| 番号 (No.) |
書籍 | 巻 | 章 | 内容 |
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1 (65) |
ひふみ神示 | 2_下つ巻 | 第23帖 | 世が引繰り返って元の神世に返るといふことは、神々様には分って居れど、世界ところどころにその事知らし告げる神柱あるなれど、最後のことは九の神でないと分らんぞ。この方は天地をキレイに掃除して天の大神様にお目にかけねば済まぬ御役であるから、神の国の臣民は神の申す様にして、天地を掃除しててんし様に奉らなならん御役ぞ。江戸に神早う祀りて呉れよ、仕組通りにさすのであるから、臣民我を去りて呉れよ。この方祀るのは天のひつくの家ぞ、祀りて秋立ちたら、神いよいよ烈しく、臣民の性来によって、臣民の中に神と獣とハッキリ区別せねばならんことになりて来たぞ、神急けるぞ。七月の三十日、ひつ九のか三。 |
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2 (67) |
ひふみ神示 | 2_下つ巻 | 第25帖 | 今度の戦で何もかも埒ついて仕まふ様に思うてゐるが、それが大きな取違ひぞ、なかなかそんなチョロッコイことではないぞ、今度の戦で埒つく位なら、臣民でも致すぞ。今に戦も出来ない、動くことも引くことも、進むことも何うすることも出来んことになりて、臣民は神がこの世にないものといふ様になるぞ、それからが、いよいよ正念場ぞ、まことの神の民と獣とをハッキリするのはそれからぞ。戦出来る間はまだ神の申すこときかんぞ、戦出来ぬ様になりて、始めて分かるのぞ、神の申すこと、ちっとも違はんぞ、間違ひのことなら、こんなにくどうは申さんぞ。神は気もない時から知らしてあるから、いつ岩戸が開けるかと云ふことも、この神示よく読めば分かる様にしてあるのぞ、改心が第一ぞ。七月の三十日、ひつくのか三のふで。 |
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3 (84) |
ひふみ神示 | 3_富士の巻 | 第4帖 | 一二三の仕組が済みたら三四五の仕組ぞと申してありたが、世の本の仕組は三四五の仕組から五六七の仕組となるのぞ、五六七の仕組とは弥勒の仕組のことぞ、獣と臣民とハッキリ判りたら、それぞれの本性出すのぞ、今度は万劫末代のことぞ、気の毒出来るから洗濯大切と申してあるのぞ。今度お役きまりたらそのままいつまでも続くのざから、臣民よくこの神示よみておいて呉れよ。八月十三日、 |
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4 (89) |
ひふみ神示 | 3_富士の巻 | 第9帖 | 神界は七つに分かれてゐるぞ、天つ国三つ、地の国三つ、その間に一つ、天国が上中下の三段、地国も上中下の三段、中界の七つぞ、その一つ一つがまた七つに分かれてゐるのぞ、その一つがまた七つずつに分れてゐるぞ。今の世は地獄の二段目ぞ、まだ一段下あるぞ、一度はそこまで下がるのぞ、今一苦労あると、くどう申してあることは、そこまで落ちることぞ、地獄の三段目まで落ちたら、もう人の住めん所ざから、悪魔と神ばかりの世にばかりなるのぞ。この世は人間にまかしてゐるのざから、人間の心次第ぞ、しかし今の臣民のやうな腐った臣民ではないぞ、いつも神かかりてゐる臣民ぞ、神かかりと直ぐ分かる神かかりではなく、腹の底にシックリと神鎮まってゐる臣民ぞ、それが人間の誠の姿ぞ。いよいよ地獄の三段目に入るから、その覚悟でゐて呉れよ、地獄の三段目に入ることの表は一番の天国に通ずることぞ、神のまことの姿と悪の見られんさまと、ハッキリ出て来るのぞ、神と獣と分けると申してあるのはこのことぞ。何事も洗濯第一。八月の十八日、 |
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5 (99) |
ひふみ神示 | 3_富士の巻 | 第19帖 | 神世のひみつと知らしてあるが、いよいよとなりたら地震かみなりばかりでないぞ、臣民アフンとして、これは何とした事ぞと、口あいたまま何うすることも出来んことになるのぞ、四ツン這ひになりて着る物もなく、獣となりて、這ひ廻る人と、空飛ぶやうな人と、二つにハッキリ分かりて来るぞ、獣は獣の性来いよいよ出すのぞ、火と水の災難が何んなに恐ろしいか、今度は大なり小なり知らさなならんことになりたぞ。一時は天も地も一つにまぜまぜにするのざから、人一人も生きては居れんのざぞ、それが済んでから、身魂みがけた臣民ばかり、神が拾ひ上げて弥勒の世の臣民とするのぞ、どこへ逃げても逃げ所ないと申してあろがな、高い所から水流れるやうに時に従ひて居れよ、いざといふときには神が知らして一時は天界へ釣り上げる臣民もあるのざぞ。人間の戦や獣の喧嘩位では何も出来んぞ、くどう気附けておくぞ、何よりも改心が第一ぞ。八月の二十六日、 |
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6 (112) |
ひふみ神示 | 4_天つ巻 | 第5帖 | 牛の喰べ物たべると牛の様になるぞ、猿は猿、虎は虎となるのざぞ。臣民の喰べ物は定まってゐるのざぞ、いよいよとなりて何でも喰べねばならぬやうになりたら虎は虎となるぞ、獣と神とが分れると申してあろがな、縁ある臣民に知らせておけよ、日本中に知らせておけよ、世界の臣民に知らせてやれよ、獣の喰ひ物くふ時には、一度神に献げてからにせよ、神から頂けよ、さうすれば神の喰べ物となって、何たべても大じょうぶになるのぞ、何もかも神に献げてからと申してあることの道理よく分りたであろがな、神に献げきらぬと獣になるのぞ、神がするのではないぞ、自分がなるのぞと申してあることも、よく分ったであろがな、くどう申すぞ、八から九から十から百から千から万から何が出るか分らんから神に献げな生きて行けん様になるのざが、悪魔にみいられてゐる人間いよいよ気の毒出来るのざぞ。八月の三十一日、ひつくのか三。 |
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7 (173) |
ひふみ神示 | 5_地つ巻 | 第36帖 | 二二は晴れたり日本晴れ、てんし 様が 富士-二二-から 世界中にみいづされる 時近づいたぞ。富士は火の山、火の元の山で、汚してならん御山ざから臣民登れんやうになるぞ、神の臣民と獣と立て別けると申してあろうが、世の態見て早う改心して身魂洗濯致して神の御用つとめて呉れよ。大き声せんでも静かに一言いえば分る臣民、一いへば十知る臣民でないと、まことの御用はつとまらんぞ、今にだんだんにせまりて来ると、この方の神示あてにならんだまされてゐたと申す人も出て来るぞ、よくこの神示読んで神の仕組、心に入れて、息吹として言葉として世界きよめて呉れよ。分らんと申すのは神示読んでゐないしるしぞ、身魂芯から光り出したら人も神も同じことになるのぞ、それがまことの臣民と申してあらうがな、山から野から川から海から何が起っても神は知らんぞ、みな臣民の心からぞ、改心せよ、掃除せよ、洗濯せよ、雲霧はらひて呉れよ、み光出ぬ様にしてゐてそれでよいのか、気つかんと痛い目にあふのざぞ、誰れかれの別ないと申してあらうがな。いづれは天の日つくの神様御かかりになるぞ、おそし早しはあるぞ、この神様の御神示は烈しきぞ、早う身魂みがかねば御かかりおそいのざぞ、よくとことん掃除せねば御かかり六ヶしいぞ、役員も気つけて呉れよ、御役ご苦労ぞ、その代り御役すみたら二二晴れるぞ。十月十一日、一二か三。 |
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8 (174) |
ひふみ神示 | 6_日月の巻 | 第1帖 | 富士は晴れたり日本晴れ。 |
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9 (225) |
ひふみ神示 | 7_日の出の巻 | 第12帖 | 日に日に厳しくなりて来ると申してありた事始まってゐるのであるぞ、まだまだ激しくなって何うしたらよいか分らなくなり、あちらへうろうろ、こちらへうろうろ、頼る処も着るものも住む家も食ふ物も無くなる世に迫って来るのざぞ。それぞれにめぐりだけの事はせなならんのであるぞ、早い改心はその日から持ちきれない程の神徳与へて喜悦し喜悦しにしてやるぞ、寂しくなりたら訪ねて御座れと申してあろがな、洗濯次第で何んな神徳でもやるぞ、神は御蔭やりたくてうづうづしてゐるのざぞ、今の世の様見ても未だ会得らんか。神と獣とに分けると申してあろが、早う此の神示読み聞かせて一人でも多く救けて呉れよ。十二月十二日、ひつ九のか三。 |
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10 (294) |
ひふみ神示 | 11_松の巻 | 第3帖 | 神烈しく、人民静かにせよ。云ふた事必ず行はねばならんぞ。天から声あるぞ、地から声あるぞ。身魂磨けばよくわかるのざぞ。旧九月八日までにきれいに掃除しておけよ。残る心獣ぞ。神とならば、食ふ事も着る事も住む家も心配なくなるぞ。日本晴れとはその事ざぞ。六月十九日、あめのひつ九のかみ。 |
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11 (299) |
ひふみ神示 | 11_松の巻 | 第8帖 | 神の国には昔から神の民より住めんのであるぞ、幽界身魂は幽界行き。一寸の住むお土も神国にはないのざぞ。渡れん者が渡りて穢して仕舞ふてゐるぞ。日本の人民、大和魂何処にあるのざ、大和魂とは神と人と解け合った姿ぞ。戦いよいよ烈しくなると、日本の兵隊さんも、これは叶はんと云ふ事になり、神は此の世にいまさんと云ふ事になって来るぞ。それでどうにもこうにもならん事になるから、早よう神にすがれと申してゐるのぞ。誠ですがれば、その日からよくなるぞ、神力現れるぞ。今度の建替は、此の世初まってない事であるから、戦ばかりで建替出来んぞ。世界隅々まで掃除するのであるから、どの家もどの家も、身魂も身魂も隅々まで生き神が改めるのざから、辛い人民沢山出来るぞ。ミタマの神がいくら我張っても、人民に移っても、今度は何も出来はせんぞ。世の元からの生神でない事には出来ないのであるぞ。それで素直に言ふ事聞けとくどう申すのぞ、今度は神の道もさっぱりとつくりかへるのざぞ。臣民の道は固より、獣の道もつくりかへぞ。戦の手伝い位誰でも出来るが、今度の御用はなかなかにむつかしいぞ。赤いものが赤い中にゐると色無いと思ふのぞ、気付けて呉れよ。悪神の守護となれば自分で正しいと思ふ事、悪となるのざぞ。悪も改心すれば助けてやるぞ。海の御守護は竜宮のおとひめ様ぞ。海の兵隊さん竜宮のおとひめ殿まつり呉れよ。まつわり呉れよ。竜宮のおとひめ殿の御守護ないと、海の戦は、けりつかんぞ。朝日照る夕日たださす所に宝いけておいてあるぞ。宝愈々世に出るぞ。人民の改心第一ぞ。顔は今日でも変るぞ。民の改心なかなかぞ。六月二十三日、アメのひつ九のかみ。 |
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12 (324) |
ひふみ神示 | 12_夜明けの巻 | 第4帖 | この方カの神と現はれるぞ、サの神と現はれるぞ、タの神と現はれるぞ、ナの神と現はれるぞ、ハマの神と現はれるぞ。ヤラワの神と現われたら、人間眼明けて居れん事になるぞ、さあ今の内に神徳積んでおかんと八分通りは獣の人民となるのざから、二股膏薬ではキリキリ舞するぞ、キリキリ二股多いぞ。獣となれば、同胞食ふ事あるぞ。気付けておくぞ。七月二十九日、あめのひつくのかみ。 |
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13 (597) |
ひふみ神示 | 24_黄金の巻 | 第86帖 | 一分一厘、力一杯、違はんこと書かしてあるのぢゃ。色眼鏡で見るから、違ったことに見えるのぢゃ。神示、嘘ぢゃと申すやうになるのぞ。眼鏡外して、落ち付いてみて、ハラで見て下されよ。世の先々のことまではっきりと写るぞ。そなたの心の中にゐる獣、言向けねばならん。善きに導かねばならん。一生かかってもよいぞ。それが天国に行く鍵であるぞ。マコトの改心であるぞ。智慧と、愛が主の座に居らねばならん。物は愛から生れるぞ。ウムものがもとぢゃ。生まれるものはナルのぢゃ。ナルには智慧でなるのぢゃぞ。一月三日 |
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14 (1000) |
霊界物語 | 01_子_霊界探検/玉の争奪戦 | 03 現界の苦行 | 第三章現界の苦行〔三〕 高熊山の修行は一時間神界の修行を命せられると、現界は二時間の比例で修行をさせられた。しかし二時間の現界の修行より、一時間の神界の修行の方が数十倍も苦かつた。現界の修行といつては寒天に襦袢一枚となつて、前後一週間水一杯飲まず、一食もせず、岩の上に静坐して無言でをつたことである。その間には降雨もあり、寒風も吹ききたり、夜中になつても狐狸の声も聞かず、虫の音も無く、ときどき山も崩れむばかりの怪音や、なんとも言へぬ厭らしい身の毛の震慄する怪声が耳朶を打つ。寂しいとも、恐ろしいとも、なんとも形容のできぬ光景であつた。……たとへ狐でも、狸でも、虎狼でもかまはぬ、生ある動物がでてきて生きた声を聞かして欲しい。その姿なりと、生物であつたら、一眼見たいものだと、憧憬れるやうになつた。アヽ生物ぐらゐ人の力になるものはない……と思つてゐると、かたはらの小篠の中からガサガサと足音をさして、黒い影の動物が、自分の静坐する、一尺ほど前までやつてきた。夜眼には、確にそれと分りかねるが、非常に大きな熊のやうであつた。 この山の主は巨大な熊であるといふことを、常に古老から聞かされてをつた。そして夜中に人を見つけたが最後、その巨熊が八裂きにして、松の枝に懸けてゆくといふことを聞いてゐた。自分は今夜こそこの巨熊に引裂かれて死ぬのかも知れないと、その瞬間に心臓の血を躍らした。 ままよ何事も惟神に一任するに如かず……と、心を臍下丹田に落着けた。サアさうなると恐ろしいと思つた巨熊の姿が大変な力となり、その呻声が恋しく懐しくなつた。世界一切の生物に、仁慈の神の生魂が宿りたまふといふことが、適切に感じられたのである。 かかる猛獣でさへも寂しいときには力になるものを、況んや万物の霊長たる人においてをやだ。アゝ世界の人々を悪んだり、怒らしたり、侮つたり、苦しめたり、人を何とも思はず、日々を暮してきた自分は、何とした勿体ない罰当りであつたのか、たとへ仇敵悪人といへども、皆神様の霊が宿つてゐる。人は神である。否人ばかりではない、一切の動物も植物も、皆われわれのためには、必要な力であり、頼みの杖であり、神の断片である。 人はどうしても一人で世に立つことはできぬものだ。四恩といふことを忘れては人の道が立たぬ。人は持ちつ持たれつ相互に助け合うてゆくべきものである。人と名がつけば、たとへ其の心は鬼でも蛇でもかまはぬ。大切にしなくてはならぬ。それに人はすこしの感情や、利害の打算上から、たがひに憎み嫉み争ふとは、何たる矛盾であらう、不真面目であらう。人間は神様である。人間をおいて力になつてくれる神様がどこにあるであらうか。 神界には神様が第一の力であり、便りであるが、現界では人間こそ、吾等を助くる誠の生きたる尊い神様であると、かう心の底から考へてくると、人間が尊く有難くなつて、粗末に取扱ふことは、天地の神明にたいし奉り、恐れありといふことを強く悟了したのである。 これが自分の万有に対する、慈悲心の発芽であつて、有難き大神業に奉仕するの基礎的実習であつた。アゝ惟神霊幸倍坐世。 |
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15 (1003) |
霊界物語 | 01_子_霊界探検/玉の争奪戦 | 06 八衢の光景 | 第六章八衢の光景〔六〕 ここは黄泉の八衢といふ所で米の字形の辻である。その真中に一つの霊界の政庁があつて、牛頭馬頭の恐い番卒が、猛獣の皮衣を身につけたのもあり、丸裸に猛獣の皮の褌を締めこみ、突棒や、手槍や、鋸や、斧、鉄棒に、長い火箸などを携へた奴が沢山に出てくる。自分は芙蓉仙人の案内で、ズツト奥へ通ると、その中の小頭ともいふやうな鬼面の男が、長剣を杖に突きながら出迎へた。そして芙蓉仙人に向つて、 『御遠方の所はるばる御苦労でした。今日は何の御用にて御来幽になりましたか』 と恐い顔に似合はぬ慇懃な挨拶をしてゐる。自分は意外の感にうたれて、両者の応答を聞くのみであつた。芙蓉仙人は一礼を報いながら、 『大神の命により大切なる修業者を案内申して参りました。すなはちこの精霊でありますが、今回は現、神、幽の三界的使命を帯び、第一に幽界の視察を兼ねて修業にきたのです。この精霊は丹州高倉山に古来秘めおかれました、三つ葉躑躅の霊魂です。何とぞ大王にこの旨御伝達をねがひます』 と、言葉に力をこめての依頼であつた。小頭は仙人に軽く一礼して急ぎ奥に行つた。待つことやや少時、奥には何事の起りしかと思はるるばかりの物音が聞ゆる。芙蓉仙人に、 『あの物音は何でせうか』 と尋ねてみた。仙人はただちに、 『修業者の来幽につき準備せむがためである』 と答へられた。自分は怪しみて、 『修業者とは誰ですか』 と問ふ。仙人は答へていふ、 『汝のことだ。肉体ある精霊、幽界に来るときは、いつも庁内の模様を一時変更さるる定めである。今日は別けて、神界より前もつて沙汰なかりし故に、幽庁では、狼狽の体と見える』 と仰せられた。しばらくありて静かに隔ての戸を開いて、前の小頭は先導に立ち、数名の守卒らしきものと共に出できたり、軽く二人に目礼し前後に付添うて、奥へ奥へと導きゆく。上段の間には白髪異様の老神が、机を前におき端座したまふ。何となく威厳があり且つ優しみがある。そしてきはめて美しい面貌であつた。 芙蓉仙人は少しく腰を屈めながら、その右前側に坐して何事か奏上する様子である。判神は綺羅星のごとくに中段の間に列んでゐた。老神は自分を見て美はしき慈光をたたへ笑顔を作りながら、 『修業者殿、遠方大儀である。はやく是に』 と老神の左前側に自分を着座しめられた。老神と芙蓉仙人と自分とは、三角形の陣をとつた。自分は座につき老神に向つて低頭平身敬意を表した。老神もまた同じく敬意を表して頓首したまひ、 『吾は根の国底の国の監督を天神より命ぜられ、三千有余年当庁に主たり、大王たり。今や天運循環、いよいよわが任務は一年余にして終る。余は汝とともに霊界、現界において相提携して、以て宇宙の大神業に参加せむ。しかしながら吾はすでに永年幽界を主宰したれば今さら幽界を探究するの要なし。汝は今はじめての来幽なれば、現幽両界のため、実地について研究さるるの要あり。しからざれば今後において、三界を救ふべき大慈の神人たることを得ざるべし。是非々々根の国、底の国を探究の上帰顕あれよ。汝の産土の神を招き奉らむ』 とて、天の石笛の音もさはやかに吹きたてたまへば、忽然として白衣の神姿、雲に乗りて降りたまひ、三者の前に現はれ、叮重なる態度をもつて、何事か小声に大王に詔らせたまひ、つぎに幽庁列座の神にむかひ厚く礼を述べ、つぎに芙蓉仙人に対して、氏子を御世話であつたと感謝され、最後に自分にむかつて一巻の書を授けたまひ、頭上より神息を吹きこみたまふや、自分の腹部ことに臍下丹田は、にはかに暖か味を感じ、身魂の全部に無限無量の力を与へられたやうに覚えた。 |
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16 (1017) |
霊界物語 | 01_子_霊界探検/玉の争奪戦 | 20 日地月の発生 | 第二〇章日地月の発生〔二〇〕 盲目の神使に迎へられて、自分は地の高天原へたどりついたが、自分の眼の前には、何時のまにか、大地の主宰神にまします国常立大神と、稚姫君命が出御遊ばしたまうた。自分は仰せのまにまにこの両神より、貴重なる天眼鏡を賜はり、いよいよ神界を探険すべき大命を拝受したのである。 忽ち眼前の光景は見るみる変じて、すばらしい高い山が、雲表に聳えたつてゐる。その山には索線車のやうなものが架つてゐた。自分は登らうかと思つて、一歩麓の山路に足を踏みこむと、不思議や、五体は何者かに引上げらるるやうな心持に、直立したままスウと昇騰してゆく。 これこそ仏者のいはゆる須弥仙山で、宇宙の中心に無辺の高さをもつて屹立してゐる。それは決して、肉眼にて見うる種類の、現実的の山ではなくして、全く霊界の山であるから、自分とても霊で上つたので、決して現体で上つたのではない。 自分は須弥仙山の頂上に立つて、大神より賜はつた天眼鏡を取り出して、八方を眺めはじめた。すると茫々たる宇宙の渾沌たる中に、どこともなしに一つの球い凝塊ができるのが見える。 それは丁度毬のやうな形で、周辺には一杯に泥水が漂うてゐる。見るまにその球い凝塊は膨大して、宇宙全体に拡がるかと思はれた。やがて眼もとどかぬ拡がりに到達したが、球形の真中には、鮮かな金色をした一つの円柱が立つてゐた。 円柱はしばらくすると、自然に左旋運動をはじめる。周辺に漂ふ泥は、円柱の回転につれて渦巻を描いてゐた。その渦巻は次第に外周へ向けて、大きな輪が拡がつていつた。はじめは緩やかに直立して回転してゐた円柱は、その速度を加へきたるにつれ、次第に傾斜の度を増しながら、視角に触れぬやうな速さで、回転しはじめた。 すると、大きな円い球の中より、暗黒色の小塊体が振り放たるるやうにポツポツと飛びだして、宇宙全体に散乱する。観ればそれが無数の光のない黒い星辰と化つて、或ひは近く、或ひは遠く位置を占めて左旋するやうに見える。後方に太陽が輝きはじめるとともに、それらの諸星は皆一斉に輝きだした。 その金の円柱は、たちまち竜体と変化して、その球い大地の上を東西南北に馳せめぐりはじめた。さうしてその竜体の腹から、口から、また全身からも、大小無数の竜体が生れいでた。 金色の竜体と、それから生れいでた種々の色彩をもつた大小無数の竜体は、地上の各所を泳ぎはじめた。もつとも大きな竜体の泳ぐ波動で、泥の部分は次第に固くなりはじめ、水の部分は稀薄となり、しかして水蒸気は昇騰する。そのとき竜体が尾を振り廻すごとに、その泥に波の形ができる。もつとも大きな竜体の通つた所は大山脈が形造られ、中小種々の竜体の通つた所は、またそれ相応の山脈が形造られた。低き所には水が集り、かくして海もまた自然にできることになつた。この最も大いなる御竜体を、大国常立命と称へ奉ることを自分は知つた。 宇宙はその時、朧月夜の少し暗い加減のやうな状態であつたが、海原の真中と思はるる所に、忽然として銀色の柱が突出してきた。その高さは非常に高い。それが忽ち右旋りに回転をはじめた。その旋回につれて柱の各所から種々の種物が飛び散るやうに現はれて、山野河海一切のところに撒き散らされた。しかしまだその時は人類は勿論、草木、禽獣、虫魚の類は何物も発生してはゐなかつた。 たちまち銀の柱が横様に倒れたと見るまに、銀色の大きな竜体に変じてゐる。その竜体は海上を西から東へと、泳いで進みだした。この銀色の竜神が坤金神と申すのである。 また東からは国祖大国常立命が、金色の大きな竜体を現じて、固まりかけた地上を馳せてこられる。両つの御竜体は、雙方より顔を向き合はして、何ごとかを諜しあはされたやうな様子である。しばらくの後金色の竜体は左へ旋回しはじめ、銀色の竜体はまた右へ旋回し始められた。そのため地上は恐ろしい音響を発して震動し、大地はその震動によつて、非常な光輝を発射してきた。 このとき金色の竜体の口からは、大なる赤き色の玉が大音響と共に飛びだして、まもなく天へ騰つて太陽となつた。銀色の竜体はと見れば、口から霧のやうな清水を噴きだし、間もなく水は天地の間にわたした虹の橋のやうな形になつて、その上を白色の球体が騰つてゆく。このとき白色の球体は太陰となり、虹のやうな尾を垂れて、地上の水を吸ひあげる。地上の水は見るまに、次第にその容量を減じてくる。 金竜は天に向つて息吹を放つ。その形もまた虹の橋をかけたやうに見えてゐる。すると太陽はにはかに光を強くし、熱を地上に放射しはじめた。 水は漸く減いてきたが、山野は搗たての団子か餅のやうに柔かいものであつた。それも次第に固まつてくると、前に播かれた種は、そろそろ芽を出しはじめる。一番に山には松が生え、原野には竹が生え、また彼方こなたに梅が生えだした。 次いで杉、桧、槙などいふ木が、山や原野のところどころに生じた。つぎに一切の種物は芽を吹き、今までまるで土塊で作つた炮烙をふせたやうな山が、にはかに青々として、美しい景色を呈してくる。 地上が青々と樹木が生え始めるとともに、今まで濁つて赤褐色であつた天は、青く藍色に澄みわたつてきた。さうして濁りを帯びて黄ずんでゐた海原の水は、天の色を映すかのやうに青くなつてきた。 地上がかうして造られてしまふと、元祖の神様も、もう御竜体をお有ちになる必要がなくなられたわけである。それで金の竜体から発生せられた、大きな剣膚の厳めしい角の多い一種の竜神は、人体化して、荘厳尊貴にして立派な人間の姿に変化せられた。これはまだ本当の現体の人間姿ではなくして、霊体の人間姿であつた。 このとき、太陽の世界にては、伊邪那岐命がまた霊体の人体姿と現ぜられて、その神をさし招かれる。そこで荘厳尊貴なる、かの立派な大神は、天に上つて撞の大神とおなり遊ばし、天上の主宰神となりたまうた。 白色の竜体から発生された一番力ある竜神は、また人格化して男神と現はれたまうた。この神は非常に容貌美はしく、色白くして大英雄の素質を備へてをられた。その黒い頭髪は、地上に引くほど長く垂れ、髯は腹まで伸びてゐる。この男神を素盞嗚大神と申し上げる。 自分はその男神の神々しい容姿に打たれて眺めてゐると、その御身体から真白の光が現はれて、天に冲して月界へお上りになつてしまつた。これを月界の主宰神で月夜見尊と申し上げるのである。そこで大国常立命は、太陽、太陰の主宰神が決つたので、御自身は地上の神界を御主宰したまふことになり、須佐之男大神は、地上物質界の主宰となり給うたのである。 (大正一〇・一〇・二〇旧九・二〇谷口正治録) |
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霊界物語 | 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 | 15 山幸 | 第一五章山幸〔六五〕 言霊別命の弟に元照彦という放縦な神司があつた。この神司は、言霊別命が神業に従事して神界を思ふのあまり、親兄弟を顧みざるのを憤慨してゐた。 ふるさとの空打ちながめ思ふかな国にのこせし母はいかにと 元照彦は山幸を好み、天の香具山の鉄をもつて諸々の武器を作り、あまたの征矢を製して大台ケ原に立てこもり、大峡小峡にすむ熊、鹿、猪、兎などを打ちとり無上の快楽としてゐた。さうして伊吹彦といふ供神は常に元照彦に陪従し、山幸を助けてゐた。 ここに伊吹山に立てこもり時節を窺ひゐたる武熊別の部下、八十熊、足熊、熊江姫、その他多くの魔神も大台ケ原山にわけ入り、花々しく山幸を試むれども、終日奔走してただの一頭の獲物もなかつた。そのわけは元照彦が熟練せる経験により大小の鳥獣を一も残らず狩とつた後ばかりを進んだからである。八十熊以下は方向を転じて山を越え、再び山幸を試みた。そこには伊吹彦がゐて征矢をもつて盛んに山幸をしてゐた。八十熊以下の者は伊吹彦に種々の宝を与へて、しきりにその歓心を買ひ、つひに伊吹彦をして元照彦に背き、かつ征矢をもつて元照彦を殺さしめむと計つた。伊吹彦は八十熊らの欲に誘はれ、つひに八十熊の味方となつてしまつた。 元照彦は伊吹彦の変心せしことを知らず、常のごとく相伴なつて日の出ケ山に登り、群がる猪にむかつて征矢を射らしめた。伊吹彦はその猪にむかつて矢を射るがごとく装ひ、たちまち体を翻して元照彦目がけてしきりに射かけた。元照彦は驚いて八尋まはりの大杉の蔭にかくれ、征矢を防がむとした。この時、八十熊らの魔軍八方より現はれ来りて、さかんに征矢を射かけた。元照彦は進退これ谷まり、身に十数創を負ひその場に仆れた。 言霊別命は竜宮城にあり、弟の危難を知りて直ちに天の鳥船に乗り、大台ケ原に駆り進んだ。ただちに伊吹彦、八十熊以下の魔軍にむかひ種々の領巾を打ち振れば、魔軍は黒雲をおこし、武熊別の隠れたる伊吹山さして雲を霞と逃げ去つた。 元照彦は重傷を負ひ、つひに病の床に臥し、生命危篤の状態におちいつた。このとき母神の国世姫は、 『汝平素の放縦なる心を立替へ、深く神を信じ、兄弟と共に神業に参加せば、大神の恵によりて汝が病はたちどころに癒えむ』 と懇に涙とともに諭された。 ここにはじめて元照彦は敬神の至誠をおこし、数月の間、苦痛を忍びつつ天地の大神を祈り、つひに病床を離れ全く悔改めて、山幸の快楽を捨てて苦しき神業に参加し、言霊別命の蔭身に添ひて、神教を天の下四方の国々に宣伝し偉功をあらはした。 邪神伊吹彦は八十熊と共に一時は伊吹山に逃れ去り、やつと息継ぐ暇もなく、どこともなく飛びくる白羽の征矢に当り、山上より転落して終焉を告げ、伊吹山の邪鬼となつた。 (大正一〇・一〇・三〇旧九・三〇桜井重雄録) |
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霊界物語 | 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 | 22 言霊別命の奇策 | 第二二章言霊別命の奇策〔七二〕 言霊別命は何ゆゑかこの遭難を後にみて、一目散に左の大道を進み、美濃彦の住める紅館にいたり、元照彦とともに種々の計画をたて、万一に備へたのである。小島別以下の神司は竜世姫の急病に心をとられ、言霊別命の影を失ひしに心付かず、種々手をつくして看護した。されど容易に竜世姫の病は癒えずして、多くの時を費やした。 このとき小島別は狼狽のあまり、傍の深き谷間に転落して腰を打ち、谷底にて悲鳴を上げてゐた。一方竜世姫には松代姫看護の任にあたり、竹島彦は谷間に下りて、小島別の看護に尽してゐた。竜世姫はますます苦悶を訴へた。 竹島彦は小島別をやうやく背に負ひて谷を這ひのぼり、ここにふたりの病神に手を曳かれ栃麺棒をふつてゐた。そのとき竜世姫は掌を翻したごとくに病気全快し、大声を出して笑ひだした。 小島別は顔をしかめ、苦痛を訴へてゐたが、種々看護の末やうやく杖を力に歩行しうるやうになつた。ここにはじめて言霊別命の影を失ひしに驚き、竹島彦は大声を発して、「オーイ、オーイ」と呼ばはつた。その声は木精にひびき、山嶽も崩るるばかりであつた。されど言霊別命の声は梨の礫の何の音沙汰もなかつた。 小島別はよろめきつつ杖を力になめくじりの江戸行のごとく、遅々としてはかどらぬのである。にはかに従者に命じ、輿にかつがして行くことになつたが、やがて二股の岐路にさしかかつた。このとき、一行は、言霊別命はいづれの路をとりしやと、しばし思案にくれてゐた。 竜世姫は右の道をとれと勧めてやまなかつた。されど一行は途方にくれていた。 衆議の結果、竹島彦、松代姫は右の道をとつたが、小島別、竜世姫は左道をとつて美濃彦の館の前を何気なく通過した。 言霊別命は小島別の輿をやり過ごして、悠々として協議をとげ、元照彦、美濃彦に策を授け、やがて後より「オーイ、オーイ」と大声を上げて、小島別の輿を呼びとめた。 小島別は輿より這ひいで、 『命はいづれにありしぞ。竜世姫の重病を見捨て、吾らを捨てて自由行動をとられしは、実に不深切にして無道のきはみならずや』 と、腰を押さへながら詰問した。 言霊別命は打ち笑つて、 『竜世姫は平素慢心強し、重病に罹るごときは当然なり。望むらくは途上に倒れ死し、鳥獣の餌食となるべきものなり。しかるに憎まれ児世に羽張るとの譬のとほり、まだ頑強に生ながらへゐたるは不思議なり』 と口をきはめて罵つた。 小島別は言霊別命、竜世姫の心中を知らず、躍起となつて憤り、 『極悪無道の言霊別命、吾いま天に代つて誅伐せむ。泣面かはくな[※「かはく」(かわく)は「する」を罵って言う言葉。広辞苑によると『(「する」をののしっていう語) …しやがる。浄、丹波与作待夜の小室節「盗み―・くは何奴ぢやい」』。]』 と起き上つた。その一刹那に小島別の腰の痛みはたちまち癒え、言霊別命は路上にたふれて、絶息してしまうたのである。小島別は、 『神明恐るべし。罰は覿面なり』 と手を拍つて天に感謝した。 竜世姫はただちに言霊別命を看護した。このとき小島別怒つて曰く、 『彼は命の野倒れ死を希ひし悪逆無道の神なり。何の義務あつて、仇敵を介抱したまふや』 と詰つた。竜世姫は容をあらため、威儀を正し、 『至仁至愛の神慮は汝らのたうてい窺知すべきところに非ず。汝の言こそ実に悪魔の囁きなり。すみやかに悔改め、言霊別命に陳謝し奉れ。しからざれば妾はこれより竜宮城にたち帰り、汝が不信の罪を稚桜姫命に奏上し奉らむ』 と厳しく戒めた。 小島別は大地に平伏し、平蜘蛛のごとくなつて自分の過去を陳謝した。路上に倒れし言霊別命は決して病を発して倒れたのではなかつた。小島別をして自分を輿にのせて舁つぎ行かしめむための奇策であつた。 小島別は竜世姫の厳命により、あまたの輿舁の神あるにかかはらず自ら輿舁となり、不精々々に、あたかも屠所に曳かるる羊のごとく、足並もあまり面白からず進むのであつた。 行くことややしばしにして左右両岐路の出会路にさしかかつた。右の道をたどりし竹島彦、松代姫もここに来り、たがひに無事の会合を祝した。 このとき竜世姫は竹島彦にむかひ、 『吾が厳命なり。汝は後棒となり、この輿を舁ぎて命を常世姫のもとに送り奉れ』 と命令した。竹島彦は心中おだやかならず。されど竜世姫の命を拒むに由なく、つひに輿を舁ぐこととなつた。輿を舁ぎしふたりはとみれば、実に三宝荒神が、竈の上の不動を燃え杭でくらはしたやうな不足相な顔付であつた。 (大正一〇・一一・一旧一〇・二谷口正治録) |
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霊界物語 | 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 | 49 猫の眼の玉 | 第四九章猫の眼の玉〔九九〕 常世姫の雄猛びにより、世界の各地はほとんど戦乱の巷と化し、天に妖雲みなぎり、地に濁流あふれ、猛獣悪蛇の咆吼する声、呑噬の争ひはますます烈しくなつてきた。 盤古大神もその部下の八王大神も、さらに策の施すところがなかつた。大自在天はこの惨状を坐視するに忍びず、いかにもしてこれを平定せむと苦心した。八王大神は妻常世姫の暴動を制する能はず、最初は一小部分の小火災くらゐにみなしてゐたが、火は意外に猛烈となり、全世界を焼尽せんず勢ひとなつた。八王大神は案に相違し、その処置に困りはてたのである。ここにいよいよ前非を悔い、善道をもつて世界を鎮定するよりほかに策なきを自覚した。 八王大神は常世城にあつて東北の天を仰ぎ見る折しも、一道の光明天に冲するを見た。熟視すればその光明の中より、平和の女神の姿幾柱となく現はれ、琴や笛などの音楽を奏し、日の丸の扇を手にもてる女神の舞ひ遊ぶ光景を眺めて、おほいに怪しみつつ盤古大神に奏上しおき、ただちに風雲に乗じ光明をたづねて進んだ。この光明は地の高天原より現はれてゐた。 八王大神はあまたの従臣とともに地の高天原に降りついた。そして自ら高尾別と名乗り竜宮城の門戸をたたき、主神に謁を請ふたのである。若豊彦は来意をたづね、喜んでこれを言霊別命に通じた。言霊別命はただちに面会を許した。高尾別は慇懃に礼をのべ、かつ世界の平和を来さむための神策を開示せられむことを乞ふのであつた。言霊別命は一見して、こは正しき神に非ざるべしと直ちに審神の室へともなつた。たちまち正体露はれ大蛇の姿となり、 『われは実は八王大神なり』 と自白するのやむなきに立ち至つた。されど言霊別命は、「いかなる悪神にもせよ悔い改めなば善神なり。また天地の律法に照し敵を愛するは大神の御心なり」として、これを許し、厚く導き諭し、 『一時も早く天地の律法を守り、正道に立ちかへりなば天下は治平ならむ』 と懇々として説示されたのである。八王大神の高尾別は本心より改悛の情を表はし、喜んで教へをこふこととなつた。この神司の教導には、神国別命これにあたることとなつた。高尾別に従ひ来れる神司も、共に正道に帰順し、いよいよ国治立命の神律を奉じ、神業に奉仕せむことを誓つた。神国別命はおほいに喜び、言霊別命を通じてこれを国治立命に進言したのである。大神はまづ、 『国直姫命の裁断をえよ』 と厳命された。高尾別は恐るおそる国直姫命の御前に出で、所信を逐一奏上した。 国直姫命は、 『いかに悪神なりとて改心せば元の善神なり。高尾別をして竜宮城を総轄せしめ、この神司の力によりて、常世姫を心底より改心せしむるに如かず』 とし、言霊別命の上位につかしめ、神務に奉仕させられたのである。 ここに高尾別は意気揚々として神国別命、神国彦、照彦とともに常世城に帰還し、まづ常世姫を悔い改めしめむとし、天の磐船に乗りて常世の国へ帰つていつた。帰りみれば常世の国は目もあてられぬ常夜の暗であつて、万の災ことごとく起り、山河草木色を失ひ、実に惨憺たる光景であつた。 高尾別は神国別命以下の神司を常世城に休息せしめ、自らは立つてただちに盤古大神の館に参向し、天下治平の神策は国治立命の律法によるの外なきを奏言した。盤古大神は何の答へもなく、ただ微笑をうかべて高尾別の進言を聞くのみであつた。高尾別は盤古大神が何の答辞も与へざるをもどかしがり、天下擾乱の場合かかる主将を戴き、事をなさむとするは吾のあやまちなり。むしろ国治立命を奉じて事をなさむと心を決し、大自在天の従神松山別、小鹿彦に決心をのべ、盤古大神は平和の世の主将にして、天下の混乱を案配するの器に非ずと説きつけた。 松山別、小鹿彦は大いに怒り、 『汝は今まで盤古大神を奉戴して諸神司を率ゐ、天下の経綸にたいして赤心をこめゐたりしに、国治立命の神示を聞き、たちまち猫眼のごとく心を変ずるはその意をえず。善悪正邪にかかはらず何ゆゑ初志を貫徹せざるや。思ふに国治立命は邪神ならめ。すみやかに汝は神国別命以下の神司を捕虜にし、これを質となして盤古大神に帰順すべく厳しき交渉を開始せよ』 と大自在天を笠に、虎の威をかる狐の厳命であつた。 折しも常世姫その場に現はれ、口をきはめて高尾別の不明をなじり、かつ松山別の応援を求めた。松山別は常世姫の言を一も二もなく採納した。ここに高尾別の八王大神は進退これきはまり、折角の決心を翻し、ふたたび盤古大神を奉戴して、国治立命に反抗の態度をとることとなつた。 (大正一〇・一一・九旧一〇・一〇桜井重雄録) |
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霊界物語 | 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 | 50 鋼鉄の鉾 | 第五〇章鋼鉄の鉾〔一〇〇〕 神国別命、神国彦以下の神司は、八王大神の変心せしことは夢にも知らず、数多の神司に囲繞されながら、諄々として国治立命の教示を説き示しつつあつた。 折しもにはかに城内は騒々しく数多の足音は近く迫つてきた。室内の戸を開くやいなや、八王大神は以前にかはる暴悪なる顔色をなし、大刀の柄に手をかけ、神国別命の前に詰めより、 『汝はすみやかに盤古大神に帰順せよ。混乱紛糾をきはめたる現下の世界の情勢は、汝らの主神国治立命の唱ふるごとき、迂遠きはまる教をもつて、いかでか天下を至治太平ならしむることを得む。汝らの唱ふる経綸策は、天下泰平に治まれる世にたいしての遊戯的神策にして、言ふべくして行ふべからざる迂愚の策なり。汝すみやかにその非を悟り常世城の従臣となるか、ただしは兜をぬいで降伏するか、二つとも否認するにおいては、気の毒ながら汝らを門出の血祭り、一刀両断の処置を執らむ』 と打つて変つた狂態を演ずるのである。 神国別命は、じゆんじゆんとしてその非を説き、天下は圧力武力をもつて到底治むべからざるの神理を、言葉をつくして弁明した。されど貪、瞋、痴の三毒をふくめる悪神の主将八王大神には、あたかも馬耳東風のごとく、もはや毫末の効果もなかつた。 八王大神は立ちあがり、 『いらざる繰言耳を汚すも面倒なり』 と真向上段に斬つてかかつた。神国別命以下は身に寸鉄を帯びず、ただ一心に神明を祈るよりほかに道はなかつた。神国別命は天に向つて合掌し、神言を奏上せむとするや、八王大神は一刀を頭上高く振りかざしたるままどつと仰向に倒れた。この光景を目撃したる常世城の神司は、右往左往に周章ふためき、急ぎ常世姫にこの実状を報告した。常世姫は直ちに鉄棒の火に焼けて白熱化したるを提げ来り、あはや神国別命は、焼鉄に打たれてすでに焼き滅ぼされむとするをりしも、東北の空より俄然暴風吹ききたり、常世姫は暴風にあふられて、たちまち地上に転倒した。城内の神司もまた一度にどつと吹き倒された。神国別命は神国彦以下の神司とともに、からうじてその場を逃れ、やうやくにして竜宮城に帰還し、高尾別の変心し、かつ何時魔軍を引率してここに攻め来るやもはかられざることを、国直姫命に奏上した。 ここに地の高天原においては、国直姫命、大八洲彦命、言霊別命以下の神将竜宮城に会し、八王大神の反逆にたいし防戦の議をこらした。このとき国直姫命は、 『いかなる暴悪無道の強敵たりとも、神明の力を信じ、天地の律法を遵守し、悪にたいするに至善をもつてせよ』 との命令を発せられた。神司は神国別命の詳細なる報告に接し、切歯扼腕悲憤の涙を、顋辺にただよはしながら、天地の律法に違反すべからず、あくまで柔和と懇切と信義をもつてこれに対抗せむと、協議一決した。 時しも百雷の一時に轟くごとき音響とともに黒雲に乗じ、西南の天をかすめて入来る数多の鳥船がある。彼らは黄金橋のかたはらに落下し、獅子奮迅の勢をもつてヨルダン河を押しわたり、竜宮城に押しよせ門扉を打破り、暴虎馮河の勢をもつて城内に侵入し、国治立命に面会せむと、大音声に呼ばはつた。 鬼雲彦、清熊を先頭に八王大神その他の魔神が、雲霞のごとく押し寄せているため、城内はにはかに騒ぎたつた。大八洲彦命は周章ふためく神司を制しとどめ、みづから出でて八王大神に面会し、来意を厳かに訊問した。 八王大神は傍若無神の態度にて、諸神将を眼下に睨めつけ、 『汝らのごときやくざ神にいふべき言葉なし。すみやかに国治立命に見参せむ』 と仁王立になつて怒号した。国治立命はこの声を聞くより、たちまち悠然としてその場に出現したまうた。八王大神は声をふるはしながら、 『われは盤古大神大自在天の大命を伝へむために出場せり。汝はみづから国治立命と称すれども、まつたくの偽神なり。国治立命とは国土を永遠に立て守るべき神明なり。かかる天下混乱の際、下らぬ迂遠なる教をもつて、難きを避け安きにつかむとするは心得がたし。汝が唱ふる天地の律法とはそもそも何ぞ。陳腐固陋の世迷言にして唾棄すべき教理なり。すみやかにこの律法を破壊し、汝はこれより根の国底の国に、一時も早く退却せよ。真の国治立命は、大自在天の権威ある神策によつて、初めて顕現せむ。返答いかに』 と詰めよつた。 八王大神の従臣、鬼雲彦は尻馬に乗り、 『汝国治立命と称する偽神よ。八王大神の教示を遵奉せずして、万一違背に及ばば、われは竜宮城の諸竜神を寸断し、地の高天原の神司を、一柱も残らず、刀の錆となし、屍の山を築き、竜宮海を血の海と化せしめむ。返答いかに』 と詰めよつた。国治立命以下の諸神司は、天地の律法をみづから破るに忍びず、いかなる悪言暴語にも怒りをしづめ、博く万物を愛するの律法を遵守し、柔和の態度をもつてこれに向はせ給ふた。 されど八王大神は何の容赦もなく、つひに一刀を抜きはなち、今や狼藉におよばむとするとき、衆神の中より突然現はれたる花森彦は、 『われはただ今戒律を破らむ』 と言ひもはてず、一刀を抜きはなち鬼雲彦の背部に斬りつけた。なほも進んで八王大神に斬つてかかるを、大足彦は、「しばらく待て」とこれを制止した。 大足彦の一言に花森彦も刀ををさめ、元の座に復し、唇をふるはせ、心臓をはげしく鼓動させ、顔色蒼白となつてひかへてゐた。八王大神はこの勢にのまれて、やや躊躇の色が見えた。鬼雲彦は背部の負傷にその場に打倒れ、哀みを乞ふた。 ここに大足彦は、国の真澄の鏡を取出し、八王大神以下の魔軍を射照した。たちまち正体をあらはし、悪竜、悪鬼、悪狐の姿と変じ、自在の通力をうしなひ、身動きも自由ならず一斉に救ひを乞ふた。 この時ふたたび国治立命あらはれ給ひ、 『地の高天原は天地の律法を遵守する、正しき神の神集ひに集ふ聖地である。また広く万物を愛し、禽獣虫魚にいたるまで殺さざるをもつて主旨とす。ゆゑに今回にかぎり汝らの罪を赦し、生命を救ひ、常世城に帰城せしむべし。汝らは一時も早く帰城し、常世姫をはじめ他の神司にわが旨を伝へよ。暴に報いるに暴をもつてせば、何時の日か世界は治平ならむ。憎み憎まれ、恨み恨まれ、殺し殺され、誹り誹られ、世は永遠に暗黒の域を脱せざるべし。常世姫にして、わが教を拒まば是非なし。常世城をすみやかに明け渡し、根の国、底の国に、汝ら先づ退却せよ。しからざればやむを得ず、律法を破り、決死の神司をして、常世姫を屠らしめむ』 との厳格なる神示であつた。 ここに八王大神は、その意を諒し、厚く感謝して部下一同とともに、神国彦に送られ常世城に立帰り、国治立命の神示を常世姫に伝へた。常世姫は聞くより打笑ひ、鼻先に扱ひつつあくまで国治立命に対抗し、大八洲彦命以下の神司を滅ぼし、ふたたび竜宮城を占領せむと力みかへり、かつ八王大神の不甲斐なきを慨歎した。 八王大神は常世姫の大胆なる魔言に動かされ、ふたたび反抗の旗を挙げむとし、魔神を集めて決議をこらす折しも、天上より鋼鉄の鉾、棟をついて降り、八王大神の側に侍する鬼雲彦の頭上に落ち、即死をとげたのである。これは自在天より神国彦に向かつて投げたのが、あやまつて鬼雲彦に中つたのである。 八王大神は驚いて奥殿に逃げ入り、息をこらして鼠のごとく、一隅に身慄ひしつつ蹲踞んでゐた。 このとき、一天にはかに晴れ、天津日の光り輝き渡るよと見えしとたん、身は高熊山の巌窟に静坐してゐたのである。このとき巌上に坐せるわが足は、にはかに苦痛をうつたへ、寒気は身を切るばかりであつた。 (大正一〇・一一・九旧一〇・一〇外山豊二録) |