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霊界物語 62_丑_讃美歌2 24 神瑞 第二四章神瑞〔一五九九〕 第四八二 一 大空ゆ黄金の鳩は下りけり 御文啣へて綾の聖地に。 二 御教と御名を広けく伝ふべく 天翔り往く八咫烏は。 三 永久に身は奥津城の墓を蹴り 白鳥となりて天翔りましぬ。 四 吹き棄つる伊吹の狭霧にあれませる 剣の御霊瑞の大神。 第四八三 一 生命の主はヨルダンの河瀬の波を押しわけて 聖き御園に来りまし天津御国の音づれを 委細に宣らす珍の声風のまにまに聞えけり 黄金の鳩は御空より神の御園の嫩葉をば 含みて清く下り来る神の選みし大聖地 都の空ぞ美しき。 二 栄えの園にいそいそと進み往く身は五十鈴の 河の流れに御禊して罪の跡なき神御霊 神の御足の跡を追ひ夜なき国へ上り往く 永久の備への為ぞかし 三 いと新しき奥津城の深きに隠れたまひたる 教御祖の霊は天津使に伴はれ 日の若宮に昇りまし老いず死らず喜びと 栄えに充てる楽園に御跡とどめて葦原の 下津御国の人草に恵の露を垂れたまふ あゝ惟神々々恩頼を給へかし。 第四八四 一 水仙の花は散れども惜むまじ 神の御園の種を残せば。 二 白雲にまがふばかりの花の山を 仇に散らすか醜の曲風。 三 故郷に帰りて如何に詫びぬべき 醜の嵐に散りし花の身は。 四 花とばかり輝く月にあこがれて 知らず知らずに神国に入る。 五 御空照る月の光のなかりせば 夜の旅路を如何に進まむ。 六 さやかなる月の御顔を拝まむと 出でにし庭に松の露散る。 七 科戸辺の風の姿は見えねども 真帆の孕みを眺めてぞ知る。 第四八五 一 皆人の眠りにつける真夜中に 醒めよと来なく山杜鵑。 二 千早振神の社の大前に 剣かざして大和舞する。 三 忍び音に啼く杜鵑声涸れて 今は血を吐くよしもなきかな。 四 風雅人の耳には入らぬ杜鵑 嘆きの声は杣人のみ聞く。 五 杜鵑声は御空に啼き涸れて 月の影のみ後に慄へる。 六 杜鵑啼く音を聞けばしかすがに 心悲しくもなりにけるかな。 七 山々を啼き渡りつつ杜鵑 賤が伏屋の空に来にけり。 八 清き友の寄りて仕ふる赤心を 雲井につげよ山杜鵑。 第四八六 一 足曳の山の彼方に月澄みぬ 仰ぎ慕へよ瑞の光を。 二 月の神闇を晴らして円山の 清き御空にのぼらせたまふ。 三 電燈の光も月の出でぬれば うとまれにけり道行く人に。 四 草の葉におく白露のいと清く 月の光の添ひて守れる。 五 夕立の雲晴れゆきて大空に 涼しき月の影さやかなり。 六 駒留めてしばし拝まむ円山の 珍の御空に輝く月を。 七 小雲川波も静に水の面に うつれる月の影は砕けつ。 八 水底に影をうつせし松ケ枝に 月は澄みけり魚も住みけり。 第四八七 一 天の河小雲の川にうつせしか 機織姫の衣を洗へる。 二 月沈む綾の大橋うちわたり 高天原にのぼる神人。 三 野辺に咲く花の姿にあこがれて 宿りたまふか月の大神。 四 奥山の紅葉の錦散らぬ間に 求ぎて来れよ鹿の鳴く音を。 五 三五の月の光を求ぎて来よ 草葉の露に袖ぬらすとも。 六 神の道踏み分けゆけば嬉し野の 木々の梢に宿る月影。 七 雲の上の貴人達に聞かせたし 谷間に歌ふ鶯の声。 第四八八 一 雁の便りも聞かぬ山の奥に 世を救はむと泣く人のあり。 二 澄み渡る秋の月影眺むれば 瑞の御霊の偲ばるるかな。 三 荒風に吹き捲られて白露に おく月影も散りてけるかな。 四 草の葉の露に宿れる月影を 醜の嵐の散らすうたてさ。 五 幾褥重ねてさへも寒き夜半 御空の月は霜に宿かる。 六 老いぬれど澄みきる月を眺むれば 又若がへりたる心地こそすれ。 七 花散りて見る影もなき梢にも 月は静に輝きにけり。 八 夕暮に悲しげに鳴く秋の虫の 声聞くごとに世をば果敢なむ。 第四八九 一 虫の音は早くも絶えて草枯れの 野辺にも清く月は照りぬる。 二 御教を聞きて袂を絞りつつ 露野を分けて参る嬉しさ。 三 白露の光目出度輝くは 月の御神の在せばなりけり。 四 賤ケ家の軒端の菊はしをれけり 唯一度の霜のいたみに。 五 山々の木草も如何に育つべき 清けき月の露なかりせば。 六 凩や時雨に脆く砕かれて 朝露に匂ふ紅葉散りぬる。 七 照りはえし高雄の山の紅葉も いつ木枯の吹かぬものかは。 八 高砂の尾上の松も秋の夜の 月しなければ淋しかるらむ。 第四九〇 一 御空飛ぶ高雄の山の紅葉も 色づき初めて冬近づきぬ。 二 変り往く色こそ見えね常磐山 紅葉の色もうつりけるかな。 三 澄み渡る月の桂は清くして 暗き高雄の峰を照らしつ。 四 晴れ曇り時雨往きかふ冬の空に 月の光はひとりさやけし。 五 日に月にうつろひ初めし紅葉の 果敢なく散らむ冬は来にけり。 六 日の光月の恵の露を受けて 唐紅に照れる紅葉。 七 神無しの月の御空は凩の 今吹かずとも紅葉散り行く。 八 千鳥鳴く声も激しき浪の音に 妨げられて聞かぬ時かな。 第四九一 一 室にさく千花の色は赤くとも 神の恵の薫りなきかな。 二 大本に参来集へる信徒は 一度汲めよ玉の井の水。 三 神垣の厳の光を白梅の 薫に心移ろひにけり。 四 袖なしの衣の胸に散る花は 常世の国の姿なりけり。 五 人恋ふる心に道はなきものを など醜鬼のさやるなるらむ。 六 飽きかけし夫婦の中も草枕 旅にし行けば又思ふかな。 七 膝元に仕へまつりし時よりも 恋しくなりぬ神の大前。 八 別れても亦逢阪の関の戸を 開かむ道を備へおかまし。 九 小雲川深き心はとめずとも 又慕はしくなるものぞかし。 (大正一二・五・一四旧三・二九於教主殿明子録)
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霊界物語 62_丑_讃美歌2 29 神洲 第二九章神洲〔一六〇四〕 第五三二 一 宮柱太敷建てし其昔を 偲ぶは一人われのみならず。 二 円山の姿はとみに変れども 御空の月はいよよさやけし。 三 新聞の記者の囁き腐鶏の 暁またで鳴きたつるかな。 四 円山の宮は再び建ちぬべし 打ち砕きたる醜の哀れさ。 五 醜弓のひきて返らぬ過ちに 的射外せし鬼のはかなさ。 第五三三 一 桶伏の山に八重雲棚曳きて 紫の空に月はかがよふ。 二 紫の御空を広くしめながら かがやき渡る円山の月。 三 本宮山木の葉のさやぎ静まりて 洗ふが如き夏月照れり。 四 礎の跡を照らして夏の月 恵の露の雨を濺げり。 五 只さへに清けきものを円山の 月にかがやく礎の露。 第五三四 一 円山の底津岩根に厳かに 昔を語る珍の礎。 二 円山の月にあこがれ登り見れば 露を三年の涙あふるる。 三 月清し礎清し円山の 木々の梢はいとど清しも。 四 金竜の池に浮べる魚族も 醜の嵐を恐れざりけり。 五 西東南ゆ北と醜神の 襲ひし昔も夢となりぬる。 第五三五 一 梓弓春の円山緑して 梢の露に月を宿せり。 二 人の世は百度千度移るとも 月は昔の姿なりけり。 三 限りある人の命は草におく 露の干ぬ間の朝顔の花。 四 円山にかかりし雲のあと晴れて 今はさやけき月を見るかな。 五 みちのくの月を見むとて来て見れば 聖地に劣りて濁れる心地す。 第五三六 一 照る月の光に変りなけれども 人の心の空はいろいろ。 二 円山に啼き残したる杜鵑 心悲しげに仇し野になく。 三 何人も御空の月はめづるものを 花に心を取られ往くなり。 四 仇花の茂り合ひたる仇し野に 色香妙なる白梅はなし。 五 皇神の深き恵を白梅の 花手折らむと仇し野彷徨ふ。 第五三七 一 照る月の真下に住めばわが影の いとも小さく見ゆるものかな。 二 月影の傾く時はわが影の いと長々しく見ゆるものなり。 三 小夜衣かけはなれても赤心の 通ひし友はなつかしきかな。 四 有難さに落つる涙の玉の神諭は わが永久の生命なりけり。 五 空包む夜の帳もあきの空に 輝く月の影の恋しさ。 第五三八 一 木の花の神の命の永久に 鎮まり居ます富士の神山。 二 瑞御霊厳島姫永久に 竹生の島に鎮まりたまふ。 三 高熊の峰に現れます玉照彦の 光輝く時は来にけり。 四 黄金なす峰の麓に現れし 玉照姫の御世となりぬる。 五 桶伏の山にひそめる杜鵑 五月の空を待ちつつ経るも。 第五三九 一 一箸の運びの間にも死の影は 人のまはりをつけ狙ひ居る。 二 もてなしのいと懇な昼食こそ 味も殊更美しきかな。 三 花かざす乙女の玉手にくめる湯は いと香ばしき薫り漂ふ。 四 日に月に清き心のます鏡 のぞくも嬉し金竜のうみ。 五 起き伏しの草の露にも輝きぬ 瑞の御霊の月の御影は。 第五四〇 一 大前に天のさかてを只一人 うつの山鳩下り来にけり。 二 大前の榊にかけし十寸鏡は 清けき神の心なりけり。 三 曇りなき鏡の面を眺むれば わが心根の恥かしきかな。 四 円山に昇る月影いと清く ミロクの御代を守りますらむ。 五 神代より清く流れし和知川の 水瀬に澄める秋の夜の月。 第五四一 一 巌窟をあけし鏡をたづぬれば 御空に澄める月と答へむ。 二 御剣も鏡も玉も瑞御霊 岩戸を開く宝なりけり。 三 神つ代の世の有様をたづねむと 月にとへども月は答へず。 四 地に降り草葉の露に身を寄せて むかしを語る月の大神。 五 榊葉にたれたる瑞の白木綿は 神も心をかけてや見るらむ。 (大正一二・五・一六旧四・一於教主殿明子録)
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霊界物語 62_丑_讃美歌2 30 神座 第三〇章神座〔一六〇五〕 第五四二 一 仰ぎ見る此世の月に比ぶれば 霊国の月は光妙なり。 二 登り行く足跡見れば惜きかな 真白に積める雪の円山。 三 谷水の流るるままにわが行衛 定めおきたし神にたよりて。 四 跡たれて幾世経ぬらむ水無月の 社の松も神さびてけり。 五 千早振る神代ながらの月影は わが玉の井の底に宿れる。 第五四三 一 天国の花をかざして大神の 御前を祀る天使等。 二 朝日照る桶伏山の神の丘に 光を添ゆる秋の夜の月。 三 朝日刺す月澄み渡る円山の 台は神の厳の御社殿。 四 今の世も後の世も亦皇神の 恵にたよる外なかりけり。 五 愛はしと皇大神もみなそこの すめる心をみそなはすらむ。 第五四四 一 万代に御栄光あれと朝夕に 祈る心を神は愛づらむ。 二 本宮山裾を流るる和知川の 水は此世のみそぎなるらむ。 三 小雲川並木の松も老いにけり 吾身も老いぬ神のまにまに。 四 二十五年神に仕へて漸くに 霊国の様を悟り初めけり。 五 二年や三年四年の宮仕へに いかで悟らむ神の経綸を。 第五四五 一 光をば和らげ塵に同はりて 世人を守る月の大神。 二 寝て祈り起きて祈りぬ愚なる 吾身に幸の永久にあれよと。 三 千早振る富士の高山雪清く 深きは神の心なりけり。 四 如意宝珠玉拾はむと千早振る 神の光に求ぎて行くかも。 五 玉鉾の道を歩める身ながらも 人は難波のよしあしを謂ふ。 第五四六 一 世の為と祈る真人ぞ尠けれ そこの心は吾が身の為のみ。 二 世を祈るわが真心に詐りの あら尊けれ神のみぞ知る。 三 罪穢あら人神の安かれと 朝な夕なに神前に祈る。 四 わが植ゑし常磐の松は繁りけり 三つの柱の幹を揃へて。 五 幾千代も忘れざらまし吾植ゑし 常磐の松に心とどめて。 第五四七 一 此松の栄ゆる如く教へ草の 永久なれと祈りつつ植ゑぬ。 二 死るとも此松ケ枝に魂かけて 五六七の御代を守らむとぞ思ふ。 三 霊ちはふ神の大道を歩む身は 世のうき事も楽しみと見る。 四 此道の堅磐常磐に動かざれと 石の玉垣仕へまつりぬ。 五 冴え渡る八雲小琴のすがかきを 神も愛でつつ聞し召すらむ。 第五四八 一 松ケ枝に桜の花に降る雨も 同じ御神の恵なりけり。 二 紅の花も清けき白梅も 同じ恵の雨に咲くなり。 三 神垣の風にしられぬ法燈は 根底の国まで照し行くなり。 四 消えやらぬ神の御前の燈火に 闇き心を照されて行く。 五 来て見れば思ひしよりも勝りけり 桶伏山の珍の聖地は。 第五四九 一 玉の井の水の面に心とめて 輝きにけり三五の月。 二 皇神の大道を歩む心しあれば 迷ひの暗もやすく晴れなむ。 三 山の上の池の心は仇なれや 氷も水も名のみ残れる。 四 名ばかりの水なき池に如何にして 月の姿の映るべしやは。 五 月の水たえてし無くば草も木も 如何で芽含まむ此地の上に。 第五五〇 一 皇神の教の真清水清ければ 流れ流れて世を洗ふなり。 二 玉の井の同じ清水を掬ぶ身は 瑞の御霊の永久の友。 三 三十年の厳の御霊の御教に まだ現はれぬ光見るかな。 四 薄雲におほはれ居たる月の光を 今も仰ぎぬ目無き司は。 五 薄雲の逃げ去り行きし後の月の 光に照りて慄ひ戦く。 第五五一 一 かりそめに説きおかれたる言の葉に 眼とどめて迷ふ人あり。 二 さまざまに説けども説き得ぬ言の葉を 聞かずして聞く人は稀なり。 三 曇りたる人の心を照さむと 厳と瑞との鏡かがやく。 四 情知らぬ春の嵐も神の里の 主ある花は避けて吹くらむ。 五 更生主再び下る世に会ひて 誠の神の教を聞くなり。 (大正一二・五・一六旧四・一隆光録)
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霊界物語 63_寅_伊太彦の物語 04 山上訓 第四章山上訓〔一六一一〕 玉国別の一行はスダルマ山の麓にて 伊太彦徒弟に立別れ焦つく如き炎天の 音の名高き急坂を汗をたらたら絞りつつ 迦陵嚬伽の鳴く声に慰められつ登り行く 見渡す限り野も山も緑彩どる夏景色 眺めも飽かず頂上に黄昏ちかき夕の空 漸く辿りつきにけり。 真純『お蔭によつて此急坂を漸く無事に登つて参りました。今夜は月を枕に草の褥、蒼空の蒲団を被つて安けき夢を結びませう。天空快濶一点の暗雲もなく、星は稀に月の光は吾等一行を照らし守らせたまふ有難さ愉快さ、旅をすればこそ、こんな結構な恵の露に霑ふ事が出来るのですなア』 三千『本当に愉快だ。スダルマ山の峠の頂上に月の光を浴びて寝ると云ふ事は、実に爽快の気分に漂はされる。四方の山野は宏く遠く展開し、西南方に当つてスーラヤの湖は鏡の如く月に輝き恰も天国のやうだなア。先生是からは下り阪、今晩は此処で寝む事に致しませうか』 玉国『本当に有難い事だ。此処で一夜の雨宿り、恵の露を浴びて霊肉共に天国に進まう。併し乍ら先づ第一に吾々の務めを果し、神様に感謝の言葉を奏上し、それから悠りと話でも交換して華胥の国に入らうぢやないか』 三千『さう願へば実に有難いです』 と茲に一同は声も高らかに、スダルマ山の谷々の木魂を響かせ天津祝詞を奏上し、終つて蓮の実を懐より出し夜食にかへ四方八方の話に時を移し、且つ歌など詠んで楽しんで居る。 玉国別『大空に輝く月も安々と 傾きたまへば軈て明けなむ。 此景色天津御国か楽園か 何に譬へむ術もなければ』 真純彦『スダルマの山の尾上に来て見れば いよいよ高き月の輝く。 真澄空星はまばらに輝けど 月のみ独り世を知し召す』 三千彦『大空に星はみちけり三五の 月の光も天地にみちぬ。 みちみちし神の御稜威を只一人 頂きにけり三千彦の胸に。 さりながら天津御空に照り渡る 玉国別の恵忘れじ』 治道『三五の神の司と諸共に 伊都のみやこに行くぞ楽しき。 村肝の心に宿る曲神も 逃げ散りにけり月の光に』 デビス姫『師の君の御跡慕ひて背の君と 漸く登りぬ恋の山路を。 見渡せば吾故郷は霞みけり テルモン山の雪のみ見えて』 治道『ベル、バット軍の司は今いづこ 早や泥棒となり果てし彼』 三千彦『吾が寝ねし隙を窺ひ抜足に 近よりバット首を掻かなむ。 心して今宵一夜は眠るべし ベルとバットの曲のありせば』 玉国別『ベル、バット如何に力は強くとも 吾には神の守りありけり。 身の外の仇に心を焦すより 吾身の中の仇を恐れよ』 デビス姫『皇神と吾師の君の在す上は 何か恐れむ露の夜の宿も』 真純彦『いざ来れベルもバットも曲津見も 生言霊に服へて見む。 大空に輝く月の影見れば 吾心根の恥かしくなりぬ』 斯く互に歌ひ終り、蓑を敷き雑談に耽つた。 治道『拙者の部下に使つて居たベル、バット其外の連中が軍隊を放れて猛悪な泥坊となり、四方に放浪して数多の人間を苦しめるのを思へば、早や私は立ても居ても居られないやうな苦しい思ひが致します。どうしても人間は境遇に左右せらるるものと見えますなア。吾々は自分の罪は申すも更なり、部下一同の罪を贖ふために将軍職を廃し、治国別様の御教によりて三五教の教の子となり、比丘となりてビクトル山に根拠を構へ同僚三人と共に交る交る天下を遍歴して居ますが、思へば思へば神様に対し恥かしい事です。かう云ふ部下が出来たのも全く私の罪で厶います』 と述懐を述べ、吐息をついて涙に沈む。玉国別は気の毒さに堪へやらぬ面持にて言葉静かに、 『治道居士様、必ず御心配なさいますな。現在親子の間でも、体は生んでも魂は生みつけぬと云ふ譬が厶います。決して貴方の罪では厶いませぬ。其人々の心の垢によつて種々と迷ふのですよ。吾々人間の精神といふものは、いつも健全なものでは無い。時々一時的の変調異常が起るものでこの異常には五つの型があるやうです。 先づ 第一は利欲に迷ふた時だ。利欲に迷ふた時は誰人も冷静な判断と周密な考慮を失ひ易いものだから、利を以て釣らるる事が多いものだ。たとへば他人の物品を預かつて居るやうな場合にフト「是が自分のもので在つたらなア」と云ふやうな心が浮ぶと、責任観念などが無くなり、それを自分が使つた場合の状態などに眩惑されて自分のものに為たり、また平生から欲しい欲しいと思つて居るものが眼の前にあると前後を考へる暇がなくなつて万引をしたりするやうに成る、これは言ふまでも無く副守先生の発動で、利益のために理智を塞がれ健全なる働きをせないといふ事に原因するものです。 第二の型は、強い強い刺戟に接した時だ。単純な蔭口位ゐ聞いても心を乱さない様な人間でも、面と向つて手酷しく痛罵されると、吾身を忘れて予期しなかつた行為をしたり、また普通の異性に対しては普通の態度が保たれ得る人間が、美しく化粧した異性の誘惑的な嬌態に接すると日頃の平静を破られやすいと云ふ様に同じ刺戟でもその程度によつて精神に異常な影響を与へる事がある。無論是等はその人間の先天的性質や後天的教養によつて程度の差が在ることは云ふまでもないが、副守先生の活動に原因する事が最も多いのである。又異常なる強烈な刺戟が人間の精神を異常ならしむると云ふ事は間違ひの無い事実だ。 第三の型は、焦心したり狼狽した時に起る精神の状態だ。こんな時には精神の活動が安静を欠いで居るので精神的の作業にしても、又肉体的の作業にしても過失や失敗を招き易いものだ。少々許りの失策を隠さうと為たために却て、その失策を大きくしたり、又少々の損失に狼狽した結果、大損失を招くやうな事をした事実は、能く世にあることだ。こんな時には副守先生の最も煩悶を続けて居た際である。 第四の型は、失意の時と得意の時だ。失意の時には精神の能率が減退して因循になり、消極的になつて努力を厭ふやうな傾きになり、得意の時には其反対に精神の能率が増進して快活になり、積極的になつて努力を惜まぬやうになるものです。従つて事業の成功と身体の健康慰安のある時と無い時、名誉を得た時と恥を受けた時とは其精神に及ぼす影響は全く正反対だ。そして精神が極端に沮喪した時は余り消極的になる結果、次第々々に社会生活の敗残者となり、極端に精神を発揚した時は積極に進み過ぎた結果、実力以上に仕事をするやうに成つて冒険的や独断的に走るやうに成るものだ。これも副守先生の活動の結果と云つても良い位なものです。 第五は迷信に陥つた時に起る精神状態だ。不健全なる信仰を持て居る人間は其他の方面の事物に就ては普通の判断を誤ることが無いにも拘らず、信仰の方面になると著しい誤解を来たすものです。従つてそれが難病治癒に関する場合であつても又利欲に関して居る場合であつても、冷静な判断や、前後の考へも廻らす余裕がなくなつて遂に、幼者を誘拐したり、死体を発掘したり、或は七夕の夕に七軒の家から物を盗む様になるのです。以上の外に婦人が妊娠、月経などの生理的原因に基いて、一時的に精神に異常を来すことは言ふまでも無いことです。それだから凡ての人間は狂人の未製品だ予備品だ、と言つたのだ。伊都の教祖や美都の教主而己が突発性狂人では無い。本正副守護神さまの容器たる人間は実に不可思議なものです』 治道『有難う御座います。貴師の御説に由つて拙者も漸く安心致しました。人間と云ふものは実に困つたものですなア』 三千『治道様、貴方も先生のお説で御安心なさつたでせう。私も一寸得心致しました。併し乍ら突張の無い蒼雲の天井の下に寝るのですから、何時頭の上に月が落ちて来て目を醒ますか、ベル、バットがやつて来て、玉を取るか分りますまいが、そこは惟神にまかして寝みませうか。比丘さまは経が大事、拙者は明日が大事だ』 治道『アハヽヽヽ。然らば御免蒙つて寝みませう』 茲に一同はスダルマ山の峠の頂上に、河も無きに白河夜船を漕いで眠つて仕舞つた。一塊の黒雲天の一方に起るよと見るまに忽ち満天に急速力をもつて拡がり、今迄皎々と照り輝いて居た月も星も皆呑んで仕舞つた。かかる所へ峠をスタスタと登つて来た二人の覆面頭巾の男があつた。此男は云ふ迄もなく、ベル、バットの泥棒である。二人は鼾の声を聞きつけ小声になつて、 ベル『オイ、バット、何だか暗がりに、フゴフゴと云つたり、粥を炊くやうにグツグツグツグツと云ふやつがあるぢやないか、こんな所に畚売りも登つて来る筈もなし、お粥を炊く婆も居る道理が無い。一体何だらうな、余りバットせぬぢやないか』 バット『これや、ベル、大きな声でシヤーベルない、バットせないのが俺達の豊年だ。此奴はどうしても人間の鼾だよ。一つそつと枕探しでもやつてボロつたらどうだ。こんなよい機会は又とあるまいぞ』 ベル『枕探しと云つても、こんな山の上に枕をして寝て居る奴も無いぢやないか、探さうと云つても真暗で一寸先も分りやしない。どうしたらよからうかなア』 バット『真暗の中を探すからまつくら探しだ、暗がりに仕事が出来ないやうな泥棒が何になるかい』 治道居士は横になつた儘一目も寝ず、玉国別一行の保護の任に当つて居た。夫故ベル、バットの囁き声を残らず聞いて居る。そんな事とは知らぬ両人は声低に尚も囁きを続けて居る。 バット『オイ、鬼治別将軍も、随分耄碌したものぢやないか。あれだけ権要な地位を放り出して身窄しい比丘となり、昨夜も昨夜とて祠の森に寝て居たぢやないか。いい馬鹿だなア。大方彼奴は発狂したのかも知れないねえ』 ベル『そんな事は云ふだけ野暮だよ。喇叭を法螺貝にかへ三千の部下を棄て、只一人墨染の衣を身に纒ひ殊勝らしく乞食に廻ると云ふのだから大抵極つて居るわ。あいつは治国別と云ふ極道宣伝使に霊をぬかれ、呆けて仕舞つたのだよ』 治道居士は一つ喝かしてやろうと、法螺貝を口に当て、ブウブウと吹き立てた。寝耳に水の法螺の声に二人は驚きドスンと其場に尻餅をつき慄い戦いて居る。治道居士は闇の中から細い作り声をしながら、 『諸行無常是生滅法、生滅滅已寂滅為楽』 と称へてみた。 バット『オイ、ベル彼奴は法螺の化者だ、俺達にわざをしようと思うてあんな事を吐きやがる。一つ此方にも武器があるのぢやから対抗せなくてはなるまい。かう云ふ時には悪事災難除けに大自在天大国彦命様のお助けを蒙るために陀羅尼を称へるに限つて居る』 ベル『泥棒が陀羅尼を称へても神様は聞いて呉れるだらうかなア』 バット『きまつた事だ。是から俺が化物に対抗して見るつもりだ。 イテイメーイテイメーイテイメー イテイメーイテイメーニメー ニメーニメーニメー ニメールヘールヘー ルヘールヘースッヘー スッヘースッヘースッヘー スッヘースヷーハー』 ベル『そりや何と云ふことだい。妙なことを吐くぢやないか。痛いわい痛いわい痛いわいなアんて』 バット『これは陀羅尼品の文言だ。是を義訳すれば、「是に於て斯に於て爾に於て氏に於て極甚に我無く吾無く身も無く所無し倶に同じくす己に興し己に生じ己に成じ而して住し而して立ち亦住す嗟嘆亦非ず消頭大疾加害を得る無し」と謂つて有難い御経だ。大病にも罹らず一切の難を受けないと云ふ呪文だ。今の比丘比丘尼どもは、「いでいび、いでいびん、いでいび、あでいび、いでいび、でび、でび、でび、でび、でび、ろけい、ろけい、ろけい、ろけい、たけい、たけい、たけい、とけい、とけい」と囀つて居るのだ。恰度油蝉が樹上に鳴いて居る様に聞こえるから、サンスクリットで唱えたのだ。アハヽヽヽ』 附記註解 陀羅尼品 経語義訳梵語 伊提履(於是)イテイメー 伊提泯(於斯)イテイメー 伊提履(於爾)イテイメー 阿提履(於氏)イテイメー 伊提履(極甚)イテイメー 泥履(無我)ニメー 泥履(無吾)ニメー 泥履(無身)ニメー 泥履(無所)ニメー 泥履(倶同)ニメー 楼醘(己興)ルヘー 楼醘(己生)ルヘー 楼醘(己成)ルヘー 楼醘(而住)ルヘー 多醘(而立)スッヘー 多醘(亦住)スッヘー 多醘(嗟嘆)スッヘー 兜醘(亦非)スッヘー №兜(消頭大疾無得加害)スッヘースヷハー ○ 法螺貝の声は益々高くなつて来る。玉国別外一同は直に夢を破られバットが称ふる陀羅尼の声を興味をもつて聞いて居た。治道居士頓に大きな声で、 『拙者は月の国ハルナの都に名も高き、バラモン教の神司、大黒主の神の幕下、鬼春別将軍のなれの果、今は三五教の信者治道居士と申す比丘であるぞよ。汝ベル、バットの両人早く心を入れ替へ、神の正道につけ』 と厳かに呼ばはれば、二人何となく其言霊に打たれて、『ハイ』と僅かに云つたきり其場に跼んで仕舞つた。黒雲の帳をやぶつて大空の月はパツと覗かせたまふた。一同の姿は昼の如く見えて来た。 治道『黒雲に包まれたまひし月影も 誠の光あらはしたまひぬ。 ベルバット心の雲を押し除けて 玉の光を研き照らせよ』 と詠みかけた。二人は恐る恐る慄ひ声にて、 バット『村肝の心の闇を照らすため 神の恵の燈火ともさむ。 今迄の深き罪咎赦せかし 元津御霊にかへる吾身を』 ベル『盗みする心は露もなけれども 醜の鬼奴に使はれけるかな。 鬼春別軍の君の御前に 拝む吾を赦させたまへ。 三五の清き教の神司 吾を許せよ神のまにまに』 治道『村肝の心の暗の晴れぬれば その身も明かく清まりぬべし』 玉国別『ベル、バット二人の男子に言告げむ 神は誠の恵なるぞや』 バット『有難し司の君の御言葉に 胸は晴れけり心澄みけり。 吾心バット明るくなりにけり 神の教の燈火に遇ひて』 ベル『大空の月に心を照らされて 心恥かしくなりにけるかな。 今迄は醜の曲霊にさやられて 黒白も分かず踏み迷ひけり』 治道『大空に輝く月の御姿を 心となして世を渡れかし』 三千彦『スダルマの山の尾上に仮寝して 今日はうれしき夢を見しかな』 真純彦『村肝の心の空は真純彦 かかるくもなき今宵の嬉しさ』 デビス姫『あら尊月の恵の輝きて 二人の御子の蘇生りぬる』 斯く話す所へ天空に嚠喨たる音楽聞え、月を笠に被りながら一行が前に雲押し分けて悠々と下りたまうた大神人がある。玉国別一同はこの神姿を見るより忽ち大地に平伏し感涙に咽んで居る。この神人は月の御国の大神に在しまして産土山の神館に跡を垂れたまひし、三千世界の救世主、神素盞嗚の大神であつた。大神は一同の前に四柱の従神と共に輝きたまひ、声も涼しく神訓を垂れたまうた。一同は拝跪して感謝の涙に暮れながら一言も漏らさじと謹聴して居た。 神素盞嗚の大神が山上の神訓 一、無限絶対無始無終に坐しまして霊力体の大元霊と現はれたまふ真の神は只一柱在す而已。之を真の神又は宇宙の主神と云ふ。 汝等、この大神を真の父となし母と為して敬愛し奉るべし。天之御中主大神と奉称し、又大国常立大神と奉称す。 一、厳の御霊日の大神、瑞の御魂月の大神は、主の神即ち大国常立大神の神霊の御顕現にして、高天原の天国にては日の大神と顕はれ給ひ、高天原の霊国にては月の大神と顕はれ給ふ。 一、愛善の徳に住するものは天国に昇り、信真の光徳に住するものは霊国に昇るものぞ。 一、此外天津神八百万坐しませども、皆天使と知るべし。真の神は大国常立大神、又の名は天照皇大神、只一柱坐します而己ぞ。 一、国津神八百万坐しませども皆現界に於ける宣伝使や正しき誠の司と知るべし。 一、真の神は、天之御中主大神只一柱のみ。故に幽の幽と称え奉る。 一、真の神の変現したまひし神を、幽の顕と称へ奉る、天国に於ける日の大神、霊国に於ける月の大神は何れも幽の顕神なり。 一、一旦人の肉体を保ちて霊界に入り給ひし神を顕の幽と称え奉る。大国主之大神及び諸々の天使及び天人の類を云ふ。 一、顕界に肉体を保ちて、神の大道を伝え、又現界諸種の事業を司宰する人間を称して顕の顕神と称へ奉る。 而して真に敬愛し尊敬し依信すべき根本の大神は幽の幽に坐します一柱の大神而已。其他の八百万の神々は、主神の命に依りて各その神務を分掌し給ふものぞ。 一、愛善の徳に住し信真の光に住し、神を愛し神を信じ神の為に尽すものは天界の住民となり、悪と虚偽とに浸りて魂を曇らすものは地獄に自ら堕落するものぞ。 斯く宣り終へたまひて以前の従神を率ゐて紫の雲に乗り大空高く月と共に昇らせたまふた。 玉国別『素盞嗚の瑞の御霊の御恵に 教の泉湧き出でにけり。 昔よりためしも聞かぬ御教を 居ながらに聞く事の尊さ』 治道『水火の中をかい潜り求ぎて往くべき道芝の 恵の露に濡れながらスダルマ山の頂上に 聞くも嬉しき御教あゝ惟神々々 神の恵を赤心に留めて感謝し奉る』 三千彦『大空ゆ瑞の御霊の下りまして 生命の清水与へたまひぬ』 デビス『夜の露うけて寝らう身の上に 注がせたまひし恵の御露』 真純彦『大空の雲押し分けて輝きつ 真澄の水の教を賜ひぬ』 治道『あら尊誠の神の御姿に 謁見まつりし吾ぞ嬉しき』 ベル『村肝の心の闇の晴れ往きて 誠の神の光に遇ひぬ』 バット『限りなき神の恵を悟りけり 悔改めて正道に入らむ』 茲にベル、バットの両人は心の底より悔改め、玉国別一行に従ひて聖地エルサレムを指して進む事となつた。あゝ惟神霊幸倍坐世。 (大正一二・五・一八旧四・三於教主殿二階加藤明子録)
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霊界物語 63_寅_伊太彦の物語 15 波の上 第一五章波の上〔一六二二〕 玉国別、初稚姫二人の乗り来れる二艘の船は伊太彦以下四人を分乗せしめ、スーラヤの湖面を西南に向つて走け出し、折柄の順風に真帆をあげてエルの港に進み行く。 初稚姫の船にはブラヷーダ、アスマガルダ、カークス、ベースが乗せられた。玉国別の船には伊太彦が只一人乗つて居る。 漂渺として際限もなき湖面を渡り行く退屈紛れにいろいろの成功談や失敗談に花が咲いた。真純彦は伊太彦に向ひ、 真純『伊太彦さま、随分お手柄で厶いましたな。まアこれで貴方も夜光の玉が手に這入つて御不足もありますまい。何と云つてもタクシャカ竜王を言向和すと云ふ勇者だから、到底吾々はお側へも寄れませぬわい』 伊太『いやもうさう言はれては面目次第もありませぬ。実の所ウバナンダ竜王は、拙者には神力が足らぬからお渡しせぬが、初稚姫様ならお渡しすると云つて散々文句言つて渡して呉れたのですよ。サツパリ今度は失敗でしたよ。アハヽヽヽ』 真純『然し伊太彦さま、貴方はブラヷーダとか云ふ奥さまが出来たさうですな』 伊太彦は真赤な顔をし乍ら、 伊太『いや、どうも痛み入ります。何程断つても先方が肯かないものですから、又親子兄弟の懇望によつて予約丈けはして置きました。然し乍らまだ正妻と云ふ訳には行きませぬ。兎も角先生のお許しを得なくちやなりませぬからな。ウバナンダ竜王が云ふには、伊太彦司は女に心をとられて居るから神力が弱つたと云ひましたよ。別に女等に心をとられては居ないのだが不思議ですな』 玉国別、三千彦は可笑しさを堪へて俯向いてクウクウと笑ふて居る。 真純『伊太彦さま、貴方に限つて女に心をとらるると云ふ筈はありませぬが、大方竜王の奴、岡嫉妬をして、そんな事云つて揶揄つたのですよ。本当なら初稚姫さまに渡すべき玉を貴方に渡したぢやありませぬか。ブラヷーダさまがお側に居ると思つて貴方に渡したのですよ。さう云へば何かお心に障るか知りませぬが、そこはそれ、奥さまの手前、竜王さまも気を利かしたのですわい。アツハヽヽヽ』 伊太『いえいえ決して決して、そんな訳ぢやありませぬ。到頭あの山の死線を越えて岩窟に這入つた所、神力が足らぬので一行五人とも邪気にうたれ、仮死状態に陥り、幽冥界の旅行と出掛け、ウラナイ教の高姫に会ふて一談判をやり、つまらぬ小理窟を振り廻し、暗い暗い原野を進んで行くと針の様な山にぶつつかり、それはそれはえらい目に会ひましたよ。そこへスマートさまが現はれ、次いで初稚姫様が現はれて高姫の守護神を追払ひ、再び現界へかへして下さつたのですよ。いやもう思ひ出してもゾツと致しますわ。「功は成り難くして敗れ易く、時は得難くして失ひ易し」とか云つて中々世の中は、うまく行かぬものですわい。知らず知らずに何時の間にか慢心し、夫婦気取りでやつて行つたのが私の失敗、高姫の奴に幽冥界に於ても大変な膏をとられましたよ』 真純『貴方は何故死線を越へて死生を共にした奥さまを初稚姫にお渡ししたのですか。あまり水臭いぢやありませぬか』 伊太『いいえ、エルの港迄お世話になつたのですよ。又船の中で貴方等に冷かされると困りますからな』 真純『いや伊太彦さまは三千彦さまの御夫婦に就いて揶揄つたので機を見るに敏なる伊太彦さまの事だから予防線を張つたのでせう』 伊太『アハヽヽヽ、それ迄内兜を見透かされては仕方がありませぬわい』 三千『伊太彦さま、随分冷かされるのは苦しいと見えますな』 伊太『三千彦さま、こんな処で敵討とは、ひどいぢやありませんか。いやもう貴方御夫婦の事は申しませぬ。何卒何事もスーラヤの水と消して下さい』 三千『決して敵討でも何でもありませぬよ。人に揶揄はれる時の御感想を承はり度いと思つた丈けですわ。然し先生、伊太彦さまの縁談はお許しになるでせうね』 玉国『三千彦さまの夫婦を承諾したのだからな』 伊太『ヤア先生、有難う厶います。そのお言葉でお許しを得たも同然と認めます』 玉国『まだ私は許して居りませぬ。然し乍ら結婚問題は当人と当人の自由ですから、そんな点までは干渉しませぬわい』 伊太彦はつまらな相な顔して頭を掻いて居る。治道居士はニコツともせず、目を塞ぎ腕を組み、此問答を一生懸命聞いて居る。バット、ベルも治道居士の傍に小さくなつて伊太彦の顔ばかり見つめて居る。 玉国別『神ならぬ玉国別は皇神の 結ぶ赤縄を如何で論争はむや。 伊太彦の神の司は皇神の 御言のままに従へば宜し。 皇神の任さし玉ひし神業を 遂げ終るまで心しませよ』 伊太彦『有難し吾師の君の御心は その言の葉に知られけるかな。 皇神の結ばせ玉ふ縁なれば 否むによしなき伊太彦の身よ』 真純彦『月の国ハルナの都に立向ふ 旅にも芽出度き話聞くかな。 言霊の軍の君も春めきて 花の色香に酔ひつつぞ行く』 三千彦『若草の妻定めてゆ何となく 心苦しく思ひつつ行く』 真純彦『苦しさの中に楽しみあるものは 妹背の旅に如くものはなし。 苦しみと口には云へど心には 笑みと栄えの花匂ふらむ』 デビス姫『真純彦神の司の言の葉は 妾の胸によくもかなへり』 真純彦『デビス姫その言の葉は詐りの なき真人の心なりけり』 治道『三五の神の大道に入りしより いつも心は春めき渡りぬ。 花と花月と月との夫婦連れ 花の都へ清くつきませ。 大空に冴えたる月の影見れば 笑ませ玉ひぬ今の話に』 伊太彦『大空の月の御神の笑ませるは 夜光の玉をみそなはしてならむ。 大空に夜光の月は輝きて 吾懐の玉に照りそふ。 ウバナンダ・ナーガラシャーの珍宝 吾懐に光らせ玉ふ。 願はくばこれの光を友として 常夜の暗を照らしてや行かむ』 艫に立つて船頭は艪を操り乍ら声も涼しく謡ひ出した。 『ここは名に負ふスーラヤ湖水 水の深さは底知れぬ。 底知れぬ神の恵と喜びに 会ふた伊太彦神司。 初稚の姫の命の玉の舟 さぞや見たからうブラヷーダ姫を。 ウバナンダ竜王さまの宝をば 乗せて漕ぎ行く此御船。 風も吹け波も立て立て竜神躍れ いつかなこたへぬ神の舟。 玉国別の神の司の居ます舟に 醜の悪魔のさやるべき。 スーラヤの山は霞に包まれて 今は光も見えずなりぬ。 夜光るスーラヤ山も伊太彦の 神の身霊に暗くなる。 これからは百里を照らした山燈台も 消えて跡なき波の泡。 月も日も波間に浮ぶスーラヤ湖水 今日は天女が渡り行く。 天人の列に加はる神司 嘸や心が勇むだらう。 漸くにエルの港が見えかけた かすかに目につくエルの山。 十五夜の月は御空に有明の 朝も早うから船を漕ぐ。 エル港越えて進むはエルサレム 一度詣り度や神の前。 朝夕に波のまにまに漂ふ俺は 何時も月日の水鏡見る』 毎晩光つて居たスーラヤ山も夜光の玉が伊太彦の懐に入つてからは光を失ひ、今船頭の謡つた如く唯一の燈台をとられて了つた。十六日の満月は東の波間より傘の様な大きな姿を現はして昇り初めた。 波に姿を半分出した時は丁度黄金山が浮いた様に見えて来た。 玉国別『金銀の波漂ひし湖の上に 黄金山の光輝く。 東の波間を昇る月影は 黄金の玉か夜光の玉か。 如意宝珠黄金の玉も及ぶまじ 波間を分けて昇る月影』 真純彦『空清く海原清き中空に 月はおひおひ円くなり行く。 月々に月見る月は多けれど 今宵の月は殊更清し』 三千彦『御恵みの露は天地に三千彦の 今さし昇る月の大神。 瑞御霊早くも月は波間をば 離れて御空にかかりましけり』 伊太彦『波間をば分けて出でたる如意宝珠 吾懐の玉に勝れる。 夜光る珍の宝珠も瑞御霊 昇り給へば見る影もなし』 デビス姫『真純彦三千彦司の守ります 珍の宝も月に如かめや。 月の国ハルナの都へ進み行く 旅路の空に清き月影』 治道『大空に昇り輝く月見れば 吾魂の恥しくなりぬ。 日は西に早や傾きて東の 波間を出づる珍の月影』 玉国別『西へ行く吾一行を見送りて 昇らせ玉ふか月の大神。 仰ぎ見る清き大空隈もなく 照らし玉ひぬ一つの玉に。 日は暑く月は涼しく澄み渡る 百の草木も露に生きなむ』 伊太彦『朝日は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも 仮令命は失するとも誠の神の御教に 任しまつりし吾々は如何なる枉の攻め来とも 必ず神の恵みあり歓喜竜王の岩窟に 一行五人進み入り邪気に襲はれ吾魂は 浮世にけがれし肉体を脱けて忽ち死出の旅 枯野ケ原をさまよひつウラナイ教の高姫が 醜の精霊に廻り合ひいろいろ雑多と論争ひ 揚句の果ては大喧嘩おつ初めたる恥しさ アスマガルダは鉄拳をかためて高姫打たむとす 流石の高姫驚いて裏口あけて裏山の 枯木林に身をかくし雲を霞と消えにける 吾等五人は勇み立ち凱歌あげし心地して 枯野ケ原をさまよひつ神の試練に会ひ乍ら 三五教の信仰を生命にかへて守りたる その報いにや神使スマートさまが現はれて 高姫司の守護神銀毛八尾の悪狐をば 追ひやり玉へば忽ちに四辺の光景一変し いと苦しみし吾身体俄に快くなりて 勇気日頃に百倍し天地の神に打向ひ 感謝祈願の太祝詞唱ふる折しも三五の 神の司の初稚姫が此場に現れましまして 吾等が迷ふ霊身を明きに救ひ玉ひけり 気をとり直し四辺をばよくよく見ればこは如何に 歓喜竜王の岩窟と判りし時の嬉しさよ ここに竜王は初稚姫の生言霊に歓喜して 多年の苦悶を免れしと喜び勇み幾度か 感謝の言葉奉り夜光の玉を伊太彦に 手づから渡し玉ひつつ別離の歌を宣りおへて 大空高く昇りけりあゝ惟神々々 神の恵の有難さ初稚姫に従ひて 海に通ずる岩窟の光を見当てに隧道を 探り出づれば有難や吾師の君は玉の舟 波打際に横たへて吾等を救ひ玉ふべく 待たせ玉ふぞ尊けれ朝日は照るとも曇るとも 月は盈つとも虧くるとも神の恵みと師の恵み 幾千代迄も忘れまじ思へば思へば有難や 大空清く海清く月亦清き玉の舟 清き真帆をば掲げつつ清けき風に送られて 清き教の司等と清き話を取交はし 珍の都へ指して行く吾身の上こそ嬉しけれ あゝ惟神々々御霊幸はひましませよ』 斯く互に歌を謡ひ或は雑談に耽り乍ら、翌日の東雲頃玉国別の舟はエルの港に着いた。早くも初稚姫は一行と共に上陸し玉ひてスマートを引連れ波止場に立つて一行の来るを待ち受け玉ひつつあつた。スマートは喜んで「ウワッウワッ」と鳴き立てて居る。 (大正一二・五・二五旧四・一〇於竜宮館北村隆光録)
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霊界物語 66_巳_オーラ山の山賊 13 恋の懸嘴 第一三章恋の懸嘴〔一六九五〕 サンダーは、泥棒の小頭ショール、コリ等の連中に手車に乗せられ、約一里計りの阪道を送られて大杉の麓の玄真坊の館の前についた。玄真坊はコリ、ショールに目配せすれば、態とに驚いたやうな顔をして、屋根からバラスをぶちあけたやうにバラバラと阪道を倒けつ転びつ逃げて往く。玄真坊は其所に立つて居るサンダーの美貌に見惚れながら態と素知らぬ顔をして、 玄真『アハヽヽヽ、小泥棒奴、此玄真坊が法力に恐れ、睨みに会うて驚愕し蜘蛛の子を散らすが如くに逃げよつた、アハヽヽヽ。てもさても困つた奴どもだなア。や、そこに厶るお女中、其方は彼等の為めに拐かされ此所迄担がれて来たやうだが、先づ先づ結構、玄真坊の威力と法力に依り小盗人共は其方に暴力を加ふることもせず逃げ去つたのは、全く吾が法力のいたす処、サアサア奥へお入りなさい』 サンダー『初めてお目にかかります。私はサンダーと申すこの村の里庄の娘で厶いますが、玄真坊様とやら云ふ活神様が当山に天降りたまひ、所在万民の困難をお救ひ下さると聞き、父母の目を忍び信仰の為め夜の道をトボトボ参りました所、何と申しても病気に難む身の上、足の運びも思ひにまかせず、当山の麓に於て夜が明けました。踏も習はぬ孱弱き女の足並、グツタリと疲れ果て、進退谷まつて路傍の石の上に息を休め、うつらうつらと居眠る折しも、盗人の群だと云つて現はれた十五六人の男、私に向つて云ふやう、「其女は吾々の親分ヨリコ姫の女帝様ぢやないか」とかう申ましたので、何事か分りませぬがつい諾いた処、私を大勢の者が舁ついで此処迄連れて来て下さつたのですよ、どうか玄真坊様に一目会はして下さいませぬか』 玄真『貴女のお尋ねなさる玄真坊と申すは拙僧で厶る。女の孱弱き身をもつて、ようまあ一人御参詣が出来ました、嘸お疲れでせう。どうか私の居間にゆつくりと、おくつろぎなさいませ』 サンダー『ハア、貴方様が噂に高き活神様、あの、玄真坊様で厶いましたか。偉い失礼を致しました』 玄真『アハヽヽヽ。やがて沢山の老若男女が参拝する時刻だから、私もこれから忙しいが、それ迄に御用の趣を聞かう。先づ私の居間にお出なさい』 サンダー『ハイ有難う厶います』 と、サンダーは立派な岩窟の中に姿を没した。室内には経机が一脚きちんと据ゑられ二三冊の金で縁を取つた経書が行儀よく飾られてある。一方の隅には払子や独鈷、金椀などの仏具が飾つてあつた。玄真坊は一種の色情狂である。三年間添うて来たヨリコ姫には見放され、その情によつて僅かに二の弟子となり、聊か不平な月日を送つて居た。そこで絶世の美人スガコを甘く誤魔化し、一室に閉ぢ込めて、吾欲望を達せむと、暇ある毎に口説立つれど、挺でも棒でも動かばこそ、いつも肱鉄や後足砲の乱射を受け、意気消沈して居た。其矢先ヨリコ姫よりもスガコよりも幾層倍増た、天稟の美貌を有するサンダーが訪ねて来たので、これ幸ひ天の与へと雀躍し、此度こそはあらゆる秘術を尽して戦ひ、天晴勝利の月桂冠を得むものと固唾を呑んで力みかへり、態とやさしき声にて、 玄真『其方はサンダーとか云つたね。当山へ女の身として唯一人物騒な夜の路を参詣して来るについては何か深い仔細があるであらう。三千世界の一切を救ふ私は救世主だから、遠慮会釈なく願ひ事はお話しなさい。如何なる事も貴女の願ひは聞き届けてあげるから』 サンダー『ハイ、仁慈の籠つた其お言葉有難う存じます。私には一人の妹が厶いまして、其妹が行方不明となりましたので、いろいろと手を廻し下僕共や村人に捜索して貰ひましたが何うしても所在が分りませぬ。承はりますれば、貴方様は天からお下り遊ばし、万民をお助け下さるとの事、夫故妹の所在もお尋ね申せば教て下さると思ひ、失礼ですけれどお尋ねに参つた次第で厶います』 と、どこ迄も女になり済まして居る。さうして……この生神が自分の男だと云ふ事を看破せないやうなら山子坊子だ、売僧だ。これやどこ迄も一つ、女に化けすまして居らねばならぬ……と、思案をして居たのである。玄真坊は細いまぶいやうな目をしてサンダーの顔をヂロリヂロリと見る其気分の悪さ。されどサンダーは……もしや吾恋するスガコ姫がこの坊主等の為めに計られて、どこかに隠されて居るのではあるまいか……と云ふ気が、咄嗟の中に起つたので、飽迄女でやり通さうと考へた。玄真坊は又、サンダーを天成の女と思ひ込み、夢にも男などとは気付かなかつたのである。 サンダー『あの修験者様、私は妹に会ひたさにお願ひに参つたので厶いますがどうでせう、遇はして頂く事は出来ますまいか。私の妹の名はスガコと申まして年は十八、この妹に遇はしてさへ頂けば、私はどんな御用でも否みませぬ』 玄真坊は、スガコがこの女の妹だと聞いて、胸に動悸を打たせ些しは驚いたが、元来の曲者、轟く胸をグツと押へ素知らぬ顔して、 玄真『アヽお前の妹はスガコと云ふのかな。ウン会はしてやらう。併し乍ら先づ妹に会はすについて、私にも交換的にお前に相談がある。それを聞いてさへ呉れれば法力をもつてスガコ姫を此処に引き寄せ、姉妹の対面をさして上げませう』 サンダーは、弥々此奴売僧と見て取つたので益々空呆け、 サンダー『師の君様、どんな御用で厶いますか。私の身に叶ふ事ならば、何なりと仰せつけ下さいませ』 玄真『ヨシヨシ、そんなら私の方から提案を持ち出さう。外でもない、拙僧は天の命を受け、天下救済の為めに此聖地に降つた者だ。夫については、最奥第一霊国の月の大神様より、今朝神勅が下り、今より半時の後汝に天成の美人を与ふる。其美人こそ最奥第一天国の姫神、玉野姫様の御化身だ。其方と時を移さず夫婦となり、神業に参加せよとの思召しで厶つた。其方も知らるる通り、拙僧は修験者の身の上、女房を持つとは、実に古来の旧慣を破るに似たれども、日進月歩、百度維新の今の世の中、神界の規則も変つたと見え、先づ拙僧より天下に模範を示すべく、霊魂の合うた夫婦を命ぜられたのです。お前さまが俄に此処へ参つて来たくなつたのも、お前さまに守護して厶る、玉野姫さまの精霊が導いて厶つたのですよ。お前さまも若い身をもつて、年の違ふ拙僧と夫婦となる事は、嘸驚くでせう。併し乍ら天の命は拒むべからず。サンダーさま、分りましたかな』 サンダーは余りの可笑しさに、吹き出す許り思はれるのをグツと耐へ、素知らぬ顔をして笑を含み乍ら、 サンダー『何事の御用かと思ひましたら思ひもかけぬ神縁の御説明、妾の如き汚れた肉体がどうして、尊き御身の妻となる事が出来ませう。そんな御冗談はやめて下さい、何うしても妾は信ずる事は出来ませぬ』 玄真坊はここぞ一生懸命と、全身の智勇を推倒し熱血を濺いで、身体を前に乗りだしサンダーの手をグツと握つて二つ三つ揺すり、 玄真『これこれお嬢さま、御不思議は尤も乍ら、決して神に偽りはありませぬよ。貴女は妹にも会ひ、又神界に於ける誠の夫に遇ふ事が出来るのですから、こんな幸福は有ますまい。貴女が天の命に従つて、私の妻にお成りなさるのなら屹度神様はお妹に遇はして下さらうし、又貴女が神様の思召しに背き、拙僧が妻となるのを否まるるに於ては、神様もお妹御に会はしては下さいますまい。サア、茲が思案の仕処だ、好い返事をするがよいぞや』 サンダー『不束なる、繊弱き経験なき妾に対し、神様か何か知りませぬが、有難い思召しをおかけ下さいますのは冥加に剰つて有難う存じます。併し乍ら妾は妹に先に会はして貰はねば、何と仰有つても御命令に従ふ事は出来ませぬ。信仰の浅き吾々、まだ貴方様に対して神様の御化身とも信ずる事が出来ませぬ。夫故絶対的服従も出来ないので厶います。併し乍ら今逢つてお目にかかつた許りの私、不思議の御神徳も見せて貰はないのですから、疑つて済みませぬが、どうか其所は大目に見て下さいませ』 玄真『今迄神のかの字も知らなかつたお前さまだもの、早速に信用出来ないのも無理とは云はぬ。併し乍ら、ここ迄大勢の人が御神徳を頂き、随喜渇仰して居るのだから、そこはそれ、神か神でないか賢明なる其女、推察したがよからうぞ』 サンダー『何うしてもスガコ姫に会はしては下さいませぬか』 玄真『天の命を聞かない其女には会はす事は絶対に出来ない。妹に会ひ度ば神の命を奉じ、拙僧と夫婦になりますか。拙僧だとて、年が寄つてから女房なんか持つのは迷惑だが、天の命には背き難く、国家万民の為め、今迄汚した事のない清浄無垢の此体を犠牲に供するのだ。未来のキリストとやらも十字架を背つて万民を救つたぢやないか、其女も世の為めに犠牲になる誠心はないか。夫では最奥第一の天国玉野姫の御霊とは申されませぬぞ』 サンダー『妾は玉野姫の御霊であらうが、狸姫の御霊で有らうが、霊界の事は些しも意に介しませぬ。唯々貴方様の御神徳によつて、妹に遇はして下さいますれば、それで満足で厶います。何うしても会はして下さらぬなら、是非がありませぬ、仰に従つて貴方の妻になりませう。併し乍ら妾は大切な生の母に別れてから僅かに六ケ月、忌中の身で厶いますから、一年結婚式をお延ばし下さい。それをお許し下されば此身体を神様に差上げます。否貴方の御自由に任します』 玄真『ア早速の御承知、満足々々。併しサンダー姫様、いや女房殿、さう固苦しく一年も待たないでも好いぢやないか。天の神様のお許しだもの、世は禁厭といつて形さへすればよいのだ。もう六ケ月も暮れたのだから、そんなにせなくても好からう。此夫に任して置いたら宜しからう。なア、サンダー姫』 と声の色迄かへて背を撫でる其嫌らしさ。 サンダー『もし、玄真坊様、貴方の妻になる事を約しました以上は、早晩結婚を致さねばなりますまい。どうか一時も早く妹に一目会はして下さいませぬか、屹度最愛の妻の願ひ事、聞いて下さらないやうな夫では厶いますまいなア』 玄真『ウム、会はしてやり度いは山々なれど、実の所はスガコ姫は、一寸俺に関係があるのだ。それだから第一夫人と、第二夫人が目をむき合ひ胸倉の掴み合ひをせられては、俺も一寸困るから会はさないと云ふのだ。会はしても、よもや嫉妬は致すまいな。嫉妬さへ無くば何時でも会はしてやらう』 サンダー『ハイ、有難う厶います。何と云つても元が姉妹ですもの、何、嫉妬なんかしますものか。仮令妹が気儘な事を申しましても、私が仲裁を致し貴方様の御意に添ふやう、取計らつて上げますわ』 玄真『エヘヽヽヽ、何でもお前は姉の権力をもつて、妹を説き付けて呉れると云ふのか、それは結構だ。実の所は吾女房とは云ふものの、スガコは、辷つたの、転んだのと云うて、まだ吾要求に応ぜないのだ。しかし其方はスガコに比ぶれば幾層倍の美人だ、其方の顔を見てから、スガコに対する恋着心もどこかへ往つて仕舞つたやうだ』 サンダー『可愛さうに、そんな水臭い事を仰せられますと妹が泣きますよ。ほんに水臭い旦那様だこと。妾だつて又妾に勝る美人が見つかつた時は、キツト又さう仰有るでせう。そんなことを思うと憎らしくなつて来ましたわ』 と、玄真坊の鼻を思ふざま捻ぢ上げた。玄真坊は現になつて居るのだから、眼から涙が出る所迄鼻を捻上げられながら、サンダーが惚れて居るのだと思ひ垂涎と涙を一緒に垂らし、 玄真『オイ、サンダー姫、何をするのだ。ほんに痛い目に会はすぢやないか』 サンダー『それやさうですとも、可愛さ剰つて憎さが百倍ですよ。早く妹に会ひ度いものだなア。妹に会つて思ふ存分鼻が抓つて見たいわ』 玄真『スガコだつて、さう鼻を抓んでは可愛さうだよ。どうか可愛がつてやつて呉れ。さうして悋気をしないやうにのう』 サンダー『何、貴方悋気をしてなりますものか。一方は可愛い可愛い夫、一方は可愛い可愛い妹ですもの、その可愛い妹を慰めて下さる夫は猶更可愛いなり、又可愛い夫を慰めて呉れる妹は猶々可愛いぢやありませぬか』 玄真『成程貴女は開けたものだ。天晴の女丈夫だ。愛の三角関係と云へば三方に角の立つて居るものだが、お前のやうに出て呉れれば三角関係も円満具足、望月のやうな立派な家庭が営まれるであらう。ヤ、目出度い目出度い』 サンダー『杵一本に臼二挺、これさへあれや立派な餅が搗けませう。 此よをば吾世ぞと思ふ望月の 虧げたる事のなしと思へば とか云ふ歌の通り、円満なホームを作つて楽しみませうよ。あゝ早く妹に会ひたいものだなア』 (大正一三・一二・一六旧一一・二〇於祥雲閣加藤明子録)
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霊界物語 73_子_太元顕津男の神の物語1 16 八洲の河 第一六章八洲の河〔一八四七〕 茲に月の大神の神霊瑞の御霊太元顕津男の神、栄城山を下り、大御母の神其他の諸神に送られて、神生み国生みの旅に就かせ給ふ。数百頭の麒麟は神々を背に負ひ乍ら、カコクケキの言霊清しく鳴り鳴り出でつつ諸神を送り、鳳凰の群は各々諸神を翼に乗せ、タトツテチの言霊を鳴り出でながら、東北の国原を指して夜を日に次いで進ませ給ふ。行き行けば前途に巍峨として高く聳ゆる秀嶺あり。顕津男の神は高く御手を差翳し秀嶺を望み給ふに、山頂より紫の雲気立昇り目もまばゆきばかりなり。 茲に顕津男の神は広く長く横はれる天の八洲河に麒麟諸共に立ち入り給ひ、白銀の如く輝く水瀬の中に立ちて御歌詠ませ給ふ。 『見渡せば紫の雲立ち昇る 遥の高根の荘厳なるかな』 大御母の神は直に謡ひ給はく、 『見はるかす春の高根は天界に その名も著き高照の山 高照の山は遥けく見ゆれども 吾には近き住所なりけり』 と謡ひ給ひて、永久に住み給ふ御舎の霊山なることを示し給へば、顕津男の神は威儀を正し双の手を拍ち合せ、タカの言霊を鳴り出で礼拝稍久しう為し給ふ。 顕津男の神は足下を流るる清泉を賞め讃へながら、 『いすくはし此の流は主の神の 天津真言のみたまなるらむ 霧雲の雨とかはりて足引の 山にくだちし恵の露かも 此の水は瑞の御霊のかげ写し 神代を照す真寸鏡かも 山川は清くさやけし我は今 八洲の河原に水鏡見つ 此水の滞りなく流るごと わが経綸を進ませ給へ 夕されば月の流るる八洲河の 清瀬に立ちてもの思ふかな 八柱の宿に残りし比女神に 此水鏡見せたくぞ思ふ 滞みなく千代に流るる八洲河の 清きは瑞の御霊なるらむ 母神の我に賜ひし珍の獣 逆さに写る此の水鏡よ 真清水の鏡に写し眺むれば 我も逆さに写りてあるも 百神の我宣る道を逆しまに 見るも宜なり瑞の御霊よ 八洲河の堤に生ふる常磐木は 我神業を明して立てるか 常磐木の松にかかれる天津日の 影清しもよ御空晴れつつ 照渡る天津日懸る常磐木の 松のこずゑに露光るなり 鳳凰は翼を揃へ世を謳ひ 麒麟は足を揃へて言祝ぐ 大御母神の恵みに我は今 八洲の河原の清瀬を渡る 主の神の恵の露に生ひ立ちし 麒麟に跨り国生みなさばや 神を生み国魂を生む神業を 助くる麒麟はわが宝なり』 斯く謡ひながら大御母の神の御後に従ひて八洲の河原の東の岸に安々着き給へば、諸神もわれ遅れじと一斉に岸に上らせ給ひ、 「ウーアー、ウーア」の厳の言霊宣り上げ給ふ。故天界の諸山諸川を初めとし、森羅万象悉く震動して言霊歌を謡ひ踊り狂ひ舞ふ。 大御母の神は麒上高く御声爽かに謡ひ給ふ。 『久方の天の八洲河安々と 渡らふ岐美の雄々しき姿よ そも此河を永久に 流るる清水真清水は 千早振る遠き宇宙の初めより 紫微天界の司の河と 称へ奉られ永久に 恵の露を流しつつ 世の雲霧を払ふべき 百の罪咎洗ふべき そも此の真清水は 瑞の御霊に主の神の 与へ給ひし生命の水よ 汝太元顕津男の神 此真清水を心とし 清き流れを教とし 四方の神々遺ちもなく もれなく救へ惟神 厳の言霊宣り上げて 主の神初め諸々の 神の御前に宣り奉る 天津日は照る照る月は冴ゆ 天に昇りて雲となり 雨とかはりて地にくだち 高山短山霑ほして 百谷千谷の細流を 一つに集めし神の河 流るる水は瑞御霊 四方の神々うるほして 永久の生命を与へます 生命の清水真清水よ 此の天界に八洲河の 流れあらずば如何にせむ 浜の真砂の数なせる 星の神霊は輝きて 天に花咲き地の上は 白梅匂ひ迦陵頻伽 清しく歌ひ鳳凰は 翼拡げて舞ひ遊び 麒麟は数多の神々を 背負ひ奉りて八洲の河 雄々しく清く渡らしぬ いざ是よりは高照山の 尾の上にかけ登り 貴の宮居を見立て奉り 主の大神の経綸に 仕へ奉らむ惟神 急がせ給へ百神よ』 と謡ひ終り、真先に立ちて麒麟の足許チヨクチヨクと御山を指して急ぎ給ふ。 (昭和八・一〇・一二旧八・二三於水明閣森良仁謹録)
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霊界物語 73_子_太元顕津男の神の物語1 21 禊の段 第二一章禊の段〔一八五二〕 高照山の大峡小峡より滴り落つる真清水は、茲に集りて滔々と落つる滝となり、淵となりつつ、高日の宮の清庭を右左に廻りて流れ居る。顕津男の神、如衣比女の神は、高照山の滝津瀬に禊せむとて館を立ち出で、下滝のかたへに立ち寄り給へば、水音轟々として千丈の高きより落ちくだち、四辺は滝のしぶき狭霧となりて真白く、容易に近づくべからざるの荘厳さなり。如衣比女の神は下滝の落つる水音にやや驚き給ひ、茫然として空を仰ぎ謡ひ給はく、 『久方の天津空よりくだつかと 思ふばかりのこの滝津瀬は 滔々と落つる水秀の滝壺に ちらばひくだけ霧となりぬる 立ちのぼる滝の狭霧に天津日は いろいろいろに映ゆる清しさ 天津日のくだり給ひし心地して 瑞の御霊と共に見るかな この滝の雄々しく落つる状を見て 瑞の御霊の功績をおもふ 下滝は高く清しも常磐木の 狭間すかして落つる水音 この滝の貴の言霊よく聞けば タタターと鳴る音の尊き ターターと落ちたきちつつ滔々と 滝壺深くなり響くなり 鳴り鳴りて鳴りも止まざる滝津瀬は 生言霊のあらはれなるらむ 高きより低きに落つる滝の如 国津神たち清めまつらむ 言霊の幸はふこれの神国に 生れてタカの言霊聞くも この滝は高天原と響くなり 吾みそぎせむ瑞の言霊 此滝は天津神国に懸りあれば 水の響きは四方にわたらむ』 顕津男の神は御歌詠ませ給ふ。 『滔々とみなぎり落つる下滝の 勢みれば我はづかしき 一滴も滞りなく落ちくだつ 滝はさながら神の心よ 下滝の落つるが如くさらさらに 心のくもり祓ひたくおもふ 千丈の高きゆ落つる滝水の 言霊高し地をゆすりつつ 言霊の助け幸はふ神国の 厳の力を目のあたり見し この淵の深きが如くこの滝の 高きにならふ心持たばや 落ち降ち鳴り鳴り止まぬ下滝の 水瀬の音に神の声あり 澄みきらふ貴の真清水朝夕に 鳴り鳴り止まぬ言霊清しも 常磐木の松は春風にそよぎつつ 滝の響きをささせ居るらし 非時に鳴る音高き下滝の かたへに立てば魂冷えわたる わが魂の冷えわたるまで佇みて 瑞の言霊楽しみ聞かむ』 かかる処へ大御母の神、明晴の神、近見男の神の三柱、両神の御後を追ひて茲に静々入り来りまし、天に懸れる下滝の荘厳さに打たれつつ、大御母の神は先づ謡ひ給ふ。 『下滝の高きは瑞の御霊かも 終日流れて国をうるほす 瑞御霊月の大神の神霊ぞと 朝夕われは称へまつるも 鳴り鳴りて朝夕を轟ける 滝の言霊吾を教ゆる 山高く谿また深く広くして この下滝はなり出でにけむ 見上ぐればみ空の雲の狭間より 落つるが如し高滝の水は 下滝の水瀬はゆくゑ白浪の 竜の宮居の海に入るらむ』 如衣比女の神はまた謡ひ給ふ。 『天わたる月大神の御恵みの 露の雫かこの高滝は 天わたる月にみたまを寄せ給ふ わが背の岐美の稜威尊き 滝津瀬の清きを見つつ思ふかな とどこほりなき岐美の心を 鳴り鳴りて幾千代までも響くらむ 月大神のいます限りは 立ち昇る霧を照して天津日の かげ紫に耀ひますも この霧は昇り昇りて雲となり 高照山を紫に染むるか 紫の雲よりくだつ滝なれば 吾はこれより身を滌ぐべし』 と謡ひ終り、悠然として滝壺近く寄り給ひ、滔々と落つる水の秀に身を打たせ、生言霊を宣り上げ給ふぞ雄々しけれ。顕津男の神もまた、滝の下に進み給ひて、強き水の秀を浴みて禊の業につかせ給ふ。 明晴の神はこの様を拝し奉りて謡ふ。 『勇ましき瑞の御霊の心かな 滝に打たせる二柱の神 滔々と雲より落つる下滝の 鳴音聞きても震はるるものを 神国を清め給ふと二柱 滝にかからすさまの尊き この滝の清きが如くこの淵の ふかき心を神は知るらむ この滝は顕津男の神この淵は 如衣の比女神永久に清しも』 近見男の神はまたも謡ひ給ふ。 『天国の世は近みつつ高照の 山の下滝鳴り響くなり 近く見れば雲より降ち遠く見れば 松の木の間ゆおつる下滝 白銀の柱を立てし如くなり 遠く離りて見る下滝は 常磐木の松に交らひ咲き匂ふ 百花千花を分け落つる滝よ 白梅の花の香清く匂ふなり この滝水を掬ひて見れば 白梅の清き教を世に流す 薫りも高きこれの下滝』 斯く謡ふ折しも顕津男の神は、滝壺を静々と出で給ひ、 『思ひきやこの滝壺は八千尋の 底をさぐれど果しなかりき 滝高く滝壺深きは主の神の ふかき心とさとらひにけり からたまも御魂も頓に清まりぬ めぐみの露の滝津瀬あみて この滝の清き心を我もちて この神国をうるほすべけむか』 大御母の神は、また謡ひ給ふ。 『滝壺の底を極めし岐美こそは げにや真の瑞御霊なる 比女神の姿は何れにましますか 心もとなし早現れませよ』 斯く謡ひ給へば、如衣比女の神の白き御姿は、波の上にぽかりと浮き上り給ひ、しづしづとのぼり来りて、 『背の岐美のみあと慕ひて八千尋の われは底ひをくぐりみしはや 八千尋の底をくぐりて主の神の 清き心をかたじけなみけり 朝夕にみたまからたまを清むべき この滝津瀬は吾師なりけり』 茲に五柱の神は常磐の木蔭に整列して、一斉に生言霊の神祝言を唱へ、しづしづとして、高日の宮の八尋殿に帰らせ給ひける。 (昭和八・一〇・一三旧八・二四於水明閣内崎照代謹録)
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霊界物語 73_子_太元顕津男の神の物語1 26 主神の降臨 第二六章主神の降臨〔一八五七〕 高照河の上流に、高くかかれる万丈の瀑布中津滝の淵に潜める大蛇は、大御母の神、真澄の神たちの天津真言の言霊によりて雲を起し雨を降らせつつ、大空高く逃げ去りたれども、妖邪の気は山の谷々を包みて、さしもに清き聖山も黒雲常に覆ひて時に暴風を起し、樹木を倒し宮居を破り、豪雨を降らして諸神を苦しめ、田畑を破り其害日に月に烈しくなりければ、高日の宮の神司は諸神を集めて、天地の害を除かむと大御前に厳めしく祭壇を新に造り、山の物、野の物、河海の種々の美味物を八足の机代に置き足はし、御酒御饌御水堅塩を奉りて国土平安の祈願を籠め給ふ。 顕津男の神は、邸内より滾々として湧き出づる玉の御池に身を滌ぎ、声も清しく大前に天津祝詞を奏上し祈り給ふ。其宣言、 『掛巻も綾に恐き、天津高宮に大宮柱太しき立てて鎮まり坐す主の大御神、天の峯火夫の大神の大御前を謹み敬ひ、遥に遥に拝みまつる。抑々これの紫微の天界は、大御神の大御言もて天津真言の言霊に生り出で給ひ、山野の草木は日に夜に栄え、百神達は美しき神代を楽しみ、朝夕の風も和やかに、降り来る雨もほどほどに、総ての物を浸しつつ、神の依さしの神国は全く茲に現れぬ。彼百神達は大御神の大神業を称へまつり、喜びまつりて麻柱の誠を尽し、紫微天界は日に月に弥広々く、弥開けに開け弥栄えに栄えける折しもあれ、高照山の峰高く、落ち来る滝の其中津滝に醜の大蛇の潜み棲みて、万の神々を害ひまつり、天に成るもの地に生ふるもの悉く其の禍を蒙らざるものなし。故ここをもて、百の神々をこれの斎場に神集ひ、天津真言の祝詞もて大御神の御心を和め奉り、四方の雲霧吹き払ひ神代の昔にかへし奉らむと、謹み敬ひ願ぎ申す。此有様を平らけく安らけく聞召し相諾ひ給ひて、我等が麻柱の誠を𪫧怜に委曲に聞し召し、これの神国は曲もなく汚れなく荒ぶる神は影ひそめ、真言の道に立ち帰り、共々に神国のため神業に仕ふべく、守らせ給へと高日の宮の神司、顕津男の神謹み祈り奉る』 と声も爽やかに太祝詞言宣り給へば、高照山の峰より、香しき風吹き起りて、妖邪の気は忽ち吹き払はれ、尾上を包みし黒雲は跡なく消えて紫の雲棚曳きわたり、天津日の光、月の光は皓々として地上に光を投げ給ふぞ畏けれ。忽ち四辺に微妙の音楽響き、紅白青紫黄色の旗を手に手に翳しつつ、八十の神達は主の大神の御尾前に仕へつ、高日の宮の清庭に悠然として天降ります尊さに、顕津男の神、大御母の神、大物主の神其他の諸神は宮の清庭に拝跪し、荘厳の神気に打たれ乍ら、謹み敬ひ迎へまつる。顕津男の神は恭々しく主の大神を三拝し、自ら御尾前に仕へまつり、高日の宮の至聖殿上に招ぎまつりける。 顕津男の神は主の大御神の降臨を拝しまつりて恐懼に堪へず、謹みの余り御声までも慄はせ給ひて恐る恐る御歌詠ませ給ひける。 『かけまくも綾に畏き主の神の 天降りますこそ尊かりける 高地秀の山を下りて我は今 神を生まむとここに来つるも 大神の生言霊に生り出でし 紫微天界はうまし神国よ 久方の高日の宮に天降りましし 主の大神の厳々しきかも 願はくはわれに力を賜へかし この神国を永久に守るべく 日を重ね月を閲してやうやくに 妖邪の空気は湧き出でにけり いかにして此の邪気をば払はむかと 主の大神の神言請ひける』 ここに主の大神は儼然として立たせ給ひ、左手に玉をかかへ右手に幣を左右左と打ち振りながら、厳かに宣り給ふ。 『言霊の天照る国よ言霊の 真言濁れば国は乱れむ 朝夕に生言霊の響なくば この天界は曇り乱れむ 言霊は総てのものの力なり 心清めて朝夕宣れよ 澄みきらふスの言霊の御水火より 正しき尊き神はうまれむ 濁りたる神の言霊世に凝りて 曲神達は生れ出づるなり 高照山醜の大蛇も神々の 言霊濁れる酬いとこそ知れ』 斯く大神宣を宣り終りて、主の大神は至聖殿上に消ゆるが如く神姿をかくし給ひぬ。茲に顕津男の神は朝な夕なに生言霊を宣りまつれども、わが霊魂のいづくにか曇り濁りのある事を悟りて大に悔い給ひ、百神達に向つて、心の丈をのべ伝ふべく御歌詠ませ給ふ。 『おほけなくも高日の宮の神司 百神達の御前に申さむ 久方の天より降りし主の神の 生言霊にわれ打たれける 朝夕を禊に霊魂清めつつ 未だ濁れるわが魂うたてき 如衣比女神去りしよりわが心 曇りしものか神代は曇りつ 主の神の教畏み今日よりは わが魂を洗はむと思ふ 主の神のわれにたまひし八十比女も ただ国生みのためなりにけり 恋すてふ心起りていたづらに 迷ひぬるかな比女神の前に 神を愛し神を恋ふるも誠心の ために非ずば世は乱るべし 八十比女を愛と恋とに泣かせつつ われつつしみの違へるを思ふ 凡神のそしりを恐れ身を安く 守らせむとせし事のうたてさ 百神よ心したまへ今日よりは われ主の神の神言に仕へむ 百神はいかに賢しくはかゆとも 神の依さしに我は違はじ』 と謡ひ給ひて顕津男の神は、主の大御神の大神宣のまにまに、国生み神生みの神業に仕へまつり得ざりし事を、わが心の汚きより出でしものと大に悔い給ひ、今後は凡神達如何に言はかり譏り合ふとも、自己の名誉を捨てて只管に神命に応へむと宣言し給ひしなり。茲に居列ぶ神々は主の大御神の神言を謹聴し、又宮司の宣言を諾ひ、己が小さき心の曇りより神業を妨害し居たる事を今更の如く悔い給ひて、先づ大御母の神よりお詫の言霊を宣り給ふ。 『主の神の依さしに生れし宮司の 神業知らざりし吾を悲しむ 如何ならむ神の妨げありとても 神業の為めには雄々しくませよ 百神の小さき心を押しはかり 主の神言に背きたまひし 吾も亦主の神言を悟らずて 凡神のごと思ひけらしな 岐美こそは天の依さしの神司 われ等に比すべき神におはさず 今日よりは心の駒を立て直し 岐美に仕へむ大御母の神は』 大物主の神は御歌詠まし給ふ。 『天渡る月の御霊の宮司 百神達のはかゆべしやは 主の胤を彼方此方にまくばらす 岐美の神業を知らざりにけり 日の神は日の神月は月の神 おのもおのもに神業ありける 凡神の誠をもちて大神を 議ゆる心の愚しさを思ふ 凡神の誠は月の大神の 真言に比して差別ありける 大神のよしと宣らする神業も 凡神の目に悪しと見ゆるも 凡神のよしと思ひし神業は 大神業の妨げとなりぬ 神々はそれ相当の職務あり 小さき神の議ゆべきかは』 茲に顕津男の神は、二神のわが神業をやや諒解したる事を喜び給ひて、御歌よまし給ふ。 『大御母大物主の言霊に 我は心もなごみ初めたり 今日よりは醜の囁き耳とせず 我おほらかに神前に仕へむ 如衣比女の姿に心暗まされ わが言霊は濁りたるらし わが神業諾ひたまふ神あれば 心の魂は曇らざるべし わが心曇れば忽ち言霊も 濁りて神代は乱れむとすも 恐るべきものは心よ言霊よ 朝な夕なに洗ひ清めむ』 斯くおほらかに宣示し給ひて、主の大神の賜ひしわが神業を明かにし、怯めず臆せず遂行せむ事を言挙げし給ひたるぞ、天界経綸発祥の基礎とこそ知られける。 (昭和八・一〇・一七旧八・二八於水明閣加藤明子謹録)
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大本神諭 神諭一覧 明治36年旧1月3日 明治三十六年旧正月三日 今度お役に立るのは、水晶魂の選り抜きばかり、神がうつりて参るぞよ。八百八光の金神どの、出雲の大社様は、日本をおかまいなさる金神、かねの神、竜宮能音霊女さまも御出で遊ばすぞよ。今迄霊魂を落して在りたが、世の変り目に神の御役に立てるぞよ。昔の神代に復すぞよ。外国印度も一つにするぞよ。一つの王で治めるぞよ。日の大神様と月の大神様の御差図で、鬼門の金神が此世の世話をいたすぞよ。
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大本神諭 神諭一覧 明治42年旧10月29日 明治四十二年旧十月二十九日陽暦十二月十一日 艮の金神国常立之尊変性男子の身魂がスックリ現はれて、世界の改造を致すから、是迄とは心の持方を薩張り更えて貰はんと、今迄の世の行方は、後も前も構はずに、尻を結ばずに為ておいて、行りさがしで在りたから、此様な難渋な世が参りたのじゃぞよ。此世に成るのは世の本から良く分りて居るから、此方が押し込められるのも時節で、天から何事も皆出来て来るのじゃぞよ。艮の金神が是だけ永らく苦労難難悔しい残念を堪りて来た事を、筆先では読みただけであるから、何んでも無いやうで在れども、我に実地が出て来ると叶はんに由って、今度の二度目の天の岩戸開きは、是まで行り放題に行りて来た守護神は、此後は大分辛うなるから、神と申すものは自分さえ良けりゃ良いではないぞよ。現世の生あるものは、良くして与るのが神であるなれど、世が逆様に反りて居りたから、良いと思ふて致して居る事が、実地の生神から見て居ると良くない事斗り、斯結構な日本の国は、少っとも変らぬ如うに清らかな国土に立別て置かねば成らん国を、外国の悪の強い悪神に汚されて了ふて、日本の国も外国と同じ事に成りて居るぞよ。清らかな霊主体従の日本の国は、基を固成なされた天の大神様月の大神様の、元の御艱難の思ひも致さず、地を固成るにも中々に困難でありたぞよ。元の神の思ひも致さずに万の神々も守護神、人民も、何んとも思はずに、自己よしの精神であるぞよ。世界の基が大略揃ふて、先づ安心と思へば、万の神々に艮へ押込められたのであるが、筆に記せば早いなれど、永い間の苦労でありたぞよ。斯世がくる事が能く分りて居りての、苦労艱難悔しき事も左程に苦にせずに来た御蔭で、時節まいりて思ふままの世になりたから、神も満足であるなれど、斯う成るまでには神にも堪れんドンナ行をも致して来たぞよ。艮の金神は世に落ちてドンナ行をも致して来たから、何を致しても左程に辛いと思ひは致さねど、辛いのは世界の人民の改心の出来んのが一番つらいぞよ。実地の神業をして見せても、実地の筆先をかいて見せても能う解けんから、止むを得ず世界に実地を為て見せねば成らぬぞよ。人民は実地に目に物を見せてやらねば改心が出来ず、実地が在りては成らず、是には神も閉口いたすぞよ。是でも改心を致さねばいたすやうにして世界の改造を致すから、世界に何事がありたとて、神と出口直とを恨めては呉れなよ。モウ此のままにモ暫時の間捨おいたなら、日本の国は一ころに為られて了ふて、○○の国はヂリヂリ舞を致す事に、モう直ぐに成るぞよ。世の元の生神が肉体有りて今に其ままで居るから、サア今じゃと云ふ処になったら、一寸の火水でうでくりかやして遣る仕組がして在るから、滅多に向ふの自由には、国は小さい国なれど、神界には深い経綸が致して在るから、日本の国は大丈夫であるぞよ。それで毎時神が申すやうに身魂の洗濯を致して、世界の洗濯を致そうと思ふたなれど、身魂の洗濯が何よりも骨が折るぞよ。一人の身魂の洗濯を言ひ聞かして直さうと思ふたら、世界中を改心させるのに末代かかりて言ひ聞かしても後戻りばかりで、元の水晶の身魂は出来は致さんぞよ。モウ延ばすだけは延ばしたなれど、言ひ聞かした位では到底改心の出来る身魂はないぞよ。世界に実地を是だけに為て見せてありても、聞く人民は今にないから、世界の身魂の立別けを始るから、人民は何れは吃驚いたすやうな事実が、此の後は、人心の悪き所から、あとあとの見せ示に今度は酷い事があるが、酷い所ほど御魂に借銭を余計に負ふて居るのじゃぞよ。身魂の悪るき事を為て居る国ほどひどい戒があるから、改心の出来る身魂は能く見て居じゃれよ。末代に一度よりない二度目の世の改造であるから、是までの世の改造とは大分違ふぞよ。余り勇みて暮しよると斯んな難渋な世が参りて来て、一度に改心を致さねば成らん事になるし、斯世を持つのは普通の身魂では世は持てんのじゃぞよ。是から国常立之尊が神界の世を持つと、放縦な事は誰にもさせんぞよ。行り放題の世の持方では日本の国は立ちては行かん、霊主体従の国であるから、日本魂の性来でないと立ては行かん大事の国を、斯様な見苦き事に致して、改造いたすにも骨の折れたことで在るぞよ。茲まで延ばしたのも少とでも世界の人民を良く致し度と思ふて延ばしたなれど、悪魔斗りの世に成りて居るから、誠の事を申して知らして与ると、千疋猿の譬と申すが、一分と九分とであるから、まだ九分の方から誠の道を作り代えて、日本の倭魂に戻す大本の教を、未だ邪魔を致すから、止むをえず世界には何れは気の毒があるなれど、仕組である如うに致んと、永うかかりて居りたなら、国も立たず一も取らず二も取らず、永い経綸も水の泡となるから、世界中の事であるから、何処から何が始まる知れんから、一日も早く改心致して下されよ。
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大本神諭 神諭一覧 大正3年旧7月11日 大正三年旧七月十一日 大国常立尊が表に現はれて、日の出の守護となるから、人民が各自に力一ぱい気張りて為て来た事が、皆天地の神から為せられて居りたと申事が、世界の人民に了解る時節が参りて来たぞよ。日の出の守護に成ると変生男子の霊魂が、天晴世界へ現はれて、次に変生女子が現はれて、女嶋男嶋へ落ちて居りた、昔からの生神ばかりが揃ふて、天晴世に現はれて、この泥海同様の世界へ水晶の元の生神が揃ふて、三千世界の立替を致すから、天地の岩戸が開けて松の世、神世と相成るぞよ。綾部の神宮坪の内の本の宮は、出口の入り口、龍門館が高天原と相定りて、天の御三体の大神が、天地へ降り昇りを為されて、この世の御守護遊ばすぞよ。この大本は地からは変生男子と変生女子との二つの身魂を現はして、男子には経糸、女子には緯糸の経綸をさして、錦の旗を織して在るから、織上りたら立派な紋様が出来て居るぞよ。神界の経綸を知らぬ世界の人民は、色々と申して疑へども、今度の大望は人民の知りた事では無いぞよ。神界へ出てお出ます神にも御存知の無いやうな、深い経綸であるから、往生いたして神心になりて、神の申すやうに致すが一番利巧者であるぞよ。未だ此先でもトコトンのギリギリ迄反対いたして、変生女子の行状を見て、悪く申して神の経綸を潰さうと掛る守護神が、京大阪にも出て来るなれど、モウ微躯とも動かぬ仕組が致して、神が付添ふて御用を為すから、別篠は無いぞよ。変生女子の霊魂は月の大神であるから、水の守護であるから、汚いものが参りたら直に濁るから、訳の判らぬ身魂の曇りた守護神は傍へは寄せんやうに、役員が気を附けて下されよ。昔から今度の世の立替の御用致さす為に、坤に落してありた霊魂であるぞよ。此者と出口直との身魂が揃ふて御用を致さねば、今度の大望は何程利巧な人民の考へでも、物事出来は致さんぞよ。此大本は世界に在る事が皆写るから、大本にありた事は、大きな事も小さい事も善き事も悪き事も、皆世界から出て来るから、変生女子をねらうものが是からまだまだ出来て来るから、確りと致して居らんと此中は治まらんぞよ。大事の経綸の身魂であるから、悪の霊がねらい詰て居るから、何処へ行くにも一人で出す事は成らんぞよ。変生女子は人民からは赤ン坊なれど、神が憑りたら誰の手にも合ん身魂であるぞよ。昔の元から見届けてありての、今度の大望な御用がさして在るぞよ。人民は表面だけより見えんから、何時も大きな取違いを致すが、是も最もの事であるぞよ。永らく大本へ来て日々御用に使はれて居るものでも、女子の事は取違いいたして、未だに反対いたして居る位であるから、何んにも聞かぬ世界の人民が、取違いをいたすのは無理も無いぞよ。斯う申すと亦訳の解らぬ守護神の宿りて居る肉体の人民が、肉体心を出して、出口は変性女子に抱込まれて居ると申すで在ろうが、其様な事の判らぬ艮金神出口直で在りたら、三千年余りての永らくの苦労が水の泡に成るから、滅多に見違いはいたさんぞよ。人民の智慧や学や考で、判るやうな浅い仕組はいたして無いぞよ。何方の身魂が一つ欠けても、今度の経綸は成就いたさんので在るから、世の元の根本から仕組みて、色々と化して居れば、自己の霊魂が汚いから、堅からも横からも、汚なう見えるので在るぞよ。変性男子の身魂も、変性女子の身魂も、三千世界の大化物であるから、霊魂に曇りの有る人民には、見当が取れんぞよ。此大化物を世界へ現はして見せたら、如何に悪に強い守護神も人民も、アフンといたして吃驚いたして、早速には物も能う言はん事が出来するぞよ。昔の根本の世の元から末代の世まで、一度あって二度ないと言ふやうな、大望な神界と現界の大立替であるから、アンナものがコンナものに成りたと申す経綸で在るから、人民では見当は取れん筈であれども、改心いたして神心に立復りた人民には、明白に能く判る仕組であるぞよ。世の変り目には変な処へ変な人が現れて変な手柄をいたすぞよと、明治三十一年の七月に筆先に書て知らして在りたぞよ。モウ現れる時節が近寄りたぞよ。
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大本神諭 神諭一覧 大正6年旧3月12日 大正六年旧三月十二日 ミロク様が天の御先祖であるぞよ。斯世を初め為された御先祖であるぞよ。月の大神様の昔から仕組なされた事は、何彼の時節が参りて来たから、天地の岩戸を開けて見せねば、何時まで言い聞かして居りても、人民に解らんから、モウ実地を初ると、如何我の強い守護神でも、改心せずには居れん事になるぞよ。吾妻の国は一と晴れの実りの致さぬ薄野尾。実り致さな国は栄えぬぞよ。大分思いの違う守護神が出来てくるぞよ。今迄の心を持ちて居りたら如何変る判らんから、此世の大将の守護神に日々、手と口とで永らくの間気が付けてありたぞよ。
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大本神諭 神諭一覧 大正7年旧10月29日 大正七年旧十月二十九日 艮の金神国常立尊が、明治二十五年から永らく出口直の体内を借りて、若姫君の尊と引添ふて変性男子と成りて、三千世界の世の立替の経綸を、筆先に書して知らしたなれど、後の立直しの筆先は未だかかして無いから、変性女子の体内を籍りて是から時節に応じて書すぞよ。世の立替は世の元から経綸いたして在る事が、一分一厘違はん、皆出て来る時節が迫りたのであるから、此経綸は変りは致さんなれど、世の立直しは人民の肉体を使ふて致さねば成らぬ事であるから、人民の改心次第で速くも成り、亦遅れも致すから、是から変性女子と役員が確かり致して下さらんと、中々大事業であるから、一寸の油断も寸暸も無いぞよ。二代の御世継は澄子に命令は下りて居るなれど、モウ少し立直しの筆先をかかねば成らぬから、変性女子の体内を借りて筆先を出すから、今迄のやうな筆先の見やう致して居りたら大きな間違いが出来いたすぞよ。此筆先は国常立尊が変性女子の体内を借りて知らすのであるから、男子にかかした筆先とはチットは筆の使い方が違ふなれど、神の経綸は毛筋も間違いは致さんから、其の覚悟で筆先を読みて、腹帯を緩まんやうに致して下されよ。 明治二十五年から大出口直の手を借りて、三千世界の大芝居が始まるぞよと申して知らしておいたが、一番叟、二番叟、三番叟も相済みて、いよいよ是から初段が始まるぞよ。初段、二段の始りて居る間に、世界の大本は皆揃ふて霊魂を研いて、何彼の準備を致して、三段目の立役者となりて、此の乱れ切った世界を尉と姥とで掃除致して、昔の元の水晶の松の神代に立直さねば成らぬから、是からは段々と因縁の御魂を綾部の大本へ引寄して、御霊を研かして、今度の二度目の世の立直しの御用に使ふ、末代の仕組が致してあるから、此大本の肝心の役員は真心から親切に御取次ぎを致して下さらぬと、好き嫌い在るやうな事では、折角神が綱を掛けて引寄した身魂を取逃すやうな事が出来いたすぞよ。此の大本は何事に由らず神界の命令通りに致さねば、途中で経綸が変りたら今度の事は成就いたさんぞよ。今度世の立直しが出来致さなんだら、世界はモ一つ乱れて潰れるより仕様はないぞよ。此世界を立直す尊い経綸の判る所は、綾部の龍宮館、地の高天原より外には無いから、我も私もと申して是からは金銀持って、御用に使ふて下されと申して来るもの斗りであれども、神の赦しなき人民の宝は受取る事は成らぬぞよ。汚れたものが一分混りても、今度は水晶の神代に致すには大きな邪魔に成るから、役員の人は充分気を付けて下され。変性男子の御魂国常立尊が女子の手を借りて念を押しておくぞよ。 世界は九分九厘と成りて、昔からの生神の経綸は成就いたしたから、変性男子若姫岐美尊は天に上りて守護いたすから、日の大神、月の大神、天照皇大神御三体の大神は、地へ降りまして今度の御手伝を遊ばすなり、艮の金神国常立尊は天地を駆廻りて世界一切を構ふなり、坤の金神は弥々奥役となりて地の神界を主護いたして三千世界を一厘の経綸で立直す役となりたから、是から天地の様子も世界の一切も大変りが致すのが迅いから、何程自我の強い人民でも、悪の強い邪神でも、改心いたさな成らんやうに、一日増しに変りて来るぞよ。昔から斯世初りてから未だ無き事がセングリセングリ出来いたすぞよ。珍らしき事も出来るぞよ。 艮の金神が出口直の娘を王子と八木へ遣りてありたのは、神の経綸であると申して、男子の手と口とで知らして在りたが、王子の梨木峠で、昔からの因縁に由りて、本田親徳と変性女子との面会をさして、女子に霊学を授けるやうに致したのも、王子の産土暗りの宮を仲立に致しての事でありたぞよ。澄子も王子へ暫く遣りて、幼い年から色々と人の能ふせん辛い目をさして在りたが、其時から変性女子に面会さして綱が掛けてありたので在るから、肉体は二代と夫婦に致して、坤の金神の奥役を為してあるぞよ。是も人民には一寸見当の取れん仕組であるぞよ。八木へ久子を遣りてあるのも、深い経綸であると申したが、明治三十一年の紅葉の色の真盛りに、八木からの頼みで変性女子が参りたのであるぞよ。変性男子は人民に百日の水行を命して、身魂を研いて水晶に洗濯いたす御役なり、変性女子は霊を以て人民の身魂を研く御役に拵らへてあるぞよ。其霊魂の因縁に由って、男子の旅立には、何時も大空が曇りて雨が降りたなり、女子の旅立には何時も火の守護で在るから、曇りた空も直に晴天となりたので在るぞよ。変性男子は肉体が水、霊体が火であるなり、女子は肉体が火で霊体が水であるから、男子の旅立には水の守護なり、女子の出立には火の守護と成りたのであるぞよ。変性男子の霊魂は天の役、夫の役なり、女子の霊魂は地の役、妻の御用であるぞよ。火と水との守護で、天地を開く火水の経綸であるから此の先は天と地との神の働きが明白に判りて来るぞよ。変性女子の身魂を明治三十二年の六月二十三日に、龍宮館の高天原へ引寄して、色々と気苦労をさして、身魂の荒研きを致さしたが、女子も余り我が強かりたので、改心さすのに十年掛りたが、明治四十二年の七月十二日から坤の守護に致して、大本の経綸の御用を命して来たぞよ。それでも末だ世の立直しの御用さすには、余り混りが有りて間に合はぬから、大正七年の七月十二日女子の肉体の誕生日から、此世の荒衣を脱がすために、七十五日の肉体と霊魂の大洗濯を致さしたぞよ。出口直は十三日の間食物を取上げたなれど、女子の肉体は余り曇りが激しいから、四十八日の間食物を取上げて、身魂に苦労をさして二度目の世の立直しの御用に使ふので在るぞよ。何事も皆神からの命令でさせられるので在るぞよ。変性女子の身魂を〆木に掛て、汚ない分子を吐出さしておいて、五十日目から国常立尊が坤の金神と引添ふて、女子の霊魂を世界中連れ廻りて、世の立直しの守護がさして在るぞよ。七十五日の床縛りが済みて、二日の間肉体を休まして、三日目には大本変性男子の肉体の最後の大祭を致させ、四日目は祖霊社の祭りを済まさせ、五日目には変性女子の口を借りて、大本の立直しの厳しき教えを、大本の役員信者に申聞かしてあるから、チットも間違いの無いやうに、是から此大本の中は心配りを致して下さらぬと、肝心の仕組が遅れるから、天地の神々様に申訳のない事になりて了ふぞよ。翌けて六日目、旧十月の三日、新の十一月六日の五つ時、神界の経綸が成就いたして、今度の世界の大戦争を一寸止めさして置いて、其晩の四つ時(十時三十分)に、天からの御迎で出口直は若姫君尊の御魂と引添ふて天へ上りたぞよ。是からは天の様子も明白に判り出すぞよ。一旦出口直は天へ上りたなれど、直の御魂は三代の直霊に憑りて地の御用を致すぞよ。直の御魂は天にありては国常立尊と引添ふて、大国常立尊大出口神となりて世界の守護を致すなり、地に降りては変性女子の身魂に国常立尊が憑りて、立直しの御筆先をかかすなり、出口直の御魂は木花咲耶姫殿の宿りた身魂の三代直霊に憑りて、直霊主尊となりて、地の神界の御用を致さす経綸が成就いたしたから、是からの大本の中は是までとは大変りが致すぞよ。今一寸大本の内部静かにあるから、世界も一寸の間だけは静かにあれど、此節分が済みたる大本も世界も何彼の事が喧ましう忙しうなるから、今の静かな中に、何彼の準備をいたして置かねば、俄に橡面貌を振らねば成らんやうな事になるぞよ。 大正七年旧十月二十九日、新の十二月二日、変性女子に憑りてしるしをく。
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伊都能売神諭 神諭一覧 大正7年12月2日 大正七年一二月二日 艮の金神国常立尊が、明治廿五年から永らく出口直の体内を借りて、若姫君の尊と引添ふて変性男子と成りて、三千世界の世の立替の経綸を、筆先に書して知らしたなれど、後の立直しの筆先は未だかかして無いから、変性女子の体内を藉りて是から時節に応じて書すぞよ。世の立替は世の元から経綸いたして在る事が、一分一厘違はん、皆出て来る時節が迫りたのであるから、此経綸は変りは致さんなれど、世の立直しは人民の肉体を使ふて致さねば成らぬ事であるから、人民の改心次第で速くも成り、亦遅れも致すから、是から変性女子と役員が確かり致して下さらんと、中々大事業であるから、一寸の油断も寸隙も無いぞよ。二代の御世継は澄子に命令は下りて居るなれど、モウ少し立直しの筆先をかかねば成らぬから、変性女子の体内を借りて筆先を出すから、今迄のやうな筆先の見やう致して居りたら大きな間違いが出来いたすぞよ。此筆先は国常立尊が変性女子の体内を借りて知らすのであるから、男子にかかした筆先とはチツトは筆の使い方が違ふなれど、神の経綸は毛筋も間違いは致さんから、其の覚悟で筆先を読みて、腹帯を緩まんやうに致して下されよ。 明治廿五年から大出口直の手を借りて、三千世界の大芝居が始まるぞよと申して知らしておいたが、一番叟、二番叟、三番叟も相済みて、いよいよ是から初段が始まるぞよ。初段、二段の始りて居る間に、世界の大本は皆揃ふて霊魂を研いて、何彼の準備を致して、三段目の立役者となりて、此の乱れ切つた世界を尉と姥とで掃除致して、昔の元の水晶の松の神代に立直さねば成らぬから、是からは段々と因縁の御魂を綾部の大本へ引寄して、霊魂を研かして、今度の二度目の世の立直しの御用に使ふ、末代の仕組が致してあるから、此大本の肝心の役員は真心から親切に御取次ぎを致して下さらぬと、好き嫌いの在るやうな事では、折角神が綱を掛けて引寄した身魂を取遁すやうな事が出来いたすぞよ。此の大本は何事に由らず神界の命令通りに致さねば、途中で経綸が変りたら今度の事は成就いたさんぞよ。今度世の立直しが出来致さなんだら、世界はモ一つ乱れて潰れるより仕様はないぞよ。此世界を立直す尊い経綸の判る所は、綾部の竜宮館、地の高天原より外には無いから、我も私もと申して是からは金銀持つて、御用に使ふて下されと申して来るもの斗りであれども、神の赦しなき人民の宝は受取る事は成らぬぞよ。汚れたものが一分混りても、今度は水晶の神代に致すには大きな邪魔に成るから、役員の人は充分気を付けて下され。変性男子の御魂国常立尊が女子の手を借りて念を押しておくぞよ。 ◎ 世界は九分九厘と成りて、昔からの生神の経綸は成就いたしたから、変性男子若姫岐美尊は天に上りて守護いたすから、日の大神、月の大神、天照皇大神御三体の大神は、地へ降りまして今度の御手伝を遊ばすなり、艮の金神国常立尊は天地を駆廻りて世界一切を構ふなり、坤の金神は弥々奧役となりて地の神界を主護いたして三千世界を一厘の経綸で立直す役となりたから、是から天地の様子も世界の一切も大変りが致すのが迅いから、何程自我の強い人民でも、悪の強い邪神でも、改心いたさな成らんやうに、一日増しに変りて来るぞよ。昔から斯世初りてから未だ無き事がセングリセングリ出来いたすぞよ。珍らしき事も出来るぞよ。 ◎ 艮の金神が出口直の娘を王子と八木へ遣りてありたのは、神の経綸であると申して、男子の手と口とで知らして在りたが、王子の梨木峠で、昔からの因縁に由りて本田親徳と変性女子との面会をさして、女子に霊学を授けるやうに致したのも、王子の産土暗りの宮を仲立に致しての事でありたぞよ。澄子も王子へ暫く遣りて、幼い年から色々と人の能ふせん辛い目をさして在りたが、其時から変性女子に面会さして綱が掛けてありたので在るから、肉体は二代と夫婦に致して、坤の金神の奧役を為してあるぞよ。是も人民には一寸見当の取れん仕組であるぞよ。八木へ久子を遣りてあるのも、深い経綸であると申したが、明治三十一年の紅葉の色の真盛りに、八木からの頼みで変性女子が参りたのであるぞよ。変性男子は人民に百日の水行を命して、身魂を研いて水晶に洗濯いたす御役なり、変性女子は霊を以て人民の身魂を研く御役に拵らへてあるぞよ。其霊魂の因縁に由つて、男子の旅立には、何時も大空が曇りて雨が降りたなり、女子の旅立には何時も火の守護で在るから、曇りた空も直に晴天となりたので在るぞよ。変性男子は肉体が水、霊体が火であるなり、女子は肉体が火で霊体が水であるから、男子の旅立には水の守護なり、女子の出立には火の守護と成りたのであるぞよ。変性男子の霊魂は天の役、夫の役なり、女子の霊魂は地の役、妻の御用であるぞよ。火と水との守護で、天地を開く火水の経綸であるから此の先は天と地との神の働きが明白に判りて来るぞよ。変性女子の身魂を明治三十二年の六月廿三日に、竜宮館の高天原へ引寄して、色々と気苦労をさして、身魂の荒研きを致さしたが、女子も余り我が強かりたので、改心さすのに十年掛りたが、明治四十二年の七月十二日から坤の守護に致して、大本の経綸の御用を命して来たぞよ。それでも未だ世の立直しの御用さすには、余り混りが有りて間に合はぬから、大正七年の七月十二日女子の肉体の誕生日から、此世の荒衣を脱がすために、七十五日の肉体と霊魂の大洗濯を致さしたぞよ。出口直は十三日の間食物を取上げたなれど、女子の肉体は余り曇りが激しいから、四十八日の間食物を取上げて身魂に苦労をさして二度目の世の立直しの御用に使ふので在るぞよ。何事も皆神からの命令でさせられるので在るぞよ。変性女子の身魂を〆木に掛て、汚ない分子を吐出さしておいて、五十日目から国常立尊が坤の金神と引添ふて、女子の霊魂を世界中連れ廻りて、世の立直しの守護がさして在るぞよ。七十五日の床縛りが済みて、二日の間肉体を休まして、三日目には大本変性男子の肉体の最後の大祭を致させ、四日目は祖霊社の祭りを済まさせ、五日目には変性女子の口を借りて、大本の立直しの厳しき教えを、大本の役員信者に申聞かしてあるから、チツトも間違いの無いやうに、是から此大本の中は心配りを致して下さらぬと、肝腎の仕組が遅れるから、天地の神々様に申訳のない事になりて了ふぞよ。翌けて六日目、旧十月の三日、新の十一月六日の五つ時、神界の経綸が成就いたして、今度の世界の大戦争を一寸止めさして置いて、其晩の四つ時(十時三十分)に、天からの御迎で出口直は若姫君尊の御魂と引添ふて天へ上りたぞよ。是からは天の様子も明白に判り出すぞよ。一旦出口直は天へ上りたなれど、直の御魂は三代の直霊に憑りて地の御用を致すぞよ。直の御魂は天にありては国常立尊と引添ふて、大国常立尊大出口神となりて世界の守護を致すなり、地に降りては変性女子の身魂に国常立尊が憑りて、立直しの御筆先をかかすなり、出口直の御魂は木花咲耶姫殿の宿りた身魂の三代直霊に憑りて、直霊主尊となりて地の神界の御用を致さす経綸が成就いたしたから、是からの大本の中は是までとは大変りが致すぞよ。今一寸大本の内部が静かにあるから、世界も一寸の間だけは静かにあれど、此節分が済みたる大本も世界も何彼の事が喧ましう忙しうなるから、今の静かな中に、何彼の準備をいたして置かねば、俄に橡面貌を振らねば成らんやうな事になるぞよ。 大正七年旧十月廿九日、新の十二月二日、変性女子に憑りてしるしをく。
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伊都能売神諭 神諭一覧 大正8年1月2日 大正八年一月二日 釈迦は照寺、五十鈴川曇る、愛の月照弥満朝雨が降る。仏が栄えて、何処も彼所も寺ばかりで、肝腎の天照皇太神宮の御宮まで、一旦は奥の院に阿弥陀仏を祭り込み、大神様を有る甲斐なしに致して、日本の国魂までも曇らして了ふて、其の国魂の精を享けて生れた神国の人民は、大神の御神体なる八咫御鏡言霊までが曇りて来たので、其れから生れた人民が天気の小言を申すやうに成りて、段々と天地を曇らして来たから、何時も天災地変の起り詰であるぞよ。天地の変災は皆人民の心と言霊が濁りて居るから、一年増しに多くなる斗りであるから、日本の言霊の幸ひ天照る国の人民は、第一番に心の立替立直しを致して言霊を清め、善言美詞を用ふて、天地の神様と人民の心を和げん事には、何時迄も天災地変が治まると云ふ事はないぞよ。今の人民は一人も善言美詞を使ふものは無い斗りか、日夜に人の悪口斗り申して歓こび勇み、何んど悪事醜行が新聞にも出ては来んかと、夫れ斗りを待ちて居る曇りた人民斗りで、外国人よりも精神が悪く汚れて居るから、天に坐します大神様が堪忍袋を切らし遊ばして、何うしても世の立替を一度に致さねば成らぬと申されるのを、艮の金神が是まで開けた世界を潰されては、何にも知らぬ人民が可愛相なり、一人なりとも改心さして残してやりたいと思ふて、天の御先祖様に日時を延ばして戴き、斯世を潰さずに大難を小難に祭り替て下さるやうに、大出口直の体内に憑りて今迄御詫をいたして居りたなれど、今の守護神人民が一寸も聞いて下さらぬから、止むを得ず艮の金神変性男子大出口の神は、手を曳きて天へ帰りて守護を致すやうに成りたから、世界に何事が出来致しても、艮の金神と大出口の神に不足は申されまいぞよ。二十七年に渡りてクドウ気を付けておいたぞよ。いよいよ仁愛神様の御出ましに成りて、月の大神様の御守護と相成りて、瑞の御魂の御用が廻りて来たから、月の大神様が暗の世を隅々まで御照遊ばして、日の出の守護となると、罪悪の深い国々、所々、家々、人々に火の雨が降ると申して、昔から愛の土山雨が降ると申して謳を作りて、神から気が付けて有りたなれど、盲目聾に化り切りた日本の人民が、能う解けんから、艮の金神が日本の守護神や人民に、説いて聞かして改心さして、身魂を助けてやり度いと、一心に心を砕いて、明治二十五年から変性男子の体内を借りて知らしたなれど、今に一寸も解らぬやうな守護神人民は、気の毒でも止むを得ずの惨事が出来いたすなれど、誰を恨める様も無い事に成りて居るぞよ。昨年の十二月二十七日には、東京で蛙の集会が初まりたが、今度の集会は何年とは変りて居ろうがな。其日に綾部の大本へは神界の経綸の世界の国魂が集りて、千秋万歳楽の基礎が定まりたのも、五六七の大神様の御命令であるぞよ。結構な国の基になる十二の宝が集りて来たから、モウ此の先は何彼の事が迅くなりて、経綸が段々と人民の眼にも判るやうになりて来るぞよ。是から世界は十二ケ国に約まりて日本の一つの王で治まるのであるが、其所へ成る迄には世界に大混雑が湧いて来るから、余程確りと腹帯を締ておかんと、途中で腹が破れるやうな事が出来いたすぞよ。 大正八年一月二日、旧十二月一日、甲寅の日竜宮館に艮の金神変性女子に憑りてしるしおく。
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(3727)
伊都能売神諭 神諭一覧 大正8年2月18日 大正八年二月一八日 大正八年二月十八日旧正月の十八日 艮の金神国常立之尊が世界の中心田庭の国の神屋敷、神宮本宮坪の内、竜宮やかたの地の高天原に現はれて、瑞の御魂の宿りて居る言霊幸彦命の手を借りて、世の根本からの大略の因縁を書いて置くぞよ。恋しくば尋ね来て見よ丹波の、山と山との畳並べる綾部の里の谷間の、世の大本に咲く花の薫る在所を。 二度目の世の立替改造は、天の在る限り地の在る極み、根底の国のドン底までも、説いて聞かせる綾部の大本であるぞよ。変性男子と変性女子の身魂が現はれて、世界の改造を致して居る事は、此の節分からは明白に成りて来て居ろうがな。明治二十五年から三十年で世の立替立直しを致すと申して、出口直の手と口とで知らした事の実地が、誰の眼にも付く如うになりて来て居るのに、肝心の大本へ這入りて永らく筆先を読みて居る人民に何も判らぬので、神界の経綸は世界から一日ましに実現するなり、膝下はアフンと致して結構な神徳を後の烏に奪つて帰られるからと、毎度気を付けてありたから、今に成りて元の役員は何程地団駄踏んで悔しがりても追付かぬから、素直に致して何なりと身に合ふた御用を、一生懸命に勤めて下されよ。今迄は元の役員は皆慢神いたして瑞の御魂の五六七の世の御用の邪魔計り致して居りたから、大変な神界の御気障り、世界改造の御用が十年も後れて居るから、明治二十五年に三十年の間に全部世界改造を遂功て、結構な神界に致そうと思ふた仕組を、元の役員が女子の御用の邪魔計り致して、十年余り後れさして居るから、余程御詫を致して、十分の活動を致さんと天地から御許しがないぞよ。毎時出口直の手で、変性女子は大化物であるから、取違いを致すなと申して知らしてあれど、余り慢神の強い、訳の分らぬ身魂で在るから、力一杯変性女子の御用の邪魔を致して置いて、大変な結構な御用を致して来た様に思ふて、今に大きな取違い計り致して居るぞよ。此の大本は元の役員が在りたならこそ、茲まで発達したのぢやと云ふやうな心で居るが、それがヱライ慢神取違いであるぞよ。元の役員が覇張らずに控えて居りたなら、モウ十年早く物事が運びて、世界の人民も早く助かり、神界もモチト早ふ満足して戴けるので在りたなれど、十二人の役員の慢神取違いが今に響ひて来て、世界の事が大変に後れて了ふて、神も迷惑を致して居るぞよ。早く大本の中の元からの役員の身魂の改正を致さねば、神界の経綸の邪魔に成る計りで在るから、今の中に改心が出来れば良し、堂しても改心が出来ねば、可愛想でも世界の万民と少しの人民とは代えられんから、小の虫を殺してでも大の虫を助けねば成らぬから、重ねて気を付けるぞよ。後から参りた役員も未だ時日が浅いから、判らぬのも無理はないから、余り八釜敷うは申さぬなれど、世界の物事が絶命の所まで迫りて居るから、神界も急ぐから、一日も早く身魂を研いて、誠の日本魂を発揮して下され。油断はチツトも出来ぬ世界の大本であるぞよ。 いよいよ三千年の神界の経綸の時節が来たぞよ。三千年と申しても、百を三十重ねた意味では無いぞよ。数十万年の永き神の世一代を指して申す事であるぞよ。古き神世の有様を早く世界の人民に解いて聞かさんと、日本の神国の人民が、天地を経綸する主宰者で在りながら、外国の人民と同じ如うに成りて了ふて居るから、第一番に日本の人民が我身魂の天職を覚りて、日本魂に立帰りて、神世からの尊い因縁を覚りた上、世界の人民を助けて与らねば成らぬ、天来の大責任者であるぞよ。世界に大混雑が起るのも、悪い病が流行るのも、日本の人民の上下の身魂が曇りて、天までも曇らして、日本魂の活動が出来ぬからの事で在るぞよ。世界の小言の絶えぬのも、日本国の責任であるから、斯の地の世界を守護いたす、日本の守護神と人民が一番に改心を致して、天地の間を清浄に致さねば、何時までも天下泰平には治まらんぞよ。日本の人民は尊とき天地の神の宮に拵らへてあるので在るから、神の生き宮を余程清浄に致さんと、神が生きた宮に住みて、天地経綸の御用を勤める事は出来んから一日も早く今までの汚ない心や、小さい物欲を速川の瀬に流し捨てて、身禊の行を致して居らんと、肝腎要めの世界改造の御用が勤め上がらんぞよ。此の時代に生れて来た日本の人民は、特別に神界の仕組に仕ふやうに生れさして在るのであるから、今の日本の人民は、天地の使命が中昔の世の人民とは一層重大いのであるぞよ。同じ地の世界でも日本の国ぐらい結構な国はないぞよ。其の結構な日本の神国に生を享けた神民は、猶更この上もなき仕合せもので在るから、世界万国に対する責任が、外国の人民よりは何十倍も重いので在るから、自己本意の精神では日本の人民とは申されんぞよ。斯の結構な神国の神民が、霊主体従の行り方を薩張り忘れて了ふて、外国の体主霊従の世の持ち方に八分も九分も成りて了ふて居るのも、昔の神代に露国で育ちた八尾八頭の大蛇の悪霊に欺し込まれて、泥の世界に浸み切つて居るから、艮の金神が神世一代の苦労を致して、五六七の大神様の御加勢で、水晶の神世に立直す経綸であれども、永らくの間泥に浸みた守護神人民であるから、何程言ひ聞かしても耳へ這入らず、泥の世界から暗の世界へ落ち行うと致す、一寸先きの見えぬ盲目同様の身魂に成りて、今では外国人よりも劣りた人民が沢山出来て居るから、神も中々骨が折れるぞよ。今が世界の大峠の坂に掛りた所で危機一髪の場合であるから、攻めて因縁ありて引き寄せられた大本の役員信者が、一日も早く改心いたして、我身の荷物を軽くいたして、千騎一騎の活動を致して、千載一遇の神業に参加いたして、末代の晴れの舞台を踏みて下されよ。神は信心の旧い新しいは申さんから、判りた人から我一と神国成就の為に活動いたして、天地の祖神様の御神慮を安んじ奉るように致して下され。小さい物質の欲位いに心を曳かれて居るやうな事では、到底此度の大神業は勤まりは致さんぞよ。神の方には役員信者の区別は致さん、身魂の研けた人民から神徳を渡すから誰に由らず身魂次第で、神界から黙りて居りて御用を其人の知らぬ間に致さして居るから、其の覚悟を致してをらねば大間違いが出来るぞよ。神界は誰彼の区別はないから、身魂の研けた人民から其れ其れの御用に使ふてをるから、未だ此の大本の名も在所も何も知らぬ人民でも結構な御用が命して在るぞよ。其れで此の大本は外にも沢山に経綸の御用が致さして在るから、油断は一寸も出来んと申して、いつも筆先で気を注けてありたのじやぞよ。是から未だ未だ神界の経綸の良く解る、結構な御用の出来る守護神人民を、地の高天原へ引き寄せるから、大本の神霊界を充分に骨折りて世界へ拡めて下され、神が守護を致すから、未だ未だ経綸の人民が世に隠れてをるぞよ。其人を一日も早く引き寄して、経綸の御用に使はねば、神界が後れる計りで、世界の人民の困難が永く成る計りで在るぞよ。神の警告した筆先を見いでも、少しでも身魂の光りた守護神人民で在りたら、此後の世界の成行きの様子が見当が付かねば成らぬやうに、世の中の様子が変りて来て居るのに、体主霊従の外国の身魂に染み切りて居るから、先きが見えぬどころか、我身の脚下へ火が焼えて来て、身体が半分火傷する所まで気が付かぬやうな、動物よりも劣りた穀潰しの人民が、幾千万人居りた所で、何の役にも立ちは致さん。米喰虫の蛆虫同然、国が立うが立つまいが、外国に奪られようが何うなろうが、我身さへ気楽に食えさえしたら良いと云ふ今の世界の有様、今に人が人を喰ふやうに成るから、其う成りたら一旦この世界を根本から元の○○に致して、改造さねば成らぬから、可成は此儘で世界の人民を改心さして、世を立てたいのが艮の金神の一心であるから、後で取返しは成らんから、同じ事をクドウ申して知らすので在るから、日本の人民神の生き宮ならチツトは神の心も推量して下されよ。 艮の金神大国常立之尊が、天照彦之命の御魂の宿りて居る、坤の金神の生き宮、言霊幸彦命の手を借りて天地の開けた時からの世の成立から、神々の各自の御活動を書いて知らすぞよ。田庭の国は世界の始り、游能碁呂島の正中で、天地を造り固めた世の音の世の元、言霊の最初に鳴り出でし、天地経綸の霊地であるぞよ。出口の守と申すのも言霊の活用の事であるぞよ。夫れで綾部の大本へ出て来ねば、天地を一声の下に震動させ、雨風を自由に使い、雷神を駆使すると云ふ事は出来ぬので在るぞよ。天地経綸の神力なる言霊アオウエイ五大母音[※「母音」は底本通り。]は綾の高天原の神屋敷が大本であるぞよ。人体を備へた五男三女の神は、近江の国が始り、其他の生物は八木が始まりで在るぞよ。この言霊の初り、丹波綾部、竜宮館の地の高天原、神宮本宮の神屋敷に、伊都の身魂、瑞能身魂の二柱が表はれて、元の神世へ世を捻じ直す時節が来たのであるぞよ。式三番叟の歌にも、今日の三番叟、天下泰平、国土成就、日は照るとも曇るとも、鳴るは五十鈴の滝の水々々々、千秋万歳、処も富貴繁昌、この色の白き尉どのが治め参らせ候事は何よりも易き事にて候。元の屋敷へ御直り候と申す事は、今度の二度目の世の立替の、変性男子と女子との活動の事やら、綾部に二柱の神の立帰りて、天下泰平に世を治めて、万古末代続かすと云ふ事の神示が、神界から作りて在りたのじやぞよ。三千世界の立替の三番叟も恙なく相済みて、弥々初段が世界に初りたから、皆一日も早く改心致さぬと後の祭りに成りて、肝心の晴の舞台に登場出来んぞよ。 ◎ 世界の人民は皆天地の神の分霊分体であり、亦た神々の宿にて世界を開発く生き宮であるぞよ。中にも日本は豊葦原の中津国と申して在るが、其中津国に生れた人民は殊更上級の神々の生宮で在るから、神国の神民は上御一人の現人神を真の親とし主となし師と致して上下心を一に固めて、天地の経綸を行ふ可き天職の有る事を悟り、一日も早く今迄の誤まりた精神を立直して、二度目の天の岩戸を開ひて、常世往く黒白も分かぬ暗黒界を光り輝やく神世に致さねば、天地の神々様に申訳が立たぬぞよ。此の大本の教が真実に腹に納まりて、其行いが出来る人民でありたら夫れが誠の差添の種で在るぞよ。是から本の種を現はして善と悪とを分けて見せるぞよ。此の神の経綸は何程悪の種でも今度の際に改心さえ致したなら、元の胤を表はさずに善と悪との真釣合はせを致して御用を致さすから、此の金神の慈悲心が心の底に浸徹りたら、如何な悪魔も改心せずには居れぬやうに成りて、心から発根と改心いたすやうに成るから、第一番にこの大本の内部から充分身魂を清らかに致さんと、世界の神と守護神人民に押しが利かんぞよ。今が大本の千騎一騎の改心の時で在るぞよ。一日でも後れる程世界が永く苦しむぞよ。 この地の世界の初りは世界一体に泥海で在つて、光りも温みも何ものもなかりたぞよ。丁度譬へて曰へば朧月夜の二三層倍も暗い冷たい世界で、山も河も草木も何一種なかつたので在るぞよ。其泥の世界に身の丈けは五百丈ばかり、身の太さは三百丈程も在る蛇体の荒神が住居して居られたのが、御精神の良い大神様の前身で、是が五六七の大神様と御成り遊ばしたので在るぞよ。誠に長閑やかな御神姿で、鱗は一枚もなし、角も一本もなし、体の色は青水晶のやうな立派な神様で、天地の元の祖神と成られたので在るぞよ。斯世を創造して、天地を開く事に非常に苦心遊ばしましたのが、此の大神様が第一番で、ミロクの大神ともツキの大神とも申上げる御神様であるぞよ。世界を造るに就て非常に独神で御心配を遊ばして御座る所へ、同じく似たやうな御神姿の大蛇神が現はれたが、此の神には十六本の頭に角が生えて、其角の先から大変な光りが現はれて居る神様に、五六七の大神様が世界創造の御相談をお掛けになつたので在るぞよ。扨て其時の六六六の大神様の御言葉には、何時まで斯うして泥の世界の暗い所に住居を致して居つても、何一つの楽みもなし、何の功能もなし、沢山の眷属も有る事なり。何とか致して立派な天地を造り上げ、万の眷属の楽しく暮すやうに致したいのが、我の大望で在るが、其方様は我の片腕となりて天地を立別け、美はしき地上の世界を造る御心は有りませぬかと御尋ね遊ばしたら、日の大神の前身なる頭に十六本の光る角を生やした大蛇神様が御答には、我身は女体の事なり、且つ又た斯んな業の深い見苦しき姿で在りますから、貴神様の如うな御精神の良い、立派な神様の片腕に成ると云ふ事は、恐れ入りて御言葉に従ふ事が出来ませぬと、大変に謙だつて御辞退遊ばしたなれど、六六六の大神様が強いて御頼みに成り我の片腕に成るのは其方様より外にない、我が見込んで居るからとの仰せに、日の大神様も左様なれば御本望の遂ぐるまで我身の力一杯活動いたして見ます、去る代りに天地が立派に出来上りましたら、我を末代貴神様の女房役と致して下され私は女房役となりて万古末代世界を照しますとの御約束が地の高天原の竜宮館で結ばれたので在りたぞよ。其所へ艮の金神の前身国常立尊の荒神が現はれて、世界を造り遊ばす御手伝を命して下されと御願申上げたので在りたぞよ。そこで六六六の大神様が早速に御承知被下て仰せ遊ばすには、其方は見掛に由らぬ誠忠無比の神であるから世界の一切を委すから、落度のなきやうに致すが良かろうと仰せられ、其上に国常立之命に思兼の神と申す御名を下され、八百万の神様を天の山河澄の川原に集めて一人の眷属も残さず相談の中間え入れて大集会を遊ばしたので地の在る限りに住居いたして居れる蛇体の神々様が集り合ふて御協議の上、六六六様の仰せの通りに国常立之命を総体の局に選み下さりたのであるぞよ。 そこで八百万の神々の意見を聞き取りて、其の由を五六七の大神様へ申上げたら、日の大神伊邪那岐之尊様と月の大神五六七様との御弐体の大神様が更に集会あそばして、国常立之尊を地の造り主と致すぞよとの御命令が下りたので、此の方が地の主宰となりて多陀与弊流地面を修理固成いたしたのであるぞよ。天も水(六)中界も水(六)下界も水(六)で世界中の天地中界三才が水(六)計りで在りた世に一番の大将神の御位で御出遊ばしたので六(水)を三つ合せてミロクの大神と申すのであるが、天の水の(六)の中からヽの一霊が地に下りて五(火)と天が固まり地の六(水)にヽの一霊が加はりて地は七(地成)となりたから、世の元から申せばミロクは六六六なり、今の世の立直しの御用から申せばミロクは五六七と成るのであるから、六百六十六の守護は今までのミロクで、是からのミロクの御働きは五六七と成るので在るぞよ。国常立之尊が世の元を修理固成るに就て、天地中界の区別もなく、世界は一団の泥土泥水で手の付け様がなかりたので、堅いお土の種をミロクの大神様に御願い申し上げたら、大神様が直ぐに御承知になりて一生懸命に息を吹き懸けなされて一凝りの堅いお土が出来たのを国常立之尊の此方に御授けに成りたので其一団の御土を種に致して土と水とを立別け、山、川、原、野、海を拵らえたのが地の先祖の大国常立之尊であるぞよ。艮の金神大国常立之尊の姿は今まで筆先にも現はした事はなかりたなれど、畏れ多きミロクの大神様、日の大神さまの御神姿まで筆先に出して知らしたから、何時までも発表を見合はす事が出来ぬから、実地の姿を書き誌すぞよ。 大国常立之尊の元の誠の姿は頭に八本角の生えた鬼神の姿で、皆の神々が余り恐ろしいと申して寄り付かぬやうに致した位いの姿で在るから、今の人民に元の真の姿を見せたら、震い上りて眼を廻すぞよ。 月の大神に御成遊ばした五六七の大神様と日の大神様と、御二体の大神が(水火)を合はして天を固めに御上り遊ばした霊場が今の綾部の神宮本宮の坪の内、竜宮館の地の高天原であるぞよ。日本は世界の中心であり、綾部は日本の中心で在るから、天地の神々が世の元から昇り降りを致されたり集会を遊ばし坐て、天地を造られる折に御相談なされた結構な霊地であるから、其時分にはたつ鳥も落ちる勢いの場所で言霊の世の元でありたぞよ。其後に艮の金神が八百万の邪神に艮へ押込められてから、一旦は悉皆影も形もなきやうに亡びて了ふたが、時節参りて煎豆にも花が咲きて再び国常立之尊の世に世が戻りて来たから、変性男子と女子との身魂を借りて、世の元からの因縁を説いて聞かせる世界一の大本と成りたので在るぞよ。天の固まりたのは御弐体の大神様が天へ上りて各自に水火を合はしてキリキリと左右に三遍御舞い成されて伊吹の狭霧を遊ばすと、夫れで天が完全に固成たので在るぞよ。次に亦た吹き出し玉ふ伊吹の狭霧に由りて天に幾億万の星が出現したので在るぞよ。其星の数だけ地の世界に生物が育ちたら夫れで一旦世の洗い替に成るので在るぞよ。天は判然と造れたなれど、未だ地の世界が充分に固まりて居らなんだ際に、頭に十本の角の生へた大蛇神が我は地の世界の修理固成の加勢よりも天へ上りて天上から働き度いと申されて天で○○○○○○と成られたのであるが、大変な御神力が強いので御惣領に為てあるなれど、今の世界の人民の思ふて居る様な事とは神界の様子は又た大変な違いであるぞよ。それで先づ天の方は固まりて動かぬ事に成りたなれど、国常立之尊の主宰する地の世界は未だ充分の所へは行て居らんから、此方が先途に立ちて地の在らん限り方々の神に申付けて持場持場を固めさしたのが国々の国魂神で在るぞよ。其折には何れの神も心一つに素直に活動なされて、地の世界も程なく固まりて眼鼻が付く様に結構に成つたのであるが、今の露国の方面に八頭八尾の大蛇神が住居いたして居りたか、其蛇神の目的は綾部の高天原を中心として置いて、自身が天へ上りて天から末代地の世界を守護いたし度いと云ふ思わくで在りたなれど、夫れより先に天を造りたいと思ふて夫れ夫れ苦労を遊ばしたミロク様なり、一番に相談に乗つて供々に活動なされた日の大神様なり、地の世界は国常立之尊なり、世の元の根本の始りに天地三体の神が八百万の神を集めて天地を創造いたした其後へ八頭八尾の巨蛇神が現はれて、何程天地を自由に致そうと思ふても誰も相手に致すものがなかつたのであるぞよ。其の八頭八尾の蛇神が地の世界を充分乱らして置いて、我の自由に致す考えで種々と甘い事を申して誠の神まで手に入れて、此の神国の世を持荒らし、終には地の先祖の此方まで押込めるやうに企みて悪の目的が今まではトントン拍子に面白い程来たなれど、今度は艮へ押込められて居りた此方が時節で世に出て地の世界の一切を主宰するやうに成りたから、改心いたせば供々に手を曳合ふて神界の御用に立てて与るなり、改心出来ねば弥々艮めを刺して往生さすぞよ。
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伊都能売神諭 神諭一覧 大正8年2月20日 大正八年二月二〇日 大正八年二月二十日旧正月二十日 艮の金神国常立之命の御魂が瑞の御魂の宿りて居る言霊幸彦之命の手を藉りて世界の根本の成立を書きおくぞよ。天は日の大神月の大神様は御両神が御固め遊ばしで結構で在れど、地の世界は八百万の荒神を使ふて所々の持場をそれぞれに凝めたなれど、山にも野にも草木一本もなく、全然炮烙を伏せた如うな有様で在つたから、国常立之尊が一旦天へ登りて御両方の大神様に地上繁栄の御指示を御願申上げたら、天の御二方様が仰せには、世界の大体を固めるには勇猛な神力が要るから、○○の姿でなければ活動が出来ぬなれど、斯の通山川海野が出来上りた上は山野に草木を生やさねば成らぬから、天にも夫婦が水火を合して活動したので在るから、地にも夫婦と云ふ事を拵らえて陰陽を揃えねば成らぬとの御神言で在つたから、艮役の金神が女房を御授け下されたいと御願申上げると、天に坐ます御二方様が頭に角の四本ある○○のヒツジ姫命[*底本では「ヒツジ」ではなく「ヒツシ」になっているが誤字と思われる。]を女房に御授け下さりたから、艮の金神は未姫の神と夫婦と成り両神が水火を合して山に向つて、ウーとアーの言霊を産み出し、一生懸命に気吹を致すと山の上に雌松が一本生えたのが木の世界に現はれた根元であるぞよ。 松が一本限りでは種が出来ぬから、今度はヒツジ姫が一神で気吹放ちを致すと、又た雄松が一本出来たので、二本の松の水火から松傘が実のり種を生みして今の様な世界の良き土地に限りて、松が繁り栄えるやうに成りたので在るぞよ。松を木の公と申すのは世界に一番先きに出来たからで在るぞよ。綾部の大本は天地の初発の神が現はれて世界の経綸を致す霊地であるから、松の大本とも申すので在るぞよ。 天に坐ます日の大神伊邪那岐之尊様が九天の日向のアオウエイ五大母音のカサタナハマヤラワで禊身し給ひ、祓戸四柱の神様を生み遊ばし、最後に右の御眼を洗ひて月球を造り、左の御眼を洗ひて日球を造り、御鼻を洗ひ給ひて素盞嗚之命を生み遊ばし、御自分は天の日能若宮に鎮まり遊ばし、月の大神様は月界の御守護を遊ばす事に成り、天照大御神様は天上の御主宰と成られたが、素盞嗚命は海原を知召す可しと仰せられたので、天より御降りに成り海原の守護と成られたので在るぞよ。海原の守護と申す事は全地上の主宰であるが、艮の金神坤の金神が既に大体を修理固成いたした所へ大地の主宰神が御降りに成つたので、天にも御両方の神様が御固め遊ばした所を天照皇太神宮様が総主権を御持ち遊ばしたので在るから、地の世界も天に従ふて主権を素盞嗚尊に御譲り申上げ艮の金神坤の金神は地の上の一切の世話を致して時節を待つ事に致して居りたぞよ。此大神様は神代の英雄で何事もハキハキと万事を片付ける器量の在る神様で在れど、余り行り方が激しかつたので、地の上の守護神が色々と苦情を申して終には大神の御命令を一柱の神も聞かぬ如うに立到つたので、大神様も地の世界が厭に成り、月の大神様の守護遊ばす夜見の国へ行くと云ふ覚悟を遊ばしたのであるが、夫れまでに天に坐ます姉神の天照皇太神宮に暇乞を成さんと仰せられ、大変な御勢いで天へ御登りに成つたから、山川も国土も一度に震動して大変な事変に成つたので在る。そこで天上に坐ます天照大御神様が非常に驚きなされて、彼の如うな勢いで天へ上り来るのは此の高天原を弟神素盞嗚尊が占領する心算で在ろうと思召して、大変な戦いの用意を為して御待受けになり、天の八洲河原に於て互に誓約を遊ばし、御両神様の御魂から五男三女の八柱の神が御生れ遊ばしたので在るが、是が神が人間の肉体に成りた初りで在るぞよ。口で申せば短いなれど、此の誓約を遊ばして八柱の神を御生みに成る間と云ふものは数十万年の永い月日[*ママ]が掛りて居るぞよ。其間に艮の金神と坤の金神が相談いたして天照皇太神宮様の御妹神若日女君命を天から下げて戴き、地の世界の主宰神と仰ぎ奉り、世界経綸の機を織りつつ世界を治めて居りたので在るぞよ。若姫君之尊は三男五女神の八柱神を養育して立派に神代の政治を遊ばして居れた処へ元の素盞嗚之命様が又た地の世界へ降りて非常に御立腹遊ばして若姫君の命の生命を取り天も地も一度に震動させ再び常夜の暗となり、万の妖神が荒れ出し何うにも斯うにも始末が付かぬ如うに成りたので天に坐ます天照大御神様は終に地球之洞穴へ御隠れ遊ばし、天も地も真の暗みと成つて了ふたので、八百万の神々が地の高天原の竜宮館に神集ひして、艮の金神は思兼神となりて色々と苦心の末に天之岩戸を開き天地は再び照明に成つたので在るぞよ。 そこで神々様の協議の結果、素盞嗚尊に重き罪を負はせて外国へ神退いに退はれたので、素盞嗚尊は神妙に罪を負ひ贖罪の為に世界中の邪神を平定遊ばし終には八岐の大蛇を退治して、叢雲の剣を得之を天照皇大神に奉られたので在るぞよ。其時に退治された八頭八尾の大蛇の霊が近江の国の伊吹山に止まり、日本武命に危害を加へて置いて元の露国の古巣へ迯げ帰り、色々として世界を魔の国に致す企みを致して今度の世界の大戦争を初めたので在るぞよ。日本を一旦は覗ふたなれど、余り神力の強い国土であるから、海を渡りて支那や、印土を乱だし、露国までも潰ぶし、モ一とつ向ふの強い国の王まで世に落し、まだ飽き足らいで今度は一番大きな国へ渡り日本の神国を破りて魔の国に致す仕組を致して居るから、日本の人民は日本魂を研き上げて、一天万乗の大君を守り大神を敬まい誠を貫かねば、今の人民の如うに民主主義に精神を奪られて居るやうな事では、今度は八岐の大蛇に自由自在に潰されて了ふから、日本神国の人民は一日も早く改心致して下されと、クドウ神が申すので在るぞよ。 素盞嗚命は外国へ御出遊ばして一旦は陣曳を遊ばしたので、地の世界に肝心の主宰神がなく成りたから、撞の大神様が元の地の世界を締固めた国常立之尊に改めて守護致すやうにとの御命令が下りたので、夫婦揃ふて一旦潰れて了ふた同様の世界を守護いたして居りたなれど、余り厳しい固苦しい世の治方であるから、八百万の神々が心を合はして天の大神様へ艮の金神根の国へ退去するやうの御願いを成されたので、天の大神様は兎も角も時節の来るまで差控へよとの厳命でありた故に、神教の通り素直に艮へ退去いたしたので在りたぞよ。其時から艮の金神は悪神と云ふ名を八百万の神から付けられて悔し残念を堪り詰て来た御蔭で、一旦斯世が泥海に成る所を受取りて世の立替の後の立直しの御用を勤めさして頂くやうに成りたので在るから、何事も時節を待てば、煎豆にも枯木にも花の咲く事があるから、時節の力くらい恐いものの結構なものはないから、人民も物事を急かずに時節さえ待ちたら何事も結構が出て来るから、辛抱が肝要であるぞよ。 艮の金神が世の初りに地の世界を造り固め、次に夫婦が呼吸を合して、種々の樹木や草を生み出した其間が数万年、夫れから蛇体の神計りでは世界の隅々まで細やかに開く事が出来ぬから、八百万の神の知らぬ間に人間を作る事を考がえ終に夫婦の人間を水と火と土とで造りたのが永い間掛りて苦労致したので在るぞよ。五男三女の八柱神は竜体から変じて生れられたので在れど、普通の人間は土の中で蒸し湧したので在るぞよ。今は暗りでも人民が安々と出来るやうに世が開けて人民が腹に児を孕むやうに容易い事になりて居れども、矢張り艮坤の両神が守護いたさぬ事には猫の子一疋産むと云ふ事は出来ぬので在れども、今の人民は男と女と寄りさへすれば何時でも勝手に児が生れるやうに取違いを致して居るから、神の恩と云ふ事を一つも思はぬから、我児が我の自由に言ふ事を聞かぬ様に成るので在るぞよ。我の体内を借りて生れるから、仮に我児と名を付けさして在れど、実際は神が天地経綸の為に道具に使ふやうに生まして在るのじやぞよ。