、又考へておきませう。先づ先づ御病気の御本復と聞いて安心致しました。私一寸用が厶いますので、之から御暇を致します』 お寅『ホヽヽヽ、ヤツパリ心に曇りがあると、此霊城が苦しうて、ゐたたまらぬと見えますワイ。第一霊国の天人のお住居、どうして八衢人足がヌツケリコと居れるものかい、ウツフヽヽヽ』 ブラバーサ『お寅さま、余りぢやありませぬか。どこ迄も貴方は私を敵にする考へですか』 お寅『きまつた事ですよ、三千世界の救世主、底津岩根の大弥勒の生身魂、日出神の生宮を認めない様な妄昧頑固の身魂を何うして愛する事が出来ませうぞ。日の出様が一生懸命に艱難辛苦を遊ばして、立派な立派な、結構な、心易い、暮しよい、みろくの大御代を建てようと遊ばしてるのに、悪魂の変性女子にとぼけて、此世を乱さうと憂身をやつしてゐるお前さまだもの、之位な大きな敵は世界にありませぬぞや。此神は従うて来れば誠に結構な愛のある神なれど、敵対うて来る身魂には鬼か大蛇のやうになる神ざぞえ。お前さまの心一つで楽に立派に御用致さうと、苦しみてもがいて地獄落の悪魔の用を致さうと、心次第で何うでもなるですよ。コンナ事が分らぬやうで、ヘン、宣伝使などと、能う言はれたものですワイ。改心なされ、足元から鳥が立ちますぞや』 ブラバーサ『ハイ、有難う厶います。又後して伺ひますから左様なら』 お寅『ホヽヽヽたうとう、八衢人足奴、生宮さまの御威光に打たれて、ドブにはまつた鼠のやうに、シヨンボリとした、みすぼらしい姿で、尾を股へはさみて逃げよつたぞ。ホヽヽヽ、コラ、テク、ブラバーサなんて偉相に云つてるが、私にかかつたら三文の値打もなからうがな。丸で箒で押へられた蝶々の様に命カラガラ逃げていつたぢやないか、イツヒヽヽヽ』 テク『モシ生宮さま、ヒドイですな、テクも呆れましたよ』 お寅『ひどからうがな。いかなお前でも呆れただらう。耄碌魂のヒョロ小便使めが、あの逃げて行くザマつたらないぢやないか。それだから此生宮の神力を信じなさいといふのだよ』 テク『生宮さま、そら違やしませぬか。今の今迄人事不省に陥つて御座つたのを、ブラバーサさまがお出になり、指頭から五色の霊光を発射して、お前さまの病気を助けて下さつたぢやありませぬか。それに貴方は、昨夜から病気が直つてたナンテ、ようマア嘘が言へたものですな。私は其我慢心の強いお前さまの遣口に呆れた、といふのですよ』 お寅『お黙りなさい。アラブの黒ン坊のクセに神界の御経綸が分つてたまるかいな。ソンナ事いつて、此生宮に敵たふやうな人はトツトと帰つて貰ひませう。アタ気分の悪い。エーエーそこら中がウソウソとして来た。これ、テク、塩をもつてお出で、お前の体に悪魔が憑いてる、之からスツパリと払つて上げるからな』 テク『イヤもう結構です』 といつてる所へ、トンクはドンドンと露路口の細路を威嚇させ乍ら帰り来り、 トンク『ヤア、これはこれは、生宮様、いつの間にさう快くおなりなさいましたか。私は心配致しまして、テクに貴女の介抱を命じおき、エルサレムの宮へ御病気祈願の為に御参拝して来たのです。何と御神徳といふものは、アラ高いものですな』 お寅『それは大きに御親切有難う……とかういつたらお前さまはお気に入るだらうが、ヘン誰がそんな事お前さまに頼みました。大弥勒様の生宮、三千世界の救世主、日出神の生宮さまの肉体の、病気を直すやうな神様がどこにありますか、可い加減に呆けておきなさいや』 トンク『オイ、テク、チツと可怪しいぢやないか、病み呆けて厶るのだらうよ』 テク『マアマア喧しう言ふな、何時迄言つたつて限りがないからな。何と云つても三千世界の救世主様だから、維命、維従うてゐさへすりや可いのだ』 と云ひ乍ら、余り相手になるなといふ意味を目で知らした。お寅は布団を頭からひつかぶり、スヤスヤと眠に就きぬ。 (大正一四・八・二〇旧七・一於丹後由良秋田別荘松村真澄録)
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霊界物語 64_下_卯エルサレム物語2 余白歌 余白歌 いそのかみ古事記は高光る天津日継のしるべなりけり〈序文(初版)〉 ちはやふる神の本宮たづぬれば綾の高天の原にありけり〈序文(初版)〉 大本の神の教の言の葉はすべての人の薬ともなれ〈序文(初版)〉 わたつみの深き恵みを覚りけり棚無し舟に渡る荒海〈総説(初版)〉 かずおほく教はあれど惟神我が大本の教は奇すしも〈総説(初版)〉 たにだにの小川の水も末つひに流れ合して海となりゆく〈第1章(初版)〉 あほ烏夕を告ぐる世の中にあかつきうたふかささぎの声〈第4章(初版)〉 千年経る鶴は枯れたる松ケ枝にすくふ例のなき世なりけり〈第4章(初版)〉 潜竜も時来にければ淵を出でて大空高く登らむとぞする〈第5章(初版)〉 わが庭に陽はさしそめてまがつみの影は次第に消え亡せにけり〈第5章(初版)〉 澄みわたる朝の大空ながむれば真如の太陽暉き渡れり〈第5章(初版)〉 すみきりし朝の太陽は大空に真如の光投げてかがやく〈第6章(初版)〉 瑞みたま月の光をながむれば真如の空に玉をかざれる〈第8章(初版)〉 ねの国へ落ち行く身魂をあはれみて直日の神は現れましにけり〈第10章(初版)〉 なす事も無くて月日を送りなば人と生れし甲斐無かるべし〈第10章(初版)〉 むかしより仏いつきし祖々を神と祭りて厚く仕へむ〈第10章(初版)〉 暁の空を五色にそめながら天津日の神雲路を昇らす〈第14章(初版)〉 神の世は一度に開く梅の花国常立のいづの光に〈第14章(初版)〉 れい学をまなぶは良けれどたましひを洗ひ清めしその上にせよ〈第15章(初版)〉 うろたえて道踏み外しぬかるみへ落るは神に暗き人なり〈第17章(初版)〉 奥山に楓は照れど道なくば鹿より外に知るものも無し〈第17章(初版)〉 奇魂智慧の鏡の明ければ来る世の事も写るなりけり〈第20章(初版)〉 やほよろづ神ある中に常立の神は御国の本つ大神〈第21章(初版)〉 まくらがり迷子ばかりが寄合ひて神の恵を知らずかこつも〈第22章(初版)〉 ふるさとの空打ち仰ぎ思ふかなわが産土のふかき恵みを〈第22章(初版)〉[この余白歌は八幡書店版霊界物語収録の余白歌を参考に他の資料と付き合わせて作成しました]
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霊界物語 65_辰_虎熊山と仙聖郷の物語/七福神 26 七福神 第二六章七福神〔一六八二〕 日の出別命の左右には道彦、安彦の両人が従ひ、初稚姫一行を導いて数百旒の五色の旗を風に翻し乍ら、百花爛漫たるゲッセマネの園にと進み入つた。玉国別一行が竜王の三個の玉を捧持して来りし其功績を賞する為め、特に埴安彦尊の命により歓迎宴が開かれた。ゲッセマネの園には種々の作物や、音楽や演劇が盛んに催されて居た。さうしてコウカス山よりは、言依別命が数多の神司を引き連れ、二三日前に早くも聖地に到着されて居た。 玉国別、真純彦は途中に於て初稚姫に『聖地は結構な所の恐ろしい所だ』と誡められ、筋肉迄緊張させ居たにも拘はらず、この大袈裟の歓迎に肝をつぶし、夢かと許り呆れてゐる。只見るもの、聞くもの意外の事許りで語る事も知らず、無言の儘初稚姫の後について進んで往く。日出別の神は俄作りの建物をさし示し、 日の出別『サア皆様、貴方方の御苦労を慰める為め、神様の思召によつて、種々の余興が催されて居ます。これから此建造物に於て、七福神宝の入船と云ふお芝居が初まりますから、悠悠気をゆるして御覧下さいませ』 玉国別は案に相違しながら、 玉国『いや、どうしてどうして、そんな気楽な事が出来ませうか。真純彦に持たせた此宝玉を、無事神様にお渡しする迄は、芝居所では厶いませぬ。是ばかりは平にお恕し下さいませ。うつかりして九分九厘で顛覆しては大変ですからなア』 と何処迄も警戒し体を固くして居る。 日の出別『決して決して御心配なさいますな。此通り貴方方の御到着を祝ふために宝の入船と云ふ神劇が催されて居るのです。貴方も宝を抱いてヨルダン河を船にて渡り、この聖地へお這りになつたのですから、宝の入船の主人公は貴方方ですよ』 玉国『ハイ。真純彦、お前はどう考へるか。どうも大教主のお言葉が私には些と許り解し兼ねるのだがなア』 真純『先生、これや神様から気を引かれて居るのかも知れませぬよ。兎も角お断りを申て、早く此玉を埴安彦の神様にお渡しして来うではありませぬか。さうでなくてはお芝居を見る気がしませぬわ』 初稚『決して御心配は要りませぬ。這入つて御覧なさいませ。いやいや貴方方が役者にならねばならぬのですよ。やがて治道居士、伊太彦、三千彦、デビス姫、ブラヷーダさまが見えることですから、七福神になつて貰ふ積りです。治道居士さまは布袋、玉国別さまが寿老人、真純彦さまが毘沙門天、伊太彦さまが大黒さま、三千彦さまが恵比寿さま、それから、デビス姫さまが弁財天、と云ふやうに、各自にちやんとお役が定つて居るのです。サアどうぞ楽屋へお這入り下さい。私等は見せて貰ふのです。実の所は貴方方に役者になつて貰ふのですから、是も御神業だと思つてお勤め下さいませ』 玉国『ハテナ、些とも合点が往きませぬわ。御命令とあれば俄俳優になつてもよろしいが、てんで台詞が分りませぬからねえ』 日の出別『台詞なんか要りませぬよ。其時神様が憑つて口を借りて仰有いますから、承諾なさればよいのです』 真純『モシ先生、イヤ寿老人さま、神様の命令だ、千両役者になりませうか』 玉国『何と云つても神様の御命令とあれば背く訳には行きますまい。勤めさして頂きませう。そして三千彦、伊太彦はもはや此方へ見えて居りますか。どうしても吾々とは二三日後れるやうに思ひますがなア』 言依別『時間空間を超越したる神の道、そんな御心配は要りませぬ。直に今此処へお出になりますよ。総て神様の御国は想念の世界ですから、想念の儘になるのです。此処が外の地点とは違つて尊い所以です。さうでなくてはエルサレムと云つて神様がお集まり遊ばす道理がありませぬから』 玉国『左様ならばお受け致します』 真純『私も先生と同様お受を致します』 と云ふや否や、二人の姿は忽ち七福神の中の一人となつて居た。いつの間にやら、治道居士、三千彦、伊太彦、デビス姫、ブラヷーダ姫其外の人々は集まり来りて、何れも七福神の姿となつて居る。愈茲に七福神宝の入船の奉祝神劇は演ぜられた。数多の神司や信者は、此広き建物の中に、立錐の余地なき迄に集まつて、愉快げに観覧し、其妙技を口を極めて賞揚した。神劇の次第は左記の通りであつた。 抑我日の下は神の御国なり天地ひらけ陰陽分れ 青人草を始めとし万物爰に発生して 天地人の三体備はりぬ天津御国の太元は 大国常立の大御神又の御名は天照皇大御神なり 地津神の太元は豊国主の大御神又の御名は神素盞嗚尊 豊葦原の瑞穂の国産土山の底津岩根に宮柱太敷立て 三五の神の都を奠め賜ひしより千代万代に動ぎなく 天下泰平国土安穏五穀成就万民鼓腹撃壤の楽みを享く 実に有難き神の国の草木も靡く君が御代 かくも目出度国の中に四海波風豊にて 雲井の空に寿ぎ舞ふ鶴や千年の松の緑の色深く 万歳の亀も楽しむ天教の山の高く澄みきる月のあたり たなびく霞の中よりも真帆をば風に孕ませつ 浮かれ入り来る宝の御船七五三の静波かきわけて 積み込む宝の数々やまばゆきばかりあたりを照らす うるはしさ 丁子や分銅の玉の袋に黄金の鍵もかくれ蓑 七宝壮厳の雨に濡れし小笠の露や玉の光と 打出の小槌七福神の銘々が 乗合舟の話こそ面白き。 中にも口まめな福禄寿長い天窓を振り立てて、 福禄『天下無双のナイスお弁さま、イナ弁財天女どの、貴女は新しい女と見えて、こんな変痴奇珍な男子計りの船の中へ、案内もせないのに、何と思つて同席の栄を賜はつたのかな』 弁天女は面恥ゆげに莞爾と笑み乍ら、 弁天『ホヽヽヽ、アノまあ福禄寿さまの御言葉とも覚えませぬ。好く考へて御覧、何程新しい女だとて、ナイスだとて、五百羅漢堂を覗いたやうなスタイルして居らつしやる醜男子の側に来られないと云ふ法律は発布されては居りますまい。五六七の御代が開ける魁として、今度エルサレムの宮に於て、玉照彦命、玉照姫命二柱の神様のお目出度い御婚礼があるので、御祝のため貴神等は、この宝舟に乗つて聖地エルサレムの竜宮城へ昇られるのでせう。何程福の神だと云つて、男子許りでは花も実もありますまい。昔から七福神は聞いて居るが、六福神は聞いた事が無い。夫れで妾が天津神様の御命令で、俄に貴神等の仲間に加はつたのですよ』 福禄『コレお弁さま、御心配下さるな。この福禄寿一神あつても下から読み上げて見ると十六福の神だよ。ヘン済みませぬナア。そこへ寿老人(十六神)を加へて三十二神ですよアハヽヽヽヽ。それよりも身の上話でも聞かして貰つた上、都合によつて加へて上げようかい』 弁天『三十二神の処へ妾が一神加はれば、三十三相の瑞の御魂ですよ。一神欠けても三十三魂にはなりますまい。女は社交上の花ですからねー。妾の素性を一通り聞かして上げますから、十六神さま謹聴なさいませホヽヽヽヽ』 六福『謹聴々々ヒヤヒヤ』 弁天『妾は神代の昔の或る歳、頃は弥生の己の巳日、二本竹の根節を揃へて、動ぎ出でたる嶋だと云ふので、竹生島と称へられる、裏の国の琵琶の湖に浮べる一つの嶋に、天降りました天女の中でも、最も勝れたナイスの乙女ですよ。自分から申しますと何んだか自慢するやうですが、神徳があまりあらたかなと言ふので、世人より妙音弁財天女と崇められ、妾の身体は引張り凧の様に日の下の国の四方に分霊を祭られて居ります。先づ東の国では江の島、西の国では宮嶋に、今一体は勿体なくも古、伊邪那岐尊、伊邪那美尊の二柱の神様が天の浮橋に渡らせたまひ、大海原に天降り、始めて開かれたる淤能碁呂嶋、その時、鶺鴒と云ふ小鳥に夫婦の道を教へられ、天照大神を生み給ふてより、又一名を日の出嶋と名付けられ、この国人に帰依せられ、福徳を授けしによつて、美人賢婦の標本として七福神の列に加はつた事は、十六福神さまも遠うの昔に御存知の筈。アナタも何時の間にやら福禄寿でなくて、モウロク(最う六)十三になりましたねー、ホヽヽヽヽ』 福禄『ヒドイなア』 六福『アハヽヽ。オホヽヽヽヽヽ』 顔色の黒いのを自慢の大黒天は、槌を持つた儘座に直り、 大黒『弁天ナイスの今の話を聞いた以上は拙者も男だ。一つ身の上話を初めて見よう。一同御迷惑ながら御聴聞なさいませ。 抑も拙者は、神素盞嗚大神の御子にて、八百米杵築の宮に鎮まりし、大国主命でござる。生れつきの慈悲心包むに由なく、貧しき者を見るに付け、不便さ忍び難く、一切の衆生に福徳を与へむとして心を砕き、チンチンチン一に米俵を踏まへて、二に賑はしう治めて、三に栄えの基となり、四ツ世の中悦んで、五ツいつも機嫌よく、六ツ無病息災で、七ツ難事もないやうに、八ツ屋敷を開ひて、九ツ花の倉を建て、十分満ればこぼるるぞ。コレ此槌は福を打出す槌ぢやない、お土を大切にして生命の種のお米を作れと知らすためぢや。モ一つには奢れる奴等の天窓をば打砕く槌ぢやわい。アハヽヽヽヽ』 福禄『アハヽヽヽヽ、コリヤ御尤もだ。オイ戎、コレサ聾どの、エベスどのエベスどのエベスどの貴神は、マア舳に出て釣許りして厶るは一体、こなたは何う云ふ福の神ぢやい。福の神にも色々あつて、雑巾を持つて縁板などをフクの神もあれば、尻をフクの紙もある。きつぱりと素性を明かして呉れないか』 戎『俺かい。おれはナ、何事も聞かざる、見ざる、言はざると云つて、庚申の眷属を気取り、三猿主義を固守し、只堪忍をのみ守つて居るのだ。徳は堪忍五万歳だ。抑も拙者は、蛭子の命と云つて、正月三日寅の一天に誕生した若蛭子だ。商売繁昌を祈るが故に欲の深い連中から商売の神と崇められて居るのだ。誠に目出度う候ひけるだ、アハヽヽヽヽ。十日戎の売物は、はぜ袋に、取鉢、銭がます、小判に金箱、立烏帽子、桝に財槌、束熨斗、お笹をかたげて千鳥足』 大黒『アヽコレコレさう踊り廻すと船の上は危険だ。モウ良いモウ良い御中止を願ひます』 大黒『エヽ時に寿老人殿、貴神は何時も何時も渋い面をして落付払つて厶るが、こんな芽出度い時には、チツと笑つて見せても可いぢやないか』 寿老『イヤ是は又迷惑千万、物価謄貴生活難の声喧しき、この辛い時節に、あまい顔をせよとは、粋にして且つ賢明なる方々にも似合ぬお言葉では厶らぬか。拙者は何時も苦い顔をして倹約を第一と守り、郵便貯金を沢山にして、他人に損をかけず、自分も損を致さねば、心労なき故、長命を仕るのぢや。長命に過ぎたる宝は厶らぬ。兎角、拙者の行り方を見習へば、たとへ福は授からなくとも、自然に福徳が保てますぞや』 福禄『ヘン、何程長命したとて、ソンナ苦い顔をして一生送るのなら、余り福徳でも在るまい。笑つて暮すのが、何より人生の幸福だ。高利貸の親父でも、たまには笑ふぢやないか。ナア、皆の福神連中さま』 寿老『イヤ恐れ入る。併し自分は是でも人の知らぬ心のよろこびに充ちて、楽しく日を送つて居るのだ。サテ、愚老許りお喋舌いたして皆様の交際を忘れて居た。余りの楽しさと、面白さと、今度の御婚礼の目出度さとに気を取られて、アハヽヽヽヽ。サア是からお交際申さう』 と傍にあり合ふ妻琴を引寄せ掻きならし、 (歌)『忍ぶ身や夜な夜なもゆる沢の螢火に夜更渡りぬる』 寿老『余り長いのは皆様のさはりになる。長い者を俗に長者と言ふさうぢや。ヤ、是はしたり、長い者とは福禄寿様へ差合ました。失礼々々』 布袋和尚は吹出して、 布袋『アハヽヽヽアハヽヽヽ、オホヽヽヽ、ハテ、コリヤ面白い面白い面白いハヽヽヽヽヽ奇妙々々』 毘沙門天は、むつとした顔しながら、 毘沙『ヤイ、そこな土仏坊主奴。何がそれ程可笑しいのだい。袋と腹とで乗合船の居所を狭めて居る癖に、チツと位遠慮召さつても可いだらう』 布袋『アヽ、コレコレ毘沙殿。さう腹立まいぞや、腹立まいぞや、立腹まいぞや。少々は乗合の邪魔にも成るだらうが、ソコは仲間の事だから、神直日大直日に見直し聞直してマアマア曰く因縁を聞き玉へ。夫れ一家一門附合、朋友、得意先、丸う無くては治まらないと云ふ道理は、拙者のこの天窓で判るだらう。眼まで丸い布袋和尚だ、ハヽヽヽヽ。まつた腹は大きくなければ、心がさもしいものだ。そこで愚僧が此大きい腹を突き出し、腹鼓を打つて一通りお話致すで厶らう。 「ソレ、この袋といつぱ」見たる事聞きたる事、よしあし共に忘れぬ様、中へ納めて斯の通り、もたれて居申すなり。又世に子宝と云へるが、稚き者ほど可愛者はあり申さぬ。その稚き者を団扇を持つて行司仕り居り候也。アヽ宜き楽みかな宜き楽みかな』 福禄『イヤ布袋どの、尤も尤も、尤も次手に笑はしやるのも尤も尤も。「笑ふ門へは福禄寿」サレバお咄し申しませう。夫れ天窓が長ければ背はズント低う厶る。低うなければ愛嬌を失ひます。先づ入口を這入るにも長いによつて余ります。天窓を下げて這入ります。それで愛嬌が厶るだらうがの、愛嬌ついでに皆さま、おはやし頼みます。 「越後の国の角兵衛獅子、国を出る時や、親子連れ、獅子をかぶりて、くるりと廻つて、首をふりまする、親父や、まじめで笛を吹く」 ヨー、ハヽヽヽヽ福禄寿さま、大当りだ大当りだ。アハヽヽヽヽ』 六福『併し獅子の頭が少々高過ぎるぢやないか。ハヽヽヽヽ』 福禄『ハテ、頭が高うもなければ納まらぬ事もある物だ。是もやつぱり世界の道具だからのう。ハヽヽヽヽ』 毘沙門天は居直りて、 毘沙『ムヽヽヽヽ、ハヽヽヽヽ面白し面白し、吾は異形の姿にて鉾携へし身乍らも、七福神の列に加はる其由来を物語らむ。そも不身持山の皆身(南)に当りて難渋ケ嶽の峰に住む、貧乏困神とて悪神あり、彼に徒党の奴原を悉く誠罰し諸人の患を救はむと、この日の国に天降り、日出る国信貴山に根城を構へ、追付悪神討亡ぼし、困窮の根をたやさむこと、此多聞天が方寸の内にあり、ハヽヽハヽヽハヽヽヽヽ、悦ばしや嬉しや』 と勇める顔色、威あつて尊く、実に有難き霊験なり。 皆一同にあふぎ立て、中に取分け弁財天。 弁天『何れに、おろかは無けれども、多聞天のおん物語、勇ましや。イザヤ発船、又の御げん』 とのたまふにぞ、さらばさらばと漕ぎよせて、竜宮館の水の面に、清き宝の入船や、七福神の霊験も、仁義釈教、恋無常、勧善懲悪聞明し、改過を作るその主は、近松ならで松の元、一とふし込し、竹本ならぬ国武彦の御助け、梅の香床しき一輪の、花の流れや汲み取る綾の、聖地の玉の井に、映る言霊影きよく、照り輝きし玉照姫や、暗をも照らす玉照彦二柱、九月八日の慶びを、筆にうつして末広く、伝へ栄ゆる神祝ぎの、尽きせぬ神代こそ芽出度けれ。 (大正一二・七・一八旧六・五北村隆光・加藤明子共録) (昭和一〇・六・一六王仁校正)
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霊界物語 67_午_ハルの湖/タラハン国の国政改革1 01 梅の花香 第一章梅の花香〔一七〇三〕 オーラ山の曲の企みも大杉の怪しき夜這星は神の伊吹に吹消され、一旦包みし木下暗、晴れては清き三千世界の梅の花香、峰の尾上を包みし黒雲もサラリと散りて、宇宙晴の大広原、真夜中の空には、宝石を鏤めた様な一面の星光瞬き、鬼の囁き、猛獣の健び、狐狸の鳴き声も虫の音も、ピタリと止まつて天地静寂、恰もふくらむだ庭の砂に、程々に水を打つたるが如く、一点の風塵もなく、雲霧もなし。微風徐に人の面を吹き、五臓六腑に静涼の気浸み渡る。諸行無常の鐘の声、是生滅法の杜鵑の啼く音、生滅々已の梟の叫び、何れも寂滅為楽の清浄界となり果てぬ。丹花の唇、木蓮の莟の如き鼻の格好、黒豆に露を帯びたやうな優しく床しく光る二つの眼、地蔵の眉、所在美の極、善の極、愛嬌を満面にしたたらして、心に豺狼の爪牙を蔵し、天下を掌握せむと、昼夜肝胆を砕いて、外面如菩薩内心如夜叉、羅刹悪鬼の権化とも譬ふべき山賊の大頭目、ヨリコ姫女帝は、梅公が口より迸る天性の神気に打たれて、忽ち心内に天変地妖を起し、胸には革新軍の喇叭の音響き、五臓六腑一度に更生的活動を起して、専制と強圧と尊貴を願ふ欲念と、自己愛の兇党連は俄に影を潜め、惟神の本性、生れ赤児の真心に立帰り、一身の利欲を忘れ、神に従ひ神を愛し、人を愛し万有一切を愛するの宇宙的大恋愛心に往生したのである。 斯くヨリコ姫が心に悔悟の花開き、愛善の果実みのり、信真の光輝と、慈味に浴したる刹那に於て、其真心は天地に感応し、天は高く清く澄み亘り、一点の雲もなく、七宝を鏤めたるが如き星の大空をボカして、見渡す東の原野より千草を分けて昇り来る上弦の月光、恰も切れ味のよい庖丁を以て、円満具足せる西瓜を真中より二つに手際能く切りわけし如き、輪廓の判然とした白銀の半玉、忽ち天地を照り輝かし、地上に往来する蟻の姿さへも明瞭に見えて来た。 白髪童顔の山賊の巨頭、修験者と化けすまし、三千の部下を使役し、豺狼の欲を逞しうし、ヨリコ姫を謀師と仰ぎ、大親分と崇め、大胆不敵にもハルナの都の大黒主を征伐し、印度七千余国の覇権を握らむと、霜の晨雨の夕、夢寐にも忘れぬ胸裡の秘密深く包んで、雲に聳えたオーラ山に立籠り、霧を帯にし、靄を被衣となし、木の葉のそよぎを扇の風と見做し、青空を天井と定め、草を褥となし、髑髏を仮睡の枕となし、虎狼獅子熊の肉を嗜み、阿修羅王の如く魔王の如く、時あつては彗星の如く、妖邪の気を四方に吐散らし、一本の錫杖に四海を征服し、心に秘めた魔法の剣に、諸天諸善を悩ませ苦しめ、吾儘を振舞ひ、天地を自由に攪乱せむものと、夢の如き、虹の如き蜃気楼の如き空中楼閣的妄念を抱いて、得々として、其無謀なる目的に心身を傾注したる、彼れシーゴーは、三五教の神司梅公が言霊に其心胆を奪はれ、五臓六腑の汚濁を払拭され、彼が神気に打たれ、心気忽ち一転して、夜嵐にそよぐ枯尾花の手振にも驚き慄ふ、いとも弱き落武者とならむとする一刹那、力と頼みしヨリコ姫の打つて変つた言行に、今は尚更反抗の勇気もなく、今迄包みし心天の黒雲はオーラ山の荒風に吹散らされて、心も清き上弦の月、忽ち大地に鰭伏して、其慈愛と温雅と清楚なる月神の美影に渇仰憧憬し、本然の性に立返り、悪魔は忽ち煙と消え、胸の奥深き所に神の囁きを聞き、其霊光に触れ、信真なる愛の情味に接し、全く別人の如く成り、白き長き彼れの髪は白金の色、益々艶やかに、其顔色は天上の女神かと疑はるる許り、純化遷善し、罪もなく穢もなく、一点の憎悪心もなく、欲望の雲霧もなし。只此上は天地神明の加護に依り、誠の道を踏み、誠の業を行ひ、戦々恟々として神を畏れ神を愛し、日夜心力を神に捧げむ事を希求するに至つた。 次に天来の救世主、天帝の化身、オーラ山の活神と揚言し、毒舌を揮つて天下万民を誑惑し、悪事の限を尽さむとしたる、奸侫邪智の曲者、玄真坊、天下唯一の色餓鬼、情欲の焔に苦められ、煩悶苦悩の結果、恥を忘れて獣畜の行為に及ばむとせし、偽救世主、偽予言者なる、彼れ売僧は、三五教の神光に打たれ、正義心の神卒に攻め立てられ、遂に悔悟して、大頭目のヨリコ姫及シーゴーと行動を共にせむ事を誓ふに至つた。オーラ河の水は緩に流れ、深く青くして底さへ見えぬ河の面にきらめく星の大空を映し、そよと吹く小波に月光如来の千々に砕くる慈愛の御影を宿して、天地燦爛光明界の現象を泛ばせたり。東の大空は紅の雲、紫の霞棚引き初め、木々の百鳥は千代々々と永遠無窮の前途を寿ぎ、せせらぎの音は何事か宇宙の神秘を語るが如く、風の響にさへも神の御声の宿るかと疑はる。ヨリコ姫を始め、其他の兇党が心の天地忽然として蓮の花の開くが如く、薫り初めたる一刹那、五色の雲を押し分けて、忽ち昇らせ給ふ黄金鴉、旗雲の中にまん丸き日の丸を印し、愈日の出の神代の祥兆を天地万有に示し給ふ。瑞祥開く聖の御代の魁とぞ、神も人も、此山に集まれる曲人も禽獣虫魚も、一斉に五六七の御世を寿ぎまつる思ひあり。あゝ惟神霊幸倍坐世。 ○ 現幽神の三界を浄め、天地開闢の昔の祥代に立替立直し、神人万有を黄金世界の恩恵に浴せしめ、宇宙最初の大意志を実行せむと天より降りて厳の御霊と現じ、大国常立尊と現はれて神業を開始し給ひし、宇宙唯一の生神、朝な夕なに諄々として神人万有を導き給ふ。愛善と信真の大神教を天下に布衍し、五六七神政出現の実行に着手せむと、ウブスナ山に聖蹟を垂れ、瑞の御霊と現じて三界の不浄を払拭し、清浄無垢の新天地を樹立せむと、神素盞嗚の大神は、世界各山各地の霊場に御霊を止め、数多の宣伝使を教養し、之を天下四方に派遣し給ひぬ。派遣されたる神柱の一人、照国別の宣伝使の従者となり、ハルナの都の魔神の言向戦に従軍したる梅公司は、勇気凛々たる壮者にして、其心鏡は惶々として照り亘り、能く神に通じ、万民が心の奥底迄、玻璃を通して伺ふが如く、通観して過らず、且心は清浄潔白にして神律を弁へ、道理に通じ、挙措常に軽快にして且つ軽からず重からず、中庸を得たる好漢なり。彼れの行く所、百花爛漫として咲き満ち、地獄は忽ち天国と化し、猛獣の猛る原野は鳥唄ひ蝶舞ふ百花爛漫の天国と化するの慨あり。精神剛直にして富貴に阿らず威武に屈せず、常に其職に甘んじ、何事も神意と解して、如何なる境遇に在るも不平を洩らさず、悲しまず、如何なる悲境に沈淪するも悲観せず、悠々閑々として自ら楽み、自ら喜び、災の来る時は、之れ天の恩恵の鞭となし、喜びの来る時は天の誡と警戒し、寸毫も油断なく、且つ楽天主義を以て世に処す。実に神人の典型、宣伝使の模範、言心行何れの方面より見るも、一点の批評をさしはさむの間隙だになし。彼れは照国別に従つて、能く師弟の情誼を守り、自分の師に優れる数多の美点を隠して、其徳を長上に譲り、同情に富み、僚友を能く愛し、目にふるる者、耳に入る物、何れも彼が感化の徳に浴せざるはなし。元来梅公は大神より特に選まれたる神柱にして、無限の秘密を蔵し、神妙秘門の鍵を授かり、宇宙間一の怖るる者なき大神人なり。夫れ故彼は平然として悪魔の巣窟に単騎出入し、豺狼の群に入つて、機に臨み変に処し、一男二女の危難を救ひ、且つ他の宣伝使の如く、千言万語を費すの要なく、さしも兇悪なる悪神の巨頭、ヨリコ姫等の一派を翻然として悔悟せしめたる英雄なり。彼が師の照国別宣伝使も彼が神格の一部分を窺知する事さへ出来なかつた。併し乍ら彼は和光同塵的態度を以て、愛善の徳と信真の光の劣れる照国別を神の経綸として、吾師の君と尊敬し、照公其他の同僚に対しても、常に後輩者として行動せむ事を望んでゐた。果して梅公司は魔か神か真人か、但しは大神の化身か、今後の物語に依つて読者の自ら判知されむ事を望む。 之よりヨリコ姫は梅公花香の勧めにより、タライの村に立帰り、母のサンヨに面会し、今迄の不孝不始末の罪を謝し、今後は悔い改めて、老後の母の心を安んじ、且つ神の御為世の為に、愛善の道に生涯を投ぜむ事を誓つた。母のサンヨは二人の姉妹が梅公司の艱難辛苦の結果と慈愛心の発露に仍つて、無事母子の対面が出来た事を涙片手に感謝し、梅公を真の生神として尊敬して止まなかつた。次にシーゴー坊や玄真坊の両人はサンダーの家に至り、彼が両親に向つて、今日迄の悪業を謝し、且悔改めて天下万民の為に神業の一部に奉仕せむ事を誓つた。サンダーの両親は夢かと許り喜んで、梅公其他に対し、百味の飲食を調理して之を饗応し、且つシーゴーには数多の所有地を与へ開拓の事業に従事せしむる事となつた。彼れシーゴーはサンダー、スガコ姫に従ひ、両人を主人と仰ぎ、スガコ姫が父のジャンクが所有せる無限の山林田畑を開墾し、三千の部下をして之に従事せしめ、大都会を造つて………………新しき村を経営し、タライの村の真人と謳はれて生涯を送つた。父のジャンクは遥にサンダー、スガコの無事に帰宅せし事、梅公司に救はれし事、及シーゴーを一の番頭となし、数千の部下を使役して開墾の業に従事せしめ、日々事業の発展しつつある事を聞知し、大に喜んで、全く神の恩恵となし、一生を神に捧げ、神業に参加し、屍をさらす迄、吾郷里に帰らなかつた。そしてジャンクは義勇軍の勇士としてバルガン城下に驍名を走せた。 一旦悔い改めたる玄真坊は再び悪化して、シーゴーと論争し、三千の部下の中、不平組三百余名を引率し、オーラの峰を渉つて民家を掠奪し乍ら、地教山方面指して姿を隠したのである。 惟神神の心は白梅の 旭に匂ふ姿なりけり。 梅の花香ひ初めたる如月の 空に瞬く珍の星影。 何事も神の教にヨリコ姫 世の神柱となりし雄々しさ。 現世の罪をば恐れシーゴー(死後)を 思ひて神に帰るつはもの。 サンダーやスガコは生れし己のが村に 帰りて新村永久に開きぬ。 光暗行きかふ曲の玄真は 心変りて鬼となりぬる。 村肝の心曇りし曲人と 山野に迷ふ玄真の果。 (大正一三・一一・二三新一二・一九於教主殿松村真澄録)
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霊界物語 67_午_ハルの湖/タラハン国の国政改革1 02 思想の波 第二章思想の波〔一七〇四〕 梅公はヨリコ姫、花香姫を伴ひ駒に跨り轡を並べて照国別の隊に合すべく、間道を選んでオーラ山の谷間を川に添ひ昼夜の区別なく猛獣の声や猿の健びに驚かされつつ、草を褥とし、立木を屋根となして幾夜を重ねオーラ山脈の東南麓に無遠慮に展開せるハルの湖の岸辺に着いた。 此湖水は高原地帯の有名なる大湖水にして東西二百里、南北三百里と称へられて居る。湖中には無数の大小島が星の如くに配置され、各島嶼何れもパインの木が密生して世界一の風景と称へられて居る。 梅公は数日間オーラ山の事件や、その他について日を費したので、此湖水を渡り近道を選んで師の軍に追付かむが為であつた。 岸辺には七八艘の渡湖船が浮んでゐる。一行三人は最も新しき『波切丸』と云ふ巨船に乗移つた。波切丸には数百人の乗客があつた。折から吹き来る北風に真帆を孕ませ乍ら、男波女波をかき別けて船足静かに音もなく、進み行く。 漸くにして船は岸の見えぬ地点まで滑つて来た。印象深きオーラの山脈は此湖水を境界として東西に長く延長し、中腹に霞の帯を〆め、その頂は雲の帽子を被つて、梅公一行の勇者を見送るの慨があつた。船中の無聊を慰むるために、数多の乗客は大部分甲板に出で、四方の風光を打眺めて、歌を詠んだり、詩を吟じたり、三々伍々首を鳩めて時事談に他愛もなく耽つてゐる。 梅公外二人は興味を以て、素知らぬ顔して乗客各自が思ひ思ひの出鱈目話や脱線だらけの噂等をニコニコし乍ら聞いてゐた。乗客の一人は、 甲『もしもしお前さまは大変に元気さうな人だが、今度の戦には召集されなかつたのですかい』 乙『エー、私は二十五才の男盛りですが、悲しいことにや不具者だから徴兵を免除され、宅に燻つてゐましたが、どうも大抵のものは皆従軍し、あとに残つてゐるものは子供や爺嬶、それも綺麗な女房や娘はバラモン軍が掻ツさらへて行つた後だから、後に残された人間は婆か、お多福か、不具の男子、独眼に跛、腰抜、睾丸潰し、いやもう埒もない屑物許りで糞面白くもないので、バルガンの都へ行けば、私の姉の家があつて立派な商売して暮してゐるとの事、一遍遊びに来い遊びに来いと云つて来たが行く暇がなかつたが、聞けば大足別の軍隊が都に攻入つたとか云ふ事、何れ戦場となれば住民の困難狼狽、名状すべからざるものが厶いませう。ついては姉の身の上も案じられますし、見舞がてら、避難がてら、遊びがてら、行つて見ようと思つて、痩馬に跨り、オーラ山の間道を通つて、ヤツトの事で此船に間にあつたのです』 甲『ア、さうですか、そりや大変な事ですな。見舞がてら遊びに行くと仰有つたが、さうすると、お前さまの考へでは、姉さまは先づ無事だと云ふ予想がついてると見えますな』 乙『何、他家(予想)も宅もありませぬが、私の姉と云ふ奴ア、仲々こすい奴で此十年前に大戦のあつた時もチヤンと一日前に嗅知り、オーラ山へ逃げて難を免れた事も厶います。それはそれは抜目のない姉ですよ。私の兄弟は五人ありましたが一人は早く死に、二人の妹は今度のバラモン軍に掻ツさらはれて了つたのです。何とかして大足別の陣中を窺ひ、妹の所在も一つは探し度いと思つて跛乍らも痩馬に跨がり、ヤツトここ迄出て来た次第です。本当に世の中は、こんな事思ふと、厭になつて了ひますよ』 甲『かう云ふ時に天地の間に神様があつたなら救世主を世に降し、人民塗炭の苦を助けて下さるだらうに、救世主の再臨を旱天の雲霓を望む如く、待つて居つても、こんな大国難の場合に現はれ給はぬ以上は、神はないものだと認めるより仕方はありませぬな』 乙『世は末法に近づき、悪魔は益々横行濶歩し、良民は日に月に虐げられ、まるつきり阿鼻叫喚地獄のやうなものです。偽救ひ主、偽弥勒、偽キリスト等は所々に現はれますが、彼等は要するに善の仮面を被つた悪魔ですからな。バラモン軍よりも山賊よりも一層恐ろしい代物だから、うつかり相手になれませぬ』 丙『然し、貴方等、私はヒルナの都の傍に住むものですが、途々承はれば、あのオーラ山には天来の救世主、天帝の御化身、玄真坊とか云ふ活神様が出現遊ばし、お星様までが、有がたい御説教を毎晩聴聞のため、有名な大杉にお降り遊ばし、燦爛たる光明を放つてゐると云ふ事ぢやありませぬか。貴方等はオーラのお方と聞きましたが、御参詣なさつたのぢやありませぬか。随分ヒルナの辺まで偉い評判ですよ』 乙『何、あいつは偽救主で、売僧坊主が山子をやつてるに違ひないです。大方バラモン軍の間諜かも知れないと云ふ噂です。私の村の者は一時は誰も彼も信じて詣りましたが、あまり御利益がないので誰も詣らなくなりました。却て遠国の方が信仰心が強く、何十里、何百里と云ふ所から、馬や牛に沢山の穀物を積んでゾロゾロやつて参りますが、妙なものですわ。皆遠くから詣つて来るものはお神徳を頂くと云ふ事です』 丙『「燈台下暗し」と云つて、どうも近くの人は本当の信仰に入らないものです。大体人間が神の教をする人に偽救ひ主とか売主だとか、廃品ものだとか云つて批評するのは、信仰そのものの生命が已に已に失はれてゐるのですから御神徳のありさうな事はありませぬよ。鰯の頭も信心からと云ふ譬の通り、仮令オーラ山の救ひ主が偽であらうが、泥棒の化けたものであらうが、信仰するものは、つまり、その神柱を通じて誠の神に縋つてゐるのですから、仮令取次は曲神であらうと信仰そのものが生きて居る限り、キツト其誠は天に通じ御利益のあるものと存じます。取次の善悪正邪を批評してる間は、まだ研究的態度、批判的、調査的態度ですから、信仰の規範に一歩も入つてゐないのです。それで私は売主が現はれて天帝の化身と名のらうとも、「天帝の化身」と云ふ、その名を信じさへすれば良いのです。さうでなくちや、絶対的帰依心は起らないものです。何程偉い神様でも、不完全な人間を使つて宇宙全体の意志を伝達遊ばし、又神徳の幾部分を仲介者を通じて下さるのです。吾々は橋なき川は渡れぬ道理、どこ迄も信仰は信仰ですから信じなくては駄目です。絶対服従と云ふ名に於て初めて神の神徳を授かり、暖かき神の懐に抱かれ得るのだと考へます』 甲『成程、さう承はれば、いかにもと合点が参りました。今の世の中は物質主義の学説や主義が盛に流行しますので、仮令神様だつて現に吾々凡夫の目の前に姿を現はし、或は奇蹟を現じ、即座に霊験を見せて下さらねば信じないと云ふ極悪の世の中になつてゐるのですからな。然しながら此頃は学者の鼻高連も、少し眼が醒めかけたと見えて、太霊道とか霊学研究会だとか、或は神霊科学研究会だとか、いろいろの幽霊研究が起りかけましたが、之も時勢の力でせう。ここ十年前迄は如何なる大新聞にも大雑誌にも単行本にも霊とか、神とか云ふ字は一字も現はれてゐなかつたのですが、斎苑の館とかの生神様が此世に現はれ、御神徳が世間に輝き亘るにつれ、霊とか神とか云ふ文字がチヨコチヨコ現はれて来ました。それがダンダンと日を追ふて濃厚の度を増、流石の物質学者もソロソロ我を折つて神霊科学研究会と云ふやうになつたのでせう。然し乍ら科学と神霊学とは出発点が違ひ、且つ畑が違ふのですから、茄子畑で南瓜や西瓜を得ようとしても駄目ですわ。ダンダン人間や学者の目が醒めて、霊とか神とかを云々するやうになりましたが、要するに学問の行き詰り飯の食ひ詰となつて、しやう事なしに有名の学者の一二人が霊学とか神霊とかを唱道し出すと、訳の分らぬくせに先を争ふて、自分も霊を説き神を語らねば世に遅れた古い頭と云はれるだらう、社会の嗜好に投じないだらうと曲学阿世の徒が、極力アセツた結果だらうと思ひますわ』 丙『御説の通りです。本当に現代の学者位、没分暁漢はありませぬな。三百年前に外国で流行した学説を翻訳して、それを新しい学者のやうに思つて憶面もなく堂々と発表するのですから堪りませぬわ』 乙『そら、貴方等のお説も尤もだが、何と云つても、今は証拠がなければ一切人民が承知せない世の中です。さうして、証拠や物体を無視して、無声無形の霊とか神とかに精神を集中する位、此世の中に危険の大なるものはなからうかと思ひます。現に、オーラ山の救世主と云つて居つた玄真坊と云ふ奴ア、私の村の後家婆アさまの娘、ヨリコ姫を拐はかし、それを女帝として、自分は生神さまと成りすまし、沢山な山賊を連れて、悪い事ばかり仕出かし、一方は神さまとなつて人の懐を睨つて居た所、三五教の宣伝使とかに看破され、手品をあばかれ、到頭何処かへ逃げ散つたと云ふ事です。こんな代物が世の中に沢山現はれて、神仏の名をかり、人民をごまかすのだから、神ならぬ身の吾々人間は確なる証拠を掴まぬ事にや安心して信仰が出来ませぬからな。それで稍常識に富んだ人間共が、今迄の宗教では慊らず、それだと云つて新しい信憑すべき宗教も現はれず、やむを得ずして、どこかに慰安の道を求めむとし、科学に立脚したる神霊の研究をなさむと焦慮るのも、強ち無理ではありませぬよ』 丙『今の世の中の人間は昔の人とは違つて、外面は非常に開けてゐるやうですが、肝腎要の霊界の知識と云ふものは、からつきし駄目ですから、真の救世主が現はれてゐるのですけど自分の暗愚の心や邪曲なる思ひに比べて誠の神を誠とせないですからな。それ故、チヨコチヨコと偽神に欺かれ、大変な災に会ひ終ひの果にや神のカの字を聞いても恐怖戦慄するやうに、いぢけて了ふのです。「羮にこりて膾を吹く」の譬、真の救世主が目の前に出現して厶つても、「又偽神ではなからうか、騙すのではあるまいか、触らぬ神に祟りなし、近寄つては大変だ」と云つて誠の神様を悪魔扱ひになし、一生懸命に反抗を試みるやうになるものです。然し乍ら私は真の生神様のもはや此世に降臨された事を認めてゐます。今度の戦ひ等も十年も前から神様から覚らして貰つて居ましたよ。「国乱れて忠臣現はれ、家貧しうして孝子出で、天下道なくして真人現はる」と申しますが、暗黒無道の此世の中を大慈大悲の神様は決してお見捨て遊ばす筈はありませぬ。今日の学者共は誠の三五の大神様に対し、邪神だとか、大国賊だとか、大色魔だとか、詐偽師だとか、いろいろの悪罵嘲笑を逞しふし、訳の分らぬ凡夫共は学者の説や大新聞の説に誑惑され、附和雷同して誠の真人を圧迫し恐怖し、悪魔の如く嫌つて近寄らないのです。実に憐れむべき世態ぢやありませぬか。その癖、大真人の首唱された世の立替立直し、改造、霊主体従、体主霊従、建主造従、陽主陰従等の熟語を使ひ、得々として自分が発明したやうに云つてるのです。つまり大真人を誹謗し乍ら、大真人の説を応用してゐるのだから、ツマリ渇仰憧憬してゐるのぢやありませぬか。本当に、これ程な矛盾が世の中にありませうかな』 甲『貴方のお話を聞いて見ると、どうやら三五教の信者のやうですが、違ひますかな』 丙『お察しの通り、私は三五教信者のチヤキチヤキです。燈火を点じて床下に隠すものはありませぬ。卑怯な三五の信者は世間の圧迫や非難や軽侮を苦にして、人に尋ねられると自分は三五教ぢやないと云ふものが九分九厘です。心で神を信じ口に詐るものは所謂神を殺すものです。こんな信仰は到底実を結びませぬ。又自分の位置や名誉を毀損されるかと思つて信者たる事を隠す卑怯者が多いのです。私は、そんな曖昧な信仰は致しませぬ。天下に誤解される程の神の教ならばキツト好いに違ひありませぬ。盲千人の世の中、盲が象を評する如き人々の噂や、誹や批評なんかに躊躇してるやうな事では、いつ迄経つても神様を世に現はす事は出来ませぬ。又天下を救ふ事も出来ないでせう。私は、さう云ふ信仰のもとに三五教の神柱、瑞の御霊は天地の大先祖たる国常立尊様の御神教を伝達遊ばす世界唯一の神柱と堅く信じてゐるのです』 乙『お前さまの信仰も、そこ迄行けば徹底してるやうだが、然し乍ら用心しなさいや、あの蛙と云ふ奴、背中に目がついてるから現在自分を呑まむとする蛇の背に、安然として鼾をかいて居る。さうして、終ひの果てにや、その蛇に尻尾でまかれ、ガブリと呑まれて命を捨てるのです。鮟鱇主義、海月主義の偽救ひ主が彼方、此方に現はれる世の中ですから、信仰も結構ではありますが、そこは十分気をつけて、あんまり固くならぬやうに、片寄らないやう、迷信に陥らぬやう御注意なさるが結構でせう』 丙『御注意は有がとう厶います。迷信に陥らないやうにと仰有いましたが、今日の世の中に迷信に陥らないものが一人も厶いませうか。政治万能主義に迷信し、黄金万能主義に迷信し、共産主義に迷信し、社会主義に迷信し、過激主義に迷信し、医者に迷信し、弁護士に迷信し、哲学に迷信し、一切の科学に迷信し、宇宙学に迷信してゐるもの許りです。各自に猿の尻笑ひで、自分の思つてる事は正信だ、他人のやつてる事は迷信だと考へるは、ヤツパリ迷信です。私が三五教を信仰してるのも、ヤツパリ迷信かも知れませぬ。大神様の地位に立つてこそ、初めて真信とか正信とか云へるでせうが、紙一枚隔てて向ふの見えない人間の智力や眼力で、どうして正信者となる事が出来ませう。それだから、吾々は飽迄も迷信して神様と云ふその名に絶対服従するのみです。之が吾々にとつて唯一の慰安者となり、天国開設の基礎となり、生命の源泉となり、無事長久の基となり、天下太平の大本となり、家内和合産業発達の大根源となるものだと迷信するより仕方ありませぬわ、ハヽヽヽヽ』 梅公はヨリコ姫に向ひ小声にて、 『人々の言葉の端に知られけり 常暗の世の枉の心を』 ヨリコ『光り暗行き交ふ現世の中に 裏と表の規を聞くかな』 花香『花薫る人の心に三五の 神の恵みの露は宿れり』 (大正一三・一一・二三新一二・一九於教主殿北村隆光録)
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霊界物語 67_午_ハルの湖/タラハン国の国政改革1 04 笑の座 第四章笑の座〔一七〇六〕 湖神白馬の鬣を揮つて、激浪怒濤を起し、殆ど天をも呑まむとする勢なりし湖上の荒びも、癲癇が治まつたやうに、まるつきり嘘をついた様にケロリと静まつて、水面は恰も畳の目の如く、縮緬皺をよせてゐる。島影を漕出した波切丸は、欵乃豊かに舳を南方に向けていざり出した。 此地方の風習として、人々何れも閑散な時には無聊を慰むる為に、笑ひの座といふものが催される事がある。笑ひの座に参加する者は、何れも黒い布で面部を包み、何人か分らぬやうにしておいて、上は王公より下は下女下男の噂や国家の現状や人情の機微などを話し、面白く可笑しく、罵詈嘲笑を逞しうして、笑ひこけ、互に修身斉家の羅針盤とするのである。流石権力旺盛なる大黒主と雖も、此笑ひの座のみには一指を染むる事も出来なかつた。笑ひの座は庶民が国政に参与する事のない代りに、其不平や鬱憤を洩らし、或は政治の善悪正邪や、国家の利害得失迄も、怯めず臆せず何人の前にても喋々喃々と吐露することを、不文律的に許されてゐたのである。 日は麗かに、風暖かく、波は静に、舟の歩みもはかばかしからず、遥の湖面には陽炎が日光に瞬いてゐる。其有様は恰も湖面の縮緬皺が空中に反映したかのやうに思はれた。さも恐ろしかりし海賊の難や暴風怒濤の悩み、殆ど難破に瀕したる波切丸の暗礁の難を免れたる嬉しさに、何れも天地の神を礼拝し、感謝の辞を捧ぐる事半時許り、其あとは三々伍々デッキの上に円を描いて、笑ひの座が開かれた。 甲『諸君、何うです、此穏かな湖面を眺めて、旅情を慰むる為に、天下御免の笑ひの座を催したら何うでせう』 乙『イヤそりや面白いでせう。チツト許り、言論機関たる天の瓊矛を運用させても宜しからうかと考へてゐた所です。何か面白い話を聞きたいものですなア』 甲『皆さま、黒布をお被りなさい。之も此国の神世から定まつた不文律ですから。其代りに目の前にゐる貴方方の悪口雑言を云ふかも知れませぬが……笑ひの座の規則として御立腹のなき様に予め願つておきますよ、アハヽヽヽ』 乙『サアサア自分の顔のしみは見えないものだから、俺は偉い偉い、世間の奴は馬鹿だとか、間抜だとか、腰抜だとか思つてゐるものです。自分が自分を理解する様になれば、人間も一人前の人格者ですが、燈台下暗しとか云つて、自分の事は解らないものですからな。どうか忌憚なく、お気付になつた事は批評して下さい。それが私に取つて処世上の唯一の力となりますから』 甲『宜しい、倒徳利の詰が取れた以上は、味の悪い濁酒を吐出して、諸君を酔生夢死せしむる様な迷論濁説が際限もなく迸出するかも知れませぬよ』 乙『サアサア是非願ひませう。自分の頭や顔面が見え、又自分の首や背中が見える様な人間ならば、自己の欠点が判然と解るでせうが、不完全に造られた吾々人間は、到底暗黒面のあるのは、止むを得ないです。其暗黒面を親しき友から、破羅剔抉して注意を与へて貰ふ事は、無上の幸福でせう。併しお前さまの暗黒面も素破抜きますが、御承知でせうな』 甲『それは相身互です。そんなら私から発火しませう。……エー、貴方此頃大黒主様から大変な偉い職名を与へられたといふ事だが一体どんな御気分がしますか、竹寺官と云へば腰弁とは違つて、役所へ通ふのにも馬とか車とか相当な準備も要るでせう。随分愉快でせうな』 乙『実は某役所の執事に栄進したのです。然し乍ら赤門を出てから官海に遊泳すること殆んど十五年、どうやらかうやら執事まで昇つたのです。吾々の学友は大抵小名から大名、納言級に昇つた連中もありますが、私は阿諛諂佞とか追従とか低頭平身などの行為が嫌いなので、相当の実力を持ち乍ら漸く某役所の執事になつた位なものです。本当に十五年間も孜々兀々として役所の門を潜り、今に借家住居をして色々の雅号を頂いた所で一銭の金が月給の外に湧いて来るでもなし、一握の米が生れるでもなし、丸つきり高等ルンペンの様なものです。それでも公式の場所へは他の連中が嬉しさうに雅号のついたレツテルをぶらさげて行きよるものだから、私も心に染まないけれど、何だかひけを取るやうな気分がするので、嫌々乍らレツテルをはつて行くのですよ。アハヽヽヽヽ』 甲『嫌なものを張つて行くとは云はれましたが、然し貴方の本心としてはまつたく嫌で叶はないのぢやありますまい。嫌な嫌な毛虫が胸にくつついてゐたら誰しも之を払ひ落すでせう。そこが貴方の闇黒面で、所謂偽善と云ふものです。爵位何物ぞ、権勢何物ぞ、富貴何ものぞ、只吾々は天下の志士だと人に思はせたい為の飾り言葉でせう。虚礼虚飾を以つて唯一の処生法と為し、交際上の武器と信じてゐられるのでせう。さういふお方が上流に浮游してゐる間は、神様の神政成就も到底駄目でせう。私は米搗ばつたといふものを見る度に、何となく嫌忌の情が胸に湧いて来るのです。併し過言は御免を蒙つておきませう。何と云つても笑ひの座の席での言葉で厶いますからな』 乙『ヤ、貴方も中々の批評家ですね。実は私も米搗ばつたにはなり度くないのです。これを辞めれば忽ち妻子が路頭に迷ひ、生存難におびやかされるから長者に膝を屈し腰を曲げ、ばつたや蓄音機の悲境に沈淪しながらも陰忍自重して、あたら月日を送つてゐるのです。今日の米搗ぐらゐ卑劣な、暗愚な狭量な、そして高慢心の強い代物はありませぬわ。何か可い商売でもあつたら、男らしく辞職をしてみたいのです。そして辞表を長官の面前へ投げつけてやりたいと、切歯扼腕慷慨悲憤の涙にくれることは幾度だか知れませぬよ。卑劣な、暗愚な、おべつか主義の小人物はドシドシ執事にもなり、小名にもなり、大名にもなつて、時めき渡ることが出来ますが、私のやうな硬骨漢になると、上流の奴、彼奴ア頑迷だとか、剛腹だとか、融通が利かないとか、野心家だとか、過激主義だとか、反抗主義だとか、生意気だとか、猪口才だとか、何とかかんとか、種々の称号をつけて、頭を抑へるのみならず、グヅグヅしてゐると寒海から放り出されて了ふのですから、人生、米搗虫位惨めな者はありませぬよ。実に悲哀極まる者は官吏生活ですよ。ハヽヽヽ』 甲『全体、月の国の人間は、国は大きうても、小人物許りで、到底世界強国の班に列するの光栄を永続することは不可能でせう。外交はカラツキシなつてゐないし、強国の鼻息を伺ふこと計りに汲々乎とし、内政は人民の自由意志を圧迫し、少しく骨のある人間は、何とかカンとかいつては、牢獄へブチ込み、天人若斗りを登用して顕要の地位に就かしめ、己れに諛び諂らふ者のみ抜擢して、愚者、卑劣漢のみが高いところに蠢動してゐるのだから、到底国家の存立も覚束ないではありませぬか。今の時に当つて、本当に国家を思ふ英雄豪傑、又は愛善の徳にみちた大真人が現はれなくちや駄目でせうよ』 乙『さうですなア、私の考へでは、茲二三年の間には、月の国の大国難が襲来するだらうと思ひます。大番頭も、其他の納言も、どうも怪しい怪しいと何時も芝生に頭を鳩めて、青息吐息で相談をやつてゐますが、何れも策の施しやうがないと云つて居ります。何といつても今の世情は、宗教を邪魔物扱ひし、物質本能主義を極端に発揮し、何事も世の中は黄金さへあれば解決がつく様に誤解してゐたものですから、従つて国民教育も全部物質主義に傾き、国民信仰の基礎がぐらついて、殆ど精神的破産に瀕してゐるのですから、到底此頽勢を挽回する望みはありますまい。今に世界は七大強国となり、十数年の後には、世界は二大強国に分れると云ふ趨勢ですが、どうかして印度の国も、二大強国の一に入りたいものですが、今日の頭株の施政方針では、亡国より道はありませぬ。物価は高く、官吏は多く、比較的人民も多くして、生存難は日に日に至り、強盗殺人騒擾なども、無道的行為は到る処に瀕発し、仁義道徳地に堕ち、人心は虎狼の如く相荒び、親子兄弟の間も利害のためには仇敵も只ならざる人情、教育の力も宗教の力も、サツパリ零です。否宗教は益々悪人を養成し、経済学は国家民人を貧窮に陥れ、法律は善人を疎外し、智者を採用し、医学は人の生命を縮め、道徳は悪人が虚偽的生活の要具となり、商業は公然の詐偽師となり、一として国家を維持し国力を進展せしむるものは見当りませぬ。それだから私も一つ奮発して、国家の滅亡を未然に防ぎ度いと焦慮して居りますが、何分衣食住に追はれてゐるものですから手の出し様がありませぬ。米搗虫の地位を利用して賄賂でもどしどし取れば、又寒海を辞した時、社会に活動するの余祐も出来るでせうが、それは私には到底出来ない芸当です。とやせむかくやせむと国家の前途を思ひ、日夜肺肝を砕いてをりますが、心許り焦つて、其実行の緒につく事が出来ないのは遺憾千万で厶います』 甲『今貴方は、官を辞したら、衣食住に忽ち困るから、国家の大事を前途に控へ乍ら、活動することが出来ないといはれましたが、それは貴方の薄志弱行といふものです。徒らに切歯扼腕慷慨悲憤の涙にくれてゐた所で、社会に対して寸効も上らないでせう。納言になる丈の腕を持つた貴方なれば、民間に下つて何事業をせられても屹度相当の収益もあり、又成功もするでせう。人は断の一字が肝腎ですよ。空中を翔る鳥でさへも、何の貯へもして居りませぬが、天地の神は、彼等を安全に養つてゐるだありませぬか。窮屈な不快な寒吏生活を罷めて、正々堂々と自由自在に、何か事業をおやりなさつたら何うです。活動は屹度衣食住を生み出すものです。何を苦しんで官費に可惜貴重な生命を固持する必要がありますか』 乙『お説は一応御尤もですが、吾々は悲しいことには父母の膝をかぢつて、小学、中学、大学と一通りの学問の経路を越え、学窓生活のみに日を送り社会一般の事情に通ぜず、又苦労をしたこともなし、今となつては乗馬おろしの様なもので、寒海を離れたならば、何一つ社会に立つて働く仕事がありませぬ。新聞記者にでもなるか、或は三百代言の毛の生えた如うな者になるより行り場のない厄介者ですからな』 甲『凡て人民の風上に立つ役人たる者は、何から何迄、之が一つ出来ないといふ事のない所迄、経験を積まねばならず、又人情にも通じてゐなくてはならない筈だのに、今日の官吏なる者は、凡て社会と没交渉で、何一つの芸能もなく、無味乾燥な法律学のみに頭を固めてゐるのだから、風流とか温雅とか、思いやりとかの美徳が備つてゐない。そんな連中が世話の衝に当つてゐるのだから、民衆が号泣の声も塗炭の苦しみも目に入らず耳に聞えず、世は益々悪化する許り、之では一つ天地の神の大活動を待たねば、到底暗黒社会の黎明を期待することは難しいでせう。あゝ困つた世態になつたものだなア』 乙『仮に私が官を辞し、民間に降るとすれば、どうでせう、何職業を選むべきでせうか。どうか一つ智恵を貸して頂きたいものですな』 甲『貴方到底駄目でせう。人に智恵を借つてやるよなことでは、何事業だつて、成功するものだありませぬよ。自分が自分を了解してゐられないのだから、……先づ……斯ういふと失礼だが……貴方の適業と云へば山賊でせう』 乙『これは怪しからぬ。私がそれ程悪人に見えますか。私も印度男子です。腐つても鯛、苟も納言の地位に登つた紳士の身であり乍ら、山賊が適任とは、余り御過言ではありますまいか』 甲『ハヽヽ、納言となれば何れ数百人の小泥棒を監督してゐられたでせう。さうすれば貴方は今日迄、立派な役人と表面上見えて居つても、寒賊の親分だ、寒賊が山賊になるのは、適材を適所に用ふるといふものです。あのオーラ山のヨリコ姫、シーゴー、玄真坊などを御覧なさい。堂々と山寨に立籠り、三千の部下を指揮し、王者然と控へてゐたではありませぬか。表面納言などと、こけ威しの看板を掲げ、レツテルを吊らくつて人民の膏血を絞り、賄賂をとり、弱者を苦しめ、強者の鼻息を窺ひ、且つ上長の機嫌を取り、女性的卑劣極まる偽善的泥棒を行つて居るよりも、シーゴーの様に堂々と泥棒の看板を掲げてやつてる方が、余程男らしいだありませぬか。今日の世の中は上から下迄泥棒斗りです。況して泥棒をせない官吏は一人もないでせう。人権蹂躙の張本、圧迫の権化、鬼の再来、幽霊の再生、骸骨の躍動、女房の機嫌取り、寒商の番頭などをやつてゐるよりも、幾数倍か山賊の方が男性的でせう、ハヽヽヽヽ。イヤ失礼、天性の皮肉屋、悪口屋ですから、何うぞ大目にみて下さい……イヤ大耳に聞いて下さい』 シーゴーは二人の話を、背をそむけ乍ら、耳をすまして聞いてゐた。そして時々微笑したり、溜息をついたり、或時は肩をそびやかしたり、平手で額口を打つたり、両方の手で顔を拭ふたり、頭を掻いたりしてゐた。そして彼シーゴーは自分が今迄、オーラ山でヨリコ姫を謀師とし、山賊の大頭目として豺狼の如き悪人輩を使役してゐたのは、余り良心に恥づる行動でもなかつた、印度男子の典型は俺だ、如何にも寒狸といふ奴、卑怯未練な小泥棒だ、到底俺の敵ではない。ヤツパリ俺は偉いワイ、三五教の梅公さまの威徳に打れて、神の道に改悛帰順を表したものの、今となつて考へてみれば実に惜しいことをした。最早六日の菖蒲十日の菊だ。併乍ら俺が偉いのではない、ヨリコ姫女帝の縦横の智略、権謀術数的妙案奇策が与つて力あつたのだ。ヨリコさま女帝も此話は耳に入つただろ、どうか自分と同様に心を翻へして呉れないか知らん。大黒主だつて大泥棒だ、勝てば善神、負くれば悪神だ。善悪正邪は要するに優勝劣敗の称号だ。なまじひ、菩提心を起し、宗教なんかに溺没したのは一生の不覚だつた。今の話で聞くと、宗教家だつてヤツパリ一種の泥棒だ。世の中に顔だとか、恥だとかいつて気にかけてるよな小人物では、生存競争の激烈なる現代に立つて、生存するこた出来ない。あゝ何うしたら可からうかな。一旦男の口から神仏に誓つて悔い改めますと云つた以上、此宣誓を撤回する訳にもいかない。それでは男子たるの資格はゼロになつて了ふ……と吐息をついてゐる。ヨリコ姫は微笑を泛べ乍ら、シーゴーの前に進み来り、 『村肝の心の空に雲立ちて 月日は暗に包まれにける。 右やせむ左やせむとシーゴーが 動く心の浅ましきかな。 男子てふものの心の弱きをば 今目のあたり見るぞうたてき。 惟神神のまにまに進みゆけ 救ひの舟に乗りし身なれば』 シーゴー『煩悩の犬に追はれて吾は今 あはや地獄に堕ちなむとせり。 うるはしき汝が言霊聞くにつけ 胸の雲霧晴れわたりける』 ヨリコ『み救ひの神船に乗りし吾々は 神のまにまに世を渡りなむ』 ヨリコ姫はシーゴーの手を執り、船舷に立ち、東方に向つて折柄昇る旭を拝し、梅公に導かれて宣伝の旅に着きたる事を感謝し、且天地に向つて次の如き誓ひを立てた。 『一、愛善の徳と信真の光に充ち智慧証覚の源泉に坐す天地の太祖大国常立大神の御神格に帰依し奉り、天下の蒼生と共に無上惟神の大道を歩まむことを祈願し奉る。 二、大祖神の宣示し給ひし惟神の大道を遵奉し、愛善信真の諸光徳に住し、大海の如き智慧証覚の内流を拝し、天下の蒼生と共に斯の大道を遵奉し、三界を通じて神子たるの本分を完全に保持し、神の任さしの神業に奉仕せむ事を祈願し奉る。 三、天下の蒼生を愛撫し、神業を完成し、厳瑞二霊の大神格を一身に蒐め、神世復古万有愛の実行に就かせ給ふ伊都能売神柱の神格に帰依し、絶対的服従の至誠を以て神業に参加し、大神の聖慮に叶ひ奉り、一切無碍の神教を普く四海に宣伝し、斯道の大本を以て暗黒無明の現代を照暉し、神の御子たるの本分を竭し奉らむ事を誓ひ奉り、罪悪の身を清め免るし給ひて、神業の一端に使役されむことを祈願し奉る』 (大正一三・一二・二新一二・二七於祥雲閣松村真澄録)
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霊界物語 67_午_ハルの湖/タラハン国の国政改革1 05 浪の皷 第五章浪の皷〔一七〇七〕 波切丸の甲板の上にて笑の座が開かれ甲乙二人の問答を聞いて、今迄の悪業を改め三五の道に翻然として帰順したるシーゴーは又もや御霊の土台がグラつき出し、再びもとの山賊に立帰り、飽迄大胆不敵に山賊万能主義を発揮せむかと決心の臍を極め、良心忽ち邪鬼となり、悪魔となり大蛇とならむとせし危機一髪の刹那ヨリコ姫が誡の歌に悔悟し、地獄陥落の危険を免れた。ヨリコ姫はタライの村に開墾事業に従事して居ると思つて居たシーゴーが、いつの間にか波切丸に乗り込み吾傍に在りしを見て怪訝の念に打たれ乍ら言葉静に丹花の唇を開いて稍微笑を泛べながら、 ヨリコ『其方はシーゴーさまぢやないか。タライの村に堅気となつて、開墾事業に従事して居らるるだらうと思つて居たのに、いつの間に其方は吾船に乗り込んで居たのだい』 シーゴー『ハイ、宣伝使一行が、ハルの湖を渡つてバルガン城へお出になると聞き、どうかしてスガの港迄お送りしたいと存じ、先へ廻つて波切丸の船底に身を潜め、蔭ながら御保護の任に当つて居たのです。この湖は沢山の海賊が居ますので、もし途中に御難があつてはと存じ、改心と報恩の為に窃に御同船を願つたので厶います』 ヨリコ『これシーゴーさま、御親切は有難いが、何と云つても猪喰つた犬のヨリコが乗り込んで居る以上大丈夫です。其お心遣ひは御無用にして、一日も早く民衆幸福の為めに開墾事業にかかつて下さい。さうして其方は今二人の船客の話を聞いて、折角黎明に向つた霊を暗黒界へ投げ入れやうとして居たではないか。万一妾が傍に居なかつたなら、其方は再び天地容れざる大悪魔となつて身を滅ぼし来世の地獄を作る所だつたよ。男子は一旦決心した事を翻すものではありませぬよ。些と考へて下さい。私は其方の為に大変に気を揉んで居るのだから』 シーゴー『ハイ有難う厶います。動もすれば押へ付けておいた心の鬼が頭を擡げ出し、「此世の中に神も仏もあるものか。善だとか愛だとか、信仰だとか、誠だとか云ふものは偽善者どもが世の中を誑かる道具に過ぎないのだ。女々しい事を思ふな。今の世の中は弱肉強食、優勝劣敗だ。勝てば官軍負れば賊、強者はいつも善人と呼ばれ弱者は悪人視せらるるのが現代の趨勢だ。何を苦しんで男らしくもない改心などをするのだ。なぜ徹底的に悪を遂行しないか。畢竟善と云ひ悪と云ふのも世の中の一種の標語だ。善も悪も有つたものか」と囁きますので開墾事業などはまどろしくなつて、「矢張り遊んで大親分となつて暮す山賊事業が壮快でもあり、男性的でもあり英雄的でもある」と、時々良心の奴がグラついて来るのです。併し乍ら女帝の御訓戒に依つて漸く危険区域を脱出したやうです。何分悪に慣れた私の事ですからスガの港迄どうぞお伴をさして下さい。さうして其間に宣伝使や貴女の御薫陶を受け快濶に善の為めに活動したいもので厶います』 ヨリコ『アヽそれは善い所へ気がついた。妾も一安心をしましたよ。宣伝使の梅公様がこんな事をお聞になつたならばきつと笑はれるでせう。妾もさう心のグラつくお前さまを今迄使つて居たかと思はれては赤面の至りですからなア』 シーゴーは嬉し涙を腮辺に垂らしながら黙々としてヨリコ姫に向ひ合掌して居る。海の静寂を破つて梅公の口より音吐朗々と独唱する神仏無量寿経が甲板上に響渡つた。 神仏無量寿経 第一神王伊都能売の大神の大威徳と大光明は最尊最貴にして諸神の光明の及ぶ所にあらず。或は神光の百神の世界、或は万神の世界を照明するあり。要するに東方日出の神域を照らし、南西北、四維上下も亦復斯の如し。嗚呼盛なる哉伊都能売と顕現し玉ふ厳瑞二霊の大霊光、是の故に天之御中主大神、大国常立大神、天照皇大御神、伊都能売の大神、弥勒大聖御稜威の神、大本大御神、阿弥陀仏、無礙光如来、超日月光仏と尊称し奉る。 それ蒼生にして斯の神光に遭ふものは、三垢消滅し身意柔軟に歓喜踊躍して、愛善の至心を生ず。三途勤苦の処にありて、斯神の大光明を拝し奉らば、孰も安息を得て、又一つの苦悩無く、生前死後を超越し、坐し乍ら安楽境に身を置き、天国の生涯を送ることを得べし。 斯神の大光明は顕赫にして、宇内諸神諸仏の国土を照明したまひて聞えざることなし。只吾が今其の神光霊明を称へ奉る而己ならず、一切の諸神諸仏、清徒声聞求道者縁覚諸々の宣伝使、諸々の菩薩衆、咸く共に歎称悦服帰順し玉ふこと亦復是の如し。若し蒼生ありて其光明の稜威と洪徳を聞きて日夜称説し信奉して、至心にして断えざれば、心意の願ふ所に随ひて、天国の楽土に復活する事を得べし。諸々の宣伝使、菩薩、清徒声聞の大衆の為に、共に歎誉せられて其の洪徳を称へられ、其然る後に成道内覚を得る時に至り、普く三界十方の諸神諸仏、宣伝使、菩薩の為めに、其の光明を歎称せられむこと亦今の如くなるべし。嗚呼吾伊都能売の大神の神光霊明の巍々として殊妙なることを説かむに昼夜一劫すとも尚未だ尽すこと能はず。爾今の諸天人及び後世の人々、神明仏陀の神教経語を得て当さに熟ら之を思惟し、能く其中に於て心魂を端し、行為を正しうせよ。瑞主聖王、愛善の徳を修して、其下万民を率ひ、転た相神令して、各自ら正しく守り、聖者を尊び、善徳者を敬ひ、仁慈博愛にして、聖語神教を遵奉し、敢て虧負すること無く、当さに度世を求めて、生死衆悪の根源を抜断すべし。当さに天の八衢、三途無限の憂畏苦痛の逆道を離脱すべし。 爾等、是に於て広く愛善の徳本を植え、慈恩を布き、仁恵を施こして、神禁道制を犯すこと無く、忍辱精進にして心魂を帰一し、智慧証覚を以て衆生を教化し、徳を治め、善を行ひ、心魂を浄め、意志を正しうして、斎戒清浄なること一日一夜なれば、則ち無量寿の天国に在りて、愛善の徳を治むること百年なるに勝れり。如何となれば彼の神仏の国土には、無為自然に、皆衆善大徳を積みて毫末の不善不徳だも無ければなり。此に於て善徳を修め信真に住すること十日十夜なれば、天国浄土に於て愛善の徳に住し、信真の光明に浴すること、千年の日月に勝れり。其故如何となれば、天国浄土には善者多く、不善者少なく、智慧証覚に充たされ、造悪の余地存せざればなり。唯自然界、即ち現界のみ悪業多くして、惟神の大道に背反し、勤苦して求欲し、転た相欺き心魂疲れ、形体困み、苦水を呑み、毒泉を汲み、害食を喰ひ、是の如く怱務して、未だ嘗て寧息すること無し。 吾爾等蒼生の悲境苦涯を哀れみ、苦心惨澹誨諭して教へて善道を修めしめ、器に応じて開導し、神教経語を授与するに承用せざることなく、意志の願ふ所に在りて悉皆得道せしむ。聖神仏陀の遊履する所、国邑丘聚化を蒙らざることなし。天下和順し、日月清明、五風十雨、時に順ひ、十愁八歎無く、国土豊にして、民衆安穏なり。兵戈用無く、善徳を崇び、仁恵を興し、努めて礼譲を修む。 吾爾等諸天、及び地上蒼生を哀愍すること父母の如く、愛念旺盛にして無限なり。今吾此の世間に於て、伊都能売の神となり、仏陀と現じ基督と化り、メシヤと成りて、五悪を降下し、五痛を消除し、五焼を絶滅し、善徳を以て、悪逆を改めしめ、生死の苦患を抜除し、五徳を獲せしめ、無為の安息に昇らしめむとす。瑞霊世を去りて後、聖道漸く滅せば、蒼生諂偽にして、復衆悪を為し、五痛五焼還りて前の法の如く久しきを経て、後転た劇烈なる可し。悉く説く可からず。吾は唯衆生一切の為に略して之を言ふのみ。 爾等各善く之を思ひ、転た相教誨し聖神教語を遵奉して敢て犯すこと勿れ。あゝ惟神霊幸倍坐世。 伊都能売の大神謹請再拝 ○ ヨリコ姫もシーゴーも花香も船客一同も襟を正し甲板上に坐り直して、合掌しながら感涙にむせびつつ、梅公宣伝使の読経を恭しく聴聞した。梅公は一同に目礼しながら階段を下り、吾居間に入つて休息した。ヨリコ姫、花香、シーゴーも各自分の船室に入り、ドアーを固く鎖して瞑想に耽つて居る。ヨリコ姫は吾居間にあつて神恩の高きを思ひ、暗黒の淵より黎明の天地に救はれたる歓喜の思ひに満ち乍ら、声も静かに神徳を讃美して居る。其歌、 子 伊都の御霊の大御神出現ませし其日より 早三十年を経たまへり法身光明きはもなく 暗黒世界を照らし給ふ。 丑 愛と信との光明は無明の暗を照らしつつ 一念歓喜し信頼しまつらふ人を天国の 真楽園に生ぜしめ給ふ。 寅 皇大神の霊暉より無碍光威徳洪大の 信と愛とを摂受して瑞の御霊と向上し 菩提の清水を汲ませ給ふ。 卯 愛と善との神徳と虚偽と悪との逆業は 水と氷の如くにて氷多きに水多し 障多きに徳多し。 辰 五濁悪世の万衆の選択神に在しますと 信じまつれば不可称辞不可説不可思議もろもろの 御徳は爾の身に充たむ。 巳 愛と善との大徳と信と真との大慈光 蒙ぶる神の道の子は法悦道に進み入り 安養世界に帰命せむ。 午 生死の苦海は極み無し久永に沈める蒼生は 伊都能売主神の御船のみ吾等を乗せて永遠の 天津御苑へ渡すなり。 未 五六七如来の大作願苦悩の有情を捨ずして 万有愛護の御誓ひ信真光をば主となして 愛善心をば成就せり。 申 五六七如来の神号とそれの光徳智証とは 無明長夜の暗を破し所在一切万衆の 志願を充たせ給ふなり。 酉 吾罪業を信知して瑞霊の教に乗ずれば すなはち汚穢の身は清く全天界に昇往し 法性常楽証せしめ給ふ。 戌 厳瑞慈悲の大海は智愚正邪の波も無し 神の誓ひの御船に乗りて苦界を渉り行く その身は愛風に任せたり。 亥 多生曠劫斯の世まで愛護を受けし此の身なり 厳瑞二霊に真心を捧げ奉りて神徳の 高きを称へ奉るべし。 花香姫は梅公宣伝使の広大無辺なる神格や艶麗にして犯すべからざる神格の備はれる其の容貌の尊さを胸に浮かべながら、神の化身ならずやと憧憬のあまり大神の神徳を讃美した。其歌、 子 暗黒無明の現界を憐れみ玉ひて伊都能売の 神の慈光の極みなく無碍光如来と現はれて 安養世界を建て玉ふ。 丑 伊都能売霊魂の光には歓喜清浄愛と信 充満なして其智証顕神幽に貫徹し 天人地人を息ましむ。 寅 顕神幽の三界の天人及び蒼生は 厳瑞二霊伊都能売の御名に依りて信真の 大光明に喜悦せむ。 卯 金剛不壊的信仰の定まる時を待ち得てぞ 伊都能売御魂の聖霊光普く照護し永遠に 生死を超越させたまふ。 辰 悪と虚偽との逆徳に遮断せられて摂取の 大光明は見えねども愛の全徳幸はひて 常に吾身を照らすなり。 巳 東西両洋の聖師等哀愍摂受を怠らず 愛と信とを世に拡め天下の蒼生隔てなく 信楽境に入らしめよ。 午 救世の聖主に遇ひ難く瑞霊の教聞きがたし 神使の勝法聞くことも稀なりと云ふ暗の世に 聴くは嬉しき伊都能法。 未 三千世界一同に輝く光明畏みて 神の御名とおん教聴き得る人は常永に 不退転位に進むなり。 申 聖名不思議の海水は悪逆無道法謗の 屍体も止めず衆悪の万河一つに帰しぬれば 功徳の潮水に道味あり。 酉 伊都能売御魂の御神徳尽十方無礙なれば 愛と信との海水に煩悩不脱の衆流も 遂に無限の道味あり。 戌 悪と虚偽とに充されし吾等は神にまつろひて 愛と善との徳に居り信と真との光明に 浴して御国に昇り得む。 亥 聖教権仮の方便に万衆久しく止まりて 三界流転の身とぞなる神に信従する身魂は 一乗帰命す天津国。 ○ 俄に湖面は北風徐に起つて白帆を膨らませ、波上をほどほどに辷りだした。舷を打つ浪の音は、御世太平を謡ふ皷の如く、穏かに聞えて来る。恰も救世の御船に乗つて天国浄土の楽園に進むの思ひがあつた。あゝ惟神霊幸倍坐世。 (大正一三・一二・二新一二・二七於祥雲閣加藤明子録)