| 番号 (No.) |
書籍 | 巻 | 章 | 内容 |
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121 (3025) |
霊界物語 | 68_未_タラハン国の国政改革2 | 17 地の岩戸 | 第一七章地の岩戸〔一七四一〕 三五教の宣伝使梅公別は白馬に跨り、渺茫として天に続くデカタン高原の大原野を東へ東へと那美山の南麓を目当に進み来り、古ぼけた水車小屋の前に駒を留め独言、 梅公『ハテ、訝かしや、今この附近に人声が確に聞えたやうだ。駒を早めて近寄り見れば人の住みさうにもないこの破屋一つ。水車はあれど運転中止の有様、何かこの小屋には秘密が潜んでゐるに相違ない。どれ一つ調べて見よう』 と駒をヒラリと飛び下り、水車小屋の柱に縛りつけおき乍ら、いろいろと四辺を耳をすまして伺つて見た。どこともなしに人の声が聞えて来る。地の底のやうでもあり、又上の方から聞えて来る様でもあり、声の出所が解らぬ。梅公別は菰を敷きて端坐し瞑目して祈願を籠めた其結果は、「地下室に立派な人が投げ込まれて居る」と云ふ事が解つて来た。四辺をよくよく調べ見れば、鞋に摺りみがかれた床板がある。グツと手をかけ一枚めくつて見ると、地下室へ相当の階段が通つてゐる。梅公別はこの階段を四五間許り右に左に折れ曲り乍ら降つて往くと、其処に二人の男が抱き合うて慄つて居る。 『やア其方は何者だ。察する所何か良からぬ秘密の伏在する魔窟と見える。有体に申上げろ』 サ『ハイ、ワヽヽ私はサヽサーマンと云ふヒヽヽ一人の人間で厶います。何も別に悪い悪事を致した覚えは更に厶いませぬ。右守の司様の御命令に依りまして、此処に勤めて居るので厶います。どうぞ今日の所は見逃して下さいませ。お慈悲です、お情です、頼みます。コヽコラ、カーク、貴様もチヽ些と云ひ訳の弁解を致さぬか』 カ『いや申し宣伝使様、私はカークと申まして余り悪くもない、良くもない世間並の人間で厶います。実の所は右守の司が大変な謀叛を企らみ、カラピン王の太子スダルマン太子を、二千円の懸賞付で取つ捉まえて呉れと、内々御命令が下りましたので、二十人のものが、ソヽその百円づつ確に儲けさして頂きました。どうぞ御量見下さいませ。何時でも取る金は取つたのですから、太子様は何時でもお返し申ます。のうサーマン、ソヽさうぢやないか』 サ『ソヽそれでも太子様をコヽ此人に渡さうものなら、俺達のクヽ首が飛ぶぢやないか』 梅『お前等の云ふ事は些とも要領を得ない。要するにタラハン城の太子様を右守に頼まれて何処かへ匿したと申すのだな』 サ『ハイ、其通りで厶います。毛頭相違は厶いませぬ。何処かへ匿しまして厶います』 梅『何処かでは解らぬぢやないか。かつきりと在所を云つたらどうだ』 サ『ハイ、たうとう……所へ匿しました』 梅『何と云ふ所へ匿したのだ』 サ『ハイ、チヽチのつく所です。オイ、カークお前も半分云へ。俺も秘密を明しては責任があるからなア。一口づつ云はうぢやないか』 カ『ハイ、宣伝使様、包まず隠さず申上げます。カーに匿しました』 サ『シーに匿しました』 カ『ツーに匿しました』 梅『何、チーとカーとシーとツーと、アヽ地下室か。地下室と云へば此処ではないか』 サ『サーで厶います』 カ『ヨーで厶います』 梅『オイ、邪魔臭い。左様で厶いますと云へば可いぢやないか』 サ『こんな秘密を申上やうものなら、右守の司から打ち首に合はされますから、夫れで態と解らぬやうに言葉を分けて申しました。御推察下さいませ、貴方の明敏の頭脳でお考へ下されば解るでせう』 梅『成程、それも一理がある、面白い。それでは二人が分けて話して呉れ。自分は言霊別だから一言聞けば大抵解る。さうして此地下室に押し込まれて居る方は一人か二人かどうだ』 二人は互に一言づつ、 『フ、タ、リ、サ、マ、デ、ゴ、ザ、リ、マ、ス。ソ、シ、テ、ヒ、ト、リ、ハ、ス、ダ、ル、マ、ン、タ、イ、シ、サ、マ、ヒ、ト、リ、ハ、ス、バー、ル、ヒ、メ、サ、マ、デ、ゴ、ザ、イ、マ、ス。ミ、ツ、カ、マ、ヘ、カ、ラ、ナ、ニ、モ、ク、ハ、ズ、ノ、マ、ズ、ニ、オ、シ、コ、メ、ラ、レ、ク、ル、シ、ン、デ、イ、ラ、レ、マ、ス』 梅『ヤ、もう解つた。貴様達は此処を些とも動く事はならぬぞ』 カ『ハイ動けと仰有いましても此通り腰が抜けて仕舞つたものですから、動く事は出来ませぬ』 梅『荒金の土の洞穴底深く 繋がれ給ふ君を救はむ。 吾こそは三五の道の神司 君を救はむと忍び来にけり』 太子は石牢の中よりさも爽かなる声にて、 『惟神神の恵の幸はひて 岩戸の開く時は来にけり。 三五の神の司の御恵の 露に霑ふ若緑かな。 吾妹子は隣の牢屋に繋がれぬ とく救ひませ吾より先に』 スバール姫は最前から此様子を考へて居たが、地獄で仏に遇うたる心地、喜びに堪えず、さも嬉し気に、 『訝かしきこれの牢屋にとらはれて 泣き暮らしけり吾等二人は。 皇神の珍の御光現はれて 常夜の暗を照らす嬉しさ』 梅公別は牢獄の鍵を探せども何処にも鍵らしきものが見当らないので、両人に向ひ厳しく訊問して見ると牢獄の鍵は右守の司が持つて帰つたとの答である。梅公別は途方に暮れ乍ら一生懸命に天の数歌を奏上し祈り初めた。不思議や牢獄の岩の戸は自然にパツと開けて五色の光明が室内を射照した。太子もスバール姫も転ぶが如く牢獄を走り出で、梅公別の体に前後より喰ひつき嬉し涙にかきくれ、少時言葉さえ出し得なかつた。 梅『承はれば殿下はタラハン城の太子様、又貴女はスバール姫様との事、どうしてまア斯様な所へ押し籠められ玉うたので厶いますか』 太『恥し乍ら吾々二人は恋におち城内を密に脱け出で、山奥の破れ寺に入つて匿れ忍んで居りました所、心汚なき右守のサクレンスなるもの、王家を奪はむ企みより、吾々を邪魔者と見做し、悪漢に命じ金を与へてふん縛らせ、斯様な所へ連れ参り、吾等二人を干し殺さむとの企み、もはや決心の臍は極めて居りましたが、思ひも寄らぬ貴方のお助け、斯様な嬉しい事は厶いませぬ』 ス『宣伝使様、有難う厶います。お蔭で命を救うて頂きました。此御恩はミロクの世迄も忘れは致しませぬ。命の親の神司様、辱なふ存じます』 梅『人を救ふは宣伝使の役、其様に礼を云はれては却つて迷惑を致します。神様が私の体を通して貴方等をお救ひ遊ばしたのですから、国祖国常立大神様、豊雲野大神様にお礼を仰有つて下さいませ。サア私と一緒に声を揃へてお礼を致しませう』 『ハイ、有難う』 と両人は梅公別司と共に、心のどん底より満腔の赤誠を捧げて、感謝の辞を大神に奏上し終り、梅公別は両人に向ひ、 梅『サア皆さま、かやうな所に永居は恐れが厶います。これから私がタラハン城へお送り致しませう。今迄の間違つた心を取り直し城内へお帰り遊ばし、大王殿下の宸襟をお安め遊ばしませ』 太『ハイ、何から何迄、御親切に有難う厶います。併し乍ら此女は父には内証で連れて居りますので、此女を連れて帰る訳には参りませぬ。それだと云つて今更捨ててゆく事も可愛さうで出来ませぬ。又私の恋愛至上主義より見ても捨てる訳には行きませぬから、何卒お慈悲に此処から二人をお見捨て下さいませ。一生のお願で厶います』 梅『アーそれは間違つたお考へ、どうあつても私がお伴を致しませう。さうしてお二人の恋愛は敗れないやうに私が媒介となつて、父王殿下の御承諾を得る事に致しませう。必ず御心配なくお館へお帰りなさいませ』 太『父は大変に頑固で厶いますから、神司のお言葉と雖も到底承知は致しますまい』 梅『それは貴方の心の偏見と申すもの。天の下に子を愛せない親が厶いませうか。貴方がこのスバール様を愛して居られるよりも百層倍増て貴方の父上は貴方を愛して居られますよ。愛する貴方の心を慰むる恋人をどうしてお憎み遊ばしませう。宣伝使の言葉に二言はありませぬ。生命を賭しても貴方の恋を完全に成功させませう。承はればタラハン国は紛擾絶間無く国家は危機に瀕して居るやうです。御父殿下も御心配の折柄、天にも地にも一人子の太子様のお行衛が分らないやうな事では層一層父殿下の御心配は増す許り、国家の擾乱は日を逐うて激烈を増す計りです。その虚に乗じて悪臣共が非望を企て世は一日と修羅の巷となる許りでせう。是非私に跟いてお帰りなさいませ』 太『ハイ重ね重ねの御教訓有難う厶います。そんならお言葉に従ひ一先づ城内に帰る事に決心致します。真に済みませぬが、どうか送つて下さいますやう』 梅『やア早速の御承知、遉はタラハン国の太子様、私も満足致しました』 ス『妾もお言葉に甘へ、宣伝使様のお伴を致しまして太子様と共に参らして頂きませう。どうか宜敷うお願ひ致します』 梅『や、御心配遊ばすな。きつと円満に解決をつけてお目にかけませう。何事も神様にお任せ申せば大丈夫ですから。併し太子様、此両人はどう遊ばしますか』 太『ハイ、許し難い悪人で厶いますれば、此両人を牢獄へぶち込み懲しめてやり度いは山々で厶いますが、私も牢獄生活の苦しみを味はひましたので、吾身を抓つて人の痛さを知れとやら、どうも可憐さうで放り込んでやる気も致しませぬ。この処置については宣伝使様の御判断に任せませう』 カ『アヽ、もしもし宣伝使様、決して私は此後に於て悪事は致しませぬから、どうぞ牢獄へ入れる事だけは許して下さいませ。その代りお馬の別当でも何でも致します』 梅『人を救けるは宣伝使の役だ。併し乍ら恐れ多くも太子殿下を苦しめ奉つた其方共なれば、一人だけ助けてやらう。一人は気の毒ながら此牢獄に打ち込んでおく積りだ。太子様どちらが比較的善人で厶いますか』 太『ハイ、私としては甲乙の区別がつきませぬ。揃ひも揃つて悪い奴で厶いますから』 サ『もし太子様私は何時も貴方に対し同情を持つて居たぢや厶いませぬか。このカークと云ふ奴、私が「太子様にお腹が空くだらうから、焼甘藷の蔕でも買つて来てソツと上げたらどうだらう」と云うた所、大悪党のカークの奴、「私はそんな宋襄の仁はやらない、断乎として水一杯も呑ます事は出来ない。右守の司にそんな事が聞えたら、俺の首が飛ぶ」と極端に自己愛を発揮した奴で厶いますから、どうか私をお助け下さいませ』 梅『アツハヽヽヽ、オイ、カーク、お前はサーマンが今云つたやうな事を申したのか』 カ『ハイ、是非は厶いませぬ。神様の前で匿したつて駄目で厶います。あの通り申しました。誠に今となつて思へば申訳のない事を致しました。どうか私を牢獄に投げ込んで帰つて下さいませ。サーマンは女房も有る事なり、私は一人身、どうなつても構ひませぬ。妻も無く、子も無く、何時死んでも泣く者さえ厶いませぬから』 梅『ハヽヽヽ、割とは正直な奴だ。どうやらお前の方が善人らしい。さう有体に白状した上はお前の罪は消えて了つた。気の毒乍らサーマンを牢屋に投げ込むより仕方が無からう。太子様、殿下のお考へは如何で厶いますかなア』 太『や、それは面白いでせう。人の秘密を明して自分が助からうと云ふやうな悪人は懲しめの為め何時迄も冷たい牢獄に投げ込んでおくが宜敷いでせう』 サ『もし太子様、殿下様、どうぞ今迄の悪事は大目にみて下さいませ。其代り殿下の為めならば、今死ねと仰有つても死にますから』 太『やア面白い。然らば牢獄に投げ込む事は許してやらう。どうぢや嬉しいか』 サ『ハイ嬉しう厶います。ようまアお助け下さいました。今後は殿下の為めなら何時でも命を差し出します』 太『やア愛い奴だ。そんなら余の身代りとなつて今此処で死んで呉れ。汝の首を提げて右守司の前に差出し、スダルマン太子の生首と申し、首桶に入れて進物にいたす考へだから』 サ『メメ滅相な、今此処で命を取られては助けて貰つた甲斐が厶いませぬ』 太『ハヽヽヽヽ、汝の如き生首がどうして余の身代りにならうか。瓦は金の代りにはなるまい。あゝ総て人間の心は皆こんなものだらう。父王殿下の御側に親しく仕へ侍る老臣共は「大王殿下の為めならば何時でも命を的に働きます」と、臆面もなく口癖のやうに申て居たが、五月五日の大騒擾の勃発した時は、左守、右守を始め重臣共は四方に逃散り、唯の一人も参内したものは無かつた。高禄に養はれた重臣でさへも其通りだから、匹夫の汝が命を惜むのは無理もない。余は宣伝使に救はれた祝として、汝等両人を立派に放免する。何処へなりと勝手に行つたがよからうぞ』 太子のこの情の籠もつた言葉を聞くより、今迄腰を抜かして居た両人はムクムクと起き上り、長居は恐れ又もや御意の変らぬ内にと云つたやうな調子で、「ア、リ、ガ、ト、ウ、サ、マ」と互に一言づつ謝辞を述べながら、一目散に階段を昇り雲を霞と吾家をさして馳帰り行く。梅公別は遥の原野に遊んで居る二頭の野馬を捉へ来つて両人に勧めた。スバール姫は騎馬の経験がないので、梅公別が乗り来つた鞍付の馬に乗せ、二人の男は荒馬に跨り乍ら駒の蹄に土埃を立て、東北の空を目当に駆けて行く。 捉はれし太子の御子も三五の 神の恵に放たれてけり。 (大正一四・一・七新一・三〇於月光閣加藤明子録) |
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霊界物語 | 68_未_タラハン国の国政改革2 | 21 祭政一致 | 第二一章祭政一致〔一七四五〕 スダルマン太子は宣伝使に送られ、一行と共に無事タラハン城内に立帰り、父の大王に面会し、今迄の不都合を謝し、且つ今後は心を改めて、父の後を継ぎ、国家万機の政事を総攬せむ事を誓つた。カラピン王は太子の姿を見るより、喜びの余り気が緩み、ガツカリとした其刹那、忽ち人事不省に陥り、四五日を経て八十一才を一期となし、此世に暇を告げた。太子は父王の位を継承しカラピン王第二世と称し、天下に仁政を布き、国民上下の区別を撤回し、旧習を打破し、国民の中より賢者を選んで、夫れ夫れの政務に就かしめ、下民悦服して皷腹撃壤の聖代を現出した。アリナ及びバランスは国法の命ずる所に従ひ、一時牢獄に投ぜられたが、太子が王位に即くと共に大赦を行ひ、両人は僅に一週間の形式許りの牢獄住居を遁れ、アリナは天晴右守司となつて国民上下の輿望を担ひ、輔弼の重任を尽し奉つた。そして民衆救護団長たりし大女のバランスを妻に迎へ、アリナの家は子孫代々繁栄した。又バランスはスダルマン太子の即位と共に民衆救護団の必要なきを感じ、部下一般に対して、解散の命を下した。左守司のガンヂーはカラピン王の後を逐うて、之亦眠るが如く帰幽した。浅倉山の山奥に隠れてゐた前左守司シャカンナは新王に召されて、城中に入り元の如く左守の職に就き、国政の改革に全力を傾注し、国民一般の大に信任を得た。太子の最も寵愛せしスバール姫は王妃の位に上り、殿内の制度を自ら改革し、従前の因習や情実的採用法を全廃し、賢女を集めて殿内の革正に努めた。又向日の森の辺に住む茶坊主のタルチンはスバール姫に終身仕ふる事となつた。毒婦シノブの為にインデス河に投込まれた王女のバンナ姫はバランスの部下に救はれ芽出度宮中に送り帰され、トルマン国の太子に懇望されて其妃となつた。大宮山の盤古神王の社は梅公別の宣伝使が指揮に従ひ、以前よりも数倍宏大にして且つ立派なる社殿を造営し、社を三棟となし、中央には大国常立尊、豊雲野尊を祭り、左側の宮には神素盞嗚尊、大八洲彦命を鎮祭し、右側の宮には盤古神王及国魂の神を鎮祭し、カラピン王家の産土神として永遠に王自ら斎主となり奉仕する事となつた。 カラピン大王や左守ガンヂーの葬祭式には上下挙つて会葬し、開闢以来の盛儀と称せられた。次いで大宮山の遷宮式並に太子の即位式や結婚式等にて、タラハン城市に全国より祝意を表して集まり来る者引も切らず、期せずして大火災に会ひしタラハン市は一年ならずして復興し、以前に優る事数倍の繁栄を来たした。何れも新王が民意を容れ、平等博愛の政治を布き給ひし恩恵として子供の端に至る迄其徳を慕ひ、不平を洩らす者は只一人もなかつたといふ。即位式の状況に付いては茲に省略し、祝歌のみを紹介する。 新王『久方の天津御神の御心を 麻柱まつり国を治めむ。 国民の日々の暮しの安かれと 朝な夕なに神に祈らむ。 親々の開き給ひし神の国を 謹み畏み守りまつらむ。 新しき国の政を開きつつ 野に在る聖広く求めむ。 大宮の下つ岩根に千木高く 鎮まりゐます神ぞ尊き。 三五の神の教を今よりは あが国民に教へひろめむ』 妃『吾君の勅のままに服ひて 御国の母と仕へまつらむ。 天つ神国津御神を斎ひつつ 吾神国の御民を治めむ。 諸々の珍の司を率ゐつつ 吾大君の道を助けむ。 有難き神の恵の露に会ひて 今日九重にわれは輝く。 世の中の御民よ永遠に安かれと 祈るはおのが願なりけり』 アリナ『大君は遠く御国に昇りまし 天にゐまして御代をしらさむ。 吾父は吾大君に従ひて 神の御国に昇りますらむ。 足曳の山の名画と謳はれし 后の宮のうまし御姿。 吾は今右守司と任られて あが大君の御前に侍る。 天はさけ地ゆり海はかかる共 君の恵は忘れざらまし。 大神と吾大君の御為に 心も身をも捧げまつらむ』 シャカンナ『神去りしあが大君に仕へてし われは再び世に出でにけり。 新たなるあが大君の恵にて 吾まな娘人となりぬる。 山奥に匂ひ初めたる梅の花 今日は高天に実を結ぶなり。 親と子の称へはあれど大君の 后とゐます君に従ふ。 十年振珍の都に立帰り 君に仕ふる事の嬉しさ。 今よりは心の駒を立直し 御民の心なごめまつらむ』 バランス『バランスは鄙に育ちし身ながらも 今日九重の空にすむ哉。 背の君と手を携へて政 輔けまつらむ事の嬉しさ。 タルチンの館に三年忍びつつ 仇に返せし事の苦しさ。 ブルジョアや資本階級悉く 打払はむとすさびせしかな。 都路に火を放ちたる曲業も 御代を救はむ心なりけり』 タルチン『力なき小さき吾身も御恵の 露にうるほひ甦りける。 有難し后の宮の手を取りて 茶道教ゆる身こそ嬉しき』 梅公別『皇神の貴の御光現はれて 世の基をば開く今日哉。 大宮山の聖場に大宮柱太しりて 斎ひまつりし大神の御前を畏み願ぎまつる 抑もこれの神国は遠つ神代の昔より 民の心を心とし国の司は天地の 神の心を心とし上下の隔てを取去りて 中取り臣と現はれて国の国王となり給ひ 四方の民草平けくいと安らけく撫で給ふ 畏き御代も中つ世に押よせ来れる曲道に 皆汚されて神国は悪魔の荒ぶる世となりぬ 上に仕ふる司等は名利の欲に心をば 晦ませ鬼と成変り民の苦み気にかけず 利己主義一途に相流れ世は日に月に弱りはて 怨嗟の声は野に山に都大路の隅々に 轟きわたる恐ろしさ時しもあれや皇神の 化身とあれますスダルマン太子の君は逸早く 能く民情に通じたるアリナの君を抜擢し 股肱の臣と愛給ひ心を合せ力をば 一つになして国民の苦難を救ひ助けむと 心を砕かせ給ひしが曇り切つたる九重の 御空の雲は深くして晴らす由なき常暗の 曲の健びは手を下す術さへもなく一時は 館を出でて山に野に彷徨ひ給ひ千万の 悩みをうけさせ給ひしが一陽来復時来り 今や王位に登りまし諸政の改革断行し 新に国を開きつつ慈母の赤子に於ける如 万の民を撫で給ふ畏き御世とはなりにけり あゝ惟神々々五六七の御代の魁か 仰げば高し久方の尊き神の御恵みか 称へ尽せぬ御稜威仰ぎまつれよ諸人よ 上は国王を初とし司々の端々も 神を敬ひ大君を慕ひまつりて邪の 心を改め惟神神の心に叶ひたる 勤めをなせよ惟神神に代りて梅公が 名残に一言述べておくあゝ惟神々々 御霊幸はひましませよ旭は照る共曇る共 月は盈つ共虧くる共仮令大地は沈む共 誠一つは世を救ふ神が表に現はれて 善と悪とを立わける此世を造りし神直日 心も広き大直日只何事も人の世は 直日に見直し聞直し世の過ちは宣り直し 珍の祭を永久に執らせ給へよ大君よ 三五教の宣伝使梅公別が謹みて 神の御旨を宣べ伝ふ』 梅公別の宣伝使は新王を始め並ゐる重臣共に神の教を諄々と説き諭し、再び白馬に跨り、タラハン城を後に眺めて、照国別の隊に合すべく、蹄の音も勇ましく、矢を射る如く帰り行く。あゝ惟神霊幸倍坐世。 (大正一四・一・七新一・三〇於月光閣松村真澄録) (昭和一〇・六・二三王仁校正) |
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霊界物語 | 72_亥_スガの港(宗教問答所) | 17 六樫問答 | 第一七章六樫問答〔一八二六〕 懺悔生活の偽君子、スコブッツエン宗の教祖と名乗る妖僧キユーバーはダリヤ姫に対する恋衣のすげなくも破れしより、もとより心の汚い便所掃除、糞度胸を据ゑ、捨台詞を残して問答所より屁の如く消え去つた。あとはヨリコ、花香、ダリヤの三人、何程女丈夫でも男の受持つべき掃除は永く続かないとて、薬種問屋の主人イルクに掛合ひ門番のアル、エスを臨時掃除番として、手伝はしむることとなつた。朝も早うから、新参者の掃除番はキユーバー、ダリヤが奮戦苦闘の古戦場、上雪隠の掃除しながら、 アル『オイ、エス、主人の言付だから是非もなく、エースと云つて返事はしたものの、本当に糞忌々しい、バカ臭い目に遇ふぢやないか、エー、これだから人に使はれるのは辛いと云ふのだ』 エス『何程辛いと云つても仕方がないぢやないか、何一つ人に勝れた芸能がアルと云ふでもなし、雪隠の虫のやうに、ババの尻斗り狙つてゐるやうな事で、気の利いた大役も勤まりさうな事がないぢやないか。いつも雪隠と云ふやつは、紛擾の種を蒔く奴だ。昨日もスコブッツエン宗の小便使、キユーバーとかキユーフンとか云ふ糞坊主がダリヤさまに糞糟にこきおろされ、犬の糞のやうに云はれ、終ひの果にや糞然として屁つ放り腰で雲を霞と逃げ散つたりと云ふ為体、その跡釜に据ゑられた俺達アまるつきり雪隠虫だ、然し雪隠虫だつて落胆するにや及ばないよ、少時糞壺の中でウヨウヨしてる間に羽が生え、立派な金襴の衣を着けて、金蠅となり、ヨリコ姫の頭へでも止つて糞小便を放りかけるやうになるのだからのう』 アル『門番も今日はお尻の門番と 成り下りけり糞忌々し。 仰ぎ見て穴恐ろしと雪隠虫 泣くに泣かれぬ糞を被りつ。 世の中の臭い味ひしりの穴 やがて羽衣着くる雪隠虫。 金襴の衣まとへば糞虫も 人の頭にとまり糞放る』 エス『ヨリコ姫ダリヤとしり(知)合の穴なれば 肥え(光栄)ならむと糞虫云ふらむ。 美はしき乙女の尻はよけれども 糞婆の尻いと臭きかな。 天香は雪隠空しうせぬと云ふ 日に三回の飯礼ありせば』 斯く話してゐる所へヨリコ女帝が盲腸、結腸、直腸辺りの大清潔法を施行すべく、やつて来た。アルはこれを見て、 アル『あな尊とひしりの君の御降臨 アルにあられぬ恥を見しかは』 ヨリコ『雪隠と云ふ字は雪に隠るなり 白妙の衣まとふ糞虫』 エス『白妙の衣をまとひて糞虫は 黄金の餌朝夕に喰ふ』 ヨリコ『アル、エスの二人の君よ心して 黄金仏にならぬやうにせよ』 アル『アル望み抱へし吾は糞度胸 すゑてかかりぬ便所掃除に』 エス『アル望みなどとしり顔するでない 糞奴めがいばり散らすな』 ヨリコ『アル、エスの二人の君よ今少時 はばかり玉へ吾帰るまで』 アル『はばかりの掃除はすれどこの男 はばかり乍ら腕に骨あり』 エス『えらさうにしり顔なしてブツブツと 口先過ぎてババ垂れるなよ』 両人はヨリコ姫の用を足す間、便所遠く庭の隅のパインの下にクルツプ砲の難を避けた。 アル『いか程に容姿美はしき女帝さへ 下から見れば愛想やつきむ』 エス『裏門を開いて出づる兵卒の ラツパの声も勇ましきかな』 アル『バカ云ふなばば垂れ腰を眺めたら かたい約束も小便し度くならむ』 エス『草木もゆる谷の流れをピユーピユーと 鵯越の進むよしなし。 谷の戸を開いて出るは鶯の 声ならずして鵯の声』 アル『思うたよりヨリコの姫の長雪隠 心短き俺は堪らぬ』 エス『こんなことヨリコの姫に聞えたら 糞腹立てて尻や持て来む。 何事も皆しりの穴ヨリコ姫 尻もて来れば猫婆きめる。 猫婆をきめる積りでキユーバーが 便所掃除請合しならむ。 こつぴどくこき卸されて糞腹立て 糞垂れ腰の糞坊主去ぬ』 ヨリコ姫は便所から、しとやかに出て来た。アル、エスは先を争うて手洗鉢の前により、柄杓の柄をとり水を無暗矢鱈にかけながら、 アル『弁天の化身のやうな女帝様の お手洗ふさへしやくの種なる』 エス『このやうな美人を妻にする男 面見るさへも小しやくにさはる』 ヨリコ『八尺の二人の男が漸くに 五勺許りの水を呉れたり。 雪隠の掃除も神の御恵みよ 天香さまの出世見給へ』 アル『何程に出世したとて何時迄も 尻掃除とはバツとしませぬ』 ヨリコ『左様ならアルさまエスさま別れませう 又明日の朝会ふを楽しみに』 と云ひ乍らヨリコ姫は吾居室に帰つて行く。 ○ ヨリコ姫、花香、ダリヤ、アル、エスの聯合家族は食堂に集つて四方山の話に耽り乍ら朝飯を喫してゐると、表の玄関に向つて甲走つた女の声が聞えて来た。 高姫『ハイ、御免なさいませ、一寸物をお尋ね申します。ヨリコさまと云ふ無冠の女帝さまはお宅で御座いますかな、宗教問答のためにウラナイ教の教主、千草の高姫が参りました。別に驚くやうな女ぢや御座いませぬ、第一霊国の身魂、日出神の生宮、下津岩根の大弥勒の化身で御座いますよ』 と呼はつてゐる。 ヨリコ『ホツホヽヽヽ、朝つぱらから、何処の狂人か知らないが、妙な事を云うて来よつたものだ。ダリヤさま、妾の代理となつて少時相手になつてやつて下さいな』 ダリヤ『女帝様の仰せでは御座いますが、狂者を相手にする事は真平御免を蒙り度う御座います』 ヨリ『第一線に貴女出て下さい、もしも戦況危しと見た時は第二線として花香に行つて貰ひます。その第二線が破れました時、殿として此ヨリコが大獅子吼を致しますからね』 アル『もしもし女帝様、あんな狂者にダリヤ姫さまなんか、出すのは勿体ないぢやありませぬか、先陣は私が勤めますから何卒此役目をアルに譲つて下さいませ、タカガ知れた狂者ぢやありませぬか』 ヨリコ『お前さまは決して相手になつちやいけませぬよ、いくつ位の女か一寸様子を調べて来て貰ひさへすれば宜しい』 アル『ハイ、承知致しました、オイ、エス、お前は俺の副将軍だ、ソツト後から従いて来い』 と云ひ乍ら、早くも玄関口に立塞がり、 アル『イヨー!何とマアチツト許り年はよつて居るが、ステキなものだなア』 高『これ奴さま、ナーンぢやいな、失礼な、お客さまの前で立はだかつて、挨拶一つ知らない穀潰しだな、僕のやり方を見りや大抵主人の性質が分るものだ。此下駄の脱ぎ方と云ひ、乱離骨灰、まるつきりなつちやゐないぢやないか。ヘン偉相に宗教問答所なんて、まるつきり狂者の沙汰だ』 アル『オイ、高姫とか云ふ中婆さま、人の所の宅へ出て来て、履物の小言まで云うてくれな、俺方の悪口をつくのならまだ虫を堪へておくが、天下無双の才女、ヨリコ姫女帝の悪口まで吐かすに於ては、断じて此玄関は通さない。エー糞忌々しい、婆の来る所ぢやない、屁なつと嗅いで去んでくれ』 高『ホツホヽヽヽ、お前がさう云はいでも、此高姫がヨリコ姫の膏を絞り、蛸を釣り灸をすゑ、鼬の最後屁を放らして往生さしてやるから臭い顔して待て居なさい、ド奴の糞奴め。こんなガラクタ男を使うて、えらさうに構へ込んでゐるとは誠に以て噴飯の至りだ、ホツホヽヽヽ』 アル『エー、とても、こんな気違婆は俺方の挺棒に合はない、サア第一線だ第一線だ』 と云ひ乍ら奥に飛び込み、 アル『もしもし女帝様、竹に鶯、梅に雀と云ふやうな婆が来ましたよ』 ヨリコ『ホツホヽヽヽそれは木違ひ鳥違ひと云ふのだらう、サア之から梅に雀の婆さまに向つて、戦闘開始をやつて下さい』 ダリヤ『ハイ、及ばず乍ら第一線に立ちませう、どうか後援を頼みます』 と云ひ乍ら玄関口に出た。 ダリヤ『玉鉾の道の問答せむものと 遥々尋ね来りし君はも。 いざさらば問答席へ通りまし 及ばずながら案内申さむ』 高『むづかしき歌よみかけて高姫を 困らさむとす猾さに呆れし。 兎も角も此家の奥へ踏ん込んで 狸の化の皮むいて見む』 と云ひ乍ら、ダリヤ姫に従ひ問答席についた。 ダリ『いざさらば寛ぎ給へ椅子の上に 世の悉はしりの穴の君』 高『賢しげな事を云へども何処やらに 息のぬけたる汝の顔かも。 汝こそはヨリコの姫の身代りと 吾慧眼に見えたり如何にや』 ダリ『妾こそヨリコの姫の妹よ ダリヤの花の名を負ひし姫。 何なりと問答遊ばせ立板に 水の流るる如く答へむ』 高『美はしき女にも似ず出し抜けに 大法螺を吹くしりの太さよ。 いざさらば吾問ふことに答へかし 今日こそ汝が生死の境ぞ』 ダリ『如何ならむ賢き人の来るとも 後へはひかぬ弦離れたる征矢』 高姫いかい目をむいてダリヤの姫の面上を ハツタと睨み大口を斜に開き白歯をば むき出し乍ら手を振つて演説口調で語り出す 高『お前はヨリコの妹と名乗つたからは高姫が 宣る言霊を一々に川瀬の水の流る如 答へて裁くで御座らうなよしよしそんなら高姫が 一つの問題出しませうこの世の中を造りたる 誠の神は何神か何卒聞かして貰ひませう それが分らぬやうな事で問答所の役員と云へませうか サアサア如何に』と詰寄ればダリヤはニツコと打笑ひ ダリ『如何なる難しいお尋ねと思つてゐたのに何のこと この世の御先祖は云はいでも世界に知れた厳霊 国常立の神様よこの神様は泥海を 造り固めて山川や草木の神迄生みました 吾方の誠の親です』と云へば高姫反かへり フフンと笑ふ鼻の先 高姫『三五教のトチ呆け大根本の根本の 誠の神は大弥勒底津岩根の神様よ 人間姿の分際で誠の神は分らうまい そんな下らぬ事云うて沢山の人を欺すより 早くすつこんで居りなされお前ぢや事が分らない 肝腎要の当の主ヨリコの姫を呼んでおいで 余りに相撲が違ふので阿呆らしくて話になりませぬ』 云へばダリヤはうつ向いて顔を真赤に染め乍ら すごすご立つて奥に入るつづいて出て来る美婦人は 天女に擬ふ花香姫千草の高姫見るよりも いと慇懃に会釈して静に梅花の口開き 声しとやかに『妾こそヨリコの姫に仕へたる 梅の花香と申します何卒お見知りおかれませ いかなる問答か知らねども即座にお答へ申しませう 遠慮会釈は要りませぬ何なとお尋ねなさいませ』 云へば高姫反りかへり 高『妾こそ誠の救世主高天原の霊国の 第一天人の霊魂ぞや下津岩根の大弥勒 三千世界の救世主日出神と現はれて トルマン国のスガの町天降りたるウラナイの 教の道の神柱必ず粗相のないやうに 謹み敬ひ吾言葉胸にたたんでトツクリと 考へなされよ花香さまサアサアこれから高姫が 貴女に質問致すぞや抑々天地の根本の 大根本の根本のその又根本の根本の まだまだ根本の根本の昔の昔のさる昔 ま一つの昔の又昔ま一つの昔の大昔 又も昔のその昔ドツト張込んでその昔 猿が三匹飛んで来て三千世界を掻きまはし この世に暗と明りと雨降りを来した訳は如何ですか この訳聞かして貰ひませう』云へば花香は噴き出し 花『弥勒の弥勒のまだ弥勒ま一つ弥勒のその弥勒 日の出の日の出のまだ日の出も一つ日の出のその日の出 昔の昔の大昔猿が六匹飛んで来て 一つは雪隠を掻きまはす一つは頭をかきまはす 一つは恥をかきまはす一つは借用証文書きまはす 一つはお粥をかきまはす一つはそこらをかきまはす も一つお尻をかきまはす此奴の謎がとけたなら お前さまの問題に答へませう』等と分らぬ予防線 鉄条網を張りまはし用心堅固に備へしは 流石はヨリコの妹と生れし甲斐ぞ見えにける 高姫拳を固めつつ力限りに卓を打ち 高『これやこれや女つちよ痩せ女郎そんな事云うて高姫を 煙りに捲かうとはづうづうしいお前のやうな分らない 女を相手にやして居れぬ当の主人のヨリコ姫 早く此の場へ引出せよこの高姫の弁舌で 道場破りをして見せるあゝ面白い面白い いよいよ之から正念場気の毒なのはお前達 折角建てた神館城明け渡しスゴスゴと 逃げねばならぬ断末魔いよいよこれが悪神の 世の持ち終りとなつたのだあゝ惟神々々 ウラナイ教の御神徳今更感じ入りました』 花香姫は高姫のあまりの強情に呆れ果て、暗に打ち出す鉄砲玉に持てあましつつ匆々としてヨリコの居室に駆け込んで了つた。 (大正一五・七・一旧五・二二於天之橋立文珠なかや別館北村隆光録) |
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霊界物語 | 72_亥_スガの港(宗教問答所) | 18 法城渡 | 第一八章法城渡〔一八二七〕 ヨリコ姫は訪ね来し高姫の、酢でも蒟蒻でも、一条縄ではいけぬやんちや牛たる事を看破し、下から上まで白綸子づくめの衣装を着、髪を長う後に垂れ、中啓を手に持ち、絹摺れの音サラサラと、廊下を寛歩しながら悠々然と問答椅子に寄りかかり、 ヨリ『何神の化身にますか白梅の 花の薫も高姫の君。 久方の天より高く咲く花も 君の装に及ばざるらむ。 君こそはウラナイ教の神柱 日の出の神と聞くぞ尊き』 高『お世辞をばならべて稜威高姫を 揶揄ひたまふ面の憎さよ。 追従を喰ふよな神で御座らぬぞ ヨリコの姫よその顔洗へ。 今日こそは汝が生死のさかひ目ぞ 善悪別ける神のおでまし』 ヨリ『これはしたり高姫様の御言葉 ヨリコの姫もあきれかへりぬ。 妾こそ誠の神にヨリコ姫 醜の荒風如何で恐れむ。 恐ろしき其顔は奥山の 岩窟に住める鬼かとぞ思ふ』 高『何と云ふ失礼な事を吐すのだ 泥棒上りの山子女奴。 みやびなる歌よみかけて神の宮 汚さむとするずるさに呆れし。 これからは誠の日の出が現はれて 汝が心の闇を照らさむ』 ヨリ『吾霊は昼夜さへも白雲の 空に輝く月日なりけり。 久方の天より下るエンゼルの 内流受けし吾ぞ生神』 高『猪口才な泥棒上りの分際で 生神などとは尻が呆れる。 尻喰へ観音様の真似をして 装ひばかり胸の狼』 ヨリ『狼か大神様か知らねども 吾の霊はいつも輝く。 吾霊は空に輝く日月の 光にまして四方を照らさむ』 高『ぬかしたり曲津の巣ふ霊で 尻餅月日の螢の光り奴』 ヨリ『五月雨の闇を縫ひ行く螢火も 夜往く人のしるべとぞなる。 螢火を数多集めて文をよみ 国の柱となりし人あり』 高『偉さうに理窟ばかりを夕月夜 山にかくれてすぐ闇とならむ。 大空に神の御稜威も高姫の 光を見れば目も眩むらむ』 ヨリ『君こそは大高山の山伏か 朝な夕なに大法螺吹くなり』 高『法螺貝は此世の邪気を払ふてふ 誠の神の神器なりけり。 法螺一つ吹けないやうな弱虫は 此世の中に生きて甲斐なし』 ヨリ『魂はよしや死すとも法螺の貝 音高姫になりわたるかな』 高『玄真坊法螺貝吹きの妻となり 世を乱したる汝ぞ悪神。 法螺吹いて錫杖をふり村々を かたつて廻る乞食祭文。 オーラ山大法螺吹の山の神 スガの宮にて又法螺を吹く』 ヨリ『何なりと勝手な熱を吹きたまへ 科戸の風に伊吹払へば』 高『伊吹山鬼の再来と聞えたる 汝は此世の曲津神なる』 ヨリ『汝こそはミロクミロクと大法螺を 吹きまくるなる醜の曲神』 高『こりやヨリコ口に番所がないかとて 此生神に楯をつくのか』 ヨリ『たてつくか嘘をつくかは知らねども 汝がほこには手答もなし』 高『手答のなき歌垣に立つよりも 言霊車めぐらして見む。 いざさらば吾訊問に答へかし 汝が生死の別るる所ぞ』 ヨリ『如何ならむ問にも答へまつるべし 早河の瀬の流るる如くに』 高姫拳を握りつつ雄猛びなして立上り ヨリコの姫を睨つけて声の調子もいと荒く 面上朱をば注ぎつつ扇パチパチ卓を打ち 『これこれヨリコの女帝さまこれから直接問答だ 天地の元を創りたる大根本の根本の 生神様の名は如何に』云へばヨリコは笑湛へ 『如何なる難題ならむかと思へばそんな事ですか 天地の元は無終無始無限絶対永劫に 静まり居ます国の祖国常立の神様よ 此一柱の神おきて外に誠の神はない 如何で御座る高姫』と顔さしのぞけば高姫は フフンと笑ふ鼻の先 高『何と分らぬ神司あきれて物が云へませぬ 大慈大悲の神様は天下万民悉く 安養浄土に救はむと心をくばりたまひつつ 底津岩根に身をかくし時節を待つて種々の 艱難苦労のそのあげくいよいよミロクの大神と ここに現はれましますぞその神様の生宮は どこに御座るかヨリコさますつかり当てて下さんせ もしも妾が負けたなら現在お前さまの目の前で 生たり死んだりして見せる』云へばヨリコは嘲笑ひ ヨリ『貴女の仰せは違ひます神の御書を調ぶれば 此世の初めと在す神は国常立の大神ぞ 其他の百の神々は皆エンゼルの又の御名 これより外にありませぬ』云へば高姫グツと反り 高『ホヽヽヽヽヽホヽヽヽヽこれや面白い面白い 三五教の盲神こんな事をば偉さうに 世の人々に打ち向ひ誠しやかに教へるのか 国常立の大神がもしも此国に御座るなら 妾の前に連れ参れそれが出来ない事なれば 空想理想の神でせう此高姫の問ふ神は 生きた肉体持ちながら生きて働き生ながら 人を救くる神ですよその神様はどこにある それを知らして貰ひたい』云へばヨリコは打ち笑ひ ヨリ『肉体もつてます神は産土山の聖場に 千木高知りてはおはします神素盞嗚の大御神 三千世界の太柱これより外にはありませぬ 貴女の守るウラナイのお道の神は何神か 確り妾は知らねども大した神では御座るまい』 云へば高姫腹を立て 高『神は清浄潔白で仁慈無限に在しませば 兎の毛の露の悪もない人を殺して金を奪り 数多の男女を誑らかし泥棒稼ぎをするやうな 輩を使ふ神ならば誠の神では御座るまい お前の素性を調ぶればオーラの山の山賊の 親分して居た曲津神神素盞嗚の大神の 正しく清く鎮座ます此聖場に腰据ゑて 神をば汚す曲津神早く改心した上で 一時も早く此席を退きなされヨリコさま 何程改心したとても白布に墨がついたなら 洗うても洗うても洗うても墨のおちない其如く どうせ貴女は創者よ創ある身霊が神業に 奉仕するとは理に合はぬこれでも返答御座るかな 此高姫は済まないが泥棒などはやりませぬ 大根本の根本の誠の神の太柱 妾に創が若しあればどうぞ探して下さんせ 抑々誠の神様は身霊相応の理によつて 善には善の神守り悪には悪の神がつく 創ある身霊にや傷の神清い身霊にや清い神 これが天地の相応だ』云へばヨリコは俯むいて 高姫一人残しおきすごすご一室に入りにける 高姫後を見送つて大口開けて高笑ひ 高『オホヽヽヽオホヽヽヽ狐や狸の正体を 日出神の御前に包むよしなく現はして 尻尾を股に挟みつつすごすご奥へ逃げ込んだ ほんに小気味のよい事よもう此上はヨリコとて 此高姫に打ち向ひ楯つく勇気は御座るまい 誤り証文認めて今日から貴女に此館 お任かせ申奉る罪ある妾の身の素性 何卒隠して下されと哀訴歎願と来るだろう あゝ面白や心地よや今日からこれの神館 棚の上から牡丹餅が落ちて来たよな塩梅に 吾手に入るは知れたこともしも問答に負けたなら 妾の役目を渡すぞと書いた看板が証拠ぞよ 待てば海路の風が吹く神が表に現はれて 善悪正邪を立て別ける此御教は三五の 決して神の教でない今目の当り高姫が 実行なしたる生言葉生証文のウラナイ教 千秋万歳万々歳ウラナイ教の大神の 御前に謹み畏みて今日の生日の足る時の 成功守り玉ひたる恵に感謝し奉る あゝ惟神々々御霊幸倍ましませ』と 四辺かまはず大声を張り上げながら唯一人 傍若無人の振舞はよその見る目も憎らしき。 話変つて玄関口には、アル、エス、キユーバーの三人が頻に口論を始めて居る。 アル『こりや、便所掃除の糞坊主奴、バラモン署へ訴へるなんて脅喝文句を並べ立て、犬の遠吠的に逃げ失せながらづうづうしくも何しにやつて来やがつたのだ。エヽ汚ない汚ない臭い、糞の臭気が鼻をついて耐らないワ、サア去んだり去んだり』 キユ『ハヽヽヽヽ、馬鹿云ふな、此処は今日から俺の領分だ。貴様こそ何処かへ出て往け、今奥で高姫さまと女帝との大問答が始まつて居るやうだが、きつと高姫さまの勝だ。これや此看板を見い、今にこの看板通り励行するのだ』 エス『ハヽヽヽヽこの糞坊主奴。高姫とか云ふ婆に泣きついて応援を頼んで来よつたのだな、何と見下げ果てた腰抜け野郎だな。八尺の褌をかいた男が何だい、女の加勢を頼んで来るとは卑怯にも程があるではないか、糞垂れ坊主奴。まごまごして居ると笠の台が無くなるぞ、サアサア足許の明い中股に尾を挟んで帰つたり帰つたり』 キユ『ハヽヽヽヽ馬鹿だのう。足許に火がついて、尻が熱うなつて居るのにまだ貴様達は気がつかぬのか。まあ見て居れ、今に法城の開け渡しと来るから、その時は吠面かわくな。又薬屋の門番に逆転して番犬の境遇に甘じワンワン吠ながら勤めるのが関の山だ。何とあはれな代物だな、ウフヽヽヽ』 問答席にはヨリコ、花香、ダリヤ姫の三人が高姫とさし向ひになり、法城開け渡しの掛合中である。 ヨリ『千草の高姫様、すつぱりと法城を開け渡しますから受け取つて下さい。貴女の問答には決して負るやうな女ぢやありませぬが、妾も一つ感じた事が御座います。何程立派な器でも焼つぎにした器はやつぱり創物です。貴女の最前仰有つた通り如何にもオーラ山の山賊の女頭目として世人を苦しめ、所在罪悪を犯して来ました。かやうな罪深い身霊をもつて至粋至純なる大神様の前に仕へまつるのは冥加の程が恐ろしう御座います。到底妾は汚れた罪の重い体、神様の御前に出る資格は御座いませぬ。貴女は今日迄どんな事を遊ばしたか神ならぬ身の妾、些しも存じませぬが、妾に比べては余程清らかなお身霊と拝察致します、是から一先づスガの薬屋に引き取りますから、後は御勝手になさいませ』 高姫『ホヽヽヽヽ、成程お前さまも比較的よく物の分る人だ。最前生宮の云うた言葉に感激して身の罪を恥ぢ、法城を開け渡す、その御精神、実に見上げたものですよ、併し創物はどこ迄も創物ですから足許の明い中、トツトとお帰りなさるがよからう』 ヨリ『妾の妹の花香、ダリヤも妾に殉じて退席すると云ひますから、どうかこれも御承知を願ひたう御座います』 高『何程上面は綺麗でも創物のお前さまに使はれて居つた代物だから、どうせ完全な器ぢやあるまい。自発的に退かうと云ふのはこれも感心の至りだ。何とまあ神界の御経綸と云ふものは偉いものだな、ホヽヽヽヽ』 と笑壺に入つて居る。そこへキユーバーが得意面を晒し肩肱を怒らし大手を振つて四人の前に入り来り、 『千草の高姫どの天晴々々、功名手柄お祝ひ申ます。ヤイ、ヨリコ、花香、ダリヤの阿魔女態ア見やがれ。俺の権勢はこの通りだ。サアこれから玉清別の野郎もアルもエスも叩き払ひだ。エヽ、臭い臭い、鼻が汚れるワ、腐り女、腐り野郎奴一刻も早く出て失せろ』 と仁王立になり蜥蜴が立ち上つた様なスタイルで四辺キヨロキヨロ睨め廻して居る。 (大正一五・七・一旧五・二二於天之橋立なかや別館加藤明子録) |
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霊界物語 | 72_亥_スガの港(宗教問答所) | 21 大会合 | 第二一章大会合〔一八三〇〕 スガの港の百万長者と聞えたる薬種問屋の奥の室には、若主人のイルクを初め老父のアリスにダリヤ姫、ヨリコ姫、花香姫、門番のアル、エス及びスガの宮の神司たりし玉清別迄が首を鳩めて密談に耽つてゐる。 ヨリコ『アリス様、イルク様、其他皆さまに、妾はお詫を致さねばなりませぬ、折角大枚なお金を出して、立派なお宮を造つて頂き、道場の主と迄任けられまして、身に余る光栄に浴して居りましたが、ツイ妾の慢心より宗教問答所等と看板を掲げたのが災の因となり、妾を初め玉清別様、ダリヤ姫様、及び御一門に対し、非常の損害をおかけ致し其罪誠に万死に値致します。熟々考へますればオーラ山に立籠り泥棒の親分とまでなつて悪事悪行を敢行して来た罪深い体、どうして神様のお屋敷に勤める事が出来ませう。折角の聖地もウラナイ教の高姫さまに渡さねばならないやうな破目になりました。これ皆妾の至らぬ罪で御座いますから何卒々々思ふ存分の御成敗を願ひたう御座います』 アリス『ヨリコ姫様、左様なお心遣は御無用にして下さい。三万や五万の金を使つてお宮を建てた処で、別に私の宅の財産が傾くと云ふ訳でもなし、一旦、ウラナイ教に渡した以上は是非なしとして、再び以前に幾層倍増した立派な御神殿を造り上げ、ウラナイ教の向ふを張つて見せてやらうぢやありませぬか。なア悴、お前はどう思ふか、老いては子に従へと云ふ事もあるから、お前の意見に任しておく』 イルク『当家の財産は、もとより罪の固りで出来たのですから、何程立派なお宮を建てても、神様の御用に立たないのは必然の結果です。決して私は惜しいとは思ひませぬ。神様の御許しあれば、当家の財産全部を投げ出して立派なお宮を造り度う御座います』 アリ『成程、悴の云ふ通りだ、お前に何も彼も一任しておく。皆さま、悴とトツクリ相談して下さい、私は老年の身、失礼致しまして、離棟で休まして貰ひます』 と座敷杖をつき乍ら病み上りの体を引き摺つて離棟をさして出でて行く。 玉清『私も永年の間神谷村で苦労艱難を致し、何とかして三五の道を再興させ度いものと千辛万慮の結果、当家の発起によつて立派な宮が建て上り、大神様の神司となり、先祖も業をつむ事になつて大変に喜び勇んで奉仕して居りましたが、モウかうなれば、何とも致し方が御座いませぬ。私はこれより神谷村に立帰り、もとの如く里庄をつとめ、村民を安堵させてやりませう』 ダリヤ『モシ、玉清別様、あまりお気が短いぢやありませぬか。どうぞ暫く、何とか定る迄待つてゐて下さいませ。やがて間もなく、三五教の宣伝使がお出で遊ばすでせうから、その上トツクリ御相談遊ばしての上の事に願ひ度う御座います』 玉清『敗軍の将は兵を語らず、然らば少時お言葉に甘へ、逗留さして頂きませう』 アル『モシ若旦那さま、決して御心配要りませぬよ、キツトあの高姫と云ふ奴、今に尻尾を出しますからマア暫く待つてゐて下さい。私とエスとが一生懸命に彼奴の素性を探索してゐます。モウここ十日と経たない中に、キツト杢助夫婦を叩き出して御覧に入れます。キユーバーの野郎も臭い代物です。少時成行に任して見てゐたらどうでせう』 イルク『いかにも、彼奴ア、私も怪しい奴だと思つてゐる、キツト神様が善悪を裁いて下さるだらう。大国常立尊様、神素盞嗚尊様は、あのやうな悪人に聖場を任して、安閑と見て御座るやうな、ヘドロい神様ぢや御座いますまい』 斯く話してゐる処へドヤドヤと入り来るは三五教の宣伝使照国別、照公、玄真坊、コオロ、コブライの五人連れであつた。 照国『御免なさいませ、拙者は三五教の宣伝使照国別で御座います。梅公が何時やらは、いかいお世話に預つたさうで御座いますが、まだ彼は当家へは帰つて居りませぬか』 イル『ハイ、貴方が噂に高き照国別の宣伝使様で御座いましたか、私は当家の主、イルクと申します、いい処へ来て下さいました。サアサアどうか奥へお通り下さいませ』 照公『拙者は照国別様の弟子、照公と申します、何分宜しく』 玄真『拙者は玄真坊と申す修験者で御座います、何分よろしく御見知りおき下さいまして以後御懇意に願ひます』 コオ『奴輩はコオロと申す、あまり、善くもない、悪くもない三品野郎でげす。不思議にも照国別様一行に難船した処を救けられお伴になつて参りました。どうか門番にでも使つてやつて下さい』 コブ『奴輩はコブライと申しまして、チツト斗り名の売れたやうな、売れぬやうな侠客渡世を致しますもので御座います。何分よろしくお願申します』 イル『ヤア皆様、よくこそお出で下さいました。何は兎もあれ照国別宣伝使様と共に奥へお通り下さい、チツト許り当家には心配事が起りまして、相談の最中で御座います』 照公『いかなる御心配か知りませぬが、幸ひ先生もゐらつしやるし、及ばず乍らお力になりませう』 イル『ハイ、有難う御座います。何分よろしく』 と挨拶し、自ら茶を出し菓子を出し、力限りに饗応する。 照国『当家は非常な旧家と見えますな、庭石の苔むしたる趣と云ひ、石燈籠と云ひ、旅の疲れを慰むるには屈強のお座敷、イヤ、どうも立派なお座敷を汚して済みませぬ』 イル『何を仰有います。見る影もなき破家に駕を抂げられまして、一家一門の光栄之に過ぎたる事は御座いませぬ。子孫の代迄云ひ伝へて喜ぶで御座いませう』 玉清『私は神谷村の玉清別と申す三五教の信者で御座います。照国別様とやら、何卒々々お見知りおかれまして、今後共、よろしく御指導の程をお願申します』 照国『ヤア貴方は噂に承はつた玉清別様で御座いますか、これは珍しい処でお目にかかりました。何分よろしくお願致します。時にイルクさま、今一寸承はれば当家には何か取込事があつて御相談の最中だと聞きましたが、どうかお邪魔になれば席を外しますから』 イル『イヤ、決して御心配には及びませぬ、実の処はスガの宮の件に就きまして……』 と一伍一什を詳細に物語つた。 照国別は「ウーン」と云つたきり双手を組んで少時思案にくれて居たが、何か期するところあるものの如く膝をハタと打ち三つ四つ頷いて、 『ヤ、分りました、どうか私に任して下さい、この解決はキツトつけて上げませう』 イル『何分よろしく、お頼み申します』 ヨリ『照国別の宣伝使様、妾は貴方の御弟子梅公別さまに非常なお世話に預つたもので御座います。此処に居りまするのは花香と云つて妾の妹で御座いますが、不思議の縁で梅公別様の妻にして頂く事に内定してゐるもので御座います。何分よろしく御とりなしをお願申し上げます』 照国『ヤ、かねて梅公別からヨリコ姫様の事も花香姫様の事も聞いて居ります、何事も神様の思召次第ですからな』 花香『これはこれはお師匠様、初めてお目にかかります。妾は今姉の申しました通り、梅公別さまに大変な御贔屓に預つてゐる花香で御座います。何分よろしく……今後のお世話をお願申しまする』 斯く互に挨拶なせる折しも、梅公別の宣伝使は重たげに大きな葛籠を背負ひ、エチエチ入り来り、 梅公『ア、御免なさい、梅公別です、大変な御無沙汰を致しました』 番頭のアルは頭をピヨコピヨコ下げ乍ら、 『ヤア、よう来て下さいました、先生、若旦那様も、大旦那様も大変、先生のお越しをお待ちで御座いました。之から一寸奥へ申して来ますから』 梅公『イヤ、それには及びませぬ、照国別の宣伝使が見えてゐるでせう。……私の方から伺ひます』 と、大葛籠を玄関にソツと下し、案内もなく奥内さしてニコニコし乍ら進み入る。 梅公『ヤ、先生初め皆さま、御一同、お早う御座いましたね』 照国『ヤ、今当家へ伺つた所だ、実はお前が、あの暴風雨に小舟を出して浪の上に消えて了つたものだから、少し許り心配してゐたのだ。ヤ、無事で結構々々、花香姫も先づ先づ御安心だらう』 ヨリ『梅公別の先生様、お久しう御目にかかりませぬ、先づ先づ御無事でお目出度う御座います。花香も大変にお待申した様子で御座います、これ花香、早く御挨拶を申さないか』 花香姫は顔を赤らめ乍ら恥しさうに手をついて、 『アノ、旦那様、イーエ、梅公別の宣伝使様、お久しう御座います、妾、どれ程待つてゐたか知れませぬのよ』 梅公別は無雑作に愛想よく、 『ヤ、奥さま、イヤ奥さまと云つては済まないが、花香姫さま、先づ先づ御壮健でお目出度う、私だつてヤツパリ花香さまの事ア何時でも忘れてゐやしませぬよ』 花香『ハイ、有難う御座います。そのお言葉を聞いて得心致しました』 照公『オイ、梅公、馬鹿にすない、何かおごつて貰はうかい。俺の前で、おやすくない処を見せつけやがつて、あまりひどいぢやないか、アツハヽヽ』 ヨリ『梅公別さま、当然ですわね、これ花香さま、何もオヂオヂする事はありませぬよ、云ひ度い事あれば人さまの中でも構はない、ドシドシ云つたがよい、憚りながら姉さまがついて居りますからな』 照公『ヤ、これは堪らぬ、お面、お小手、お胴、お突と御座るワイ。ヤ、斯うなりやいよいよ敗北だ。照公砲台も沈黙せなくちやなるまい、ウツフヽヽヽ』 梅公『仇話は扨おいて海上からほのかにスガ山の聖地を見れば怪しい雲が立つてゐました。何か変つた事はありませぬかな』 イル『ハイ、お察しの通り、その事に就きまして今、相談会を開いて居つた処で御座います』 梅公『高姫、杢助、キユーバー等の悪人が聖地を占領せむとしてゐるのでせう』 イル『ハイ、已に占領されて了つたのです。最早今となつては、手の出しやうも御座いませぬので……』 梅公『決して心配なさるな、梅公別がキツト解決をつけませう、悪人輩を一言のもとに叩き出し、もとの聖地に回復せむは吾方寸に御座います。ヨリコさまもダリヤさまも、玉清別さまも安心して下さい、キツトもとの通りにしてお目にかけませう。大方、高姫と云ふ奴、ヨリコさまの素性を洗ひ、理窟づくめに放り出したのでせう』 ヨ『ハイ、お察しの通で御座います。何分汚れた魂で御座いますから聖場を守る等云ふ大それた事は出来ませぬ、妾の慢心から柄にも合はぬ宮仕を致しまして聖場を汚し、皆さまに対し申訳がないので、この通り悄れ返つてゐるので御座います』 梅公『昔は昔、今は今、仮令如何なる悪事があつても、悔い改めた以上は白無垢同然、一点の罪も汚れもあらう筈がありませぬ、左様な御心配は御無用になさいませ』 と慰めおき、照国別、イルク、玉清別を別室に招き、高姫追放の計画に密議をこらし悠然として再びもとの座に帰り来り、 梅公『大空に塞がる黒雲吹き払ひ 月日を照す科戸辺の神。 よしやよし醜の黒雲包むとも 科戸辺の神吹きや払はむ』 これより一同はスガ山回復の策戦計画の準備に各々手分けをして取かかり、明日を期して大挙スガ山に神軍を進むる事とした。あゝ惟神霊幸倍坐世。 (大正一五・七・一旧五・二二於天之橋立なかや旅館北村隆光録) |
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霊界物語 | □_特別編-入蒙記 | 01 水火訓 | 第一章水火訓 神の稜威も高熊山の山の麓に生れたる 神徳四方に三葉彦神の精霊を相宿し 黄金世界を開かむとこがねの鶏黎明を 告ぐる夕の月の空干支に因みし十二の日 小判千両掘出して神の御国に献り 三千世界の蒼生を浦安国の心安き 天国浄土に救はむと一二三四五つ六つ 七つの春の弥生空富士の高根に仕へたる 松岡神使が現はれて朝な夕なに身魂をば 守らせ玉ひ二十まり八つの御年も如月の 白梅かほる夕月夜うづの霊地に伴ひて 現幽神の三界の其真相をつばらかに すべての業放擲し不二の神山に参まうで 神のみゐづを身に受けて心の色も丹波の 再び郷里に立返り西や東や北南 神のまにまに全国に教を伝達したりけり 明治は三十一年の文月下旬となりければ 神の御言を畏みて西北さして出でてゆく 西の御空を眺むれば半国山は巍然と 雲を圧して聳えたち東に愛宕の霊峰は 城丹両国睥睨し南に妙見聳え立ち 北に帝釈大悲山などの峻峯青垣を めぐらす中の穴太より北へ北へと歩を運ぶ 浮世はなれし坊主池心も高砂池の辺を 辿りて数多の信徒を救ひやらむと只一人 小松林の神霊に送られ乍ら進み行く 小林小河鷹林千原川関のりこえて 虎天堰に来てみれば並木の松の片ほとり いとも小さき一つ家が物淋しげに建つてゐる 渇を医せむと門の戸をくぐつて茶湯を求むれば 此家の妻と思はしき一人の婦人が現はれて かけた茶碗を揺る様にガチヤガチヤガチヤと喋り出す ガチヤガチヤ話を聞きつけてやおら腰掛はなれつつ 船井の都会八木の町道の広瀬や鳥羽の里 風さへ暑き室河原小山松原乗越えて 花の園部に安着し暫しはここに歩をとどめ 観音坂や須知町蒲生野こえて桧山 歩みも一二三の宮神歌を歌ひ声さへも 枯木峠や榎山大原神社を伏拝み 台頭須知山乗こえて風吹きわたる小雲川 風にゆらるる並木松水無月神社を右に見て 国照姫のあれませる裏町館に着きにけり あゝ惟神々々神の使命の重くして 二十五年の其間[※王仁三郎が大本入りした明治32年(1899年)から入蒙する大正13年(1924年)までの満25年という意味か?]艱難辛苦を堪へ忍び 時節来りて神業の実現間際となりければ 言霊別の精霊を身魂にみたし真澄別 名田彦守高両人を添へていよいよ大海を 渡り蒙古の大原野神政成就の先駆と 大活躍を始めたる神霊界の物語 時節来りて説きそむる大国常立大御神 神素盞嗚の大御神恩頼をくだしまし うまらにつばらに真相を述べさせ玉へと願ぎ奉る。 国照姫は国祖大神の勅を受け、水を以て所在天下の蒼生にバプテスマを施さむと、明治の二十五年より、神定の霊地綾部の里に於て、人間界の誤れる行為を矯正し、地上天国を建設すべく、其先駆として昼夜間断なく、営々孜々として、神教を伝達された。水を以て洗礼を施すといふは、決して朝夕清水を頭上よりあびる計りを云ふのではない。自然界は凡て形体の世界であり、生物は凡て水に仍つて発育を遂げてゐる。水は動植物にとつて欠く可からざる資料であり、生活の必要品である。現代は仁義道徳廃頽し、五倫五常の道は盛に叫ばるると雖も、其実行を企てたる者は絶えてない。神界に於ては先づ天界の基礎たる現実界に向つて、改造の叫びをあげられたのである。国常立尊の大神霊は精霊界にまします稚姫君命の精霊に御霊を充たし、予言者国照姫の肉体に来らしめ、所謂大神は間接内流の法式に依つて、過去現在未来の有様を概括的に伝達せしめ玉ふたのが、一万巻の筆先となつて現はれたのである。此神諭は自然界に対し、先づ第一人間の言語動作を改めしめ、而して後深遠微妙なる真理を万民に伝へむが為の準備をなさしめられたのである。凡て現世界の肉体人を教へ導き、安逸なる生活を送らしめ、風水火の災も饑病戦の憂もなき様、所謂黄金世界を建造せむとするの神業を称して水洗礼といふのである。 国照姫の肉体は其肉体の智慧証覚の度合によつて、救世主出現の基礎を造るべく、且其先駆者として、神命のまにまに地上に出現されたのである。国照姫の命のみならず、今日迄世の中に現はれたる救世主又は予言者などは、何れも自然界を主となし、霊界を従として、地上の人間に天界の教の一部を伝達してゐたのである。釈迦、キリスト、マホメツト、孔子、孟子其他世界の所在先哲も、皆神界の命をうけて地上に現はれた者であるが、霊界の真相は何時も説いてゐない。釈迦の如きは稍霊界の消息を綿密に説いてゐるようではあるが、何れも比喩や偶言、謎等にて茫漠たるものである。其実、未だ釈迦と雖、天界の真相を説くことを許されてゐなかつたのである。キリストは、吾弟子共より天国の状態は如何に……と尋ねられた時『地上にあつて地上のことさへも知らない人間に対し、天国をといたとて、どうして天国のことが受入れられうぞ』と答へてゐる。神は時代相応、必要に仍つて、教を伝達されるのであるから、未だキリストに対して、天国の真相を伝へられなかつたのである。又其必要を認めなかつたのである。然るに今日は人智漸く進み、物質的科学は殆ど終点に達し、人心益々不安に陥り、宇宙の神霊を認めない者、又は神霊の有無を疑ふ者、及無神論さへも称ふる様になつて来た。かかる精神界の混乱時代に対し、水洗礼たる今迄の予言者や救世主の教理を以ては、到底成神成仏の域に達し、安心立命を心から得ることが出来なくなつたのである。故に神は現幽相応の理に仍つて、火の洗礼たる霊界の消息を最も適確に如実に顕彰して、世界人類を覚醒せしむる必要に迫られたので、言霊別の精霊を地上の予言者の体に降されたのである。 曾てヨハネはヨルダン川に於て、水を以て下民に洗礼を施してゐた時、今後来るべき者は我よりも大なる者である。そして我は水を以て洗礼を施し、彼は火を以て洗礼を施すと予言してゐた。それは所謂キリストを指したのである。併し乍らキリストはヨハネより水の洗礼を受け、之より進んで天下に向つて火の洗礼を施すべく準備してゐた時、天意に依つて、火の洗礼を施すに至らず、遂に十字架上の露と消えて了つたのである。彼は死後弟子共の前に姿を現はし、山上の遺訓なるものを遺したといふ。併し此遺訓は何れも現界人を信仰に導く為の神諭であつて、決して火の洗礼ではない。故に彼は再び地上に再臨して火の洗礼を施すべく誓つて昇天したのである。火の洗礼と云つても東京の大震災、大火災の如きものを云ふのではない。大火災は物質界の洗礼であるから、之は矢張り水の洗礼といふべきものである。火の洗礼は霊主体従的神業であつて、霊界を主となし、現界を従となしたる教理であり、水の洗礼は体主霊従といつて、現界人の行為を主とし、死後の霊界を従となして説き初めた教である。故に水洗礼に偏するも正鵠を得たものでないと共に、火洗礼の教に偏するも亦正鵠を得たものでない。要するに霊が主となるか、体が主となるかの差異があるのみである。 茲にいよいよ火の洗礼を施すべき源日出雄の肉体は言霊別の精霊を宿し、真澄別は治国別の精霊を其肉体に充たし、神業完成の為に、野蛮未開の地より神教の種子を植付けむと、神命に仍つて活動したのである。あゝ惟神霊幸はへませ。 (大正一四、八、一五、松村真澄筆録) |
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霊界物語 | □_特別編-入蒙記 | 02 神示の経綸 | 第二章神示の経綸 明治の末葉大正の初期にかけ、思想混乱の極に達せる現実界に向つて、一大獅子吼をなし、神教を四方に伝達したる結果、恰も洪水の氾濫して大堤防を破壊するが如き勢を以て勃興したる天授の聖教、三五の聖団、其大本所在地と聞えたる綾の聖地──仏徒の所謂霊山会場の蓮華台、キリスト教徒の最も憧憬して已まざるパレスチナの聖場、オレブ山、エルサレムの聖地にも比すべき──神の本宮、桶伏山を中心とし、宏壮なる殿堂、錦の宮を建設し、四百四十四坪の八尋殿に於て、盛に主神の聖教を伝達し、既成宗教の上に卓越して、世界万有愛の教旗を飜へし、自転倒島を初め、地上の世界に無数の崇信者を有する三五教の根源地、八尋殿に於て、恆例の節分祭が執行された。此節分祭はキリスト教の所謂逾越祭の如きものである。此殿堂は五六七神政に因みて五六七殿と称へられてゐる。国照姫は地上に肉体を以て生存すること八十余年、大正七年陰暦十月三日神諭を書き了つて昇天し、其聖霊は稚姫君命と復帰し、天界に於て神政を行ひ、其遺骸は天王平の奥津城に永眠してゐる。国照姫の後継者はすでに二代三代と立並び、神教を伝達することとなつてゐる。 源日出雄は神示によつて、明治三十二年聖地に来り、水洗礼の教務を補佐し、大正十年迄神業を続けてゐた。此間殆ど二十四年、高姫の精霊の宿りたる徳島お福、菖蒲のお花、高村高造、四方与多平、鷹巣文助、其他数多の体主霊従派に極力妨害されつつも、凡ての障壁を蹴破して、十年一日の如く、神教に従事した。 梅村信行、湯浅仁斎、西田元教などの輔けはあつたが、分らずやの妨害最も甚だしく、大いに神業の進展を阻害した。 大正五年の末頃から鼻高学者等が続々と聖地に来り、大正十年に世界全滅の却託を並べ、一夜作りの霊学を称導し、三五の声望をして、一時は天下に失墜せしめた。其結果は大正十年に於て、有名なる大本事件を勃発し、次いで桶伏山、錦の宮の、乱暴至極な取毀ちとなり、源日出雄等は一時獄に投ぜられ、いかめしき閻魔の庁に引出されて、善悪邪正を審判さるることとなつた。此事件に肝をつぶし睾丸の宿換さした学者連は、数十万円の負債を投付け、日出雄以下の純真なる神の子を、千丈の谷間につきおとし、知らぬ顔の半兵衛をきめこみ、第二の計画を立て、迷へる少年をかり集めむとし、心霊会なるものを組織したが、天は斯かる暴虐を許さず、一時其傘下に集まれる猛者連は四方に散逸し、今や孤立無援の境地に立ち心霊と人生なる孤城に隠れて、切りに三五の本城に向つて征矢を放つてゐる。此間日出雄は桶伏山の山下、祥雲閣に於て、万有愛の教旗を飜し、三五の神教を伝ふべく、神示の霊界物語を口述発行し、天下に宣伝せしより、教勢頓に回復し、何れも其教理に歓喜雀躍し、洋の内外を問はず信者は日に月に蝟集し来り、昔日に優る大勢力を醸成した。 源日出雄は節分祭の済んだ後、壇上に立ちて一場の演説を試みた。 源日出雄『天地万有を創造し玉ひし独一真神主の神を斎きまつる今日は、一年一回の最も聖き祭典日であります。殊に大正十三年二月四日の節分祭は、天運循環して、甲子の聖日でありまして、吾々人間としては、十万年に一度より際会することの出来ない、最も意義ある主日であります。大神の愛善の徳と信真の光に充たされたる各国各地の役員信徒諸氏が、神縁相熟して、此八尋殿にお集まりになり、吾等と共に芽出度き大祭典に、奉仕さるることを得られましたのは、至仁至愛の主の神様の御恵みに外ならないことを、皆様と共に感謝せなくてはなりませぬ。御承知の通り、教祖国照姫命に懸らせ玉うた神様は、宇宙の創造者、天地の祖神大国常立尊でありまして、明治廿五年正月元旦、心身共に浄化したる教祖は稚姫君命の精霊を宿され、前後未曾有の聖教を、一切の衆生に向つて伝達されたのは、吾々人類の為には、実に無限絶大の賜物であります。主の神様は厳霊稚姫君命の御精霊に其神格をみたされ、地上の神人たる清浄無垢の霊身三五の教祖の肉体を終局点として来らせ玉ひ、間接内流の形式に仍つて、大地の修理固成の神業を、三界の衆生に対し洽く伝達すべく現はれ玉うたのであります。其初発の神諭には『三千世界一度に開く梅の花、艮の金神の構ふ世になりたぞよ、須弥仙山に腰をかけ、三千世界を守るぞよ』と大獅子吼をされてゐます。此神示を略解すれば、三千世界とは、神界幽界現界の三大境界であり、過去現在未来をも指して居ります。梅の花の梅は言霊学上、エと云ふことになる、エは万物の始、生命の源泉であり、用はスといふことになり、スは一切統一の意味であります。又スは清浄潔白スミキリの意味ともなる。花とは初めて成るの意であり、最初の意味であり、教祖の意味ともなる。主の神が空前絶後の大神業をいよいよ開始し、最初の御理想たる黄金世界を地上に完全に建設し玉ふといふ芽出度き意味であります。艮といへば東北を意味し神典にては日の若宮の方位であり、万物発生の根源であつて太陽の昇り玉ふ方位であります。又艮といふ字義は艮めとなり初となり固めとなり永しとなり、世の終りの世の初まりの意味となります。金神といふ意味は売卜者の云つてゐる方除けをせられたり、祟り神として排斥せられてゐるやうな人間の仮りに造つた神の意味ではなく、尊厳無比金剛不壊の意味を有し、三界をして黄金世界に完成し玉ふ救ひの神といふ、約り言葉であります。 須弥仙山といふのは、仏経にある仮想的の山であつて所謂宇宙の中心を指したものであります。日月星辰が此須弥仙山を中心に進行し、須弥仙山には三十三の天があるといつてゐるのを見ても、無限絶対なる大宇宙の意味であることが明瞭となつて来ます。此須弥仙山に腰をかけ艮の金神が守ると宣示されたのは、実に驚嘆すべき大神業の大完成を予示されたもので、万有一切は此大神の愛善の徳と信真の光に浴し、現幽神三界に亘り、永遠無窮に真生命を保ち、歓喜に浴することを得るのであります。太古に於ける現世界の住民は何れも、清浄無垢にして、智慧証覚にすぐれ、愛の善と信の真をよく体得し、直接天人と交はり、霊界も現界も合せ鏡の如く、実に明かな荘厳な世界であつたのであります。それより追々と世は降つて白銀時代となり、八岐大蛇や醜狐が跋扈し始め、智慧証覚は漸くにしてにぶり出し、降つて赤銅時代黒鉄時代と益々現実化し、妖邪の空気は天地に充満し、三界に紛争絶間なく、今や泥海時代と堕落して了つたのです。仏者は之を末法の世といひ、基督教は地獄といひ、神道家は常暗の世と称へてゐます。地上一切の民は仁慈無限の大神の恩恵を忘却し、自己愛的行動を敢てなし、互に覇を争ひ、権利を獲得せむとし、排他と猜疑と、呪咀と悪口のみを之れ事とし、仏者の所謂地獄餓鬼畜生修羅の惨状を現出することとなりました。此に於て国祖の神霊は此惨状を座視するに忍びず、神より選まれたる清浄無垢なる霊身国照姫命をして神意伝達の機関となし、万有救済の聖業を托されたのであります。故に三五の教は根本の大神の聖慮を奉戴し、神界より此地上に天降し玉へる十二の神柱を集め、霊主体従的国土を建設し、常暗の世をして最初の黄金世界に復帰せしむる御神業に仕へまつるべき大責任をお任せになつたのであります。今や天運循環の神律によつて、世界各地に精神的救世主が現はれてをります。就いては日出雄も主の神の神示に従ひ、到底此小さき教団のみの神柱となつてゐることは出来ない様になりました。今日の人間は口先では実に勇壮活溌な、鬼神も跣足で逃げるような大気焔をはき、メートルを上げてる者もありますが、愈々実地となつた時は竜頭蛇尾に終るのが一般の傾向であります。今日の人間は凡てが卑劣で柔弱で、小心で貪欲で、我利々々亡者で、排他的で、真の勇気がありませぬ。かかる汚穢陀羅昏迷の極度に達した人心に活気を与へ、神の聖霊の宿つた活きた機関として、天晴れ活動せしめむとするには、先づ第一に勇壮活溌なる模範を示し、各人間の心の岩戸を開いてやる必要がありますので、国照姫命は荒波猛る絶海の孤島冠島沓島などに、小舟で渡り、荒行をなし、或は鞍馬山の幽谷其他の霊山霊地へ自ら出修して、信徒の肝を大ならしめ、有為なる信者を作り、社会の為に至誠を尽さしめむと努められたのであります。乍併元来臆病神の巣窟となつてゐる人間は盲聾同様で、国照姫命の聖跡をふんで、其実行を試みた者は一人もなかつたのであります。勿論開祖の行かれた冠島沓島や鞍馬山へ参拝して御神業が勤まつたと思つてゐる分らずやは相当にありました。けれども其精神を汲取つて其道に大活動を続けようとする勇者は一人も出なかつたのであります。此体をみて憤慨した日出雄は三五の信徒を始め自転倒島の人間及世界の人間に模範を示す為に、神示を畏み、蒙古の大原野を先づ第一に開拓すべく、大正六年の春より、秘かに其準備に着手して居りました。古語にも南船北馬といふ語があります。どうしても東北に進むのには馬に乗ることが必要である。故に日出雄は此年より準備の一端として、四頭の馬を飼育し、背の高き馬、低き馬、おとなしき馬、はげしき馬を乗こなし、時の到るを待ちつつあつた。そこへ神示の如く、大正十年辛酉の年に至つて、事件の為再び天下の大誤解をうけ、行動の自由を失つたので、意を決し、此世界の源日出雄として活動せむと思つてゐます。どうか諸子は其の考へを以て神業に奉仕されむことを希望致します。』 と結んで降壇した。源日出雄の心中には既に既に神命を奉戴し、空前絶後の大神業を今や企てむとし、満月の如く絞つた弓の矢は近く放たれむとしてゐたのである。 (大正一四、八、一五、松村真澄筆録) |
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霊界物語 | □_特別編-入蒙記 | 04 微燈の影 | 第四章微燈の影 大正十三年新二月四日は大本の年中行事の一なる節分祭に相当し[※大正11年(1922年)から大正13年(1924年)までの3年間の節分は2月4日だった。]、翌五日は旧暦甲子の正月元日に相当する吉辰である。然し中国暦に従へば二月四日が正月元日となつてゐる[※日本と中国では旧暦の計算基準が異なるため。]、この方が正当らしい。そして本年の甲子は中国暦によれば十二万年に只一度循環し来ると云ふ稀有の日柄であつた。二月五日即ち旧正月元日早朝より元朝祭を行ひ、天地四方を拝し、聖天子の仁徳を感謝するのを恒例としてゐる。そして甲子は即ち更始に国音相通じ、百度維れ新なる年だと云はれてゐる。この日各国各地より集まり来つた役員信徒は元朝祭を終へ、殆んど人に対し障壁のない日出雄の身辺を、夜の更くる迄取りかこんで神界の経綸談を聞いて居た。下つて正月五日信者もおひおひと帰国し、さしもに広き教主殿も洪水のひいた跡のやうに閑寂の気が漂うた。午後八時頃、教主殿の奥の間、ランプの光り幽かなる一室に金泰籃の机をとりまいて真澄別、隆光彦、唐国別の三人と共にヒソヒソと海外宣伝の評議をやつてゐた。明晃々たる三日月は四尾山の頂に沈んで、何処ともなく膚寒い風が裸木の立ち並んだ神苑を吹き渡つて居る。唐国別は且て海軍に奉仕し、その官は大佐であつた。日出雄は陶器の火鉢に手をあぶり乍ら、 日出雄『真澄別さん、朝鮮普天教の方や北京行の結果は、どうなりましたか聞かして貰ひ度いものですな』 真澄別『ハイ、御命令を頂きまして唯夫別を伴ひ先づ朝鮮へ神の使節として往来せる金勝玟、田炳徳その他二三の普天教信徒に迎へられ、朝鮮鉄道に乗つて大田駅につき、ここにて普天教幹部金正坤氏と布教伝道の件につき懇々と談じ、金、田二氏の案内にて井邑なる同教本部に参着、教主車潤洪氏と徹夜快談致しましたが、車氏は、かねて聞き及びしに違はざる立派な神柱で、同教の動機や教理等は、その活動舞台を朝鮮においた迄で、全く大国常立尊様の御経綸に奉仕してゐる人ですから、その教理や事情に於ては今改めて御報告申上げる迄もなく、貴方は御存じの事と思ひます。ただ車氏は神界の御都合により因縁上の関係とでも申すものか、あつぱれ表面に立つて社会的に活動するは甲子の年と同教の神示に定められてあるさうですが、之と同時に日出雄先生にお目にかかり御意見を聞いた上でなくては、公然神業の完成に向つて進まれる訳には行かない事になつてゐるさうです。その筋の誤解や俗人の中傷等もあつて朝鮮独立の陰謀団のやうに見做され、聖地の如く数多の警官に踏み込まれ、非常な迷惑を感じた経緯もあり、それ故車氏は時節の到来する迄多数の信者にでも顔を見せないやうに、山深く分け入り、世間にかくれて神界の経綸を進めつつあると云ふ状態でありますが、右の次第で兎に角当分の処、大本と云ひ普天と云ふのも、各その出現地に於ての称へであつて畢竟同一の神の教でありますから、相互間の諒解も十分に出来たので精神的、内分的に提携聯合して帰国しました。又北京では主として大学教授やその他の思想家達と交遊し、互に意見の交換をなし大本の教理を詳細に述べた所、彼等も非常に感服し、再会を約して一旦袂を別つて帰りました。五大教道院、悟善社その他の宗教団体は隆光彦さまが交渉の任に当つて居られるので、私は手をつけないで置きました。只将来の参考に資するために、北京の宮城や万寿山ラマ寺等を興味を以て調べて参りましたが、実に立派なものでありました。又唯夫別は車教主と相談の上普天教の役員格として姓名を金仁沢と改めて残留させる事と致し、当分金氏指導のもとに朝鮮語を修得し、交換的にエスペラントを教ふる事に取計つておきました。申しおくれましたが、普天教教主の方から日本の方へ伺ひますのが神様の経綸から云つても本意ですけれども、当分は前陳の通りの事情でございますから、恐入りますが日出雄先生に何とか御都合をつけて、一度お越しを願はれますやう、頼んでは下さいませぬか。さうせなくては表立つて活動するを許されませぬですからと云つて、鶴首して待つてゐます』 日出雄『自分も一度侍天教の教主宋秉駿伯[※正しくは「駿」ではなく「畯」の「宋秉畯」(ソン・ビョンジュン、そう へいしゅん)。ここでは直さず底本通りの表記にした。]と大正六年の夏提携して以来、会うてゐないから機会を得たら一度会うて今後の宗教的活動方法につき懇々と相談して見たいと、かねて思つてゐた矢先、朝鮮普天教と提携の出来たのを幸ひ、万障を繰合して渡鮮して見たいとも思つてゐるが、何分御承知の通りの身の上だからその機を得ず今迄グヅグヅしてゐたのだ。乍然人間には一日も暇と云ふ事がないものだから、思ひきつて渡鮮しようかとも考へてゐる。支那の五大教との提携も完成した暁だから、済南母院の参拝をかね悟善社へも行つて見たいと考へてゐる。幸ひ隆光彦さんが帰つて来たから同教の内情も聞いた上、断行してもいい』 隆光彦『節分祭をあてに倉皇として支那から帰つて以来、節分祭のため各地信徒の来訪で寸暇を得ず復命をおくれてゐました。昨冬十一月参綾した五大教の代表者侯延爽氏と一緒に支那に渡り、先づ北京道院を訪ねました。道院のすぐ近くのガーデンホテルで盛大な歓迎会を開いて呉れ、その席で侯氏は大本と開祖様の事から、相共に思想善導の大道に相握手するに至つた経緯を語り、私も亦大本の歴史から聖師様の事を語り、日支親善や共存共栄の根本義は精神的に両国民の結合を見なければならぬと答辞をかねて述べておきました。道院は御存じの通り仏教、儒教、道教、基督教、回回教の五大教の統一親和を図るもので、その宗旨の教義は我大本と全然相似たものでありますから、要するに同じ主の神様の御経綸になつたものと考へます。前国務総理たりし銭能訓氏や陸軍元帥、国務総理代理江朝宗氏、王芝祥氏等の高官を始め、各方面人士の歓迎を受け、又悟善総社の幹部や万教大同会の袁華瀛氏とも会見した処何れも皆是非一度聖師様に渡支を願はれますまいか、幸にお越を願ふ事を得れば道院は勿論悟善社の建物を提供し度いからと云つて、やみませぬでした。どうか綾部の御都合さへつきますれば、一度お越しになれば、嘸、皆が満足される事と存じます。お待ちしてゐるのは五大教計りぢやありませぬ。済南、南京、上海と私の通過した処どこも聖師の名を聞いて御渡支を渇望して居ります。私は主として北京と済南本部に滞在し、支那五大霊山の一たる泰山に登り曲阜の孔子廟に詣でて帰国致しました。北京道院の乩示によりますれば来る旧二月朔日に神戸市外六甲村で開院式を開く事になつてゐますから、その前に聖師様のお供をして再び支那へ行き度いと思つてゐます』 日出雄『それは非常に好都合だつた。支那、朝鮮を、それでは一度旅行してその道の主なる人々と世界平和のため、人類愛のため、深き御神慮のある処を語り合ひ、世界宗教統一の第一歩を踏み出すことにしよう、その時は是非真澄別、隆光彦両氏も同道して欲しいものだ』 真澄別『普天教の話もあり、又私も一度道院の幹部連と熟議を凝らして見たいから是非同行を願ひませう』 日出雄『これで教主輔に法学士、支那語学者と三拍子揃つた、鬼に鉄棒だ。あゝ前途の光明は確に輝いてゐる。時に唐国別さん、奉天に水也商会と云ふ軍器店を出してゐられるさうですが、支那の事情は余程詳しいでせうな』 唐国別『海軍を退職してから何でも支那大陸で一儲をしやうと思ひ、先づ上海に商館を開いて見た処、いろいろの事情があつて百万円の金を儲け損ひ、間もなく上海の商店を閉鎖し、張作霖の眤懇者と称する者よりすすめられ、張作霖の軍隊に武器を供給するため奉天平安通りに水也商会を開設する事になりました。然し之も、どうやら自分の技術を盗まれる位が落かも知れませぬ。ついては聖師がいよいよ渡支されるとなれば一つここに面白い事業が横たはつてゐますが、一応聞いて下さいますまいか、今晩伺つたのはこの件につき御意見を承り度いと思つたからです』 日出雄『臍の緒きつて初めての海外旅行であり、奉天市街も日本人が行つてから非常に開けたやうに聞いても居るし、同地の支部へも立寄つて見たいとも思つてゐる。丁度よい都合だ。そして貴下の話と云ふのは、どう云ふことですか』 唐国別『私は此大晦日の夜に聖師に書いて頂いた、 日地月合せて作る串団子星の胡麻かけ喰ふ王仁口 と云ふ半折の書を表装して商会の床の間にかけておいた所、河南督軍趙倜の軍事顧問をつとめてゐた岡崎鉄首と云ふ日本人がやつて来て、その掛物に目をつけ、大変に喜び、こんな大きな事を書く人はよほど変つてゐる。この歌が大変気に入つた。今私は張作霖の内意で裕東印刷所を開設しその技師長となつて勤めてゐるが、印刷所の開設された動機は実に注意深い酢にも蒟蒻にも行かない張作霖の大秘密に属するもので、やがて雪解けともなれば奉直戦が再び起る形勢だから、その時に必要なる軍票を三千万円ばかり印刷するためです。然し吾々は奉直戦などは如何でもいいです。日本の国威が上り満蒙に流浪してゐる不逞鮮人を安気に生活させてやりさへすればいいのです。犬養先生や頭山先生、内田先生、末永節その他の名士連と謀り肇国会と云ふ高麗国の建設を図り、末永は東京方面での事務をとり、私は満州に渡つて内密にその準備をやつてゐるのです。此際蒙古の大広野を開拓し日本の大植民地を作つたら国家の為になるだらうと思ひます。こんな大事業は吾々凡夫が何程よつても到底着手することも出来ない。そして最も人心を収攪するものは宗教より外ないと考へ、内地の既成宗教家の頭を説いたが、何奴も此奴も口先ばかりで実行する勇気のない糞坊主や偽キリストばかりだ。大谷光瑞でも内地では豪僧のやうに云はれてゐるが、南洋に行つては失敗し、印度からは追払はれ、本願寺を追出され、船を作つて天津と上海の間を往復してゐるが、それも在留日本人の一部に信用を保つて居る丈で評判程の事もない憐れ至極の状態です。どうです唐国別さま、貴下は大本信徒の一人でもあり幹部の方でもあるやうですから、私の意図を日出雄聖師に会つて相談しては呉れませぬか等と、いろいろの面白い計画を話しました。さて聖師様、兎も角も今度渡支されたら水也商会に立寄つて鉄首に会つて貰へますまいか』 日出雄『ヤア兎も角も鉄首は面白い事を云ふ男だ。自分も実は紅卍字会へ行くとはホンのつけたりだ。広袤千里に連る蒙古の大原野に一大王国を建設し度いと思つてゐるのだ。乍然表面は紅卍字会、普天教行としておかう』 唐国別『鉄首も今のお言葉を聞いたら喜ぶでせう。蒙古の大原野に新王国を建設するについては、今から十年以前に七万の精兵をつれて内外蒙古に進出し、庫倫をついて一時驍名を馳せた盧占魁と云ふ大英雄が一度聖師に会見し、意見が合うたら天下のために大活動をやつて貰ひ度いものだと渇望してゐます。大神の御経綸の一端を実行するには実に絶好の機会と思ひますが、聖師のお考へは如何でせうかな』 日出雄『盧占魁は蒙古の英雄、馬賊の大巨頭と云ふ事は世間周知の事実だ。乍然大本の教主輔、しかも無抵抗主義を標榜して万有愛の実行を天下に示さむとする自分としては、馬賊の大巨頭と提携するのは考へ物だと思ふ。小胆なる大本信者の誤解を受け、教壇[※底本(全集)では「教壇」だが、霊界物語入蒙記(校定版、愛善世界社版)では「教団」に修正されている。しかし「教壇」でも意味的におかしくはないので霊界物語ネットでは底本通りとする。]の破壊者と睨まれるかも知れない。なるべくはそんな危険な方法を採らずに精神方面のみでやつて見やうと思ふ。第一馬賊と云ふ名が大変面白くない感じを与へるぢやないか』 (大正一四、八、一五、北村隆光筆録) |
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霊界物語 | □_特別編-入蒙記 | 世界経綸の第一歩 | 世界経綸の第一歩 愈本年は十二万年に一度の甲子の年であります。人類が発生してから、学者の説によれば、十万年とか五十万年とか色々言つてゐる様ですが、実際は地球の修理固成が出来て最初に人間の形を以て現はれ玉うたのが大国常立尊であります[※第1巻第20章「日地月の発生」:「それで金の竜体から発生せられた、大きな剣膚の厳めしい角の多い一種の竜神は、人体化して、荘厳尊貴にして立派な人間の姿に変化せられた。これはまだ本当の現体の人間姿ではなくして、霊体の人間姿であつた」]。甲子はすべてが更始となり元へもどることであり、艮は初めであり艮めでありまして、愈大神様の神徳が顕現される時期であります。今日迄は魂研きの時代であり、練習の時代でありましたが、愈甲子の年からは挙国一致して事に当らねばならぬのであります。大本に因縁あつて集まられた人々から、先づ世界の大立替大立直しの型を出さねばならぬ事になつて参つたのであります。併し皆さまが協力一致せなくては大神業は成就せない。たとへば一本の矢はごく弱いものであり、すぐ折れるが、何本か固まれば中々強く容易に挫折せないものです。今日迄の大本は世界の状態が映つて個々分立し、祝詞文中の『己が向々』で上を向いたもの、下を向いたもの、或は右を、左を、天国を、地獄を、艮を、坤をと云つた具合に個々別々に向つてゐたが、之では神業の完成どころか却て妨害になる。祝詞文の中の『己が向々有らしめず』の聖句の通り、信者一般が協同一致して事に当らねばなりませぬ。 神諭に『誠の分つた役員三人あれば立派に神業が完成される』とお示しになつてゐますが、小さい胡麻粒一つが元子となつて金米糖が出来るやうに、役員三人の心が合ひさへすれば、それが元になつて正義の団体が固まり追々と大きなものになり、どんなことでも成就するでせう。併し単に只三人だけでは最後の艮めは刺せないので、神様は止むを得ざる場合を慮り玉うて三人でもとの意味をお示しになつてゐるのであります。 大本の内部も今迄は個々分立であつたが、今後は協同一致の習慣をつけねば一朝事が起つた場合に頤を外す様な事が出来てはつまらない。夫故いよいよ今回の大改革が断行されたのであります。 本年(十三年)は甲子の年で、神様の仕組まれたる世界経綸の初まりとして、私は今春早々三人を引連れて遥々と蒙古入を始めたのであります。此事業は大きな仕事であつて、神様は少くとも一ケ年位は帰国さして下さらないと思つてゐましたが、百廿六日で日本へ再び帰ることになつたのは神界の思召のある事で、大本が統一して居らぬ故、これを統一しておいて世界の経綸に着手すべく経綸されたものと考へます。私は帰国後神様に伺ひ、今日迄の諸種の陋習を打破して適材を適所に配し、出来る丈新しい空気をつくる事につとめました。適材適所と言つても絶対的に適当とは云へぬ。神様から見れば皆一様に不完全であるから、神様の命令で選まれた人々が、何も出来ない、神様も目が見えないとか何とか不平や小言を云はないで、少時時節を待つて頂きたい。凡て物は不完全から段々と進むものでありますから、御神業が完成する様に努めてほしい。ついては責任の地位に立つ人をそれぞれお願ひしたのでありますから、皆それぞれ助け合つてつとめて頂き度いものであります。 (大正一四、一、二五号神の国誌) |
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霊界物語 | 73_子_太元顕津男の神の物語1 | 総説 | 総説 三千大千世界の大宇宙を創造し給ひし大国常立の大神は、ウ声の言霊の御水火より天之道立の神を生みたまひ、宇宙の世界を教へ導き給ひたるが、数百億年の後に至りて、稚姫君命の霊性の御霊代として尊き神人と顕現し、三千世界の修理固成を言依さし給ひ、又アの言霊より生り出でし太元顕津男の神の御霊も神人と現れ、共に神業を励み給ひける。天の時茲に到りて厳の御霊稚姫君命は再び天津御国に帰り給ひ、厳の御霊の神業一切を瑞の御霊に受け継がせ給ひける。ここに厳の御霊瑞の御霊の活動を合して伊都能売の御霊と現れ、万劫末代の教を固むる神業に奉仕せしめ給ひたるなり。 厳の御霊は荒魂の勇と和魂の親を主とし、奇魂の智と幸魂の愛は従となりて活き給ひ、瑞の御霊は奇魂の智と幸魂の愛主となり、荒魂の勇と和魂の親は従となりて世に現れ、今や破れむとする天地を修理固成すべく現れ出でたるなり。而して厳の御霊は経の神業なれば言行共に一々万々確固不易なるに反し、瑞の御霊の神業は操縦与奪其権有我の力徳を以て神業に奉仕し給ふ神定めなり。神諭にも、経の御用はビクとも動かれず鵜の毛の露程も変らぬが、瑞の御霊は緯の御用なれば機の緯糸のごとく、右に左に千変万化の活動あることを示されたり。しかるに今や伊都能売の御霊と顕現したれば、経緯両方面を合して神代の顕現に従事し給ふこととなりたれば、益々その行動の変幻出没自由自在なるは到底凡夫の窺知し得べきものにあらず。斯くして大宇宙の神界治まり、三千世界の更生となりて、全地上の更生の神業は成就すべきなり。この消息を知らずして大神業に奉仕せむとするものは、恰も木に拠つて魚を求むる如く、海底に野菜を探り、田園に蛤を漁るが如し。 神は至大無外至小無内在所如無不在所如無底のものなれば、従来の各種の宗教や賢哲の道徳率を標準としては、伊都能売神の御神業は知り得べき限りにあらず。例へば機を織るにしても経糸はビクとも処を変ぜず緊張し切りて棚にかかり、緯糸は管に巻かれ杼に呑まれて小さき穴より一筋の糸を吐き出し、右に左に経糸の間を潜り立派なる綾の機を織上ぐる如きものなり。機を織る緯糸は一度通ずれば二度三度筬にて厳しく打たれつつ、ここに初めて機の経綸は出来上るものなり。 綾機の緯糸こそは苦しけれ 一つ通せば三度打たれつ 神界の深遠微妙なる経綸については千変万化極まりなく、善悪相混じ美醜互に交りて完全なる天地は造られつつあるなり。伊都能売神の神霊も亦その如く三十三相は言ふも更なり、幾百千相にも限りなく臨機応変して神業に依さし給へば、凡人小智の窺知すべき限りにあらざるを知るべし。 且つ厳の御霊の教は神人一般に対し、仁義道徳を教へ夫婦の制度を固め、仮にも犯すべからざるの神律なり。故に瑞の御霊の大神は紫微天界の初めより太元顕津男の神と現れまして、国生み神生みの神業に奉仕し給ひ、万代不動の経綸を行ひ給ひつつ若返り若返りつつ末世に至るまでも活動給ふなり。其間幾回となく肉体を以て宇宙の天界に出没し、無始無終に其の経綸を続かせ給へば、他の神々は決して其の行為に習ふべからざるを主の神より厳定されつつ今日に至れるなり。 神諭に経の御用は少しも動かされず変へられないが、緯の御用は人間の知恵や学問にては悟り得べきものにあらざれば、神に仕ふる信徒達は其の心にて奉仕せざれば神界経綸の邪魔となると示されてあるのは、此間の消息を伝へられたるものなり。 故に本書は有徳の信者又は上根の身魂にして神理を解し得る底の身魂にあらざれば授与せざるものとす。この物語を読みて神理を覚悟する人士は従来の心の持方を一掃し、三千世界更生の為に其の力を添へられむ事を希望して止まざるなり。賢哲の所謂中庸、中和、大中、其の中は神府の中とは大に異れり。故に現代人の見て善と為す事も、神の眼より視て悪なる事あり、又現代人の目より悪と視ることも神界にては善と為すことあり。是を善悪不二の真諦といふ、嗚呼惟神霊幸倍坐世。 いよいよ本巻よりは、我古事記に現れたる天之御中主神以前の天界の有様を略述し、以て皇神国の尊厳無比なるを知らしめむとするものなり。 本書は富士文庫に明記されたる天の世を初めとし、天之御中之世、地神五代の世より今日に至る万世一系の国体と、皇室の神より出でまして尊厳無比なる理由を闡明せむとするものにして、先づ天の世より言霊学の応用により著はせるものなれば、決して根拠なき架空の説にあらざるを知るべし。富士文庫神皇記の天の世の神の御名を列記すれば、 一天之峯火夫神 二天之高火男神 三天之高地火神 四天之高木比古神 五天之草男神 六天之高原男神 七天之御柱比古神 以上七柱の天神七代を天の世と称し、天之御中主神より以下七代を天之御中之世と称へ奉るなり。茲に皇国固有の言霊学の力をかりて、大虚空に於ける最初の神々の御活動を謹写せむとして著はしたる物語なり。又神生み国生みの物語も、最初の神々は幽の幽に坐しませば、現代人の如く肉体を保ち給はず全く気体に坐しますが故に、現代人の如く男女の関係は無く、只言霊の水火と水火を結び合せて国を生み神を生み給ひしを知るべし。最初の神々は何れも幽体隠神に坐すが故に、男神は比古を附し、女神は比女の字を藉り顕しあれば、後世に於ける彦神姫神とは大に異なれるを知るべきなり。 太元顕津男の神の神名は、ア声の言霊南西に活き給ひて顕れ給ふ神名にして、国を生み神を生まし給ふと雖も、国を開拓し玉ふ神業を国生みと言ひ、国魂の神を選ませ又は生せ給ふを神生みと称へ奉るは、皇典古事記の御本文に徴するも明白なり。又八十比女神の国生み神生みの神業も、只単に言霊の水火の組合せによりて、言霊神の生り出で給ふ根本の御神業なるを知るべし。 (昭和八・一〇・四旧八・一五於高天閣森良仁謹録) |
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霊界物語 | 73_子_太元顕津男の神の物語1 | 01 天之峯火夫の神 | 第一章天之峯火夫の神〔一八三二〕 天もなく地もなく宇宙もなく、大虚空中に一点のヽ忽然と顕れ給ふ。このヽたるや、すみきり澄みきらひつつ、次第々々に拡大して、一種の円形をなし、円形よりは湯気よりも煙よりも霧よりも微細なる神明の気放射して、円形の圏を描きヽを包み、初めて⦿の言霊生れ出でたり。此の⦿の言霊こそ宇宙万有の大根元にして、主の大神の根元太極元となり、皇神国の大本となり給ふ。我日の本は此の⦿の凝結したる万古不易に伝はりし神霊の妙機として、言霊の助くる国、言霊の天照る国、言霊の生くる国、言霊の幸はふ国と称するも、此の⦿の言霊に基くものと知るべし。 キリストの聖書にヨハネ伝なるものあり。ヨとはあらゆる宇宙の大千世界の意なり、ハは無限に発達開展、拡張の意なり、ネは声音の意にして宇宙大根本の意なり。ヨハネ伝首章に曰く、『太初に道あり、道は神と偕にあり、道は即ち神なり。此の道は太初に神と偕に在き。万物これに由て造らる、造られたる者に一として之に由らで造られしは無』と明示しあるも、宇宙の大根元を創造したる主の神の神徳を称へたる言葉なり。 清朗無比にして、澄切り澄きらひスースースースーと四方八方に限りなく、極みなく伸び拡ごり膨れ上り、遂に⦿は極度に達してウの言霊を発生せり。ウは万有の体を生み出す根元にして、ウの活動極まりて又上へ上へと昇りアの言霊を生めり。又ウは降つては遂にオの言霊を生む。 ⦿の活動を称して主の大神と称し、又天之峯火夫の神、又の御名を大国常立神言と奉称す。大虚空中に、葦芽の如く一点のヽ発生し、次第々々に膨れ上り、鳴り鳴りて遂に神明の形を現じたまふ。⦿神の神霊は⦿の活動力によりて、上下左右に拡ごり、⦿極まりてウの活用を現じたり。ウの活用より生れませる神名を宇迦須美の神と言ふ、宇迦須美は上にのぼり下に下り、神霊の活用を両分して物質の大元素を発生し給ひ、上にのぼりては霊魂の完成に資し給ふ。今日の天地の発生したるも、宇迦須美の神の功なり。ウーウーウーと鳴り鳴りて鳴極まる処に神霊の元子生れ物質の原質生まる。故に天之峯火夫の神と宇迦須美の神の妙の動きによりて、天津日鉾の神大虚空中に出現し給ひ、言霊の原動力となり七十五声の神を生ませ給ひ、至大天球を創造し給ひたるこそ、実に畏き極みなりし。再拝。 (昭和八・一〇・四旧八・一五於天恩郷千歳庵加藤明子謹録) |
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霊界物語 | 73_子_太元顕津男の神の物語1 | 05 言幸比古の神 | 第五章言幸比古の神〔一八三六〕 速言男の神は紫微宮圏の世界の万神を指揮し修理固成し、永遠無窮に天の世界の経綸に全力を尽し給ひ、茲に造化三神を初め四柱の神の宮殿を造りて、至忠至孝の大道を顕彰し給へり。天の世界の造化三神とは、天極紫微宮に坐す天之峯火夫の神、宇迦須美の神、天津日鉾の神に坐まし、左守と仕へ給ふは大津瑞穂の神、天津瑞穂の神の二神なり。又右守の神と仕へ給ふは高鉾の神、神鉾の神なり。速言男の神は一二三即ち霊力体の三大元を以て大宮に要する霊の御柱を造り給ひ、此の柱を四方に建て並べて霊の屋根を以て空を覆ひ、光輝燦然たる紫微の大宮を造営し給ひぬ。抑も此の宮は天極紫微宮と称へ奉り、造化三神を初め左守右守の四柱神を永遠に祭祀し給はむが為めなり。 此の時霊力体の三元スの言霊の玄機妙用によりて、紫微宮の世界に大太陽を顕現し給ひ、大虚空中に最初の宇宙を生り出で給ひたるなり。紫微宮天界の諸神は幾億万里の果よりも集り来りて、大宮造営完成の祝歌を謡ひ給ふ。速言男の神は紫微台上に昇りて声も厳かに、 『一二三四五六七八九十百千万』 と繰返し繰返し謡ひ給へば、百雷の一時に轟く如き大音響四方に起りて、紫微宮天界は為に震動し、紫の光は四辺を包み、太陽の光は次第々々に光彩を増し、現今の我宇宙界にある太陽の光に増すこと約七倍の強さとなれり。速言男の神は以上の天の数歌を唱へ終りて紫微台の高御座に端坐し、両眼を閉ぢて天界の完成を祈り給ふ。 茲に速言男の神の左守神として仕へ給ふ言幸比古の神は、言霊の発動に生れる紫微宮の荘厳を祝して、 『アオウエイ カコクケキ サソスセシ タトツテチ ナノヌネニ ハホフヘヒ マモムメミ ヤヨユエイ ラロルレリ ワヲウヱヰ ガゴグゲギ ザゾズゼジ ダドヅデヂ バボブベビ パポプペピ』 と神声朗らかに宣り上げ給へば、天界は益々清く明けく澄切り澄渡りつつウアの神霊元子大活躍を始め、一瞬にして千万里を照走する態電気よりも速かなりき。茲に右守の神言幸比女の神は左守の神の後をうけ給ひて、 『アカサタナハマヤラワガザダバパ イキシチニヒミイリヰギジヂビピ ウクスツヌフムユルウグズヅブプ エケセテネヘメエレヱゲゼデベペ オコソトノホモヨロヲゴゾドボポ』 と七十五声の真言を横に謳ひ給へば、八百万の神々は之に和して謹み敬ひ言霊を奏上し、タカタカと拍手をなして喜び歓ぎ給ひける。此の宮の祭りに仕へ給へる日高見の神は、声厳かに祝し給はく、 『久方の天に生る生る主の神霊 澄みきり澄みきり澄み徹らひつ アとウの水火を合せ給ひて 紫微の天界を創め給ふ 其の功績を喜び勇み 主の神の神霊に生りし 八百万千万の神は 此の斎場に集ひ奉り 神祝言宣り奉る 一二三四五六七八九十 布留辺由良布留辺由良由良 生言霊の大幣を振り翳し 天津真言の劔を御前に翳し 大太陽を生みませる 主の大御神又の御名は 大国常立神言の 甚じき功績に報い奉るとして 紫微の宮居の清庭に 生言霊を宣り奉る 嗚呼惟神々々 主の大神の神御霊 高天原に満ち足らひ 幾億万劫の末までも 鳴り鳴り鳴りて鳴りあまり 生き生き生きて生き栄え 神の依さしの神業に 仕へ奉らむ真心の 真言の鏡曇りなく 真言の剣研ぎ澄まし 弥栄えます八尺瓊の 生言霊の璽の水火 尽くる事なく絶ゆるなく 永久の世の果までも 主の大神の神力を 開かせ照させ給へかし 宮司日高見の神が 誠をこめて祝ぎ奉る祝ぎ奉る』 (昭和八・一〇・六旧八・一七於天恩郷千歳庵森良仁謹録) |
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霊界物語 | 74_丑_太元顕津男の神の物語2 | 10 心の手綱 | 第一〇章心の手綱〔一八七八〕 大虚空の中心に、一点のヽ忽然として現れ、ヽは次第に円満の度を加へ、遂に主の言霊生れ出でぬ。ス声は次第々々に膨張して、遂に七十五声の言霊大虚空中に現れ給ふに至れり。スの言霊はいよいよ大活動力を発揮して、遂に神となり給ふ。之を天之峯火夫の神又の御名は大国常立の神言と称し奉る。茲に大神の御稜威は益々発展し給ひて、大宇宙を生みなし給ひ、其中心たる紫微天界に天津高宮を築き給ひ、大神永遠に鎮まり給ひて、大宇宙を生み国土を生み神を生み給ひつつ、幾億万劫の末の今日に至る迄、一瞬間と雖も其活動を休み給ひし事なし。 スの言霊にして万々一、一秒間と雖も其活動を休止し給ふ時は、三千大千世界たる大宇宙の一切万有は、忽ち生命を失ひ滅亡するに至るべし。ここに主の神は、ウの言霊より天之道立の神を生み、又アの言霊より太元顕津男の神を生ませ給ひて、まづ紫微天界の修理固成を始め国土生み神生みの神業を依させ給ひしなり。而して天之道立の神はあらゆる神人を初め、宇宙万有の精神界を守り給ひ、顕津男の神は紫微天界に於ける、霊的物質界の生成化育の神業に奉仕し給ふの重大なる責任を、主の神の神言もて負はせ給ひしぞ畏けれ。此神業は幾億万々劫の末の今日に至ると雖も、無限絶対無始無終的に継続して活躍し給ふなり。 茲に天之道立の神の御神業は暫くおき、太元顕津男の神の御活動情態に就て、大海の一滴に比すべき程の事蹟を述べむとするも、浩瀚にして容易に述べ尽す事能はざるなり。我は唯数千万分の一に当るべき御活動の情態を開示せむとす。故に読者は此物語を読みて、天界活動の全部に非ざるを弁へ知るべし。 主の大神の依さし給ひし国土生み神生みの神業に就ても、八十柱の比女神を先づ賜ひたれども、現界人の如き、性的行動をなし給ふ如き事なく、唯単に水火と水火とを組み合せもやひ合せ、鳴り鳴りて鳴りの果てに神霊の気感応し給ひて、ここに尊き国魂神を生ませ給ふの神業なり。然しながら宇宙一切の生成化育は、スの神の幸魂たる愛の情動より発生するものなれば、愛を離れて絶対的に生産は求むべからず。然るが故に女男二柱の神々見合ひます時は、必ず愛恋の心湧出すべきは自然の道理なり。愛し愛され其結果は、遂に恋となり恋愛となりて、魂のいつきて離れざるものなるが故に、主の神は八十柱の国魂神を生ましめむとして、深き御心の在します儘に、八十柱の比女神を御子生みの御樋代として、顕津男の神に言依さし給ひたるなり。然るが故に瑞の御霊に在します顕津男の神は、一度見合ひますれば一つの国魂神を生み給ふが故に、一所に留まりて現代人の如く夫婦生活に居らせ給ふ事能はざりしなり。八十柱の神にしても、もし二柱生ませ給ふ事あらむか、必ず其国は遂に権力位置の争ひによりて崩壊すべし。茲に主の神は深謀遠慮の結果、一つの国に一つの国魂神を生ませ給ふべく言依させ給ひしなり。 顕津男の神は、高日の宮に幾年の間を籠り仕へ給ひ、如衣比女の神の艶麗なる容色に恋々として国土生み神生みの神業を後れさせ給ひけるが、其執着心は忽ち鬱結して中津滝の大蛇と化し、如衣比女の神を遂に蛇腹に葬りけるにぞ、顕津男の神は恐れ畏み、我過れることを悟りて長く住みなれし高日の宮を後に、果しも知らぬ大野原を国土生み御子生まむと出で給ひけるが、茲に未だ国土稚く浮脂の如く漂へる真鶴の国を造り固め、国魂神を生まむと思ひ給ふ折しも、真鶴山の山霊より生れ出でませる生代比女の神は、顕津男の神の聖雄的神格に恋々の情止み難く、頻りに心火を燃やしつつ迫り給へども、顕津男の神は如衣比女の神去りにつき、甚く慎み恐れみ給ひければ、主の神の御樋代ならぬ女神に対して心を動かし給はざりける。生代比女の神は恋着益々深くして、瑞の御霊は其取捨に困惑し、朝な夕なに天津神言を奏上し生言霊を宣りあげて、生代比女の神の心を和らげむとなしたまふぞ畏けれ。嗚呼惟神主の大神の依さしならずば、何事をなすと雖も一々万々、成就せざるは今日の世と雖も同一なりと知るべし。 太元顕津男の神を初め十一柱の神々は、清き明き正しき真の心を籠めて、生代比女の神の執着心を払ひ清めむと、言霊の限りをつくし、天津祝詞を奏上し、七十まり五の言霊を間断なく宣らせ給ひけれども、生代比女の神が恋着の心は容易にをさまらず、燃え立つ炎は胸を焼き、遂には黒煙を吐き出で給ひ、次第々々に拡ごりて真鶴山の国土を包み、咫尺暗澹として日月の光をかくし、暴風臻り豪雨降り大地忽ち震動して、まだ地稚き真鶴の国原は目もあてられぬ惨状と化せむとせしぞ歎けれ。生代比女の神の少しく心和ぎし時は天変地妖をさまり、再び恋着の猛火燃ゆる時は忽ち天地暗黒と化し、瑞の御霊の神業の妨害となる事甚しかりける。 茲に顕津男の神初め諸々の神等は、各も各もあらむ限りの力を尽して、七日七夜の間主の神の降臨を祈願し給ひける。此時宇宙に主の神の御声ありて御歌詠ませ給ふ。 『国土を生み神を生むなる神業は なれに依させし道をこそゆけ 言霊の清きすがしき水火をもて 八十の御樋代のみに見合せ 容貌如何に美しき神なりとも 神業ならねば心染むるな 瑞御霊はわが御霊代よ八十比女は わが御子生ます御樋代なるよ 御樋代と我定めたる比女神の 外に見合はむ神あらじかし』 かく歌ひ終り給ふや、四辺をつつみし妖邪の空気は忽ち晴れ渡り、蒼空一点の雲なきまでに清く明るき国原となりぬ。顕津男の神は主の神の神言を畏み、且つ妖邪の空気を跡形もなく清め給ひたる主の大神の神徳を感謝しながら、御歌詠ませ給ふ。 『久方の天津宮より降りまし 永久の神教を宣らせたまひぬ 主の神の神旨に背き如何にして われはまみえむ仇の神に 弥益に心を清め身を清め 真の道の光てらさむ あだし神如何程迫り来るとても 御樋代ならぬ神にまみえじ 天地のわるるが如き禍も われは恐れじ生言霊に 生代比女神の心は愛ぐしけれど われは見合はむすべなかりける この国は玉野の比女の在す国 我は見合ひて貴御子生まむ』 斯く瑞の御霊は主の神の神言により、如何なる曲神の襲ひ来るとも、寸毫も動かざる大勇猛心を発揮し給ひて、茲に神魂を練り、いよいよ進んで神生みの神業に仕へ給ふ御心こそ畏けれ。 (昭和八・一〇・二三旧九・五於水明閣加藤明子謹録) |
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霊界物語 | 75_寅_太元顕津男の神の物語3 | 01 禊の神事 | 第一章禊の神事〔一八九五〕 我が神国には、大虚中に⦿の言霊より生れ出で給ひし天之峯火夫の神の、聖代より今日に至るまで伝来せる禊の神事あり。此の神事は紫微天界の神々と雖も一日も怠り給ふ事なく、今日に及べる主要の事柄なり。抑禊は大にしては治国平天下となり、小にしては修身斉家の基本たり。而して禊にも種々の方式伝はれり。吾人は是より諸種のみそぎに就て略述せむとす。 禊に関する行事の内にて最も至要なる神事は振魂の行事なり。之には種々の方式あれども、普通の場合には、両掌を臍あたりの前方に於て十字形に組み合せ、渾身の力を籠めて神名を称へながら、自己の根本精神を自覚して、盛んに猛烈に数十分乃至数時間連続して全身を振ひ動かす行事なり。神代の禊には神々何れも天之峯火夫の神の御名を称へ奉られたるが、現代にては吾人の禊には天之御中主之大神の御名を称へ奉るなり。 此の振魂の行事に由りて、精神内包の妄念邪想を鎖鎮すると共に、身体各部の反対的孤立的の活動を制御し、自己の根本精神を中心としたる全身の統一的活動を為すなり。禊の間は日々の食事を減じて、朝夕に一合の粥と三粒の梅干、小量の胡麻塩以外一切を食せざるも、全く自己の根本精神(本守護神)に対する全身の抵抗力を減殺し、偏に心身の統一を計るに便ずる用意なり。然るに身体は其減食のために、疲れ又は病み困難に陥るといふ心配はなし。内部の根本精神が興奮緊張の度を増し来る故に、却て元気全身に充足し、頭脳は冷静明快となり、全身爽快にして神の気分漂ふ。内省して疚しき罪穢もなければ、仮令百千万の強敵現はれ来るとも恐れず、大海高山を突破し、宇宙を呑吐する気概勃発して、一合の粥以外に何物をも食せずと雖も、更に飢餓を覚ゆる事なし。恰も自己は神代の昔に蘇りたる心地となり、日本民族の自性を明瞭に感得するに至るなり。 次に天の鳥船と称する禊の神事あり。之は神代の神々が天の鳥船に乗り給ひて大海原を横ぎり給ひし大雄図を偲びつつ、渾身特に臍の辺りに力を込め、気合と共に艫を漕ぐままの動作を百千回反復する行事にして、運動夫れ自身に価値あるのみならず、之に依りて気合術の練習も出来、不知不識の間に衆心の一和する禊なり。 次に雄健の禊あり、生魂、足魂、玉留魂、大国常立之尊の神名を唱へつつ、天之沼矛を振りかざして直立不動の姿勢を構ふる行事なり。即ち、 一に直立して左右の両手を以て帯を堅く握り締め、拇指を帯に差し『生魂』と唱へつつ、力を全身に充足して腹を前方へ突き出し、体躯を後方に反らせ、 二に『足魂』と唱へつつ、力を全身に充足して両肩を挙げ、然る後、腰、腹、両足とに充分の力を込めて両肩を下し、 三に『玉留魂』と唱へつつ、更に力を両足に充足して両の爪先にて直立し、然る後強く全身に力を込めて両の踵を下すなり。 四に左足を一歩斜前方に踏み出し、左手はそのまま帯を握り締め、右手は第二第三指を並立直指し、他の三指は之を屈し(之を以て天之沼矛に象る)之を脳天に構へ、真剣以上の勇気と覚悟とを持する行事なり。要するに雄健の禊は、神我一体聯想の姿勢なり。 次に雄詰の禊あり。雄詰といふは神我一体として、禍津見を征服し、之を善導神化する発声なり。雄詰は「イーエツ」といふ声を発すると共に、右足を左足に踏み付け、同時に脳天に振りかざしたる天之沼矛を斜に空を斬つて、一直線に左の腰元に打ち下すや否や、更に「エーイツ」と発声すると共に、右肘を胸側に着けたる儘前臂を直立し、然る後更に天之沼矛を脳天に構へ、前後に通じて続けさまに三回反復して行ふなり。神我一体として「イーエツ」と打ち込むは、四囲の悪魔を威圧懲戒するの作法にして、之を反対に「エーイツ」と打ち上ぐるは、悪魔を悔悟復活せしむるが為なり。即ち鬼も神と化し、禍も福と化し、之を吸収同化して共に神我一体たらしめむとするが、大祖神の垂示にして、神人の膨脹的大理想なり。 次に雄詰を終りて、直ちに両掌を臍の位に置き、勢よく十字形に組み合せ、然る後腹式深呼吸を三回行ふ。而して最後の吸気を全部呑みて呼出せず、之を伊吹の神事と言ふなり。 現今にては禊の行事其根元を失ひ真相伝はらざれ共、大要右の如き形式にて一部の神道家間に残り居るなり。紫微天界にても禊の神事を以て万事の根元と定められたれば、太元顕津男の神を始め百神達は、玉野丘の玉泉に各自禊を修すべく集り給ひて、修祓の業に奉仕し給ひぬ。 顕津男の神初め其他の諸神は、玉野丘の霊泉の汀に、各自座を定め、禊の神事を修せむとして、御歌詠ませ給ふ。 顕津男の神の御歌。 『天渡る月日もうつる玉泉の 清きは神の心なるかも 水底の真砂も光る玉泉に わが罪汚れくまなく洗はむ 国土造り御子生む神業の尊さを 悟りて我は禊仕へむ 振魂の禊に水底の真砂まで 揺ぎ出だせり神のまに 神々の振魂の禊つばらかに この水底に写りけるはや 真鶴の稚き国原固めむと 玉の泉にまづ禊せむ 常磐樹の松の梢は水底に みどりに栄えて波静なり 波の面に波紋描きて泡立つは 水底にすむ小魚の呼吸か この清き玉の泉に永久に 住む魚族はすがしかるらむ 西南の空より下りし我にして この清泉に住みたくぞ思ふ その昔鰻となりて仕へてし 我はなつかし泉の水底 この水に鰻とかへりて永久に 我は住みたくなりにけらしな 及ばざること繰り返し主の神の 依さしに背かむ事のおそろし 種々の苦しみなやみを忍びつつ 今この泉にみそぎするかも わが御霊くもりにくもり濁らへり この清泉に甦らむかな 神生みの業初々に終へぬれど 心にかかる何ものかある』 玉野比女の神の御歌。 『非時の香具の木の実ゆ現れし われは水際にたちばなの神 瑞御霊やすくましませ岐美が霊は 玉の泉のごとく清けし 禊して此国原を固めむと 思ほす岐美を尊くぞ思ふ 主の神の御水火かかりし香具の実は 八十柱比女の神となりぬる 八十柱神の一つに加へられ われは神業に後れしを悔ゆ 一つ国に一つの国魂生ませつつ 神代を永久に開かす主の神よ 一つ国に一つの御樋代定めましし 主の大神のこころ尊し 此国の御樋代となりし吾にして 神業に後れしを今更悔ゆるも 神生みの神業に後れし過ちは わが魂線の曇りなりけり 曇りたるわが魂線の御樋代に 如何で国魂神の生れむ 生代比女神の神言の御子生みは 主の大神の経綸なるらむ 生代比女の神いまさずば真鶴の 国魂神は生れざらましを 瑞御霊を吾は恨まじ生代比女の 神も恨まじ惟神なれば 主の神の依さしたまひし神業を 軽んじ居たる罪なりにけり 御樋代と心おごりしたまゆらに わが生魂はくもりたりけむ』 生代比女の神の御歌。 『真鶴の山のみたまと現れて 吾は知らずに神業仕へし 瑞御霊水火に生れし吾なれば わが魂線は岐美にいつきぬ 道ならぬ恋ゆゑ吾は諦めむと 幾度こころを省みしはや 魂線の縁の糸に縛られて 岐美の御水火に御子を孕みぬ 一度の御手に御肌にふれずして 岐美の真言に想像妊娠ぬ 玉野比女許させたまへわが心 朝な夕なに公をおそれつ わが思ひ燃えあがりつつ黒雲と なりて御空を鎖せしを恥づ 今よりは是の泉に禊して 許々多久の罪汚れを払はむ 主の神の御子に生れませばわが気体 煙となりて天にのぼらむ 玉野比女神よ生れます神の子を 汝が御子として育くみたまはれ 村肝の心にかかる雲もなし わが縺れたるおもひも解けつつ』 遠見男の神の御歌。 『百神の姿すがしく水底に 月日とともに冴え渡るかな 月も日も水面に写る玉泉の 面は鏡のごとく光れり 天地の合せ鏡の真清水に 洗はむ魂に汚れあるべき 水底に白梅薫り常磐樹の 松の翠は静にそよげり 神々の姿も水底にさかしまに うつりて清く面かがやけり 吾は今天と地とに頭辺を むかはせて立ちぬ清き汀に 天と地の中心になるかわが足は 上と下とにふまへ居るなり 天地の中心に立ちて国土造ると 禊の汀にかがやき居るも 天も地も一つになりし瑞御霊 この玉水にすみきらひますも 瑞御霊神の功を今ぞ知る 御空の月日も下りて浮べば この水は生命の清水真清水よ この稚国の生命の元よ 玉野森とこれの泉のなかりせば この国原をいかに生かさむや 二柱比女神の姿水底に すがしく映えて四柱となれり 二柱比女神力を一つにし これの世柱とならさせ給はれ 国土生みと御子生みの神業に仕へます 世柱比女の神ぞかしこき 水底に真鶴翼を搏ちながら 舞へる姿の勇ましきかな 伽陵頻迦の声も水底に聞ゆなり 泉は薫る白梅の花 主の神の降らせたまふも宜なれや この玉泉は瑞の御霊よ かくのごと清きみたまの岐美なれば 御子生みの神業やすくますらむ 永久に濁りを知らぬ玉泉の 深きは岐美の心ともがな』 圓屋比古の神の御歌。 『まるまると月の形の玉泉 写して清き瑞御霊かも 月と日を浮べて圓き泉なれば 玉の泉とたたへけるにや 吾は今この玉水に禊して 岐美の神業を助けむと思ふ そよと吹く風にも縮む水の面の すなほに吾は心を洗ふ 吹くとしもなき風ながら玉泉の 水面に小波うてる素直さ 素直なる泉の面の小波は 瑞の御霊の真心なるべし 大なる事にも動きささやけき 事にも動かす瑞御霊かも 月と日を浮べて清き玉泉も そよ吹く風に動かす素直さよ この清き直き御霊を照しまして 国土造りませ瑞の御霊よ 圓屋比古神は御供に仕へつつ 岐美が正しき心悟りぬ 生代比女に真言のらせどあやしかる 心もたさぬ岐美ぞかしこき 玉野比女の清き心は玉泉の 面に似まして深くすませり 玉の丘にかくも清しき神々の 国土造りせむと禊ますはや 天も地も一度に開くこの禊 神の心とかしこみ仕へむ 濁りなき玉の泉と村肝の 心洗ひて御前に仕へむ』 宇礼志穂の神の御歌。 『天界の鳴り出でし時ゆためしなき 今日の嬉しさ清しさに居るも 神生みの神業も漸くなりなりて 玉の泉に立たす嬉しさ 生代比女神の禊は真鶴の 国土を固めの基なるらむ 玉野比女の清き心は玉泉の 面に月日の浮べるがごとし 鳳凰は翼を天に搏ち搏ちて 今日の禊をことほぎにつつ 幾度の禊はすれど今日のごと すがしき泉にあはざりにけり 玉野森に数多の泉は湧きながら この清しさはあらざりにけり 八千尋の底まで清く澄みきらふ 玉の泉の珍しきかも』 美波志比古の神の御歌。 『玉野丘の麓に謹みて時待ちし 吾尊くもゆるされにけり みはし比古の神にしあれど玉野丘に のぼらむ御橋かけ得ざりけり わが魂をこれの泉に禊して みはしの業に清く仕へむ 真鶴の稚き国原今日よりは 甦るべし目路の限りを』 産玉の神の御歌。 『神々の禊の神業すがしくも 水底にうつらふ今日ぞ尊き 澄みきらふ玉の泉にわが魂を 洗ひて生れます御子を守らむ この水は生れます御子の産盥 産釜なれや澄みにすみきらふ 澄みきらふ玉の泉の産盥に つつしみ吾は御子育くまむ』 魂機張の神の御歌。 『魂機張命の清水真清水は 主の大神の御姿なるも この清水掬べば千歳万歳の 玉の生命は笑み栄ゆべし 神の代の開けし遠き昔より まだ見ぬ清き玉の泉よ 常磐樹の松に巣ぐひし真鶴は 御子の千歳をことほぎまつらむ』 美味素の神の御歌。 『甘き水柔かき水清き水 万食物美味素の水よ』 結比合の神の御歌。 『天と地と結び合せてすみきらふ この玉泉は神の姿よ この丘にかかるすがしき玉泉 光れるは神の御心なるらむ 天地を結び合せてすみきらふ 玉の泉にみそぎせむかも 真鶴の国の鏡と輝けり 玉の泉の深さ清しさ ためしなきこの玉水にわが魂を 洗ふもうれし岐美に仕へて』 真言厳の神の御歌。 『言霊の幸はふこれの天界に 吾はみそぎて真言を生かさむ 主の神の感応ありしか水の面の みるみる波は高まりにけり 真鶴の国土固めむと禊終へて いづの言霊われ宣らむかな 瑞御霊神を助けて吾は今 厳の言霊宣らむと思ふ』 かく歌ひ給ふや、真鶴山は少しく震動し始め、アオウエイの音響いづくともなく高らかに聞え来る。 (昭和八・一一・二旧九・一五於水明閣加藤明子謹録) |
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大本神諭 | 神諭一覧 | 明治25年旧1月(日不明) | 明治二十五年旧正月 三ぜん世界一同に開く梅の花、艮の金神の世に成りたぞよ。梅で開いて松で治める、神国の世になりたぞよ。日本は神道、神が構わな行けぬ国であるぞよ。外国は獣類の世、強いもの勝ちの、悪魔ばかりの国であるぞよ。日本も獣の世になりて居るぞよ。外国人にばかされて、尻の毛まで抜かれて居りても、未だ眼が覚めん暗がりの世になりて居るぞよ。是では、国は立ちては行かんから、神が表に現はれて、三千世界の立替へ立直しを致すぞよ。用意を成されよ。この世は全然、新つの世に替へて了ふぞよ。三千世界の大洗濯、大掃除を致して、天下太平に世を治めて、万古末代続く神国の世に致すぞよ。神の申した事は、一分一厘違はんぞよ。毛筋の横巾ほども間違いは無いぞよ。これが違ふたら、神は此の世に居らんぞよ。 『東京で仕組を駿河美濃尾張大和玉芝国々に、神の柱を配り岡山』天理、金光、黒住、妙霊、先走り、とどめに艮の金神が現はれて、世の立替を致すぞよ。世の立替のあるといふ事は、何の神柱にも判りて居れど、何うしたら立替が出来るといふ事は、判りて居らんぞよ。九分九厘までは知らしてあるが、モウ一厘の肝心の事は、判りて居らんぞよ。三千世界の事は、何一とつ判らん事の無い神であるから、淋しく成りたら、綾部の大本へ出て参りて、お話を聞かして頂けば、何も彼も世界一目に見える、神徳を授けるぞよ。 加美となれば、スミズミまでも気を付けるが加美の役。上ばかり好くても行けぬ、上下揃はねば世は治まらんぞよ。洋服では治まらん、上下揃へて人民を安心させて、末代潰れぬ神国の世に致すぞよ。用意を為されよ。脚下から鳥がたつぞよ。それが日本をねらふて居る国鳥であるぞよ。○○○[※「てんし」]までも自由に致して、神は残念なぞよ。日本の人民、盲目聾ばかり、神が見て居れば、井戸の端に、茶碗を置いた如く、危ふて見て居れんぞよ。外国人よ、今に艮の金神が、返報返しを致すぞよ。 根に葉の出るは虎耳草、上も下も花咲かねば、此世は治まらぬ。上ばかり好くても行けぬ世。下ばかり宜くても此世は治まらぬぞよ。 てん○○[※「しは」]綾部に仕組が致してあるぞよ。○○○[※「てんし」]、○○○[※「てんか」]を拵へて、元の昔に返すぞよ。洋服を着てウロツク様な事では、日本の国は治まらんぞよ。国会開きは、人民が何時までかかりても開けんぞよ。神が開かな、ひらけんぞよ。開いて見せう。東京は元の薄野に成るぞよ。永久は続かんぞよ。東の国は一晴れの後は暗がり。これに気の付く人民はないぞよ。神は急けるぞよ。此世の鬼を往生さして、地震雷火の雨降らして、○○○[※「たやさ」]ねば、世界は神国にならんから、昔の大本からの神の仕組が、成就致す時節が廻りて来たから、苦労はあれど、バタバタと埒を付けるぞよ。判りた守護神は、一人なりと早く大本へ出て参りて、神国の御用を致して下されよ。さる代わりに勤め上りたら、万古末代、名の残る事であるから、神から結構に御礼申すぞよ。世界中の事で在るから、何程智恵や学がありても、人民では判らん事であるぞよ。此の仕組判りては成らず、判らねば成らず判らぬので、改心が出来ず、世の立替の、末代に一度の仕組であるから、全然学や智恵を捨て了ふて、生れ赤児の心に立返らんと、見当が取れん、六ケ敷仕組であるぞよ。今迄の腹の中の、ごもくをさっぱり、投り出して了はんと、今度の実地まことは分りかけが致さん、大望な仕組であるぞよ。 氏神様の庭の白藤、梅と桜は、出口直の御礼の庭木に、植さしたので在るぞよ。白藤が栄えば、綾部宜くなりて末で都と致すぞよ。福知山、舞鶴は外囲ひ。十里四方は宮の内。綾部はまん中になりて、金輪王で世を治めるぞよ。綾部は結構な処、昔から神が隠して置いた、世の立替の、真誠の仕組の地場であるぞよ。 世界国々所々に、世の立替へを知らす神柱は、沢山現はれるぞよ。皆艮金神国常立尊の仕組で、世界へ知らして在るぞよ。大方行き渡りた時分に、綾部へ諸国の神、守護神を集めて、それぞれの御用を申付ける、尊い世の根の世の本の、竜門館の高天原であるから、何を致しても綾部の大本の許しの無き事は、九分九厘で転覆るぞよ。皆神の仕組であるから、我が我がと思ふて致して居るが、皆艮の金神が、化かして使ふて居るのであるぞよ。此の神は独り手柄をして喜ぶやうな神で無いぞよ。大本の仕組の判る守護神でありたら、互に手を曳き合ふて、世の本の立替立直しを致すから、是までの心を入替へて、大本へ来て肝心の事を聞いて、御用を勤めて下されよ。三千世界の神々様、守護神殿に気を付けますぞよ。谷々の小川の水も、大河へ末で一とつに為る仕組み。綾部世の本、誠の神の住いどころ。 からと日本の戦いがあるぞよ。此いくさは勝ち軍、神が蔭から仕組が致してあるぞよ。神が表に現はれて、日本へ手柄致さすぞよ。露国から始まりて、モウ一と戦があるぞよ。あとは世界の大たたかいで、是から段々判りて来るぞよ。日本は神国、世界を一つに丸めて、一つの王で治めるぞよ。そこへ成る迄には中々骨が折れるなれど、三千年余りての仕組であるから、日本の上に立ちて居れる守護人に、チット判りかけたら、神が力を付けるから、大丈夫であるぞよ。世界の大峠を越すのは、神の申す様に、素直に致して、何んな苦労も致す人民でないと、世界の物事は成就いたさんぞよ。神はくどう気を付けるぞよ。此事判ける御魂は、東から出て来るぞよ。此御方が御出になりたら、全然日の出の守護と成るから、世界中に神徳が光り輝く神世になるぞよ。大将を綾部の高天原の竜門館に、○○[※「かく」]さんならん事が出て来るぞよ。中々大事業であれども、昔からの生神の仕組であるから、別条は無いぞよ。 一旦たたかい治まりても、後の悶着は中々治まらんぞよ。神が表に現はれて、神と学との力競べを致すぞよ。学の世はモウ済みたぞよ。神には勝てんぞよ。 |
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大本神諭 | 神諭一覧 | (年月日不明) | 年月日不明 至仁至愛の神の御出ましに御成なさる時節が参りて大国常立尊が出口の手で書き知らして置いた世が迫りて来たから、世界中の人民が改心を致さねば、この世では最う一寸も先へは行けず、後へ戻ることも出来んぞよ。 この世の来ることを明治二十五年から今につづいて知してをるのにチットモ聞入れが無いが、国同士の人の殺し合いといふやうな斯んな約らん事はないぞよ。 一人の人民でも神からは大切であるのに屈強ざかりの人民が皆無くなりて老人や小児ばかり残して前後を構はずのやりかたであるぞよ。こんな大きな天地の罪を犯してまだ人の国まで取らうと致してをるのは向先きの見えぬ悪魔の所作であるから、何の国が仲裁に出ても天地の大神の御許しのなき事にはいつまでも埒は明かぬぞよ。出かけた船であるから、どちらの船も後へ引く事もならず、進む事も出来ず、まことの仲裁もはいらず、つまらんことが出来るから、外国の守護神に長らくの間気が付けてありたぞよ。 あまり我が強いとしくじるぞよと何時も筆先で気が往けてあるぞよ。 何国にも負けん強い国で在ると思ふて我よしのやりかたで頑張ると為損ひが出来るからと申してくどう知らしてありたが今の有様は其通りではないか。これからは神代の世になるから今までの様に余り頑張ると我れの思ふやうには此の先は一寸も行かんぞよ。我の強い守護神ほど思はくは立ちはせんぞよ。 これまでの心を全然入れ替て了ふて天と地との元を創造た太元の神へお詫を致さねば、我の一力で行りて居ると思ふのが大間違であるぞよ。何事も皆神からの事であるから取り違いをいたすなよと先に気を往けてあろうがな。 我一力で仕て居ると思ふて居ることを霊魂の性来因縁だけの事を天地の神からさせられて居るのであると云ふ事が判然とわかる時代が回りて来たので在るから、これ迄の悪の守護神のやりかたも九分九厘まではトントン拍子に思ふやうに来たなれどモウ九分九厘で悪のみたまのやりかたは輪止りとなるのが今の事であるぞよ。今までは悪のみたまの覇の利く時節でありたぞよ。是が暗りの世でありたぞよ。 この先は学や智恵や仏では国は建たんぞよ。一日も早く往生いたさんと世界の物事が遅ておるから筆先でいつも同じ事を気を付けるぞよ。向ふの国の有様は筆先どうりになりて来てをるから日本の国の守護神に早く判らんと立替が十二年遅くなりてをるから、何かの事の実地が始まると、まだまだ世界には烈しき事が来るぞよと申して在るが一度申したことは違ゐはせんぞよ。世の元から神は能く判りておるので在るから向ふの国に彼れだけの事があるのに日本の人民は我さへ善けら国はどうなりても構はぬとは全然獣ものであるぞよ。神の直々の善き御魂を貰ふてをるからは末には神にも祭られる結構なものであり乍ら人は倒ようが仆れようが我さえ善けりゃ好いでは万物の長とは白されんぞよ。 世界は今が罪の借銭済であるから罪悪のひどい処ほどきびしき戒があるぞよと申して知してあるがこの世界は後にも前にも無いみせしめが出て来るぞよ。 用意をなされよ世の立替は新つの洗い替であるから、みろくの神の世に立返りて万古末代善一筋の世になる尊ひ事の初りであるから皆の人民の思ひが違ふてあるぞよ。あやべの大本は今では粗末なとこで在るなれど此の広い世界に外に亦とない大神の世の元の尊とひとこであるから全部判けて見せたならば余り大きな仕組であるから思ひが大違いで驚愕いたすぞよ。天地のビックリ箱が明くぞよと申してあるが此のビックリ箱が明いて手の掌をかやしたら何んな人でも驚愕いたして改心せずには居れん事になるが其処まで行かん中にチット判らんと約らん事があるぞよ。 この大本に日々かぶり付て居るものにチト早く判らんと何処からも是からは判る守護神が出て来るから、耻かしうなるぞよ。何事も、ちっと判りて居んと面目ない事が出来るぞよ。慢神と誤解が一番こわいぞよ。 たれに由らず慢神すると我の心が大変ゑらい様に思へて、人から見て居ると鼻が高うて見にくいぞよ。 腹の中に誠さえありたなれば何んな事でも出来るなれど上から見てよくても心の中に誠が無いと実地の誠が成就いたさんぞよ。 |
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大本神諭 | 神諭一覧 | 明治32年旧7月1日 | 明治三十二年旧七月一日 龍門の宝を艮の金神が御預り申すぞよ。龍門には宝は何程でも貯えてあるぞよ。世の立替済みて立直しの段になりたら、間に合ふ宝であるぞよ。昔から此乱れた世が来るから、隠して在りたのじゃぞよ。神代が近よりたから、無限の金を堀出して、世界を助けるぞよ。御安心なされ。艮金神大国常立尊が、神功皇后殿と出て参る時節が近よりたぞよ。此事が天晴れ表に現はれると、世界一度に動くぞよ。モウ水も漏さぬ経綸が致して在るぞよ。明いた口が塞がらぬ、牛糞が天下を取るぞよ。珍らしい事が出来るぞよ。アンナものがコンナものに成りたと、世界の人民に改心致させる仕組であるから、チト大事業で在れども、上十いたさして、天地の大神へ御目に掛けるから、艮の金神はカラ天竺までも鼻が届くぞよ。この仕組は永らく世に落ちて居りての、艮の金神の経綸であるから神々にも御存知の無い事が在るから、人民は実地が出て来る迄にヨウ承知を致さんぞよ。是でも解て見てやるぞよ。今度の二度目の世の立替立直しは、因縁の在る身魂でないと御用には使はんぞよ。神の御役に立るのは水晶魂の選抜ばかり、神が綱をかけて御用を致さすのであるから、今迄世に出て居れた守護神は、思いが大分違ふぞよ。是も時節であるぞよ。時節には何も敵はんぞよ。上下に復るぞよ。 艮の金神大国常立命の三千年の経綸は、根本の世の立替立直しであるから、日本へ上りて居る四ツ足の、悪の霊魂を往生さして、万古末代善一つの世に致すのであるから、日の本に只の一輪咲いた誠の梅の花の仕組で、兄の花咲哉姫の霊魂の御加護で、彦火々出見の命とが、守護を遊ばす時節が参りたから、モウ大丈夫であるぞよ。梅で開いて松で治める、竹は外国の守護であるぞよ。此の経綸を間違はしたら、モウ此の先はどうしても、世は立ちては行かんから、神が執念深う気を付けて置くぞよ。明治二十八年から、三体の大神が地へ降りて御守護遊ばすと、世界は一度に夜が明けるから、三人の霊魂を神が使ふて、三人世の元と致して、珍らしき事を致さすぞよ。いろは四十八文字で、世を新つに致すぞよ。此中に居る肝心の人に、神の経綸が解りて来て、改心が出来たら世界に撤配りてある霊魂を、此大本へ引寄して、神の御用を致さすから、左程骨を折らいでも経綸は上十いたすから、何事も、神の申す様に為て居りて下されよ。今度の事は智慧や学では到底不可んから、神の申す事を素直に聞いて下さる身魂でないと、神界の御用には使はんぞよ。此の大本は外の教会のやうに、人を多勢寄せて、それで結構と申すやうな所でないから、人を引張りには行て下さるなよ。因縁ある身魂を神が引寄して、夫れ夫れに御用を申し付けるのであるぞよ。大本の経綸は病気直しで無いぞよ。神から頂いた結構な身魂を、外国の悪の霊魂に汚されて了ふて、肉体まで病魔の容器になりて、元の大神に大変な不孝を掛けて居る人民が、病神に憑れて居るのであるから、素の日本魂に捻ぢ直して、チットでも霊魂が光り出したら、病神は恐がりて迯げて了ふぞよ。此の大本は、医者や按摩の真似は為さんぞよ。取次ぎの中には、此の結構な三千世界の経綸を、取違い致して、病直しに無茶苦茶に骨を折りて、肝腎の神の教を忘れて居る取次が多数在るが、今迄は神は見て見ん振を致して来たが、モウ天から何彼の時節が参りて来たから、今迄の様な事はさしては置んから、各自に心得て下されよ。是程事を分けて申す、神の言葉を反古に致したら、止むを得ず気の毒でも、天の規則に照して戒めを致すぞよ。今の神の取次ぎは誠と云ふ事がチットも無いから、我の目的斗り致して、神を松魚節にいたして、却て神の名を汚して居る、天の罪人になりて居るぞよ。大本の取次する人民は其覚悟で居らんと、世界から出て来だすから、耻かしくなりて、大本へは早速に寄せて貰えん事が出来いたすから、永らく神が出口に気を付けさしたぞよ。モウ改心の間が無いぞよ。神はチットも困らねど、取次が可愛想なから。 艮金神が表になると、一番に芸妓娼妓を平らげるぞよ。バクチも打たさんぞよ。家の戸締りも為いでもよき様に致して、人民を穏かに致さして、喧嘩も戦争も無き結構な神世に致して、天地の神々様へ御目に掛て、末代続かす松の世といたすぞよ。 |
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大本神諭 | 神諭一覧 | 明治33年旧1月7日 | 明治三十三年旧正月七日 国武彦命の筆先であるぞよ。出口直にかかした此の筆先は毛筋も違いは無いぞよ。艮の金神は出口の体内を借りて何事も前つ前つに書すから皆が筆先どほりに行い致して下さらんと、我の我情で行りたならばビクリとも出来ぬ様に致すぞよ。是までとは世が変るから、今までの事を申して我で行ろうと思ふたとても神の筆先どほりに致さねば、斯の金明霊学会は行かんぞよ。今では零落た出口に命す事で在るから、我の強き者や、人民界で利巧なものは却って神は使ひ難いから、綱は沢山に掛けて在れども、是から各自の守護神人民の身魂を調査るのは金明霊学会へ引寄して、モウ一度審判を致さんと真実の霊性は判らんぞよ。世界の事であるから、天で調査をいたしたなれども、真実を致して是だけ苦労を致して居りても、人民の眼には判るまいがな。艮の金神国常立之尊と元え戻りて、何事も昔の神代へ返すぞよ。大本の霊学会は世界中を水晶に致して、天地え御眼に掛ける大本で在るから、余程心を立直して下さらんと、金光どのも結構なれども跡の布教師が段々と慢心いたして今の体裁。金光どのの取次よ是から神が改めを致すぞよ。そぐり立るぞよ。艮の金神の筆先を永らく写して居りて斯神の事が分らぬ様な事では間に逢はんぞよ。何事も斯大本へ出て来ねば、上の御魂と中の御魂と下の御魂と、三段に分けて在れども、金明霊学で無ければ誠の因縁は判らんぞよ。艮の金神は誠を貫きた守護神人民には何程でも神徳は渡すなれど、誠のなき者には日参いたしたとても景場信心では誠の御蔭はないぞよ。何事ありても各自の心からであるから、神と出口を恨めて下さるなよ。神は世界を良くいたし度いので永らくの合戦を致して居るぞよ。 金光殿は三十余ケ年の苦労を成されて地の恩といふ事を世界へ知らして下さりた誠の御方であるが、金光どのの跡の取次に誠さえ在りたら艮の金神も茲までの苦労は致さいでもモチト早うに物事が成就いたして、世界の人民の苦みが軽く成るので在るぞよ。誰一人も土壷には落しとも無いと思へども、絶命に成りた故に、止むを得ずの事変が在りたとても神を恨めて下さるなよ。人民は皆神の児で在るから、成るだけは助けたいと思ふから、神が永らくの苦労をいたして居るぞよ。是迄の布教師も何の教会も皆が神を松魚節に致して居るから、金明霊学で何の教会も審判いたして取次をソグリ立るぞよ。神の取次から改心を致さんと信者は改心出来んぞよ。此の曇りた世を水晶の世に致さねば成らんから中々に骨が折れるぞよ。神の心もチト推量いたして下されよ。次ぎには出口の気苦労を推量いたして与りて下されよ。此の神の取次は男子では爰までの事が勤まらんぞよ。出口の守と神界から命令を戴きて居りても、是ほど控へて居るぞよ。この出口直と上田どのの因縁もこれから半季先になりたらば明白に分けて見せるぞよ。モウ暫時の気苦労であるから堪忍て下されよ。此の因縁が判りて来たならば、斯の中が結構になるぞよ。帰神も世話掛も信者も改心さえ出来たなれば、皆好く致してやるのであれど、肝心の取次が一寸も解らんから、神も誠に困るぞよ。皆の人民を良くしてやりたいと思ふて神が憑りて申しても、身魂がくもりて了ふて居るから一つも疑ふて誠にいたさんゆへ、物事が喰ひ違ふて思わくが何時も外づれるのじゃぞよ。何事も神の申すやうに致せばキチリキチリと箱差したやうに行くものを、肝心の神を床下へ落してをいて吾が我で行ろうと致すから、斯世は何事もおもふ様には行かんのじゃぞよ。今までは思ふやうに行かんが浮世と申すが、神世になりて神の誠の道さへ歩めばドンナ事でも神が守護いたしてやるから、人民の思ふたよりも良く物事が行き出すぞよ。艮の金神の大本は金明霊学と申して、世界から皆の守護神人民が日増に集りて来るぞよ。茲へ出て来て身魂を研かねば何事も成就いたさんやうに成るぞよ。三千世界の大橋であるから、此の大橋を渡りて、神の教に従わねば何事も出来いたさんぞよ。此の出口直は明治二十五年から何事も一切の事が神から聞かしてあるぞよ。それで出口直が申した事は違はんから、何時になりても出てくるぞよ。此の大本へは諸国の落ぶれ者が皆寄りて来るから、世界の守護神が憑りて参るから、審神者が沢山要るぞよ。審神者が見別けて、皆それぞれに助けて与りて下されよ。日本と世界との戦いに皆お活動があるのぢゃぞよ。世に落ちて居れる神まだまだ出て来るぞよ。仏の方も従ふて来るぞよ。国武彦命が大国常立尊と表はれたならば、世に落ちてお出ます神様、仏事、人民、畜類、鳥類、餓鬼、昆虫までも助ける神であるから、何神が憑りて参りても、審判者が親切に取り扱ふて与りて下されよ。世に永らくの間落ちて居りた神斗りが寄りて来る世界の大本であるから、神の品位といふものが無いから、其つもりで審神者を致して、神界の御用をいたす如うに骨を折りて下されよ。審神者が悪いと劣等い守護神が現はれるから、サニハが一番大事であるぞよ。 綾部の大本には出口直の大気違いが表はれて、化かして御用が致してあるから、見当は取れんなれど、モウ一人の大化物を引寄して、神界の御用を致さすから、そこへ成る迄に今の取次世話掛り確りいたさんと、後へよりて、指をくわへて見て居らんならんやうに成るぞよ。此の大化物は東から出て参るぞよ。永い化物であるぞよ。この大化物が表はれて来んと何も判らんぞよ。此の化物があらはれたならば結構が解りて来て、金明霊学が一度に開けるぞよ。それ迄に今の取次役員は誠が浅いから、大方逃げて帰りて了ふぞよ。それでは早うから心仰いたした功能が無いから、クドウ気を附けて居るぞよ。金明霊学を元にいたして置いて神を表はさねば、余所から御蔭を取りに来て、肝心の元がアフンと致すやうな事が出来するぞよ。この綾部には太古から神界の経綸があるので在るから、大本は堂しても綾部に致さな成らんのじゃぞよ。それに就ては此の大本に据はろうと思ふと、今から出て歩行く様な事では先になりたら…………。今出口に言はすと出口が肉体で申すように、上田も思ふて居るが、出口の申すことをチット聞いておかんと、足立どののやうになると可愛想なから、神から出口に気を附けさすのであるぞよ。上田は大本に依然して居るのが神業ぢゃぞよ。何なりと斯神の布教師を致すのは、修行なしには御用は聞けんぞよ。仕放題に致して居りては斯神の御用は辛いぞよ。上田どのは今までは仕放題にさしてありたぞよ。是からはチト窮屈になるぞよ。人の頭を致すものは今の如うな為放題に致して居りては、児が役に立んぞよ。此の大本の内部が規まりたら左程の気苦労も致さねども、今が大事の所じゃぞよ。出て歩行くやうな少さい経綸で無いぞよ。チョカつく様な事では此の大本の御用は勤まらんぞよ。艮の金神の教が拡まるだけ、世界は騒ぎ出すぞよ。何も訳も知らずに方々の新聞が悪く申して、体主霊従の行り方で邪魔を致すやうに成るから、其覚悟で胴を据えて居らんと、一寸の事に心配いたすと云ふ様な人民で在りたら、肝心の御用がつとめ上らんから、此の大本は世間から悪るく言はれて後で良くなる神界の経綸であるぞよ。斯の曇りた世の中の体主霊従の行り方の人民から、善良の教であると言はれたら、夫れが悪であるから、艮の金神の誠が開ける程悪く申されるが、夫れが結構であるぞよ。艮の金神は永らくの間悪神崇神と申して、三千年押込められ、蔭から斯世を潰さぬ様に、苦労艱難、悔しき残念を堪り詰めて来て、今度は時節参りて、天の大神様の御命令で、元の御用をさして戴く世になりたから、因縁ある出口直の身魂を御苦労に預りて居れば、今の曇りた世の人民から又た悪く申されて、反対いたされて、大変に邪魔になるなれど、其んな事に微躯つく様な艮の金神出口直では無いぞよ。細工は流々仕上りた所を見ぬと、今の人民の濁りた身魂では見当は取れんぞよ。何程世界の人民が悪るく申しても、新聞が反対いたしても、夫れで仆れるやうなチョツイ仕組は致しては無いぞよ。此の内部の行状さへ神の申すやうに、誠を尽して居りたなれば、ドンナ悪魔が攻めて来ても大丈夫であるぞよ。何よりも元の行り方は一番大事であるぞよ。段々静かに大本が落付く程、世界は騒がしく成るぞよ。 |
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大本神諭 | 神諭一覧 | 明治35年旧3月8日 | 明治三十五年旧三月八日 世の立替は成る丈け早く致して、神も仏事も人民も、早く良く致して与りたいと思ふて、此の因縁ある出口の御魂に永らく御苦労に成りて居るなれど、世界が余り悪く成りて居るから、此の方の本望成就さすのは、ナカナカ大難業であるぞよ。人の知らん苦労と申すのが今度の神業の譬へであるぞよ。誰が頼みたのでも無いことを余り永らくの苦労を致したので、世界の人民が何功能もない、苦労を致すが可愛想で成らんから、化けて陰から此の世の審査を致して居りた、元の国常立尊が表へ現はれて、一番此の世の大望な御用を、天の御三体の大神様の御命令を頂きて、三千世界を守護う様に成りたから、此の方に従ふて来さへしたら、楽に暮せる世に成るぞよ。天の命令を戴きて大神様の守護権を発顕す此の艮の金神が、出口の神と現はれるのは、昔から世に出て御出でます神にも御存知無きこと、人民の知りた事で無いぞよ。それで今度の世の立替、何時までかかりても、人民では、永遠平和之極美は開けんと申して在ろうがな。人民に神の教が判りて来たら、早く神が開いて、良く致して与りたいなれど、此の暗の世の中に判りかけが致さんから、延ばし延ばし致したなれど、モウ絶命に世が迫りて来たなり、今迄世に出て居りて、世を持荒した神、判りたのは結構なれど、判らん神の眷属が無茶を致して大将面を致すのは、此の綾部の大本へ参らして名を与らねば、軽い眷属は用には使わんぞよ。何も知らずに強いもの勝と申すのが今此の事であるぞよ。今迄は天賊の世で在りたから、善き守護は出来て居らんぞよ。是れから何も彼も良く判る様に、書かして知らして与るが、身魂を水晶に磨いて来んと、腹に誤目の有る間は、出口の申す事が気に障るから、良く筆先を見ておかんと残念な事が出て来るから、先に皆気が附けて在るぞよ。 此の方が申す様に致して居れば、其の通りに成りて来るので在るから、左程の心配も致さずに楽に行けるなれど、背いて致したらキリキリ舞いを致すぞよ。何事も出口の手で書き知らすのは、取り戻しが出来んから毎度気を附けるのじゃぞよ。万劫末代名を残すと云ふ事は、余程の気苦労を致さねば、名の残ると云ふ事は無いぞよ。今度の御用をきいて呉れるのは、動かん魂の水晶の魂で無いと、今度の誠の御用は聞けんから、其の用を聞く身魂は、御苦労なれど、見届けた上では神が致すから、左程に骨は折れんなれど、磨く間は御苦労であるぞよ。何彼のことが近よりて来たから、一人なりと良き鏡に成りて下されよ。此の結構な日本の国に、日本魂の種が埋いてありたならこそ、骨は折るなれど、今度日本の国が尊といと申す事が、世界へ判りて来るぞよ。今は此の日本の国に、日本魂の性来が惨い事に曇りて了ふて居るので、神は是程に骨が折れるので在るぞよ。日本の人民が余り目前判物欲汲々焉なから、コウユウ見苦しき事に成りて了ふたのじゃ。天真地徳を潰しては成らんから、神が是れ丈け苦労致して気を附ける事が判らずに、反対に斗り感得るのは、余り酷い曇り様で在るぞよ。 |
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大本神諭 | 神諭一覧 | 明治36年旧3月5日 | 明治三十六年旧三月五日 艮金神大国常立尊変生男子の御魂が、出口の守と現れて、二度目の天の岩戸開きを致して、三千世界を水晶の神世に立直すに付いては、綾部の大本の龍宮館の高天原に、経と緯との錦の旗の経綸を致して、変生男子と変生女子に、神界の大望な御用さして在るぞよ。昔から現世界が初りてから未だ無き事をいたすのであるから、世界の人民が疑ふて、誠に致さんのは無理はないなれど、肝心の神の御用を致さす変生女神の身魂に、今に改心が出来んので、世界の事が段々おくれて来て、世界の人民が永らく苦しみをいたすから、一時も早く改心致して、我の心を捨て了ふて、神の申すやうの行いを致して下さらんと、神の思はくが成就いたさんから、出口直が日々苦しみて居るぞよ。変生女子の身魂の改心が一日遅れると、世界は一日の苦労が永うなるから、一番に女子の身魂から改心を致して下されよ。そうならんと大本の中は何時迄も治まらんから、世界に先だちて此の中の行り方を立替て下されよ。世界の曇りが変生女子に全部写るから、改心が出来難いなり、改心を致さぬから世界の立替が遅れるなり、大本へ立寄る身魂が解らん者ばかりで、神と出口が永らく苦労を致すぞよ。変生女子の身魂は何時も敵対役がさしてあるぞよ。三千世界の事が皆さして見せてあるぞよ。此筆先を持ちて神の教を拡めて下されよと、出口の口で申させば、斯様釘の折れ見たいな文字の書いた筆先は、耻かしいて世間の人に見せられんと申して取上げて呉ぬから、そんなら写して能い字にして拡めて下されと申せば、斯様な下手な文句は読めん、写すのも馬鹿らしいと申すなり、斯んな事を人に知らしたら、世界の人に馬鹿にしられると申して聞入れて呉れず、神界は段々と迫りて来て、一日も早く知らして改心を為して、一人なりと余計に助けてやらねば成らず、大本の中の肝心の人が斯んな事では約らんぞよ。天地の神々も人民も永らく苦しむから、早く改心をして下されと急き込めば、私は別に改心せんならん様な悪い事は致して居らん、神は失敬な事を仰せられる、神なら私の精神が判りさうなものじゃ、生も無いガラクタ神が憑りて、老婆を欺して居るのじゃと申して、力一杯反対を致すから、神も代りの有る事なら如何でも致すが、外に代りの無い変生女子の身魂であるから、自我を折りて神の申す様に為て見て下されよ。永らく経綸て有る事であるから、一厘の間違いもないから、安心致して御用を聞いて、筆先を調べて、それを世界の判る人民に一人なりと言い聞して下され、神は世界を助けたさの此苦労艱難、悔しい残念を堪りて茲まで来たのであるから、一寸も嘘は無いから、神の心もチット推量いたして、素直に聞いて其様の行為を為て下され、神急けるぞよ。 |