| 番号 (No.) |
書籍 | 巻 | 章 | 内容 |
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1 (266) |
ひふみ神示 | 9_キの巻 | 第9帖 | 悪いこと待つは悪魔ぞ、何時建替、大峠が来るかと待つ心は悪魔に使はれてゐるのざぞ。この神示世界中に知らすのざ、今迄は大目に見てゐたが、もう待たれんから見直し聞き直しないぞ、神の規則通りにビシビシと出て来るぞ、世界一平に泥の海であったのを、つくりかためたのは国 常立 尊であるぞ、親様を泥の海にお住まひ申さすはもったいないぞ、それで天におのぼりなされたのぞ。岩の神、荒の神、雨の神、風の神、地震の神殿、この神々様、御手伝ひでこの世のかため致したのであるぞ、元からの竜体持たれた荒神様でないと今度の御用は出来んのざぞ、世界つくり固めてから臣民つくりたのであるぞ、何も知らずに上に登りて、神を見おろしてゐる様で、何でこの世が治まるものぞ。天と地の御恩といふことが神の国の守護神に判りて居らんから難儀なことが、愈々どうにもならん事になるのぞ、バタバタとなるのぞ。臣民生れおちたらウブの御水を火で暖めてウブ湯をあびせてもらふであろが、其の御水はお土から頂くのざぞ、たき火ともしは皆日の大神様から頂くのざぞ、御水と御火と御土でこの世の生きあるもの生きてゐるのざぞ、そんなこと位誰でも知ってゐると申すであろが、其の御恩と云ふ事知るまいがな、一厘の所分かるまいがな。守護神も曇りてゐるから神々様にも早うこの神示読んで聞かせてやれよ、世間話に花咲かす様では誠の役員とは云はれんぞ、桜に花咲かせよ。せわしくさしてゐるのざぞ、せわしいのは神の恵みざぞ、今の世にせわしくなかったら臣民くさって了ふぞ、せわしく働けよ。三月十一日、ひつぐの神。 |
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2 (337) |
ひふみ神示 | 13_雨の巻 | 第3帖 | 草木は身を動物虫けらに捧げるのが嬉しいのであるぞ。種は残して育ててやらねばならんのざぞ、草木の身が動物虫けらの御身となるのざぞ、出世するのざから嬉しいのざぞ、草木から動物虫けら生れると申してあろがな、人の身神に捧げるのざぞ、神の御身となること嬉しいであろがな、惟神のミミとはその事ぞ、神示よく読めば判るのざぞ、此の道は先に行く程広く豊かに光り輝き嬉し嬉しの誠の惟神の道で御座るぞ、神示よく読めよ、何んな事でも人に教へてやれる様に知らしてあるのざぞ、いろはに戻すぞ、一二三に返すぞ、一二三が元ぞ、天からミロク様みづの御守護遊ばすなり、日の大神様は火の御守護なさるなり、此の事魂までよくしみておらぬと御恩判らんのざぞ。悪も善に立ち返りて御用するのざぞ。善も悪もないのざぞと申してあろがな、 |
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3 (363) |
ひふみ神示 | 14_風の巻 | 第12帖 | 日本の人民餌食にしてやり通すと、悪の神申してゐる声人民には聞こへんのか。よほどしっかりと腹帯締めおいて下されよ。神には何もかも仕組てあるから、心配ないぞ。改心出来ねば気の毒にするより方法ないなれど、待てるだけ待ってゐるぞ、月の大神様が水の御守護、日の大神様が火の御守護、お土つくり固めたのは、 大国 常立の 大神様。この御三体の 大神様、三日この世構ひなさらねば、此の世、くにゃくにゃぞ。実地を世界一度に見せて、世界の人民一度に改心さすぞ。五十になっても六十になっても、いろは、一二三から手習ひさすぞ。出来ねばお出直しぞ。慢心、早合点大怪我のもと、今の人民、血が走り過ぎてゐるぞ、気付けおくぞ。二月十六日、ひつ九のか三。 |
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4 (448) |
ひふみ神示 | 20_梅の巻 | 第21帖 | 身欲信心スコタン許り、天津日嗣の御位は幾千代かけて変らんぞ、日の大神様、月の大神様、地の大神様、御血統弥栄々々ぞ。日本の人民アフンとするぞ、皆それぞれのゆかりの集団に・入れよ、神示ひふみとなるぞ、天明は画家となれ、絵描いて皆にやれよ、弥栄となるぞ、やさかいやさか。今度はキリスト教も仏教も何も彼も生かさなならんのぞ。早くから此の方の元へ来て居ても因縁あっても肝腎が判らんと後戻りばかりぢゃ、肝腎々々ぢゃ、学もよいが、それはそれの様なものぢゃぞ、途中からの神は途中からの神、途中からの教は途中からの教、今度の御用は元のキの道ざぞ、世の元からの神でないと判らんぞ、出来はせんぞ、生れ赤児の心とは、途中からの心、教、すっかり捨てて了へと云ふ事ざぞ。十二月十四日、ひつ九のかみ。 |
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5 (456) |
ひふみ神示 | 21_空の巻 | 第1帖 | なる世、極まりて扶桑みやこぞ、みち足り足りて、万世のはじめ、息吹き、動き和し、弥栄へ、展き、睦び、結ぶ、扶桑の道鳴りはじむ道、代々の道ひらき、次に睦び、マコトの道にひかり極む、新しき世、出で、みちつづぎ、道つづき、極みに極まりなる大道、極まる神の大道、ひらく世、弥栄神、かく、千木高く栄ゆ世に、世かわるぞ、太神、大神、神出でまして、道弥栄極む、大道に神みち、極み、栄え、更に極む、元津日の大神、元津月の大神、元津地の大神弥栄。一月一日、ひつくのかみ。 |
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6 (485) |
ひふみ神示 | 22_青葉の巻 | 第16帖 | 日の大神様は日の御働き、月の大神様は月の御働き、日の大神様も世の末となって来て御神力うすくなりなされてゐるのざぞ、日の大神様も二つ、三つ、自分一人の力では何事もこれからは成就せんぞ、心得なされよ、神示で知らしただけで得心して改心出来れば大難は小難となるのぢゃ、やらねばならん、戦は碁、将棋、位の戦ですむのぢゃ、人民の心次第、行ひ次第で空まで変ると申してあろがな、この道理よく心得なさりて、神の申すこと判らいでも、無理と思ふ事も貫きて下されよ、これがマコトぢゃ。八月五日、ひつ九のかミ。 |
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7 (813) |
ひふみ神示 | 32_碧玉之巻 | 第10帖 | 岩戸しめの始めはナギ(伊邪那岐命)ナミ(伊邪那美命)の命の時であるぞ、ナミの神が火の神を生んで黄泉国に入られたのが、そもそもであるぞ、十の卵を八つ生んで二つ残して行かれたのであるぞ、十二の卵を十生んだことにもなるのであるぞ、五つの卵を四つ生んだとも言へるのであるぞ、総て神界のこと、霊界のことは、現界から見れば妙なことであるなれど、それでちゃんと道にはまってゐるのであるぞ。一ヒネリしてあるのぢゃ、天と地との間に大きレンズがあると思へば段々に判りてくるぞ。夫神、妻神、別れ別れになったから、一方的となったから、岩戸がしめられたのである道理、判るであろうがな。その後、独り神となられた夫神が三神をはじめ、色々なものをお生みになったのであるが、それが一方的であることは申す迄もないことであろう、妻神も同様、黄泉大神となられて、黄泉国の総てを生み育て給ふたのであるぞ、この夫婦神が、時めぐり来て、千引の岩戸をひらかれて相抱き給う時節来たのであるぞ、うれしうれしの時代となって来たのであるぞ。同じ名の神が到るところに現はれて来るのざぞ、名は同じでも、はたらきは逆なのであるぞ、この二つがそろうて、三つとなるのぞ、三が道ぞと知らせてあろうがな。時来たりなばこの千引の岩戸を倶にひらかんと申してあろうがな。 次の岩戸しめは天照大神の時ぞ、大神はまだ岩戸の中にましますのぞ、ダマシタ岩戸からはダマシタ神がお出ましぞと知らせてあろう。いよいよとなってマコトの天照大神、天照皇大神、日の大神、揃ふてお出まし近うなって来たぞ。 次の岩戸しめは素盞鳴命に総ての罪をきせてネの国に追ひやった時であるぞ、素盞鳴命は天下を治しめす御役神であるぞ。天ヶ下は重きもののつもりて固まりたものであるからツミと見へるのであって、よろづの天の神々が積もる-と言ふ-ツミ(積)をよく理解せずして罪神と誤って了ったので、これが正しく岩戸しめであったぞ、命をアラブル神なりと申して伝へてゐるなれど、アラブル神とは粗暴な神ではないぞ、あばれ廻り、こわし廻る神ではないぞ、アラフル現生る-神であるぞ、天ヶ下、大国土を守り育て給う神であるぞ、取違ひしてゐて申しわけあるまいがな。このことよく理解出来ねば、今度の大峠は越せんぞ。絶対の御力を発揮し給ふ、ナギ、ナミ両神が、天ヶ下を治らす御役目を命じられてお生みなされた尊き御神であるぞ。素盞鳴の命にも二通りあるぞ、一神で生み給へる御神と、夫婦呼吸を合せて生み給へる御神と二通りあるぞ、間違へてはならんことぞ。 神武天皇の岩戸しめは、御自ら人皇を名乗り給ふより他に道なき迄の御働きをなされたからであるぞ。神の世から人の世への移り変りの事柄を、一応、岩戸にかくして神ヤマトイハレ彦命として、人皇として立たれたのであるから、大きな岩戸しめの一つであるぞ。 仏教の渡来までは、わずかながらもマコトの神道の光がさしてゐたのであるなれど、仏教と共に仏魔わたり来て完全に岩戸がしめられて、クラヤミの世となったのであるぞ、その後はもう乱れほうだい、やりほうだいの世となったのであるぞ、これが五度目の大き岩戸しめであるぞ。 |
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8 (1018) |
霊界物語 | 01_子_霊界探検/玉の争奪戦 | 21 大地の修理固成 | 第二一章大地の修理固成〔二一〕 大国常立尊はそこで、きはめて荘厳な、厳格な犯すことのできない、すばらしく偉大な御姿を顕はし給ひて、地の世界最高の山巓にお登り遊ばされて四方を見渡したまへば、もはや天に日月星辰完全に顕現せられ、地に山川草木は発生したとはいへ、樹草の類はほとんど葱のやうに繊弱く、葦のやうに柔かなものであつた。そこで国祖は、その御口より息吹を放つて風を吹きおこし給うた。その息吹によつて十二の神々が御出現遊ばされた。 ここに十二の神々は、おのおの分担を定めて、風を吹き起したまうたが、その風の力によつて松、竹、梅をはじめ、一切の樹草はベタベタに、その根本より吹倒されてしまうた。大国常立尊はこの有様を眺めたまうて、御自身の胸の骨をば一本抜きとり、自ら歯をもつてコナゴナに咬みくだき、四方に撒布したまうた。 すべての軟かき動植物は、その骨の粉末を吸収して、その質非常に堅くなり、倒れてゐた樹草は直立し、海鼠のやうに柔軟匍匐してゐた人間その他の諸動物も、この時はじめて骨が具はり、敏活に動作することが出来るやうになつた。五穀が実るやうになり、葱のやうに一様に柔かくして、区別さへ殆どつかなかつた一切の植物は、はつきりと、おのおの特有の形体をとるやうになつたのも此の時である。骨の粉末の固まり着いた所には岩石ができ、諸々の鉱物が発生した。これを称して岩の神と申し上げる。 しかるに太陽は依然として強烈なる光熱を放射し、月は大地の水の吸収を続けてゐるから、地上の樹草は次第に日に照りつけられて殆ど枯死せむとし、動物も亦この旱天つづきに非常に困つてゐた。しかし月からは、まだ水を吸引することを止めなかつた。このままで放任しておくならば、全世界は干鰈を焦したやうに燻つてしまふかも知れないと、大国常立尊は山上に昇つて、まだ人体化してをらぬ諸々の竜神に命じて、海水を口に銜んで持ちきたらしめ給うた。 諸々の竜神は命を奉じて、海水を国祖の許に持ちきたつた。国祖はその水を手に受けて、やがてそれを口に呑み、天に向つて息吹をフーと吹き放たれた。すると天上には色の濃い雲や淡い雲や、その他種々雑多の雲が起つてきた。たちまち雲からサツと地上に雨が降りはじめた。この使神であつた竜神は無数にあつたが、国祖はこれを総称して雨の神と名付けたまうた。 ところが雨が降すぎても却て困るといふので、これを調和するために、大国常立尊は御身体一杯に暑いほど太陽の熱をお吸ひになつた。さうして御自分の御身体の各部より熱を放射したまうた。その放射された熱はたちまち無数の竜体と変じて、天に向つて昇騰していつた。国祖はこれに火竜神といふ名称をお付けになつた。(筆に書いては短いが大国常立尊がここまで天地をお造りになるのに数十億年の歳月を要してゐる) 尊はかくの如くにして人類を始め、動物、植物等をお創造り遊ばされて、人間には日の大神と、月の大神の霊魂を賦与せられて、肉体は国常立尊の主宰として、神の御意志を実行する機関となし給うた。これが人生の目的である。神示に『神は万物普遍の霊にして人は天地経綸の大司宰なり』とあるも、この理に由るのである。 しかるに星移り年をかさぬるにしたがつて、人智は乱れ、情は拗け、意は曲りて、人間は次第に私欲を擅にするやうになり、ここに弱肉強食、生存競争の端はひらかれ、せつかく神が御苦心の結果、創造遊ばされた善美のこの地上も亦、もとの泥海に復さねばならぬやうな傾向ができた。 しかるに地の一方では、天地間に残滓のやうに残つてゐた邪気は、凝つて悪竜、悪蛇、悪狐を発生し、或ひは邪鬼となり、妖魅となつて、我侭放肆な人間の身魂に憑依し、世の中を悪化して、邪霊の世界とせむことを企てた。そこで大国常立大神は非常に憤りたまうて、深い吐息をおはきになつた。その太息から八種の雷神や、荒の神がお生れ遊ばしたのである。 それで荒の神の御発動があるのは、大神が地上の人類に警戒を与へたまふ時である。かうしてしばしば大神は荒の神の御発動によつて、地上の人類を警戒せられたが、人類の大多数は依然として覚醒しない。そこで大神は大いにもどかしがりたまひ伊都の雄猛びをせられて、大地に四股を踏んで憤り給うた。そのとき大神の口、鼻、また眼より数多の竜神がお現はれになつた。この竜神を地震の神と申し上げる。国祖の大神の極端に憤りたまうた時に地震の神の御発動があるのである。大神の怒りは私の怒りではなくして、世の中を善美に立替へ立直したいための、大慈悲心の御発現に外ならぬのである。 大国常立尊が天地を修理固成したまうてより、ほとんど十万年の期間は、別に今日のやうに区劃された国家はなかつた。ただ地方地方を限つて、八王といふ国魂の神が配置され、八頭といふ宰相の神が八王神の下にそれぞれ配置されてゐた。 しかるに世の中はだんだん悪化して、大神の御神慮に叶はぬことばかりが始まり、怨恨、嫉妬、悲哀、呪咀の声は、天地に一杯に充ちわたることになつた。そこで大国常立大神は再び地上の修理固成を企劃なしたまうて、ある高い山の頂上にお立ちになつて大声を発したまうた。その声は万雷の一時に轟くごとくであつた。大神はなほも足を踏みとどろかして地蹈鞴をお踏みになつた。そのため大地は揺れゆれて、地震の神、荒の神が挙つて御発動になり、地球は一大変態を来して、山河はくづれ埋まり、草木は倒れ伏し、地上の蒼生はほとんど全く淪亡るまでに立ちいたつた。その時の雄健びによつて、大地の一部が陥落して、現今の阿弗利加の一部と、南北亜米利加の大陸が現出した。それと同時に太平洋もでき上り、その真中に竜形の島が形造られた。これが現代の日本の地である。それまでは今の日本海はなく支那も朝鮮も、日本に陸地で連続してゐた。この時まで現代の日本の南方、太平洋面にはまだ数百里の大陸がつづいてゐたが、この地球の大変動によつて、その中心の最も地盤の鞏固なる部分が、竜の形をして取り残されたのである。 この日本国土の形状をなしてゐる竜の形は、元の大国常立尊が、竜体を現じて地上の泥海を造り固めてゐられた時のお姿同様であつて、その長さも、幅も、寸法において何ら変りはない。それゆゑ日本国は、地球の艮に位置して神聖犯すべからざる土地なのである。もと黄金の円柱が、宇宙の真中に立つてゐた位置も日本国であつたが、それが、東北から、西南に向けて倒れた。この島を自転倒嶋といふのは、自ら転げてできた島といふ意味である。 この島が四方に海を環らしたのは、神聖なる神の御息み所とするためなのである。さうしてこの日本の土地全体は、すべて大神の御肉体である。ここにおいて自転倒嶋と、他の国土とを区別し、立別けておかれた。 それから大神は天の太陽、太陰と向はせられ、陽気と陰気とを吸ひこみたまうて、息吹の狭霧を吐きだしたまうた。この狭霧より現はれたまへる神が稚姫君命である。 このたびの地変によつて、地上の蒼生はほとんど全滅して、そのさまあたかもノアの洪水当時に彷彿たるものであつた。そこで大神は、諸々の神々および人間をお生みになる必要を生じたまひ、まづ稚姫君命は、天稚彦といふ夫神をおもちになり、真道知彦、青森知木彦、天地要彦、常世姫、黄金竜姫、合陀琉姫、要耶麻姫、言解姫の三男五女の神人をお生みになつた。この天稚彦といふのは、古事記にある天若彦とは全然別の神である。かくのごとく地上に地変を起さねばならぬやうになつたのは、要するに天において天上の政治が乱れ、それと同じ形に、地上に紛乱状態が現はれ来つたからである。天にある事はかならず地に映り、天が乱れると地も乱れ、地が乱れると、天も同様に乱れてくるものである。そこで大神は天上を修理固成すべく稚姫君命を生みたまうて天にお昇せになり、地は御自身に幽界を主宰し、現界の主宰を須佐之男命に御委任になつた。 (大正一〇・一〇・二〇旧九・二〇谷口正治録) |
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9 (1019) |
霊界物語 | 01_子_霊界探検/玉の争奪戦 | 22 国祖御隠退の御因縁 | 第二二章国祖御隠退の御因縁〔二二〕 大国常立尊の御神力によりて、天地はここに剖判し、太陽、太陰、大地の分担神が定まつたことは、前述したとほりである。しかして太陽の霊界は伊邪那岐命これを司りたまひ、その現界は、天照大御神これを主宰したまふのである。次に太陰の霊界は、伊邪那美命これを司りたまひ、その現界は、月夜見之命これを主宰したまふ。大地の霊界は前述のごとくに大国常立命之を司りたまひ、その大海原は日之大神の命によりて須佐之男命これを主宰したまふ神定めとなつた。 しかるに太陽界と、大地球界とは鏡を合したやうに、同一状態に混乱紛糾の状態を現出した。太陰の世界のみは、現幽両界ともに元のままに、平和に治まつてゐる。ひとり太陰に限つて、なぜ今でも平和に治まつてゐるかと言へば、この理は月の形を地上から観測しても明らかである如く、光はあれども酷烈ならず、水気はあつても極寒ではない。実に寒暑の中庸を得たる至善至美の世界であるからである。これに反して太陽の世界は、非常に凡てのものが峻烈で光は鮮かであり、六合に照徹する神力はあれども、それだけまた暗黒なる陰影が多い。しかしてまた大地は、もとより混濁せる分子の凝り固まつてできたものであるから、勢として不浄分子が多い。したがつてまた邪神の発生するのも、やむを得ない次第である。 そこで稚姫君命は、天稚彦と共に神命を奉じて天に上り、天界の神政を司らうとしたまうたが、御昇天の途上において、地上からつき従うた邪神どもにあやまられ、天地経綸の機織の仕組を仕損じたまひ、つひに地上に降りたまひて国常立命と共に地底に潜ませられ、あらゆる艱難苦労を忍びたまふの已むを得ざるに立ちいたつた。稚姫君命の御失敗の因縁については、後日詳しく述べることにする。 さて、大国常立命は天地間の混乱状態邪悪分子をば掃蕩して、最初の神界の御目的どほりの幽政を布かうと遊ばしたまうた。これについて国祖は、まづ坤金神を内助の役として種々の神策を企図したまひ、また、大八洲彦命を天使長兼宰相の地位に立たして、非常に厳格な規則正しき政を行ひ、天の律法を制定して、寸毫といへども天則に干犯するものは、罰するといふことに定めたまうた。そのために地上の年数にして数百年の間は非常に立派に神政が治まつてゐたが、世が次第に開けゆくにつれて、神界、幽界、現界ともに邪悪分子が殖えてきた。すなはち八百万の神人は、日増に大神の御幽政に対する不服を訴ふるやうになり、山川草木にいたるまで言問ひあげつらふ世になつた。 そこでやむを得ず宰相大八洲彦命は、国常立尊の御意志に背くと知りつつも、和光同塵の神策をほどこし、言問ひ、論争ふ八百万の神々を鎮定慰撫しつつ、ともかくも世を治めてゆかれたのである。 しかるにこのとき霊界は、ほとんど四分五裂の勢となり、一方には、盤古大神(又の御名塩長彦)を擁立して、幽政を主宰せしめむとする一派を生じ、他方には、大自在天神大国彦を押し立てて神政を支配し、地の高天原を占領せむとする神人の集団が出現し、その他諸々の神々の小集団は、或ひは盤古大神派に、或ひは大自在天神派に付随せむとし、また中には、この両派に属せずして中立しながら、国常立尊の神政に反対する神々も生じてきた。 そこで国常立尊はやむを得ず天に向つて救援をお請ひになつた。天では天照大御神、日の大神(伊邪那岐尊)、月の大神(伊邪那美尊)、この三体の大神が、地の高天原に御降臨あそばし給ひ、国常立尊の神政および幽政のお手伝ひを遊ばされることになつた。国常立尊は畏れ謹み、瑞の御舎を仕へまつりて、三体の大神を奉迎したまうた。然るところ、地上は国常立尊の御系統は非常に減少して勢力を失ひ、盤古大神および大自在天神の勢力はなはだ侮り難く、つひには国常立尊に対して、御退位をお迫り申すやうになつた。天の御三体の大神は、地上の暴悪なる神々にむかつて、あるひは宥め、或ひは訓し、天則に従ふべきことを懇に説きたまうた。されど、時節は悪神に有利にして、いはゆる……悪盛んにして天に勝つ……といふ状態に立ちいたつた。 ここに国常立尊は神議りに議られ、髪を抜きとり、手を切りとり、骨を断ち、筋を千切り、手足所を異にするやうな惨酷な処刑を甘んじて受けたまうた。されど尊は実に宇宙の大原霊神にましませば、一旦肉体は四分五裂するとも、直ちにもとの肉体に復りたまひ、決して滅びたまふといふことはない。 暴悪なる神々は盤古大神と大自在天神とを押し立て、遮二無二におのが要求を貫徹せむとし、つひには天の御三体の大神様の御舎まで汚し奉るといふことになり、国常立尊に退隠の御命令を下し給はむことを要請した。さて天の御三体の大神様は、国常立尊は臣系となつてゐらるるが、元来は大国常立尊は元の祖神であらせたまひ、御三体の大神様といへども、元来は国常立尊の生みたまうた御関係が坐します故、天の大神様も御真情としては、国常立尊を退隠せしむるに忍びずと考へたまうたなれど、ここに時節の已むなきを覚りたまひ、涙を流しつつ勇猛心を振起したまひ、すべての骨肉の情をすて、しばらく八百万の神々の進言を、御採用あらせらるることになつた。そのとき天の大神様は、国祖に対して後日の再起を以心伝心的に言ひ含みたまひて、国常立尊に御退隠をお命じになり、天に御帰還遊ばされた。 その後、盤古大神を擁立する一派と、大自在天神を押立つる一派とは、烈しく覇権を争ひ、つひに盤古大神の党派が勝ち幽政の全権を握ることになつた。一方国常立尊は自分の妻神坤金神と、大地の主宰神金勝要神および宰相神大八洲彦命その他の有力なる神人と共に、わびしく配所に退去し給うた。 地上の神界の主宰たる大神さへ、かくのごとく御隠退になるといふ有様であるから、地上の主宰たる須佐之男命も亦、八百万の神々に、神退ひに退はるるの已むなきにいたりたまひ、自転倒嶋を立去りて、世界のはしばしに漂泊の旅をつづけられることになつた。しかし須佐之男命は、現界において八岐大蛇を平げ地上を清め、天照大御神にお目にかけ給うたと同じやうに、神界においても、すべての悪神を掃蕩して地上を天下泰平に治め、御三体の大神様にお目にかけ、地上の主宰の大神となり給ふといふのである。 さて、自分はこれから国常立尊随従の八百万の神人の中でも、主なる神司の御経歴御活動を述べ、また盤古大神および大自在天神を擁立せる一派の八百万の神々の経歴および暴動振りを、神界にて目撃せるままを述べておかふと思ふ。 (大正一〇・一〇・二〇旧九・二〇谷口正治録) |
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霊界物語 | 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 | 総説 | 総説 神界における神々の御服装につき、大略を述べておく必要があらうと思ふ。一々神々の御服装に関して口述するのは大変に手間どるから、概括的に述ぶれば、国治立命のごとき高貴の神は、たいてい絹物にして、上衣は紫の無地で、下衣が純白で、中の衣服が紅の色の無地である。国大立命は青色の無地の上衣に、中衣は赤色、下衣は白色の無地。稚桜姫命は、上衣は水色に種々の美はしき模様があり、たいていは上中下とも松や梅の模様のついた十二単衣の御服装である。天使大八洲彦命、大足彦のごときは、上衣は黒色の無地に、中衣は赤色、下衣は白色の無地の絹の服である。その他の神将は位によつて、青、赤、緋、水色、白、黄、紺等、いづれも無地服で、絹、麻、木綿等に区別されてゐる。 冠もいろいろ形があつて纓の長短があり、八王八頭神以上の神々に用ゐられ、それ以下の神司は烏帽子を冠り、直衣、狩衣。婦神はたいてい明衣であつて、青、赤、黄、白、紫などの色を用ゐられ、袴も色々と五色に分れてゐる。また神将は闕腋に冠をつけ、残らず黒色の服である。神卒は一の字の笠を頭に戴き、裾を短くからげ、手首、足首には紫の紐をもつて結び、実に凛々しき姿をしてをらるるのである。委しく述ぶれば際限がないが、いま述べたのは国治立命が御隠退遊ばす以前の神々の御服装の大略である。 星移り、月換るにつれ、神界の御服装はおひおひ変化し来たり、現界の人々の礼装に酷似せる神服を纒はるる神司も沢山に現はれ、神使の最下たる八百万の金神天狗界にては、今日流行の種々の服装で活動さるるやうになつてをる。 また邪神界でもおのおの階級に応じて、大神と同一の服装を着用して化けてをるので、霊眼で見ても一見その正邪に迷ふことがある。 ただ至善の神々は、その御神体の包羅せる霊衣は非常に厚くして、かつ光沢強く眼を射るばかりなるに反し、邪神はその霊衣はなはだ薄くして、光沢なきをもつて正邪を判別するぐらゐである。しかるに八王大神とか、常世姫のごときは、正神界の神々のごとく、霊衣も比較的に厚く、また相当の光沢を有してをるので、一見してその判別に苦しむことがある。 また自分が幽界を探険した時にも、種々の色の服を着けてゐる精霊を目撃した。これは罪の軽重によつて、色が別れてゐるのである。しかし幽界にも亡者ばかりの霊魂がをるのではない。現界に立働いてゐる生きた人間の精霊も、やはり幽界に霊籍をおいてをるものがある。これらの人間は現界においても、幽界の苦痛が影響して、日夜悲惨な生活を続けてをるものである。これらの苦痛を免るる方法は、現体のある間に神を信仰し、善事を行ひ万民を助け、能ふかぎりの社会的奉仕を務めて、神の御恵を受け、その罪を洗ひ清めておかねばならぬ。 さて現界に生きてゐる人間の精霊を見ると、現人と同形の幽体を持つてゐるが、亡者の精霊に比べると、一見して生者と亡者の精霊の区別が、判然とついてくるものである。生者の幽体(精霊)は、円い霊衣を身体一面に被つてゐるが、亡者の幽体は頭部は山形に尖り、三角形の霊衣を纒うてをる。それも腰から上のみ霊衣を着し、腰以下には霊衣はない。幽霊には足がないと俗間にいふのも、この理に基づくものである。また徳高きものの精霊は、その霊衣きはめて厚く、大きく、光沢強くして人を射るごとく、かつ、よく人を統御する能力を持つてゐる。現代はかくの如き霊衣の立派な人間がすくないので、大人物といはるるものができない。現代の人間はおひおひと霊衣が薄くなり、光沢は放射することなく、あたかも邪神界の精霊の着てをる霊衣のごとく、少しの権威もないやうになつて破れてをる。大病人などを見ると、その霊衣は最も薄くなり、頭部の霊衣は、やや山形になりかけてをるのも、今まで沢山に見たことがある。いつも大病人を見舞ふたびに、その霊衣の厚薄と円角の程度によつて判断をくだすのであるが、百発百中である。なにほど名医が匙を投げた大病人でも、その霊衣を見て、厚くかつ光が存してをれば、その病人はかならず全快するのである。これに反して天下の名医や、博士が、生命は大丈夫だと断定した病人でも、その霊衣がやや三角形を呈したり、紙のごとく薄くなつてゐたら、その病人は必ず死んでしまふものである。 ゆゑに神徳ある人が鎮魂を拝授し、大神に謝罪し、天津祝詞の言霊を円満清朗に奏上したならば、たちまちその霊衣は厚さを増し、三角形は円形に立直り、死亡を免れるものである。かくして救はれたる人は、神の大恩を忘れたときにおいて、たちまち霊衣を神界より剥ぎとられ、ただちに幽界に送られるものである。 自分は数多の人に接してより、第一にこの霊衣の厚薄を調べてみるが、信仰の徳によつて漸次にその厚みを加へ、身体ますます強壮になつた人もあり、また神に反対したり、人の妨害をしたりなどして、天授の霊衣を薄くし、中には円相がやや山形に変化しつつある人も沢山実見した。自分はさういふ人にむかつて、色々と親切に信仰の道を説いた。されどそんな人にかぎつて神の道を疑ひ、かへつて親切に思つて忠告すると心をひがまし、逆にとつて大反対をするのが多いものである。これを思へばどうしても霊魂の因縁性来といふものは、如何ともすることが出来ないものとつくづく思ひます。 ○ 大国治立尊と申し上げるときは、大宇宙一切を御守護遊ばすときの御神名であり、単に国治立尊と申し上げるときは、大地球上の神霊界を守護さるるときの御神名である。自分の口述中に二種の名称があるのは、この神理に基づいたものである。 また神様が人間姿となつて御活動になつたその始は、国大立命、稚桜姫命が最初であり、稚桜姫命は日月の精を吸引し、国祖の神が気吹によつて生れたまひ、国大立命は月の精より生れ出でたまうた人間姿の神様である。それよりおひおひ神々の水火によりて生れたまひし神系と、また天足彦、胞場姫の人間の祖より生れいでたる人間との、二種に区別があり、神の直接の水火より生れたる直系の人間と、天足彦、胞場姫の系統より生れいでたる人間とは、その性質において大変な相違がある。そして神の直接の水火より生れ出たる人間は、その頭髪黒くして漆の如く、天足彦、胞場姫より生れたる人間の子孫は赤色の頭髪を有している。[※「そして神の直接の」から「頭髪を有して居る。」まで、校定版・八幡版では削除されている。]天足彦、胞場姫といへども、元は大神の直系より生れたのであれども、世の初発にあたり、神命に背きたるその体主霊従の罪によつて、人間に差別が自然にできたのである。 されども何れの人種も、今日は九分九厘まで、みな体主霊従、尊体卑心の身魂に堕落してゐるのであつて、今日のところ神界より見たまふときは、甲乙を判別なし難く、つひに人種平等の至当なるを叫ばるるに立いたつたのである。 ○ 盤古大神塩長彦は日の大神の直系にして、太陽界より降誕したる神人である。日の大神の伊邪那岐命の御油断によりて、手の俣より潜り出で、現今の支那の北方に降りたる温厚無比の正神である。 また大自在天神大国彦は、天王星より地上に降臨したる豪勇の神人である。いづれもみな善神界の尊き神人であつたが、地上に永住されて永き歳月を経過するにしたがひ、天足彦、胞場姫の天命に背反せる結果、体主霊従の妖気地上に充満し、つひにはその妖気邪霊の悪竜、悪狐、邪鬼のために、いつとなく憑依されたまひて、悪神の行動を自然に採りたまふこととなつた。それより地上の世界は混濁し、汚穢の気みなぎり、悪鬼羅刹の跋扈跳梁をたくましうする俗悪世界と化してしまつた。 八王大神常世彦は、盤古大神の水火より出生したる神にして、常世の国に霊魂を留め、常世姫は稚桜姫命の娘にして、八王大神の妃となり、八王大神の霊に感合し、つひには八王大神以上の悪辣なる手段を用ゐ、世界を我意のままに統轄せむとし、車輪の暴動を継続しつつ、その霊はなほ現代にいたるも常世の国にとどまつて、体主霊従的世界経綸の策を計画してをる。 ゆゑに常世姫の霊の憑依せる国の守護神は、今になほその意志を実行せむと企ててをる。八王大神常世彦には天足彦、胞場姫の霊より生れたる八頭八尾の大蛇が憑依してこれを守護し、常世姫には金毛九尾白面の悪狐憑依してこれを守護し、大自在天には、六面八臂の邪気憑依してこれを守護し、ここに艮の金神国治立命の神系と盤古大神の系統と、大自在天の系統とが、地上の霊界において三つ巴になつて大活劇を演ぜらるるといふ霊界の珍しき物語である。 自分はここまで口述したとき、何心なくかたはらに散乱せる大正日日新聞に眼をそそぐと、今日はあたかも大正十年陰暦十月十日午前十時であることに気がついた。霊界物語第二巻の口述ををはつた今日の吉日は、松雲閣において御三体の大神様を始めて新しき神床に鎮祭することとなつてゐた。これも何かの神界の御経綸の一端と思へば思へぬこともない。 ついでに第三巻には、盤古大神(塩長彦)、大自在天(大国彦)、艮能金神(国治立命)三神系の紛糾的経緯の大略を述べ、国祖の御隠退までの世界の状況、神々の驚天動地の大活動を略述する考へであります。読者諸氏の幸に御熟読あつて、それが霊界探求の一端ともならば、口述者の目的は達せらるる次第であります。 アゝ惟神霊幸倍坐世 大正十年旧十月十日午前十時十分 於松雲閣口述者識 (註)本巻において、国治立命、豊国姫命、国大立命、稚桜姫命、木花姫命とあるは、神界の命により仮称したものであります。しかし真の御神名は読んで見れば自然に判明することと思ひます。 |
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霊界物語 | 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 | 47 天使の降臨 | 第四七章天使の降臨〔九七〕 ここに常世姫は、竜宮城に敗れ、金毛八尾の悪狐と変じ、常世城に逃げかへり、魔神八頭八尾の大蛇とともに、天下を席捲せむとし、ロッキー山、ウラル山、バイカル湖および死海にむかつて伝令をくだした。死海の水はにはかに沸騰し、天に冲するまもなく、原野を濁水に変じて悪鬼となつた。つひにウラル山はにはかに鳴動をはじめ、八頭八尾の悪竜と化し、あまたの悪竜蛇を吐きだした。 バイカル湖の水はにはかに赤色をおび、血なまぐさき雨となつて、四方八方に降りそそいだ。つぎに揚子江の上流なる西蔵、天竺の国境青雲山よりは、しきりに火焔を吐きだし、金毛九尾の悪狐となり、その口よりは数多の悪狐を吐き、各自四方に散乱した。 天足彦、胞場姫の霊より出生したる金毛九尾白面の悪狐は、ただちに天竺にくだり、ついでウラル山麓の原野に現はれた。ここに常磐城といふ魔軍の城がある。その王は八頭八尾の悪竜の一派にしてコンロン王といふ。青雲山より現はれたる金毛九尾の悪狐は、コンロン王の前に現はれ、たちまち婉麗ならびなき女性と化し、コンロン王に愛されつひにその妃となり、名をコンロン姫とつけられた。 コンロン姫はウラル山一帯を掌握せむとし、まづコンロン王を滅ぼさむとして仏頂山の魔王、鬼竜王に款を通じてゐた。コンロン王の従臣コルシカはコンロン姫の悪計を悟り、夜陰に乗じてこれを暗殺した。コンロン王は鬼竜王の悪計を知り、悪竜をして、近づき攻撃せしめた。鬼竜王は、死力をつくして戦ふた。このとき常世国ロッキー山より常世姫の魔軍は黒雲となり、風に送られて、仏頂山近く進んだ。空中よりは黒き雲塊雨のごとく地上に落下し、たちまち荒鷲と変じ、猛虎となり、獅子と化し、狼となつて諸方に散乱し、ここに驚天動地の大混乱が始まつたのである。敵味方の区別なく、世界は大混乱状態に陥り、味方の同志討は諸方に勃発した。 海上には黒竜火焔を吐きつつ互ひに相争ひ、勝敗定まらず、暴風吹き荒み、血雨滝のごとく降り、洪水おこりて山をも没せむとするにいたつた。天空には幾千万とも数かぎりなき怪鳥翼をならべて前後左右にかけめぐり、空中に衝突して、あるひは地上に、あるひは海上に落下し、火焔は濛々としてたちあがり、高き山はほとんど焼けうせ、水上は地震のために巨浪山をなし、天地もほとんど破壊せむばかりであつた。 このとき地の高天原に、国治立命現はれたまひ、大八洲彦命に命じて、天上の天則をもつて地上に宣伝せむとしたまうた。八百万の神司はこの旨を奉戴し、天の鳥船に乗り諸方に駆けめぐり、天則を芭蕉の葉に記し、世界各地に撒布せしめた。されど一柱とてこれを用ゐる者はなく、かへつてこれを嘲笑するばかりである。大八洲彦命はやむをえず、一まづ地の高天原に帰還された。 このとき天上より嚠喨たる音楽聞こえ、数多の従神をともなひ、いういうとして地の高天原めがけて降りきたる荘厳な女神があつた。女神は第一着に竜宮城に現はれ、城内にしばし光玉と化して休息し、ふたたび元の女神となり、従神とともに地の高天原なる、国治立命の宮殿に着かせたまひ、 『この度の地上の大混乱たちまち天上に影響し、天上の状態はあたかも乱麻のごとし。一時も早く大地を修理固成し、もつて天上の混乱を治められよ。吾は日の大神の神使、高照姫命なり』 と伝へられた。 国治立命は神意を畏み、すみやかに地上の混乱を治め、天界を安全ならしめ、もつて天津大神の御目にかけむと答へられた。高照姫命は大いに喜び、大神もさぞ御満足に思召すらむ。妾は急ぎ、貴神の答辞を復命したてまつらむ、と喜び勇んで天上に紫雲とともに帰りたまうた。 (大正一〇・一一・八旧一〇・九栗原七蔵録) |
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霊界物語 | 03_寅_十二の国魂/大道別/天使長の更迭 | 15 神世の移写 | 第一五章神世の移写〔一一五〕 万寿山には八王神として磐樟彦、磐樟姫の夫妻居住し、赤色の玉を荘厳なる神殿に鎮祭し、瑞穂別八頭神となり、瑞穂姫妻となりて内助の功もつとも多く、天地の律法は完全におこなはれ、神人一致して至治太平の神世はおごそかに樹立され、加ふるに忠実無比なる大川彦、清川彦、常立彦、守国別、その他の諸神司は綺羅星のごとく集まり、地の高天原につぐの聖場となつた。 万寿山の神殿は月宮殿と称へられ、赤玉の精魂幸はひたまひて、神人の心は赤誠丹心よく神に仕へ、長上を尊み下を憐み、各自の顔はいつも春のごとく、心は常に洋々として海のごとく、満山の紅葉は黄紅赤緋色を競ひ、春は紅の梅、香ひ芳ばしき白梅樹々の間に点々し、蒼々たる常磐の松は、紅葉のあひだに天を摩して栄え、千年の鶴は樹上に巣を組み神政の万寿を謳ふ。城廓を廻れる池の清泉には万代の亀、幾千万とも限りなく、神世を寿ぎ、右往左往に遊びたはむるその光景は、五六七神教成就後の神代の移写とも称すべき瑞祥なりける。かかる目出度き万寿山は、実は霊鷲山の神霊三ツ葉彦命の内面的輔佐の神徳の功、あづかつて力ありしが故なりといふ。 ここに万寿山の八王、八頭の神司をはじめ、部下の諸神司は霊鷲山をもつて第二の高天原と崇め、三ツ葉彦命の神跡を慕ひて神人修業の聖場と定め、美しき神殿を山下の玉の井の邑に造営し、坤金神豊国姫命の安居所となし奉仕せむとし、ここに荘厳なる大神殿を宮柱太敷立て、高天原に千木高知りて日の大神、月の大神、玉照姫命、国治立命鎮座したまひて洪大無辺の神徳は四方に輝き、地の高天原と相まつて神界経綸の大聖場となりぬ。これを玉ノ井の宮といふ。 玉ノ井の宮は真道姫真心をもつて大神に仕へ、かつ霊鷲山に日夜かよひて神慮を伺ひ、つひに三ツ星の神霊に感じて三ツ葉彦命を生み、これを地の高天原の国治立命に献じ奉り、神政維新の神柱となさしめたまひける。三ツ葉彦命は、天の三ツ星の精魂の幸はひによりて地上に降り、真道姫の体に宿りて玉ノ井の邑に現はれける。玉ノ井の邑には玉ノ井の湖といふ清泉をたたへたる湖水あり、この湖水は神界経綸上必要の神泉なれば、自在天の一派は、この湖水を占領せむと百方手をつくし、つひに三ツ葉彦命と争ひけるが、結局は目的を達するを得ずして退却したりしなり。 自在天の一派なる蟹雲別、牛雲別、種熊別、蚊取別、玉取彦らは、一斉に玉ノ井の湖水に押寄せきたり、あまたの魔神をして前後左右より取り巻き、第一着に玉ノ井の宮を破壊し真道姫を捕へむとしたりしが、三ツ葉彦命の神威に恐れて遁走し、二度押し寄せ初志を達すべく奮闘せし顛末は、次席に於て略述せむとす。 (大正一〇・一一・一七旧一〇・一八加藤明子録) (第一四章~第一五章昭和一〇・一・一六於みどり丸船室王仁校正) |
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霊界物語 | 04_卯_常世会議/国祖隠退/神示の宇宙 | 35 頭上の冷水 | 第三五章頭上の冷水〔一八五〕 聖地ヱルサレムは桃上彦命の失政により、ふたたび混乱紛糾をかさね、日向に氷の解くるがごとく、日に月に衰滅に傾ききたり。国祖大神はあたかも手足をもぎとられし蟹のごとく、進退きはまり如何ともなしたまふ術なかりける。各山各地の八王はふたたび常世城に集まり、聖地の回復を首をあつめて凝議するの止むなきに至りける。 このとき聖地より常世姫の使臣として広若、鬼若の二人は、天の鳥船に乗りて下り来りけるに、八王神常世彦は、ただちに使臣を一室にみちびき来意をたづねたり。二人は聖地の惨状目も当てられず、このままに放任せむか、聖地は滅亡するの外なきことを詳細に述べたてたり。 天授の本心に立帰り、本守護神の活動全く、至善至美の善神と改まりゐたる常世彦も、このとき一種の不安を感じ、天を仰いで嗟嘆の声を漏らしける。この虚を狙ひゐたる八頭八尾の大蛇の霊は、頭上よりカラカラと打ち笑ひ、 『小心者よ卑怯者よ、汝のごとき弱虫にては常世城はおろか、聖地の救援を焦慮するも何の力量かあらむ。汝すみやかに本心に立帰り、荒魂の勇を振りおこし、奇魂の覚を開き、くだらぬことに煩慮するよりも男らしく何ゆゑに勇猛心を発揮せざるか、自信と断行力なき者は蛆虫も同様なり。すみやかに大勇猛心を振りおこし、快刀乱麻を断るの壮烈なる神業を敢行せよ。吾こそは日の稚宮に坐す日の大神の神使なり、夢々疑ふなかれ』 といふかと見れば、その声はバタリと止まりにける。八王神は青息吐息の体にて両手を組み、奥殿に安坐してその処置につき千思万慮を費しゐる折しも、ふたたび天空に声あり、 『吾は大国治立命なり。国治立命は今や窮地におちいり、非常なる苦境にあり。汝は神業に奉仕する神聖なる職を奉じながら、かかる危急存亡の場合何を苦しみて躊躇逡巡するや。有名無実とは汝がことなり。すみやかに奮ひ起て、世の中に恐るるものは神より外になし。一つも憂慮することなく各地の八王神と語らひ、すみやかに聖地ヱルサレムに馳せつけよ。神は汝に添ひて守らむ』 と声高らかに呼び終り、またもや鬼の声はバツタリと止まりぬ。 常世彦は五里霧中に彷徨しながら、大慈大悲の国祖大神の窮状を耳にして之を坐視するに忍びず、断然意を決して神人の集へる大会議場に出席し、大国治立命および外一神の宣示を諸神人に告げ決心を促したりける。しかしてこの大国治立命と称するは全く偽神にして、大自在天を守護する六面八臂の鬼なりにける。 数多の八王は常世彦の言を聞きて、聖地を思ふのあまり、前後の分別もなく、またその声の正神の言なるや、邪神の言なるやを考慮する暇もなく、異口同音に常世彦の言に賛成したり。ここにおいて常世彦は誠心誠意聖地を救ふべく、八王とともに天の磐樟船に乗りて天空を轟かしつつ聖地ヱルサレムに安着したりける。 桃上彦命は八王の翼を連ねて下りきたれるその光景に胆をつぶし、 『常世彦またもや悪心を起し、この聖地を占領し、みづから代りて国祖の地位までも占領せむとする反逆の行為にきはまつたり。聖地の神人らはただちに武装を整へ、彼ら反逆者を殲滅せよ』 と声を涸らして号令したれど聖地の神人らはその勢力の優勢なるに胆を潰し或は腰を抜かし、猫に逐はれし鼠の如く各自身の安全を計りて逃げ出すもあり、隠るるもあり、一柱として桃上彦命の命令に服従するもの無かりけり。桃上彦命は周章狼狽して大宮殿に進みいり、国祖大神に謁し、 『常世彦反逆を企て、数多の八王その他の神人を率ゐて短兵急に攻め寄せたり、いかに取計らはむや』 と進言したるに、国祖大神は奮然として立ちあがり、 『事ここにいたりし原因は汝が律法を破壊し、放縦不軌の行動を執りし報いなれば、一時も早く天に向つて罪を謝し、ただちに職を退き至誠を表白せよ』 と厳重に言ひわたし、そのまま奥殿深く入らせたまひぬ。桃上彦命は何とせむ方なく、涙にくれ悄然として宮殿を立ち出で吾が居館に帰らむとする時、常世姫は春日姫、八島姫とともに礼装を凝らして入りきたり、 『八王大神聖地の混乱を坐視するに忍びず、あまたの神人とともに聖地を救はむがために参向したり。天使長はすみやかにこの次第を国祖大神に進言されたし』 と言葉も淑やかに述べ立つるにぞ、桃上彦命はふたたび宮殿に参向し襖の外より国祖大神にこの次第を進言せむとし悲痛なる声を絞りながら一言奏上せむとするや、大神は中よりただ一言、 『神の言葉に二言なし、速に天地にむかつて汝が罪を謝せ、再び吾が前に来る勿れ』 と厳格なる御言葉をもつて宣はせたまひければ、桃上彦命は是非なく宮殿を下り、面に憂鬱の色をうかべながら再び吾が居館に帰りける。 (大正一〇・一二・二五旧一一・二七加藤明子録) (第三一章~三五章昭和一〇・一・二二於久留米市布屋旅館王仁校正) |
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霊界物語 | 04_卯_常世会議/国祖隠退/神示の宇宙 | 37 時節到来 | 第三七章時節到来〔一八七〕 地上神界の経綸の中心点なる聖地ヱルサレムは、前述のとほり、統率者を失ひ、ほとんど滅亡の域に瀕したるを、数多の神人らはあたかも日の大神の天の岩屋戸にかくれ給ひしごとく、悲しみ叫べるその中にも、ひとり常世姫は、心中深く期するところあるもののごとく面におつき合ひ的に憂ひを表しゐるものの、その奥底に何となく得意の色潜みゐたりける。 聖地の大広間には、八王八頭をはじめ、大八洲彦命、高照姫命、その他八百万の神人は、おのおの威儀を正して座を列ね、天使長の後任者をすみやかに定めむことを協議し、まづ第一に、国祖大神の神慮をうかがひ、式を挙ぐることに決定せり。ついては国祖大神の御前に出でてこれを奉伺する神人を決定せざるべからずとし、衆議はまづ多数をもつて大八洲彦命を選定したり。 このとき大八洲彦命は立つて、満座の諸神人にむかひ、 『吾はさきに天則違反の罪により、万寿山に蟄居を命ぜられたる者なれば、今この聖地に参集するも、何となく恐懼の念にかられつつあり。いかに諸神人の選定によればとて、未だ罪を赦されざる身として、至厳至貴にまします国祖大神の前に列するは、実に厚顔無恥の所為なれば、この役目のみは固く辞したし。何れの神人か改めて選定されむことを』 と、謙譲の真心を面にあらはして述べたて座に復したまへり。満場の神人も命の心情を察し、強ひてこれを止むるものなかりける。 ふたたび選定されたるは高照姫命なり。しかるに命もまた大八洲彦命とおなじく、 『妾は天則違反の罪によりエデンの野に蟄居を命ぜられたる、いはば蔭身者なり。たとへ罪なき妾としても多士済々たるこの集ひにおいて、妾のごとき女性の出しやばり、神聖なる用務を奉伺すべきに非ず。希はくは他より選定されむことを切望します』 と言ひて座に復したまへり。 ここに神人らはその言を拒むに由なく、全会一致をもつて常世彦を選定したり。常世彦は今はまつたく至善至美の大精神に立ちかへり、心中一点の欲望もなく、ただただ至誠神明に奉仕し、国祖の御神業の一端を輔佐し奉らむと決心しゐたる際なりければ、今の大切なる神務に選定されて大いに恥ぢ、たちまち立ちて満場の諸神人にむかひ、 『我は大八洲彦命、高照姫命のごとく、一度も天使長の職に就きたることなし、ただ徒に野心に駆られて、大神の神業に妨害を加へ、つひには聖地の諸神人を苦しめ、延いては国祖大神の御神慮を悩ませ奉りたる罪重き者にして、今この聖地に参向し、諸神人に面を向くるも心憂しと日夜懺悔に堪へず。しかるに吾がごとき者をして、国祖の聖慮を奉伺するの役目に選定さるるは、実に迷惑千万にして、国祖大神に対し恐懼の至りにたへず。すみやかにこの決定を撤回されむことを希望す』 と言ひて座に復したり。 このとき大鷹別は場の一隅よりすつくと立ち上り、諸神人に向つていふ。 『平時はとも角、今日のごとき危急存亡の場合にあたり、徒に謙譲の辞をくり返し、善悪を争ふべき時に非ず。機に臨み変に応ずるは、神人たるものの最も努むべきことと信ず。すべての感情を去り、既往をとがめず、現在および将来のため奮つて常世彦の御奮励を希望す』 との提案に、諸神人は異口同音に常世彦を選定したり。常世彦も今日の場合、拒絶するは却て大神の神慮を煩はし、諸神人の厚意を無視するものなりと、ここに断然意を決し、神慮奉伺の承諾をなしたり。 満座の諸神人は恰も暗夜に月の出たるがごとく喜び勇み手を拍つて祝し、ウローウローと叫ぶその声、天地も破るるばかり勇ましかりける。 ここに常世彦は、諸神人の代表として国祖のまします奥殿に進み入り、後任の天使長について恭しく神慮を奉伺したるに、国祖は、ただ一言、 『常世彦をもつて天使長に任ず』 と仰せられたり。常世彦は恐懼措くところを知らず、頭をもたげて、 『国祖に対し奉り、今日まで極悪無道の邪神に頤使され、深き罪を犯したる吾々は厚きこの恩命を拝受するは分に過ぎたり。希はくは大八洲彦命をもつて天使長に任じたまはば、有難き次第に候』 と至誠を面に表はし進言したりけれど、国祖大神は、 『神の言葉に二言なし』 とふたたび仰せられ、玉の襖を閉ぢて奥殿に入らせ給ひける。 ここにいよいよ常世彦は天使長となり、地上神界の総統者として八王八頭の上位に就くこととなり、常世彦命の名を給はりにけり。 『時節を待てよ、時節には神も叶はぬぞよ。時節さへ来れば、煎り豆にも花が咲くぞよ』 と神諭に示されたるも、全くかかる事を云ふなるべし。 常世彦命は今まで聖地の天使長たらむとして苦心に苦心をかさね、神人らの悪罵嘲笑の的となり、幾回となく終局にいたりてその目的を破壊せしめられたりしが、今や一切の欲望を捨て誠心誠意に立ちかへり、何事も惟神に任してゆきたる徳によりて、自然に秋の野の桐の一葉の風なきに落つるがごとく、大神の親任を受け、諸神人の信望を負ひて顕要の地位に上りける。 これを思へば、誠と改心の力は実に偉大なりと謂ふべし。 時満ちて捨てた望みの花が咲き (大正一〇・一二・二六旧一一・二八桜井重雄録) |
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霊界物語 | 04_卯_常世会議/国祖隠退/神示の宇宙 | 42 無道の極 | 第四二章無道の極〔一九二〕 常世彦は衆を恃みて、その横暴いたらざるなく、八王八頭その他の神司らをほとんど臣下のごとく頤使するにいたりぬ。さるほどに奸佞邪智に長けたる邪神の内面にありて操縦する常世彦は、巧言令色よく天下の諸神人を悦服せしめたりける。 八王八頭をはじめその他の神司らは、常世彦のあるを知つて、国祖大神をほとんど有名無実無用の長物と感ずるにいたりけり。常世彦は執拗にも国祖大神に対し、八王大神の称号を得むと迫ることますます急にして、万々一国祖にして聴許なき時は、みづから進ンで国祖大神を斥け自ら地上の一大主権を掌握せむとの強硬なる態度を持し居たるなり。 而して神務長大八洲彦命以下、国祖直属の神人をはじめ、高照姫命以下の女性が、八王大神称号の聴許につきて国祖に対し、異議を言上したることを深く恨み、これを常に眼の上の瘤とし居たりしが、国祖は常世彦の勢、到底制すべからずとし、涙を嚥ンで彼らの言を採用し、ここに八王大神の称号を与へ給ひける。 この事を聞きつけたる世界各山各地の有力なる神司は、先を争ふて聖地ヱルサレムに参集し、その栄職に就けることを祝し、聖地の大広間において衆神司歓呼のあまり、底抜け騒ぎの大祝宴が催され、大広間の中央には高壇を設けて、常世彦まづ登壇して新任の挨拶をなし、かつ、 『今より天使長の名称を廃し、八王大神と呼ばれたし』 と宣示したり。集まる諸神人は鬨の声を挙げて、その宣示を歓び迎へ、拍手喝采の声は聖地ヱルサレムも崩るるばかりなりき。これより八王大神の世界における声望は、旭日昇天の勢を示し、大神の一言はいはゆる鶴の一声となりて、遺憾なく実行さるることとなりける。八王大神は最早斯うなりては、国祖は第一に眼の上の瘤となり、すべてに対して厳粛不動なる御態度は、和光同塵的神策を行ふにあたり、非常に邪魔物となりたれど、頭無き身体は生命を保つこと能はざるがごとく、いづれかの有力の神人にして、かつ吾意に随ふ神人を戴かねばならぬことを悟りたるなり。ここに八王大神は、父の時代より常世城内深く奉戴し居たりし盤古大神塩長彦に望みを嘱し、盤古大神[※御校正本・愛世版では「盤古大神」だが、校定版では「天の大神」になっている。霊界物語ネットでは「盤古大神」にした。オニペディア「霊界物語の諸本相違点」参照。]の承認を得て国祖の地位に代らしめむとし、あらゆる手段をめぐらし、第一着手として八王八頭を説きつけしめたり。 しかるに万寿山の八王磐樟彦一派は頑としてその誑惑に応ぜざりける。ここに八王大神の悪心日に日に増長し、遂には八王八頭をはじめ八百万の神人を地の高天原なる聖地ヱルサレム城の大広間に集めて、露骨に国祖大神の御退隠を勧告し、国祖にしてこれを容れたまはざる時は、諸神人を率ゐて天の若宮に参向し、日の大神に直願せむことを提議したりける。 つぎに大八洲彦命、言霊別命、神国別命、桃上彦命、大足彦その他の正しき神人を根の国に追放し、かつ女性側としては高照姫命、真澄姫、言霊姫、竜世姫以下の神司を根の国に追放せむことを国祖大神に迫り、これまた聞き入れざれば、天上に坐す日の大神に奏願せむことを提議したり。 同じ邪霊に心魂を全部誑惑されたる神人は、一も二もなく満場一致をもつて、これに賛成したれば、八王大神は満面に笑をたたへながら、傲然として大手を振り、大宮殿に参入し国祖大神に謁して、まづ第一に、 『大八洲彦命以下の男神司および高照姫命以下の女神司を根の国に追放されむことを』 と奏請したりけるより、国祖大神は、大いに怒らせたまふもののごとく、黙して答へたまはざりけり。八王大神はなほも進ンで言ふやう、 『われ今世界の諸神人を代表して、世界永遠の平和のために善言を奏上す。しかるに大神は吾言を請容れたまはず、不平の色を面に表はしたまふは、天下諸神人の至誠を無視し、かつ天地の律法を自ら破りて憤怒の顔色を表はしたまふに非ずや。大神のみづから制定されし律法に言はずや、「怒る勿れ」と。しかるに、大神は自ら律法を制り、また自らこれを破りたまふ。律法の守りがたきは、固より大神制定の律法に無理を存すればなり。国祖大神にして自ら守ること能はざるごとき不徹底なる律法は、天下を毒し神人を誤らしむること多し。貴神はこの罪によつて、すみやかに根の国、底の国に隠退さるる資格十分に備はれり。われは今天地の真理によつて貴神に言明す』 天が地となり、地が天となり、桑田化して海となり、海は変じて山となる、乱暴極まる言辞を弄し、国祖大神をはじめ数多の侍神司をしてその言の高慢不遜と悪逆無道に舌をまかしめたり。 国祖は一言も答へたまはず、玉の襖を閉ぢて奥殿深く御姿を隠したまひける。アヽこの結果は、いかに落着するならむか。 (大正一〇・一二・二八旧一一・三〇外山豊二録) |
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霊界物語 | 04_卯_常世会議/国祖隠退/神示の宇宙 | 45 あゝ大変 | 第四五章ああ大変〔一九五〕 ここに八王大神は諸神人と図り、その一致的意見を集めて、天上にまします日の大神、月の大神、広目大神に、国祖の頑強にして到底地上世界統理の不適任なることを奏上すべく、天地を震動させながら数多の神人を率ゐて、日の若宮に参上り大神に謁し、国祖御退隠の希望を口を極めて奏上したり。 天上の大神といへどもその祖神は、国祖国治立命なれば、大いに驚きたまひ、如何にもして国祖の志を翻さしめ、やや緩和なる神業神政を地上に施行して、万神の心を和めしめ、従来のごとく国祖執権の下に諸神人を統一せしめむと、焦慮せられたるは、骨肉の情としては実にもつともの次第なりといふべし。 ここに天の若宮にます日の大神、広目大神および、月界の主宰神月の大神は、八王大神以下の神人に対し、追つて何分の沙汰あるまで下土に降りて命を待つべしとの神命に、唯々諾々として降り来たりける。[※「~命を待つべし」との神命を与えた。それを聞いた八王大神以下の神人は唯々諾々として降った──という意味だと思われる。霊界物語ネットでは御校正本・愛世版の文章の通りにしたが、校定版・八幡版では「ここに八王大神以下の神人は、天の若宮にます日の大神、広目大神および月界の主宰神月の大神から「追つて何分の沙汰あるまで下土に降りて命を待つべし」との神命に、唯々諾々として降り来たりける」と修正している。] アヽ国祖国治立命は、大宇宙の太祖大六合治立尊の神命を遵奉し、天地未分、陰陽未剖の太初より、大地の中心なる地球世界の総守護神として、修理固成の大業を遂行し、久良芸那す漂へる神国を統轄し、律法を厳行したまひける。されど大神の施政[※校正本では「施設」]たるや、あまりに厳格にして剛直なりしため、混沌時代の主管神としては、少しく不適任たるを免がれざりき。ゆゑに部下の諸神人は、神政施行上、非常なる不便を感じゐたるなり。さいはひ和光同塵的神策を行はむとする八王大神および、大自在天の施政方針の臨機応変にして活殺自在なるに、何れの神人も賛成を表し、つひに常世城に万神集合して、国祖の退隠されむことを決議するに至れるなり。 三柱の大神は地上世界の状況やむを得ずとなし、涙を呑ンで万神人の奏願を聴許せむとせられたり。されど一旦地上世界の主宰者に任ぜられたる以上は、神勅の重大にして、軽々しく変改すべきものに非ざることを省みたまひて、容易に万神人の奏願を許させたまはず、直ちに国祖に向つて少しく緩和的神政を行ひたまふべく、種々と言をつくして、あるひは慰撫し、あるひは説得を試みたまひける。 されど、至正、至直、至厳、至公なる国祖の聖慮は、三体の大神の御命令といへども容易に動かしたまはざりける。 三体の天の大神は、ほとんど手を下すに由なく、ここに、国祖の御妻豊国姫命を天上に招きて、国祖に対し、時代の趨勢に順応する神政を施行さるるやう、諫言の労を取らしめむとなしたまひぬ。豊国姫命は神命を奉じて聖地に降り、百方言を尽して、天津大神の神慮を伝へ、涙とともに諫言したまひたれど、元来剛直一途の国祖大神は、その和光同塵的神政を行ふことを好みたまはず、断乎として妻の諫言を峻拒し天地の律法の神聖犯すべからざるを説示して寸毫も譲りたまはざりける。 ここに豊国姫命は止むを得ずふたたび天上に上りて、三体の大神に国祖の決心強くして、到底動かすべからざることを奏上されたり。 時しも八王大神は、豊国姫命の後を追ひて、天上に登りきたり、天の若宮にます日の大神の御前に恭しく奏問状を捧呈して裁許を請ひぬ。日の大神は、八王大神の奉れる奏問状を御覧遊ばされて、御面色俄に変らせたまひ、太き息をつきたまひける。その文面には、 『国祖国治立命は、至厳至直にして律法を厳守したまふ神聖者とはまをせども、その実は正反対の行動多く、現に前代常世彦命、常世城に大会議を開催するや、聖地の従臣なる、大江山の鬼武彦にみづから秘策を授け、権謀術数の限りをつくして、至厳至聖なる神人らの大会議を混乱紛糾せしめ、つひに根底より顛覆せしめたまへり。吾らをはじめ、地上世界の神人は、もはや国祖を信頼したてまつる者一柱もなし。速やかに国祖を退隠せしめ、温厚篤実にして名望天下に冠たる盤古大神塩長彦命をして、国祖の神権を附与したまはむことを、地上一般の神人の代表として奏請し奉る。以上敬白』 地上の世界一般の神人らは、幾回となく天上に上りきたり、国祖大神の御退隠を奏請すること頻にして、三体の大神はこれを制止し、慰撫し、緩和せしむる神策につきたまひ終に自ら天上より三体の大神相ともなひて、聖地に降らせたまひ、国祖大神をして、聖地ヱルサレムを退去し、根の国に降るべきことを、涙を呑み以て以心伝心的に伝へられたりける。国祖大神は、三体の大神の深き御心情を察知し、自発的に、 『我は元来頑迷不霊にして時世を解せず、ために地上の神人らをして、かくのごとく常暗の世と化せしめたるは、まつたく吾が不明の罪なれば、吾はこれより根の国に落ちゆきて、苦業を嘗め、その罪過を償却せむ』 と自ら千座の置戸を負ひて、退隠の意を表示したまひける。 アヽ国祖は、至正、至直、至厳、至愛の神格を発揮して、地上の世界を至治太平の神国たらしめむと、永年肝胆を砕かせたまひし、その大御神業は、つひに万神人の容るるところとならず、かへつて邪神悪鬼のごとく見做されたまひ、世界平和のために一身を犠牲に供して自ら退隠の決心を定めたまひたる、その大慈大悲の大御心を拝察したてまつりて、何人か泣かざるものあらむや。 神諭に曰く、 『善一と筋の誠ばかりを立貫いて来て、悪神祟り神と申され、悔し残念、苦労、艱難を耐り詰めて、世に落とされて蔭に隠れて、この世を潰さぬために、世界を守護いたして居りた御蔭で、天の御三体の大神の御目にとまり、今度の二度目の天の岩戸を開いて、また元の昔の御用を致すやうになりたぞよ』 と示されたるごとく、数千万年の長き星霜を隠忍したまひしは、実に恐れ多きことなり。 さて三体の大神は国祖にむかつて、 『貴神は我胸中の苦衷を察し、自ら進ンで退隠さるるは、天津神としても、千万無量の悲歎に充たさる。されど我また、一陽来復の時を待つて、貴神を元の地上世界の主権神に任ずることあらむ。その時来らば、我らも天上より地上に降り来りて、貴神の神業を輔佐せむ』 と神勅厳かに宣示したまひけり。 ここに国祖大神は、妻の身に累を及ぼさむことを憂慮したまひて、夫妻の縁を断ち、独り配所に隠退したまひけり。国祖はただちに幽界に降つて、幽政を視たまふこととなりぬ。されど、その精霊は地上の神界なる、聖地より東北にあたる、七五三垣の秀妻国に止めさせたまひぬ。諸神は国祖大神の威霊のふたたび出現されむことを恐畏して、七五三縄を張り廻したり。ここに豊国姫命は、夫の退隠されしその悲惨なる御境遇を坐視するに忍びずして、自ら聖地の西南なる島国に退隠し、夫に殉じて世に隠れ、神界を守護したまひける。ここに艮の金神、坤の金神の名称起れるなり。豊国姫命が夫神の逆境に立たせたまふをみて、一片の罪なく過ちなく、かつ一旦離縁されし身ながらも、自ら夫神に殉じて、坤に退隠したまひし貞節の御心情は、実に夫妻苦楽をともになすべき、倫理上における末代の亀鑑とも称したてまつるべき御行為なりといふべし。 アヽ天地の律法を国祖とともに制定したる天道別命および、天真道彦命も八王大神のために弾劾されて、ここに天使の職を退き、恨を呑ンで二神は、世界の各地を遍歴し、ふたたび身を変じて地上に顕没し、五六七神政の再建を待たせたまひける。惟神霊幸倍坐世。 国祖大神以下の神々の御退隠について、その地点を明示する必要上、神示の宇宙を次章に述べ示さむとす。 (大正一〇・一二・二九旧一二・一出口瑞月) (第四四章~第四五章昭和一〇・一・二三於佐賀市松本忠左氏邸王仁校正) |
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霊界物語 | 05_辰_顕恩郷/天の浮橋/言触神 | 13 神憑の段 | 第一三章神憑の段〔二一三〕 東北の天より降りきたれる六面八臂の鬼神は、あまたの部下を引率し、盤古大神以下の飢餓に迫りて身体痩衰へ、あたかも葱を煮たやうにヘトヘトになつて、身動きも自由ならぬこの場に現はれ、鉄棒をもつて疲れ悩める神々を突くやら打つやら、無残にも乱暴狼藉のかぎりを盡し、連木で味噌でもするやうな目に遇はしてゐる。盤古大神以下の神人は、抵抗力も防禦力も絶無となつてしまつて、九死一生、危機一髪の悲境に陥る折しも、またもや忽然として暴風吹き起こり、岩石の雨は邪鬼の群にむかつて打ちつけた。あまたの鬼どもは周章狼狽しながら、雨と降りくる岩石に打たれて、頭を割り、腰骨を挫き、脚を折り、這々の態にて、負傷した鬼どもを各自小脇に抱へながら、東北の空さして雲を霞と逃げ失せた。しかるに不思議なことには、盤古大神部下の神人は一柱も負傷するものがなかつた。何れも顔を見合して、眼前の奇怪千万な光景に呆れるばかりであつた。 このとき、一陣の風サツと音して吹き来たるよと見るまに、大地に平臥して苦悶せし盤古大神も常世彦、常世姫も俄に顔色紅を呈し、元気は頓に回復し、立上つて両手を組みながら上下左右に身体を動揺させ、躍り上つて遠近を狂気のごとくに飛び廻つた。これは八頭八尾の大蛇と金毛九尾の悪狐の邪霊が、心身の弱り切つたところを見澄し、一度に憑依したからである。次々に他の神人も同様に元気を回復し、手を振り足を踏み轟かせ、遠近を縦横無尽に駈廻るその有様、実に雀の群に鷹の降りたる時のごとき周章かたである。彼方にも此方にも、ウンウン、ウーウーと呻るかと見れば、ヤヽヽヽヤツヤツヤツ、カヽヽヽヽシヽヽヽヽラヽヽヽヽヤツヤツカヽヽヽシヽラヽヽ、ヤツカシラヤツヲノ、ヲヽヽヽヽロヽヽヽヽチヽヽヽヽ、ヲロチヲロチと叫ぶのもあり、キヽヽヽヽキンキンキンキンモヽヽヽヽヽヽモウモウキユキユキユビヽヽヽヽキキキンモモモウキユキユキユウビヽヽヽキンモウキユウビのキヽヽヽヽツヽヽヽヽネヽヽヽヽキツネキツネキツネキツネと叫ぶ神人もできてきた。また一方にはクヽヽヽヽニヽヽヽヽトヽヽヽヽコヽヽヽヽタヽヽヽヽチヽヽヽヽノヽヽヽヽミヽヽヽヽコヽヽヽヽトヽヽヽヽ、クヽニヽノトヽコヽタヽチヽノヽミヽ、コヽトヽとどなる神人もあれば、ケヽヽヽヽケンゾクケンゾクケヽヽヽヽケンゾクケンゾクタヽツヽヤヽヽマワヽヽケヽヽ、ノヽヽミヽコトと口走つて、両手を組み、前後左右に跳ね廻り飛走るさま、百鬼の昼行ともいふべき状況である。常世姫は俄然立ちあがり、 『部下の神人たちよ、われこそは日の大神の分魂にして玉津姫大神なるぞ。このたび地の高天原をこのアーメニヤに移されしについては、世の初発より大神の経綸であつて、万古不易の聖地と神定められたり。盤古大神夫婦は、今日よりこの方の申すことに誠心誠意服従すべきものなり。只今より常世姫の肉体は玉津姫大神の生宮なるぞ。一日も早く立派なる宮殿を造営し、神定の地に神政を行へ、ウーン』 と呻つて天にむかひて打ち倒れた。 聖地ヱルサレムの天使言霊別の長子なる竜山別といふ腹黒き神人は、始終野心を包蔵してをつた。それゆゑ今回のヱルサレムにおける変乱にも、自己一派のみは巧みに免れ、邪神常世彦の帷幕に参じてゐた。彼は今また、このアーメニヤにきたり、神々とともにウラル山の中腹に登つて断食断水の仲間に加はつてゐた。たちまち身体震動し、顔色火のごとくなつて神憑りとなつた。彼には八頭八尾の大蛇の眷属、青竜魔が憑りうつり、 『アヽ有難いぞよ、勿体ないぞよ、この方こそは日の大神、月の大神であるぞよ。神人ども、頭が高い、頭が高い、大地に平伏いたせ、申し渡すべき仔細こそあれ。今日は実に天地開闢以来の目出度き日柄であるぞよ。眼を開いてこの方を拝んだならば、たちまち眼が潰れてしまふぞ。これからこの方の仰せを背いた神は、神罰立ちどころに致ると思へよ。この方は日の大神、月の大神に間違ひないぞよ』 と怒鳴つた。その声は百雷の一度に鳴り轟くごとくであつた。神人らは、一斉に、アヽヽヽヽリヽヽヽヽガヽヽヽヽタヽヽヽヽヤヽヽヽアリーガーターヤヽヽヤーと声を震はせながら涙を流して嬉しがつた。 中空に声あり、 『邪神に誑されなよ。今に尻の毛が一本もないやうに抜かれてしまふぞよ』 と聞えた。盤古大神は何思ひけむ、この場を逃げ去らむとするを、常世姫の神憑は、大手を拡げて、 『アヽ恋しき吾が夫よ、妾の申すことを一々聞かれよ』 と涙声になつて抱止めた。盤古大神は袖振払ひ、 『無礼もの』 と叱咤した。常世姫は柳眉を逆だて、 『畏くも日の大神の御分魂なるこの方にむかつて、無礼ものとは何事ぞ。汝こそは盤古大神とエラソウに申せども、この生宮のために今日神人らより崇敬さるるやうになりしを知らざるか、その方こそ無礼ものなり』 と毒づいた。ここに盤古、常世二神の格闘が始まつた。組んづ組まれつ互ひに挑み合ひ、互に上になり下になり、咆哮怒号した。あまたの神人は残らず邪神の容器となり、常世姫の肩を持ち、 『邪神の盤古盤古』 と一斉に叫びながら立上つた。アヽこの結果はどうなるであらうか。 (大正一一・一・七旧大正一〇・一二・一〇外山豊二録) |
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霊界物語 | 05_辰_顕恩郷/天の浮橋/言触神 | 14 審神者 | 第一四章審神者〔二一四〕 このとき竜山別はたちまち神憑りして、小高き丘陵に飛び上り、眼下に神人らを梟鳥の円き目玉に睨めつけながら、 『吾こそは日の大神、月の大神、国治立の大神なるぞ。ただいま常世姫に神憑りしたる玉津姫命の託宣を馬耳東風と聞きながし、剰つさへ雑言無礼を恣にしたる盤古大神塩長彦ははたして何者ぞ。汝は六面八臂の鬼神の魔軍に襲撃され、危急存亡の場合を八頭八尾の大蛇の神に救はれしに非ずや。神力無辺なる八頭八尾の大蛇の神の憑りきつたる常世彦の妻神常世姫の生宮にたいして、今の雑言聞き捨てならず。神界の規則に照らし盤古大神はこの場かぎり神界総統者の職を去り、その後任に八王大神を据ゑたてまつりなば、万古不易の神政は完全無欠に樹立さるべし。満座の神人ども、大神の言葉を信ずるや否や、返答聞かむ』 と呶鳴りつつ物凄き目をむき出し、口を右上方につり上げ、水ばなを長く大地に垂れながら、さも厳かに宣言した。あまたの神人は審神の術を知らず、日の大神はじめ尊き神の一度に懸らせたまひしものと信じ、頭を得上ぐるものも、一言の答弁をなすものもなかつた。盤古大神は空嘯きて満面に冷笑を湛へ、常世姫の面体を凝視し、鎮魂の姿勢を取つてゐた。 盤古大神の眼光に睨みつけられたる常世姫の神憑りは、左右の袖に顔をかくし、泣き声をふりしぼり、 『八王大神常世彦よ。いま盤古大神には、常世の国に年古く棲める古狸の霊、憑依してこの尊き神の生宮を無礼千万にも睨めつけをれり。神力をもつて速やかに彼を退去せしめ、貴下は盤古大神の地位に就かるべし。神勅は至正至直にして寸毫も犯すべからず、満座の神人異存あるや、返答聞かむ。かくも大神の言葉をもつて神人に宣示すれども、一言の応へなきは、汝ら諸神人は神の言葉を信ぜざるか、ただしは神を軽蔑するか。かよわき常世姫の生宮として、歯牙にかけざるごとき態度をなすは無礼のいたりなり。アーラ残念や、口惜しやな』 と云ひつつ丘陵上を前後左右に飛んだり、跳ねたり、転んだり、その醜態は目もあてられぬ有様であつた。常世彦は、やにはに常世姫の倒れたる前に進みいで、襟首を無雑作に猫でも提げたやうに引掴みて、右の片腕に高くさしあげ、大地に向つて骨も砕けよとばかり投げつけた。常世姫はキヤツと一声叫ぶと見る間に、邪神の神憑りはにはかに止んで、又もや、もとの優美にして温和なる常世姫と変つてしまつた。 かくのごとく種々の悪神たち、大神の御名を騙つて神人らに一度にどつと憑依せしは、数十日の断水断食のため身体霊魂ともに疲労衰耄の極に達し、肉体としては殆ど蚤一匹の力さへなくなつた。その隙をねらつて霊力弱き邪神が憑依したのである。すべて邪神の憑依せむとするや、天授の四魂を弱らせ、肉体を衰へさするをもつて憑依の第一方便とするものである。ゆゑに神道または仏道の修業者などが深山幽谷に分け入り、滝水にうたれ火食を断ち、あるひは断水の行をなし、または百日の断食などをなすは、その最初よりすでに妖魅邪鬼にその精神を蠱惑されて了つてゐるのである。ゆゑに神がかりの修養をなさむとせば、まづ第一に正食を励み、身体を強壮にし、身魂ともに爽快となりしとき、初めて至真、至美、至明、至直の神霊にたいし帰神の修業をなし、憑依または降臨を乞はねばならないのである。 総て神界には正神界と邪神界との二大別あるは、この物語を一ぺん読みたる人はすでに諒解されしことならむ。されど正邪の区別は人間として如何に賢明なりといへども、これを正確に審判することは容易でない。邪神は善の仮面を被り、善言美辞を連ね、あるひは一時幸福を与へ、あるひは予言をなし、もつて審神者の心胆を蕩かし、しかして奥の手の悪事を遂行せむとするものである。また善神は概ね神格容貌優秀にして、何処ともなく権威に打たるるものである。されど中には悪神の姿と変じ、あるひは悪言暴語を連発し、一時的災害を下し、かつ予言の不適中なること屡なるものがある。これらは神界の深き御経綸の然らしむる処であつて、人心小智の窺知し得べき範囲ではないのである。ゆゑに審神者たらむものは、相当の知識と経験と胆力とがもつとも必要である。かつ幾分か霊界の消息に通じてゐなければ、たうてい正確な審神者は勤まらないのである。世間の審神者先生の神術にたいしては、ほとんど合格者はないといつても過言に非ずと思ふのである。 却説、盤古大神の注意周到なる審神はよくその効を奏し、邪神はここに化の皮をむかれ、一目散にウラルの山上目蒐けて雲霞のごとく逃げ帰つた。されど一度憑依せし悪霊は全部脱却することは至難の業である。ちやうど新しき徳利に酒を盛り、その酒を残らず飲み干し空にしたその後も、なほ幾分酒の香が残存してゐるごとく、悪霊の幾部分はその体内に浸潤してゐるのである。この神憑りありしより、常世彦、常世姫、竜山別も、日を追ひ月を重ねて、ますます悪神の本性を現はし、つひには全部八頭八尾の大蛇の容器となり、神界を大混乱の暗黒界と化してしまつたのである。あゝ慎むべきは審神の研究と神憑りの修業である。 (大正一一・一・七旧大正一〇・一二・一〇加藤明子録) |
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霊界物語 | 05_辰_顕恩郷/天の浮橋/言触神 | 29 神慮洪遠 | 第二九章神慮洪遠〔二二九〕 天道別命、月照彦神以下の宣伝神選定され、各地に配置されてより、今まで天空を廻転しゐたる金銀銅の天橋の光は、忽然として虹のごとく消え失せ、再び元の蒼天に復し、銀河を中心に大小無数の星は燦然たる光輝を放射し出した。 時しも東北の天にあたつて十六個の光芒強き大星一所に輝き始めた。その光色はあたかも黄金のごとくであつた。又もや西南の天にあたつて十六個の星光が一所に現はれた。その光色は純銀のごとくであつた。地上の神人は、この変異に対して或は五六七聖政の瑞祥と祝し、あるひは大地震の兆候となして怖れ、あるひは凶年の表徴となし、その観察は区々にして一定の判断を与ふるものがなかつた。 忽ちにして蒼天墨を流せしごとく暗黒となり、また忽ちにして満天血を流せしごとく真紅の色と変じ、あるひは灰色の天と化し、黄色と化し、時々刻々に雲の色の変り行く様は、実に無常迅速の感を地上の神人に与へたのである。地は又たちまち暴風吹き荒み、樹木を倒し、岩石を飛ばし、神人を傷つけ、妖気地上を鎖すと見るまに、たちまち光熱強き太陽は東西南北に現出し、暑熱はなはだしく、地上の草木、神人その他の動物はほとんど枯死せむとするかと思へば、寒風俄に吹き来り、雹を降らし、雷鳴満天に轟き、轟然たる音響は各所に起り、遠近の火山は爆発し、地震、海嘯ついで起り、不安の念にかられざるものはなかつた。 「かなはぬ時の神頼み」とでも云ふのか、今まで神を無視し、天地の恩を忘却しゐたる地上の神人は、天を仰いで合掌し、地に伏して歎願し、その窮状は実に名状すべからざる有様であつた。烈風の吹き通ふ音は、あたかも猛獣の咆哮するがごとく、浪の音は万雷の一斉に轟くがごとく、何時天地は崩壊せむも計り難き光景となつて来たのである。 かくのごとき天地の変態は、七十五日を要した。このとき地上の神人は、神を畏れて救ひを求むるものあれば、妻子、眷属、財産を失ひて神を呪ふものも現はれた。中には自暴自棄となり、ウラル彦神の作成したる宣伝歌を高唱し、 『呑めよ騒げよ一寸先や暗よ 暗の後には月が出る 月には村雲花には嵐 嵐過ぐれば春が来る ヨイトサ、ヨイトサ、ヨイトサノサツサ』 と焼糞になつて踊り狂ふ神は大多数に現はれた。 そもそも七十五日間の天災地妖のありしは、野立彦神、野立姫神を始め、日の大神、月の大神の地上神人の身魂を試したまふ御経綸であつたのである。このとき真の月日の恩を知り、大地の徳を感得したる誠の神人は、千中の一にも如かざる形勢であつた。 大国治立尊は、この光景を見て大に悲歎の涙にくれたまうた。 『アヽわが数十億年の艱難辛苦の結果成れる地上の世界は、かくも汚れかつ曇りたるか。如何にして此の地上を修祓し、払拭し、最初のわが理想たりし神国浄土に改造せむや』 と一夜悲歎の涙にくれ給うた。大神の吐息を吐き給ふ時は、その息は暴風となつて天地を吹きまくり、森羅万象を倒壊せしむるのである。大神の悲歎にくれ落涙し給ふ時は、たちまち強雨となりて地上に降りそそぎ、各地に氾濫の災害を来す事になるのである。 大神はこの惨状を見給ひて、泣くにも泣かれず、涙を体内に流し、吐息を体内にもらして、地上の災害を少しにても軽減ならしめむと、隠忍し給ふこと幾十万年の久しきに亘つたのである。大国治立尊の堪忍袋は、もはや吐息と涙もて充され、何時破裂して体外に勃発せむも計りがたき状態となつた。 されど至仁至愛の大神は、宇宙万有を憐れみ給ふ至情より、身の苦しさを抑へ、よく堪へ、よく忍び、もつて地上神人の根本的に革正するの時機を待たせ給ふのである。されど御腹の内に充ち満ちたる神の涙と慨歎の吐息は、もはや包むに由なく、少しの感激にも一時に勃発破裂の危機に瀕しつつあつた。アヽ宇宙の天地間は、実に危機一髪の境に時々刻々に迫りつつある。 大神は多年の忍耐に忍耐を重ね給ひしより、その御煩慮の息は、鼻口よりかすかに洩れて大彗星となり、無限の大宇宙間に放出されたのである。一息ごとに一個の大彗星となつて現はれ、瞬くうちに宇宙間に数十万の彗星は、宇宙の各所に現はれ、漸次その光は稀薄となつて宇宙に消滅した。 されどその邪気なる瓦斯体は、宇宙間に飛散し、遂には鬱積して大宇宙に妖邪の空気を充満し、一切の生物はその健康を害し、生命を知らず識らずの間に短縮する事となつた。ゆゑに古来の神人は、短くとも数千年の天寿を保ち、長きは数十万年の寿命を保ちしもの、漸次短縮して今は天地経綸の司宰者たる最高動物の人間さへも、僅かに百年の寿命を保し難き惨状を来すことになつた。 アヽ無量寿を保ち、無限に至治泰平を楽しむ五六七出現の聖代は、何時の日か来るであらう。吾人は霊界における大神の御神慮と、その仁恵を洞察し奉る時は、実に万斛の涙のただよふを感ぜざるを得ない。 神諭に、 『恋し恋しと松世は来いで、末法の世が来て門に立つ』 と述懐されたる大国治立尊の御聖慮を深く考へねばならぬ。 (大正一一・一・一一旧大正一〇・一二・一四外山豊二録) |
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霊界物語 | 05_辰_顕恩郷/天の浮橋/言触神 | 33 暗夜の光明 | 第三三章暗夜の光明〔二三三〕 一行は先を争うて暗中摸索、島に駈上つた。山頂には一道の光明暗を縫うてサーチライトのごとく、細く長く海面を照らしてゐる。この島は地中海の一孤島にして牛島といひ、また神島、炮烙島と称へられた。現今にてはサルヂニア島と云ふ。またこの海を一名瀬戸の海と云ふ。 かつて黄金水の霊より現はれ出でたる十二個の玉のうち、十個までは邪神竹熊一派のために、反間苦肉の策に乗ぜられ、竜宮城の神人が、その持玉を各自争奪されたる時、注意深き高杉別は、従者の杉高に命じ、その一個たる瑠璃光色の玉を、窃にこの島の頂上なる岩石を打ち破り、深くこれを秘蔵せしめ、その上に標示の松を植ゑ、杉高をして固くこれを守らしめつつあつた。 しかるに天教山の爆発に際し、天空より光を放つて十一個の美はしき光輝を発せる宝玉、この瀬戸の海に落下し、あまたの海神は海底深くこれを探り求めて杉高に奉り、今やこの一つ島には十二個の宝玉が揃うたのである。かかる不思議の現象は、全く杉高がこの孤島に苦節を守り、天地の神命を遵守し、雨の朝、雪の夕にも目を離さず、心を弛めず、厳格に保護せしその誠敬の心に、国祖大神は感じ給ひて、ここに十一個の玉を下し、都合十二個の宝玉を揃へさせ、もつて高杉別および杉高の至誠を憫れませ給うたからである。これより杉高は高杉別と共に、この玉を捧持して天地改造の大神業に奉仕し、芳名を万代に伝へた。この事実は後日詳しく述ぶることにする。 咫尺を弁ぜざる暗黒の夜に、辛うじてこの島に打上げられたる神人らは、あたかも地獄にて仏に会ひしごとく、盲亀の浮木に取着きしがごとく、死者の冥府より甦りたるがごとく、枯木に花の開きしがごとく、三千年の西王母が園の桃花の咲きしごとき嬉しさと感謝の念に駆られ、祝部神が暗中に立ちて、 『三千世界云々』 の歌を謡ふ声を蛇蝎のごとく忌み嫌ひし神人も、ここに本守護神の霊威発動して、天女の音楽とも聞え、慈母の愛の声とも響いた。神人らは一斉に声を揃へて、祝部神の後をつけ、 『三千世界一度に開く梅の花云々』 と唱へ出した。 祝部神は、これに力を得て、又もや面白き歌を謡ひ始めた。 『世は烏羽玉の暗深く罪さへ深き現世の 神の不覚をとりどりに深くも思ひめぐらせば 海底深く棲む鱶の餌食となすも食ひ足らず 邪曲を助くる神心深く悟りて感謝せよ 海より深き神の恩恩になれては又もとの 深き泥溝にと投げ込まれ奈落の底の底深く 不覚をとるな百の神神の恵は目の当り 辺り輝く瑠璃光の光は神の姿ぞや 光は神の姿ぞや牛雲別も角を折り 心の雲を吹き払ひ心の岩戸を押別けて 神の光を称へかし牛雲別を始めとし 百の神人諸共に心の暗を照らせよや 心の暗の戸開けなば朝日眩ゆき日の光 汝が頭上を照らすべし朝日の直刺す一つ島 夕日の輝く一つ松常磐の松のその根本 千代も動かぬ巌の根に秘め置かれたる瑠璃光の 玉の光にあやかりて心の玉を磨くべし 三千世界の珍宝この神島に集まりて 十二の卵を産み並べ松も千歳の色深く 枝葉は繁り幹太り空に伸び行く杉高の 功績をひらく目のあたり高杉別の誠忠も 共に現はれ北の島蓬莱山も啻ならず この神島は昔より神の隠せし宝島 宝の島に救はれて跣裸で帰るなよ 神より朽ちぬ御宝を腕もたわわに賜はりて 叢雲繁き現世の万のものを救ふべし われと思はむ神等はわれに続けよ、いざ続け 言触神の楽しさは体主霊従の小欲に 比べて見れば眼の埃埃の欲に囚はれて 眼も眩み村肝の心曇らせ暗の夜に 暗路を迷ふ海の上心の波をなぎ立てて この世を造り始めたる神の御息の風を吸ひ 酸いも甘いも弁へてこの世を救ふ神となれ 神の力は目のあたり辺り輝く瑠璃光の 光は神の姿ぞや光は神の姿ぞや 東雲近き暗の空やがて開くる常磐樹の 松の根本に神集ひ千代万代も動ぎなき 堅磐常磐の松心この松心神心 神の心に皆復れ神の心に皆復れ かへれよ復れ村肝の心に潜む曲津神 大蛇や金狐悪鬼共国治立の大神の 御息の気吹に吹払ひ払ひ清めて神の世を 待つぞ目出度き一つ松心一つの一つ島 心一つの一つ島一二三四五六七八九十 百千万の神人よ百千万の神人よ それ今昇る東の空見よ空には真円き 鏡のやうな日が昇る心の鏡明かに 照らして耻づること勿れああ惟神々々 みたま幸はひましませよ三千世界の梅の花 一度に開く松の世の松に千歳の鶴巣喰ひ 緑の亀は此島に泳ぎ集ひて神の代を 祝ふも目出度き今日の空千秋万歳万々歳 千秋万歳万々歳 ヨイトサ、ヨーイトサ、ヨイヨイヨイトサツサツサ』 と祝部神の歌終ると共に、東天紅を潮して天の岩戸の開けし如く、日の大神は東の山の上に温顔を現はし、一つ島の神人らをして莞爾として覗かせ給うた。 ここに牛雲別は、危機一髪の神の試練に逢ひ、翻然としてその非を悟り、断然酒を廃し、かつ三千世界の宣伝歌を親のごとくに欣仰し、寸時も口を絶たなかつた。牛雲別は祝部神に帰順し、祝彦と名を賜はり、杉高はまた杉高彦と改名し、ここに三柱は相携へて、大神の宣伝使となつた。 しかして、この十二個の宝玉は、天の磐船に乗せ、玉若彦の神司をしてこれを守らしめ、地教山の高照姫命の御許に送り届けられた。惟神霊幸倍坐世。 (大正一一・一・一一旧大正一〇・一二・一四外山豊二録) |