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(1983)
霊界物語 30_巳_南米物語2 末子姫と言依別命の旅 04 懐旧の歌 第四章懐旧の歌〔八四六〕 末子姫は新にバラモン教の石熊の帰順を許し、捨子姫、カールの四人連れ、漸くにしてテル山峠の頂上に辿り着いた。 石熊『サア此処が有名なテル山峠の頂上で御座います。黄泉比良坂の大戦以前に、珍の都の正鹿山津見の神様の御娘、松竹梅の宣伝使が始めて宣伝の初陣に此処を、蚊々虎と云ふ天教山の木の花姫の神様の化神に導かれて、お通り遊ばし、松竹梅の宣伝使は遥々と珍の都を振返り、両親に訣別の歌を歌はれた所です[※第9巻第13章「訣別の歌」参照]。随分連山重畳として四方に拡がり、大西洋の波は霞の如く棚引き、何とも云へぬ絶景の地点で御座います。茲で一つ汗を入れて、ボツボツ降る事に致しませうか』 末子『何とも云へぬ涼しい風が御座いますなア。勿体ない事乍ら、此処で少時休息して参る事に致しませう。どうせ二日や三日歩いたつて珍の都へは容易に行けませぬから……』 捨子『つい目の下に見えて居るようですが、随分里程があると見えますなア』 カール『モシ、末子姫様、松竹梅の宣伝使がここで懐郷の念に駆られて訣別の歌をよまれた旧蹟ですから、貴女も一つテルの国を別れるに臨み、得意の御言霊を以てお歌ひ下さつては如何でせう』 末子『オホヽヽヽ、お恥かしい事ですが、左様な結構な宣伝使の御歌ひになつた由緒ある地点と聞けば、歌はずには居られますまい。……捨子姫さま、あなたも一つ御歌ひになつたら如何でせう』 捨子『先づ貴女から先にお口を切つて下さいませ。私も驥尾に附して蛇足を添へますから……』 末子姫は山上の涼しき風に吹かれつつ、声調ゆるやかに歌ひ始めたり。 末子姫『神の都のエルサレム天使の長と現れませる 桃上彦の大神は松竹梅の三柱の いたいけ盛の娘子を珍の館に残しおき 聖地の混乱後にして見るもいぶせき船に乗り 命からがら和田の原漕ぎ出で玉ふ折柄に 尊き神の御恵に一度は竜宮の金門守り 乙米姫に助けられ悲しき月日を送る折 天教山に現れませる神伊邪諾大神の 珍の御子と現れませる日の出神に助けられ 琴平別の亀に乗り淤縢山津見と諸共に 此高砂に安着し珍の都に出でまして 三五教を広めまし珍山峠を乗越えて 心の空もハルの国鷹取別の守りたる ハルの城下に出でまして数多の敵に取巻かれ 所構はず突き刺され沙漠の中に埋められ 命カラガラハルの国逃げ出でまして珍山の 谷間に湧き出る温泉に病を養ひゐます折 淤縢山津見や蚊々虎の神の司に巡り会ひ 駒山彦や五月姫一行五人は天雲の 山の尾の上を打渉り大蛇の船に乗せられて やうやうウヅの都まで帰らせ玉ひて五月姫 珍山彦の媒酌に鴛鴦の衾の契をば 結び玉ひし芽出たさよ五月五日の夕間暮 聖地を後に三人の松竹梅の愛娘 訪ね来りて親と子の嬉しき対面遊ばせし 珍の都は白雲の彼方に幽かに見えにけり 茲に三人の姉妹は神の教を伝へむと 草鞋脚絆に身をかため父の命や母命 二人に暇を告げ乍ら三人の司に伴はれ 此れの峠に登りまし父と母とに訣別の 名残を惜しみ玉ひたる心の色もテル山の 昔思へばなつかしや妾も同じ八乙女の か弱き身にて斎苑館鎮まりゐます父上の 膝元離れて遥々とメソポタミヤの顕恩郷 それより進んで波斯の国教を開く折柄に バラモン教の人々に捉まへられて和田の原 便り渚の捨小舟八人乙女はちりぢりに 神の仕組か白波の上漕ぎ渡る悲しさよ 神の恵の幸はひて汐の八百路も恙なく 魔神を払ふハラ港テルの国をばスタスタと 東を指して進み来るテル山峠の山麓に 三五教の神司罪もカールの神人に 思ひ掛けなく巡り合ひ乾の滝に立寄りて 其壮大を賞めゐたる時しもあれや滝の上に さも凄じき目を見はり大口開けて睨み居る 醜の大蛇に魅せられて巌の片方に石熊の 神の司が直立し苦み玉ふ憐れさよ 直日に見直し聞き直す神の御前に村肝の 心を捧げて願ぎ奉る吾言霊は天地に 忽ち通ひて石熊の神の宮居は自由自在 大蛇は直に解脱して雲を霞と消え失せぬ 心も固き石熊が赤き心を推し測り 神の大道を共々に伝へ行かむと宣伝歌 歌ひて漸く山頂に登りて後を眺むれば 山河草木麗しく神の恵の充ち足らひ 天国浄土の有様を隈なく現し玉ひける あゝ惟神々々神の恵の著じるく 教の花のいと清く吾等は茲にやすやすと 珍とテルとの国境四方を見おろす雲の上に 立ちしは神の御恵みぞさは去り乍ら吾父の 神の尊は今何処あが姉妹の五十子姫 愛子の姫を始めとし五人の姉は如何にして 此世を過ぐさせ玉ふらむ行方も知らぬ波の上 雲の彼方を打眺め朝な夕なにあが父や 姉の命の消息を思ひ煩ふあが心 いつしか晴れむ常暗の帳は開けて天津空 月日も清くテル山の山の尾の上の風清く 心楽き松の世の親子姉妹一時に 嬉しき顔を五六七の世神のまにまに高砂の 此神島に身を忍び神の教に仕へなむ あゝ惟神々々御霊幸はひましませよ』 と述懐の歌を歌ひ、恰好な腰掛岩の上に身を托し、汗を拭ふ。捨子姫は風に面を吹かれつつ、さも愉快げに四方を見晴らし乍ら、体を東西南北に回転しつつ、歌ひ始めたり。 捨子姫『東や西や北南四方の国型眺むれば 大海原に浮びたる高砂島の名に恥ぢず 太平松や楠堅木槻の大木は青々と 見わたす限り山々に茂り合ひたる麗しさ 天国浄土も目のあたり眺めて暮す心地して 旅のうさをも打忘れ神素盞嗚大神の 珍の御子と現れませる姿優しき末子姫 主人の君と仰ぎつつ何れの里か白雲の 空を眺めて海の上やうやうここに渡り来て 月日も清くテル山の尾の上に登りて眺むれば 吹来る風も芳ばしく木々の梢は花盛り 味よき木実は限りなく枝もたわわに充ち足らひ 飢ゆる事なく吾々は喉も乾かず楽みて 常世の春に会ふ心地天地を造り玉ひたる 元つ御祖の大神の開き玉ひし三五の 教の司と任けられて何処を果てとも長の旅 進み来るぞ楽けれあゝ惟神々々 神の御霊の幸はひて世人の為に玉の緒の 生命を捨子の神司末子の姫の側近く 仕へ奉りて永久に太き功績を立てまつり 神の御子と生れたるあが天職をまつぶさに 尽させ玉へ天津神国津神たち八百万 殊に尊き国治立の厳の尊や豊国姫の 瑞の尊の御前に誠をこめて願ぎまつる あゝ惟神々々神の御霊の幸はひて 天教山に現れませる天照します大神の 珍の御前に逸早く八岐大蛇を言向けて 神素盞嗚大神が一日も早く功績を 高天原に参上ぼり大蛇の呑みたる村雲の 剣を手早く大神の御前に奉らせ玉へかし 瑞の御霊の大神の八人乙女の末の子と 現れ出でませる末子姫かしづき奉る捨子姫 新に仕へし石熊の神の司や三五の 道を歩めるカール迄厚く守らせ玉ひつつ 五六七の御世の神政に清く使はせ玉へかし 神は吾等と倶にます吾等は神の子神の宮 雲井の上に千木高く仕へまつりて宮柱 太しく立てて大神の御前に清く復り言 詳さに申させ玉へかし旭は照るとも曇るとも 月は盈つとも虧くるとも高砂島は沈むとも 曲津は猛く攻め来とも神に仕へし吾身魂 五六七の御世の末迄も変らざらまし神の前 慎み誓ひ奉るさはさり乍らコーカスの 山にゐませし素盞嗚の神の尊は今何処 日の出別や言依別の神の命は如何にして 道に尽させ玉ふらむ五十子の姫や愛子姫 英子の姫は今何処別れて程経し吾々は 音づる由も波の上清く泛べる高砂の テル山峠の頂上に後振返り振返り 哀別離苦の感深しあゝ皇神よ皇神よ 御霊のふゆを幸はひて一日も早く大神に 吾等を会はせ玉へかし女心の一筋に 遥に拝み奉るあゝ惟神々々 御霊幸はひましせよ』 と歌ひ終り、これより末子姫を先頭に一行四人はテル山峠を東に降り行く。 (大正一一・八・一四旧六・二二松村真澄録) (昭和一〇・六・九王仁校正)
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(2008)
霊界物語 31_午_南米物語3 国依別の旅 序歌 序歌 綾部の聖地を後にして(綾部)吾家を伊豆の温泉場 幽邃閑雅の山家村(山家)狩野の流れに臨みたる 湯ケ島温泉湯本館何に利く加和知らね共(和知) 一度は来たれと信徒が送る玉章細胡麻と(胡麻) 見るも嬉しき吾思ひ教主殿をば田ち出でて(殿田) 松村真澄、佐賀伊佐男園ほか一部の伊豆信者(園部) 杉山当一林弥生八木つく様な夏空を(八木) 静かに進む汽車の上寿も長き亀岡の(亀岡) 瑞祥祝ふこの旅行嵯峨しあてたる好避暑地(嵯峨) 言葉の花や教の園を(花園)二人の幹部と諸共に 只一と条に勇み行く(二条) ○ 丹波綾部に名も高き出口の神の御教を(丹波口) 京都、大阪、東京の(京都)三大都市を始めとし 山科里に至るまで(山科)皇大神の大道を 津多へ拡むる神司(大津)堅き心は石山の(石山) 月照り渡る如く也 ○ 青人草を津々がなく(草津)守りたまへと祈りつつ(守山) 山野を州々みて篠すすき(野州)露野が原も乗りこえて(篠原) いつかは日の出の神の代に近江の国や八幡宮(近江八幡) 厳の御前にぬかづきて浦安土の心やすく(安土) 守り玉へと太能里登宣る言霊は速川の(能登川) 水瀬の音と聞ゆ也 ○ 稲穂は栄枝て黄金の(稲枝)波漂はす河の瀬や(河瀬) 国の御祖の永遠に守り玉へる豊秋津 根別の国の八百米は高天原に天照らす(米原) 皇大神のみことのり天の下なる人草の 食ひて生くべきものなりとその神勅をひるも夜も 尊み眼も醒ケ井の(醒ケ井)神の恵みに近江路や 御代長かれと祝ふなる亀のよはひの亀岡に(近江長岡) 教の庭を開きつつ打つ柏手の音も清く 高天原と鳴り渡る(柏原)神と鬼との関ケ原(関ケ原) 恵の露も垂井駅(垂井) ○ 世の大本は青垣の(大垣)山をば四方に廻らして 神の鎮まる霊場と数多の人々我一に 先を争ひ木曽川や(木曽川)神の光に仰岐阜し(岐阜) 尾張に近き暗の世を救ひ玉へと真心を 一つに固めて本宮山(尾張一ノ宮)遠き山路も稲みなく いと沢々に寄り来る(稲沢)神の経綸ぞ畏けれ ○ 天の真奈井の枇杷の湖(枇杷島)竹生の島に顕れませる 神の猛びを名古めつつ(名古屋)屋間登御魂の神人が 熱き心を田向け行く(熱田)神徳大くいや高き(大高) 皇大神の生れまして清き神府と定めてし(大府) 世の大元は爰婆刈豊葦原の中国谷(刈谷) 安全地帯ぞ金城と(安城)尊み敬ひ許々太久の 岡せし罪を悔い乍ら御霊崎はへ坐しませと(岡崎) 赤き心のまめ人が幸願ぎ奉り田のむ也(幸田) ○ 蒲の乱れの郡集を(蒲郡)皇大神の御仁慈の 清き油を濺がれて(御油)豊に渡る神の橋(豊橋) 二川三河の水清く(二川)小雲の川や玉水に 身そぎ祓ひて神徳を信徒たちが鷲津神(鷲津) 旧きを捨てず新しく居所を定むる神の町(新居町) 心も勇みて弁天の(弁天島)女神の前に真心を つく島つりし音楽や舞曲も清くさはやかに(舞阪) 御代の阪えむ瑞祥を浜の松風音もなく(浜松) 世は平らけく天竜の勢強く川登り(天竜川) 心の中に霊泉の(中泉)甘露は尽きず湧き出でて 神代を祝ふぞ尊けれ ○ 袋井首に掛川の(袋井・掛川)貧しき人も神の道 悟りて欲を堀ノ内(堀ノ内)誠の教を守りなば 富貴も権威も金谷せぬ(金谷)神の御教を敷島の(島田) 大和心を田鶴ぬれば薫り目出度き白梅の 花藤答枝よ惟神(藤枝)醜の仇草焼鎌の(焼津) 敏がまや津留岐ぬき用て(用宗)宗打ち払ひ静々と 風雨雷電岡しつつ(静岡)誠の道江一散に 尻に帆かけて進み行く(江尻)あゝ惟神々々 御霊幸倍ましませよ ○ 昔の元の大神が現はれまして太元の 救ひの道を興し津々(興津)由比所の深き蒲生の原(由比・蒲原) 開きて根本霊場を岩秀の如く弥固く 淵なす深き経綸を(岩淵)富士の御山のいや高く(富士) 立てて天地の神人が生言霊の鳴り渡る 五十鈴の川の川水に(鈴川)原ひ清めて朝露の(原) 干沼の池に照る津岐の(沼津)影も涼しく神の世を 開き玉ふぞ尊けれ ○ 三月三日の桃の花五月五日の桃実に 比すべき霊界物語故郷の土産と瑞月が(桃郷) 心も清く住の江ノ浦安国の神宝と(江ノ浦) 語る出口野神の教(口野)天皇山に祭りたる(天皇山) 皇大神の御守りを嬉しみ尊み神勅を 北条南条畏みて(北条・南条)田舎男や京わらべ(田京) 遠き耳にも入り易く解き明かしたる神の書 迎への人の親切も酒の泉の吉田郷(吉田) 車を止めて杉原家殊更厚き待遇に 三伏の暑を打忘れ心も深き真清水の 湯槽に浸り汗水を流して西瓜の腹つづみ 誠の信徒も大仁や(大仁)瓜生野の里も打過ぎて(瓜生野) 堅と横との五十鈴川(横瀬)言霊車瀬を速み 国常立野大神が(立野・大平)平和の御世を松ケ瀬や(松ケ瀬) 青羽の根配りいや広く(青羽根)茂る稲田の富貴草 出口の王仁の一行は(出口)早くも伊豆に月ケ瀬や(月ケ瀬) 天津御空の神門野開け行くてふ玉の原(門野原) 天の八重雲掻き分けて救ひの神も嵯峨沢の(嵯峨沢) 今日の旅行ぞ楽しけれ木々に囀る蝉の声 市なす山の片ほとり(市山)東西南北風清く(西平) 平和の里と湯ケ島の(湯ケ島)狩野の流れに浴み乍ら 漸く安藤の宅につき(安藤)心よりなるもてなしに 歓び勇み湯浴してまたもや例の物語 口述如来の瑞月が安全椅子によりかかり 浄写菩薩の松村氏腕に撚かけスラスラと 『海洋万里』午の巻いよいよ爰に述べ写す あゝ惟神霊幸倍坐世 『海洋万里』卯の巻四日間、同辰の巻三日、同巳の巻三日、前後合せて十日間。述べつ写しつ、暑さに堪えし休養日を幸ひ、筆のすさびのいと永々と記しおく。 大正十一年八月十七日於湯ケ島温泉口述著者
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(2465)
霊界物語 48_亥_治国別の天国巡覧2 12 西王母 第一二章西王母〔一二六六〕 高天原の総統神即ち大主宰神は大国常立尊である。又の御名は天之御中主大神と称へ奉り、其霊徳の完全に発揮し給ふ御状態を称して天照皇大神と称へ奉るのである。そして此大神様は厳霊と申し奉る。厳と云ふ意義は至厳至貴至尊にして過去、現在、未来に一貫し、無限絶対無始無終に坐ます神の意義である。さうして愛と信との源泉と現れます至聖至高の御神格である。さうして或時には瑞霊と現はれ現界、幽界、神界の三方面に出没して一切万有に永遠の生命を与へ歓喜悦楽を下し給ふ神様である。瑞と云ふ意義は水々しと云ふ事であつて至善至美至愛至真に坐まし且円満具足の大光明と云ふ事になる。又霊力体の三大元に関聯して守護し給ふ故に三の御魂と称へ奉り、或は現界、幽界(地獄界)、神界の三界を守り給ふが故に三の御魂とも称へ奉るのである。要するに神は宇宙に只一柱坐ますのみなれども、其御神格の情動によつて万神と化現し給ふものである。さうして厳霊は経の御霊と申し上げ神格の本体とならせ給ひ、瑞霊は実地の活動力に在しまして御神格の目的即ち用を為し給ふべく現はれ給うたのである。故に言霊学上之を豊国主尊と申し奉り又神素盞嗚尊とも称へ奉るのである。さうして厳霊は高天原の太陽と現はれ給ひ、瑞霊は高天原の月と現はれ給ふ。故にミロクの大神を月の大神と申上ぐるのである。ミロクと云ふ意味は至仁至愛の意である。さうして其仁愛と信真によつて、宇宙の改造に直接当らせ給ふ故に、弥勒と漢字に書いて弥々革むる力とあるのを見ても、此神の御神業の如何なるかを知る事を得らるるのである。善悪不二、正邪一如と云ふ如きも、自然界の法則を基礎としては到底其真相は分るものでない。善悪不二、正邪一如の言葉は自然界の人間が云ふべき資格はない、只神の大慈大悲の御目より見給ひて仰せられる言葉であつて、神は善悪正邪の区別に依つて其大愛に厚き薄きの区別なき意味を善悪不二、正邪一如と仰せらるるのである。併しながら自然界の事物に就ても亦善悪混淆し美醜互に交はつて一切の万物が成育し、一切の順序が成立つのである。故に人は霊主体従と云つて自然界に身を置くとも、凡て何事も神を先にし、愛の善と信の智を主として世に立たねばならないのである。然るに霊的事物の何たるを見る事の出来ない様になつた現代人は、如何しても不可見の霊界を徹底的に信じ得ず、稍霊的観念を有するものと雖も、要するに暗中模索の域を脱する事が出来ない。それ故に人は何うしても体を重んじ、霊を軽んじ物質的欲念に駆られ易く地獄に落ち易きものである。かかる現界の不備欠点を補はむが為に大神は自ら地に降り其神格に依つて精霊を充し、予言者に向つて地上の蒼生に天界の福音を宣伝し給ふに至つたのである。凡て人間が現実界に生れて来たのは、云はば天人の胞衣の如きものである。さうして又天人の養成器となり苗代となり又霊子の温鳥となり、天人の苗を育つる農夫ともなり得ると共に、人間は天人其ものであり又在天国の天人は人間が善徳の発達したものである。さうして天人は愛善と信真に依つて永遠の生命を保持し得るものである。故に人間は現界の生を終へ天国に復活し、現界人と相似せる生涯を永遠に送り、天国の円満をして益々円満ならしむべく活動せしむる為に、大神の目的に依つて造りなされたものである。故に高天原に於ける天国及び霊国の天人は一人として人間より来らないものはない。大神様を除く外、一個の天人たりとも天国に於て生れたものはないのである。必ず神格の内流は終極点たる人間の肉体に来り、此処に留まつて其霊性を発達せしめ、而して後天国へ復活し、茲に初めて天国各団体を構成するに至るものである。故に人は天地経綸の司宰者と云ひ、又天地の花と云ひ、神の生宮と称ふる所以である。愚昧なる古今の宗教家や伝教者は概ね此理を弁へず、天人と云へば、元より天国に在つて特別の神の恩恵に依つて天国に生れたるものの如く考へ、又地獄にある悪鬼どもは元より地獄に発生せしものの如く考へ、其地獄の邪鬼が人間の堕落したる霊魂を制御し或は苦しむるものとのみ考へてゐたのである。之は大なる誤解であつて、数多の人間を迷はす事、実に大なりと云ふべしである。茲に於て神は時機を考へ、弥勒を世に降し、全天界の一切を其腹中に胎蔵せしめ、之を地上の万民に諭し、天国の福音を完全に詳細に示させ給ふ仁慈の御代が到来したのである。されど大神は予言者の想念中に入り給ひ、其記憶を基礎として伝へ給ふが故に、日本人の肉体に降り給ふ時は即ち日本の言葉を以て現はし給ふものである。科学的頭脳に魅せられたる現代の学者又は小賢しき人間は「神は全智全能なるべきものだ。然るに何故に各国の民に分り易く、地上到る所の言語を用ひて示し給はざるや」と云つて批判を試み、神の遣はしたる予言者の言を以て怪乱狂妄と罵り、或は無学者の言とか或は不徹底の言説とか何とかケチをつけたがる盲が多いのは、神の予言者も大に迷惑を感ずる所である。 高天原と天界は至大なる一形式を備へたる一個人である。さうして高天原に構成されたる天国の各団体は之に次げる所の大なる形式を備へたる一個人の様なものである。さうして天人は又其至小なる一個人である。人間も亦天界の模型であり、小天地である事は屡述べた所である。神は此一個人なる高天原の頭脳となつて其中に住し給ひ、万有一切を統御し給ふ故に、又地獄界も統御し給ふは自然の道理である。人間も亦其形体中に天国の小団体たる諸官能を備へ種々の機関を蔵し、而して天国地獄を包含してゐるものである。 扨て高天原の如き極めて円満具足せる形式を有するものには、各分体に全般の面影があり又全般に各分体の面影がある。其理由は高天原は一個の結社の様なものであつて、其一切の所有を衆と共に相分ち、衆は又一切の其所有を結社より受領して生涯を送る故である。かくの如く天界の天人は一切の天的事物の受領者なるによつて、彼は又一個の天界の極めて小なるものとなすのである。現界の人間と雖も、其身の中に高天原の善を摂受する限り、天人の如き受領者ともなり、一個の天界ともなり、又一個の天人ともなるのである。 治国別、竜公両人は言霊別命の案内によつて第一天国の或個所に漸く着いた。此処には得も云はれぬ荘厳を極めた宮殿が立つてゐる。これは日の大神の永久に鎮まります都率天の天国紫微宮であつて、神道家の所謂日の若宮である。智慧と証覚と愛の善と信の真に充されたる数多の天人は此宮殿の前の広庭に列をなし、言霊別一行の上り来るを歓喜の情を以て迎へて居たのである。言霊別命は遥か此方より此光景を指さし、 言霊別『治国別様、あの前に金色燦然として輝いてゐるのは、エルサレムで厶ります。さうしてあの通り巨大なる石垣を以て造り固められ、数百キユーピツトの城壁を囲らしてあるのを御覧なさいませ』 治国別『ハイ、有難う厶ります、如何したものか吾々は円満の度が欠けて居りまするために、エルサレムは何処だか、石垣は何処にあるか、城壁の高さも分りませぬ。只私の目に映ずるのは赫灼たる光と天人の姿が幽かに見ゆるばかりです。さうしてエルサレムとか仰有りましたが、それは小亜細亜の土耳古にある聖地では厶りませぬか』 言霊別『エルサレムの宮とは大神様の御教を伝ふる聖場の意味であります。又高き処の意味であつて即ち最高天界の中心を云ふのです。石垣と申すのは即ち虚偽と罪悪との襲来を防ぐ為の神真其ものであります。度と申すのは性相其ものであつて、聖言に云ふ、人とは凡ての真と善徳とを悉く具有するものの謂であります。即ち人間の内分に天界を有するものを人と云ひ、天界を有せないものを人獣と云ふのです。ここには決して人なる天人はあつても現界の如き人獣は居りませぬ。然し私が今人獣と云つたのは霊的方面から云つたのです。凡て神の坐します聖場及び其御教を伝ふる聖場を指して貴の都と云ひ、或はエルサレムの宮と云ふのです』 治国別『さう致しますと、現界に於けるウブスナ山の斎苑館を始め、黄金山、霊鷲山、綾の聖地及び天教山、地教山、万寿山其他の聖地は凡て天国であり、エルサレムの宮と云ふのですか』 言霊別『さうです、実に神格によつて円満なる団体の作られたものは凡てエルサレムとも云ひ、地上に於ては地の高天原と称ふべきものです。地上の世界は要するに高天原の移写ですから、地上にある中に高天原の団体に籍をおいておかなくては、霊相応の道理順序に背いては、死後天国の生涯を送る事は出来ませぬ。サア之より最奥天国の中心点、大神の御舎に御案内致しませう』 と先に立つて歩み出した。二人は足の裏がこそばゆい様な気分に打たれ、いと恥かし気に従ひ行く。路傍に堵列せる数多の天人は『ウオーウオー』と手を拍つて叫び、愛善の意の表示をなしてゐる。二人は言霊別命の背後に従ひ、被面布を冠りながら心落ち着き、静々と日の若宮の表門を潜り入る。 言霊別命は二人を門内に待たせ置き悠々として奥深く入り給うた。二人は門内に佇み園内に繁茂せる果樹の美しきを眺めやり、舌うちしながら頭を傾け『アーア』と驚きに打たれ吐息を洩らしてゐる。暫くすると庭園の一方より目も眩むばかりの光を放ち悠々と入り来り給ふ妙齢の天女があつた。二人は思はずハツと大地に踞み敬礼を表した。此女神は西王母と云つて伊邪那美尊の御分身、坤の金神であつた。西王母と云ふも同身異名である。女神は二人の手をとりながら言霊別命の奥殿より帰り来る間、庭園を巡覧させむと桃畑に導き給うた。二人は恐る恐る手を曳かれながら芳しき桃樹の園に導かれ行く。此処には三千株の桃の樹が行儀よく繁茂してゐる。さうして前園、中園、後園と区劃され、前園には一千株の桃樹があつて美はしき花が咲き且一方には美はしき実を結んだのも尠なくはない。此前園の桃園は花も小さく又其実も小さい。さうして三千年に一度花咲き熟して、之を食ふものは最高天国の天人の列に加へらるるものである。さうして此桃の実は余程神の御心に叶つたものでなければ与へられないものである。西王母は二人に一々此桃の実の説明をしながら中園に足を踏み入れた。ここにも亦一千株の桃の樹があり、美はしき八重の花が咲き充ち又甘さうな実がなつて居る。之は六千年に一度花咲き実り、之を食ふものは天地と共に長生し、如何なる場合にも不老不死の生命を続けると云ふ美はしき果物である。西王母は又もや詳細に桃畑の因縁を説き諭し、終つて後園に足を入れ給うた。此処にも亦一千株の桃樹が行儀よく立ち並び、大いなる花が咲き匂ひ、実も非常に大きなのが枝も折れむばかりに実つてゐる。此桃の樹は九千年に一度花咲き実り、之を食ふものは天地日月と共に生命を等しうすると云ふ重宝至極な神果である。西王母は此因縁を最も詳細に治国別に諭し給うた。然し此桃の密意については容易に発表を許されない、然しながら桃は三月三日に地上に於ては花咲き、五月五日に完全に熟するものなる事は、此物語に於て示されたる所である。之によつて此桃に如何なる御経綸のあるかは略推知し得らるるであらう。西王母は一度地上に降臨して黄錦の御衣を着し、数多のエンゼルと共に之を地上の神権者に献げ給ふ時機ある事は、現在流行する謡曲によつても略推知さるるであらう。 却説、西王母は桃園の案内を終り、二人の手を引きながら元の門口に送り来り、 西王母『治国別殿、竜公殿、之にてお別れ申す』 と云ふより早く桃園内に神姿を隠し給うた。二人は其後姿を伏し拝み、王母が説明によつて神界経綸の深遠微妙なる密意を悟り、思はず合掌して感涙に咽びつつあつた。 かかる所へ紫微宮の黄金の中門を開いて現はれ来る美はしき天女、五色の光輝に充ちた羽衣を着しながら出で来る其荘厳さ、天国の天人は何れも美はしく円満の相を具備すれども、未だ嘗て斯の如き円満なる妙相を備へたる神人を見るのは二人とも天国巡覧以来初めてであつた。 因に羽衣とは決して謡曲にある如き中空を翔ける空想的のものでない。最も美はしき袖は手より数尺長く、裾は一二丈も後に垂れてゐる神衣の事である。 扨て十二人の天女は、無言の儘二人を指し招き、前に六人、後に六人、二人を守りながら黄金の中門を潜つて迎へ入れるのであつた。此時今まで聞いた事もない様な微妙な音楽四方より起り、芳香馥郁として薫じ、二人は吾身の何処にあるやも忘るるばかり歓喜に充されながら、微の声にて天津祝詞を奏上しつつ欣々として進み入る。 (大正一二・一・一三旧一一・一一・二七北村隆光録)
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霊界物語 60_亥_イヅミの国3/三美歌/祝詞/神諭 03 瑞祥 第三章瑞祥〔一五二八〕 三千世界の梅の花蓮の花も一時に 開いて香る世となりぬ厳の霊の大御神 瑞の霊の大御神須弥仙山の頂に 現はれまして大宇宙一切万事を統べたまふ マイトレーヤ(弥勒)の世となりぬ抑須弥の頂は 梵語のメールクータなり妙高山と翻訳し 又もスメールと称ふなり其東方は黄金の 宝を蔵し南方は玻璃、西方は瑞御霊 白銀宝珠所成せり北方瑪瑙の宝成り 連山群峰圧しつつ大海中に突出し 雲を抜き出て其高さ三百三十六里あり 天地を造りたまひたる元津柱の大神の 常磐堅磐の御住所と天、人共に尊敬し 安明、妙光、金剛山好光山と称へらる 此をば翻訳する時は霊山会場の蓮華台 聖き丘陵の意味となるアヅモス山も三五の 尊き神を祭りてゆ須弥仙山と称へられ 百の神達勇みたち集ひたまへる霊場と 定まりたるぞ尊けれ神の恵に浴したる 此里人は村肝の心を清浄潔白に 濁り汚れの跡もなく霊耳を開きて天人が 現はれ来り舞遊ぶ三千世界の声を聞き 象馬牛車や鐘鈴の微妙の楽に耳澄ませ 琴瑟簫笛勇ましく清き涼しき歌の声 百人達の歓声は天地も揺るぐ許りなり 数多のエンゼル下り来て楽をば奏し玄妙の 唱歌の声は澄み渡る老若男女は云ふも更 海川山野谷々の空駆りゆく祥鳥は 迦陵頻伽か鳳凰孔雀鶴鷲鷹や鶯の 其啼声は天地に親和し来り天国を 地上に建てし如くなり地獄に起る大苦悶 阿鼻叫喚の声もなく餓鬼の飢渇の叫びなく 飲食求むる声もせず曲の阿修羅が大海の 傍に住みて自ら囁き呪ふ影も無し 皆一切に神の教喜び勇みて聴聞し 人と獣の分ちなく喜び勇むぞ尊けれ。 あゝ惟神々々真善美愛の神心 弥茲に顕現し天地に轟く音彦の 玉国別の神徳は三千世界の天使ぞと 仰がぬ者こそなかりけり朝日は照るとも曇るとも 月は盈つとも虧くるとも清浄無垢の御霊をば 照して渡る世の中に如何でか曲の襲はむや アヅモス山の聖場は須弥仙山の光景を 完全に委曲に現出し三千世界の鎮めぞと 八千万劫の末迄も照り輝くぞ目出度けれ あゝ惟神々々神の御言を蒙りて 須弥仙山に譬ふべき蓮華台上の存在地 綾の聖地を後にして神洲最初の鎮台と 言ひ伝へたる大山を救ひの船に乗りながら 眺めて茲に遠つ世の生物語述べて行く。 時しもあれや聖地より此世の泥を清むてふ 二代澄子と仁斎氏木花姫の御再来 御霊の守る肉の宮千代の固めの経綸に 遙々来る松林中に立ちたる温泉場 浜屋の二階に対坐して役員信徒諸々と 三月三日の瑞御霊五月五日の厳御霊 三五の月の光をばいと円満に照さむと 互に誠を語り合ひ誓ひを立てし目出度さよ 堅磐常磐に弥加藤いや明らけく日月の 恵を祝ふ神の書写すも尊き加藤明子 松の千年はまだ愚か万年筆も健かに 紫檀の机に打ち向かひ千秋万歳誌し置く あゝ惟神々々神の恵の尊さよ。 朝日は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも 仮令大地は沈むとも星は空より落つるとも 日本海は涸るるとも神の伝へし此聖書 千代も八千代も動かまじ厳の御霊の命令もて 空漕ぎ渡る方舟に心臓に鼓を打たせつつ 科戸の神や水分の神の弄のダンスをば 面白嬉しく眺めつつ心も清く平けく 神のまにまに進み行く。 ○ スメールの山の麓に二柱 並びて世をば開く今日かな。 世の人を皆生かすてふ温泉場 救ひの船に棹し進む。 天地の真純の彦の物語り 此世を澄子の司来れる。 マイトレーヤ御代早かれと松村の松村真澄 真澄の彦の笑み栄えつつ。 ミロクの世一日も早く北村の北村隆光 月日の隆き光待ちつつ。 いとた加き藤の御山の神霊加藤明子 明したまひぬ常闇の世を。 世を救ふ神の出口の瑞月が出口瑞月 真純の空に輝き渡る。 マハースターマブラーブタ(大勢至)マンヂュシュリ(文珠師利) アバローキテーシュヷラ(観世音)尊き。 スーラヤ(日天子)やチャンドラデーワブトラ(月天子)やサマンタガン 守らせ給へ瑞の御霊を。 ダルタラーストラ・マハーラーヂャ(東方持国天王)ヸルーダカ(南方増長天王) ヸルーバークサ(西方広目天王)ヷイスラワナ(北方多聞天王) 守らせ玉へこれの教を。 (大正一二・四・五旧二・二〇於皆生温泉浜屋加藤明子録) 附記 本日は暴風雨烈しく怒濤の声に妨げられ是にて口述中止せり。
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霊界物語 60_亥_イヅミの国3/三美歌/祝詞/神諭 21 三五神諭(その二) 第二一章三五神諭その二〔一五四六〕 明治三十一年旧五月五日 今の世界の人民は、服装ばかりを立派に飾りて、上から見れば結構な人民で、神も叶はん様に見えるなれど、世の元を創造へた、誠の神の眼から見れば、全然悪神の守護と成りて居るから、頭に角が生えたり、尻に尾が出来たり、無暗に鼻ばかり高い化物の覇張る、暗黒の世に成りて居るぞよ。虎や狼は吾の食物さへありたら、誠に温順しいなれど、人民は虎狼よりも悪が強いから、欲に限りが無いから、何んぼ物が有りても、満足といふ事を致さん、惨酷い精神に成りて了ふて、鬼か大蛇の精神になりて、人の国を奪つたり、人の物を無理しても強奪くりたがる、悪道な世に成りて居るぞよ。是も皆悪神の霊の所行であるぞよ。モウ是からは改信を致さんと、艮金神が現はれると、厳しうなるから、今迄の様な悪のやりかたは、何時までもさしては置かんぞよ。善し悪しの懲戒は、覿面に致すぞよ。今迄好きすつ法、仕放題の、利己主義の人民は、辛くなるぞよ。速く改信致さんと、大地の上には置いて貰へん事に、変りて来るから、神が執念気を附けるなれど、知恵と学とで出来た、今の世の人民の耳には、這入かけが致さんぞよ。一度に岩戸開きを致せば、世界に大変が起るから、時日を延ばして、一人なりとも余計に改信さして、助けてやりたいと思へども、何の様に申しても、今の人民は聞入れんから、世界に何事が出来致しても、神はモウ高座から見物いたすから、神を恨めて下さるなよ。世界の神々様守護神殿、人民に気を附けるぞよ。無間の鐘を打鳴して、昔の神が世界の人民に知らせども、盲目と聾者との暗黒の世であるから、神の誠の教は耳へ這入らず、獣の真似を致して、牛馬の肉を喰ひ、一も金銀、二も金銀と申して、金銀で無けら世が治らん、人民は生命が保てん様に取違致したり、人の国であらうが、人の物であらうが、隙間さへありたら略取ことを考へたり、学さへ有りたら、世界は自由自在に成る様に思ふて、物質上の学に深はまり致したり、女と見れば何人でも手に懸け、妾や足懸を沢山に抱へて、開けた人民の行り方と考へたり、恥も畏れも知らぬ許りか、他人は何んな難儀を致して居りても、見て見ん振りをいたして、吾身さへ都合が善ければ宜いと申して、水晶魂を悪神へ引抜かれて了ふたり、徴兵を免れようとして、神や仏事に願をかける人民、多数に出来て、国の事共一つも思はず、国を奪られても、別に何とも思はず、心配も致さぬ人民ばかりで、此先は何うして世が立ちて行くと思ふて居るか、判らんと申しても余りであるぞよ。病神が其辺一面に覇を利かして、人民を残らず苦しめ様と企みて、人民のすきまをねらひ詰て居りても、神に縋りて助かる事も知らずに、毒には成つても薬には成らぬものに、沢山の金を出して、長命の出来る身体を、ワヤに為られて居りても、夢にも悟らん馬鹿な人民許りで、水晶魂の人民は、指で数へる程よりか無いとこまで、世が曇りて来て居りても、何うも此うも、能う致さん様に成りて居るくせに、弱肉強食の世の行り方をいたして、是より外に結構な世の治方は、無いと申して居るぞよ。今の世の上に立ちて居りて、今迄けつこうに暮して居りて、神の御恩といふ事を知らずに、口先ばかり立派に申して居りても、サア今といふ所になりたら、元来利己主義の守護神であるから、チリチリバラバラに、逃げて了ふもの許が出て来るぞよ。今の人民は、サツパリ悪魔の精神に化りて居るから、何程結構な事を申して知らしてやりても、今の今まで改信を能う致さんやうに、曇り切りて了ふたから神もモウ声を揚げて、手を切らな仕様が無いが、是丈神が気を附けるのに聞かずに置いて、後で不足は申して下さるなよ。神はモウ一限に致すぞよ。 今の人民は悪が強いから、心からの誠といふ事が無きやうになりて、人の国まで弱いと見たら、無理に取つて了ふて、取られた国の人民は、在るに在られん目に遭はされても、何も言ふ事は出来ず。同じ神の子で有りながら、余り非道い施政で、畜生よりもモ一つ惨いから、神が今度は出て、世界の苦しむ人民を助けて、世界中を桝掛け曳きならすのであるぞよ。今の人民は段々世が迫りて来て、食物に困る様になりたら人民を餌食に致してでも、徹底的行り抜くといふ深い仕組を致して、神の国を取らうと致して、永らくの仕組をして居るから、余程確りと腹帯を締めて居らんと、末代取戻しの成らん事が出来して、天地の神々様へ、申訳の無き事になるから、艮の金神が三千年余りて、世に落ちて居りて、蔭から世界を潰さんやうに、辛い行をいたして、経綸をいたしたので、モウ水も漏らさんやうに致して有るなれど、神は其儘では何も出来んから、因縁ある身魂を引きよせて、懸りて此世の守護をいたすのであるから、中々大事業であれど、時節参りて、変性男子と変性女子の身魂が、揃ふて守護が有り出したから、いろは四十八文字の霊魂を、世界の大本、綾部の竜宮館にボツボツと引き寄せて、神がそれぞれ御用を申し付けるから、素直に聞いて下さる人民が揃ふたら、三千年余りての仕組が、一度に実現て来て一度に開く梅の花、万古末代萎れぬ花が咲いて、三千世界は勇んで暮す神国になるぞよ。人民の天からの御用は、三千世界を治め、神の手足となりて、吾身を捨てて、神の御用を致さな成らぬのであるから悪には従はれぬ、尊い身魂であるのに、今の世界の人民は、皆大きな取違ひを致して居るぞよ。 ○ 明治三十二年…月…日 艮の金神が出口直の手を借りて、何彼の事を知らすぞよ。今迄は世の本の神を、北の隅へ押籠めておいて、北を悪いと世界の人民が申して居りたが、北は根の国、元の国であるから、北が一番に善くなるぞよ。力の有る世の本の真正の水火神は、今迄は北の極に落されて、神の光を隠して居りたから、此世は全然暗黒でありたから、世界の人民の思ふ事は、一つも成就いたさなんだので在るぞよ。是に気の付く神も、人民も、守護神も無かりたぞよ。人民は北が光ると申して、不思議がりて、種々と学や知識で考へて居りたが、誠の神々が一所に集りて、神力の光りを現はして居ると申す事を知らなんだぞよ。モウ是からは、世に落されて居りた活神の光りが出て、日の出の守護となるから、其処辺中が光り輝いて、眩うて目を明けて居れんやうに、明かな神世になるぞよ。今迄の夜の守護の世界は、明の烏と成りて来て、夜が明るから、それまでに改信を致して、身魂を研いて水晶魂に立帰りて居らんと、ヂリヂリ悶える事が出来致すから、今年で八年の間、神は気を附けたなれど、余り世界の人民の心の曇りがきつき故に、何を言ふて聞かしても、筆先に書いて見せても誠にいたさぬから、出口直は日々咽喉から血を吐くやうな思ひを致して、世界の為に苦労をいたして居るのを、見て居る艮の金神も辛いぞよ。胸に焼鉄あてる如く、一人苦みて居るぞよ。人民は万物の長とも申して、豪さうに致して居るでは無いか。鳥獣でも、三日先の事位は知りて居るのに、人民は一寸先が見えぬ所まで曇りて居るから、脚下へ火が燃えて来て居りても、未だ気が附かぬぞよ。能うも是だけ人民の霊魂も、曇りたものであるぞよ。障子一枚ままならぬ所まで精神を汚して置いて、何も判らぬ癖に神を下に見降して居る、人民の中の鼻高が、上へのぼりて、此世の守護をいたしても、一つも思ふやうに行きはいたさんぞよ。此世は、元の生神の守護が無かりたら、何程知識や学で考へても、何時までも世界は治まらんぞよ。一日も速く往生いたして、神の申す様に致さねば世界の人民が可哀想で、神が黙つて見て居れんから、今度は北から艮の金神が現はれて、世界を水晶の世にいたして、善と悪とを立別けて、善悪の懲戒を明白にいたして、世界の人民を改信させて、万古末代動きの取れん、善一筋の世の持方を致すから、是迄の世とは打つて変りての善き世といたして、神も仏も人民も、勇んで暮す松の世、神世といたして、天の大神様へ御目に掛るのであるぞよ。夫れまでに一つ大峠が在るから、人民は速く改信いたして、神心に立還りて下されよ。神は世界を助けたさの、永い間の苦労であるぞよ。昔の神世に立替へる時節が来たぞよ。今迄は日没が悪いと申したが、世が代ると日没が一番善く成るぞよ。日没に初めた事は、是から先の世は、何事も善き事なれば成就いたすぞよ。夫れも神をそつち除けにいたしたら、物事一つも成就いたさぬ世に変るから、何よりも改信致して、霊魂を研くが一等であるぞよ。時節が来たぞよ。モウ間が無いぞよ。 ○ 明治三十二年旧七月一日 竜門の宝を艮の金神がお預り申すぞよ。竜門には宝は何程でも貯へてあるぞよ。岩戸開きが済みて立直しの段になりたら間に合ふ宝であるぞよ。昔から此乱れた世が来るから、隠してありたのぢやぞよ。御安心なされ。艮金神大国常立尊が、神功皇后殿と出て参る時節が近よりて来たぞよ。此事が天晴表に現はれると、世界一度に動くぞよ。モウ水も漏さぬ経綸が致して有るぞよ。開いた口が塞がらぬ、牛糞が天下を取るぞよ。珍らしい事が出来るぞよ。アンナものがコンナものに成りたと、世界の人民に改信致させる仕組であるから、チト大事業で有れども、成就いたさして、天地の大神へ御目に掛けるから、艮の金神はカラ天竺までも鼻が届くぞよ。この仕組は永らく世に落ちて居りての、艮の金神の経綸であるから、神々にも御存知ない事があるから、人民は実地が出て来る迄はヨウ承知を致さんぞよ。是でも解けて見せてやるぞよ。今度の二度目の天の岩戸開は、因縁の在る身魂でないと、御用には使はんぞよ。神の御役に立るのは水晶魂の選抜ばかり、神が綱を掛けて御用を致さすのであるから、今迄世に出て居れた守護神は、思ひが大分違ふぞよ。是も時節であるぞよ。時節には何も敵はんぞよ。上下に復るぞよ。 艮金神大国常立尊の三千年の経綸は、根本の天の岩戸開で有るから、悪の霊魂を往生さして、万古末代善一つの世に致すのであるから、神の国に只の一輪咲いた誠の梅の花の仕組で、木花咲哉姫の霊魂の御加護で、彦火々出見尊とが、守護を遊ばす時節が参りたから、モウ大丈夫であるぞよ。梅で開いて松で治める、竹は邪神の守護であるぞよ。此経綸を間違はしたら、モウ此の先はどうしても、世が立ちては行かんから、神が執念う気を付けて置くぞよ。明治二十八年から、三体の大神が地へ降りて御守護遊ばすと、世界は一度に夜が明けるから、三人の霊魂を神が使ふて、三人世の元と致して、珍らしき事を致さすぞよ。いろは四十八文字で、世を新つに致すぞよ。此中に居る肝腎の人に、神の経綸が解りて来て改信が出来たら、世界に撒配りてある身魂を、此大本へ引寄せて、神の御用を致さすから、左程骨を折らいでも経綸は成就いたすから、何事も神の申す様にして居りて下されよ。今度の事は知識や学では到底可んから、神の申す事を素直に聞いて下さる身魂でないと、神界の御用には使はんぞよ。此の大本は外の教会のやうに、人を多勢寄せて、それで結構と申す様な所でないから、人を引張りには行つて下さるなよ。因縁ある身魂を神が引寄せて夫れ夫れに御用を申し附けるのであるぞよ。 大本の経綸は病気直しで無いぞよ。神から頂いた結構な身魂を、悪の霊魂に汚されて了ふて、肉体まで病魔の容器になりて、元の大神に大変な不孝を掛けて居る人民が病神に憑かれて居るのであるから素の水晶魂に捻じ直して、チツトでも霊魂が光り出したら、病神は恐がりて逃げて了ふぞよ。此の大本は医者や按摩の真似は為さんぞよ。取次ぎの中には、此の結構な三千世界の経綸を、取違ひ致して、病直しに無茶苦茶に骨を折りて肝腎の神の教を忘れて居る取次が多数在るが、今迄は神は見て見ん振を致して来たが、モウ天から何彼の時節が参りて来たから、今迄の様な事はさしては置かんから、各自に心得て下されよ。是程事解けて申す、神の言葉を反古に致したら、已むを得ず気の毒でも、天の規則に照して懲戒を致すぞよ。今の神の取次は、誠と云ふ事がチツトも無いから、吾の目的計り致して、神を松魚節に致して、却て神の名を汚して居る、天の罪人に成りて居るぞよ。大本の取次する人民は、其覚悟で居らんと世界から出て来だすから、恥かしくなりて、大本へは早速に寄せて貰へん事が出来いたすから、永らく神が出口に気を付けさしたぞよ。モウ改信の間が無いぞよ。神はチツトも困らねど、取次が可愛相なから。 艮金神が表になると、一番に悪所遊びを止めさすぞよ。賭博も打たさんぞよ。家の戸締りも為いでもよき様に致して、人民を穏かに致さして、喧嘩も無き結構な神世に致して、天地の神々様へ御目に掛けて、末代続かす松の世と致すぞよ。 ○ 明治三十四年旧三月七日 元伊勢のうぶだらひと、産釜の水晶の御水は、昔から傍へも行かれん尊い清き産水でありたなれど、今度の天の岩戸開に就いて、因縁のある霊魂に御用をさして、世を立直すには、昔の元の水晶の変らん水を汲りに遣らしてあるぞよ。艮金神の指図でないと、此水は滅多に汲りには行けんのであるぞよ。神が許可を出したら、何処からも指一本触る者もないぞよ。今度の元伊勢の御用は、世界を一つに致す経綸の御用であるぞよ。もう一度出雲へ行て下されたら、出雲の御用を出来さして、天も地も世界を平均すぞよ。此御用を済して下さらんと、今度の御用は分明かけが致さんぞよ。解りかけたらば速いぞよ。天の岩戸開きは水の守護と火の守護とで致すぞよ。岩戸開きを致すと申して居りても如何したら世が変ると云ふ事は、世に出て御出でる神様も御存知はないぞよ。肝腎の仕組は今の今迄申さぬと出口に申してあるぞよ。まだまだ在るぞよ。天の岩戸開と言ふ様な大望な事には、誰にも言はれん事があるのぢやが、其御用は出口でないと出来んぞよ。今度の御用をさす為に、昔から生代り死代り、苦労ばかりが為して在りた、変性男子の身魂であるぞよ。此の変性男子が現はれんと世界の事が出て来んぞよ。神柱会開きは人民が何時まで掛りても開けんと申してあるぞよ。神が開いて見せると申して、先に筆先に出してあらうがな。時節が近寄りたぞよ。 世界一度に開くぞよ。一度に開く梅の花、金神の世に致して早く岩戸開をいたさんと、悪く申すでなけれども、此世は此の先は如何成るかと言ふ事を御存知の無い神ばかりであるぞよ。 (大正一二・四・二五旧三・一〇北村隆光再録)
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霊界物語 60_亥_イヅミの国3/三美歌/祝詞/神諭 22 三五神諭(その三) 第二二章三五神諭その三〔一五四七〕 明治三十四年旧六月三日 斯世の行く先の解るのは、綾部の大本の竜門館でないと、何んぼ知識で考へても何程学がありたとて、学があるほど利口が出て、解りは致さんぞよ。永くかかりて仕組んだ此の大望、解りかけたら速いから、改信が一等であるぞよ。変性男子の因縁の解る世が参りて来たから、世界にある事を先繰に、前途の事を知らせる御役であるぞよ。今度は世に落ちておいでる神々を皆世に上げねばならん御役であるから、順に御上りに成るぞよ。それに就いては世に出て御いでます万の神様に、明治二十五年から申付けてあるが、是迄のやうな世の持方では行けんから、岩戸を開くに就いては、高処から見物では可けませんぞえと申して置いたが、時節が参りたから、一旦は世界に言ふに言はれん事が出来いたすぞよ。 ○ 明治三十五年旧七月十一日 永らく筆先に出して知らしてやりても、今の人民は疑強き故に真に致さぬから、此中に実地を為て見せてあるから、能く見て置かんと肝腎の折に何も咄しが無いぞよ。霊魂の調査いたして、因縁ある身魂を引寄して御用に使ふと申して、筆先に出してあらうがな。今度の二度目の天の岩戸開と申すのは、天の岩戸を閉める役と、開く役とが出来るのであるが、神の差添の種は、自己が充分苦労をして人を助ける心でないと、天地の岩戸は却々開けんぞよ。差添の種に成るのは、二十五年からの筆先を腹へ締込みて置いたら宜いのであるぞよ。此中の結構な経綸が判りて来かける程、世界から鼻高が出て来るから、筆先で何麼弁解も出来るやうに書してあるから、調戯心で参りて赤恥かいて帰るものも出来るし、又誠で出て来るものもあるぞよ。目的を立てようと思ふて出て来るものもあるし、世間に解る程忙しくなるから、此寂しく致して誠を細かう判るやうに書してあるから、他の教会とは精神が違ふと申すのぢやぞよ。世界の鏡の出る所であるから、是迄に何程云ふて聞かしたとて、余り出口を世に墜して御用が為してありたから、疑ふ者計りで、此中の行ひがチツトも出来んゆゑ、誠の教も未だ今にさして無きやうな事であるから、此の闇の世に夜の明ける教を致しても、誰も真に致さねど、もう夜の明けるに近うなりたぞよ。夜が明けると神の教通りに世界から何事も出て来るから、世界は一旦は悪なるから、喜ぶものと悲しむものとが出来るから、大本さへ信神致して居りたら善き事が出来るやうに思ふて、薩張り嘘ぢやつたと申してゐるなれど、出口の日々の願で、大難を小難にまつり替へた所で、何なりと神国の中にも夫々の見せしめは在るぞよ。是から先になりたら、斯様な事が在るのに何故知らせなんだと小言を申すなり、知らせねば不足を申すであらうし、亦知らせて遣れば色々と疑うて悪く申すし、人民の心が薩張り覆つてゐるから、善き事は悪く見えるし、悪きこと致すものは却つて今の時節は善く見えるが、全然世が逆さまであるぞよ。今の世界に立つ人は、一つも誠の善の事は致して居らんぞよ。艮金神が表に現はれて世界の洗ひ替をいたすから、是からは何事も神から露見れて来るぞよ。今の世界の落ちてゐる人民は、高い処へ土持計り致して、年が年中苦しみてゐるなり。上に立ちてゐる神は悪の守護であるから、気儘放題好き寸法。強い者勝の世の中でありたなれど見て御座れよ、是から従来の行方を根本から改正さして了ふて、刷新の世の行方に致すから、今迄に上に立ちて居りた神は大分辛う成りて来るから、初発から出口直の手と口とを藉りて、色々と世界の霊魂に申聞したら、近所の者が驚いて、出口を警察へ連れ参りた折に、警察で三千世界の大気違ひであると申してあるぞよ。それでも気違ひが何を申す位により取りては居らんぞよ。何でもない手に合ふ者ほか能う吟味を致さんのか、モチト大きな者を吟味いたして世の潰れんやうに致さねば、此儘で置いたら、警察の云ふ事共聞く者が無きやうになるぞよ。艮金神が現はれて守護をしてやらねば、神の国は此状態で置いたら、全部悪神に略取れて了ふぞよ。斯様な時節が参りてゐるに、上に立ちておる守護神が先が解らんから、岩戸を開いて先の判る世に致すから、自己の心から発根と改信を為るやうに成るぞよ。艮金神が表になると物事速いぞよ。 ○ 明治三十六年旧七月十三日 悪神の国から始まりて、大戦争が在ると申してあるが、彼方には深い大きな計画をいたして居るなれど、表面からは一寸も見えん、艮金神は日の下に経綸が致して在るぞよ。日の下は神国で結構な国ぢやと云ふ事は、判りて居れど、何を申しても国が小さいので、一呑に為ておるから、今の精神では、戦争が始まりたら神国魂が些とも無いから、狼狽て了ふぞよ。是から段々と世が迫りて来て、世界中の大戦争となりて、窮極まで行くと、悪魔が一つになりて、皆攻めて来た折には、兎ても敵はんといふ人民が、神から見ると九分まであるが、日の下はモウ敵はんと申す所で、神国魂の生神の本の性来を、出して見せて遣ると、神国魂は胸に詰りて呑めぬから悪神の守護神が、元の霊魂の力はエライものぢや、誠ほど恐いものは無いと申して、往生する所まで神国の人民は堪忍な、今度悪神が強いと見たら、皆それへ属いて了ふから、ソコデ此の本に仕組てある事を、神国の人民が能く腹へ入れて、御用を致さす身魂が二三分出来たら、其処で昔からの経綸の神が現はれて、世界を誠一つの神力で往生致さして、世界中の安心が出来るやうに致して、昔の元の神代に復すぞよ。邪神の侵略主義はモウ世が終結ぞよ。何程人民に智慧学力が在りても、兵隊が何程沢山ありても今度は人民同志の戦争でありたら、到底敵はんなれど、三千年余りての経綸の時節が来たので在るから、世界中から攻めて来ても、誠には敵はん仕組が為てあるなれど、艮金神、竜宮乙姫どの、日出の神が表はれんと、其処までの神力は見せんから、此の大本には揃ふて神力を積ておかんと如何為様にも激烈うて、傍へは寄附かれん様な事が出来てくるから、身魂を能く磨いておけと申すのであるぞよ。身欲信仰して居る人民、そこへ成りてから助けて呉れと申ても其様な人民は醜しいから、傍へは寄せ附けんぞよ。能く神の心を汲取らんと、大本は天地の誠一つの先祖の神の経綸の尊い場所で在るから、迂濶に出て来ても、チト異う所であるから、其処にならんと眼が覚めんから、眼醒しの在るまでに、腹の中の埃を出して置かんと、地部下に成るから、執念言ふて気を附るぞよ。 ○ 明治三十七年旧正月十日 艮金神稚日女岐美命が、出口の守と現はれて、変性男子の身魂が全部現れて、斯世を構ふと余り速に見透いて、出口の傍へは寄れん様に成ると申して在るが、何彼の時節が参りたから気遣ひに成るぞよ。水晶の身魂でありたら、岩戸開きの折にも安心で何も無いなれど、一寸でも身魂に曇りがありたり、違うた遣方いたしたり、混りがありたり致したら、直ぐその場で陶汰られて、ザマを晒されるぞよ。人民からは左程にないが、神の眼からは見苦しきぞよ。変性男子は大望な御役であるから、今度の御用をさす為に、神代一代の苦労がさしてありての事であるから何程でも此筆先は湧いて来るぞよ。岩戸開きの筆先と立直しの筆先とを、世が治まる迄書かすなり、斯世一切の事を皆書かせるから、何麼事も皆解りて来るから、誰も恥かしうなるから、改信いたせ、身魂の洗濯いたせよと、出口直の手で知らしてあるのを、疑うて居りた人民気の毒が出来て来るぞよ。斯世が末に成りて、一寸も前へ行けんやうになりて、変性男子と女子とが現はれて、二度目の天の岩戸を開く大望な御役であるぞよ。今迄の教は魔法の遣方で金輪際の悪き世の終りであるぞよ。 ○ 明治三十七年旧七月十二日 今の役員信者は、今度の戦争で世が根本から立替るやうに信じて、周章てゐるなれど、世界中の修斎であるから、さう着々とは行かんぞよ。今度の戦争は門口であるから、其覚悟で居らんと、後で小言を申したり、神に不足を申して、折角の神徳を取外す事が出来いたすぞよ。変性女子の筆先は信用せぬと申して、肝腎の役員が反対いたして、書いたものを残らず一所へ寄せて灰に致したり、悪魔の守護神ぢやと申して京、伏見、丹波、丹後などを言触に廻りて神の邪魔を致したり、悪神ぢやと申して力一杯反対いたして、四方から苦しめてゐるが、全然自己の眼の玉が眩んでゐるのであるから、自己の事を人の事と思うて、恥とも知らずに、狂人の真似をしたり、馬鹿の真似を致して一廉改信が出来たと申してゐるが、気の毒であるから、何時も女子に気を附けさすと、悪神奴が大本の中へ来て何を吐すのぢや、吾々は悪魔を平げるのが第一の役ぢやと申して、女子を獣類扱ひに致して、箒で叩いたり、塩を振掛けたり、啖唾を吐きかけたり、種々として無礼を致しておるぞよ。是でも神は、何も知らぬ盲聾の人民を改信さして、助けたい一杯であるから、温順しく致して誠を説いて聞かしてやるのを逆様に聞いて居れど、信者の者に言ひ聞かして邪魔を致すので、何時までも神の思惑成就いたさんから、是から皆の役員の目の醒める様に、変性女子の御魂の肉体を、神から大本を出して経綸を致すから、其覚悟で居るがよいぞよ。女子が出たら後は火の消えた如く、一人も立寄る人民無くなるぞよ。さうして見せんと此の中は思ふ様に行かんぞよ。明治四十二年までは神が外へ連れ参りて、経綸の橋掛をいたすから、後に恥かしくないやうに、今一度気を附けて置くぞよ。この大本の中の者が残らず改信いたして、女子の身上が解りて来たら、物事は箱差したやうに進むなれど、今のやうな慢心や誤解ばかりいたしておるもの許りでは、片輪車であるから、一寸も動きが取れん、骨折損の草臥儲けに成るより仕様は無いから、皆の役員の往生いたすまでは神が連出して、外で経綸をいたして見せるから、其時には又出て御出で成されよ、手を引き合ふて神界の御用をいたさすぞよ。今度の戦争で何も彼も埒が付いて、二三年の後には天下泰平に世が治まる様に申して、エライ力味やうであるが、其麼心易い事で天の岩戸開は出来いたさんぞよ。今の大本の中に唯の一人でも、神世に成りた折に間に合ふものがあるか。誤解するも自惚にも程があるぞよ。まだまだ世界は是から段々と迫りて来て、一寸も動きの取れんやうな事が出来するのであるから、其覚悟で居らんと、後でアフンとする事が今から見透いて居るぞよ。今一度変性女子の身魂を連出す土産に、前の事を概略書き残さして置くから、大切にいたして保存して置くが宜いぞよ。一分一厘違ひは無いぞよ。明治五十年を真中として前後十年の間が岩戸開きの正念場であるぞよ。それまでに神の経綸が急けるから、何と申しても今度は止めては下さるなよ。明治五十五年の三月三日五月五日は誠に結構な日であるから、それ迄はこの大本の中は辛いぞよ。明治四十二年になりたら、変性女子がボツボツと因縁の身魂を大本へ引寄して、神の仕組を始めるから、気の小さい役員は吃驚いたして、逃出すものが出来て来るぞよ。さうなりたら世界の善悪の鏡が出る大本で在るから、色々の守護神が肉体を連れ参りて、目的を立てやうといたして、又女子の身魂に反対いたすものが現はれて来るなれど、悪の企謀は九分九厘で掌が覆りて、赤恥かいて帰るものも沢山あるぞよ。今の役員は皆抱込まれて了ふて、又女子に反対をいたすやうになるなれど、到底敵はんから往生いたして改信[※三五神諭には約70ヶ所で「改信」が使われているが、校定版・愛世版では第20章a343と第22章a311の2ヶ所だけ「改心」になっている。初版では全て「改信」であり「改心」は使われていない。したがって誤字と判断し、霊界物語ネットでは「改信」に修正した。]いたしますから、御庭の掃除になりと使うて下されと、泣いて頼むやうになるぞよ。腹の底に誠意が無いと欲に迷ふて大きな取違をいたして、ヂリヂリ悶えをいたさな成らんから、今の内に胸に手を当てて考へて見るが宜いぞよ。もう是限り何も申さんから、此筆先も今度は焼捨てぬやうに後の証拠にするが宜いぞよ。何方が取違であつたか判るやうに書かして置くぞよ。盲目聾が目が明いた積り、心の聾が耳が聞える積りで居るのであるから、薩張り始末が附かんぞよ。力一杯神界の御用をいたした積りで、力一杯邪魔をいたしておるのであるから、何うも彼うも手の出し様が無いから、止むを得ず、余所へ暫くは連参りて、経綸をいたすぞよ。今の役員チリヂリバラバラに成るぞよ。 ○ 明治三十七年旧八月十日 天も地も世界中一つに丸め、桝掛ひいた如く、誰一人つづぼには落さぬぞよ。種蒔きて苗が立ちたら出て行くぞよ。苅込になりたら、手柄をさして元へ戻すぞよ。元の種、吟味致すは今度の事ぞよ。種が宜ければ、何んな事でも出来るぞよ。 (大正一二・四・二六旧三・一一於竜宮館北村隆光再録)
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霊界物語 62_丑_讃美歌2 14 神幸 第一四章神幸〔一五八九〕 第三八二 一 三月三日の桃の花五月五日の桃の実や 菖蒲の花の咲き匂ふ厳の吉き日は来りけり 遠き神代の昔より弥永久に定まれる 神の光は妹と背の生代を契る神柱 祝の日とぞなりにける。 二 山と山との谷間を流るる水の底清く 菖蒲の花は朝夕に妙なる薫りを放ちつつ わが庭前の池の面に影をば映す水鏡 上と下とは紫の花と花との妹と背が 睦びし如く映ろへり。 三 此世の憂きも悩みをも又喜びも楽しみも 共におひつつ睦じく厳の栄光の神園をば 望みて進む妹と背の正しき道の楽しさよ。 四 八千代と寿ぐ百鳥の歌の調も長閑なり 神の御庭に集まりし珍の信徒睦び合ひ 花の莚に嬉しげにうごなはり居る有様は 天津使の如くにて妹背の幸を祈るなり あゝ惟神々々恩頼を願ぎ奉る。 第三八三 一 妹と背の道を開きし那岐那美の 神の御声は今尚聞ゆも。 二 厳御霊瑞の御霊の下り来て 今日の喜び幸はひ給はむ。 三 現し世に立ちて働くわが友を 与へ給はれ妹と背の道。 四 須勢理姫出雲の神とならばして 結び給ひぬ妹背の道を。 五 産土の神の恵のとりなしに 結び終りぬ妹背の道を。 六 幾千代も幸はひ給へ大御神 産土神と力協せて。 第三八四 一 元津神厳と瑞との二柱に 仕ふる家内は永久に楽しき。 二 兄弟も家族親族も親しみて 喜び分つ家の楽しさ。 三 朝夕に業勤しみて皇神の 御栄光あれと祈る朝宵。 四 霜枯れし浮世に住めど楽もしき 常世の春の心地するなり。 第三八五 一 天津国花の御園に建つ家は 黄金の薨四辺まばゆき。 二 火に焼かれ水に流るる現し世の 家居は夢の果敢なきを知れ。 三 八重葎門を鎖せし賤ケ家も 祝詞聞えて宮居となれり。 四 逸りてし己が心を笑ひつつ 今落ち着きぬ神の言葉に。 五 湧くままに野中の清水掬びつつ 瑞の御霊の恵さとりぬ。 六 玉の井に宿る月影いと清し 魂を研けと教へ給ふか。 第三八六 一 芝垣の一重の中も楽しけれ 神を讃へて世を渡る身は。 二 わが妹は花と笑みつついとし子は 鳥と歌ひて神を称へり。 三 円山に登りて四方を眺むれば 神の栄光は目のあたり見ゆ。 四 橄欖の花咲き匂ふ円山に 胸をどるかも瑞垣の跡。 五 皇神の珍の宮居の砕かれし 跡見る度に涙こぼるる。 六 八重葎茂れる賤ケ伏家にも 月は窓より覗かせ給ふ。 七 御恵の雨は枢を潤して 生命の水をそそがせ玉へり。 八 わが家は皇大神の御住居 珍の宮居と尊み守らへ。 第三八七 一 ほのぼのと東の空は明けにけり はや昇るらし待ちわびし日は。 二 大空にかすみし月も奇びなる 光を放つ夜とはなりぬる。 三 冬籠り春待ちわびし白梅の 神の御園に身をひそめ居つ。 四 声高く鶯雲雀野に叫ぶは 神の御稜威を謳ふなるらむ。 五 梅柳花橘の色清く 主の栄えを粧ひぬるかな。 六 皇神の同じ身魂を受くる身は 男女の区別あるなし。 七 珍らしき花匂ふなる庭の面に 導かれ行くも神のまにまに。 第三八八 一 時鳥深山の奥に身をかくし 瑞枝栄ゆる夏を待ちつつ。 二 時鳥泣く音に醒めて起き出づれば 有明の月かがやき渡らふ。 三 花蓮白梅の如薫りつつ 神の御旨を教へ示せり。 四 月涼し秋亦涼し野も山も 涼しき空に月は輝く。 五 旅人のなやむ真昼の夕立に 心の塵は洗はれにけり。 六 皇神の御稜威称ふる珍の声は 天津御空の神に通はむ。 第三八九 一 皇神の教に交らふ友垣は 兄弟よりも親しかりけり。 二 来ります主待ちわびて長月の 消息をきくの花莚かな。 三 麻柱の赤き心は紅葉の 奇き色香に通ひぬるかな。 四 永久の神の望みはさやかなる 御空の月にさも似たるかな。 五 田の面に稔る稲穂を鏡とし 謙遜りつつ御世を渡らへ。 六 秋の夜の虫の泣く音に合せつつ 小琴の調に御代を謳はむ。 第三九〇 一 日は流れ月は歩みて星移り 今年も余り尠くなりぬ。 二 御恵の深きも知らず白雪の 中にまよふも夢心地して。 三 野も山もはや冬枯れて見る目淋し 頼りとするは御光のみなる。 四 皇神の教の場の睦びこそ 花咲き匂ふ永久の春かも。 五 いと清き教の友の交らひは 後の世かけて変らざらまし。 六 埋火の深き心を知らずして 煙の如くさまよひ巡るも。 第三九一 一 豊栄昇る朝日影さすや迷ひの雲晴れて 天津御国に永久にあれます元津祖神の 御稜威は四方に輝きぬ神の御子なる人草の 打仰ぎつつ御空をば恋慕ふこそ床しけれ。 二 瑞の御霊の下します恵の露を身に受けて 罪や穢に萎れたる青人草に御栄光の 再び花を咲かしむる目出度き時は近づきぬ 仰ぎ敬へ神の徳。 三 神の御稜威を譬ふれば風も誘はぬ春の花 雲もかからぬ秋の月朝日の豊栄昇る如 いと明かに天地に弥永久に栄えます 仰ぎ敬へ大稜威慕ひまつれよ神の愛。 四 神の御前に集ひ来て瑞の御声を聞く時は 心の底より勇み立ち果てしも知らぬ嬉しさを 包む術なき薄衣畳むも惜しき心地かな 仰ぎ敬へ神の稜威慕ひまつれよ神の愛。 (大正一二・五・一二旧三・二七於竜宮館隆光録)
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霊界物語 68_未_タラハン国の国政改革2 09 衡平運動 第九章衡平運動〔一七三三〕 上に大名あれ共、時代を解し国家永遠の神策を弁へたる輔弼棟梁たるべき小名なく、所在虚偽と罪悪と権謀術数を以て施政の大本となし、重税を課して膏血を絞り、上に立てるブルジョア階級なる者は、肥馬軽裘、有らむ限りの贅を尽し、行人の迷惑を顧みずブウブウと自動車を飛ばして、臭気紛々たる屁と土埃を浴びせて平気に行く。貧民の子は自動車に轢き殺されても、之を訴へ出づる術も無く、強者は白昼強盗に等しき行ひを為して、公々然縦横に濶歩し、弱者は往来の車馬に踏み躙られ悲鳴を上げ、九死の境に呻吟す。文明利器の交通機関は可なりに進歩し完備すれども、貧者は之を利用する事を得ず。教育機関は立派に設けられたりと雖も、貧者は是に入学するを得ず。寄席劇場などは市の四方に建設され地上の楽園を現出すれども、貧者は又之に一回の慰安を求むる事を得ず。病院は各所に甍を列ねて樹立すれども、貧者は是に入つて治療を受くる事を得ず。美味佳肴は料理屋の店頭に並べられたりと雖も、貧者又此恩恵に浴するを得ず。錦繍綾羅を店頭に陳列せる大呉服店は市中目抜の場処に櫛比すれども貧者は一片の布も購求する事を得ず。日夜飢に泣き寒さに凍え、空虚腹を抱えて半病人の如く路の傍を悄々と喘ぎ行くのみ。富者は大小名と結托して暴利を貪り、物価は日を逐うて暴騰し、生存難の声は日を逐うて喧すしく、淵川に身を投ぐるもの、鉄砲腹を為すもの、ブランコ往生を演ずるもの、線路を枕に命を捨つるもの、日に夜に数限りも無く、暗黒の幕は下層社会に日に日に濃厚に下されて来た。民衆の憤怒怨嗟の声、号泣の叫び、恰も阿鼻叫喚地獄の状態と成つて来た。大小名撲滅の声は国内各処に起り、市民大会、民衆大会其他所有民衆の会合は、各処に開かれ、目付役と民衆の争闘、絶間なく血腥き風は四方に吹き荒び、流石安逸なりしタラハン国も、今は漸く修羅の巷と成つて了つた。不逞団歌劇団其他の各種の団体は期せずして都大路に集り、タラハン国の創立記念日なる五月五日を期して、城下の場所に一斉に放火を始め、其虚に乗じて血に飢ゑたる民衆は所有悪業を恣にし、一時は殆んど無取締の状態になりしが、漸くにして侍連の力を借つて稀有の騒乱を鎮圧する事を得たので有る。此騒擾勃発の為に、富有連の傍杖を食つて僅かの財産を焼失したるもの、親を失ひ、妻を失ひ、夫に別れ、或は一家全滅したる者数限りもなく、都大路は流血の巷と化し、死屍累々として目も当てられぬ惨状と成つた。子は母の背にあつて飢に泣き、老人は腰を抜かして路傍に倒れ、或は半死半生、重傷を負うて苦む者幾千人とも数へ切れぬ程であつた。有志の各団体は罹災民救護の為、東西南北に駆まはり、米麦野菜などをあさつて、一時の急を救はむとすれ共、到底其一部の要求を充すにも足らなかつた。流言蜚語盛ンに起り、人心恟々として安からず、今にタラハン国は滅亡の悲運に向ふべしなどと人々の口に依つて喧伝された。斯かる所へ肉体美に過ぎた大兵肥満の女一人現はれ来り、札ビラを路上に撒き散らし乍ら声高々と何事か唄ひ乍ら、碁盤の目の街を彼方此方と駆けめぐつてゐる。 女『神が表に現はれて人と鬼とを立別ける 天には黒雲塞がりて月日の影も地に照らず 天が下なる人草は優勝劣敗日をかさね 強きは高く登りつめ栄耀栄華の有丈を 尽して下の難儀をば空吹く風と聞き流し 貧しき民を虐げて生血を絞り脂をば 力限りに吸取れば痩せ衰へて餓鬼の如 骨と皮とに成り果てぬ神が此世に在す上は 何時迄許し玉はむや此世の中は神様が 万の民を平等に楽く嬉しく暮させて 天国浄土の神政を布かむが為の思召 然るに何ぞ計らむや上は左守を始めとし 富有連や長者等が勝手気儘に振れ舞ひて 下国民を苦しめし報いは忽ち目の当り 思ひ知つたか左守司其他百の司達 今に心を直さねば打てや懲らせと民衆が 鬨を作つて攻寄せる其凶兆はありありと 今より伺ひ知られたりあゝ民衆よ民衆よ 必ず憂ふる事なかれ至仁至愛の神さまは 必ず汝が窮状を何時まで見捨て給はむや 必ず一陽来復の春を迎へて永久に 安き楽き神の国此世の中に樹て玉ひ 今迄下に苦しみし清き正しき汝等を 高きに救ひ給ふべし天は降つて地と成り 地は上つて天と成る有為天変の世の中は 何時まで大名小名の自由の振舞許さむや あゝ惟神々々神は汝と倶にあり 吾等は神の子神の宮愈々時節が参りなば 今迄此世に落ち居たる百の正しき神さまは 数多の神軍引率し悪を亡しよこしまを 平らげ尽し給ふべし勇めよ勇め民衆よ 時は来れり時は今神政復古の暁ぞ 不意に起つた大火災是ぞ全く人間の 力に及ぶ術でない何れも貴き神様の 悪に対する警戒ぞ如何に大名小名や 富有連が覇張るとも彼等が覇張る世の中は 最早末期と成りにけり勇めよ勇め皆勇め 民衆を苦しむ悪人を片つ端から踏み躙り 怯めず臆せず堂々と火の洗礼を施せよ 血汐を以て世を洗へ向日の森の茶坊主が 館に後妻と化けすまし三年以来身を潜み 富有連に出入する彼に付き添ひ富有連の 事情を査べ居たりしが最早時節も充ちぬれば 数多の部下に命令し火の洗礼を為せたのは 大兵肥満の此女富有連中が何恐い 大名小名糞喰へ取締役や目付役が 怖くて此世に居られうか勇めよ勇め民衆よ 女乍らも吾部下はタラハン国の山に野に 幾十万の生身魂腕を撫して待つて居る 愈々命令一下すりや四方八方の隅々ゆ ドンドン狼火が上るだろ今の好機を逸せずに 汝等世界の改造を命の綱と信じつつ 振へよ立てよ立上れ民衆団の頭目と 世に聞えたるバランスは即ち吾身の事なるぞ あゝ勇ましや勇ましや此惨状を見るに付け 下人民の傍杖は実に涙の種なれど 大小名の狼狽の其状態を眺めては 少しは虫も治まらむ更生院が何に成る 之も矢つ張り富有等の汝等民衆一般の 生血を絞る手品ぞや必ず迷ふな迷はされな 思へば思へば村肝の心の神が踊り出す あゝ惟神々々御霊幸へましませよ 奸侫邪智の輩の目玉飛出しましませよ』 十字街道に待ち構へて居た数百の目付隊は有無を言はせずバラバラと駆け寄つて手取り足取り、取縄を以て雁字搦みに縛り付け、バランスを荷車に乗せて横大路の取締所へと運び込むで了つた。民衆に化けて居た彼の子分はバランスを取返さむと潮の如く押寄せ、目付と団員との闘争が演出された。目付隊は既に危く見えた時、喇叭の声も勇ましく二千人の侍は押寄せ来り銃を擬して威喝を試みたり。素より完全な武器を有つて居ない民衆は歯がみを為し乍ら見す見す大棟梁を奪はれしまま、退却するの止むを得ざるに立至りける。 バランスは目付頭の前に引出され、厳重なる訊問を受けた。バランスは少しも怯む色無く滔々として目付頭に食つて掛かつた。 目付頭『其方の姓名は何といふか』 バランス『俺の名はバランスと云ふ者だ。民衆救護団の大頭目だ。有名なバランスの面を今迄知らぬようなウツソリした事で、何うして大目付頭が勤まると思ふか、余り平等を欠いだ強食弱肉の現代だから、バランスを取る為にバランスと命名したのだ』 目付頭『其の方は民衆を煽て上げ、不逞の徒を鳩集し、市街に火を放ち、剰さへ所在悪業を敢てし、尚飽き足らず民衆を煽動するとは何の事だ。汝の如き極重悪人は裁判の必要も無い、国家の為不愍ながら銃殺の刑に処するに仍つて、此世の名残に念仏でも唱へて置くが可からうぞ』 バランスは女に似合はぬ大胆不敵の英雄で有る。身動きも成らぬ所迄縛られ乍ら、少しも恐るる色なく大口開けて高笑ひ、 バランス『アハヽヽヽ、向ふの見えぬ盲ども、銃殺なつと絞殺なつと、出来るなら遣つて見よ。此バランスの命はタラハン国全体とつり代の命だ。数十万の吾部下は国内の各所にバランスが殺されたと聞くならば、一時に蜂起するだらう。汝等如き悪目付共は能く後前の成行を考へて手を下したが可からうぞ。第一国民の模範たるべきものの行状は何だ。向日の森の畔に住む茶坊主タルチンの茅屋に年若き女を忍ばせ、夜な夜な労働者の服を着けて通ひつめ、恋の奴と成つて脂下つて居るで無いか、斯様な事で、如何して世話が完全に出来るか、其方共は呑舟の魚には恐れて近寄らず、鮒やモロコの如きウロクヅを漁つて目付力が何うの、政治が如何のと、好え気に成つて国の滅亡を知らない馬鹿者だ』 目付頭『バランス、何と云ふ畏れ多い事を言ふのか、人民の分際として、その行動を云々すると云ふ不敵な事が有るか』 バランス『ハツハヽヽ、それほどお邪魔に成りますかな。然らば此問題は御推量を願つて置きませう。能く茶坊主を呼出してお査べなさい。夫に付ても許し難きは左守ガンヂーが悴アリナと云ふ奴、不届至極にも茶坊主を取込み、山出し女との媒介を致して居るのみならず、自分は殿中に錦衣を着け、偽太将と成り代り、左守右守の目を眩まして居るでは無いか。大王殿下は御重病にて上下憂鬱に沈む折柄、悴たるものは女に狂ひ、又左守の悴は王位を奪はむとして居る大胆不敵の曲者、其他の大名共は之を見ても推して知るべしで有る。此バランスはタラハン国民衆全部の代表者だ、決して嘘は言はないぞ、早速調べて見るが宜からう』 此言葉に目付頭も並み居る目付等も色を失ひ、太き息を漏らして互に面を見合すのみで有つた。又もや民衆と目付役と闘ふ声、庭の近辺に喧しく響いて来た。 (大正一四・一・六新一・二九於月光閣松村真澄録)
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霊界物語 68_未_タラハン国の国政改革2 13 蛙の口 第一三章蛙の口〔一七三七〕 五月五日の城下の騒乱勃発に恐怖心を極端に抱きたる右守の司サクレンスの邸宅は、衛兵警吏数十人を以て厳しく警固され、怪しきものの影だにも近寄るを許さなかつた。かかる物々しき警戒裡の門を潜つて悠然と入り来る一人の女は殿中深く仕へたる女中頭のシノブであつた。彼は何の恐るる色もなく殿中に奉仕するという権威を肩にふりかざし乍ら、玄関口に立現はれ、 シノブ『右守様、殿中のお使で厶います。通つても宜しう厶いますか』 と訪うてゐる。 玄関番のサールは丁寧に頭をさげ乍ら、 『之はシノブ様、よくマア入らせられました。只今御主人に伝へて参りますから、暫時ここにお待ちを願ひます』 と云ひ捨てコソコソと奥の間に進み入つた。少時あつて右守はニコニコし乍ら出で来り笑を満面に浮べ、いとも慇懃な口調にて、 右守『ヤアこれはこれはシノブ様で厶いましたか。サア何卒奥へお通り下さいませ。御用の趣承はりませう』 此シノブの職掌は右守に比して非常に低級ではあるが、大王殿下の御居間近く仕へ奉る身なるを以て、どことなく権威備はり、且又左守、右守と雖、殿中の女官に対しては常に一歩を譲らねばならなくなつてゐた。万一女官の怒りに触れやうものなら、忽ち影響は各自の地位に及ぼすの恐れあるを以てである。奸侫邪智に長けたる流石の右守も、特に此女中頭たるシノブに対しては、あらむ限りの媚を呈し、追従至らざるなく、地にもおかぬ待遇振りを発揮するのが常である。シノブは悠然として右守に導かれ庭の植込をすかして、彼方に見ゆる、余り広からねども、どこともなく瀟洒たる別間に案内され、宣徳の火鉢を中において二人は頭を鳩め密談に耽る。 右『これはこれは早朝より御入来下さいまして有難う厶います。ツイ寝坊をかわきまして屋内の掃除も行届かず、此間の騒動によつて下男下女等も逃走致し、誠に不都合極まる処へ御来臨を仰ぎ、実に汗顔の至りで厶います。さうして今日お越し遊ばした御用の趣は、如何なる事で厶いませうか。仰せ聞けられ下さいますれば誠に有難う厶います』 シノブは儼然として威儀を正し言葉もやや荘重に右守を見下し乍ら言ふ、 『今日参りしは余の儀に非ず、大王殿下の勅使として右守殿に申し渡し度き事これあれば、謹んで承はり召され』 右守はハツと頭を下げ二足三足、後退りし乍ら、 『御勅使様には御苦労千万、殿下より御諚の趣、謹んで拝承仕りまする』 シノブ『今日妾、勅使として参りしは余の儀に非ず。「汝も知る如くスダルマン太子の君は行衛不明と成り、大王殿下に於かせられても御病気の折柄、御煩慮の最中、又もや王女バンナ姫様、昨夜より御行衛を見失ひ、殿中は上を下への御混雑、折悪しくも左守の司は先日の罹災に依つて、胸骨を打ち病床に呻吟いたし、未だ参内致さず已むを得ず警官を四方に派し、夜を徹して捜索すれども、今に何の手掛りも無し。汝右守も病気中とは聞けど、今日の場合、少々の病気は隠忍し、勇気を皷して参内せよ」との御諚で厶る。右守殿、御返答は如何で厶る』 右『ハイ、畏れ多くも御勅使の趣、拝承仕りました。直様、身を浄め、身拵へをなして参内致しますれば、大王殿下の御前、よろしく御取なしを願上げ奉ります』 シ『早速の承引、大王殿下に於かせられても右守が誠忠を御満足遊ばさるるであらう。然らばこれにてお別れ申す』 と言葉終ると共にツと立上り早くも帰路につかむとする。右守は低頭平身、敬意を表し乍ら、勅使の玄関を出づる迄見送つてゐた。 シノブは一旦表門迄立出で再び引返し来り、又もや玄関口に立つて、 『右守の司様、御在宅で厶いますか。妾は女中頭のシノブと申しまして卑しき身分のもので厶いますが、折入つてお願申上げ度き事の厶いますれば、どうか玄関番様、別格の御詮議を以て、右守様に面会の出来ますやう御取次を願上奉りまする』 今迄玄関の次の間に出張つて頭を傾け思案にくれてゐたサクレンスは、此声を聞くより隔ての襖をサツと引あけ、現はれ来り、 右『やア其女はシノブ殿か。ようまア厶つた。どうか奥へ通つて下さい。いろいろと相談もし度いからな』 シ『やア之は之は右守の司様、御壮健なお顔を拝し、大慶至極に存じます。妾のやうな不束者が朝も早うからお驚かせ致しまして誠に申訳も厶いませぬ』 右『いや、その御挨拶には恐れ入る。さう七難く云はれずに奥の別室においで下さい。内々相談があるから』 シ『ハイ有難う。左様ならば遠慮なく、奥へ通らして頂きませう』 と云ひ乍ら右守の後について別室座敷の一間に坐を占た。右守は、さも鷹揚な体にて巻煙草を燻らし乍ら、 右『ハヽヽヽ、シノブ殿、此間の騒動には随分気を揉んだでせうね』 シ『はい、気を揉むの揉まないのつて、口で申すやうな事では厶いませぬワ。最前もお勅使の申された通り、殿内は大騒動で御座いますよ。さうしてアリナ様迄が行衛不明と成られたのですから、妾の心配と申したら一通りや二通りでは厶いませぬ』 右『ハヽヽヽ、貴女の最も気にかかるのはアリナさまと見えますな』 シ『ホヽヽヽヽ、そらさうですとも、二世を契つた夫ですもの。女房の妾、これがどうしてジツとしてゐられませうか。御推量を願ひまする』 右『イヤ、これは恐れ入つた。別に結婚の御披露もあつたやうでもなし、何時の間に情約締結をなさつたのですかい』 シ『どうかお察しを願ひます。年頃の女に対し根ほり葉ほりお聞き遊ばすのはチと惨酷ぢやありませぬか、ホヽヽヽヽ』 と些と顔を赤らめ袖に顔をかくす。 右『貴女はかかる混乱の際にも拘らず、恋愛味を充分に味はひ遊ばす余裕がおありなさるのですから、実に偉大な女傑ですよ。この右守も驚愕、否感服仕りました。時にシノブさま、最前御勅使のお伝へによれば、バンナ姫様は御行衛不明との事、太子様と云ひ、お二人共に肝腎の方が御不在では、城内は重鎮を失ひ、王家前途のため実に憂慮に堪へないぢやありませぬか』 シ『その点は妾も、貴郎と同感で厶います。併し乍ら太子様も王女様も貴族生活を大変に忌み嫌つて居らつしやつたから、彼の騒動を幸ひ、何処かの山奥にでも隠れて、簡易生活を送らるる御所存のやうに伺ひます』 右『ヤアーかかる王家の一大事をシノブ殿は、余り意に介してゐられないやうだが、殿中深く仕ふる臣下の身として、余りに不都合ぢやありませぬか』 シ『不都合でも仕方がないぢやありませぬか。何を云つても肝腎の方が居られ無いのですもの、沢山の警官やスパイは四方八方に駆け廻り、鵜の目、鷹の目で捜索しても見当らないもの、もう此上は人力の如何ともすべき処では厶いますまい。何事も神様のなさるままですわ』 右『イヤ、呆れましたね。然し乍ら拙者はお前さまの心の底を看破してゐるのだが、何事も包み隠さず、ここで打割つて明して貰へますまいか。類は友を呼ぶとか云つて、此右守とても腹を叩けばお前さまも同じ事、余心の白うない男ですよ、アツハヽヽヽ』 シ『右守様、貴方のお心の底も、妾にはよく解つて居ります。貴方は弟御のエールさまを此際王位に上せバンナ様に娶し、貴方は外戚となつて国務を総攬し、大望を遂げむとして、種々劃策を廻らしてゐらつしやるでせう』 と星をさされて、右守は稍たぢろぎ乍ら流石の曲者、わざとケロリとした顔を突き出し、 右『ハヽヽヽ、シノブさま、お前さまの天眼通は落第ですよ。どうしてそんな野心を持ちませう。よく考へて下さい、拙者が平素の行動を』 シ『ホヽヽヽ、右守様の白々しいお言葉、妾は平素の貴方の御行動によつて斯の如く推定したので厶いますよ。何程秘密を明かし遊ばしても、妾は決して口外は致しませぬから御安心下さいませ』 右『エー、拙者の事は、おつて申上げませう。種々と痛くない腹を探られては、この右守もやりきれませぬからな、ハヽヽヽ。それよりもシノブさま、お前さまの心の秘密を、スツパ抜きませうかな』 シノブは思はずビクツとしたが、こいつも曲者、ワザと平気を粧ひ、片頬に笑を湛へ乍ら、 シ『サア何なつと仰しやつて下さいませ。妾の心はあく迄清浄潔白、只一点の野心もなければ欲望もありませぬ』 右『どこ迄も押の強い貴女のやり口には、流石の右守も舌をまきました。お前さまは左守の悴アリナ殿を王位につかせ、自分は王妃となつて栄耀栄華にタラハン国の名花と謳はれ暮すつもりで厶いませうがな』 シ『右守様、何事かと思へば身に覚えもない否、心にも期せない妙な事を仰有いますな。妾は、左様な陰謀を企むやうな悪人では厶いませぬよ』 右『アツハヽヽヽ、それ丈けの度胸があれば、一国の王妃として恥しからぬ人格者だ。又左守の悴アリナ殿も近来稀なる才子だ。寛仁大度にして慈悲を弁へ、人情に通じ、その上容色端麗にして美男子の誉高く、一国の主権者として、吾等が頭に戴いても恥しからぬ人材、いゝ処へシノブさまは気がつきましたね。ヤア右守もズツと感心致しました。御存じの通り、殆ど暗黒に等しい今日の国状、アリナさまの胆勇と、シノブさまの度胸を以て、国政の総攬をなさつたら、キツト国家は安全無事に治まるでせう。実は右守に於ても大賛成で厶います。その代り、アリナさまと貴方の目的が達成した上は、この右守を抜擢して、国務総監左守の役に使つて下さるでせうな』 と、うまく釣り込んで蛙の腸を暴露させむと試みた。賢いやうでも流石は女、さも嬉しげに答へて云ふ、 シ『流石は賢明なる右守殿、その天眼力には敬服致しました。御推量の通りで厶います。さうしてアリナ様は太子様とお約束が済んで居ります。それ故アリナ様が太子に成られるのは別に何の不思議も厶いませぬ』 右『成程、承はれば承はる程、万事万端、注意が行届き、水も洩らさぬ御経綸、愈右守、末頼もしく欣喜に堪へませぬ。ついては、ここに一つの大妨害物が厶いますが、之を何とかして排除せねばなりますまい』 シ『妨害物と仰有るのは何物で厶いますか』 右『外でも厶らぬ、太子の君を此儘放任して置いては後日の迷惑、仮令太子殿下に於て、再び王位に就かむとする念慮は起らないにしても、金枝玉葉の御方なれば、又良からぬ不逞団が太子を擁立し、王統連綿の真理の旗を飜へし押寄せ来らば、折角の貴女の幸福も、夢となるぢやありませぬか。貴女が太子のお行衛を御存じの筈、先づ此方面から処置を致さねば成りますまい』 シ『如何にもお説の通り、将来の邪魔者は、太子様で御座います。幸ひ妾は御所在を存じて居りますれば、何ならお知らせ申しても宜しう厶います』 右『大王様も御存じでいらつしやるのかな』 シ『イエイエ、どうしてどうして御存じが厶いませうぞ。妾はアリナ様から詳しう承はつて居ります』 右『成程、ア、そりやおでかしなさつた。それでは太子を捕虜となし、再び此世に上れ無いやうに取計ひ、一時も早くアリナさまを迎へて王位に即かせ、新に華燭の典を挙げさせ、国政の重任を背負つて立つて頂かねばなりませぬから、どうぞお二方の所在を明細にお知らせ下さいませ』 シ『これ右守様、高うは言はれませぬ。天に口、壁に耳、どうかお耳をお貸し下さいませ』 と云ひ乍ら右守の耳許にて何事かクシヤクシヤと囁いた。右守は吾計略図に当れりと心中雀躍りし乍らワザと真面目を粧ひ、 右『イヤ承知致しました。シノブ殿御安心下さいませ。大王の手前、よしなにお取り計らひを願ひます。そして拙者は御存じの通り目も悪く足も悪く、且此頃流行の感冒に犯されて居りますれば、到底ここ二三日は参内は叶はないだらうと、そこは、それ、宜しく云つておいて下さい。何よりも太子を処分し、アリナさまをお迎へ申すのが焦眉の一大急務ですからな』 シノブは心の中にて、 『しすましたり、右守の司も比較的組しやすき人物だ。欲に迷うて吾弁舌に翻弄され、本音を吐き、且つ妾がためによくも欺かれよつたな』 と微笑みつつ自分が騙されてゐるのを、うまく騙してやつたと得意になつてゐる。実にうすつぺらの智慧の持主である。盤古神王、もし此場に御降臨あらば彼が心を憐み、且笑はせ玉ふであらう。 シノブは欣然として右守に別れを告げ、足もイソイソ殿内さして帰り行く。 後見送つて右守は吹き出し、 『アツハヽヽヽヽ、到頭、シノブの古狸を征服してやつた。何程利口に見えて居つても女は女だ。華族女学校の校長を勤め天下一の才女と云はれてゐる女でさへも葦野の如き怪行者に頤使され情の種迄宿し馬鹿を天下に曝す世の中だから、何程偉いと云つても、女はヤツパリ女だ、アツハヽヽヽ。たうとうこの右守が智慧の光に晦され、最愛の夫の難儀になる事も知らず、本音を吹いて帰りよつたわい、イツヒヽヽヽ』 かく一人笑壺に入つてゐる。其処へ襖をソツと押あけ入り来りしはサクラン姫であつた。 『旦那様、天晴々々、それでこそ妾の夫、右守の司様ですわ。否近き将来における国務総監様。本当に、知識の宝庫とは旦那様の事ですね。妾、只今の掛合を襖を隔てて一伍一什承はり、旦那様の、非凡な端倪すべからざる御智慧にはゾツコン惚て了つたのですよ、ホヽヽヽ』 右守は威猛高になり、 『エツヘヽヽヽ、俺の腕前は、まア、ザツと此通りだ。俺の今後の活動を刮目して待つてゐるがよからう、イツヒヽヽヽ』 と腕を組んだまま、上下に身体を揺すり、床板迄もメキメキと泣かしてゐる。 (大正一四・一・七新一・三〇於月光閣北村隆光録)
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霊界物語 68_未_タラハン国の国政改革2 17 地の岩戸 第一七章地の岩戸〔一七四一〕 三五教の宣伝使梅公別は白馬に跨り、渺茫として天に続くデカタン高原の大原野を東へ東へと那美山の南麓を目当に進み来り、古ぼけた水車小屋の前に駒を留め独言、 梅公『ハテ、訝かしや、今この附近に人声が確に聞えたやうだ。駒を早めて近寄り見れば人の住みさうにもないこの破屋一つ。水車はあれど運転中止の有様、何かこの小屋には秘密が潜んでゐるに相違ない。どれ一つ調べて見よう』 と駒をヒラリと飛び下り、水車小屋の柱に縛りつけおき乍ら、いろいろと四辺を耳をすまして伺つて見た。どこともなしに人の声が聞えて来る。地の底のやうでもあり、又上の方から聞えて来る様でもあり、声の出所が解らぬ。梅公別は菰を敷きて端坐し瞑目して祈願を籠めた其結果は、「地下室に立派な人が投げ込まれて居る」と云ふ事が解つて来た。四辺をよくよく調べ見れば、鞋に摺りみがかれた床板がある。グツと手をかけ一枚めくつて見ると、地下室へ相当の階段が通つてゐる。梅公別はこの階段を四五間許り右に左に折れ曲り乍ら降つて往くと、其処に二人の男が抱き合うて慄つて居る。 『やア其方は何者だ。察する所何か良からぬ秘密の伏在する魔窟と見える。有体に申上げろ』 サ『ハイ、ワヽヽ私はサヽサーマンと云ふヒヽヽ一人の人間で厶います。何も別に悪い悪事を致した覚えは更に厶いませぬ。右守の司様の御命令に依りまして、此処に勤めて居るので厶います。どうぞ今日の所は見逃して下さいませ。お慈悲です、お情です、頼みます。コヽコラ、カーク、貴様もチヽ些と云ひ訳の弁解を致さぬか』 カ『いや申し宣伝使様、私はカークと申まして余り悪くもない、良くもない世間並の人間で厶います。実の所は右守の司が大変な謀叛を企らみ、カラピン王の太子スダルマン太子を、二千円の懸賞付で取つ捉まえて呉れと、内々御命令が下りましたので、二十人のものが、ソヽその百円づつ確に儲けさして頂きました。どうぞ御量見下さいませ。何時でも取る金は取つたのですから、太子様は何時でもお返し申ます。のうサーマン、ソヽさうぢやないか』 サ『ソヽそれでも太子様をコヽ此人に渡さうものなら、俺達のクヽ首が飛ぶぢやないか』 梅『お前等の云ふ事は些とも要領を得ない。要するにタラハン城の太子様を右守に頼まれて何処かへ匿したと申すのだな』 サ『ハイ、其通りで厶います。毛頭相違は厶いませぬ。何処かへ匿しまして厶います』 梅『何処かでは解らぬぢやないか。かつきりと在所を云つたらどうだ』 サ『ハイ、たうとう……所へ匿しました』 梅『何と云ふ所へ匿したのだ』 サ『ハイ、チヽチのつく所です。オイ、カークお前も半分云へ。俺も秘密を明しては責任があるからなア。一口づつ云はうぢやないか』 カ『ハイ、宣伝使様、包まず隠さず申上げます。カーに匿しました』 サ『シーに匿しました』 カ『ツーに匿しました』 梅『何、チーとカーとシーとツーと、アヽ地下室か。地下室と云へば此処ではないか』 サ『サーで厶います』 カ『ヨーで厶います』 梅『オイ、邪魔臭い。左様で厶いますと云へば可いぢやないか』 サ『こんな秘密を申上やうものなら、右守の司から打ち首に合はされますから、夫れで態と解らぬやうに言葉を分けて申しました。御推察下さいませ、貴方の明敏の頭脳でお考へ下されば解るでせう』 梅『成程、それも一理がある、面白い。それでは二人が分けて話して呉れ。自分は言霊別だから一言聞けば大抵解る。さうして此地下室に押し込まれて居る方は一人か二人かどうだ』 二人は互に一言づつ、 『フ、タ、リ、サ、マ、デ、ゴ、ザ、リ、マ、ス。ソ、シ、テ、ヒ、ト、リ、ハ、ス、ダ、ル、マ、ン、タ、イ、シ、サ、マ、ヒ、ト、リ、ハ、ス、バー、ル、ヒ、メ、サ、マ、デ、ゴ、ザ、イ、マ、ス。ミ、ツ、カ、マ、ヘ、カ、ラ、ナ、ニ、モ、ク、ハ、ズ、ノ、マ、ズ、ニ、オ、シ、コ、メ、ラ、レ、ク、ル、シ、ン、デ、イ、ラ、レ、マ、ス』 梅『ヤ、もう解つた。貴様達は此処を些とも動く事はならぬぞ』 カ『ハイ動けと仰有いましても此通り腰が抜けて仕舞つたものですから、動く事は出来ませぬ』 梅『荒金の土の洞穴底深く 繋がれ給ふ君を救はむ。 吾こそは三五の道の神司 君を救はむと忍び来にけり』 太子は石牢の中よりさも爽かなる声にて、 『惟神神の恵の幸はひて 岩戸の開く時は来にけり。 三五の神の司の御恵の 露に霑ふ若緑かな。 吾妹子は隣の牢屋に繋がれぬ とく救ひませ吾より先に』 スバール姫は最前から此様子を考へて居たが、地獄で仏に遇うたる心地、喜びに堪えず、さも嬉し気に、 『訝かしきこれの牢屋にとらはれて 泣き暮らしけり吾等二人は。 皇神の珍の御光現はれて 常夜の暗を照らす嬉しさ』 梅公別は牢獄の鍵を探せども何処にも鍵らしきものが見当らないので、両人に向ひ厳しく訊問して見ると牢獄の鍵は右守の司が持つて帰つたとの答である。梅公別は途方に暮れ乍ら一生懸命に天の数歌を奏上し祈り初めた。不思議や牢獄の岩の戸は自然にパツと開けて五色の光明が室内を射照した。太子もスバール姫も転ぶが如く牢獄を走り出で、梅公別の体に前後より喰ひつき嬉し涙にかきくれ、少時言葉さえ出し得なかつた。 梅『承はれば殿下はタラハン城の太子様、又貴女はスバール姫様との事、どうしてまア斯様な所へ押し籠められ玉うたので厶いますか』 太『恥し乍ら吾々二人は恋におち城内を密に脱け出で、山奥の破れ寺に入つて匿れ忍んで居りました所、心汚なき右守のサクレンスなるもの、王家を奪はむ企みより、吾々を邪魔者と見做し、悪漢に命じ金を与へてふん縛らせ、斯様な所へ連れ参り、吾等二人を干し殺さむとの企み、もはや決心の臍は極めて居りましたが、思ひも寄らぬ貴方のお助け、斯様な嬉しい事は厶いませぬ』 ス『宣伝使様、有難う厶います。お蔭で命を救うて頂きました。此御恩はミロクの世迄も忘れは致しませぬ。命の親の神司様、辱なふ存じます』 梅『人を救ふは宣伝使の役、其様に礼を云はれては却つて迷惑を致します。神様が私の体を通して貴方等をお救ひ遊ばしたのですから、国祖国常立大神様、豊雲野大神様にお礼を仰有つて下さいませ。サア私と一緒に声を揃へてお礼を致しませう』 『ハイ、有難う』 と両人は梅公別司と共に、心のどん底より満腔の赤誠を捧げて、感謝の辞を大神に奏上し終り、梅公別は両人に向ひ、 梅『サア皆さま、かやうな所に永居は恐れが厶います。これから私がタラハン城へお送り致しませう。今迄の間違つた心を取り直し城内へお帰り遊ばし、大王殿下の宸襟をお安め遊ばしませ』 太『ハイ、何から何迄、御親切に有難う厶います。併し乍ら此女は父には内証で連れて居りますので、此女を連れて帰る訳には参りませぬ。それだと云つて今更捨ててゆく事も可愛さうで出来ませぬ。又私の恋愛至上主義より見ても捨てる訳には行きませぬから、何卒お慈悲に此処から二人をお見捨て下さいませ。一生のお願で厶います』 梅『アーそれは間違つたお考へ、どうあつても私がお伴を致しませう。さうしてお二人の恋愛は敗れないやうに私が媒介となつて、父王殿下の御承諾を得る事に致しませう。必ず御心配なくお館へお帰りなさいませ』 太『父は大変に頑固で厶いますから、神司のお言葉と雖も到底承知は致しますまい』 梅『それは貴方の心の偏見と申すもの。天の下に子を愛せない親が厶いませうか。貴方がこのスバール様を愛して居られるよりも百層倍増て貴方の父上は貴方を愛して居られますよ。愛する貴方の心を慰むる恋人をどうしてお憎み遊ばしませう。宣伝使の言葉に二言はありませぬ。生命を賭しても貴方の恋を完全に成功させませう。承はればタラハン国は紛擾絶間無く国家は危機に瀕して居るやうです。御父殿下も御心配の折柄、天にも地にも一人子の太子様のお行衛が分らないやうな事では層一層父殿下の御心配は増す許り、国家の擾乱は日を逐うて激烈を増す計りです。その虚に乗じて悪臣共が非望を企て世は一日と修羅の巷となる許りでせう。是非私に跟いてお帰りなさいませ』 太『ハイ重ね重ねの御教訓有難う厶います。そんならお言葉に従ひ一先づ城内に帰る事に決心致します。真に済みませぬが、どうか送つて下さいますやう』 梅『やア早速の御承知、遉はタラハン国の太子様、私も満足致しました』 ス『妾もお言葉に甘へ、宣伝使様のお伴を致しまして太子様と共に参らして頂きませう。どうか宜敷うお願ひ致します』 梅『や、御心配遊ばすな。きつと円満に解決をつけてお目にかけませう。何事も神様にお任せ申せば大丈夫ですから。併し太子様、此両人はどう遊ばしますか』 太『ハイ、許し難い悪人で厶いますれば、此両人を牢獄へぶち込み懲しめてやり度いは山々で厶いますが、私も牢獄生活の苦しみを味はひましたので、吾身を抓つて人の痛さを知れとやら、どうも可憐さうで放り込んでやる気も致しませぬ。この処置については宣伝使様の御判断に任せませう』 カ『アヽ、もしもし宣伝使様、決して私は此後に於て悪事は致しませぬから、どうぞ牢獄へ入れる事だけは許して下さいませ。その代りお馬の別当でも何でも致します』 梅『人を救けるは宣伝使の役だ。併し乍ら恐れ多くも太子殿下を苦しめ奉つた其方共なれば、一人だけ助けてやらう。一人は気の毒ながら此牢獄に打ち込んでおく積りだ。太子様どちらが比較的善人で厶いますか』 太『ハイ、私としては甲乙の区別がつきませぬ。揃ひも揃つて悪い奴で厶いますから』 サ『もし太子様私は何時も貴方に対し同情を持つて居たぢや厶いませぬか。このカークと云ふ奴、私が「太子様にお腹が空くだらうから、焼甘藷の蔕でも買つて来てソツと上げたらどうだらう」と云うた所、大悪党のカークの奴、「私はそんな宋襄の仁はやらない、断乎として水一杯も呑ます事は出来ない。右守の司にそんな事が聞えたら、俺の首が飛ぶ」と極端に自己愛を発揮した奴で厶いますから、どうか私をお助け下さいませ』 梅『アツハヽヽヽ、オイ、カーク、お前はサーマンが今云つたやうな事を申したのか』 カ『ハイ、是非は厶いませぬ。神様の前で匿したつて駄目で厶います。あの通り申しました。誠に今となつて思へば申訳のない事を致しました。どうか私を牢獄に投げ込んで帰つて下さいませ。サーマンは女房も有る事なり、私は一人身、どうなつても構ひませぬ。妻も無く、子も無く、何時死んでも泣く者さえ厶いませぬから』 梅『ハヽヽヽ、割とは正直な奴だ。どうやらお前の方が善人らしい。さう有体に白状した上はお前の罪は消えて了つた。気の毒乍らサーマンを牢屋に投げ込むより仕方が無からう。太子様、殿下のお考へは如何で厶いますかなア』 太『や、それは面白いでせう。人の秘密を明して自分が助からうと云ふやうな悪人は懲しめの為め何時迄も冷たい牢獄に投げ込んでおくが宜敷いでせう』 サ『もし太子様、殿下様、どうぞ今迄の悪事は大目にみて下さいませ。其代り殿下の為めならば、今死ねと仰有つても死にますから』 太『やア面白い。然らば牢獄に投げ込む事は許してやらう。どうぢや嬉しいか』 サ『ハイ嬉しう厶います。ようまアお助け下さいました。今後は殿下の為めなら何時でも命を差し出します』 太『やア愛い奴だ。そんなら余の身代りとなつて今此処で死んで呉れ。汝の首を提げて右守司の前に差出し、スダルマン太子の生首と申し、首桶に入れて進物にいたす考へだから』 サ『メメ滅相な、今此処で命を取られては助けて貰つた甲斐が厶いませぬ』 太『ハヽヽヽヽ、汝の如き生首がどうして余の身代りにならうか。瓦は金の代りにはなるまい。あゝ総て人間の心は皆こんなものだらう。父王殿下の御側に親しく仕へ侍る老臣共は「大王殿下の為めならば何時でも命を的に働きます」と、臆面もなく口癖のやうに申て居たが、五月五日の大騒擾の勃発した時は、左守、右守を始め重臣共は四方に逃散り、唯の一人も参内したものは無かつた。高禄に養はれた重臣でさへも其通りだから、匹夫の汝が命を惜むのは無理もない。余は宣伝使に救はれた祝として、汝等両人を立派に放免する。何処へなりと勝手に行つたがよからうぞ』 太子のこの情の籠もつた言葉を聞くより、今迄腰を抜かして居た両人はムクムクと起き上り、長居は恐れ又もや御意の変らぬ内にと云つたやうな調子で、「ア、リ、ガ、ト、ウ、サ、マ」と互に一言づつ謝辞を述べながら、一目散に階段を昇り雲を霞と吾家をさして馳帰り行く。梅公別は遥の原野に遊んで居る二頭の野馬を捉へ来つて両人に勧めた。スバール姫は騎馬の経験がないので、梅公別が乗り来つた鞍付の馬に乗せ、二人の男は荒馬に跨り乍ら駒の蹄に土埃を立て、東北の空を目当に駆けて行く。 捉はれし太子の御子も三五の 神の恵に放たれてけり。 (大正一四・一・七新一・三〇於月光閣加藤明子録)
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霊界物語 72_亥_スガの港(宗教問答所) 10 清の歌 第一〇章清の歌〔一八一九〕 夜は久方の空高く輝き照す月の国 トルマン国のスガの山千歳の老松苔蒸して 百鳥千鳥朝夕に御代を寿ぎ千代々々と 囀る声の勇ましく樟の古木の梢には 鷲が出て来る巣を造る常磐の松の色深く 田鶴なき渡り巣をかける山水明媚の神の山 山王神社の御祠幾千年の雨風に 破ぶれ歪めど神徳は七千余国の月の国 隈なく輝き渡りけりハルの湖洋々と 浪を湛へて吹き来る風の香りも馨く 稲麦豆粟よく実り牛、馬、羊、豚、駱駝 家畜一切よく育つ神の恵の足ひたる 珍神国と知られける此国中に聳り立つ 大高山の峰続きスガの神山鬱蒼と 茂れる見ればトルマンの国の栄のほの見えて 神代の姿偲ばるるヨリコの姫や花香姫 主のイルクと諸共に村人多く呼び集へ 心の色もスガ山の大峡小峡の木を伐りて 本と末とは山口の皇大神に奉り 朝から晩迄チヨンチヨンと削る忌斧忌鉋 鋸の声勇ましく木を切りこなす面白さ 山王の宮の大前に展開したる広庭の 岩切り開き清めつつ五色の幣を立て並べ 石搗祭を始めたり石搗祭の神歌は 今左に述ぶる如くなり。 ○石搗き歌 スガの町の薬種問屋ヨーイヨーイドンと打て 地獄の底迄打ち抜けよスガの神山切り開き 土ひきならし塩撒いて上津岩根に搗きこらし 下津岩根に搗き固めヨーイヨーイドンと打て 竜宮の底の抜ける迄スガの港の薬種問屋 天地を創造り玉ひたる仁慈無限の大神が 常磐堅磐の御舎と仕へ奉るぞ尊けれ ヨーイヨーイドンと打て地獄の釜の割れる迄 スガの港の薬種問屋ヨーイヨーイドンと打て 産砂山の聖場に天降りましたる瑞霊 神素盞嗚の大神の厳の御言を畏みて 月第一の景勝地バラモン教やウラル教 神の司が幾度も尋ね来りて求めたる 此聖場も今は早や輝き渡る世となりぬ ヨーイヨーイドンと打て竜宮の底の抜ける迄 スガの港の薬種問屋ヨーイヨーイドンと打て 三五教の宣伝使梅公別の神司 オーラの山に立ち向ひ玄真坊やシーゴーと 名も怖ろしき強賊や売僧坊主を言向けて 凱歌をあげつつ梓弓ハルの湖渡らしつ 乗合船の其中でダリヤの姫の危急をば 救ひ給ひし聖雄ぞ此神司在す上は スガの神山雲深く包みて悪魔の襲ふとも 鬼や大蛇の攻め来とも如何でか恐れむ惟神 神の光に消え失せむヨーイヨーイドンと打て 竜宮の底の抜けるまでスガの港の薬種問屋 ヨーイヨーイドンと打てヨリコの姫や花香姫 天より降りし七夕の栲機姫か千々姫か 天教山に現れませる咲耶の姫の再来か 面は白く眉細く髪は烏の濡羽色 一目拝むも気がうとく眼も霞む艶姿 ヨーイヨーイドンと打て地獄の釜の割れるまで スガの港の薬種問屋ヨーイヨーイドンと打て 弁天様の御化身が二人も天降ります限り 此大宮は神徳も日に夜に月に輝きて 月の御国の闇の空清く晴れなむ惟神 神の御稜威ぞかしこけれヨーイヨーイドンと打て 地獄の釜の割れるまでスガの港の薬種問屋 ヨーイヨーイドンと打て。 斯くして地鎮祭も済み、次で立柱式、上棟式、完成式など僅六十日の間に大工、左官、手伝人などの精励の結果遷座式を行ふこととなつた。待ちに待たる五月五日、いよいよスガの宮の落成式を挙行することとなり、神谷村の玉清別を斎主となし、主人のイルクは神饌長となり、ヨリコ、花香、ダリヤの三人の姫御子は手長をつとめ、八雲琴、箏、篳篥、太皷の声も賑々しく、無事遷座式を終了した。是よりスガ山の山下なる、神饌田に於て田植式の祭典を行ふ事となつた。祭典の次第を略述すれば、 五月五日早朝祭員一同神の座に着く。土地の農夫等神饌田の畔に列立し、次いで神饌を供し祝詞を奏上し、次に祭員、参詣者一同礼拝し、終つて祭員は撒饌に移る。農夫は神酒を戴き、次に田植の行事に着手す。斎主の玉清別は音頭の発声をなし、謳歌者声を次ぐ。農夫等神饌田に入りて耕の式をなし、道歌を歌ひながら神饌田を東西南北に列を作つて進行し、鍬を揃へて神田を耕し、終つて神饌田の正中に幣を立ておく儀式である。 ○音頭 あれみさいスガの山のー横ー雲ー ホーイホーイヤーァホイ横雲下こそ 私等が祖国ーホーイホーイヤーァホイ ○  ヤレー見上て見ればオホー(大)カン(寒)鳥 ホーイホーイヤーァホイ見おろせば スガの名所は船着ホーイホーイヤーァホイ ○  ヤレー吾夫は河鹿の浜で網を曳く ホーイホーイヤーァホイかかれかし 九反の網の目毎にホーイホーイヤーァホイ ○  ヤレー目出度いものは芋の種ホーイホーイヤーァホイ 茎長く葉広く子供数多にーホーイホーイヤーァホイ 此様の床の間にかけし掛物ホーイホーイヤーァホイ 鴛鴦に千鳥に梅に鶯ホーイホーイヤーァホイ 此様の七つの倉の倉開きホーイホーイヤーァホイ 白銀や黄金の徳利盃々ホーイホーイヤーァホイ ヤレー十や七つが柳の下で芹を摘む ホーイホーイヤーァホイ芹はなし柳は撚れてからまーる ホーイホーイヤーァホイ十よ七つが待てならレードの出先で ホーイホーイヤーァホイヤーマ(山)を見てやれ、それでは早い 早ければー、爺の息が切れ候。 愈々耕済み、水が入ると、此度は早乙女が赤襷十文字に綾どり、美々しき衣服を着飾つて水田に下りる。 ○早乙女の歌 代田は富士の山程御座る日はしんとうと山の端にかかる ○  オーラ(俺)の所の小旦那はうす田をこのむ うす田千石厚田も千石 ○  十よ七つ八つ諸舞なれば月星出でて蚊のなく迄も ○  私と汝と何処で田を植ゑ初めた九下八つのよし家のもとで ○  十よ七つ八つ細田の清水見る人達が手をかけたがる ○  十よ七つの腰は品よい腰よ品よい腰に鳴子をつけて ○  日暮し烏は汚い鳥よ上れや終へと笠の上を廻る ○  雷さまは浮気な神よ太皷の撥を質におき 色町通ひをするさうだ。 スガの港の薬種問屋のアリスの家は俄に一陽来復の春が来た。スガの宮は無事建設を終り、アリスの病は拭ふが如く癒え、行衛不明となつて居たダリヤ姫は、神谷村の玉清別に送られて祭典の二日前に帰つて来た。只恨むらくは、梅公別宣伝使の未だ到着なき事であつた。アリスは日の丸の扇を開き乍ら喜び祝して酒宴の席にて舞ふ。 ○謡曲 アリス『世は久方の空高く天の羽衣ふりはへて スガの御山の奥深く天降りましたる木の花姫の 神の姿に似たるかなヨリコの姫や花香姫 ダリヤの姫の顔は瑞の霊の帯ばせ給ふ 十束の剣を三段折り天の安河を中におき 天の真奈井にふりすすぎぬなとももゆらに取ゆらし さがみにかみて吹き打ち給ふ伊吹きの狭霧になりませる 市岐島姫、多紀理姫多紀都の姫のあで姿 今眼の当り拝がむ心地木枯すさぶ冬の夜に まがふべらなる老の身の春に遇ひたる心地かな 仰ぎ敬へ天地の神の功のただならず 月の御国の空高く輝き渡る日月の 光にまさる如くなりイーイーー 抑々スガの山元は遠き昔の神代より 皇大神の御舎と云ひ次ぎ伝へ来りし 珍の御里なれば北に清けきハルの湖 南に高き大高の峰東に聳ゆる鐘ケ岳 西に聳ゆる青雲山山の屏風を立て並べ 天津御神や国津神集り玉ふ珍宮と 仕へ奉りし嬉しさは早や天国に住む心地 あな有難や尊やな勇めよ勇めよ家の子よ 祝へよ祝へよ国人よ千秋万歳限りなく 国の栄も松翠果てしも知らぬ白雲の 国の外まで御恵の露に霑ふ神代かな 露に霑ふ神代かな』 (大正一五・六・三〇旧五・二一於天之橋立なかや旅館加藤明子録)
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霊界物語 □_特別編-入蒙記 29 端午の日 第二九章端午の日 西北に向つて続けられた行軍は、山を越え谷を渡り高原を横切りつつ進み行く。ふと見れば前方に素晴らしい高山が横たはつてゐる。あの山が馬で越えられやうかなと案じつつ進む間に、何時しか其頂に達してゐるといふ様な緩勾配は、全く大陸の特徴であらう。六月五日になると如何なる都合か、針路は俄かに南方へ転ぜられて居た。方向が違ふぢやないか一体何処へ行くのだ、興安嶺の聖地へ行くのぢやないか、などと日本人側から不審の声が出たが、既に先鋒は遠く進んでゐる事とて、地理不案内の者の自由行動は困難である。四囲の景色は何時しか変つて、眼の届く限り火山爆発の跡らしく、熔岩或は火山灰凝固の中を通り抜けて、其壮観筆紙の能く尽す所でない。岡崎は馬上乍ら日出雄に声をかけ、 岡崎『先生、何と大きな火山ぢやありませぬか』 日出雄『さうです実に雄大なものです』 真澄『先生、阿蘇の火山も大規模で、世界一の大火山と地文学者から言はれる丈あつて実際壮観ですが、此処はモ一つ大規模ぢやないでせうか、何か曰くのありさうな所ですな』 日出雄『さうです、之れが霊界物語の第一巻にある天保山の一部ですよ、地文学者の足跡が至らないので、まだ世間へ紹介されて居ないのだらう』 真澄『今度の蒙古入には霊界物語中の実現が大分含まれて居ると、腹の中で数へて居ましたが、お蔭でモ一つ判りました』 など語り合ひつつ、草の褥に星蒲団の大陸自由ホテルを目指して行く。 六月六日陰暦五月五日の正午頃、遠く山屏風を引廻した広大な草野の中に、缶詰やメリケン粉製の餅などくさぐさの食料を口にし乍ら雑談に耽つて居るのは、云ふ迄もなく日出雄の一行である。 此日五月五日の吉日とて幹部連は記念撮影をなし、各兵団はそれぞれ適当の地位を卜し、団旗の下に集まつて遥に護衛の任務を尽してゐる。 岡崎『なんとこれ丈広い野原に、真中を河が流れてゐるし、草の出来按配から見ても地味が佳さ相だが、立派な水田が出来るやうに思ふね』 守高『私が北海道に居つて開懇に従事した経験から考へても、立派な水田が出来ます。今日迄旅行した蒙古の中で公爺府以西は素晴らしい沃野が遊んでゐますなア。気候風土の感じから云つても、北海道に出来る物は何でも作れますよ、惜いものですな』 坂本『これ丈私に頂けたらモウ満足です。半分は水田や畑にし、半分は牧場にして好きなナイスと、羊の皮の天幕張の蒙古包で十分だから、一緒に暮して見たいなア』 真澄『坂本さん、ナイスは後から送り届けるとして、先づ君一人此処へ残つて準備に取掛つたら何うです、アハヽヽ』 坂本『アハヽヽヽマア優先権さへ認めて頂けりや結構です』 真澄『実際何等束縛も干渉もないこんな大天地が豊に横はつて、人間さまのお越しを待つてゐるのに、狭苦しい所で啀み合ひしてゐるのは気の毒なものだ。時に曼陀汗さん、此附近に鉱山の良いのはありませぬか、早く趙徹さんに一億円儲けて貰ひたいですからな、アハツハヽ』 曼陀汗『サアよく存じませぬが、外蒙の砂漠の中には水晶洞がチヨイチヨイあります。又中央の火山脈の水源地の樹木鬱蒼たる所にルビーの岩があると聞いてゐますが、まだ私は行つた事はありませぬ』 坂本『外蒙の喇嘛廟には十二三の子供位の大きさの金無垢の仏像があるさうだから、それ一体丈せめて頂戴したいものだなア』 井上『坂本さん、今そんな重い物を貰つたつて運搬に困るよ。それよりも新彊へでも行つて見ろ、砂金の大粒が幾らでも転がつて居るサ』 盧占魁『新彊は世界の宝庫だと私は思ひます。山間の堅い氷の様な雪を欠いで引起すと、雪の裏に十八金程度の砂金がベツタリくつついて居るやうな所は珍らしくない位です』 日出雄『私の霊界で見てる所では、安爾泰地方から新彊の西蔵境の方面には、砂金と云ふより寧ろ金の岩とも云ふべき程の物が沢山隠されてゐる。鉱物のみでなく新彊は神の経綸に枢要な場所で、一般に天恵の豊富な土地なのだ』 真澄『先生、御神諭に示されてる通りですがな。実地を見る迄神を信じない人が多いのだから随分面倒ですなア』 日出雄『だから神様は骨が折れるのだ』 盧占魁『併し新彊へ入り込むには勝手を知つた者に案内させないと、妙な砂漠がありまして、うつかり踏み込うものなら人馬諸共ズブズブと滅入り込んで了ひます』 真澄『先生今盧さんの言つた場所は霊界物語第十巻の安爾泰地方の章に説明されてる場所に当るぢやないでせうか』 日出雄『さうらしいなア』 それからそれへと談話が交換されてる時、猪野軍医長は手に大きな氷塊を掴み乍ら走つて来た。 猪野『先生、こんな氷を見つけて来ました、地下三尺位までは十分解氷してゐますが、六七尺の所はまだ此通りです。河の縁の地の割れ目に這入り込んで、辛苦して割つて参りました』 一同猪野軍医の心尽しの氷の破片に渇を癒やし、再び行軍を続けた。青野ケ原の尽くる辺りから見渡す限り一面の花野を進む。福寿草に似た黄色い花や紫雲英に似た花、菖蒲に似た紫など、紅黄白紫各々艶を競うてゐる。 (真澄別)月光愈世に出でて精神界の王国は 東の国に開かれぬ真理の太陽晃々と 輝き渡り永遠に尽きぬ生命の真清水は 下津岩根にあふれつつ慈愛の雨は降り注ぐ 荘厳無比の光明は世人の身魂を照すべく 現はれませり人々よ一日も早く目をさませ 四方の国より聞え来る真の神の声を聞け 霊の清水に渇く人瑞の御霊にうるほへよ と歌ひつつ本部隊より十数町遅れて、此広き花野を吾物顔に馬上豊かに進み行くのは真澄別であつた。坂本は後に引添ひ乍ら『全くですなア』と感嘆の声を漏らし乍ら近頃内地で流行する唄だとて節面白く唄ひ出した。 (坂本)僕も行くから君も行け狭い日本にや住み飽いた 波の彼方に支那がある支那には四億の民が待つ 昨日は東今日は西身は浮草のそれの如 果しなき野に唯一人月を仰いで草枕 玉の肌なる此体今ぢや鎗創刀傷 これぞ誠の男ぢやとほほ笑む顔に針の髭 僕には父も母もなく生れ故郷に家もなし 幾年馴れし山あれど別れを惜しむ者もなし 唯悼はしの恋人や幼き頃の友達は 何処に住むのか今は只夢路に姿を偲ぶのみ 興安嶺の朝風に剣をかざして俯し見れば 北満州の大平野僕の住家にやまだ狭い 国を出てから十余年今ぢや蒙古の大馬賊 亜細亜高根の間より繰り出す部下が五千人 駒の蹄も忍ばせつ月は雲間を抜け出でて 明日は襲はむ奉天府ゴビの砂漠を照らすなり 花野も尽きて三方山の谷間に着いた頃、空はどんよりと曇り始め、遂に雲は綻びて雨となつた。日は既に傾きかけた上、前途は山又山が重畳と折重なつて見えてゐる。併し此雨では野営の夢を結ぶなどは思ひも寄らぬ事である。此時こそはと、日出雄は小高き岩上に登り立ち神言を奏上し初むるや、一天ガラリと晴れ渡り、五日の月西天に玲瓏たる慈光を放ち初めた。茲に日出雄一行も心を安じ、就寝の準備にかかると、如何なる軍議が参謀の間に纏りしか、引続き夜間行軍開始の報告が来たので、一行は呟き乍ら又行進し始めると、間もなく再び小雨そぼ降る空となつた。日出雄は『最早我々の責任でない』と云ひ、真澄別も別に祈願しようとしない、終に豪雨に見舞はれて、全軍山間の岩影に夜を明すの已むを得ざる事となつた。此時張彦三は『先生が折角雨を止めて下さつたのに司令が無断で宿営地を変更したから神罰を受けたのだ』と吐息を漏らして大に歎じた。 (大正一四、八、筆録)
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大本神諭 神諭一覧 明治25年旧5月5日 明治二十五年旧五月五日 水晶魂を選り抜いて霊魂の改め致すぞよ。絶対絶命の世に成りたぞよ。世界のものよ改心を致されよ。世が変るぞよ。ビックリ致すことが出来るぞよ。改心次第で助けるぞよ。疑念強きものは厳しき戒めいたすぞよ。神の言ふこと違はぬぞよ。皮相は今日でも変るぞよ。霊魂は中々変らぬぞよ。心魂を磨いて改心致されよ。足元から鳥が立つぞよ。 本断れて末続くとは思ふなよ。幹ありての枝もあれば末もあるぞよ。本断れては末は枯れるぞよ。余り大望な取次さして在るから、誠に直に気の毒であるぞよ。世界の事であるから、分明が遅きゆへ、直の悔しさ、残念さ胸に焼鉄あたる如く、たれ一人今では解るものも無し、力に成りてやりて呉れるものも無けれども、是でも、世界に仕組が致してあるから、追々解りて来るぞよ。間違いは無いぞよ。
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大本神諭 神諭一覧 明治31年旧5月5日 明治三十一年旧五月五日 今の世界の人民は、服装ばかりを立派に飾りて、上から見ば結構な人民で、神も叶はん様に見えるなれど、世の元を創造へた、誠の神の眼から見れば、全部四ツ足の守護と成りて居るから、頭に角が生へたり、尻に尾が出来たり、無暗に鼻斗り高い化物の覇張る、暗黒の世になりて居るぞよ。虎や狼は我の食物さえ在りたら、誠に温順しいなれど、人民は虎狼よりも悪が強いから、慾に限りが無いから、何んぼ物が在りても満足といふ事を致さん、惨酷い精神に成りて了ふて、鬼か大蛇の精神になりて、人の国を取ったり、人の物を無理しても強奪くりたがる、悪道な世になりて居るぞよ。是も皆露国へ上りて居る、悪神の霊の所行であるぞよ。モウ是からは改心を致さぬと、艮の金神が現はれると、厳しいなるから、今迄の様な畜生のやりかたは、何時までも為しては置かんぞよ。善し悪しの懲戒は、テキ面に致すぞよ。今迄好きすっ法、仕放題の、我善しの人民は、辛くなるぞよ。速く改心致さんと、地球の上には置いて貰えん事に、変りて来るから、神が執念気を付けるなれど、智慧と学とで出来た今の世の人民の耳には、這入かけが致さんぞよ。一度に立替を致せば、世界に大変な人減りが致すから、日時を延ばして、一人なりとも余計に改心さして、助けてやりたいと思へども、何の様に申しても、今の人民は聞入ないから、世界に何事が出来致しても、神はモウ高座から見物いたすから、神を恨めて下さるなよ。世界の神々様、守護神殿、人民に気を付るぞよ。無間の鐘を打鳴して、昔の神が世界の人民に知らせども、盲目と聾者との暗黒の世で在るから、神の誠の教は耳へ這入らず、外国の獣の真似を致して、牛馬の肉を喰たり、洋服を着て神の前を憚らずに迂路ついたり、一も金銀二も金銀と申して、金銀で無けら世が治らん。人民は生命が保てん様に、取違いたしたり、人の国で在ろうが、人の物で在ろうが、隙間さえありたら略取ことを考へたり、学さえ在りたら、世界は自由自在になる様に思ふて、畜生の国の学に深はまりいたしたり、女と見れば何人でも手に懸け、妾や足懸を沢山に抱えて、開けた人民の行り方と考へたり、耻も畏れも知らぬ斗りか、他人は何んな難儀をいたして居りても、見て見ん振りをいたして、我身さえ都合が善ければ宜いと申して、日本魂の種を、外国へ引抜れて了ふて、徴兵を免れやうとして、神や仏事に願をかける人民、多数に出来て、国の事共一つも思はず、外国に国を奪れても、別に何とも思はず、心配もいたさぬ腰抜人民や、蛆虫ばかりで、此先は何ふして世が立ちて行くと思ふて居るか、判らんと申しても余りであるぞよ。病神が其所等一面に覇を利かして、人民を残らず苦しめやうと企みて、人民のすきまをねらい詰て居りても、神に縋りて助かる事も知らずに、外国から渡りて来た悪神の教へた、毒には成っても、薬には成らぬヤクザものに、沢山の金を出して、長命の出来る身体を、ワヤに為られて居りても、夢にも悟らん馬鹿な人民斗りで、日本魂の人民は、指で数へる程よか無いとこまで、世が曇りて来て居りても、何うも此うも、能ういたさん様に成りて居るくせに、弱肉強食の世の行り方をいたして、是より外に結構な世の治方は無いと申して居るぞよ。日本の国の上に立て居りて、今迄けっこうに暮して居りて、天皇の御恩といふ事を知らずに、口先きばかり立派に申して居りても、サア今といふ所になりたら、元来利己主義の守護神であるから、チリヂリバラバラに、迯げて了ふもの斗りが出て来るぞよ。夫れで神が永らく苦労致して、一人なりと人民を改心さして、日本魂を拵らへて、世の立替の間に合したいのであれど、今の日本の人民は、サッパリ四ツ足の精神に化りて居るから、何程結構な事を申して知らしてやりても、今の今まで改心を能う致さんやうに曇り切りて了ふたから、神もモウ声を揚げて、手を切らな仕様は無いが、是丈け神が気を付けるのに、聞かずにをいて、跡で不足は申して下さるなよ。神はモウ一限に致すぞよ。 外国は獣の霊魂に為りて在るから、悪が強いから、心からの誠といふ事が無きやうになりて、人の国まで弱いと見たら、無理に取って了ふて、取られた国の人民は、在るに在られん目に遇はされても、何も言ふ事は出来ず。仝じ神の子で在り乍ら、余り非道い施政で、畜生よりもモ一つ惨いから、神が今度は出て、世界の苦しむ人民を助けて、世界中を桝掛曳きならすのであるぞよ。外国人は段々世が迫りて来て、食物に困るやうになりたら、日本の人民を餌食に致してでも、トコトン行り抜くといふ深い仕組を致して、日本の国を取うといたして、永らくの仕組をして居るから、日本の人民は、余程確りと腹帯を締めて居らんと、末代取戻しの成らん事が出来して、天地の神々様へ申訳の無き事になるから、艮の金神が三千年余りて、世に落ちて居りて、蔭から世界を潰さんやうに、辛い行をいたして、経綸をいたしたので、モウ水も漏さんやうに致してあるなれど、神は其儘では何も出来んから、因縁ある身魂を引きよして、懸りて此世の守護をいたすのであるから、中々大事業であれど、時節参りて、変性男子と変性女子との身魂が、揃ふて守護が在り出したから、いろは四十八文字の霊魂を、世界の大本、綾部の竜宮館にボツボツと引き寄して、神がそれぞれ御用を申し付けるから、素直に聞いて下さる人民が揃ふたら、三千年余りての仕組が一度に実現て来て、一同に開く梅の花、万古末代萎れぬ花が咲いて、三千世界は勇んで暮す神国になるぞよ。日本の人民の天からの御用は、三千世界を治め神の王の手足となりて、我身を捨てて、神皇の御用をいたさなならぬ国であるから、外国には従はれぬ、尊い国であるのに、今の日本の人民は、皆大きな取違いをいたして居るぞよ。
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大本神諭 神諭一覧 明治37年旧7月12日 明治三十七年旧七月十二日 今の大本の役員信者は、今度の戦争で世が根本から立替るやうに信じて、周章て居るなれど、世界中の修斎であるから、サウ着々とは行かんぞよ。今度の戦争は門口であるから、其覚悟で居らんと、後で小言を申したり、神に不足を申して、折角の神徳を取外す事が出来いたすぞよ。変生女子の筆先は信用せぬと申して、肝心の役員が反対いたして、書いたものを残らず一処へ寄せて灰に致したり、四ツ足の守護神じゃと申して、京、伏見、丹波、丹後などを言触に廻りて神の邪魔を致したり、露国の悪神じゃと申して力一杯反対いたして、四方から苦しめて居るが、全然自己の眼の玉が闇んで居るのであるから、自己の事を人の事と思ふて、耻とも知らずに狂人の真似を為たり、馬鹿の真似を致して一角改心が出来たと申して居るが、気の毒で在るから、何時も女子に気を付けさすと、外国の悪神奴が大本の中へ来て何を吐すのじゃ、我々は此の悪魔を平らげるのが第一の役じゃと申して、女子を獣類あつかいに致して、箒でたたいたり、塩を振りかけたり、痰唾を吐きかけたり、種々として無礼を致して居るぞよ。是でも神は何も知らぬ、盲目聾の人民を改心さして、助けたい一杯で在るから、温順しくいたして、誠を解いて聞してやるのを逆様に聞いて居れど、信者の者に言ひ聞かして邪魔を致すので、何時までも神の思はく成就いたさんから、是から皆の役員の目の醒る様に、変生女子の御魂の肉体を、神から大本を出して経綸を致すから、其覚悟で居るがよいぞよ。女子が此大本を出たら、後は火の消えた如く、一人も立寄る人民無くなるぞよ。サウして見せんと此の中は思ふ様に行かんぞよ。明治四十二年までは神が外へ連れ参りて、経綸の橋掛をいたすから、後で耻かしくないやうに、今一度気を附けて置くぞよ。この大本の中のものが残らず改心いたして、女子の身上が解りて来たら、物事は箱指したやうに進むなれど、今のやうな慢心や誤解ばかりいたして居るもの斗りでは、片輪車であるから一寸も動きが取れん、骨折損の草臥もうけに成るより仕様は無いから、皆の役員の往生いたすまでは神が連出して、外で経綸をいたして見せるから、其時には亦た出て御出成されよ、手を引き合ふて神界の御用をいたさすぞよ。今度の戦争で何も彼も埒が付いて、二三年の後には天下泰平に世が治まる様に申して、エライ力味やうであるが、ソンナ心易い事でこの世の立替は出来いたさんぞよ。今の大本の中に只の一人でも、神世に成りた折に間に合ふものが在るか、誤解するも己惚にも程が在るぞよ。まだまだ世界は是から段々と迫りて来て、一寸も動きの取れんやうな事が出来するのであるから、其覚悟で居らんと、後でアフンとする事が今から見え透いて居るぞよ。今一度変生女子の身魂を連れ出す土産に、前の事を大略書き残さしておくから、大切にいたして保存しておくが宜いぞよ。一分一厘違いは無いぞよ。明治五十年を真中として、前後十年の間が世の立替の正念場であるぞよ。それまでに神の経綸が急けるから、何と申しても今度は止ては下さるなよ。明治五十五年の三月三日、五月五日は誠に結構な日であるから、それ迄はこの大本の中は辛いぞよ。明治四十二年になりたら、変生女子がボツボツと因縁の身魂を大本へ引寄して、神の仕組を始めるから、気の小さい役員は吃驚いたして、迯げ出すものが出来て来るぞよ。そうなりたら世界の善悪の鏡が出る大本で在るから、色々の守護神が肉体を連れ参りて、目的を立やうといたして、亦た女子の身魂に反対いたすものが、現はれて来るなれど、悪の巧みは九分九厘で手の掌が覆りて、赤耻かいて帰るものも沢山有るぞよ。今の役員は皆抱込れて了ふて、亦た女子に反対をいたすやうになるなれど、到底叶はんから往生いたして改心いたしますから、御庭の掃除になりと使ふて下されと、泣いて頼むやうに成るぞよ。心腹の底に誠意が無いと慾に迷ふて、大きな取違いをいたして、ヂリヂリ悶へをいたさな成らんから、今の内に胸に手を当てて考へて見るが宜いぞよ。モウ是限り何も申さんから、此筆先も今度は焼捨ぬ様に後の証拠にするが宜いぞよ。何方が取違いで在ったか判るやうに書しておくぞよ。盲目が目が明いた積り、心の聾が耳が聞える積りで居るのであるから、全然始末が付かんぞよ。力一杯神界の御用をいたした積りで、力一杯邪魔をいたして居るのであるから、何うも彼うも手の出し様が無いから、止を得ず余所へ暫くは連参りて経綸をいたすぞよ。今の役員チリヂリバラバラに成るぞよ。
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伊都能売神諭 神諭一覧 (年月日不明) (年月日不明) 艮の金神国常立尊が、天の御三体の大神様の御命令を戴きて、三千世界を立直し致すに就ては、ミロクの大神様の御加護を戴かねば物事成就いたさんから、因縁のある身魂変性女子を表はして、大正五年辰の年旧三月三日に、大和国畝火の山を踏〆さして、世界立直しの守護が致してあるぞよ。畝火の山は出口に因縁の深き神山であるから、昔から土米が竜神の守護で生出して在りたなれど、神界の都合に依りて変性女子に守護を命して、肝川の深山八大竜神に土米の御用を仰せ付けたので在るぞよ。沢山の土米が出来ると申して一粒でも粗末に致されぬぞよ。大本の許し無きことには、一粒でも勝手に拾ふ事は成らんから、我を張りて拾ふなら拾ふて見やれ、神界の仕組の土米であるから、是からは厳しき戒めを致すぞよ。昔から元伊勢、丹後の比沼真奈為の宮に生出してありたなれど、明治四十五年の三月八日に出口直が、伊勢の内宮、外宮、加良洲の宮へ御神霊を御迎い致してから、丹後には今迄のやうには生出ぬやうに成りたぞよ。チツト斗り種は遺してあれど、土米の神力はモウ無くなりて居るぞよ。是も深い神界の仕組であるから、人間界では解る事で無いぞよ。 大正五年の旧五月五日には、変性女子の身魂に、昔から永らく世に隠れて守護を致して居りた、坤の金神の住居を致した播州の神島が開かしてあるが、人民からは左程にも無い御用の如うにあれども、神界では大変な神業でありたぞよ。朝日の直刺す夕日の日照す高砂沖の一島一つ松、松の根本に三千世界の宝いけおくと、昔から言伝へさして在りたが、今度は瑞の御魂の肉体を使ふて、三千世界の宝を掘上げさしたぞよ。その宝と申すのは、斯世を水晶の松の代、神世として治め遊ばすミロクの大神様の事で在りたぞよ。その年の九月九日に艮の金神国常立尊が、変性男子の身魂出口直に懸りて、二代三代を引連れ艮めを刺して参りたのも、深い経綸のある事ぞよ。斯の因縁もモウ少し致したら分けて見せるぞよ。大正五年辰の年五月午の月の八日に、変性女子が全部と現はれて、女神の姿になりて、大本へ参りた折、出口直は変性男子国常立尊と表はれ、海潮は変性女子豊雲野尊と現はれて、昔の神代から沓島と神島へ別れて落ちて居りた夫婦の神が、竜宮館の高天原で再会の祝に盃がさして在らうがな。其日から変性女子の身魂には、坤の金神と豊雲野尊が守護致したから、段々と緯の御用が表はれて、ボツボツと神界の経綸が出来かけて来たので在るぞよ。此の大本は明治二十五年から申してある如うに、男子と女子の経緯が揃はねば何事も成就いたさぬのであるぞよ。坤の金神の身魂には、変性男子と女子との御用を勤めて貰はな成らんから、是からは今迄とは海潮は忙がしうなりて、苦労が段々殖へて来るから今迄の身魂では能う忍耐んから七十五日の神から修行をさしたのであるぞよ。この先きは変性女子の教祖と致して、男子の直系の二代三代の後見を致さすのであるから、坤の金神の女子は一代の役であるから、此の次第を取違ひ無きやうに気を付けておくぞよ。今が艮めの肝腎要めの大事の場合であるぞよ。艮の金神は誰にも憑ると云ふ事は出来ぬなれど、天から守護いたして海潮に筆先をかかして置くぞよ。同じ筆先の書き様であるから、今までの男子の筆先も矢張り変性女子が書いて、男子の筆先にいたして、居りたじやろと、疑ふ人民が沢山に出来るなれど、夫んな事に気を掛けて居りたら、物事が成就いたさんから、ドシドシと女子に筆先を書して、三千世界を開くぞよ。出口直の八人の御児と、今までの筆先に出して在るのは、八柱の金神大将軍の事でありたぞよ。この八人の御児が今度は二度目の天之岩戸開きの御用に手柄いたさして、末代名を残さして、結構な神に祀りて貰ふのであるぞよ。八人の御子の働きは是からボツボツと現はれて来るぞよ。人民の思ひとは大変な違いであるぞよ。此の世の立替には、艮の金神が九万九億の眷属を使ふて、天地を一度に開く梅の花の経綸が昔の神代から致してありての事であるぞよ。世に出て居れる神様にも、守護神にも、人民にも、見当の取れん仕組がいたしてあるから、今の今まで判りは致さんぞよ。人より早う手柄を致さうと思ふて、焦慮りて縮尻る守護神人民が是からは出来て来るから、大本の役員は余程しつかり筆先を腹へ入れておかんと、経綸の邪魔になりて立直しが遅くなるから、念に念を押して気を付けて置くぞよ。大本の経綸で神の宮を建てるのは、沓島と神島と嵯峨の奥と三ケ所より外には成らんぞよ。肝川は八大竜神の守護があるから、大本の分社と致してあるので在るから、肝川には奇しびな神業が見せてあろうがな。世の立直しが済みたら、国々所々に大本の御宮を立て、夫れ夫れの守護神を鎮めて御用を致さすから、それ迄には御宮形も建てられんぞよ。広間も大本の経綸が成就いたして、天下泰平に世が治まる迄は、新たらしう建てる事は出来ぬぞよ。今迄に鏡が出して在ろうがな。京都で新に広間を立て神から潰され、伏見に建てまたその通り、肝川に建てても役に立つまいがな。大本の根本の極まらぬ中に、守護神人民が勝手に致した事は、九分九厘で覆りて了ふぞよと、何時も筆先で気が付けてありたなれど、神の申す事を背いて致した事は、何遍でも跡戻り斗り致すぞよ。大本を次に致して、園部で広間を建ようと致して、材木を寄せてサア是から建前と言ふやうに成りた所で、俄の大雨で材木が影も形も無いやうに流れた事があらうがな。皆神界から善悪の鏡が出して、大本の中に実地が見せてあるぞよ。明治廿五年から、幹退けて末続くとは思ふなよ、幹ありての枝もあれば末もあるぞよ。幹退きたら末は枯れるぞよと申して、出口直の手で毎度気が付けてあるぞよ。 明治二十五年から申した事は、何時になりても毛筋の横巾も違はん事ばかりであるぞよ。
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(3718)
伊都能売神諭 神諭一覧 大正8年1月11日 大正七年一二月二三日 大正七年十二月二十三日 艮の金神が永らく変性男子の手と口とで知らして在りた、五六七の世が参りたぞよ。釈迦が五十六億七千万年の後に、至仁至愛神の神政が来ると予言したのは、五六七と申す事で在るぞよ。皆謎が掛けてありたのじやぞよ。五は天の数で火と云ふ意義であつて、火の字の端々に○を加へて五の○となる。火は大の字の形で梅の花、地球上の五大洲に象どる。六は地の数で水と云ふ意義であつて、水の字の端々に○を加へて六の○となる。火は人の立つ形で水は獣類の形であるぞよ。火は霊系、天系、君系、父系。水は体系、地系、臣系、母系であるぞよ。火は高御産巣日の神が初り、水は神御産巣日の神が初まりで、火はカの声、水はミの声、之を合してカミと申すぞよ。七は地成の数で、土也成の意義であつて、土は十と一の集りたもの、十は円満具足完全無欠両手揃ふ事で、一は初めの意義であるぞよ。十は物の成就、一は世界統一、一人の事である。世の終いの世の初りがミロクの世であるぞよ。また土は地球と云ふ意義で土也、成事である。火水地(神国)が五六七である五六七の世となる時は、神国に住む日本の人民が五千六百七十万人となる。大本は時節まいりて五六七の御用を致さす、変性女子の身魂に、大正五年五月五日辰の年午の月に、火水島の五六七の神を祭らせ、大正六年六月には肝川の竜神を高天原、竜宮館へ迎へ、大正七年七月には七十五日の修行が仰せ付けてありたのも、皆神界の昔から定まりた経綸が実現してあるのじやぞよ。五六七の神政は大正五六七三ケ年の間に、神界の仕組を現はし、又五年から七年までの間に、瑞の大神の神社八重垣ノ宮を三人兄弟の身魂に申付けて成就さしたのも、神界から因縁のある事であるぞよ。結構な御用でありたぞよ。五六七の世には、善き事も悪き事も一度に出現るぞよ。独逸へ渡りた八頭八尾の守護神は、大きな世界の戦を始めた其の間の日数が千と五百六十七日、世界風邪で斃れる人民が、全世界で五百六十七万人であり五年に渡る大戦争中に戦死者重軽傷者死者が又た五千六百七十万人であろうがな。是が釈迦の申した五十六億七千万年と云ふ意義である。五六七を除いた後の十億千万年と云ふ意義は、万世一系天壌無窮の神皇を戴き、地球上に天津日嗣の天子一人坐して、神政を行ひ玉ふと云ふ謎でありたが、其謎の解ける時節が来たのであるぞよ。昔の神代の泥海の折に、ミロクの大神様が地の先祖と成つた艮の金神国常立之尊に御命令を下し遊ばして、一旦は土と水とを立別け、人民初め万物の育つやうに致したので在るが、今に充分悪神の為に神国が成就いたして居らんから、時節参りて艮へ押込められて居りた艮の金神が、潰れて了ふ世を、天の御三体の大神様に御願申して立直し度いと思ふて、三千年の経綸をフタを開けて、明治二十五年から変性男子若姫君之尊の身魂に憑りて経綸を致して居れど、地の守護斗りで、天地が揃はぬと成就いたさぬから、撞の大神様ミロク様が、肝心の世を治め遊ばす経綸となりたのを、五六七の世と申すのであるぞよ。ミロクの御用は撞の大神と現はれる迄は、泥に混みれて守護いたさな成らぬから、ミロクの御用の間は変性女子を化かしたり、化けさして世の立直しを致さすから、女子は未だ未だ水晶の行状斗り命す事は出来ぬ、和光同塵の御用で辛い役であるぞよ。それで女子の身魂は未だ未だ内からも外からも、笑はれたり、怒られたり、攻められ苦しめられ、譏られ愛想を尽され、疑はれ、云ふに云はれぬ辛抱もあり、悔しい残念を忍耐ねば成らぬ、気の毒な御役であるぞよと女子の行状を見て御蔭を落す人民も、沢山是から出て来るぞよ。女子は斯世の乱れた行り方が命してあるぞよ。申して、変性男子の手と口とで永らく気が付けて、三千世界の大化物じやと申してあろうがな。余り浅い精神やら小さい身魂では、途中で分らぬ様になりて、迯げて帰ぬぞよと申してあろうがな。二十七年の間の筆先を能く調べて下されたら、何一言も申す事は無いぞよ。肝心の時に成りて御蔭を墜して、間曳かれんやうに致して下されと、毎度筆先で気を付けてあろうがな。神はチツトも困らねど其人民が可愛想なから、呉々も気を付けておいたから、大本へ不足は申されんぞよ。 変性女子の身魂が五六七の御用を致して下さる時節が参りたから、神界の経綸通り、変性男子の身魂は若姫君の命と一つになりて天へ上り、天からは若姫君之命、地からは国常立尊、天地の間は大出口国直霊主命が守護いたして、大国常立命と現はれて、世の立替の大掃除をいたすなり、地には変性女子の身魂が豊雲野命と現はれて、泥に浸りて、三千世界の世を立直して、天下泰平、末永き松の世ミロクの神世と致して、撞の大神豊国主之尊と現はれる経綸であるから、今の人民には見当は取れぬぞよ。 何時神が女子の身魂を何処へ連れ参ろうやら知れぬから、何事を致さすも神の経綸であるから、別条は無いから、何時姿が見えぬやうになりても神が守護いたして居るから、役員の御方心配を致さずに、各自の御用を致して居りて下されよ。神が先に気を注けておくぞよ。是から変性女子の身魂に五六七の神政の御用を致さすに就ては、神界の経綸を致させねば、大望が後れて間に合はぬ事が出来いたしては、永らくの神界の仕組も水の泡になるよつて、秘密の守護を為せるから、其つもりで落付いて居りて下され。中々人民の思ふて居るやうなチヨロコイ経綸でないぞよ。末代動かぬ大望な仕組の苦労の花の咲くのは、一と通りや二通りや五通りでは行かぬぞよ。山の谷々までも深い経綸で在るから、誠の仕組を申したら、悪の守護神は大きな邪魔を致すから、大正八年の節分が過ぎたら、変性女子を神が御用に連れ参るから、微躯ともせずに平生の通り大本の中の御用を役員は勤めて居りて下されよ。今迄は誠の役員が揃はなんだから、女子の御用を命す所へは行かなんだので、神界の経綸の御用が後れて居りたなれど、誠の熱心な役員が、揃ふて御用を、大本の中と外とで致して下さる様になりて来たから、弥々女子の身魂を経綸の場所へ連れ参るぞよ。女子の誠実地の御用は是からが初りで在るぞよ。何時まで神が経綸の所へ連れ行きても、跡には禁闕要乃大神、木花咲耶姫命、彦火々出見尊の身魂が守護遊ばすから、暫時の間位は別条は無いから、安心いたして留守を為てをりて下されよ。 一度に開く梅の花、開ひて散りて実を結ぶ御用に立てるは、変性女子の身魂の御用で在るぞよ。変性男子の御魂の御用は、三千世界一度に開く梅の花の仕組なり、女子の御用は、三千世界一度に開く梅の花の開ひて散りて跡の実を結ばせ、スの種を育てて、世界を一つに丸めて、天下は安穏に国土成就、万歳楽を来さす為の御用であるから、中々骨の折れる事業であるぞよ。是でも艮の金神は、此の身魂に守護いたして本望成就さして、三千世界の総方へ御眼に掛けるから、何事をいたしても細工は流々、仕上げを見て下され。水も漏さぬ仕組であるぞよ。たとへ大地が水中に沈むとも、神の仕組は動かぬから、金剛力を出して持上げさせるぞよ。是が一番要めの大望な瑞の御魂の今度の御用であるぞよ。人民の智慧や学力では一つも見当の取れん事斗りで在るぞよ。女子も今迄は乱れた行り方が致さして在りたから俄に神が御用に使ふと申せば、多勢の中には疑ふ者もあるで在ろうなれど、神は俄に手の掌を覆えして改心さして、誠の御用に立てるぞよと、永らく大出口直の手と口とで知らして在りた事の、実地を致さす時節が来たのであるぞよ。此者と直で無ければ実地の仕組の御用には連れ行かれん事であると申して、永らく筆先で知らしてありた事の、実地が出て来たのであるぞよ。大本はこれからは段々良くなるぞよ。気使いに成るぞよ。
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伊都能売神諭 神諭一覧 大正8年1月25日 大正八年一月二一日 大正八年一月廿一日旧同七年十二月廿二日 艮の金神国常立尊変性男子の身魂が、地の高天原竜宮館に大出口国直日主命と現はれて、変性女子の手を借りて世界の事を知らすぞよ。丹波の国は斑鳩の、一イ二ウ三ツ四ツ、四尾の山の尾上に鰭振りて、二度目の神政を世継王山、東表ての一つ峰、世界の神々集りて、猫も杓子も言問ひなす、不祥の現代を清めの為の神集ひ、草の片葉も言止めて、天の岩坐押開き、稜威も高き天王台、神庭会議も近よりて、世界の国の国魂も、丸く治まる常立の、動かぬ御代に駿河不二、一度に開く兄の花の、三国一の四方面、四方の国々安国と、定め奉りて万国の、悪神ばらを神息総艮の、畏こき神世と心から、仰がせ救ふ、経綸の幕の明烏、日の出の守護の大本に、八桑枝繁り山青く、水さへ清き由良川の、流となりて世を洗ふ、瑞の御魂の御苦労は、茲に千坐の置戸負い、百千万の人民の、罪を助けて水晶の、松の神代の礎を、築き上げたる杵の宮、祭るときはの姫松を、重ねの橋や那智の滝、旭日に向ひ照妙の、綾部に架る黄金橋、二人の○○に手を曳れ、天津御空の大橋を、勇み渡会神の宮、天津神籬搗き固め、万世変らぬ磐境の、神の経綸を三十年の、契も永く今十年、延び行く糸の最清く、錦織なす山屏風引き廻らして天神、地祇の大本と致す経綸ぞ楽もしき。神聖五年五月五日、何が出来いたすやら天上の事柄であるから、教主も守護神も今の今まで解らぬ如うに致して在るぞよ。此の一輪の経綸を知りたものは、天地の元の誠の祖神より外には無いから人民は、取越苦労を致さずに、先の栄えて広き世を松の心で待が可ぞよ。 ◎ 惟神真道弥広大出口国直日主の神言は、時節参りて地の高天原を立ち出でて、天の八重雲押披き、天上天下四方の国々隈も落ちず審査済ませ、世継王の山の尾上に、金竜の池を済ませて、常永に神国を開き守るぞよ。神威も高き天王台、心を爰におくつきの、深き経綸の鍵を納めて、日本の一の瀬や、二の瀬三の世水清く、直霊に見直し聞直し、詔り直したる三ツ瀬川、五十鈴川は涸るる共、流れ尽せぬ玉川の、水音のみは千代八千代、齢も長き鶴亀の、腹より出でし礎は、御代を歎きて人民思ふ、心は胸に三千年の、世をうしとらに築艮め、天地の神々守護神、諸の身魂を神国に、救ひ助くる大神業に使ふ御魂を引寄する竜宮館の火水の経綸、神の心を推量して、身魂を早く研き上げ、昔の神代の初めから、架け渡したる謎の橋、早く渡りて下されよ。
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(3737)
伊都能売神諭 神諭一覧 大正8年5月5日 大正八年五月五日 大正八年五月五日 国常立尊変性女子の手に憑りて、日本の人民守護神に気を付けるぞよ。明治二十五年から出口直の手を借りて世界の総方様、神々様へ知らした事の実地が迫りて来たぞよ。神と申すものは、虫一疋でも助けたいのが心願で在るから、第一に天地を経綸致す司宰者として、斯世に生れて来た日本の人民と、世界の守護神に、一日も早く改心致して神心に立返り、善一と筋の行状を致して下されよと警告たが、何を申しても粗末な出口直の手と口とで知らす事であるから、誰も誠には聞いては呉れず、狂人じや、山子じや、狐狸じやと申して、相手にするものが無りたので、神界の経綸が段々と遅れる斗り、今の世界の此の混乱、是でも黙つて高見から見物いたしてをりて、日本の人民の役が勤まると思ふか。判んと申しても余りであるぞよ。日本は神国と申すが、神国の人民に神国の因縁が分るものが在るか。是が判る人民なら、此の乱れ切つた世界を余所の出来事として見る事は出来よまい。世界の混乱を治めるのは、天の選民と生れた日本の守護神、人民の双肩にかかれる大責任であるぞよ。日本人は神の直系の尊とい御子であるから、此の世界を平らけく安らけく知食し玉ふ、現人神様の御尾前と仕え奉りて、先づ我一身を修め、次に一家を治め、次に郷里を平らかに安らかに治め、国家に対しては忠良無比の神民となり、祖神を敬拝し以て、神国の神国たる所以を天下に示し、範を垂れ、斯の全地球を平らけく安らけく治め玉ふ、天業を輔翼し奉るは、今此の時であるぞよ。それに今の日本の人民は、脚下から鳥がたつ迄袖手で自己主義の行り方を致して、神の申す事は、頭から馬鹿に致して居るから、世界は段々と悪るき事が、日に増に殖えて来る斗りで、神からは目を明けて見て居れんから、永くの間変性男子の手と口とで、改心改心と一天張りに申したのでありたぞよ。