序歌
綾部の聖地を後にして(綾部)吾家を伊豆の温泉場
幽邃閑雅の山家村(山家)狩野の流れに臨みたる
湯ケ島温泉湯本館何に利く加和知らね共(和知)
一度は来たれと信徒が送る玉章細胡麻と(胡麻)
見るも嬉しき吾思ひ教主殿をば田ち出でて(殿田)
松村真澄、佐賀伊佐男園ほか一部の伊豆信者(園部)
杉山当一林弥生八木つく様な夏空を(八木)
静かに進む汽車の上寿も長き亀岡の(亀岡)
瑞祥祝ふこの旅行嵯峨しあてたる好避暑地(嵯峨)
言葉の花や教の園を(花園)二人の幹部と諸共に
只一と条に勇み行く(二条)
○
丹波綾部に名も高き出口の神の御教を(丹波口)
京都、大阪、東京の(京都)三大都市を始めとし
山科里に至るまで(山科)皇大神の大道を
津多へ拡むる神司(大津)堅き心は石山の(石山)
月照り渡る如く也
○
青人草を津々がなく(草津)守りたまへと祈りつつ(守山)
山野を州々みて篠すすき(野州)露野が原も乗りこえて(篠原)
いつかは日の出の神の代に近江の国や八幡宮(近江八幡)
厳の御前にぬかづきて浦安土の心やすく(安土)
守り玉へと太能里登宣る言霊は速川の(能登川)
水瀬の音と聞ゆ也
○
稲穂は栄枝て黄金の(稲枝)波漂はす河の瀬や(河瀬)
国の御祖の永遠に守り玉へる豊秋津
根別の国の八百米は高天原に天照らす(米原)
皇大神のみことのり天の下なる人草の
食ひて生くべきものなりとその神勅をひるも夜も
尊み眼も醒ケ井の(醒ケ井)神の恵みに近江路や
御代長かれと祝ふなる亀のよはひの亀岡に(近江長岡)
教の庭を開きつつ打つ柏手の音も清く
高天原と鳴り渡る(柏原)神と鬼との関ケ原(関ケ原)
恵の露も垂井駅(垂井)
○
世の大本は青垣の(大垣)山をば四方に廻らして
神の鎮まる霊場と数多の人々我一に
先を争ひ木曽川や(木曽川)神の光に仰岐阜し(岐阜)
尾張に近き暗の世を救ひ玉へと真心を
一つに固めて本宮山(尾張一ノ宮)遠き山路も稲みなく
いと沢々に寄り来る(稲沢)神の経綸ぞ畏けれ
○
天の真奈井の枇杷の湖(枇杷島)竹生の島に顕れませる
神の猛びを名古めつつ(名古屋)屋間登御魂の神人が
熱き心を田向け行く(熱田)神徳大くいや高き(大高)
皇大神の生れまして清き神府と定めてし(大府)
世の大元は爰婆刈豊葦原の中国谷(刈谷)
安全地帯ぞ金城と(安城)尊み敬ひ許々太久の
岡せし罪を悔い乍ら御霊崎はへ坐しませと(岡崎)
赤き心のまめ人が幸願ぎ奉り田のむ也(幸田)
○
蒲の乱れの郡集を(蒲郡)皇大神の御仁慈の
清き油を濺がれて(御油)豊に渡る神の橋(豊橋)
二川三河の水清く(二川)小雲の川や玉水に
身そぎ祓ひて神徳を信徒たちが鷲津神(鷲津)
旧きを捨てず新しく居所を定むる神の町(新居町)
心も勇みて弁天の(弁天島)女神の前に真心を
つく島つりし音楽や舞曲も清くさはやかに(舞阪)
御代の阪えむ瑞祥を浜の松風音もなく(浜松)
世は平らけく天竜の勢強く川登り(天竜川)
心の中に霊泉の(中泉)甘露は尽きず湧き出でて
神代を祝ふぞ尊けれ
○
袋井首に掛川の(袋井・掛川)貧しき人も神の道
悟りて欲を堀ノ内(堀ノ内)誠の教を守りなば
富貴も権威も金谷せぬ(金谷)神の御教を敷島の(島田)
大和心を田鶴ぬれば薫り目出度き白梅の
花藤答枝よ惟神(藤枝)醜の仇草焼鎌の(焼津)
敏がまや津留岐ぬき用て(用宗)宗打ち払ひ静々と
風雨雷電岡しつつ(静岡)誠の道江一散に
尻に帆かけて進み行く(江尻)あゝ惟神々々
御霊幸倍ましませよ
○
昔の元の大神が現はれまして太元の
救ひの道を興し津々(興津)由比所の深き蒲生の原(由比・蒲原)
開きて根本霊場を岩秀の如く弥固く
淵なす深き経綸を(岩淵)富士の御山のいや高く(富士)
立てて天地の神人が生言霊の鳴り渡る
五十鈴の川の川水に(鈴川)原ひ清めて朝露の(原)
干沼の池に照る津岐の(沼津)影も涼しく神の世を
開き玉ふぞ尊けれ
○
三月三日の桃の花五月五日の桃実に
比すべき霊界物語故郷の土産と瑞月が(桃郷)
心も清く住の江ノ浦安国の神宝と(江ノ浦)
語る出口野神の教(口野)天皇山に祭りたる(天皇山)
皇大神の御守りを嬉しみ尊み神勅を
北条南条畏みて(北条・南条)田舎男や京わらべ(田京)
遠き耳にも入り易く解き明かしたる神の書
迎への人の親切も酒の泉の吉田郷(吉田)
車を止めて杉原家殊更厚き待遇に
三伏の暑を打忘れ心も深き真清水の
湯槽に浸り汗水を流して西瓜の腹つづみ
誠の信徒も大仁や(大仁)瓜生野の里も打過ぎて(瓜生野)
堅と横との五十鈴川(横瀬)言霊車瀬を速み
国常立野大神が(立野・大平)平和の御世を松ケ瀬や(松ケ瀬)
青羽の根配りいや広く(青羽根)茂る稲田の富貴草
出口の王仁の一行は(出口)早くも伊豆に月ケ瀬や(月ケ瀬)
天津御空の神門野開け行くてふ玉の原(門野原)
天の八重雲掻き分けて救ひの神も嵯峨沢の(嵯峨沢)
今日の旅行ぞ楽しけれ木々に囀る蝉の声
市なす山の片ほとり(市山)東西南北風清く(西平)
平和の里と湯ケ島の(湯ケ島)狩野の流れに浴み乍ら
漸く安藤の宅につき(安藤)心よりなるもてなしに
歓び勇み湯浴してまたもや例の物語
口述如来の瑞月が安全椅子によりかかり
浄写菩薩の松村氏腕に撚かけスラスラと
『海洋万里』午の巻いよいよ爰に述べ写す
あゝ惟神霊幸倍坐世
『海洋万里』卯の巻四日間、同辰の巻三日、同巳の巻三日、前後合せて十日間。述べつ写しつ、暑さに堪えし休養日を幸ひ、筆のすさびのいと永々と記しおく。
大正十一年八月十七日於湯ケ島温泉口述著者
No.: 2008