第二三章神暉(しんき)〔一五七三〕 第二二二 一 黄昏(たそが)れて家路(いへぢ)(とほ)(まよ)(とき) ()()(てら)(いづ)大神(おほかみ)。 二 御恵(みめぐみ)稜威(いづ)(ひかり)(やみ)()も いと(あきら)けくなりにけるかな。 三 人足(ひとあし)()()(やみ)(まつぶさ)(てら)(たま)はば(すす)()かなむ。 四 (わが)(よわ)(あし)(まも)りて山阪(やまさか)を いと(やす)らけく(わた)らせ(たま)へ。 五 (さだ)めなき()にさすらひて()(かげ)(おそ)(きた)るを(おそ)(をのの)く。 六 皇神(すめかみ)(めぐみ)(ひかり)なかりせば 常世(とこよ)(やみ)如何(いか)(わた)らむ。 七 皇神(すめかみ)()にも(やま)にも永遠(とことは)(ひかり)()げて(めぐ)(たま)ひぬ。 八 (いにしへ)(いづ)(ちから)(かく)しつつ 五六七(みろく)御代(みよ)()(たま)ひけり。 九 永久(とこしへ)()(あけぼの)となりぬれば ()(ほろ)()(ひと)もありけり。 一〇 麻柱(あななひ)(みち)友垣(ともがき)()(つど)()(さか)えつつ(かみ)(むか)ふる。 第二二三 一 (いや)(ひろ)智慧(ちゑ)(ちから)()(たま)(かみ)言葉(ことば)仇言(あだこと)はなし。 二 いと(よわ)(かみ)(しもべ)()(つき)(いづ)(ちから)()けて(さか)ゆる。 三 (ちり)()()(ひと)()神事(かみごと)(おろか)なるこそ(うたて)かりけり。 四 麻柱(あななひ)(のり)(ひかり)(かがや)きて (おろか)なる()(てら)して(あら)ふ 五 足曳(あしびき)(やま)より(たか)御恵(みめぐみ)を はかり()るべき(すべ)もなきかな。 六 和田津見(わだつみ)(そこ)よりも(ふか)(かみ)智慧(ちゑ)(くら)(わが)()如何(いか)()るべき。 七 (なや)(とき)(よろこ)(とき)(おし)()べて (かみ)(めぐみ)(ゆめ)(わす)れそ。 八 御恵(みめぐみ)(あめ)(うるほ)(ひと)()()うる(こと)なく(かわ)(こと)なし。 九 友垣(ともがき)家族(うから)親族(やから)(はな)るとも (かみ)(めぐみ)永久(とは)にはなれず。 一〇 (ひと)(おや)(あい)(めぐみ)(かぎ)りあり (かぎ)りなきこそ(かみ)御恵(みめぐみ)。 第二二四 一 月夜見(つきよみ)(かみ)(おん)()にひかれつつ 浮世(うきよ)(わた)()こそ(うれ)しき。 二 木枯(こがらし)()(すさ)びたる(ふゆ)()(めぐみ)(かみ)(とも)にまします。 三 (わが)身魂(みたま)いと(ねもごろ)(みちび)きて (かみ)神園(みその)(あそ)ばせ(たま)ふ。 四 ()きなやむ(けは)しき(やま)谷底(たにそこ)(かみ)としあれば(やす)()ぎまし。 五 ()(かは)荒波(あらなみ)いかで(おそ)れむや 御神(みかみ)(われ)(とも)にありせば。 第二二五 一 ()(まも)()御守(みまも)りと(つき)()(めぐみ)(かみ)()をば(みちび)く。 二 荒波(あらなみ)伊猛(いたけ)(くる)(なみ)()(みづ)御魂(みたま)(めぐみ)たふとし。 三 荒波(あらなみ)(とら)(ごと)くに()(たけ)(せま)()るともいかで(おそ)れむ。 四 (かみ)(われ)(とも)にいまさば曲津霊(まがつひ)(しこ)大蛇(をろち)もさやる(こと)なし。 五 (はる)()(はな)()(にほ)元津国(もとつくに)(ともな)(たま)(みづ)大神(おほかみ)。 第二二六 一 (ゆる)ぎなき(かみ)言葉(ことば)麻柱(あななひ)(きよ)めの(みち)(もとゐ)なりけり。 二 御言葉(みことば)(たよ)身魂(みたま)はスクスクと 常世(とこよ)(やみ)(やす)(わた)らむ。 三 (わが)(かみ)(わが)()(あい)(した)しみて 夜昼(よるひる)もなく(まも)らせ(たま)ふ。 四 御恵(みめぐみ)(うづ)御手(みて)こそいや(つよ)(わが)()()ひて(はな)れまさねば。 五 (くる)しみの(かは)(ふか)くともためらはず (すす)みて()かむ(かみ)のまにまに。 六 (よろこ)びの彼方(あなた)(きし)(わた)らひの (かみ)(われ)()(とも)にありけり。 七 (わが)身魂(みたま)(みが)かせ(たま)御心(みこころ)()()えたちぬ彼方(あなた)此方(こなた)に。 八 瑞御魂(みづみたま)(うづ)守護(まもり)のある(うへ)()()くを()(みづ)(をか)さじ。 九 霜雪(しもゆき)(かしら)(つも)(おい)()(かみ)(めぐみ)にあたためられつつ。 一〇 (かは)りなき(かみ)(めぐみ)にある(われ)は いと(やす)らけく(さか)()くべし。 第二二七 一 荒野原(あれのはら)(みち)にさまよふ(わが)(たま)(てら)させたまへ(いづ)大神(おほかみ)。 二 (みづ)御魂(みたま)(めぐみ)(つゆ)(くだ)しつつ (くら)きに(まよ)(たま)(うるほ)す。 三 (ひと)()(ちから)となりて夜昼(よるひる)区別(わかち)もなしに(まも)(わが)救主(きみ)。 四 いと(やす)由良川(ヨルダンがは)(なみ)()(うづ)聖地(せいち)(のぼ)らせ(たま)へ。 五 永久(とこしへ)()きぬ(なが)れは皇神(すめかみ)(めぐみ)(つゆ)(あふ)れしならむ。 第二二八 一 (つみ)(ふか)(わが)現身(うつそみ)(たましひ)(かみ)(きよ)めによりて(やす)けし。 二 ()(なか)(わざ)(いとな)折々(をりをり)(くだ)らせ(たま)(かみ)御恵(みめぐみ)。 三 (かな)しみの(あめ)しきりなる(ゆふべ)にも いと(やす)らけし(かみ)(ふところ)は。 四 (おや)()(とほ)(はな)れて()むとても いと(やす)らけし(かみ)(をし)()。 五 陸奥(みちのく)深山(みやま)(おく)()むとても (かみ)としあれば(こころ)(やす)けし。 六 仮令(たとへ)()()()つるとも(たましひ)常世(とこよ)(はる)(やす)()むべし。 七 瑞御魂(みづみたま)(なさけ)御手(みて)にすがりつき (やす)御国(みくに)(すす)(うれ)しさ。 第二二九 一 ()(ほろ)()はいつしかに()つるとも (なに)(おそ)れむ(かみ)とありせば。 二 許々多久(ここたく)(つみ)(きよ)めを()しと()(みづ)御魂(みたま)御声(みこゑ)(たふと)し。 三 身体(からたま)(とき)(たから)(みな)(かみ)(もの)とし()けば(ささ)げまつらむ。 四 身体(からたま)(しぼ)みて()ちて()するとも 生命(いのち)(くに)(よみがへ)()く。 五 永久(とこしへ)歓喜(よろこび)(あふ)御栄光(みさかえ)()きぬは(かみ)御国(みくに)なりけり。 六 厳御魂(いづみたま)あれます(かみ)花園(はなぞの)()()(ひと)(うづ)御子(みこ)なり。 第二三〇 一 御恵(みめぐみ)のもとに(あつ)まる(ひと)()は いかなる(わざ)(やす)()げなむ。 二 (みどり)なす牧場(まきば)(われ)(やす)ましめ (のぼ)らせ(たま)(よる)なき(くに)へ。 三 (ほろ)()(わが)(たましひ)()(かへ)(ひかり)(みち)(みちび)(たま)ふ。 四 ()して(のち)(しこ)谷間(たにま)()くとても いかで(おそ)れむ(かみ)とありせば。 五 御教(みをしへ)(めぐみ)あふるる(むしろ)には (しこ)曲霊(まがひ)(つど)(すべ)なし。 六 永久(とこしへ)(かみ)御国(みくに)にある(かぎ)()(さいはひ)()くる(こと)なし。 第二三一 一 高天原(たかあまはら)永久(とこしへ)(しづ)まりゐます大御神(おほみかみ) 月日(つきひ)御魂(みたま)(くだ)しまし世人(よびと)(むね)(てら)さむと (いづ)言霊(ことたま)()(つた)(いや)永久(とこしへ)人草(ひとぐさ)(たま)(まも)りて故郷(ふるさと)(かへ)らせ(たま)(おん)仕組(しぐみ) (あふ)ぐも(かしこ)麻柱(あななひ)教柱(をしへはしら)大御神(おほみかみ)。 二 (まこと)(ひと)つの麻柱(あななひ)(をしへ)(みち)永久(とこしへ)生命(いのち)(つな)よと(あふ)ぎつつ(いづ)御霊(みたま)瑞御霊(みづみたま) ()らせ(たま)へる言霊(ことたま)(あさ)(ゆふ)なに(かしこ)みて (まも)身魂(みたま)御光(みひかり)(かがや)(わた)故郷(ふるさと)(やす)(たの)しく(かへ)るべし(あふ)(よろこ)(かみ)(とく)。 三 (いのち)(きみ)とあれませる(みづ)御霊(みたま)(つき)(かみ) (かみ)(しもべ)朝夕(あさゆふ)(いさ)(つか)ふる(ひと)()(まも)らせ(たま)(わざはひ)(なげ)(かな)しむ折々(をりをり)()きぬ希望(のぞみ)(あた)へまし身魂(みたま)()たしめ(たま)へかし。 四 無限(むげん)絶対(ぜつたい)無始(むし)無終(むしう)宇宙(うちう)(あるじ)とあれませる 大国常立(おほくにとこたち)大御神(おほみかみ)その分身(ぶんしん)(あら)はれし (いづ)(みづ)との神御霊(かむみたま)(いや)永久(とこしへ)生命(いのち)をば (かみ)御子(みこ)なる人草(ひとぐさ)(あた)(たま)ひし(たふと)さよ (われ)()(かみ)()(かみ)(みや)いかなる(わざはひ)(きた)るとも 大御心(おほみこころ)とあきらめて(ただ)一歩(ひとあし)退(しりぞ)かず 御神(みかみ)(ため)(すす)むべし(まも)らせ(たま)惟神(かむながら) 御幸(みさち)(いの)(たてまつ)る。 (大正一二・五・九旧三・二四北村隆光録)