第七章神地〔一五五七〕
第六二
一
天津御空に集ひます神の使よ詳細に
洽く世人に伝へませ珍の聖地に逸早く
来りて拝めよ厳御魂瑞の御魂の御柱をと。
二
教を伝ふる神司身もたなしらに励みて
空より来る清めの神の声を畏み逸早く
厳の御魂や瑞御魂下りましたる綾の園
来りて拝めよ清めの主を。
三
形の上に囚はれし学びの司よ逸早く
綾の聖地にあれ給ふ此上なく尊き御光を
尋ね来りて大稜威崇め奉れよ厳御魂
瑞の御魂の清めの主を。
四
神の御霊を宿したる翁嫗よ逸早く
綾の御そのに上り来て清めの主の御前に
心の限り告げ奉れ汝等を浄めむ其為に
天より降りし瑞御魂五六七の神の御前に。
五
寄辺渚の捨小舟とりつく島もなく斗り
憂ひに沈む人々よ綾の聖地に上り来て
清めの主を伏し拝み身魂を清く明けく
鍛へ奉れよ神の前五六七の神は天降りまし
恵みの御手を伸べさせて汝が身魂を救ふべし
あゝ惟神々々神の御稜威ぞ尊けれ。
第六三
一
天津使の宣る歌は御空を渡り地に響く
神の一人子と現れませる瑞の御魂は御空より
地上に降り給ひぬと。
二
更生主は降りて世の為に賤の御舟となり給ひ
宝座となりて現世の穢れし人の身魂をば
珍の宮居となし給ふ。
三
高き低きも押並べて神の御子なる厳御魂
清めの主を祝ひませ望みの光の天地に
充てる東の月光を称へ奉れよ人の子よ。
四
厳の御魂よ瑞御魂吾等を清むる神柱
御側に近く吾魂を住まはせ給へ現身の
生命の更生主よ永遠に吾等と共にましませよ。
第六四
一
三千年あまる古に初めて天より降りまし
御代を守りし厳御魂瑞の御魂の訪れを
あかして茲に千万の妙なる歌となりにけり。
二
世を艮に隠れたる厳の御魂の表はれて
三千世界の梅の花薫る常磐の春は来ぬ
二度天の岩屋戸を開きて暗夜を照します
その神業を祝ぎて今千万の称へ歌
いとも清けくなりにけり。
三
老も若きも皆歌へ恵の日光は春の如
長閑に天地に輝きて冬の夜半さへ春景色
変りし五六七の神の世を祝ひて百千の歌成れり。
四
八十路の坂を越え乍ら罪の重荷を負ひたまひ
世人を清め助けむと国常立の命もて
現はれ給ひし厳御魂その御恵を称へむと
百千万の歌成れり。
第六五
一
青人草に御恵の露をば降らせ荒金の
土には平安を来しつつ神には御栄光あれかしと
謳ふも清き神の御子天津使の涼しげに
謳ふ御声は春霞遥かに更行く夜の耳に
いと賑しく響きけり。
二
瑞の御魂の更生主数多の使と諸共に
つかれし此世を守らむと綾の高天に降りまし
騒ぎ悲しむ都路や苦しみ悩む鄙にさへ
慰め与ふる言霊の栄光の歌を宣り給ふ。
三
罪の重荷を背負ひつつ浮世の旅路に行き悩む
いとも憐れな人の子よ頭をもたげて大空に
輝き渡る喜びの光を謳ふ神人の
いと楽しげな御声をば聞きて安けく憩へかし。
四
天津御国の御使の清けき歌に地の上は
平安と栄光と歓喜の雨は頻りに降り来る
代々の聖者のあこがれて待ちに待ちたる神国に
五六七の神を仰ぎ見て清めの主と称へつつ
普く此世に住める民声を揃へて御恵の
広き厚きを謳はなむ。
第六六
一
心の限り身のかぎり天津御神や国津神
拝み奉り吾魂を清め助くる瑞御魂
功績を称へて勇みたつ。
二
卑しき此身も捨てまさず御使人となし玉ひ
堅磐常磐の御末まで恩頼を幸ひて
恵ませ玉ふ嬉しさよ。
三
神の御名はいと清くその神業は畏けれ
世々に絶えせぬ慈愛真心こめて朝夕に
伊仕ひ奉る人こそは宇豆の恵を受くるなり。
四
憂瀬に落ちて悩みたる孱弱き人を救ひ上げ
高天原の神国に進ませ給ふ有難さ
心驕れる曲神を言向和し雲霧も
朝の御霧と打払ひ守らせ給ふ尊さよ。
五
此世を照す神の子の御裔を永久に省みて
五十鈴の川の流れをば忘れ玉はず永久に
洗はせ玉ふ瑞御魂その功績ぞ尊けれ。
第六七
一
御空に清く澄渡り響くは何の調ぞや
天津使の寄り合ひて神の稜威の妙なるを
歌ひ舞ひつつ叫ぶ声。
二
世の大本を造らしし誠一つの皇神に
御栄えあれとすがしくも合ひたる歌の声清し。
三
神の恵みの訪れは高天原は言ふも更
豊葦原のはてまでも神のまにまに響き行く。
四
瑞の御魂の更生主天津御神の御言もて
地上に生れ給ひけり島の八十島八十の国
至らぬ隈なく住む人は清く迎へて御栄光の
誠の更生主と仰ぐべしあゝ惟神々々
五六七の御代ぞ有難き。
第六八
一
厳の御魂の清め主天より降り玉ひけり
求ぎてや行かむ綾の里清き御声を聞かむため。
二
賤が伏屋に生れましし教御祖の厳御魂
直日の主の神代は誠の神の御柱ぞ
仰ぎ敬へ百人よ。
三
天にまします皇神に御栄光あれと歌ひつる
天津使の声すなり此地の上に住む人も
皆押並べて御光を賞め称へつつ村肝の
心の玉を研くべしいや永久の御言葉は
今更めて降りけり五六七の御代の来る日を
待ち佗びゐたりし諸人よ己が御幸を祝ふべし。
第六九
一
御空に閃めく千万の伊都の星光眺むれば
神の御威稜を永遠に謳ひ奉れど罪人の
清めの頼りと仰ぎてし光は高き花明山の
御空に輝く三つの星。
二
黒白も分かぬ暗の夜に嵐は烈しく吹き猛り
荒れに荒れたる海原に漂ふ舟は危くも
今や沈むと死を待ちし悲しき時に只一つ
望みとなりしは花明山の空に輝く三つの星。
三
嵐を残し暗を後に見捨てて船路恙なく
神の港に来りけり今より夜な夜な畏れ謹みて
御空を仰ぎ手を拍ちて称へ謳はむ花明山の
空に輝く三つの星。
第七〇
一
野山の草木も花咲く春を焦れて楽しく眠りつつ
木枯荒ぶ冬の夜の悩みも知らぬ神心
天と地とに隈もなく望みは充ちて月の神
瑞の御魂の御誓ひのなる日を静かに待ち暮す
人こそ実にも尊けれ。
二
雨と露との霑ひに百の草木も茂るなり
草木によりて諸々の生きたるものは皆育つ
己の命を捨ててこそ始めて愛の御業をば
詳細に委曲に遂ぐるなり。
三
元津御祖の皇神も背きし御子を憐れみて
瑞の御魂の珍の子に千座の置戸を負はせつつ
世人の為に御空より降し玉へる有難さ
限りも知らぬ皇神の恵みの露の畏さを
如何にうつさむ術もなし。
四
天津御空に御使の輝く群を伏し拝め
涼しく響く琴の音にいとも清けく耳すませ
妙なる神の御歌に寄りて御国と此世界
日月の調は整ひぬ。
五
背きし仇を弥深く慈みます瑞御魂
此世の清めの御柱と貴の聖地に現れましぬ
いざ人々よ身も魂も捧げて今宵の御恵を
心の限り祝へかし。
六
天地も清き今宵こそ昔の神代ぞ偲ばるる
島の八十島八十の国神の御国と変り行く
五六七の末の代偲ぶ時喜び溢れて歌となりぬ。
第七一
一
東の空に輝ける星をしるべに道遠く
たづね来りし識者が救ひの御子に会ひし如
今も吾等を御前に導き玉へと願ぎまつる。
二
喜び胸に充ち溢れ天津御神の一人子を
馬槽に近づき拝みたる人の如くに吾々も
瑞の御魂の更生主仰がせ玉へと願ぎ奉る。
三
竜の宮居の皇神の授け玉ひし玉手筥
開きし如く大前に礼代通して吾宝
一つも残さず大前にいたさせ玉へと願ぎ奉る。
四
狭き野道も嶮しき坂も踏みあやまらで草枕
旅路終らば望月のしるべを頼らむ神国に
入らしめ玉へと願ぎ奉る。
五
天津御国を永遠に照す光は現世の
目に見る月日に非ずして永遠の栄光の御神なり
神の御子と生れたる吾等は朝夕潔く
神の称への御声を歌はせ玉へと祈ぎ奉る。
(大正一二・五・二旧三・一七北村隆光録)
No.: 2795