| 番号 (No.) |
書籍 | 巻 | 章 | 内容 |
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1 (203) |
ひふみ神示 | 6_日月の巻 | 第30帖 | おのころの国成り、この国におりましてあめとの御柱見立て給ひき。 |
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2 (213) |
ひふみ神示 | 6_日月の巻 | 第40帖 | ここに伊邪那美の命語らひつらく、あれみましとつくれる国、未だつくりおへねど、時まちてつくるへに、よいよ待ちてよと宣り給ひき。ここに伊邪那岐 命、みましつくらはねば吾とつくらめ、と宣り給ひて、帰らむと申しき。ここに伊邪那美 命九聞き給ひて、 御頭に大雷、オホイカツチ、 胸に火の雷、ホノイカツチ、 御腹には黒雷、黒雷、 かくれに折雷、サクイカツチ、 左の御手に若雷、ワキ井カツチ、 右の御手に土雷、ツチイカツチ、 左の御足に鳴雷、ナルイカツチ。右の御足に伏雷、フシ井カツチ、なり給ひき。 伊邪那岐の命、是見、畏みてとく帰り給へば、妹伊邪那美 命は、よもつしこめを追はしめき、ここに伊邪那岐 命黒髪かつら取り、また湯津々間櫛引きかきて、なげ棄て給ひき。伊邪那美 命二の八くさの雷神に黄泉軍副へて追ひ給ひき。 ここに伊邪那岐 命十挙 剣抜きて後手にふきつつさり、三度黄泉比良坂の坂本に到り給ひき。坂本なる桃の実一二三取りて待ち受け給ひしかば、ことごとに逃げ給ひき。 ここに伊邪那岐 命桃の実に宣り給はく、汝吾助けし如、あらゆる青人草の苦瀬になやむことあらば、助けてよと宣り給ひて、また葦原の中津国にあらゆる、うつしき青人草の苦瀬に落ちて苦しまん時に助けてよとのり給ひて、おほかむつみの命、オオカムツミノ命と名付け給ひき。 ここに伊邪那美 命息吹き給ひて千引岩を黄泉比良坂に引き塞へて、その石なかにして合ひ向ひ立たしてつつしみ申し給ひつらく、うつくしき吾が那勢 命、時廻り来る時あれば、この千引の磐戸、共にあけなんと宣り給へり、ここに伊邪那岐 命しかよけむと宣り給ひき。 ここに妹伊邪那美の命、汝の国の人草、日にちひと 死と申し給ひき。伊邪那岐 命宣り給はく、吾は一日に千五百生まなむと申し給ひき。 この巻二つ合して日月の巻とせよ。十一月三十日、ひつ九のか三。 |
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3 (284) |
ひふみ神示 | 10_水の巻 | 第10帖 | 五大洲引繰り返って居ることまだ判らぬか。肝腎要の事ざぞ。七大洲となるぞ。八大洲となるぞ。
今の臣民に判る様に申すならば
御三体の大神様とは、
天之御中主 神様、
高皇産霊 神様、
神皇産霊 神様、
伊邪那岐 神様、
伊邪那美 神様、
つきさかきむかつひめの神様で御座るぞ。雨の神とは
あめのみくまりの神、
くにのみくまりの神、
風の神とは
しなどひこの神、
しなどひめの神、
岩の神とは
いわなかひめの神、
いわとわけの神、
荒の神とは
大雷のをの神、
わきいかづちおの神、
地震の神とは
武甕槌 神、
経津主 神々様の御事で御座るぞ。木の神とは
木 花開耶姫 神、
金の神とは
金かつかねの神、
火の神とは
わかひめきみの神、
ひのでの神とは
彦火々出見 神、
竜宮の乙姫殿とは
玉依姫の神様のおん事で御座るぞ。此の方の事何れ判りて来るぞ。今はまだ知らしてならん事ぞ。知らす時節近づいたぞ。六月十一日、みづの一二 |
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4 (789) |
ひふみ神示 | 31_扶桑の巻 | 第1帖 | 東は扶桑-二三-なり、日- |
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5 (813) |
ひふみ神示 | 32_碧玉之巻 | 第10帖 | 岩戸しめの始めはナギ(伊邪那岐命)ナミ(伊邪那美命)の命の時であるぞ、ナミの神が火の神を生んで黄泉国に入られたのが、そもそもであるぞ、十の卵を八つ生んで二つ残して行かれたのであるぞ、十二の卵を十生んだことにもなるのであるぞ、五つの卵を四つ生んだとも言へるのであるぞ、総て神界のこと、霊界のことは、現界から見れば妙なことであるなれど、それでちゃんと道にはまってゐるのであるぞ。一ヒネリしてあるのぢゃ、天と地との間に大きレンズがあると思へば段々に判りてくるぞ。夫神、妻神、別れ別れになったから、一方的となったから、岩戸がしめられたのである道理、判るであろうがな。その後、独り神となられた夫神が三神をはじめ、色々なものをお生みになったのであるが、それが一方的であることは申す迄もないことであろう、妻神も同様、黄泉大神となられて、黄泉国の総てを生み育て給ふたのであるぞ、この夫婦神が、時めぐり来て、千引の岩戸をひらかれて相抱き給う時節来たのであるぞ、うれしうれしの時代となって来たのであるぞ。同じ名の神が到るところに現はれて来るのざぞ、名は同じでも、はたらきは逆なのであるぞ、この二つがそろうて、三つとなるのぞ、三が道ぞと知らせてあろうがな。時来たりなばこの千引の岩戸を倶にひらかんと申してあろうがな。 次の岩戸しめは天照大神の時ぞ、大神はまだ岩戸の中にましますのぞ、ダマシタ岩戸からはダマシタ神がお出ましぞと知らせてあろう。いよいよとなってマコトの天照大神、天照皇大神、日の大神、揃ふてお出まし近うなって来たぞ。 次の岩戸しめは素盞鳴命に総ての罪をきせてネの国に追ひやった時であるぞ、素盞鳴命は天下を治しめす御役神であるぞ。天ヶ下は重きもののつもりて固まりたものであるからツミと見へるのであって、よろづの天の神々が積もる-と言ふ-ツミ(積)をよく理解せずして罪神と誤って了ったので、これが正しく岩戸しめであったぞ、命をアラブル神なりと申して伝へてゐるなれど、アラブル神とは粗暴な神ではないぞ、あばれ廻り、こわし廻る神ではないぞ、アラフル現生る-神であるぞ、天ヶ下、大国土を守り育て給う神であるぞ、取違ひしてゐて申しわけあるまいがな。このことよく理解出来ねば、今度の大峠は越せんぞ。絶対の御力を発揮し給ふ、ナギ、ナミ両神が、天ヶ下を治らす御役目を命じられてお生みなされた尊き御神であるぞ。素盞鳴の命にも二通りあるぞ、一神で生み給へる御神と、夫婦呼吸を合せて生み給へる御神と二通りあるぞ、間違へてはならんことぞ。 神武天皇の岩戸しめは、御自ら人皇を名乗り給ふより他に道なき迄の御働きをなされたからであるぞ。神の世から人の世への移り変りの事柄を、一応、岩戸にかくして神ヤマトイハレ彦命として、人皇として立たれたのであるから、大きな岩戸しめの一つであるぞ。 仏教の渡来までは、わずかながらもマコトの神道の光がさしてゐたのであるなれど、仏教と共に仏魔わたり来て完全に岩戸がしめられて、クラヤミの世となったのであるぞ、その後はもう乱れほうだい、やりほうだいの世となったのであるぞ、これが五度目の大き岩戸しめであるぞ。 |
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6 (1019) |
霊界物語 | 01_子_霊界探検/玉の争奪戦 | 22 国祖御隠退の御因縁 | 第二二章国祖御隠退の御因縁〔二二〕 大国常立尊の御神力によりて、天地はここに剖判し、太陽、太陰、大地の分担神が定まつたことは、前述したとほりである。しかして太陽の霊界は伊邪那岐命これを司りたまひ、その現界は、天照大御神これを主宰したまふのである。次に太陰の霊界は、伊邪那美命これを司りたまひ、その現界は、月夜見之命これを主宰したまふ。大地の霊界は前述のごとくに大国常立命之を司りたまひ、その大海原は日之大神の命によりて須佐之男命これを主宰したまふ神定めとなつた。 しかるに太陽界と、大地球界とは鏡を合したやうに、同一状態に混乱紛糾の状態を現出した。太陰の世界のみは、現幽両界ともに元のままに、平和に治まつてゐる。ひとり太陰に限つて、なぜ今でも平和に治まつてゐるかと言へば、この理は月の形を地上から観測しても明らかである如く、光はあれども酷烈ならず、水気はあつても極寒ではない。実に寒暑の中庸を得たる至善至美の世界であるからである。これに反して太陽の世界は、非常に凡てのものが峻烈で光は鮮かであり、六合に照徹する神力はあれども、それだけまた暗黒なる陰影が多い。しかしてまた大地は、もとより混濁せる分子の凝り固まつてできたものであるから、勢として不浄分子が多い。したがつてまた邪神の発生するのも、やむを得ない次第である。 そこで稚姫君命は、天稚彦と共に神命を奉じて天に上り、天界の神政を司らうとしたまうたが、御昇天の途上において、地上からつき従うた邪神どもにあやまられ、天地経綸の機織の仕組を仕損じたまひ、つひに地上に降りたまひて国常立命と共に地底に潜ませられ、あらゆる艱難苦労を忍びたまふの已むを得ざるに立ちいたつた。稚姫君命の御失敗の因縁については、後日詳しく述べることにする。 さて、大国常立命は天地間の混乱状態邪悪分子をば掃蕩して、最初の神界の御目的どほりの幽政を布かうと遊ばしたまうた。これについて国祖は、まづ坤金神を内助の役として種々の神策を企図したまひ、また、大八洲彦命を天使長兼宰相の地位に立たして、非常に厳格な規則正しき政を行ひ、天の律法を制定して、寸毫といへども天則に干犯するものは、罰するといふことに定めたまうた。そのために地上の年数にして数百年の間は非常に立派に神政が治まつてゐたが、世が次第に開けゆくにつれて、神界、幽界、現界ともに邪悪分子が殖えてきた。すなはち八百万の神人は、日増に大神の御幽政に対する不服を訴ふるやうになり、山川草木にいたるまで言問ひあげつらふ世になつた。 そこでやむを得ず宰相大八洲彦命は、国常立尊の御意志に背くと知りつつも、和光同塵の神策をほどこし、言問ひ、論争ふ八百万の神々を鎮定慰撫しつつ、ともかくも世を治めてゆかれたのである。 しかるにこのとき霊界は、ほとんど四分五裂の勢となり、一方には、盤古大神(又の御名塩長彦)を擁立して、幽政を主宰せしめむとする一派を生じ、他方には、大自在天神大国彦を押し立てて神政を支配し、地の高天原を占領せむとする神人の集団が出現し、その他諸々の神々の小集団は、或ひは盤古大神派に、或ひは大自在天神派に付随せむとし、また中には、この両派に属せずして中立しながら、国常立尊の神政に反対する神々も生じてきた。 そこで国常立尊はやむを得ず天に向つて救援をお請ひになつた。天では天照大御神、日の大神(伊邪那岐尊)、月の大神(伊邪那美尊)、この三体の大神が、地の高天原に御降臨あそばし給ひ、国常立尊の神政および幽政のお手伝ひを遊ばされることになつた。国常立尊は畏れ謹み、瑞の御舎を仕へまつりて、三体の大神を奉迎したまうた。然るところ、地上は国常立尊の御系統は非常に減少して勢力を失ひ、盤古大神および大自在天神の勢力はなはだ侮り難く、つひには国常立尊に対して、御退位をお迫り申すやうになつた。天の御三体の大神は、地上の暴悪なる神々にむかつて、あるひは宥め、或ひは訓し、天則に従ふべきことを懇に説きたまうた。されど、時節は悪神に有利にして、いはゆる……悪盛んにして天に勝つ……といふ状態に立ちいたつた。 ここに国常立尊は神議りに議られ、髪を抜きとり、手を切りとり、骨を断ち、筋を千切り、手足所を異にするやうな惨酷な処刑を甘んじて受けたまうた。されど尊は実に宇宙の大原霊神にましませば、一旦肉体は四分五裂するとも、直ちにもとの肉体に復りたまひ、決して滅びたまふといふことはない。 暴悪なる神々は盤古大神と大自在天神とを押し立て、遮二無二におのが要求を貫徹せむとし、つひには天の御三体の大神様の御舎まで汚し奉るといふことになり、国常立尊に退隠の御命令を下し給はむことを要請した。さて天の御三体の大神様は、国常立尊は臣系となつてゐらるるが、元来は大国常立尊は元の祖神であらせたまひ、御三体の大神様といへども、元来は国常立尊の生みたまうた御関係が坐します故、天の大神様も御真情としては、国常立尊を退隠せしむるに忍びずと考へたまうたなれど、ここに時節の已むなきを覚りたまひ、涙を流しつつ勇猛心を振起したまひ、すべての骨肉の情をすて、しばらく八百万の神々の進言を、御採用あらせらるることになつた。そのとき天の大神様は、国祖に対して後日の再起を以心伝心的に言ひ含みたまひて、国常立尊に御退隠をお命じになり、天に御帰還遊ばされた。 その後、盤古大神を擁立する一派と、大自在天神を押立つる一派とは、烈しく覇権を争ひ、つひに盤古大神の党派が勝ち幽政の全権を握ることになつた。一方国常立尊は自分の妻神坤金神と、大地の主宰神金勝要神および宰相神大八洲彦命その他の有力なる神人と共に、わびしく配所に退去し給うた。 地上の神界の主宰たる大神さへ、かくのごとく御隠退になるといふ有様であるから、地上の主宰たる須佐之男命も亦、八百万の神々に、神退ひに退はるるの已むなきにいたりたまひ、自転倒嶋を立去りて、世界のはしばしに漂泊の旅をつづけられることになつた。しかし須佐之男命は、現界において八岐大蛇を平げ地上を清め、天照大御神にお目にかけ給うたと同じやうに、神界においても、すべての悪神を掃蕩して地上を天下泰平に治め、御三体の大神様にお目にかけ、地上の主宰の大神となり給ふといふのである。 さて、自分はこれから国常立尊随従の八百万の神人の中でも、主なる神司の御経歴御活動を述べ、また盤古大神および大自在天神を擁立せる一派の八百万の神々の経歴および暴動振りを、神界にて目撃せるままを述べておかふと思ふ。 (大正一〇・一〇・二〇旧九・二〇谷口正治録) |
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7 (1051) |
霊界物語 | 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 | 凡例 | 凡例 一、第一巻より第四巻までは、まだ伊那那岐尊、伊邪那美尊二神の御降臨まします以前の物語であります。第四巻にいたつて始めて国祖の御隠退遊ばされるところになり、第六巻において、諾冊二尊が葦原中津国へ御降臨遊ばすところになるのであります。それゆゑ、あまりに小さく現在の大本といふものにとらわれてはならないのであります。たとへば『聖地エルサレム』とあるごときも、決して綾部を指されたものではありません。これは、瑞月大先生より特に御注意がありましたから、読者諸氏のお含みおきを願つておきます。要するに『生れ赤児』の心になつて拝読することが、もつとも必要であらうと思ひます。 一、しかしながら、歴史は繰返すといふごとく、これは今から六七千万年前の物語で、いかにも吾々とは縁が遠いもののやうに油断をしてゐると、脚下から鳥が立つやうなことが出来して、にはかに狼狽へ騒がねばならぬとも限らないのであります。 一、本書第一巻の発表とともに、かれこれ種々な批評も出てゐるやうですが、単に第一巻や第二巻を読んだだけでは、たうてい分らないのであります。何にしても批評は後廻しにして、本書の全部刊行されるまで待つていただきたい。神諭にも『細工は流々仕上げを見て下されよ』と示されてゐます。ただ一端を覗いただけで、批評がましき言を弄するのは、いかにも軽率であるばかりでなく、御神業にたいして大なる妨害を与へるやうな結果になりはしないかと思ひます。 一、第二巻以下には処々に神様の歌が出てきますが、これはすべて神代語で歌はれたものださうですが、そのままでは今の吾々には理解出来ませぬので、特に現代語に翻訳されたものであります。例へば、本書の第二十三章『竜世姫の奇智』の中に、竜世姫が滑稽諧謔な歌を唄はれるところがあります。その歌の神代語と現代語を大先生の御教示のまま、一例として対照しておきます。 歌 言霊別の神さんは(コトトモオコヨカムソモホ) こしの常世へ使ひして(コスヨトコヨイツコイステ) 道に倒れて腰を折り(ミツイトホレテコスヨオイ) 輿に乗せられ腰痛む(コスイノソロレコスイトム) こしの国でも腰抜かし(コスヨクシデモコスヌコス) 腰抜け神と笑はれる(コスヌクカムヨワロヲレル) 他のことなら何ともない(フトヨコトノロノムトヨノイ) こしやかまやせんこしやかまやせんこしやかまやせんこしやかまやせん(コスカモヨセヌコスカモヨセヌコスカモヨセヌコスカモヨセヌ) 一、神代語の数字一二三四五六七八九十百千万は、㍉㌔㌢㍍㌘㌧㌃㌶㍑㍗㌍㌦(略して㌣)㌫といふ風に表はすさうであります。 一、最近一つの神秘的な話を聞きましたから、読者諸氏の御参考のためにここに御紹介しておきます。 昔、南都東大寺五重塔丸柱の虫喰ひ跡に次のやうな文字が表れたことがあります。 九九五一合二十四西より上る四日月 一五一一合八洲の神地となる ○五○六合十一神世の初 一三一一合六合となる 二一六一合十即ち神となる 一一一一合四魂となる 三一六一合十一即ち土の神となる 一○一一合三体の大神となる ○○○合三ツの御魂となる (数字の下の「合云々」の文字は瑞月大先生がつけ加へられたものです) しかし、誰一人これを読むことも出来なければ、その意味も分るものはありませんでしたが、当時の高僧弘法大師は之を斯う読みました。 月九中岸 閑居一一 露五幽苔 獨身一一 法一不一 一一一一 道一不一 時節一一[※普及版のフリガナを参考にすると、次のように読む──月、中岸に九(かかって)、閑居(かんきょ)して一(たれをか)一(まつ)。露(つゆ)幽苔(ゆうたい)に五(しお)れて、独身、一(ひとり)一(さびし)。法、一(はじめ)に、一(はびこら)ず、一(たたくに)一(したがって)一(ひかり)を一(ます)。道、一(ひとり)一(ひろまら)ず。時節、一(ひと)を一(まつ)。] 瑞月大先生にこの事を伺ひましたら、ただちにその意味を御教示下さいました。その五重塔の丸柱に現はれた不可思議な文字は全体を数へると七十七の数になります。そして七十七は上からも下からも七十七となります。上下そろふ訳であります。七十七数は㍊の代詞で七は『成』の意であり、十は『神』の意であり、七はまた『国』の意であり、つまり『成神国』の意味になるさうであります。その数字の中の○三つは三ツの三玉の意であります。つまり瑞の御魂が隠されてゐるといふことになるのであります。弘法大師はこの事を知つてゐたのだけれども、故意とかくしてゐたといふことであります。 大先生は斯う読まれました。 月懸中岸 閑居誰待 露萎幽苔 獨身孤寂 法初不蔓 隨鼓増光 道獨不擴 時節待人 いかにも月光が万界の暗を照破し、神政成就の機運の到達することを暗示せる神秘的な面白い話であるやうに思はれます。 大正十一年一月六日於竜宮館編者識す 酸いも甘いも皆尻の穴、おならの如くにぬけて行く、間抜けた顔の鼻高が、尻毛を抜かれ眉毛をよまれ、狐狸のうさ言と、相手にせねばせぬで良い。雪隠で饅頭喰ひつ武士、武士の言葉に二言はないと、こいた誤託の鼻の糞、ひねつて聞いて馬鹿にして、一度は読んで暮の空、きよろ月、まご月、嘘月の、空言ならぬ瑞月霊界物語穴かしこ穴かしこ。 |
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8 (1211) |
霊界物語 | 04_卯_常世会議/国祖隠退/神示の宇宙 | 49 神示の宇宙その四 | 第四九章神示の宇宙その四〔一九九〕 『瑞月憑虚空、照破万界暗』 とは神示の一端である。 瑞月王仁は前述の如く、現代の盛ンな学説に少しも拘泥せず、霊界にあつて見聞きせるそのままを、出放題に喋舌る斗りである。是に就いては、満天下の智者学者が邪説怪論として、攻撃の矢を向けて来るであろう。 大空に懸る無数の星辰の中には、其の光度に強弱あり、厚薄ありて、その色光一定して居ないのは、決して星の老若大小に依るのではない。その水火調節の分量及び金、銀、銅、鉄等の包含の多少の如何に由つて種々に光色が変つて見えるまでである。水の分量の多い時は白光を顕はし、火の分量の多い星は赤色を表はす。故に星の高低や位置に由つて種々の光色を各自に発射して居る。星の光の☆の如く五光射形に地球より見えるのは火の量分の多い星であり、㌻の如く六光射形に見ゆるのは水の量分の多い星である。火の字の各端に○点を附して見ると㎜のごとく五つの○点となる。五は天を象り、火を象る。また水の字の各端に○点を附して見ると、㎝の如く六つの○点となる。六は水を象り、地を象る。故に五光射星と六光射星は天上にあつて水火の包含量の多少を顕はして居るのであります。 又星は太陽の如く、自動傾斜運動を為さず、月球のやうに星自体が安定して光つて居るから、五光射、六光射が良く地球上から見得らるるのである。 太陽もまた星の様に、安定し自体の傾斜運動をせなかつたら、五光射体と見え、又は六光射体と見えるのであるが、その自動的傾斜運動の激しきために、その光射体が円く見えるのである。譬へば蓄音機の円盤に、色々の画や文字を書き記しておいて、これを廻して見ると、その色々の形の書画が盤と同様に、丸くなつて見えるやうなものである。 また北斗星と云ふのは、北極星に近い星であつて、俗に之を七剣星、又は破軍星と称へられてゐる。この七剣星はまた天の瓊矛とも言ひ、伊邪那岐の神、伊邪那美の神が天の浮橋に立つて漂へる泥海の地の世界を、塩古淤呂古淤呂にかき鳴らしたまひし宇宙修理固成の神器である。今日も猶我国より見る大空の中北部に位置を占めて、太古の儘日、地、月の安定を保維して居る。 また北斗星は、円を画いて運行しつつある如く地上より見えて居るが、是は大空の傾斜運動と、大地の傾斜運動の作用に由つて、北斗星が運行する如く見ゆる斗りである。万一北斗星が運行する様な事があつては、天地の大変を来すのである。併し他の星は、地上より見て、東天より西天に没する如くに見ゆるに拘らず、北斗星の運行軌道の、東西南北に頭を向けて、天界を循環するが如くに見ゆるのは、その大空の中心と、大地の北中心に位して居るため、他の諸星と同じ様に見えぬのみである。譬ば、雨傘を拡げて、その最高中心部に北極星稍下つて北斗星の画を描き、その他の傘の各所一面に、星を描いて直立しその傘の柄を握り、東南西北と傾斜運動をさせて見ると、北斗星は円を描いて、軌道を巡る如く見え、広い端になるほどその描いた星が、東から西へ運行するやうに見える。之を見ても、北斗星が北極星を中心として円き軌道を運行するのでない事が分るであらう。 また太陽の光線の直射の中心は赤道であるが、大地の中心は北極即ち地球である。大地の中心に向つて、大空の中心たる太陽が合せ鏡の如くに位置を占めて居るとすれば、地球の中心たる北部の中津国即ち我が日本が赤道でならねばならぬと云ふ人があるが、それは太陽の傾斜運動と、地球の傾斜運動の或る関係より、光線の中心が地球の中心即ち北部なる我日本に直射せないためである。 また赤道を南に距るほど、北斗星や北極星が段々と低く見え、終には見えなく成つて了ふのは、大空と大地の傾斜の程度と、自分の居る地位とに関係するからである。是も雨傘を上と下と二本合して傾斜廻転をなし乍ら考へて見ると、その原因が判然と分つて来る。 (大正一〇・一二・二七旧一一・二九外山豊二録) |
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霊界物語 | 06_巳_大洪水/国生み神生み/三五教の誕生 | 18 天の瓊矛 | 第一八章天の瓊矛〔二六八〕 この大変乱に天柱砕け、地軸裂け、宇宙大地の位置は、激動の為やや西南に傾斜し、随つて天上の星の位置も変更するの已むを得ざるに致りける。 さて大地の西南に傾斜したるため、北極星および北斗星は、地上より見て、その位置を変ずるに至り、地球の北端なる我が国土の真上に、北極星あり、北斗星またその真上に在りしもの、この変動に依りて稍我が国より見て、東北に偏位するに致りける。 また太陽の位置も、我が国土より見て稍北方に傾き、それ以後気候に寒暑の相違を来したるなり。 ここに大国治立命は、この海月成す漂へる国を修理固成せしめむとし、日月界の主宰神たる伊邪那岐尊および伊邪那美尊に命じ、天の瓊矛を賜ひて天の浮橋に立たしめ、地上の海原を瓊矛を以つて掻きなさしめ給ひぬ。 この瓊矛と云ふは、今の北斗星なり。北極星は宇宙の中空に位置を占め、月の呼吸を助け、地上の水を盛ンに吸引せしめたまふ。北斗星の尖端にあたる天教山は、次第に水量を減じ、漸次世界の山々は、日を追うて其の頂点を現はしにける。 数年を経て洪水減じ、地上は復び元の陸地となり、矛の先より滴る雫凝りて、一つの島を成すといふは、この北斗星の切尖の真下に当る国土より、修理固成せられたるの謂なり。 太陽は復び晃々として天に輝き、月は純白の光を地上に投げ、一切の草木は残らず蘇生し、而て地上総ての蒼生は、殆ど全滅せしと思ひきや、野立彦、野立姫二神の犠牲的仁慈の徳によりて、草の片葉に至るまで、残らず救はれ居たりける。 神諭に、 『神は餓鬼、虫族に至る迄、つつぼには落さぬぞよ』 と示し給ふは、この理由である。 アヽ有難きかな、大神の仁慈よ。唯善神は安全にこの世界の大難たる大峠を越え、邪神は大峠を越ゆるに非常の困苦あるのみなりき。 而て仁慈の神は、吾御身を犠牲となし禽獣魚介に至る迄、これを救はせ給ひけり。世の立替へ立直しを怖るる人よ。神の大御心を省み、よく悔い改め、よく覚り、神恩を畏み、罪悪を恥ぢ、柔順に唯神に奉仕し、その天賦の天職を盡すを以て心とせよ。 惟神霊幸倍坐世。 (大正一一・一・一八旧大正一〇・一二・二一外山豊二録) |
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霊界物語 | 06_巳_大洪水/国生み神生み/三五教の誕生 | 22 神業無辺 | 第二二章神業無辺〔二七二〕 爰に天の御柱の神は、女神の宣言を喜び給はず、いたく怒り給ひて、歌もて其の怒りを洩らさせ給ひぬ。其御歌、 『天津御神の御言もて天の柱となり出でし 吾は高天原を知らすべき神のよさしの神司 雲井に高き朝日子の光りも清き神御魂 汝は国土知らすべき豊葦原の神つかさ 天と地とはおのづから高き低きのけじめあり 重き軽きのちがひあり天は上なり地は下よ 男子は天よ女は地よ天は下りて地は上 此逆さまの神業は本津御神の御心に いたく違へるひが事ぞ天は上なり地は下 男子は上ぞ女は下ぞ天と地とを取違ひ 上と下とを誤りていかでか清き御子生まむ いかでか清き国生まむ再び元に立帰り 天津御神にさかしらのこの罪科を詫び了へて 再び神のみことのり祈願奉り御柱を 改め廻り言霊を宣りかへしなむいざさらば いざいざさらば汝が命』 と稍不満の態にて、男神は元の処に帰り給ひけるに、女神も其理義明白なる神言にたいし、返す言葉もなく再び元の処に、唯々諾々として復帰し給ひたり。 その時成り出でましたる嶋は、前述のごとく淡嶋なりき。淡嶋は現今の太平洋の中心に出現したる嶋なるが、此天地逆転の神業によつて、其根底は弛み、遂に漂流して南端に流れ、地理家の所謂南極の不毛の嶋となりにける。 而て此の淡嶋の国魂として、言霊別命の再来なる少名彦命は手足を下すに由なく、遂に蛭子の神となりて繊弱き葦舟に乗り、常世の国に永く留まり、その半分の身魂は根の国に落ち行き、幽界の救済に奉仕されたるなり。 この因縁によりて、後世猶太の国に救世主となりて現はれ、撞の御柱の廻り合ひの過ちの因縁によりて、十字架の惨苦を嘗め、万民の贖罪主となりにける。 ここに諾冊二尊は再び天津神の御許に舞上り、大神の神勅を請ひ給ひぬ。大神は男神の宣言のごとく、天地顛倒の言霊を改め、過ちを再びせざる様厳命されたり。 ここに二神は改言改過の実を表はし、再び撞の御柱を中に置き、男神は左より、女神は右より、い行き廻りて互ひに相逢ふ時、男神先づ御歌をよませ給ひける。其御歌、 『浮世の泥を清めむと天津御神の御言もて 高天原に架け渡す黄金の橋を打ち渡り おのころ嶋におり立ちて八尋の殿をいや堅に 上つ岩根につき固め底つ岩根につきならし うましき御世を三つ栗の中に立てたる御柱は つくしの日向の立花や音に名高き高天原の あはぎが原に聳え立つ天と地との真釣り合ひ 月雪花の神まつり済ませてここに二柱 汝は右へ吾は左左は夫右は妻 めぐりめぐりて今ここに清き御国を生みの親 神伊邪那美の大神の清き姿は白梅の 一度に開く如くなり嗚呼うるはしき姫神よ 嗚呼うるはしき顔容よ汝が命のましまさば たとひ朝日は西の空月は東の大空に 現はれ出づる世ありとも夫婦が心は相生の 栄え久しき松の世を常磐堅磐に立てむこと いと安らけし平けしいざいざさらばいざさらば 天津御神の御言もて国の安国生みならし 島の八十嶋つき固め百の神達草木まで 蓬莱の春のうまし世に開くも尊き木の花の 咲耶の姫の常永に鎮まり居ます富士の峰 空行く雲もはばかりて月日もかくす此の山に 稜威も高き宮柱撞の御柱右左 めぐる浮世の浮橋はこの世を渡す救け船 救けの船の汝が命見れども飽かぬ汝が姿 阿那邇夜志愛袁登女阿那邇夜志愛袁登女 夫婦手に手をとりかはし天と地との御柱の 主宰の神を生みなさむ主宰の神を生みなさむ 浦安国の心安くみたまも光る紫の 雲のとばりを押分けて輝きわたる日の光 月の輝きさやさやにいやさやさやに又さやに 治まる両刃の剣刃の天の瓊矛の尖よりも 滴り落つる淤能碁呂の嶋こそ実にも尊けれ 嶋こそ実にも尊けれ』 と讃美の歌を唱へられたりける。 (大正一一・一・二〇旧大正一〇・一二・二三井上留五郎録) (第二二章昭和一〇・二・一二於木の本支部王仁校正) |
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霊界物語 | 06_巳_大洪水/国生み神生み/三五教の誕生 | 28 身変定 | 第二八章身変定〔二七八〕 ここに二柱の大神は陰陽水火の呼吸を合して、七十五声を鳴り出し給ひ、スの言霊を以て之を統一し給ふ事となりぬ。 而してこの七十五声の父音を、立花の小戸と云ふ。祝詞に、 『筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に御禊ぎ祓ひ給ふ時に生坐る』 とあるは、このアオウエイの五大父音より、以下の七十声を生み出し、新陳代謝の機能たる祓戸四柱の神を生み成し給ひて、宇宙の修祓神と為し給ひたるなり。 而してこの五大父音を地名に充つれば、 『ア』は天にして『アジヤ』の言霊となり 『オ』は地にして『オーストラリヤ』の言霊となり 『ウ』は結びにして『アフリカ』の言霊となり 『エ』は水にして『エウロツパ』の言霊となり 『イ』は火にして『アメリカ』の言霊となる。 而して『アジヤ』は『ア』と返り、『オーストラリヤ』はまた『ア』に返り、『アフリカ』また『ア』に返り、『エウロツパ』又『ア』に返り、『アメリカ』又『ア』の父音に返る。 その他の七十声は何れも『アオウエイ』の五大父音に返り来るなり。 この理に依りて考ふるも、『アオウエイ』の大根源たる『アジヤ』に総てのものは統一さる可きは、言霊学上自然の結果なり。而て『ア』は君の位置にあるなり。 而て『ア』と『ウ』との大根源は、『ス』より始まるなり。『ス』声の凝結したる至粋至純の神国は、即ち皇御国なり。 二神は先づ天地を修理固成する為に、『アオウエイ』の五大父音立花の小戸の言霊に依りて、一切の万物を生み成し給ひ、而て『ス』の言霊の凝結せる神国の水火は最も円満清朗にして、大神其ままの正音を使用する事を得るなり。 その他の国々の言霊のやや不完全なるは、凡て『ア』とか『オ』とか『ウ』又は『エ』『イ』等の大父音に左右せらるるが故なり。 神の神力を発揮し給ふや、言霊の武器を以て第一となし玉ふ。古書に『ミカエル一度起つて天地に号令すれば、一切の万物之に従ふ』といふ意味の記されあるも、『ミカエル』の言霊の威力を示したるものなり。而てこの『ミカエル』の言霊を、最も完全に使用し得る神人は『ス』の言霊の凝れる皇御国より出現すべきは当然なり。 『ミカエル』とは天地人、現幽神の三大界即ち三を立替る神人の意味なり。詳しく云へば、現幽神三つの世界を根本的に立替る神人、といふ意味なり。 また男体にして女霊の活用を為し、女体にして男霊の活用を為す神人を称して『身変定』といふ。 ここに七十五声の言霊の活用、及び結声の方法に就き、言霊の釈歌を添付する事となしたり。 言霊学釈歌[※「言霊学釈歌」には文字に疑義がある箇所がいくつもある。詳しくは霊界物語ネット内「」を見よ] ○ 久方の天之御中主の神は五十鈴川の⦅ス⦆ごゑなりけり ○ あのこゑは我言霊の上よりは宇比地邇神、須比地邇神[※古事記では「須比地邇」が「地」ではなく「智」が使われている。] ○ おのこゑは我言霊の上よりは角杙神、活杙神[※「生杙神」「角杙神」の「くひ」の字は、御校正本(p183)では「枠」、校定版(p161)・愛世版(p160)では「杙」。古事記では「杙」である。「枠」は「くい」ではなく「わく」であり、誤字だろうから、霊界物語ネットでは「杙」を使う。] ○ うのこゑは我言霊に照らし見て大戸之道神、大戸之辺神 ○ えのこゑの其言霊を調ぶれば面足神、惶根神 ○ いのこゑは言霊学の助けより伊邪那岐神、伊邪那美神 ○ あのこゑの活動なすは須比地邇の神の保てる本能なりけり ○ おのこゑの活動するは活杙の神の表はす本能なりけり ○ うのこゑの活動保つは大戸之辺神の表はす本能なりけり ○ えのこゑに万の物の開くるは阿夜訶志古泥の神の御本能 ○ いのこゑの活動なすは伊邪那美の神の御言の本能なりけり ○ 喉頭、気管、肺臓なぞの活用は国常立の神言守れる ○ 口腔口唇、口蓋等の発音の根本機関は豊雲野神 ○ 日の本の国の語の源は只五声の竪端の父音 ○ 多陀用幣流国といふ意義はあおうえい五声父音の発作なりけり ○ 久方の天の沼矛と云ふ意義は言語の節を調ふ舌なり ○ 立花の小戸のあはぎが原に鳴るおこゑを天の浮橋といふ ○ 塩許袁呂、許袁呂邇画鳴す其意義はおとをの声の活用を云ふ ○ 数音を総称ふるを島といふ淤能碁呂島はをこゑなりけり ○ あおうえい素の五つの父声を天之御柱神と総称す ○ 宇宙に気体の揃ひ在る意義を我言霊に八尋殿といふ ○ 鳴々而鳴合はざるはあの声ぞ鳴余れるはうこゑなりけり ○ うあのこゑ正しく揃ひて結び合ひ変転するは美斗能麻具波比 ○ うあの声結びてわ声に変化くは阿那邇夜志愛上袁登古袁といふ ○ えあの声結びてや声に変化くは阿那邇夜志愛上袁登売袁といふ ○ 女人先言不良と言へる神文を調ぶれば以前の方法形式で 言霊発達せざるてふ意義の大要含むなり ○ 久美度邇興而子蛭子生むはわ声を母音とし あ行烏えいを父音としわ烏の二声を結び付け わ行のう声に変化為しわゑの二声を結び付け わ行のゑ声に変化為しわいの二声を結び付け わ行のゐ声に変化為し次にや声を母音とし あ行お烏えい父音とし結声変化す意義ぞかし やおの二声を結び付けや行のよ声に変化為し や烏の二声を結び付けや行のゆ声に変化なし やえの二声を結び付けや行の延声に変化為し やいの二声を結び付けや行のい声の変化為す この言霊の活用を久美度邇興而と称ふなり ○ 子蛭子生むとふ神文は鳴出る声音の等しき意義にして あ行お声とわ行のを声あわの行なる烏声とうの神声 あわやの行のゑ衣延といゐ以の声の異性にて 同声音の意義ぞかし是ぞ蛭子を産むといふ ○ 布斗麻邇爾卜相而詔といふ意義はあ行烏声の活用ぞかし ○ 淡道之穂之狭別島といふは烏うゆ⦅む声⦆と結ぶ言霊 伊予之国二名島といふ意義は母音む声にいを結び み声に変化しむゑ結びめ声に変化しむおを結び も声に変化しむあを結びまごゑに変化す此故に むごゑの父音みめもまの四声に変化を身一而 面四有と称ふなり ○ みのこゑの其言霊の活用を伊予国愛比売と謂すなり ○ めのこゑの其言霊の幸ひを讃岐飯依比古と謂ふ ○ ものこゑの其言霊の助けをば阿波国大宜津比売と謂ふ ○ まのこゑの其言霊の照る時ぞ土佐国健依別と謂ふ ○ 惟神其名の如く性能の等しく易るを国と謂ふなり ○ むのこゑにうゆを結びてふの声に変化を隠岐之三子嶋と謂ふ ○ ふのこゑに天之御柱結び付けはほふへ四声に変化をば 天之忍許呂別と謂ふ ○ 筑紫島生むと言ふ意義ははの行のふこゑ烏こゑと結声し ぷごゑに変化言霊也是のぷ声にいゑおあの 四声を漸次に結声しぴぺぽぱ四ごゑに変化なす ○ ひのこゑの意義の言霊調ぶれば筑紫の国の白日別と謂ふ ぺのこゑの意義の言霊調ぶれば豊国豊日別と謂ふなり ○ 建日向、日豊久士、比泥別と謂ふはほ声の言霊の意義なりけり ○ ぱのこゑの意義の言霊調ぶれば熊曽の国の建日別なり ○ 伊岐嶋、比登都柱と謂ふ意義はぷごゑに烏ごゑを結び成し ふごゑに変化しふのこゑに天の御柱あおうえい 是の素音を結声しはほへひ四声の言霊に 変化せしむる意義なり ○ 津嶋天之狭手依比売と謂ふはふごゑに烏ごゑを結び付け すごゑに変化しあおうえい是の素音を結声し さそすせ四ごゑに変化る意義 ○ 佐渡島を生てふ意義を調ぶればすごゑに烏ごゑを結声し すごゑに変化なさしめて之に素音を結声し さ行をざ行に変化する言霊上の意義なり ○ 大倭秋津嶋生むと謂ふはにりちの父音の言霊を 生み出したる意義にしてな行にごゑはじい二声 結声変化しりのこゑはしいが結声変化為し た行ちごゑはひい二声が結声変化を為す意義ぞ ○ 天御虚空豊秋津根別といふ意義はちりにの父音に久方の 天之御柱あおうえい素音を結声変化して たらな三行を結声し変化せしむる意義ぞかし ○ 意義深きわ行や行の言霊は先所生大八島国 ○ 吉備児島建日方別と謂ふ意義はちじの二声を結声し ちごゑに変化し久方の天の御柱あおうえい 素音を結ぶ言霊ぞかし ○ 小豆島大野手上比売と謂ふ意義はぢいの二声を結声し ぎこゑに変化し久方の天の御柱あおうえい 素音を結ぶ言霊ぞかし ○ 大嶋や大多上麻流別と謂ふ意義はぎいの二声を結び成し きごゑに変化し久方の天の御柱あおうえい 素音を結ぶ言霊ぞかし ○ 女嶋天一根と謂ふ意義はか行の音韻かこくけき 天地貫通の言霊ぞかし ○ 知訶嶋天之忍男と謂ふ意義はが行の音韻がごぐげぎ 天機活動を起す言霊 ○ 両児嶋天両屋の言霊はた行の音韻だどづでぢ 造化発作を起す意義なり ○ わ行をごゑの言霊の精神的の活用を大事忍男之神と謂ふ ○ わ行井ごゑの言霊の精神的の活用を石土毘古の神と謂ふ ○ や行ゐごゑの言霊の精神的の活用を石巣の比売の神といふ ○ わ行の言霊わをうゑゐ精神的の活用を大戸日別之神といふ ○ わ行うごゑの言霊の精神的の活用を天之吹男神といふ ○ や行の言霊やよゆえい精神的の活用を大屋毘古之神といふ ○ や行よごゑの言霊の精神的の活用は風木津別之忍男神なり ○ や行ゆごゑの言霊の精神的の活用を大綿津見の神と言ふ ○ わ行衣ごゑの言霊の精神的の活用を速秋津彦の神と謂ふなり や行延ごゑの言霊の精神的の活用を速秋津姫の神といふ (以上六十五首) 大事忍男神より以下速秋津姫神まで、十神十声の精神的作用は所謂大八嶋国の活用、即ち世界的経綸の活機を顕す本能を享有する言霊なり。 (第二七章~第二八章昭和一〇・二・一三於田辺分苑王仁校正) |
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霊界物語 | 06_巳_大洪水/国生み神生み/三五教の誕生 | 29 泣沢女 | 第二九章泣沢女〔二七九〕 神伊邪那岐の大御神神伊邪那美の大神は 清き正しき天地の陽と陰との呼吸合せ スの言霊の幸ひに天の御柱国柱 生り出でまして山川や草木の神まで生み了ほせ 青人草や諸々の呼吸あるものを生み満たせ 栄ゆる神代を楽みて喜び玉ふ間もあらず 天津御空の星の如浜の真砂の数多く 青人草は生り成りて鳴りも合はざる言霊の 呼吸の穢れは天地や四方の国々拡ごりつ 清き正しき大御呼吸濁りに濁り村雲の 塞がる世とはなりにけり開け行く世の常として 天津御空に舞ひ狂ふ天の磐樟船の神 天の鳥船影暗く御空を蔽ひ隠しつつ 人の心は日に月に曇り穢れて常闇の 怪しき御代となり変り金山彦の神出でて 遠き近きの山奥に鋼鉄を取りて武器を 互に造り争ひつ体主霊従の呼吸満ちて 互に物を奪ひ合ふ大宜津姫の世となりぬ 野山に猛き獣の彼方此方に荒れ狂ひ 青人草の命をば取りて餌食と為しければ ここに火の神現はれて木草の繁る山や野を 一度にどつと焼速男世は迦々毘古となり変り 山は火を噴き地は震ひさも恐ろしき迦具槌の 荒振世とはなりにけり国の柱の大御神 此有様を見そなはし御魂の限りを尽しつつ 力を揮はせ玉へども猛き魔神の勢に 虐げられてやむを得ず黄泉御国に出でましぬ 糞に成ります埴安彦の神の命や埴安姫の 神の命のいたはしく世を治めむと為し玉ひ 尿に成ります和久産霊世を清め行く罔象女 神の命は朝夕に心を尽し身を尽し 遂に生れます貴の御子この世を救ふ豊受姫の 神の命の世となりぬ嗚呼奇なる神の業。 伊邪那岐命は、伊邪那美命の黄泉国、すなはち地中地汐の世界に、地上の世界の混乱せるに驚き玉ひて逃げ帰り玉ひしを、いたく嘆きてその御跡を追懐し、御歌を詠ませ玉ひぬ。 その歌、 『神の神祖とましませる高皇産霊の大御神 神皇産霊の大神の清き尊き命もて 女男二柱相並び天の瓊矛を取り持ちて 黄金の橋に立ち列び海月の如く漂へる 大海原の渦中をこおろこおろに掻き鳴らし 淤能碁呂島に降り立ちて島の八十島八十国や 山川草木の神を生み天の下をば平けく 神の御国を治めむと誓ひし事も荒塩の 塩の八百路の八塩路の塩路を渡り黄泉国 汝は独で出ましぬ振り残されし吾独 如何でこの国細かに神の御胸に適ふ如 造り治めむ吾は今熟々思ひめぐらせば 黄金の橋に立ちしより天教山に天降り 撞の御柱右左伊行き廻りて誓ひたる その言の葉の功も何とせむ方泣く泣くも 涙を絞る夜の袖汝の頭に御後辺に 匍匐ひ嘆く吾が胸を晴らさせ玉へうたかたの 定めなき世の泣き沢女定めなき世のなきさはめ』 と謡ひて別れを惜しみ、再び淤能碁呂島に、女神の帰り来まさむことを謡ひたまふ。是より神伊邪那岐の神は、女神に別れ一時は悄然として、力を落させ玉ひける。 されど、ここに神直日大直日に省み、荒魂の勇みを振り起し、天の香具山の鋼鉄を掘り、自ら十握の剣を数多造りて、荒振る神共をば、武力を以て討ち罰めむと計らせ玉ひける。 (大正一一・一・二一旧大正一〇・一二・二四藤原勇造録) (第二九章昭和一〇・二・一五於淡の輪黒崎館王仁校正) |
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霊界物語 | 06_巳_大洪水/国生み神生み/三五教の誕生 | 49 膝栗毛 | 第四九章膝栗毛〔二九九〕 広道別天使、出雲姫は、城内の役人に向つて、 『御親切は有難う存じます。然しながら、吾々はこの世を救ふ神の任しの宣伝使の身の上、艱難苦労を致すのが、吾々の本意でありますから、御用があれば、喜びて何処までも参りますが、乗物だけは御免を蒙りたい』 と断りける。役人は、 『御説は御尤もなれど、吾々は、城主の命令で、駕籠を持つて御迎ひに参つたもの、是非乗つて頂かぬと、帰つてから叱られますから、どうぞ御乗り下さい。お願ひです』 と頼み入る。広道別天使は、 『あなたの御言葉は御尤もなれど、この暑いのに百姓は熱湯のやうな田の中で、草除りをしてをることを思へば、勿体なくてそんな奢つたことはできませぬ。吾々は神様から頂いた立派な脚を持つて居りますから、この膝栗毛に鞭韃つて参ります。乗物は真平御免を蒙りたい』 と固く辞して応ぜざりければ、役人はやむを得ず、 『斯程に御頼み申すを、御聞きいれなくば是非はありませぬ。オイ駕籠舁ども、この駕籠を担いで直に帰つたがよからう。吾々はこの御方の御伴をして徒歩で帰るから、右守神にこの由御伝へ申せ』 駕籠舁は、 『ハイ』 と答へて、すぐ駕籠を担いて一目散に駆け出したり。 二人の宣伝使と、岩彦および大の男熊公は、四五の役人と共に、都大路をトボトボと進み行く。さうして広道別天使および出雲姫は、代る代る互ひに宣伝歌を謳ひつつ進み行く。 大路の両側には彼方に三人、此方に五人十人と立つて、この一行の姿を見て口々に下馬評を試みてゐる。 甲『あれ見い、あの宣伝使とかいふ奴が、城主様の御通行を妨げよつたので、役人に引張られて行きよるのだ。アレアレ、仁王のやうな大男が二人も従いて行きアがらア。いづれ彼奴ア、御城内へ引張られて、ふりつけに逢ひよるのだ』 乙『何だい、芝居でも教へるのか、御城主様もよつぽど物好きだな。あンな奴に振り付けして貰つたつて、碌な芝居は打てはしないぞ』 丙『振りつけなんて、そんな気楽なことかい。磔のことだい』 乙『ウンさうか、男の癖して、裁縫でもするのかい。俺とこの尼つちよも、この間から縫ひ物稽古するといつてな、お玉さま処で張り付けをやつて貰つたのだ』 甲『そんな気楽なことかい、えらい目にあはされるのだ』 丙『えらい目にあはされるのも知らずに、気楽さうに歌でも謳ひやがつて、よつぽど暢気な奴だな』 乙『ナーニ、ありや自暴自棄だよ。引かれものの小歌てな、屠所の羊のやうに悄々とこの大路を通るのは、見つともないものだから、痩我慢を出しアがつてるのよ。あの声を聞いて見い、何だか見逃せ聞逃せなんて泣き言いつとるぢやないか』 宣伝使の一行は、この下馬評を聞きながら、役人と共にドンドンと進みゆく。 また此方の方には、一群の男女があつて、一行の姿を見て囁き合うてゐる。 甲『今日は目出度い結構な、御城主様の御誕生日で、仰山の供を伴れて、立派な御輿に乗つて、一ツ島とかへ御参拝になるので、町のものはみんな御祝ひのため、家々に旗を立て、御神酒を頂いて、踊り廻つてをるところへ、肩の凝るやうな歌を謳ひやがる宣伝使とかがやつて来て、御城主様の行列を邪魔したとかで、今引張られて行くのだ。彼奴ア別に酒に酔つたやうな顔もして居やアしないが、何であんな馬鹿な事をするのだらう、命知らずだなア』 乙『飛ンで火に入る夏の虫かい。然しこのごろ余り悪神が覇張るので、彼方にも此方にもドエラい騒動がオツ初まつて、人民は塗炭とか炭団とかの、苦しみとか黒玉とかを嘗めて、眼を白黒玉にして、彼方にも此方にも泣いたり怒つたり悔んだりするので、御天道様は御機嫌をそこね、毎日日日雨が降り続いて、とうとう此の世の御大将国の御柱の神さまとか、伊邪那美命様とかいふ御方が、この世に愛想を御尽かし遊ばして黄泉国とか、塵芥の国とか何でも汚い国へ、御越し遊ばしたといふことだ。それに今日は御城主様の御誕生日で、たまたまの結構なお日和だ。御城主さまの御威徳は、天道様でも御感心遊ばして、こんな世界晴の結構なお日和さまだ。それに陰気な歌を謳ひよつて邪魔するものだから、罰は覿面、己の刀で己が首、馬鹿な奴もありや有るものだな』 と口々に罵り居る。一行は委細構はずドンドンと進み、羅馬城内に姿を隠しける。 (大正一一・一・二四旧大正一〇・一二・二七藤原勇造録) |
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霊界物語 | 07_午_日の出神のアフリカ物語 | 41 枯木の花 | 第四一章枯木の花〔三四一〕 時世時節と云ひながら稜威も高き高照彦の 貴の命は畏くも国治立の大神の かくしの珍の神の御子天より高く咲く花も 豊の御国に身を隠し八十熊別と名を変へて 沙漠の包む豊国の都に現はれ酋長の いやしき司となり果てて月日を松の時津風 花咲く春の今日の空日の出神と諸共に 長の年月住馴れし豊の都を後にして 天と地との神々に赤き心を筑紫潟 御空を指して出でて行く日の出神を先頭に 続く面那芸宣伝使四方の雲霧祝姫 登る山路も高照彦の貴の命と諸共に 声も涼しく宣伝歌四方の山々谷々に 木霊響かせ勇ましく進みて来る一行は 筑紫の国の国境玉野の里につきにける。 ここに四人の宣伝使は路傍の岩角に腰打ちかけ、息を休めながら空ゆく雲を眺めて、回顧談に耽りける。 高照彦『アヽ昨日に変る今日の空、流れ行く雲を眺むれば、実に人間の身の上ほど変るものはない。回顧すれば吾こそはヱルサレムの聖地に現はれ給うた国治立命の珍の御子と生れ、少しの過ちより父神の勘気を蒙り、この島に永らく神退ひに退はれ、身装も卑しき八十熊別となつて永い月日を送つて来た。聖地の大変を耳にし、一時も早くヱルサレムに帰つて父の危難を救はむと心は千々に焦つてみたが、何を云うても勘気を受けたこの体、父母の危難を居ながらに聞き流し、見流し、助け参らすその術さへも泣きの涙で月日を送る苦しさ。世は段々と立替り世界は大洪水に浸され、その時吾は方舟を作つて、ヒマラヤ山に舞ひ戻り、目も届かぬ大沙漠を拓いて、やうやう今日まで過してきた。アヽ時節は待たねばならぬもの、今日は如何なる吉日か、畏れ多くも神伊邪那岐の大神の珍の御子たる、日の出神に吾が素性を打ち明かし、実にも尊き天下の宣伝使となつて、今日のお供に仕へまつるは何と有難い事であらう。父の大神は常に仰せられた。この私をアフリカの沙漠に神退ひ給うた時に、二つの眼に涙を垂して「英雄涙を振つて馬稷を斬る、俺の胸は焼金をあてる様だ、何うして吾子の憎いものがあらう、かうなり行くも時世時節と諦めてくれ、ただ何事も時節を待てよ、時節が来れば煎豆に花の咲く事もある、枯木に花の咲く例もないではない、籠の鳥でも時節を待てば籠の破れる事もある。無慈悲な親ぢやと恨まずに、天地の規則は破られぬ、サツサと行つてくれ、老少不定、これが現世の見納めになるやも知れぬ」と仰有つた事を今思ひ出せば、何とも云へぬ心持がして来る。これを思へば今日の吾々のこの嬉しさを父の大神に、一度お目にかけて見たいものだ。父のこの世を知召す時代は神代といつて誰も彼も皆神の名を賜つたが、世界の立替以後大洪水の後のこの世は神の名は無くなつて、誰も彼も人といふ名になり、彼方、此方の頭するものばかりが司となつて、加美といふ名をつけることになつた。然し神代は乱れたというても今日の様な惨たらしい世の中ではなかつた。人間の代になつてからは悪魔はますます天下を横行し、血腥い風は四方八方より吹き荒ンでくる。これに付いてもこの世を治め給ふ伊邪那岐大神の大御心使ひが思ひやられ、杖柱と思つてゐた伊邪那美命は、この世に愛想をつかし、火の神の為に夜見の国にお出ましになつたとかいふ事だ。アヽ吾々は伊邪那岐の大神の珍の御子なる日の出神に引き出され、こンな有難いことはない。この御恩を酬ゆるために骨身を砕いても大神様のために尽さねばならぬ。アヽ有難いありがたい、変れば変る世の中だなア』 と長物語をしながら、両眼から滴る涙を拭ふ。日の出神一行はこの詐らざる話に感激して、何れも袖をしぼりける。 (大正一一・二・二旧一・六吉原亨録) |
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霊界物語 | 08_未_日の出神の弟子たちの南米物語 | 14 秘露の邂逅 | 第一四章秘露の邂逅〔三六四〕 折から表玄関よりツカツカと上り来る三人の宣伝使ありき。宣伝使は直に清彦、蚊々虎の直立せる前に進み寄り、 宣伝使(日の出神)『オー、清彦殿久し振りだなあ、オー、その方は蚊々虎か』 清彦『ハア、思ひがけなき処にてお目に懸りました。貴下は日の出神様、斯る混乱紛糾の状態をお目にかけ誠に汗顔の至りに堪へませぬ』 と詫入る。蚊々虎は醜国別の顔を熟視し、 蚊々虎『やあ、あなたは御主人様、根の国とやらにお出ましになつたと承はりしに、今如何して此処にお出になりましたか』 と頭をピヨコピヨコさせ手を揉み乍ら恐さうに挨拶する。清彦は桃上彦を見て驚き、 清彦『やあ、あなたは如何して日の出神様と御同行を何されましたか』 と不思議相に尋ねる。数多の人々はこの光景を見て善悪正邪の区別に迷ひ、各自に耳に口を寄せて種々と囁き始めたり。 醜国別は一同に向ひ、 淤縢山津見(醜国別)『満場の人々よ。我は大自在天大国彦の宰相なりしが重大なる罪を犯し、生命を奪はれ根底の国に陥ち行かむとする時、大慈大悲の国治立尊の御取計ひによつて竜宮城に救はれ、乙米姫命の守護らせ給ふ照妙城の金門の守護となり、今までの悪心を改め昼夜勤務を励む所へ、ゆくりなくも日の出神の御来場、茲に救はれて淤縢山津見司となり、桃上彦は正鹿山津見司となり、伊邪那美之大神のお供仕へ奉りて、夜無き秘露の国へ漸く着きたるなり。今清彦の身の上につき蚊々虎の証言は真実なれども、清彦もまた悪心を翻し日の出神の代理として秘露の都に現はれたるものなれば決して偽者に非ず。汝らは清彦を親と敬ひ、よく信じ以て三五教の教理を感得し、黄泉比良坂の大神業に参加されよ』 と宣り了り口を結び玉ふ。拍手の音はさしもに広き道場も揺がむ許りなり。 日の出神は群衆に向ひ宣伝歌を歌ひ始めたまへば、壇上の四柱もその声に合せて節面白く歌ひかつ踊り舞ひ狂ひける。 日の出神『黄金山に現れませる埴安彦や埴安姫の 貴の命の作られし厳と瑞との玉鉾の 道を広むる神司大道別の又の御名 黒雲四方に塞がれる暗世を照らす朝日子の 日の出神と現はれて善と悪とをそぐり別け 山の尾の上や河の瀬に猛り狂へる枉津見を 真澄の鏡に照しつつ恵みの剣ふり翳し 醜の身魂を照さむと山の尾渡り和田の原 海の底まで隈もなく清めて廻る宣伝使 駒山彦や猿世彦醜国別や桃上彦の 貴の命の宣伝使昔は昔今は今 時世時節に従ひて白梅薫る初春の 優雅心になり鳴りて吾言霊も清彦の 教に服へ百の人教に従へ諸人よ 世は紫陽花の七変り天地日月さかしまに 変り輝く世ありともこの世を造りし神直日 心も広き大直日天地四方をかねの神 珍の御言の麻柱に世は永久に開け行く 世は永遠に栄え行く誠をつくせ百の人 神の御言を畏みて身魂を磨け幾千代も ミロクの世までも変らざれミロクの世までも移らざれ 世は烏羽玉の暗くともやがて晴れ行く朝日子の 日の出国の神国となり響くらむ天と地 天地四方の神人よ天地四方の神人よ 海の内外の国人よ』 との歌につれて数多の群衆は、各自に手を拍ち踊り狂ひ、今迄の騒動は一場の夢と消え失せ、館の外には長閑な春風吹き渡りゐる。之より清彦は紅葉彦命[※御校正本・愛世版では「紅葉別命」だが、校定版・八幡版では「紅葉彦命」に直してある。紅葉別は別人であり、ヒルの国の清彦は「紅葉彦」だと後ろの方の巻に書いてある。たとえば第9巻第13章「秘露の国には紅葉彦の宣伝使が控へて居るから」。したがって霊界物語ネットでも「紅葉彦」に直した。]と名を賜り、秘露の国の守護職となりにける。 (大正一一・二・七旧一・一一北村隆光録) |
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霊界物語 | 09_申_松竹梅の宣伝使の南米・中米の旅 | 05 海上の神姿 | 第五章海上の神姿〔三九八〕 数十艘の大船小船は真帆に風を孕んで、堂々と陣容を整へ進み来る。三笠丸は風に逆らひながら、櫂の音高く進み行く。向ふの大船には、気高き女神舷頭に立ちあらはれ、涼しき瞳滴るが如く、楚々たる容貌、窈窕たる姿、いづこともなく威厳に満ち東天を拝して何事か祈るものの如くなり。傍に眉秀で鼻筋通り、色飽くまで白く、筋骨たくましく、眼光炯々として人を射る大神人立ちゐたり。船中の人々は期せずして此の一神に眼を注ぐ。 (日の出神)『限りも知れぬ波の上救ひの船をひきつれて 黄泉の国におちいりし百の身魂を救ひ上げ 仰ぐも高き天教の山にまします木の花姫の 神の命の御教をあをみの原の底までも 宣べ伝へゆく宣伝使神伊邪那美の大神の 御許に仕へ奉る吾は日の出神司 醜のあつまる黄泉島黄泉軍を言向けて 世は太平の波の上皇大神に従ひて 救ひの神と顕現し善と悪とを立別る この世を造りし神直日心もひろき大直日 直日のみたまを楯となし厳のみたまや瑞みたま 並んで進む荒海の波をも怖ぢぬ荒魂 風も鎮まる和魂世人を救ふ幸魂 暗世を照す奇魂茲に揃うて伊都能売の 神の命の神業は山より高く八千尋の 海より深き仕組なり海より深き仕組なり』 と歌ふ声も風にさへぎられて、終には波の音のみ聞えけり。照彦はこの歌に耳をすませ、頭を傾け、 照彦『モシ松代姫様、今往きちがひました船の舷頭に立てる二人の神様は、恐れ多くも伊邪那美の大神様と、天下に名高き日の出神様でありませう。幽かに聞ゆる歌の心によつて、慥に頷かれます。伊邪那美の命様は、根の国、底の国へお出で遊ばし、最早や此の世に御姿を拝することの出来ないものと、私共は覚悟致してをりました。然るに思ひもかけぬ此の海原で、伊邪那美の神様にお目にかかるといふは、何とした有難い事でございませうか。あゝ実に、貴女様はお父上を探ねてお出で遊ばす船の上で、あの世へ一旦行つた神様が、再び此の世へ船に乗つて現はれ、何処かは知らぬが東を指してお出ましになつた事を思へば、お父上に御面会遊ばすのは決して絶望ではありませぬ。否お父上のみならず、母上も御無事でゐらつしやるかも分りませぬ。何と今日は目出度い事でございませう』 松代姫『あゝ、あの気高い御姿を妾は拝んだ時、何とも言へぬ崇高な感じがしました。又日の出神様とやらのお姿を拝した時は、何となくゆかしき感じがして、わが父上の所在を御存じの方のやうに思はれてなりませぬ。もしや父上は、あのお船にお乗り遊ばして御座るのではあるまいか。あゝ何となく恋しい船だ』 と少しく顔の色を曇らせながら物語る。竹野姫は、 竹野姫『お姉さま、お父さまに会はれた上に、又お母さまに会へるやうなことが御座いませうかな』 梅ケ香姫は静に、 梅ケ香姫『妾のいつもの夢に、お父さまには何時も会へますが、お母さまに会つても、何だか妙な霞に包まれてハツキリ致しませぬ。神様のお蔭で父上にはめぐり会ふ事は出来ませうが、お母さまに会ふといふ事は覚束ないでせう』 主従四人は斯くの如き話を船の片隅でひそひそとしてゐる。船中の無聊に堪へかねて、腰の瓢から酒をついで、互に盃を交す三人の若者あり。追々と酔がまはり、遂には巻舌となり、 甲『タヽヽヽヽ誰だい。この荒い海の中で、死んだお母さまに会ひたいの、会はれるのと言ひよつて、縁起の悪い。ここは何処だと思つてるのかい、太平洋の真中だぞ。三途の川でも血の池地獄でもないワ。死んだ者に、それ程会ひたきや、血の池へでも舟に乗つて渡らぬかい。クソ面白くもない。折角甘い酒がマヅくなつて了ふワ』 乙『貴様、酒飲むと、ようグツグツ管を巻きよる奴だな。何でも彼でも引つかかりをつけ人様の話を横取りしよつて、何をグツグツ喧嘩を買ひよるのだ。あのお方はな、貴様のやうな素性の卑しい雲助のやうな奴とは、テンからお顔の段が違ふのだ。なんだ、仕様もない雲助野郎が、訳の分らぬ事を言つて、寡婦の行水ぢやないが、独りゆうとるワイと心の中で笑つてゐらつしやるのかも知れぬぞ。それだから貴様と一緒に旅をするのは御免だといふのだ。酒癖の悪い奴だな。アフリカ峠を痩馬を追ふ様に、酒を飲まぬ時にはハイハイハイハイと吐かしよつて、屁ばかりたれて、本当に上げも下しもならぬ腰抜けのツマらぬ人間だが、酒を食ふと天下でも取つたやうな気になつて、何をほざくのだ、身の程知らず奴が。一体あのお方はどなたと思つてるのか。恐れ多くもヱルサレムの宮に天使長をお勤め遊ばした結構な神様の箱入娘さまだぞ』 甲『ナヽヽヽ何だ、箱入娘だ、箱入娘がものを言ふかい。馬鹿な事を吐かすな。箱入娘なら俺の所には沢山あるワ。娘ばかりか箱入息子も箱入爺さまでも箱入婆さまでも箱入牛まで、チヤーンととつといてあるのだ』 乙『それは貴様、間違つてケツかる、人形箱の事だらう』 甲『さうだ、人形だつたよ。人形がものを言うて堪るかい』 乙『やア、その人形で思ひだしたが、この海には頭が人間で体が魚で、人魚とかいふものが居るさうだぞ。そいつを漁つて料理して喰ふと、千年経つても万年経つても年が寄らぬといふことだ。一つ欲しいものだのう』 丙『やかましう言ふない。折角の酔が醒めて了ふぢやないか。人の眼の前に立ち塞がりよつてな、エーせめて俺の眼の邪魔なとすない。俺は最前からな、あの三人の三日月眉毛の花のやうな美しいお姿のお姫様のお顔を、チヨイチヨイと拝んで、それをソツと肴にして楽しんでをるのだ。そんな所に立つてガヤガヤ吐かすと、眼の邪魔になるワイ』 かく話す折しも、船底に怪しき物音聞え来る。一同は、 一同『ヤア何だ』 と驚いて一度に立上る。船頭は力なき声にて、 船頭『お客さま達、皆覚悟をおしなさい。もう駄目だから』 甲『ダヽヽヽダメだつて、ナヽヽヽ何がダメだい。ベヽヽヽ別嬪がダヽヽヽダメと言ふのかい』 船頭は大声で、 船頭『船が岩に打つかつたのだ。裸になつて飛び込め、沈没だ沈没だ』 船内一同は一時に阿鼻叫喚の声と化し去りぬ。あゝ松竹梅の手弱女一行の運命は如何。 (大正一一・二・一二旧一・一六桜井重雄録) |
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霊界物語 | 09_申_松竹梅の宣伝使の南米・中米の旅 | 10 言葉の車 | 第一〇章言葉の車〔四〇三〕 五月姫は立つて唄ふ。 五月姫『あふげば高し天の原い行き渡らふ日の神の うづの都の守護神えにしの糸に繋がれて おしの衾の永久にかはらざらまし何時までも きよく正しき相生のくにの護りと現はれて けしき卑しき曲津見をこらしてここに神の国 さかゆる松も高砂のしま根に清く麗しく すみきる老の尉と姥せぜの流れは変るとも そろふて二人松の葉のたがひに心を合はせつつ ち代も八千代も永久につると亀との齢もて てらす高砂島の森ときは堅磐に治めませ なみ風荒き海原をにしや東や北南 ぬひ行く船の徐々とね底の国の果てまでも のどかにしらす天津神は留の国をば立ち出でて ひ照りきびしき砂原をふみわけ進む四人連れ へり譲れとの御教のほまれは四方に響くなり まさ鹿山津見神様のみのいたづきを救ひつつ むすぶ縁の温泉場めぐり会うたる妹と背の もも世の契百歳やや千代の固め睦まじく いや永久に永久にゆみづ湧き出る珍山の えにしも深き旅の空よは紫陽花の変るとも わが身に持てる真心はゐく千代までも変らまじ うづ山彦の御神にゑにしの糸を結ばれて をさまる今日の夕かな』 と、四十五清音の言霊歌を歌ふ。 駒山彦『ヤア、恐れ入りました。四十五清音の祝ひの御歌、どうか始終御静穏でゐらつしやいますやうに』 珍山彦『オイ、駒山さま、大分によう転ぶな』 駒山彦『きまつた事だ。山の頂辺から、駒を転がしたやうなものだよ。アハヽヽヽ』 珍山彦『サア駒山さま、山の頂辺から駒を転がすのだよ。一つ言霊歌を聴かして貰ひませうかな』 駒山彦『歌は御免だ、不調法だからな』 珍山彦『この目出度い場所で、御免だの、不調法だのと、是非言霊の宣り直しをやつて貰ひたいものだ。主人側の五月姫さまが言霊でお歌ひになつたのだもの、お客側の貴公がまた言霊で返歌をするのは当然だ。吾々は一度歌つたから最早満期免除だ。サアサア早く早く、言霊の駒を山の上から転がしたり転がしたり、珍山彦の所望だ』 駒山彦も、 駒山彦『こまつたな、止むに止まれぬこの場の仕儀、オツトドツコイ祝儀だ。 あふげば高し山の端をいづる月日のきらきらと うづの都を照すなりえにしは尽きぬ五月姫 おしの衾の暖かにかたみに手に手をとり交し きのふも今日も睦まじくくらせよ暮せ二人連れ けはしき山を乗り越えてここに漸く月の宵 さかづき交す目出度さよしま根に生ふる松ケ枝に すずしく澄める月影はせん秋万歳尉と姥 そろふ夫婦の友白髪たかさご島の守護神 ちよに八千代に色深くつるの巣籠る神の島 てらす朝日は清くしてとこよの闇を晴らすなり なつの半の五月空にしに出で入る月照彦は ぬば玉の世を照らしつつね底の国まで救ひゆく の山もかすみ笑ふなるはる(巴留)の栄えは桃の花 ひらく常磐の松代姫ふたりの娘御諸共に へぐりの山をあとにしてほのかに夢の跡尋ね まぎて来りし父の国みたり逢うたり今日の宵 むすぶ夫婦の新枕めでたかりける次第なり もも上彦は年長くやちよの春の玉椿 いづみのみたまの御教をゆはより堅く守りませ えにしは尽きじ月照のよは紫陽花の変るとも わかやぐ胸を素手抱きてゐきと水火とを合せつつ うつし世幽世隔てなくゑらぎ楽しめ神の世の をさまる五月の今日五日』 と歌ひ了れば、珍山彦は膝を打つて、 珍山彦『ヤア、転んだ転んだ、駒公がころんだ』 駒山彦『これで駒山は除隊ですかな』 珍山彦は、 珍山彦『ヤア、じよたいのない男だな。それよりも五月姫さま、アヽこの館の奥さまとならば、じよたいのうしよたいを保つのだよ。心の底から水晶に研いて研き上げて、華を去り実に就き、曲津の正体を出してしまふのだ』 五月姫は小さき声にて、 五月姫『ハイハイ』 とばかりうなづく。 珍山彦『サア、これから御主人公の番だ。まさか否とは言はれますまい。サアサア祝ひ歌を歌つて下さい。珍山彦の註文だ』 正鹿山津見『皆さまの立派な御歌を聴いて、恐れ入りました。私の言霊は、充分研けて居りませぬから、耳ざはりになりませうが、今日は思ひ切つて、神様の御力を借りて歌はして頂きませう。 あゝ思へば昔其の昔高天原に生れませる 心もひろき広宗彦の兄の命に助けられ 神の真釣を補ひのかみと代りし桃上彦の 神の命のなれの果心の駒の進む間に 八十の曲津に使はれて恵も深き広宗彦の 兄の命に相反き二人の兄を退けて かみのまつりを握りたる高天原の主宰神 常世の闇の深くして心は雲る常世彦 常世の姫に謀られて恋しき都や三柱の 愛しき御子を振り捨てて行方も知らぬ流浪の 身のなり果ては和田の原浪に浮べる一つ島 竜宮の島に渡らむと高砂丸に身をまかせ 常世の浪の重浪を渡る折しも吹き来る 颶風に船は打ち破られ吾は儚なき露の身の 朝日に消ゆる悲しさを闇を照らして昇り来る 日の出神の御光や琴平別の救ひ舟 背に跨り遥々と千尋の海の底の宮 乙米姫の知食す竜の宮居の金門守る 賤しき司と仕へつつ涙に沈む折からに 浪を照して出で来る日の出神に救はれて 神伊邪那美の大神や従属の神と諸共に 音に名高き竜宮を亀の背中に乗せられて 躍り浮びし淤縢山祇の神の命や和田の原 つらなぎ渡る浪の上大海原の真中に 皇大神と右左袂を別ち高砂の 朝日も智利の国を越え珍の都に辿り着き 日の出神の任けのまに名さへ目出度き宣伝使 巴留の御国を救はむと山野を渉りはるばると 吾は都に竜世姫三五の月照る真夜中に 威勢も高き鷹取別の醜の軍の戦士が 鋭き槍の錆となり沙漠の中に埋められて やうやう息を吹き返し闇に紛れて帰り往く 負傷は痛く足蹇へて一足さへもままならぬ 破目に陥る谷の底流るる水を掬ぶ時 香り床しく味もよき瑞の御魂の幸はひを 喜び谷間を攀ぢ登り温泉のいさに浴して 百の負傷は癒えたれど如何はしけむ玉の緒の 命の絶ゆる折柄に淤縢山津見や五月姫 珍山、駒山現はれて神の救ひの御手をのべ 助け給ひし嬉しさよ茲に五人の神の子は さしも嶮しき珍山の峠を越えて千引岩の 上に一夜を明しつつ天雲山をも打越えて 木の花姫の分霊大蛇の船に助けられ もとの住家に立帰り憩ふ間もなく淤縢山祇の 神の命の御執成し珍山彦の真心に 今日は妹背の新枕天津御神や国津神 百神等に永久の誓約をたてし今日の宵 清き心の玉椿八千代の春の梅の花 開いて散りて実を結ぶみろくの世までも変らまじ 朝日は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも 高砂島の永久に妹背の仲は睦まじく 親子夫婦は睦び合ひ花咲く御代を楽しまむ 花咲く御代を楽しまむ此世を造りし神直日 心も広き大直日ただ何事も人の世は 直日に見直し聞直し身の過は宣り直し 光眩ゆき伊都能売の神の御魂と現はれて 天地四方の国々を守る諸神諸人と 共に生代を楽しまむ共に足代を楽しまむ』 と、声もすずしく歌ひ終る。一同は手を拍つて感嘆の声を漏らすのみ。珍山彦は、 珍山彦『サアサア、これで婚礼組の歌は一通り済んだ。これから親子対面の御祝ひだ。モシモシ松代姫様、貴女のお番です。御遠慮なく親の前だ、お歌ひなさいませ』 松代姫は、 松代姫『ハイ』 と答へて立ち上りぬ。 (大正一一・二・一三旧一・一七河津雄録) |
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霊界物語 | 10_酉_黄泉比良坂の戦い | 06 額の裏 | 第六章額の裏〔四三六〕 鷹取別、中依別、その他の並居る役人共は呆気に取られ居る時しも、照山彦はこの場に引返し来り、 照山彦『ヤア、妙な事もあるものですなア。今御覧の如く、照彦とやらこの場に現はれ、忽ち姿を隠し、門外にて又もや数多の従者共を相手に乱暴狼藉を働くとの注進によつて、取るものも取敢へず、表に駆け出し様子を見れば、豈計らむや、人影さへもなく、ただ彼方の森に、コンコンと狐の鳴き声聞ゆるのみで御座つた。さてもさても不思議な事で御座るワイ』 竹山彦『不思議と言つても、斯様な不思議が御座らうか。イヤ中依別殿、はるばると御苦労千万にも、間の国まで御足労になつたのも全く水の泡、泡を喰つてアフンと致すとはこの事で御座らう』 鷹取別『フギヤフギヤフギヤ』 竹山彦『是はしたり鷹取別殿、まだ明瞭とは申されませぬか。寔に以て不憫、不体裁、不幸、フギヤフギヤの至りで御座る』 欄間の懸額の後より、ウーと唸り声響き来る。一同は合点ゆかずと、懸額に向つて目を注ぎ耳を傾くれば、額の後より、 声『アハヽヽヽ、アニ図らむや、妹図らむや、はかり知られぬ神変不思議の魔術にかけられ、案に相違の汝らが、アフンと致して呆れ果てたるその面付き、余りと云へば余りでないか。頭拘へてアイタヽコイタヽ、暗から現はれた赤玉に、頭を押へ叩かれ、鼻をメシヤゲられ、赤い顔して目をキヨロつかせた悪神の寄合ひ、浅い智慧を以て何を企んでも、足下の見えぬ汝等が盲目神、足下から鳥が立つぞよ。何程焦慮つても鉄面しう致しても細引の褌、彼方へ外れ此方へ外れて、後の始末はこの通り、あな可笑しやな。三五教の宣伝使と侮つて、阿呆の限りを尽した汝等、余りの事で二つの眼からあはれや雨が降る。怪しい物音に耳を澄ませ、有らう事か有ろまい事か、肝腎の玉を取られたその有様、有るに有られぬ御心配、御察し申す、アハヽヽヽ、阿呆々々と烏のお悔み、オホヽヽヽ』 照山彦『ヤア怪しき額の裏、何れの悪神か、汝が正体暴露し呉れむ』 と額を目がけて、あり合ふ木刀を取るより早くハツシと打てば、怪しき声は再び方向を転じ、何処ともなしに、 声『イヒヽヽヽ、いぢらしいものだ。幾程この方の所在を探した処で、煎豆に花が咲くまで此方の姿は判るまい。如何なるらむと呼吸も絶えだえに心を焦つ意気地なし、俺が意見をトツクと聞け。長途の旅を漸う此処に手柄顔して威張顔、帰つて来た中依別、一寸一服憩ふ間もなくこの場の仕儀、聊か以て御迷惑千万、石が降つても槍が降つても、照彦の居所を探して常世神王の御目にかけねば、汝の顔は丸潰れ、上役の椅子も保てまい。今迄の威勢はさつぱり地に落ちるぞよ。手柄顔して欣々帰つた中依別も、嗚呼痛はしやいたはしや、只一人の照彦を数多の人数に守らせ、漸う帰つて来たものの、何時の間にやら蛻の殻、お憫しい事で御座るワイ。今も古も類例なき赤恥を掻いて、犬にも劣る浅猿しさ。犬でさへも嗅付けるのに、何と困つたものだのう。言ひ甲斐なき汝ら一同、忌々しさうなその面付、常世の国人に茨の如く忌み嫌はれ、嫌らしい面付きになつて胴も据らず、いらいらとその肝煎り、曲津の神の好い容器、思案の外とは色情ばかりではないぞよ。ウフヽヽヽ』 照山彦『如何にも合点のゆかぬ物声で御座る。何れも方、如何いたしたらよからうかな。色いろと工夫を致して、斯の如き異声を打ち消さねばなりますまい』 又もや何処ともなく、 声『ウフヽヽヽ、呆気もの、狼狽もの、何をウサウサ吐くのか、憂いか、辛いか、うかうかと計略にかかり、こんな憂き目を見せられて、浮ぶ瀬もあろまい。動きの取れぬこの有様、嘘で捏ねた罰は目の前、頭を打たれ鼻を打ち、呆けた面して現三太郎、智慧の疎いにも程がある。甘い企みも水の泡、うようよと毛虫のやうに何をして居る。ウラル彦の教を奉ずる狼狽もの、この方の申す事は気に入ろまい、煩さからう。その憂ひ顔は何だ。この上もなき馬鹿な目に遇うて、頭はへさへられ、鼻は挫がれ、照彦には逃げられ、他所の見る目も気の毒なりける次第だ。ワハヽヽヽ』 中依別『ヤー方々、あの声は何者で御座らうな。強う耳に触り申す。ウラル教の宣伝歌でも歌へば消えるでせうかな。コレコレ竹山彦殿、貴下は何とか御工夫はあるまいか』 竹山彦『サア、吾々も斯の如き声ばかりに向つては、何の手段も御座らぬ』 額の上より、 声『エヘヽヽヽ、オホヽヽヽ』 照山彦『エヽ又始まつた。奇怪千万な笑ひ声で御座る』 何処ともなく、 声『エヘヽヽヽ、エヽ面倒な、モー之位で止めようか。イヤイヤまだあるまだある。オホヽヽヽ、大国彦の神を日の出神と偽り、大国姫を伊邪那美神と偽つて、ロッキー山に立籠り、この世を乱さむ汝等一味の企み。常世神王とは真赤な偽り、極悪無道の広国別、鬼とも蛇とも分らぬ悪人、カヽヽヽ神も堪へ袋が切れるぞよ。固虎や蟹彦の不具人足の構へて居る常世城の表門、体主霊従国はサツパリ破れて今の状態、悔んで還らぬ照彦の宣伝使、どうして顔が立つと思ふか、返す返すも馬鹿な奴だ。可憐相なから、神は之きりにして帰つてやらう。今後は気を附けたが宜からう。ウー』 固虎、蟹彦は広き庭前に蛙突這となつて、蛙に煙草の汁を呑ませし如く、目をしばしばさせながら、 固虎『アヽヽ阿呆らしい、悪性な目に遇はされて、イヽヽ何時の世にか忘れられやうか。ウヽヽ迂濶々々して居ると、カヽヽ蟹彦よ、キヽヽ狂者になるぞよ』 蟹彦『何だ、貴様は化物の真似をしよつて、クヽヽなんて目計りクルクル剥いて、黒い面してくたばつて、クヽヽもあつたものかい。ケヽヽ怪体が悪いぞ、怪しからぬ目に遇うた。マア怪我がなくてまだしもだ。コヽヽこんな目に遇うたら、如何な鷹取別でも、サヽヽ早速に開いた口が閉まるまい』 声『シヽヽ静かにせぬかい、聞えたら叱られるぞ、スヽヽ好かぬたらしい。セヽヽせんぐりせんぐり仕様もない事言ひよつて、背に腹が替へられぬと言ふ様な、誰も彼も面付を遊ばしたその可笑しさ。タヽヽ狸の奴に、チヽヽチツクリ、ツヽヽ魅まれよつて、テヽヽ体裁の悪い、トヽヽ蜥蜴面して、ナヽヽ何の態だ。中依別もあつたものか。ニヽヽ二進も三進もならぬ目に遇はされて、月夜に釜を抜かれたやうな面をして、根つから葉つから見当が取れぬでないか。ノヽヽ進退ならぬ目に遇うて、ハヽヽ恥を掻き、ヒヽヽ雲雀のやうに、フヽヽふざいた、ヘヽヽ屁理屈も、ホヽヽ反古になつて、マヽヽ松代姫や竹野姫、梅ケ香姫の、ミヽヽ三人の、ムヽヽ娘を、メヽヽ妾にしよつて、モヽヽ桃の実だとか、梅の実だとか、ウメイ事ばつかり、ヤヽヽやらかそと思つても、イヽヽいきはせぬぞよ。ユヽヽ幽霊の浜風ぢやないが、またドロンと消えられて、エヽヽ豪い泡を吹くのであらう。ヨヽヽ余程よい白痴ぢやワイ』 竹山彦『ヤイ、その方共は何を小さい声で吐いて居るか。なぜもつと大きな声で申さぬのか』 固虎『カヽヽ勘忍して下さいませ。一寸化物のかたとらを行りました。固虎の狂言、がたがた顫ひの御一同、実に以て御気の毒千万』 照山彦は大声にて、 照山彦『馬鹿ツ』 固虎、蟹彦、両手を拡げ立上り、 固虎、蟹彦『アー』 固虎『オイ蟹公、貴様は何を言うたのだ』 蟹彦『固公、貴様は何言うたのだい。俺は何も言ふ積りぢやなかつたのに、俄に腹の中から何だか出て来よつて、止度もなく喋つたのだ』 固虎『貴様もさうか。俺も何だか腹の中から声が出て来よつて、止めようと思つても止まらぬ。止めて止まらぬこゑの道だ』 蟹彦『洒落ない、洒落どころの騒ぎかい』 この時門前に又もや騒がしき人馬の物音聞え来る。一同は立ち上り、何事ならむと聞耳立つるを、蟹彦は矢庭に横しなげになりて、表門に駆け付くれば、 遠山別『ヤアヤア吾こそは、常世神王の命を奉じ間の国に使ひして、月、雪、花の三人を奪ひ帰つた手柄者、一時も早く此門を開けよ』 蟹彦『何と合点のゆかぬ事だワイ。現に今夜出立した遠山別が、何ほど足が速いと言つても、間の国へは三百里もある。そんな馬鹿な事があつて堪るものか。這奴アまた化物だ。開けて堪らうかい』 門外より、 遠山別『コラコラ門番、何をグヅグヅ、……速かにこの門開け』 蟹彦『此門も彼の門もあるもんか。訳の分らぬもんが遣つて来よつて、又も一もんちやくを起さうとするのか。よしこの方にも考へがある、門番だとて馬鹿にはならぬぞ。この蟹彦さまの腕力で、もんでもんで揉み潰してやらうか。オーイオーイ、赤熊早う来ぬかい、又こんこんさまだ。今夜のやうな怪体な夜さりと言ふものは、古今独歩珍無類だ。今晩は非が邪でも、この門開ける事はまかり成るもんか』 と呶鳴り立てて居る。 赤熊はこの場に走り来り、 赤熊『ヤイヤイ蟹彦、確りせぬか。何を吐いて居るのだ。門はすつかり開いてあるぢやないか、開けるも開けぬもあつたもんかい。モーつい夜が明けるのだ。何を寝呆けて居るのだ』 と拳固を固めて横面をポカンと打てば、蟹彦は吃驚し目を擦りながら、よくよく見れば門はがらりと開いて人影もなく、月は西山に落ちて、木枯の風ヒユウヒユウと笛吹いて渡り行くのみなり。 (大正一一・二・一九旧一・二三森良仁録) |
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霊界物語 | 10_酉_黄泉比良坂の戦い | 12 山上瞰下 | 第一二章山上瞰下〔四四二〕 固虎の案内にてシラ山山脈を春風に吹かれながら、漸うにしてその峠の巓に達したり。東には漂渺たる大海原、際限もなく展開し、西に聳ゆるロッキーの山は、中腹より山巓にかけて、或は濃く、或は淡き叢雲に包まれてゐる。 一行六人は峠の青草萠ゆる芝生の上に息を休め、四方の景色に眼を新しく洗ふ。 珍山彦『ホー、淤縢山さま、貴方は矢張りロッキー山に伊邪那美尊、日の出神が坐しますと信じて居ますか』 淤縢山津見『無論の事です。之がどうして信ぜられずに居れませうか。現に竜宮城から御供して海上で別れた時、之からロッキー山に行つて身を隠す、とお口づから御言葉を承はつたのですから』 珍山彦『成程、それも無理のないことだが、私の神懸りで言つた事は、如何しても信じませぬか』 淤縢山津見『信じない事もないですが、今の処では五里霧中に彷徨するとでも言ふやうな心理状態です』 珍山彦『神様の御経綸は、その大体に於て一定不変であつても、其処には又裏もあり表もあるものだ。奥の奥にも奥があれば、底の底にも底がないほど深い底のあるもの、そこの処をよく審神せぬと大変な間違ひが起りますよ。それだから神の道の宣伝使は、見直し、聞き直し、宣り直せと神歌に示されてあるのですよ』 淤縢山津見『ハア、その真偽、当否は時の問題です。吾々は一日も早く万難を排して敵の厳しき警戒を突破し、ロッキー山に登つてその消息を探つて見たいと思ふのです』 珍山彦『斯う申すと済まぬが、貴方の心の裡は恰度、あのロッキー山の様ですよ。半分は雲に包まれ、半分は春の野山の生地を顕はして居るのと同じ事だ。心の雲を晴らさねば、真実の神の経綸はハツキリしない。この固虎に聞いたら一番よく分るであらう』 固虎『いえ、私も確な事は申上げられませぬが、常世神王の仰せによれば、伊邪那美の大神様、日の出神様は、ロッキー山に居られるとの事、常世城は申すに及ばず、一般の人民も左様だと思つて確く信じて居ります。吾々も、どちらかと言へば、信じて居る方の仲間ですよ』 珍山彦『淤縢山さまと云ひ、固虎さまと云ひ、実に曖昧模糊の考へですな。貴方の精神は不安ではありませぬか。よくマア、そんな頼りない事で信念が続くかと、不思議に思はれてなりませぬワ』 淤縢山津見『何を言つても、愚昧な吾々人間の考へで、広大無辺の神様の御神業がハツキリと分るべきものでない。寧ろ分らないのが当然だらうと思ひます。神様の御神業に対して審神をしたり、或は批評をするのは、人間の分際として僣越だと考へて居ります。只何事も刹那心で、行く処まで行かなくては分らない』 珍山彦『若し伊邪那美神様、日の出神様が贋物であつたら、その時貴方は如何致しますか』 淤縢山津見『その時始めて心の雲霧が晴れ、心の海に真如の日月が輝き渡るのです。只何事も惟神です』 珍山彦『腹を立てる様な事はありますまいか』 淤縢山津見『三五教の宣伝歌の通り、その時こそは直日に見直し聞き直し、宣り直す覚悟です』 珍山彦『ホー、そのお考へならば貴方も宣伝使の及第点が得られますよ。大変に信仰の持ち方が変つて来ましたなア。信仰の力は山をも動かすと云ふ事があるが、貴方はあの山を自分の前に引寄せるだけの信仰力をもつて居ますか』 淤縢山津見『到底そんな事は霊的の事で、現実的には出来ますまい。貴方は出来ますか』 珍山彦『出来ますとも、霊界のみでない、現実的に私の前に山を引寄せて見せませう。貴方等も私の後に跟いて御出でなさい。手を翻せば雨となり、手を覆へせば雲となる、自由自在の世の中、万々一吾言霊によつて動いて来なかつた時は、山の神さまに何か御都合があつてお忙しいのだらうから、こちらの方から歩いて往つて目の前に引寄せるまでの事ですよ』 淤縢山津見『大抵ソンナ事だと思つて居た。それなら吾々も海でも引寄せるワ』 珍山彦『オー、固虎さま、貴方は今の今まで、悪神の眷属となつて大変に吾々を苦しめようとされたが、ようマア俄に掌を返した様に変つたものですなア』 固虎『手を翻せば雨となり、手を覆へせば雲となる』 珍山彦『オイオイ、真似をしてはいかぬよ。悪なら悪、善なら善、何処迄もつき通したら如何だ。悪かつたと思つて、俄に精神を燕返しにすると言ふのは、日頃剛毅の固虎さまにも似合はぬではないか』 固虎『これは心得ぬ宣伝使のお言葉、悪を謬つて善と信じた時は、何処までも猛進するのが男の本領だ。悪かつたと思つて気がついた時は、忽ち見直し、聞き直し、宣り直すのが誠の男ではありますまいか』 珍山彦『変説改論の御本尊、宣り直しは結構だ。角の生えた牛雲別や嘴の鋭い鷹取別を離れて、牛を馬に乗り換へのり直すと云ふやうなものだなア』 淤縢山津見『アツハツハヽヽ、面白い面白い』 珍山彦『固虎さま、またロッキー山へ行つたら、燕返しではないかなア。変説改論の張本だから案じられたものだよ』 固虎『巌より堅い固虎の鉄の様な腹中を見て下さい。さう馬鹿にしたものぢやありませぬよ。かたがた以て無礼千万なことを仰有いますが、それに就ても合点のゆかぬは、常世城の昨冬の不思議、今此処に御座る三人の宣伝使様と同じ名のついた宣伝使が、間の国から召捕られて常世城に入り、常世神王の大変なお気に入りであつた処、何時の間にやら煙の様になつて消えて了つたのです。そのとき私は門番をやつて居ましたが、照彦と言ふ三五教の宣伝使も召捕られて、これまた不思議や、煙となつて消えて了ひ、種々な不思議を現はし、常世神王や鷹取別等を心の侭に散々の目に遇はし、私はその時の罰によつて、門番から常世城の上役人に落されましたのか、上げられたのか、イヤハヤ、もう訳の分らぬ事ですよ。之が所謂、迷宮と云ふのでせうか。門番も俄に天に上つて羽振りを利かし、大勢の家来を連れてカリガネ半島に貴方等を囲んで一つ手柄をしようと思つたらあの有様、改心せずには居れないぢやありませぬか』 珍山彦『怖さ、恐ろしさ、生命が惜しさの改心は真実の改心ぢやない、怪心だ。固虎、宣り直しなさい』 この時ロッキー山の方に当つて鬨の声一時に聞え来る。一行六人は、 一同『ヨー危機一髪だ。皆さま、之から各自に覚悟致しませう』 と思ひ思ひに山頂に向つて袂を別ち、愈ロッキー山に対して自由行動をとる事となれり。嗚呼この結果は如何。心許なくまた心強し。 (大正一一・二・二二旧一・二六北村隆光録) |
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霊界物語 | 10_酉_黄泉比良坂の戦い | 22 混々怪々 | 第二二章混々怪々〔四五二〕 醜の魔風の吹き荒ぶ、ロッキー山の山颪、大国姫神は黄泉島なる戦ひに、味方の勝を美山別、国玉姫の訪れを、今や遅しと待ち居たる。時しもあれや大空を、轟き渡る天の磐船、此処彼処、円を描いて下り来る。鳴音高き大雷、火雷の二柱、ロッキー山の城門に現はれ、門外より門番に命じ、鉄門を左右に開かしめ、息もせきせき奥殿目がけて進み入る。 ロッキー山の重臣武虎別は進み出で、大雷、火雷の二将を見るより、 武虎別『オー、思ひがけなき二神の帰城、黄泉島の戦ひ、味方の勝敗如何に、速かに話されよ』 大雷『吾々中途にて急ぎ帰りしは、余の儀にあらず。黄泉島の戦闘は殆ど味方の全敗、このまま打捨て置かば、敵の大将日の出神は数多の神軍を引連れ、黄泉島は未だ愚、常世の国に攻め渡り、ロッキー山を占領し、吾々をして根底の国に追ひ落さむは目睫の間にあり。貴下は速かに此由大神に奏上されよ』 火雷『時後れては一大事、瞬くひまも猶予ならず。早く早く』 と急き立てる。 武虎別は何の答もなく、そのまま隔ての襖を押し開きて慌しく奥殿目がけて進み入りぬ。後に二人は呆然としてもどかしげに、大国姫の出場を首をのばして今や遅しと待ち居たるが、此時、門前に何となく騒がしき音聞え来る。二人は耳を澄まして其物音に聞き入れば、国玉姫、杵築姫、田糸姫の三柱の美人は悠々として数多の女神を引連れ、此の場に入り来るなりき。大雷は思はず声をかけ、 大雷『ヤア貴下ら三人は戦ひの真最中にも拘はらず、危急存亡の場合、戦陣を捨て、女々しくも帰り来れるか。之には深き様子のある事ならむ、具に物語られよ』 国玉姫『アツハヽヽ、オホヽヽヽ』 杵築姫『ウフヽヽヽ、エヘヽヽヽ』 田糸姫『イヒヽヽヽ、ホヽヽヽ』 三人一同にいやらしき声を張りあげ、敗軍も心に留めざるが如き気楽さうな笑ひ声に、大国姫命、武虎別は慌しく出で来り、 大国姫『アイヤ、汝は大雷、火雷にはあらざるか。天下分目の此戦ひ、敵も味方も死力を尽し、鎬をけづる真最中に帰り来るは其意を得ず、いぶかしさの限りなり。また国玉姫ら三人のその笑ひ声は何事ぞ』 とやや顔色を赭らめて問ひかくれば、大雷は大口開いて、 大雷『オホヽヽヽ、恐れ入つたる御挨拶、鬼も、大蛇も、狼も、掴んで喰ふ大雷、オメオメ帰り来る理由があらうか。大勢の軍卒を引連れながら腰を屈め、尾を巻いておぢおぢと帰り来る理由はない。恐れながら此大雷は、日の出神の御使鬼武彦の化神なるぞ。己れの正体は判るまい。狼狽へきつた其面付のをかしさ。大国姫命も、畏れ多くも、伊邪那美神をさし措き伊邪那美大神と偽り、この世を誑る大曲津の張本、この侭にしてはオヽ置くものか。ヤイ、もうそんな馬鹿な芸当はおけおけ。をこがましくも、ロッキー山の魔神のお里にあり。押しも押されもせぬ日の出神に敵対ふとは、分に過ぎたる汝の企み、今後は三五教の教を守り、ソンナ恐ろしい計画を致すでないぞ。何だツ、お多福面をしよつて、おつに構へて大国姫の贋神が、伊邪那美命なぞとは尻が呆れるワイ。根の国底の国に落ちて怖ろしい責苦に遇へば、如何にお転婆の其方も、多寡が女の弱腰、鬼の鉄棒や斧を以て追ひまくられては、お前の逃げ場所もあるまい。オメオメと根底の国で恥を掻くより、今の中に心を改め、面白くない計画を止めて祖神様に従へ。さう致せばお前の罪は追ひ追ひと赦されるであらう。大雷と見えたるは大きな間違ひ、鬼武彦が千変万化の活動だ。アハヽヽヽ』 火雷『ホヽヽヽ、呆けた面してホロホロと、涙をこぼして其態は何だ、今迄の悪いたくみをホホ、ホウキで掃いた様に、さつぱりと放して終へ。伊邪那美神と甘く化けおほせ、これで大丈夫だとほくそ笑をして居た其方、何ほど自分の力に呆けて誇つて居ても、ごうたくを吐いても、貴様の欲しい黄泉島は中々以て手に入らぬぞ、細引の褌だ。あつちに外れ、こつちに外れ致してボタ餅は棚から落ちて来ないぞ、発根から改心致さばよし、大きな布袋つ腹を拘へて、何を企んでもホコトンばかりだ、時鳥だ。八千八声の血を吐いて、苦しみ藻掻き、誉処か法螺の抜け殻、穴でも掘つて、すつ込まねばならぬやうな恥かしいことが出来て、ホロホロと涙をこぼし、天地の神には放棄され、取返しのならぬ事が出来いたすぞ。改心いたすなら今ぢや。ホヽヽヽ火雷とは真赤な偽り、われは火産霊神だ。よつくわが面を見て置けよ。アツハヽヽハー』 国玉姫『オホヽヽヽ、淤縢山津見がやつて来て、ロッキー城を撹き乱し、固虎彦が仇の間者となつて、汝が計画を根本よりひつくり覆す其謀計に気の付かざる馬鹿神ども、アハヽヽヽハー、呆れ蛙の面の水だ。阿呆阿呆と朝から晩まで、峰の烏が鳴き渡る。アフンとするは目のあたり』 田糸姫『ウフヽヽ、ウラル教に欺されて動きの取れぬ黄泉島の戦ひ、エヘヽヽ、エンマが罪人の戸籍を調べるやうな得体の知れぬえぐい面付き。エヘヽヽヽ』 杵築姫『イツヒヽヽヽ、伊邪那美命などと、いい加減な法螺を吹いて、威張り散らした大国姫、一寸先は真暗がり、今に化の皮が現はれるぞ。大雷、火雷も、国玉姫も、田糸姫も、杵築姫も、残らずお化と大馬鹿者と一つになつた此の芝居、黄泉比良坂の桃の実も、今はさつぱり虫が喰うて気の毒な次第なりだ。本当の国玉、杵築、田糸の三人は、比良坂に於て、日の出神の神軍の言霊に悩まされ、肝腎の国玉姫はキツキ目に遇はされて頭を割られ、腕をくじかれ、イタイ、イタイと半死半生、見るも哀れな次第であるぞよ。イヒヽヽヽ、命あつての物種だ。一時も早く魂を入れ換へ致すがよからう。コンコンコンコンカイカイカイ』 忽ち五人の男女は牛の如く大なる白狐となり、大国姫、武虎別目がけて飛び付かむとする。この時またもや門前騒がしく、日の出神の御来場と先導者の声、城の内外に響き来る。 (大正一一・二・二五旧一・二九藤津久子録) |