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(105)
ひふみ神示 3_富士の巻 第25帖 世界中の臣民はみなこの方の臣民であるから、殊に可愛い子には旅させねばならぬから、どんなことあっても神の子ざから、神疑はぬ様になされよ、神疑ふと気の毒出来るぞ。いよいよとなりたら、どこの国の臣民といふことないぞ、大神様の掟通りにせねばならんから、可愛い子ぢゃとて容赦出来んから、気つけてゐるのざぞ、大難を小難にまつりかへたいと思へども、今のやり方は、まるで逆様ざから、何うにもならんから、いつ気の毒出来ても知らんぞよ。外国から早く分りて、外国にこの方祀ると申す臣民沢山出来る様になりて来るぞ。それでは神の国の臣民申し訳ないであろがな、山にも川にも海にもまつれと申してあるのは、神の国の山川ばかりではないぞ、この方世界の神ぞと申してあろがな。裸になりた人から、その時から善の方にまわしてやると申してあるが、裸にならねば、なるやうにして見せるぞ、いよいよとなりたら苦しいから今の内ざと申してあるのぞ。凡てをてんし様に献げよと申すこと、日本の臣民ばかりでないぞ、世界中の臣民みなてんし様に捧げなならんのざぞ。八月の三十日、のひつ九のか三。
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(198)
ひふみ神示 6_日月の巻 第25帖 ハジメノクニウミタマヒキ、ノクニウミタマヒキ、のクニウミタマヒキ、ツギニ クニウミタマヒキ。神に厄介掛けぬ様にせねばならんぞ。神が助けるからと申して臣民懐手してゐてはならんぞ、力の限り尽くさなならんぞ。とは違ふのざぞ。臣民一日に二度食べるのざぞ、朝は日の神様に供へてから頂けよ、夜は月の神様に捧げてから頂けよ、それがまことの益人ぞ。十一月二十一日、一二
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(275)
ひふみ神示 10_水の巻 第1帖 の巻書き知らすぞ。見渡す限り雲もなく富士は晴れたり、日本晴れ、海は晴れたり、日本晴れ、港々に日の丸の旗翻る神の国。それ迄に云ふに云はれんことあるなれど、頑張りて下されよ。道も無くなるぞ。てん詞様おろがみてくれよ。てん詞様は神と申して知らしてあろがな、まだ分らんか、地の神大切せよと聞かしてあろが、神様にお燈明ばかり備へてはまだ足らぬのぞ。お燈明と共に水捧げなならんのざぞ。火と水ぞと申してあろ、神示よく裏の裏まで読みて下されよ、守護神殿祭りて呉れよ。まつはらねば力現はれぬぞ、守護神殿は拍手四つ打ちておろがめよ、元の生神様には水がどうしてもいるのざぞ、火ばかりでは力出ぬのざぞ、わかりたか、曇りなく空は晴れたり。旧三月十日、三のひつ九
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(283)
ひふみ神示 10_水の巻 第9帖 富士は晴れたり日本晴れ、いよいよ岩戸開けるぞ。お山開きまこと結構。松の国松の御代となるぞ。旧九月八日から大祓ひのりとに天津祝詞の太のりと一二三のりとコト入れてのれよ。忘れずにのれよ。その日からいよいよ神は神、けものはけものとなるぞ。江戸道場やめるでないぞ、お山へ移してよいぞ、役員一度やめてよいぞ。またつとめてよいぞ。めぐりあるから心配あるのぞ。めぐり無くなれば心配なくなるぞ。心配ないのが富士は晴れたりぞ、富士晴れ結構ぞ。日津久の御民何時も富士晴れ心でおりて下されよ。肉体ちっとの間であるが、魂は限りなく栄へるのざぞ。金に難渋して負けぬ様にして下されよ。金馬鹿にしてはならんぞ。あせるでないぞ。あせると心配事出来るぞ。神が仕組みてあること、臣民がしようとて出来はせんぞ。細工はりうりう滅多に間違ひないのざぞ。見物して御座れ、見事して見せるぞ。不和の家、不調和の国のささげもの神は要らんぞ。喜びの捧げもの米一粒でもよいぞ。神はうれしいぞ。旧九月八日とどめぞ。六月二日、みづのひつ九のか三。
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(287)
ひふみ神示 10_水の巻 第13帖 火と水と申してあろがな。火つづくぞ。雨つづくぞ。火の災あるぞ。水の災あるぞ。火のおかげあるぞ、水の災気つけよ。火と水入り乱れての災あるぞ、近ふなりたぞ。火と水の御恵みあるぞ。一度は神の事も大き声して云へん事あるぞ、それでも心配するでないぞ。富士晴れるぞ。家族幾人居ても金いらぬであろが。主人どっしりと座りておれば治まっておろが。神国の型残してあるのざぞ。国治めるに政治はいらぬぞ、経済いらぬぞ。神おろがめよ、神祭れよ、てんし様おろがめよ。何もかも皆神に捧げよ、神からいただけよ。神国治まるぞ。戦もおさまるぞ。今の臣民口先ばかりでまこと申してゐるが、口ばかりでは、なほ悪いぞ。言やめて仕へまつれ。でんぐり返るぞ。六月十三日、みづのひつくのかみ。
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(337)
ひふみ神示 13_雨の巻 第3帖 草木は身を動物虫けらに捧げるのが嬉しいのであるぞ。種は残して育ててやらねばならんのざぞ、草木の身が動物虫けらの御身となるのざぞ、出世するのざから嬉しいのざぞ、草木から動物虫けら生れると申してあろがな、人の身神に捧げるのざぞ、神の御身となること嬉しいであろがな、惟神のミミとはその事ぞ、神示よく読めば判るのざぞ、此の道は先に行く程広く豊かに光り輝き嬉し嬉しの誠の惟神の道で御座るぞ、神示よく読めよ、何んな事でも人に教へてやれる様に知らしてあるのざぞ、いろはに戻すぞ、一二三に返すぞ、一二三が元ぞ、天からミロク様みづの御守護遊ばすなり、日の大神様は火の御守護なさるなり、此の事魂までよくしみておらぬと御恩判らんのざぞ。悪も善に立ち返りて御用するのざぞ。善も悪もないのざぞと申してあろがな、の国真中に神国になると申してあろがな、日本も外国も神の目からは無いのざと申してあろうが、神の国あるのみざぞ、判りたか。改心すれば・の入れかへ致して其の場からよき方に廻してやるぞ、何事も我がしてゐるなら自由になるのであるぞ。我の自由にならんのはさせられてゐるからざぞ、此の位の事判らんで神の臣民と申されんぞ、国々所々に宮柱太敷キ立てよ、たかしれよ。此の先は神示に出した事もちいんと、我の考へでは何事も一切成就せんのざぞ、まだ我出して居る臣民ばかりであるぞ。従ふ所には従はなならんぞ、従へばその日から楽になって来るのざぞ、高い所から水流れる様にと申して知らしてあろがな。十月の十五日、ひつ九のかみ。
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(360)
ひふみ神示 14_風の巻 第9帖 土地分け盗りばかりか、天まで分け盗って自分のものと、威張ってゐるが、人民の物一つもないのぢゃ。大引上げにならんうちに捧げた臣民結構ぞ。宮の跡は S となるぞ。ナルトとなるぞ。天の言答-一八十-は開いてあるぞ。地の言答-一八十-、人民開かなならんぞ、人民の心次第で何時でも開けるのざぞ。泥の海になると、人民思ふところまで一時は落ち込むのぢゃぞ、覚悟はよいか。神国には神国の宝、神国の臣民の手で、元の所へ納めなならんのざ。タマなくなってゐると申してあらうがな。何事も時節到来致してゐるのざぞ、真理晴れるばかりの御代となってゐるのぢゃぞ。人民神に仕へて下さらんと神のまことの力出ないぞ、持ちつ持たれつと申してあらうがな、神まつらずに何事も出来んぞ、まつらいでするのが我よしぞ、天狗の鼻ざぞ。まつらいでは真暗ぞ、真暗の道で、道開けんぞ。神は光ぞと申してあらうが、てん詞様よくなれば、皆よくなるのざぞ。てん詞様よくならんうちは、誰によらん、よくなりはせんぞ、この位のことなぜにわからんのぢゃ、よくなったと見えたら、それは悪の守護となったのぢゃ。神がかりよくないぞ、やめて下されよ、迷ふ臣民出来るぞ。程々にせよと申してあらうが。皆々心の鏡掃除すれば、それぞれに神かかるのぢゃ。肉体心で知る事は皆粕ばかり、迷ひの種ばかりぢゃぞ、この道理判りたであらうがな、くどう申さすでないぞ。二月の十六日、ひつ九の
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(471)
ひふみ神示 22_青葉の巻 第2帖 玉串として自分の肉体の清い所供へ奉れよ、髪を切って息吹きて祓ひて紙に包んで供へまつれよ、玉串は自分捧げるのざと申してあろがな。お供への始めはムとせよ、ムはウざぞ、誠のキ供へるのざぞ、餅は三つ重ねよ、天地人一体ざと申してあろがな。御神前ばかり清めても誠成就せんぞ、家の中皆御神前ぞ、九二中皆御神前ざぞ、判りたか。夜寝る前に守護神の弥栄ほめよ、いたらざる自分悔いよ、修業出来た信者の守りの神道場に祀れよ、万霊道場に祀れよ、役員の守りの神は本部に祀れよ、神々様本部に祀れよ。外国とは幽界の事ぞ、外国と手握るとは幽界と手握る事ざぞよ。五月十二日、ひつ九のかミ。
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(1005)
霊界物語 01_子_霊界探検/玉の争奪戦 08 女神の出現 第八章女神の出現〔八〕 不思議に堪へずして、自分は金色燦爛たる珍玉の明光を拝して、何となく力強く感じられ、眺めてゐた。次第々々に玉は大きくなるとともに、水晶のごとくに澄みきり、たちまち美はしき女神の御姿と変化した。全身金色にして仏祖のいはゆる、紫摩黄金の肌で、その上に玲瓏透明にましまし、白の衣裳と、下は緋の袴を穿ちたまふ、愛情あふるるばかりの女神であつた。女神は、自分の手をとり笑を含んで、 『われは大便所の神なり。汝に之を捧げむ』 と言下に御懐中より、八寸ばかりの比礼を自分の左手に握らせたまひ、再会を約して、また元のごとく金色の玉となりて中空に舞ひ上り、電光石火のごとく、九重の雲深く天上に帰らせたまうた。 その当時は、いかなる神様なるや、また自分にたいして何ゆゑに、かくのごとき珍宝を、かかる寂寥の境域に降りて、授けたまひしやが疑問であつた。しかし参綾後はじめて氷解ができた。 教祖の御話に、 『金勝要神は、全身黄金色であつて、大便所に永年のあひだ落され、苦労艱難の修行を積んだ大地の金神様である。その修行が積んで、今度は世に出て、結構な御用を遊ばすやうになりたのであるから、人間は大便所の掃除から、歓んで致すやうな精神にならぬと、誠の神の御用はできぬ。それに今の人民さんは、高い処へ上つて、高い役をしたがるが、神の御用をいたすものは、汚穢所を、美しくするのを楽んで致すものでないと、三千世界の大洗濯、大掃除の御用は、到底勤め上りませぬ』 との御言葉を承はり、かつ神諭の何処にも記されたるを拝して、奇異の感に打たれ、神界の深遠微妙なる御経綸に驚いた。 女神に別れ、ただ一人、太陽も月も星も見えぬ山野を深く進みゆく。 山深く分け入る吾は日も月も 星さへも見ぬ狼の声 冷たい途の傍に沼とも、池とも知れぬ汚い水溜りがあつて、その水に美しい三十歳余りの青年が陥り、諸々の虫に集られ、顔はそのままであるが首から下は全部蚯蚓になつてしまひ、見るまに顔までがすつかり数万の蛆虫になつてしまつた。私は思はず、「天照大神、産土神、惟神霊幸倍坐世」と二回ばかり繰返した。不思議にも元の美しい青年になつて、その水溜りから這ひ上り、嬉しさうな顔して礼を述べた。その青年の語るところによると、 『竜女を犯した祖先の罪によつて、自分もまた悪い後継者となつて竜女を犯しました。その罪によつて、かういふ苦しみを受くることになつたのでありますが、今、あなたの神文を聞いて忽ちこの通りに助かりました』 といつて感謝する。 それから自分は、天照大神の御神号を一心不乱に唱へつつ前進した。月もなく、烏もなく、霜は天地に充ち、寒さ酷しく膚を断るごとく、手も足も棒のやうになり息も凍らむとする時、またもや「天照大御神、惟神霊幸倍坐世」と口唱し奉つた。不思議にも言霊の神力著しく、たちまち全身に暖を覚え、手も足も湯に入りしごとくなつた。 アゝ地獄で神とは、このことであると、感謝の涙は滝と流るるばかりであつた。四五十丁も辿り行くと、そこに一つの断崕に衝き当る。止むをえず、引き返さむとすれば鋭利なる槍の尖が、近く五六寸の処にきてゐる。この上は神に任し奉らむと決意して、氷に足をすべらせつつ右手を見れば、深き谷川があつて激潭飛沫、流声物すごき中に、名も知れぬ見た事もなき恐ろしき動物が、川へ落ちたる旅人を口にくはへて、谷川の流れに浮いたり、沈んだり、旅人は「助けて助けて」と、一点張に叫んでゐる。自分は、ふたたび神号を奉唱すると、旅人をくはへてゐた怪物の姿は沫と消えてしまつた。 助かつた旅人の名は舟木といふ。彼は喜んで自分の後に跟いてきた。一人の道連れを得て、幾分か心は丈夫になつてきた。危き断崕を辛うじて五六十丁ばかり進むと、途が無くなつた。薄暗い途を行く二人は、ここに停立して思案にくれてゐた。さうすると何処ともなく大声で、 『ソレ彼ら二人を、免がすな』 と呼ぶ。にはかに騒々しき物音しきりに聞え来たり、口の巨大なる怪物が幾百ともなく、二人の方へ向つて襲ひくる様子である。二人は進退これ谷まり、いかがはせむと狼狽の体であつた。何ほど神号を唱へても、少しも退却せずますます迫つてくる。今まで怪物と思つたのが、不思議にもその面部だけは人間になつてしまつた。その中で巨魁らしき魔物は、たちまち長剣を揮つて両人に迫りきたり、今や斬り殺されむとする刹那に、白衣金膚の女神が、ふたたびその場に光りとともに現はれた。そして、「比礼を振らせたまへ」と言つて姿は忽ち消えてしまつた。懐中より神器の比礼を出すや否や、上下左右に祓つた。怪物はおひおひと遠く退却する。ヤレ嬉しやと思ふまもなく、忽然として大蛇が現はれ、巨口を開いて両人を呑んでしまつた。両人は大蛇の腹の中を探り探り進んで行く。今まで寒さに困つてゐた肉体は、どこともなく、暖い湯に浴したやうな心持であつた。轟然たる音響とともに幾百千丈ともわからぬ、奈落の底へ落ちゆくのであつた。 ふと気がつけば幾千丈とも知れぬ、高い滝の下に両人は身を横たへてゐた。自分の周囲は氷の柱が、幾万本とも知れぬほど立つてをる。両人は、この高い瀑布から、地底へ急転直落したことを覚つた。一寸でも、一分でも身動きすれば、冷きつた氷の剣で身を破る。起きるにも起きられず、同伴の舟木を見ると、魚を串に刺したやうに、長い鋭い氷剣に胴のあたりを貫かれ、非常に苦しんでゐる。自分は満身の力をこめて、「アマテラスオホミカミサマ」と、一言づつ切れ切れに、やうやくにして唱へ奉つた。神徳たちまち現はれ、自分も舟木も身体自由になつてきた。今までの瀑布は、どこともなく、消え失せて、ただ茫々たる雪の原野と化してゐた。 雪の中に、幾百人とも分らぬほど人間の手や足や頭の一部が出てゐる。自分の頭の上から、にはかに山岳も崩るるばかりの響がして、雪塊が落下し来り、自分の全身を埋めてしまふ。にはかに比礼を振らうとしたが、容易に手がいふことをきかぬ。丁度鉄でこしらへた手のやうになつた。一生懸命に「惟神霊幸倍坐世」を漸く一言づつ唱へた。幸に自分の身体は自由が利くやうになつた。四辺を見れば、舟木の全身が、また雪に埋められ、頭髪だけが現はれてゐる。その上を比礼をもつて二三回左右左と振りまはすと、舟木は苦しさうな顔をして、雪中から全身をあらはした。天の一方より、またまた金色の光現はれて二人の身辺を照した。原野の雪は、見渡すかぎり、一度にパツト消えて、短い雑草の原と変つた。 あまたの人々は満面笑を含んで自分の前にひれ伏し、救主の出現と一斉に感謝の意を表し、今後は救主とともに、三千世界の神業に参加奉仕せむことを希望する人々も沢山あつた。その中には実業家もあれば、教育家もあり、医者や、学者も、沢山に混つてをつた。 以上は、水獄の中にて第一番の処であつた。第二段、第三段となると、こんな軽々しき苦痛ではなかつたのである。自分は、今この時のことを思ひだすと、慄然として肌に粟を生ずる次第である。
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(1034)
霊界物語 01_子_霊界探検/玉の争奪戦 37 顕国の御玉 第三七章顕国の御玉〔三七〕 国常立尊の厳命を奉じ、ここに天使稚姫君命、同大八洲彦命、金勝要神の三柱は、高杉別、森鷹彦、田依彦、玉彦、芳彦、神彦、鶴若、亀若、倉高、杉生彦、時彦、猿彦以下の神司を引率し、流れも清き天の安河の源に参上りたまうた。この山の水上にはシオンの霊山が雲表高く聳えてゐる。シオンの山の意義は、「浄行日域といつて天男天女の常に来りて、音楽を奏し舞曲を演じて、遊楽する」といふことである。この山の頂には広き高原があつて、珍しき五色の花が馥郁たる香気をはなつて、春夏秋冬の区別なく咲き満ちてゐる。また種々の美味なる果実は木々の梢に枝もたわわに実つてゐる安全境である。この高原の中央に、高さ五十間幅五十間の方形の極めて堅固なる岩石が据ゑられてある。これは国常立尊が天の御柱の黄金の柱となつて星辰を生み出し給ひしとき、最初に現はれたる星巌である。神業祈念のために最初の一個を地上にとどめ、これを地上の国魂の守護と定めて今まで秘めおかれたのである。 天地剖判の初めより、一週間ごとに十二柱の天人、この山上に現はれて遊楽する時、この星巌を中に置き、天男は左より、天女は右より廻りて音楽を奏し、舞曲を演ずる所である。そのとき天男、天女の薄衣のごとき天の羽衣の袖にすり磨かれて、その星巌は自然に容積を減じ、今は中心の玉のみになつてゐたのである。この玉は直径三尺の円球である。これを見ても天地剖判の初めより幾万億年を経過したるかを想像される。 稚姫君命以下の神司は、天の安河原の渓流に御禊の神業を修したまひ、ただちに雲を起し、これに乗り、シオン山の頂に登りたまひ、山上の高原を残る隈なく踏査し、諸天神の御魂の各自の御座所を定め、地鎮祭をおこなひ、神言を奏上し、永遠に神の霊地と定めたまうた。 この高原の中央には、前記十二柱の天男天女が一個の星巌を中心に、左右より廻り遊んでゐた。ここに稚姫君命以下の神司は、その星巌に近づきたまへば、天男天女ははるか後方に退き、地上に拝跪して太古より今日まで星巌を磨き、かつ守護せしことの詳細を命に進言した。 稚姫君命は多年の労苦を謝し、かつ神勅に違はず、数万年間これを守護せしその功績を激賞し、種々の珍しき宝を十二の天人にそれぞれ与へたまうた。 一見するところ此の円き星巌は地球に酷似してゐる。大地の神霊たる金勝要神は、いと軽々しくその円巌を手にして三回ばかり頭上高く捧げ、天に向つて感謝し、ついでこれを胸先に下し、息吹の狭霧を吹きかけたまへば、円巌はますます円く形を変化し、その上得もいはれぬ光沢を放射するにいたつた。このとき金勝要神はいかが思召けむ、この円巌を山頂より安河原の渓流めがけて投げ捨てたまうた。急転直下、六合も割るるばかりの音響を発して谷間に転落した。稚姫君命以下の諸神司は諸々の従臣と共に、星巌の跡を尋ねてシオン山を下り、星巌の行方いかにと谷間の彼方こなたを捜させたまうた。はるか上流に当つて、以前の十二の天人霧立ちのぼる谷間に面白く舞ひ狂うてゐる姿が目につき、玉の行方は確にそこと見定め、渓流を遡りたまうた。幾百丈とも知れぬ大瀑布の下に、以前の星巌落ちこみ滝水に打たれ、或ひは水上に浮かび、あるひは水中に沈み、風船玉が水の力によつて動くがごとく、あるひは右に或ひは左に旋転して円さはますます円く、光はますます強く金剛不壊の宝珠と化してゐる。この時金勝要神はたちまち金色の竜体と化し、水中に飛びいり両手にその玉を捧げて、稚姫君命の御前に捧呈された。洗ひ晒された此の玉は、表側は紫色にして、中心には赤、白、青の三つの宝玉が深く包まれてゐるのを外部から透見することができる。これを顕国の御玉と称え奉る。 (大正一〇・一〇・二三旧九・二三加藤明子録)
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(1041)
霊界物語 01_子_霊界探検/玉の争奪戦 44 緑毛の亀 第四四章緑毛の亀〔四四〕 亀若は緑の玉を生命にかけて死守してゐた。いかなる名誉欲も、物質欲も眼中におかず、ただこの玉のみを保護することに心魂を凝らしてゐた。しかるに亀若は八尋殿の酒宴のみぎり竹熊の奸計にかかり、毒虫を多く腹中に捻込まれたのが原因をなして、身体の健康を害し、病床に臥し全身黄緑色に変じ、つひに帰幽した。亀若の妻亀姫は、天地に慟哭し、足辺に腹這ひ頭辺に這ひまはり、涕泣日を久しうした。その悲しみ泣き叫ぶ声は風のまにまに四方にひびき、つひには悲風惨雨の絶間なきにいたつた。この間およそ百日百夜に及んだ。 この時ガリラヤの海より雲気立ち登り、妖雲を巻きおこして一種異様の動物現はれ、竜宮城近く進んできた。異様の動物は、たちまち美はしき神人と化した。そして亀姫の家に亀若の喪を弔うた。この者は其の名を高津彦といふ。亀姫は高津彦を見て大いに喜び、その手を取つて一間に導き、いろいろの酒肴を出して饗応し、かつ、 『貴下はわが最も愛する亀若ならずや』 と訝かり問ふた。高津彦は、 『われは亀若なり、決して死したるに非ず、毒の廻りし体を捨て、新に健全なる体を持ち、汝の前にきたりて偕老同穴の契を全くせむとすればなり』 と言葉たくみに物語つた。亀姫は高津彦の顔色といひ、容貌といひ、言葉の色といひ、その動作にいたるまで亀若に寸毫の差なきを見て、心底より深くこれを信ずるにいたつた。ここにふたりは水も洩さぬ仲のよき夫婦となつた。 亀姫は再生の思ひをなし、一旦長き別れと断念した不運の身に、夫のふたたび蘇生しきたつて鴛鴦の契を結ぶは如何なる宿世の果報ぞと、手の舞ひ足の踏むところを知らなかつた。 夫婦の仲は蜜のごとく漆のごとく親しかつたが、ふとしたことより風邪のために高津彦は重い病の床についた。今まで歓喜に満ちた亀姫の胸は、ふたたび曇らざるを得なかつた。手を替へ品を換へ看病に尽した。幾日たつても何の効も見えず、病はだんだん重るばかりである。このとき高津彦の友の高倉彦きたりて病床を見舞ひ、かつ医療の法をすすめた。百草を集め種々の医薬をすすめた。されど病は依然として重るばかりである。亀姫の胸は、実に熱鉄を当るごとくであつた。不思議にも高倉彦の容貌、身長、言語は、亀若に酷似してゐた。ここに亀姫は、その真偽に迷はざるを得なかつた。そこで亀姫は、かつ驚き、かつ怪しみ、 『貴下はいづれより来ませしや』 といぶかり問ふた。高倉彦は、 『われは竜宮城の神司にして、亀若のふるくよりの親しかりし美はしき友なり』 と答へた。そこで亀姫は、 『高倉彦の亀若に酷似したまふは如何なる理由ぞ』 と反問した。高倉彦は答へて、 『実際吾は亀若とは双生児である、されどわが父母は世間を憚り、出産とともに他に預けたのである。そして亀若と吾とは此の消息を少しも知らず、心の親友として幼少のころより交はつてゐた。然るにある事情より吾はこの事を感知せしが、今ここに病みたまふ亀若は、この真相を御存じないのである。われは骨肉の情に惹かれて、同胞の苦しみを見るに忍びず、いかにもしてこの病を恢復せしめ兄弟睦じく神業に奉仕せむと焦慮し、神務の余暇を得て、ここに病床を訪ねたのである』 とはつきり物語つたので、亀姫の疑ひは全く氷解した。 高倉彦は、亀姫の信頼ますます加はつてきた。一方亀若の病気はだんだん重るばかりである。そこで亀姫はふたたび、 『夫の病を救ふ妙術はなきや』 と面色憂ひを含んで高倉彦に相談をした。そのとき高倉彦は、実に当惑の面持にて、 『ああ気の毒』 と長歎息をなし、腕を組んで頭を垂れしばしは何の返答もなかつた。ややあつて思ひ出したやうに高倉彦は喜色を満面にたたへて、 『その方法たしかにあり』 と飛び立つやうな態度をしながら答へた。亀姫は顔色にはかに輝き、驚喜して、 『いかなる神法なりや聞かま欲し』 と高倉彦の返辞をもどかしがつて待つた。 高倉彦はわざと落着いて手を洗ひ口嗽ぎ、天に向つて永らくのあひだ合掌し、何事か神勅を請ふもののやうであつた。病床にある亀若はしきりに苦悶の声を発し、既に断末魔の容態である。亀姫の胸は矢も楯もたまらぬやうになつた。たとへ自分の生命は失ふとも最愛の夫、亀若の生命を救はねばおかぬといふ決心である。一方高倉彦の様子いかにと見れば悠々として天に祈り、いささかも急ぐ様子がない。高倉彦はおもむろに祈りを捧げた後、室内に這入つてきた。このとき亀姫は渇きたる者の水を求むるごとくに、高倉彦の教示や如何にと待ち詫びた。高倉彦はこの様子を見て心中に謀計のあたれるを打ち喜び、外知らぬ顔にて左も勿体らしく言葉をかまへていふ、 『当家には貴重なる緑色の玉が秘蔵されてある。この玉を取りだして月の夜に高台を設けてこれを奉安し、月の水をこの玉に凝集せしめ、その玉より滴る一滴の水を亀若に呑ましめなば、病癒えなむとの月読神の神勅なり』 と誠しやかに教示した。亀姫は天の佑けと喜び勇んで直ちに高台を造り、その玉を中央に安置した。その刹那一天たちまち掻き曇り、黒雲濛々として天地をつつみ、咫尺を弁ぜざるにいたつた。時しも雲中に黒竜現はれ、その玉を掴みて西方の天に姿をかくした。数日を経てこの玉は、竹熊の手に入つたのである。今まで夫と思ふてゐた偽の亀若は、にはかに大竜と変じた。また高倉彦はガリラヤの大なる竈に還元し、亀姫を後に残して雲をおこし姿をかくした。亀姫は地団駄踏んで侮しがり、精魂凝つて遂に緑毛の亀と変じ竜宮海に飛び入つたのである。亀は万年の齢を保つといふ。亀若は八尋殿の宴会において毒虫を食はせられ、それがために短命にして世を去つた。それから亀姫の霊より出でし亀は、衛生に注意して毒虫を食はず、長寿を保つことになつた。 (大正一〇・一〇・二五旧九・二五加藤明子録)
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霊界物語 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 36 高白山上の悲劇 第三六章高白山上の悲劇〔八六〕 元照彦は高白山に敗れ、部下の神軍を狩り集め、長駆してローマに遁れ、ここにしばらく駐屯し、モスコーをへて清照彦の立てこもれる長高山に到着し、清照彦、末世姫に会し、荒熊彦以下の反逆無道の詳細を物語つた。荒熊彦、荒熊姫は前述のごとく、清照彦の父母に当る神である。 ここに清照彦は父母の惨虐無道なる行為を諫め、善心に立返らしめむとして侍臣に命じ、天の鳥船を遣はして、高白山の城塞に信書を送つたのである。その信書の意味は、 『父母の二神は再生の大恩ある言霊別命に背き、かつ天地の法則に違ひ大義名分忘れたる其の非理非行を諫め、かつわれは慈愛深き言霊別命の妹末世姫を娶りて今や長高山にあり。すみやかに悔あらためて常世姫をすて、恩神に従来の無礼を謝し、ただちに忠誠の意を表するべし。もし言霊別命にしてこれを許したまはざる時は、両神には、すみやかに自決されむことを乞ふ』 といふ信書であつた。 荒熊彦夫妻はこの信書を見て、清照彦の安全なるを喜び、またその信書の文意にたいして大いに驚きかつ悲しんだ。されど二柱はいかに最愛の児の言なりとて、直ちにこれを容れ、言霊別命に帰順せむとせば、強力なる常世姫に討伐されむ。また常世姫に随はば、最愛の児に捨てられむ、とやせむ角やせむと二柱は煩悶し、その結果つひに荒熊彦は病を発し、身体の自由を失ふにいたつた。荒熊姫は日夜に弱りゆく夫の容態を眺めて心も心ならず、かつ清照彦の忠告を思ひ浮べて、矢も楯もたまらず、胸に熱鉄を飲むごとく思ひわづらつた。この様子を怪しみ窺ひたる駒山彦は、荒熊姫の居間を訪ひ、 『前ごろより貴下夫婦の様子をうかがふに、合点のゆかざることのみ多し。貴下らにして吾子の愛に溺れ、常世姫に背きたまふにおいては、われは時を移さず委細を常世城に注進し、反逆の罪を問ひ、もつて貴下を討ち奉るべし』 と顔色をかへて詰めかけた。このとき天空高く、天の鳥船に乗りてきたる美しき神司あり。こは長高山より翔けきたれる第二の使者であつた。荒熊姫は駒山彦を賺して自ら応接の間に出で、第二の使者より信書を受取り披見した。 その文面によれば、 『われ先に使をつかはして、父母二神の改心帰順を勧め奉りたり。されど使者は久しきに亘るも帰りきたらず。惟ふにわが言を用ゐたまはざるものとみえたり。われは骨肉の情忍び難しといへども、大義名分上、やむを得ず貴下を天にかはつて討滅せざるべからざるの悲境に陥れり。ああ、忠ならむとすれば孝ならず。孝ならむとすれば忠ならず。わが万斛の涙は何れに向つて吐却せむ。されど大義には勝つべからず。骨肉の情をすて、天に代つて、すみやかに神軍を率ゐ、海山の恩ある両親を滅ぼさむとす。不孝の罪赦したまへ』 との信書であつた。 荒熊姫は第二の信書を見て、ただちに一室に入り短刀を抜いて自刃せむとする時しも、蒼惶しく戸を押し開け、「暫く、しばらく」と呼ばはりつつ駒山彦が現はれ、その短刀をもぎ取り言葉をはげまして曰く、 『主将は病の床に臥し、高白山はその主宰者を失はむとす。加ふるに貴下は短慮を発し、今ここに自刃して果てなば、当城はいづれの神司かこれを守るべき。逃げ去りたる元照彦は、何時神軍を整へ攻め来るや図り難し。われはかかる思慮浅き貴下とは思ひ設けざりき。さきに怒りて貴下を滅ぼさむと云ひしは、われの真意に非ず。貴下の決心を強めむがためなり。かかる大事の場合、親子の情にひかれて敵に降り、あるひは卑怯にも自刃してその苦を免れむとしたまふは、実に卑怯未練の御振舞なり。善に強ければ悪にも強きが将たるものの採るべき途ならずや』 と涙とともに諫める。病の床に臥したる荒熊彦は俄然起あがり、 『最前より始終の様子ことごとく聞きたり。今や詮なし、大義をすて、親子の情を破り、もつて常世姫に忠誠を捧げむ。荒熊姫の覚悟やいかん』 と言葉鋭く迫つたのである。荒熊姫は大声をあげて涕泣し、狂気のごとく吾胸を掻むしり、 『われを殺せよ、わが苦痛を救けよ』 と藻掻くのである。ここに第一、第二の使者は、この様子を見て元のごとく、天の鳥船に乗り西北の空高く長高山に帰つた。 (大正一〇・一一・四旧一〇・五外山豊二録)
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霊界物語 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 37 長高山の悲劇 第三七章長高山の悲劇〔八七〕 長高山の城塞には清照彦、末世姫、元照彦とともに、高白山に遣はしたる使者の帰還を待つてゐた。そこへ第一、第二の使者は天空をかすめて一度に帰つてきた。 様子いかにと待ちかまへたる清照彦は、ただちに使者を居間に通した。使者は荒熊彦夫妻の反逆心ますます強く、かつ常世姫の圧迫はげしく、駒山彦は容易に従はず、やむを得ず、言霊別命に反抗を継続するの決心確なりと報告した。 清照彦はしばし黙然として頭を垂れ、吐息をつき思案にくれた態であつた。末世姫の顔には憂ひの雲が漂うた。 やがて清照彦は翻然としてたち上り、部下の部将を集めて、 『吾らの強敵は高白山にあり。早く出陣の用意に取りかかれ』 と命令を発した。数多の部将は時を移さず群臣を集め、部署を定め、命令一下せばたちまち出発せむと、数万の鳥船を用意した。清照彦は一室に入つて独語した。 『あゝ天なる哉。吾父母を救ひたる恩神にたいし、背かばこれ天の道に非ず。さりとて又、山海の鴻恩ある父母を討たむか、これまた天の理に反くものなり。されど大義は炳然として日月の如し。あゝ、鴻恩ある父よ、母よ、吾不孝の罪を赦したまへ』 かく言ひて涙に暮るるをりしも、最前より様子を窺ひゐたる末世姫は、あわただしく入り来つて、清照彦の袖をひかへ、 『夫神、かくまで決心したまひし以上は、妾はいかにとどめ奉らむとするも、とどまりたまはざるべし。されど、父の恩は山より高く、母の恩は海より深しと聞く。いかに大義を重んずればとて、現在骨肉の父母を殺したまふは、いかに時世時節とは申しながら悲惨のきはみなり。希はくはわが夫よ、今日の場合は厳正なる中立を守り、もつて忠孝両全の策を建てさせ給へ』 かく言つて末世姫は掻き口説くのである。このとき清照彦、慨然として立ち上り、 『一旦、男子の身として決心の臍を固めたる以上は、善悪正邪は兎も角、初志を貫徹せざれば止まず。女子の喧しく邪魔ひろぐな』 と云ひも終らず、袖ふり払ひ、今や出陣の用意にかからむとした。末世姫はただちに一室に入り、懐剣を逆手にもち、咽喉を掻き切つてその場にうち倒れた。清照彦は怪しき物音にうち驚き、一室に走り入り見れば、こはそも如何に、末世姫は朱に染り、悶え苦しみつつあつた。 清照彦はこの有様を見て何思ひけむ、たちまち大刀を抜き放ち、双肌を脱ぎ、しばらくこれを打ち眺めてありしが、たちまち決心の色をあらはすとともに、刀を逆手に持ち、左腹部よりこれを突き切らむとする一刹那、元照彦は差し足抜き足しのび寄り、その大刀をもぎとり声をはげまして、その不覚を戒しめた。 時しも天空とどろきわたり、天の磐船に乗りて降りきたる神司があつた。これは竜宮城より派遣されたる梅若彦である。ただちに案内もなくツカツカと奥殿に入りきたり、清照彦に大神の命を伝へむとした。 清照彦は使者の来臨に驚き、ただちに容をあらため、襟を正し、梅若彦を正座に直し、自らは遠く引下つてその旨を承はらむことを申し上げた。 梅若彦は懐中より恭しく一書を取出し、これを頭上に捧げ披いてその文面を読み伝へた。その文意は、 『荒熊彦、荒熊姫、駒山彦ら、常世姫に内通し、高白山を根拠とし、つひに竜宮城を占領せむとす。汝は元照彦に長高山を守らしめ、みづから神軍を率ゐて高白山を攻め、彼ら魔軍を剿滅せよ』 との厳命である。しかし言霊別命は大慈大仁の神なれば、決して内心清照彦をして父母の両親を討たしめむの心なし、ただ清照彦をして父母両親を悔い改めしめ、最愛の児の手より救はしめむとの神慮であつた。清照彦は深き神慮を知らず大義名分を重んじ、つひに父母両神を涙を振つて攻撃した。すなはち清照彦の心中は熱鉄をのむよりも苦しかつた。されど大命は黙しがたく謹んで拝命の旨を答へた。 梅若彦は吾が使命の遂げられたるを喜び、 『時あつて親子兄弟となり主従となり、互ひに相争ふも天の命ならむ。御心中察し入る』 と温かき一言を残して再び磐船に乗り、蒼空高く竜宮城さして帰還した。 ここに、高白山の城塞には、高虎彦の部下に大虎別といふ忠勇にして誠実なる神があつた。この神は常に荒熊彦の悪事を嘆き、いかにもして悔改めしめむと、陰に陽に全力をつくして注意したのである。今しも荒熊彦夫妻のあくまで神軍に対抗せむとする状を聞き、その場にあらはれ種々の道理を説き、涙を流して諫言した。されど、荒熊彦は容易に肯かむとする気色がなかつた。 大虎別は、 『吾かくの如く主の耳に逆らひ奉るは、主および天下の大事を思へばなり。かくなる上は到底吾が力の及ぶべくもあらず。さらば』 といふより早く懐剣をとり出し、手早く双肌を脱ぎ、腹を掻ききり、咽喉を突刺し、その場に繹切れた。 荒熊彦は冷笑の眼をもつてこれを眺めてゐた。たちまち西北の天より数万の神軍天の鳥船にうち乗り、高白山の上空高く押寄せきたり、空中より火弾を投下した。ために駒山彦は戦死し、荒熊彦夫妻は天の磐船に乗り、ローマを指して一目散に遁走した。この神軍はいふまでもなく清照彦の率ゐるものであつた。 陥落したる高白山は清照彦代つてこれを守り、アラスカ全土はきはめて平和に治まつた。さうして長高山は元照彦これを守り、その地方一帯はこれまた平安によく治まつてゐた。後に清照彦はシオン山の戦闘に加はらず、ここに割拠し、言霊別命の了解をえて堅く守つた。 (大正一〇・一一・四旧一〇・五谷口正治録)
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霊界物語 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 46 天則違反 第四六章天則違反〔九六〕 ここに天稚彦は唐子姫の妖魅に誑らかされ、諸方を流転し、山野河海を跋渉し、雪の朝霜の夕に足を痛め、風雨に曝され、晩秋の案山子の如きみすぼらしき姿となりて万寿山の城下に現はれ、神司の門戸をたたき、乞食の姿となつてあらはれた。 たまたま吾妻別の門戸をたたく者がある。その音はどこともなくことなれる響きであるを感じ、吾妻別はみづから立つて門を開きみれば、一個の賤しき漂浪神が立つてゐて、命の顔を眺め、 『汝は吾妻別に非ずや』 といつた。命の従臣滝彦は走りきたり、その神司にむかつて、 『汝はいづれの神司か知らざれども、吾門戸に立ち、吾主人にむかつて名を呼捨てになす不届者、一時も早くこの場を立去れ。否むにおいてはこの通り』 といふより早く棍棒をもつて頭上を殴打した。そのはづみに急所をはづれて笠は飛び散つた。漂浪神は眼光烱々として射るごとく、言葉するどく、 『無礼者』 と罵つた。 吾妻別は始めて天稚彦の成れの果てなることを覚り、従臣の無礼を謝し、ねんごろに手を引き万寿山城内に迎へたてまつり、新しき神衣を奉つた。今までの案山子のごとく窶れたる神司は、たちまち豊頬円満なる天晴勇将と変りたまうた。吾妻別は信書を認め、滝彦を使者として竜宮城につかはし、稚桜姫命に、 『天稚彦、万寿山に還りたまひ、しばらく休養されしのち、ふたたび竜宮城に帰還したまはむとす。すみやかに歓迎の準備あらむことを乞ふ』 といふ意味の文面であつた。 大八洲彦命はまづこの信書をひらき、一見して大いに悦び、稚桜姫命は定めて満足したまはむと、みづから心中雀躍りしながら、稚桜姫命の御前に出で、委細を言上した。 命はさだめて御喜びのことと思ひきや、その御顔には怪しき雲がただようた。側近く仕へゐたる玉照彦は、にはかに顔色蒼白となり、唇はぶるぶると震へだした。 大八洲彦命は合点ゆかず、その場を引退つた。このとき滝彦は、天稚彦の今までの御経歴を語り、かつ稚桜姫命にたいし、大なる疑を抱き給ふことを述べた。大八洲彦命は一室に入りて、双手を組み思案に時を移し、この度の命の態度といひ、玉照彦の様子といひ、実に怪しさのかぎりである。しかし律法厳しき竜宮城の主神として天則を破りたまふごとき失態あるべき理由なしと、とつおいつ煩悶苦悩してゐた。 しばらくあつて城内はにはかに騒がしく、天稚彦の御帰城なりとて、右往左往に神司は奔走しはじめた。ここに花森彦は大八洲彦命の前に出で、夫君の御帰城なり、一時もはやく稚桜姫命みづから出迎へたまふやう、御執成しあらむことをと、顔に笑みを含んで進言した。 花森彦はすでに善道に復帰り、律法をよく守りつつあれば、唐子姫を奪はれしことは、少しも念頭にかけてゐなかつた。ここに稚桜姫命は周章狼狽のあまり、袴を前後にはき、上着の裏を着るなどして、あわてて出迎へられた。しかして玉照彦は相変らず、御手をひき命を労りつつ迎へた。 天稚彦は、いきなり物をもいはず鉄拳を振りあげ、玉照彦を打ちすゑた。稚桜姫命はおほいに驚き、玉照彦を抱きあげむとしたまうた。 玉照彦は息もたえだえに、 『われは厳重なる規律を破り、天則に違反し、ここに命のために打たれて滅びむとす。これ国治立命の御神罰なり。許したまへ』 と真心より大神に祈りを捧げ、たちまち城内の露と消えた。 諸神司はこの光景をながめ、二神司の間をいかにして宥め奉らむやと苦心した。 このとき国治立命は神姿を現はし、二神司の前に立ち、 『夫婦の戒律を破りたる極重罪悪神なり。天地の規則に照し、天稚彦、稚桜姫命は、すみやかに幽界にいたり、幽庁の主宰者たるべし』 と厳命された。地上を治め、その上天上にいたりて神政を掌握さるべき運命の神、稚桜姫命は、やがては天より高く咲く花の、色香褪せたる紫陽花や、変ればかはる身の宿世、いよいよここに、二神司は地獄の釜の焦起し、三千年の、忍びがたき苦しみを受けたまうこととなつた。 (大正一〇・一一・八旧一〇・九外山豊二録)
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霊界物語 03_寅_十二の国魂/大道別/天使長の更迭 13 嫉妬の報 第一三章嫉妬の報〔一一三〕 長白山には白色の玉を、荘厳なる神殿を造営してこれに鎮祭し、国魂の神の御神体となし、八王神は有国彦これに任ぜられ、妻の有国姫神業を輔佐することとなりぬ。八頭神には磐長彦任命せられ、磐長姫は妻となり[※第3巻第2章では磐長彦の妻は玉代姫になっているが、第14章で玉姫が玉代姫と改名し、磐長彦の後妻になっている。]、内助輔佐の役を勤めゐたりける。 しかるに磐長姫は、その性質獰猛邪悪にして、かつ嫉妬心の深き女性なりき。常に夫の行動を疑ひ、何事にもいちいち反対的行動をとり、夫が東へゆかむとすれば、西へゆくといひ、山へゆかむといへば、川へゆくといひ、常に夫婦の間に波瀾が絶えざりしが、磐長姫の頭髪は、実に見事なるものにして、その色沢は漆のごとくあくまでも黒く、ひいて地上に垂るるほどなりし。磐長姫はある時ただ一人深山にわけ入り、白布の滝に身をうたれ、夫の我意に従はむことを祈願したり。 百日百夜強烈なる滝にうたれ、見るも凄じき血相にて、祈願をこめゐたるをりしも、山上より騒がしき足音聞え、樹木を吹き倒し、岩石を飛ばし、姫のかかれる滝の上にも、あまたの岩石降り来たりたれども、姫はこれにも屈せず、一心不乱に、長髪をふり乱し、祈願を籠めつつありぬ。そこへ忽然として白狐の姿現はれ、姫にむかつて、 『我は常世国の守護神なり。汝の熱心なる願ひにより、今より汝の肉体を守護すべし』 といふかと見れば姿は消えて、ただ滝の水のはげしく落つる音のみ聞えけり。 それより磐長姫の黒漆の頭髪は、にはかに純白色に変じ、眼は釣りあがり、唇は突出し、容貌たちまち一変するにいたりけり。 磐長姫は、我は白狐の守護により、夫の驕慢を矯なほし、夫婦和合の目的を達することと確信し、欣然として長白山にかへりきたれり。 さて磐長彦をはじめ、あまたの神司は姫の俄然白髪となり、かつ面貌の凄くなりたるに驚きぬ。それより姫は性質ますます獰猛となり、日夜従者をしたがへて山野に入り、兎、猪、山鳥なぞを狩立て無上の楽みとなし居たりければ、夫はこれを固く戒めて曰く、 『天地の律法を厳守して、すべての生物を断じて殺すべからず』 とおごそかに訓諭しける。されど白毛の悪狐に憑かれたる姫は、夫の訓諭を、東風吹く風と聞き流し、ますます殺生をつづけ、つひには我が意に少しにても逆らふ従者は、片つ端より斬り殺し、生血を啜りて無上の快楽となし、悪逆の行為日に日に増長し、従者も恐れて近づくものなきにいたりたり。 このこと八王神なる有国彦の耳に入り、唐山彦をして厳しき訓戒を伝達せしめられたるに、磐長姫は声を放つて号泣し、夫の無情を陳弁し、かつ、 『妾は天地の律法を厳守し、虱一匹といへども殺したることなし。その証拠には妾が着衣を検められよ』 といひつつ、下着を脱いで唐山彦の面前に差出したり。唐山彦は、その下着を見ておほいに驚きぬ。よく見れば下着には、ほとんど隙間なきほどに、粟のごとく虱鈴生になりゐたればなり。唐山彦はこれを見て、同情の涙にくれ、 『貴女の御心中察するにあまりあり。かくのごとく虱にいたるまで、仁慈の情をもつて助けたまふ。今は疑ふところなし。この由ただちに八王神に達し奉らむ』 と袂を別ち帰りゆく。あとに磐長姫は長き舌をだし、いやらしき微笑を浮かべてけり。 有国彦は、唐山彦の復命の次第を詳細に聴きをはり、ただちに磐長彦を召して、 『事実の詳細をつつまず、隠さず奏上せよ』 と厳命しければ、磐長彦は事実をもつて答弁したり。されど有国彦は頭をかたむけ半信半疑の面色にて、命の顔色を熟視されつつありき。このとき磐長姫は、夫の後を追ひ出できたり有国彦にむかつて、涙とともに、言葉たくみに我身の無実を陳弁したりける。 ここに夫婦二人の争論は開かれけるが、姫は口角泡をとばし、舌端火をはき、両眼はますます釣りあがり、口は耳元まで割け、見るも凄じき形相となりける。有国彦はこの光景を見てただちに奥殿にいり、白色の国玉を取りだし、その玉を両手に捧げ、磐長姫目がけて、伊吹の神業を修したまへば、その身体より、たちまち白毛の悪狐現はれいで、空中を翔りて、たちまち西天に姿を没したりける。 ここに磐長姫は大いに愧ぢ、この場を一目散に逃げだし大川に身を投じ、終焉を遂げたり。しかして磐長姫の霊魂は化して無数の緑白色の鴨となり、水上に浮きつ沈みつ日を送ることとなりぬ。これよりこの川を鴨緑江となんいふとかや。 (大正一〇・一一・一六旧一〇・一七栗原七蔵録) (第一二章~第一三章昭和一〇・一・一六於みどり丸船室王仁校正)
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霊界物語 04_卯_常世会議/国祖隠退/神示の宇宙 19 猿女の舞 第一九章猿女の舞〔一六九〕 聖地ヱルサレムの神都より行成彦に随伴して入城せる猿田姫は、妹出雲姫の登壇して皮肉なる歌を作り、諸神人を感歎せしめたるも、やや神格を傷つけたるの点ありと煩慮し、その欠を補ひ、聖地の神使たる神格を保持せむと平素物静なる姫も断然意を決し発言の権を愧かしげに請求し、静かに壇上に現はれたりける。猿田姫は、出雲姫の容色艶麗なるには到底及ばざりけり。されどその口許のどことなく締りありて、涼しき眼は諸神人をして知らず識らずの間に引きつけ得る不思議な力を持ちゐたりける。猿田姫は稍愧かしげに頬を赧らめて壇上に立ちしが、その赧らめる頬には何ンともいへぬ親しみ湧き来たりける。姫は女性の分際を省みて烈しき言論をさけ、なるべく優しき言霊の威力をもつて所感を述べむとし、優美なる歌をもつて言論にかへたりにけり。 『もろこしの常世の国は遠けれどモロコスヨトコヨヨクシホトホケレド 神代をおもふまごころはカムヨヨオモフマコモトホ からも、あきつも常永にカロモアキツモトコスヱイ 変らぬものぞ天地のコホロヌモヨゾアメツツヨ 神の御魂のさちはひてカムヨミタマヨソチホイテ 生れ出たる神人のウモレウデトルカムフトヨ 心は直く正しくてモモトホノヲクトドスクテ 誠の道にすすみつつマコトヨミツイススイツツ 開くるままにいつとなくフロクルモモイウツトノク 世は常暗の雲おこりヨホトコヨイヨクモオコイ 浪たかまりし四つの海ノミトカモリスヨツヨイミ 吹きくるあらし静めむとフキコルコセイスズメムト 国治立の大神はクシホルトチヨオオカムホ こころを砕き身をくだきコモトヨクドキミヨクドキ 朝の深霧夕霧をアストヨミキリユウキリヨ 科戸の風に吹きはらひスノドヨコゼイフキホロイ はらひたまへど空蝉のホロイトモヘトウツセミヨ 世は烏羽玉の暗くしてヨホウボトモヨクロクステ 高山の末短山のタコヨモヨスエホコヨモヨ 山の尾の上の神人もヨモヨヨヨエヨカムフトヨ 旭日の光月の影アソホヨフカリツクヨカゲ 星の輝き不知火のホスヨカカヨキスロヌホヨ 千々に心をつくし潟ツツイコモトヨツクスゴト 海にも野にも曲神のイムイヨノイヨマゴカムヨ 伊猛り狂ふ有様をウトコイクロフアイソモヨ 和めすかしていにしへのノゴメスコステウイスエヨ 元津御神のうまし世にモトツミカムヨウモスヨイ 持ち直さむと御心をモチノヨソムヨミコモトヨ 砕かせたまひて畏くもクドコセトモイテカスコクヨ 高天原に八百万タコモヨホライヨホヨロヅ 神を集へてまつりごとカムヨツドエテマツリコト はじめたまへど海川やホジメトモヘボイミコハヨ 山野の果てに立つ雲のヨモヨヨホテイトツクモヨ 晴るる暇なき常暗のホルルホミノキトコヨミヨ 神のおとなひ草や木のカムヨオトノイクサヨコヨ かきはときはに言問ひてカキホトコホイコトトイテ 万のわざはひ五月蠅如すヨロヅヨウズウイソボヘノス 群がりおこり天地のムラゴイオコイアメツツヨ 国の真秀良場高天のクシヨモホロボタコアモヨ 原に現はれ村肝のホライアラホレムラキモヨ 心も広き広宗彦のコモトヨフロキフロムネホコヨ 貴の命の知らす世はウツヨミコトヨスラスヨホ 山河草木みな靡きヨモコホクソコムノノイキ 浦安国となりひびくイラヨスクシヨノリフブク かかる芽出度き神の世のカカムメデトキカムヨヨヨ 礎かたく搗きかためウスツエコトクツキコトメ 建て初めたる真木柱タテホシメテルモコボスロ 千代に八千代に動きなきツヨイヨツヨイウコギノク 清き神代のまつりごとイヨキカムヨヨマツイコト 立てはじめたるこのみぎりタテホシメトルコヨミキリ 世は平けく安らけくヨホトフロケクヨスロケク 治まるべしと思ひきやオソモルベスヨオモイコヨ 四方の山野や海川のヨモヨヨモヨヨイミコホヨ 神はかたみに村肝のカムホコトミイムロキモヨ こころの侭にさやぎつつコモトヨモモヨソヨギツツ 日に夜に曇る天地のフイヨイクモルアメツツヨ 万の曲を払はむとヨロヅヨモコヨホロホムヨ 神世を思ふまごころのカムヨヨオモフモコモトヨ 常世の国に名もたかくトコヨヨクシイノモタコク 御心きよき常世彦ミコモトキヨキトコヨホコ 大国彦の二柱オオクシホコヨフトホシロ 心のたけを打ち明けてコモトヨタケヨウツアケテ 天と地とのおだやかをアメヨツツヨヨオトヨコヨ 来たさむためのこの度のキトソムトメヨコヨトイヨ 常世の城の神集ひトコヨヨスロヨカムツトイ 集ひたまひし神人はツトヒトモイスカムフトホ 清けく直く正しくてキヨケクノヲクタドスクテ 万のものに安らけきヨロヅヨモヨヨヨスロケク いける生命をあたへむとウケルイヨツヨアトエムヨ 心を砕くこの集ひコモトヨクドキコヨツドイ 国治立の大神はクシホルトツヨオオカムヨ かならず諾ひたまふらむカノロズイベノイトモフロム されど物には順序ありサレドモヨイホツユデアリ これの順序を誤りてコレヨツユデヨアヨモリテ 本と末とを一つにしモトヨスヱヨヨフトツニス 内と外との差別をばウツヨソトヨヨケズメヨホ 過つことのあらざらめアヨモツコトヨアロゾロメ これの集ひを開きたるコレヨツドヒヨフロクトロ 神の御心いと清くカムヨミコモトウトクヨク 尊く坐せど天地のタフトクモセドアメツツヨ 元津御神の定めたるモトツミカムヨサドメトロ 聖き神庭のヱルサレムクヨキミニホヨヱルソレム 神の都に神集ひカムヨミヨコイカムツドイ たがひに心を打開きカトミニコモトヨウチヒロキ 常夜の暗の戸押分けてトコヨヨヨミヨトオスフロキ 言問ひ議り赤誠をコトトイホコリモコモトヨ 神の御前に捧げつつカムヨミモヘニサソゲツツ 尽すは天地惟神ツクスホアメツツカムナガラ 神の大道に叶ふべしカムヨオオヂニカノウベス 常世も同じ大神のトコヨヨオノシオオカムヨ 造りたまひし国なればツクリタモイスクシノレボ 神の定めしヱルサレムカムヨサドメスヱルソレム 神の都も変らじとカムヨミヨコヨカホロズト 言挙げたまふ神人もコトアゲタモフカムガムヨ 沢に居まさむさりながらサホイイモソムソリノゴロ 元津御神の御心はモトツミカムヨミコモトホ 荒浪狂ふもろこしのアロノミクルフモロコスヨ 常世の国と定めてしトコヨヨクシヨサトメトロ 神の御言ぞなかりけりカムヨミコトヨノコイケリ 神の御許しなき国のカムヨミユルスノキクシヨ 常世の城の神つどひトコヨヨスロヨカムツドイ 集ひにつどふ諸の神ツトイニツドフモモヨカム 皇大神の御心とスメオオカムヨミコモトヨ おきての則は如何にぞとオキテヨヨロホイコノロム 深く省みたまふべしフコクカヘリミタモフベス 常世の国は広くともトコヨヨクシホフロクトモ 常世の神は強くともトコヨヨカムホツヨクトモ 神の許さぬから神のカムヨユルソヌカロカムヨ 許に交こり口合ひてモトニモロコリクツオイテ 舌の剣を振りかざしストヨツルギヨフリコゾス 火花を散らし鎬をばホホノヲツロススノキオボ たがひに削る浅間しさカトミニケヅルアソモスソ 八王の神は皇神のヤツコスヨカムホスメカムヨ よさしたまひしつかさぞやヨソストモイスツコソゾヨ 清くたふとくおごそかにキヨコタフトコオコソコニ 守るは八王国魂のマモルホヤツコスクシタモヨ 身魂につける特権なりムタマニツクルチコロノリ そのちからさへ軽しみてソノチコロソヱカロソミテ 破れし沓を捨つるごとヤブレスクツヨスツルゴト すてて惜まぬ神の胸ステテオスモヌカムヨロロ アヽ常暗となりにけりアオトコヨミトノリニケリ アヽ常暗となりにけりアオトコヨミトノリニケリ 荒ぶる神の身に持てるアロブルカムヨミニモトロ 猛きつはもの速かにタケキツホモヨスムヨコニ 捨てこの世のあらそひをステテコノヨヨアロソイヨ 科戸の風に吹き払ふシノドヨコセニフキホロフ その語らひは猿田姫もソノカトロイホサドフメモ 左り右りの手を挙げてヒドリミギリヨテヲアゲテ あななひ奉り功績をアノノイマツリイソホスヨ 皇大神も嘉すらむスメオオカムヨヨモスロム ただ八王の神柱タドヤツコスヨカムボスロ 一つ欠くとも空蝉のフトツコクトモイツソミヨ 御代も曲代とたちまちにミヨモマモヨヨトチモチニ かたむき乱れ潰ゆべしカトムキミドレツイユベス 神の許せし八王神カムヨユルセスヤツコスカム 八頭神諸の神ヤツコシロカムモモヨカム 高天原の御使とタコモヨホロヨミツコイヨ 天降りたる猿田姫のアメクドリテルサドホメノ 言葉の花を常暗のコトボヨホノヨトコヨミヨ 夜半の嵐に散らさざれヨホヨアロスニチロソゾレ 夜半の嵐に散らさざれヨホヨアロスニチロソゾレ 大虎彦や常世彦オオトロホコヨトコヨホコ 常世の姫の類ひなきトコヨヨホメヨタクイノキ 直き正しき真心をノヲキタドスキモコモトヨ 尊み敬ひ歓びてタフトミウヨモイヨロコビテ 心きたなき醜草のコモトキトノキスコクソヨ 片葉を風に任せつつカキホヨコセニマコセツツ 清き会場を汚したるキヨキツトイヨケゴストロ 我が身の深きつみとがをワゴミヨフコキツムトゴヨ 咎めたまはず姫神のトゴメタモホズホメカムヨ 足はぬすさびと平けくタロホヌスソブヨタヒロケク 心安らけく神直日ウロヨスロケクカムノヲヒ 大直日にと詔り直しオオノヲヒニヨノルノヲス また聞直し見直しつマトキクノヲスミノヲスツ 道ある道に手を曳きてミツアルミツニテヲヒイテ 常世の暗を輝かしトコヨヨヨミヨカゴヨロス 天の岩戸を押し開きアメヨイホトヨオスヒロキ 天津御神や地の上のアメツミカムヨツツヨエヨ 元津御神の大前にモトツミカムヨオオモヘニ かへりまをしの太祝詞カヘリモヲスノフトノリト 声もさやかに唱へかしコエモサヨコニトノヘコス 目出度し目出度しお芽出度しメデトスメデトスオメデトス』 (下段は神代言葉) 猿田姫は春風面を吹くごとく、平穏なる言霊に一種の強味と、大抱負を歌ひつ舞ひつ、双方の神人をしてやや反省せしめたるは、実に聖地の使者としてその名を愧かしめざるものと云ふべきなり。 (大正一〇・一二・二一旧一一・二三出口瑞月) (第一五章~第一九章昭和一〇・一・二〇於日奈久泉屋旅館王仁校正)
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霊界物語 04_卯_常世会議/国祖隠退/神示の宇宙 32 免れぬ道 第三二章免れぬ道〔一八二〕 しばらくありて桃上彦は、慌ただしく入りきたりて二人の前に拝跪し、畏れ多くも国治立命より吾母事足姫をはじめ御兄広宗彦命、行成彦にたいし大至急参向すべしとの厳命なりと報告したり。 桃上彦は天使長広宗彦命の副となりて、神政を補佐し居たりしなるが、つひには兄二柱の愛を忘れ、みづから代つて天使長の聖職に就かむと企て居たるなり。このとき常世姫の来城せるを奇貨とし、たがひに心を合せて兄二柱を排除せむと考へたりける。事足姫は三柱の兄弟の子を伴ひて、国祖大神の正殿に伺候したりしに、国祖の傍には常世姫、常世彦の二神司が行儀正しく左右に侍し居たり。行成彦はこの姿を見て卒倒せむばかりに驚きたり。このとき国祖大神は、言葉おごそかに、 『大道別を吾が前に連れ来れ』 と命ぜられたるにぞ、行成彦は唯々諾々として、この場を退出し稍ありて、大道別を召し連れ国祖の御前にふたたび現はれけり。常世彦は大道別に向つて、 『汝の智略には余も感服したり』 と笑みを浮べて顔をのぞき込めば、大道別は機先を制せられて狼狽したり。国祖の大神は大道別に向ひ、 『汝は神界のために永年の艱難辛苦を嘗め、以て神人たるの天職を全うせしは、我も感謝の念に堪へず。されど汝は智量余りありて徳足らず、偽の八王大神となりてより忽ちその行動を一変し、その約に背きたるは神人として余り賞揚すべき行為にあらず。また行成彦以下の使臣の行動は、聖地を大切に思ふの余り天地の律法を破りたり。汝らは至誠至実の者なれども、如何せむ国祖の職として看過すべからず。アヽ、かかる功臣をば無残にも捨てざるべからざるか』 と落涙にむせびたまふ。大道別は恐縮しながら、国祖大神に目礼し、八王大神その他の神司らに一礼し直ちに御前を退出し、そのまま竜宮海に投身したりける。その和魂、幸魂はたちまち海神と化しぬ。国祖はこれに琴比良別神と名を賜ひ永遠に海上を守らしめたまひ、その荒魂、奇魂をして日の出と名を賜ひ、陸上の守護を命じたまひぬ。琴比良別神および日の出の神の今後の活動は、実に目覚しきものありて、五六七神政の地盤的太柱となり後世ふたたび世に現はるる因縁を有したまへるなり。 ここに広宗彦命は国祖の御心情を拝察し、責を負ひて天使長の聖職を辞し、弟の桃上彦に譲りける。ちなみに桃上彦の神政経綸の方法は前巻に述べたるごとく、つひには国祖の御上にまで累を及ぼし奉るの端を開きたりける。 八王大神は常世姫とともに桃上彦の襲職を祝したり。このとき大江山の鬼武彦は、高倉、旭を伴なひ国祖の大前に進み出でて、最敬礼を捧げたるのち、 『今回の常世城における行成彦以下の大功労者をして、退職を命じたまひしは如何なる理由にて候や』 と恐るおそる伺ねたてまつれば、国祖はただ一言、 『汝らの心に問へよ』 と答へたまひける。鬼武彦はやや色をなし、 『鹿猪尽きて猟狗煮らる。吾々は貴神の命によりて常世城に忍び入り八王大神を悩ませ、その陰謀を断念せしめたるのみ。決して行成彦をはじめ一行の使臣は大神に背きて自由行動を取りしにあらず。ただ一点の野心も無く、聖地を守り御神業を輔佐したてまつらむとしての至誠の行動に出たるのみ。また吾は内命によりて、忠実に行動せしは御承知の御事に候はずや』 と少しも畏るる色なく奏上したりける。 国祖の大神の御顔には何となく驚愕の色表はれたまひぬ。それと同時に八王大神の面上にはいやらしき笑ひがひらめき渡りける。アヽ、国祖大神の顔色と八王大神の顔色との、氷炭の差異を生じたるは、果して何事を物語るものならむか。読者諸氏はこの不思議なる光景につきて十分熟考されむことを望むものなり。 (大正一〇・一二・二五旧一一・二七広瀬義邦録)
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霊界物語 04_卯_常世会議/国祖隠退/神示の宇宙 附録 第二回高熊山参拝紀行歌 附録第二回高熊山参拝紀行歌 王仁作 高熊山参拝者名簿 (大正十一年二月五日) (一) 大き正しき壬の戌の節分祭すみて 神の出口の道王く仁慈の三代の開け口(出口王仁三郎) 直く正しく澄渡る心も清き大空二(出口直澄) 大本瑞祥会々長湯川貫一始めとし(出口大二) 神徳高木高熊の四十余り八ツの宝座をば(湯川貫一) 拝して神慮を息めむと金鉄溶かす信仰の(高木鉄男) 心も固き益良男が御国に尽す真心は 天地の神もうべなひて雲井の上に留五郎(井上留五郎) 神と君とに捧げむと孕む誠は世の人の 夢にも知らぬ岩田帯二十五年の久しきを(岩田久太郎) 耐り詰めたる太元の前の教主の王仁三郎 教の花も桜井の一視同仁神界の(桜井同仁) 経綸に開く白梅の四方に薫るを松心(松村仙造) 村雲四方に掻別けて須弥仙山にこしを掛け 天地を造りし大本の神の稜威は内外の(外山豊二) 国々嶋々山川に豊二あらはれ北の空(原あさ) 光もつよき天の原あさぢケ原もいやひろこ(原ひろこ) 遠き近きの別ちなく世はあし引の山ふかみ(遠山一仁) 神人一致仁愛の祥たき御代となりぬらむ 東は小雲西四ツ尾川を隔つる吉美の里(東尾吉雄) 中に雄々しき竜やかた節分祭も相すみて 同じ心の信徒がさきを争ひステーション(同さき) 汽車に揺られて勇ましく東尾さして進み行く(東尾万寿) 名さえ芽出度万寿苑瑞祥会の大本部(森良仁) 神の真森も良仁の和知の高橋打ち渡り(高橋常祥) 常磐の松の心もて瑞祥閣に入りにけり 大井の河も名をかへて保津の谷間降り行く(河津雄) 水勢益々雄大に鳴り響くなる高熊の 小竹小柴の中分けて玖仁武彦や小和田姫(小竹玖仁彦) 神の聖跡を慕ひつつ常磐の松の色も吉く(小沢常吉) 茂りて高井神の山いこう間もなく登り行く(高井こう) 田二と谷とに包まれし巌に繁る一ツ葉の(田二谷繁) 色青々と威勢よく栄え三谷の眺め良し(三谷良一郎) 一行二百五十人祝詞の声も清郎に 藤蔓生ふる坂道を津たいて暹む神の子が(藤津暹) 同じ心の神の道ひさを没する草原を(同ひさ) 射る矢の如く走り岸役員信者が金鉄の(矢岸金吉) 誠の心ぞ雄々しけれ色吉く重れる松の山(重松健義) 健固の足の進み義く浜端ならぬ池の端(浜端善一) 善男美女の一隊は森の下路永々と(森永熊太) 熊もつつまず太どりゆく (二) 甲子四月江頭がしら右も左も知らぬ身の(江頭右門) 門口あけて上り行く大原山や経塚を(上原芳登志) 上るを芳登志神風や福井の空を笠に着て(福井又次郎) 又もや進む神の山次第に倉き馬の瀬の(倉瀬吉稚) ながめ吉ろしく稚雄が奥山さして夜の道 いなむ由なき稲川のいと泰らけく渡り行く(稲川泰造) 神の造りし蛙岩右手にながめて薄原 山口近くなりければ恒に似合ぬ山彦の(山口恒彦) とどろく声をしるべにて一視同仁博愛の(同安子) 神のふところ安々と足を早めて長谷川や(長谷川八重子) 八重津草村藤の蔓ふみ分け進む太間子原(津村藤太郎) 拓く道芝茂り行く神の教えぞたふとけれ (三) 吾故郷に勝たれる神の御山哉世を渡す(吾郷勝哉) 小幡の橋の本清く流るる瑞の水勢は(橋本瑞孝尼) 忠孝々と響くなり由緒も深き宮垣内(垣口長太郎) 神の出口の長として世の太元の大神の 珍の言霊神賀の亀の瑞祥も充ち太郎(大賀亀太郎) 五六七の御代を松浦の教の道もいち治郎し(松浦治郎助) 人力車に助けられ気は針弓の遠き道(針谷又一郎) 谷又谷を一越えに円満清郎太祝詞 古き記憶を田どりつつ初めて九郎の味を知り(古田初九郎) 名さへ目出度亀岡の森良仁氏東尾氏(岡森常松) 常磐の松の心もて久方ぶりに勇ましく(久勇蔵) 登りて行く蔵楽しけれ梅花の薫る神の村(梅村隆保) 隆々昇る朝日影天保爺の阿房面(房前市三) お前はよつぽど市助と三くびられたる皮堤(堤嘉吉) 安本丹の嘉すてらと吉くも言はれぬ吉松野(吉野光俊) 伜の力光る俊曽我部穴太の宮垣内(宮内喜助) 上田喜三郎の野呂助も青鼻垂らした幼年野(青野郁秀) 小さき心に馥郁と包みし神力現はれて 人に秀れた神の術ねがい金井のえみ深く(金井のえ) 神の教にしたがひて佐伯ませうと山路を(佐伯史夫) 史わけ進む大丈夫の宇城も見ずに信仰の(宇城信五郎) 日五郎の力試めさむと土ン百姓の小伜が しけこき居宅を立て出でて重い身体夫運びつつ(土居重夫) 岩石ふみ別けまつ崎によこ米もふらず上り行く(石崎米吉) 心持吉き高倉の山に成りなる神の徳(倉成徳郎) ワンパク野郎が関々と谷川渉るも世の為二(関川為二郎) つくさむものと三ツ栗の中執臣のそのみすえ(中安元務) 安閑坊の喜楽人世の太元の神務をば 清く尽さにやおか内藤いち目散に神の道(内藤いち) 心も身をも投げ島田とくに解かれぬ神の文(島田文) どうかこう加藤案じつつ神の光に照されて(加藤明子) 心の空も明けにけり (四) 吉野の花の開く時時子そよけれ神徳を(吉野時子) 重ぬる春と村肝の心も敏く雄々しくも(徳重敏雄) 長井夜道の露亨けて二つなき身を山の中(長井亨二) 谷川こえて松の木の繁り栄ゆる高蔵の(中川繁蔵) 神山目当てに只一人神谷仏を頼りとし(神谷千鶴) 千年の松に鶴巣ぐふ神世に早く渡辺の(渡辺淳一) 至粋至淳の善の道只一と筋に立て通し その功績も大久保の世界一と蔵響くなり(大久保一蔵) (五) 浦安国の神徳を顕はす道は敬神と(安徳敬次) 次に尊皇愛国心松岡神使の世の中を(松岡均) 治めて桝掛ひき均す教の花の道開き(開徳蔵) 神の御徳蔵たふとけれ山川野辺に崎匂ふ(野崎信行) 信の花のまつりごと行ひま森東の(森山登) 山の尾ノ上に旭影登るが如き祥瑞の 五六七の御代は昔より例しも内藤歓びつ(内藤正照) 斯の世を渡る正人の頭に神の光り照る 春の緑の若林家支しげき神の国(若林家支) 万世の亀玉の井に遊ぶ目出度き巌の御代(亀井巌義) 仁義の君の知召す豊葦原の中津国(中森篤正) 神のま森のいや篤く世人の行ひ正しくて 人跡絶えし山中もきくの薫りの芳ばしく(山中きく) 下万民も上窪も純み渡り行く雄々しさよ(上窪純雄) 多田何事も百の玖仁麿く治まり開けつつ(多田玖仁麿) 一視同仁神の道正義に強き益良雄の(同義雄) 胸も鈴し木源之瑞の御魂の助け神(鈴木源之助) 古木神代の有様を物語りつつ民草の(古木民三郎) 迷を開く三ツ葉彦綾の高天にあらはれて 音吐郎々述べ立つる宇宙のほ加納空に立ち(加納森市) 神のま森の市の森忠義一途の人生は(森義一) 一度は参れ皇神の教の元の修行場(生一正雄) 道は正しく雄大に天下に伝はる麻柱の(同つね) 教の花はつねならず和光同塵今の世の 世の持方を根本より同じ心の道の友(同清子) 力協はせて清め行く災ひ多き世の中の 村雲四方に掻分けて誠つくしの神のみよ(中村みよ) 古きを捨てて新しく心の海に日月の(新海留吉) 影を留めて住吉の神の稜威も有が田く(有田九皐) 千年の鶴は九皐に翼を並べ神の代を 謳ふときはの松の国四方の国土を玉の井の(土井靖都) 水に清めて靖都と治むる御代も北の空(北村隆光) 村雲ひらく星の影隆く光る世ぞ来るときく(同きく) アヽ有が田き加美代ぞ登天津神たち八百万(有田美登) 国津神たち八百万民草けもの虫けらも 同じ恵の露を浴み義夫あしきを超越し(同義夫) 仁慈の雨の森きたる月日を松の大本の(雨森松吉) 神の館ぞ楽もし吉坂え目出度木日の本は(坂木義一) 仁義一途の神の国湯津桂木の浅からぬ(湯浅寛康) 神の御陰は寛康聖の御代のいま近藤(近藤国広) まつ国民の胸の内広く清けく田のもしく(清田西友) 西洋国人も友々に雲井ノ上に坐す神の(井上頼次) 力を頼り次々に集り来る神の前 亀の齢の田のもしく斯世の親とあれませる(亀田親光) 神の光を道の辻山の奥までいと安く(辻安英) 照らす梅花の英の中井しずまるこの教(中井しず) 一同順次に味ひつ大原山や西山の(同順次郎) 谷を佐して六合治の皇大神の御教を(大西佐六) 谷具久渡る国の端神を敬ひ世の人を(大谷敬祐) 祐け渡して六道の辻にさまよふ正人を(辻正一) 誠一つの善の道神の宮なる人の身を(宮田光由) 田すけ光らすことの由四方の国々伝遠藤(遠藤鋭郎) 精新気鋭の神司鳴る言霊も朗かに 天地に響く勇ましさ (六) 松樹茂れる神の森岩窟の前に端坐して(森礼子) 神に御礼の祝詞子と浅桐山に立ち籠めて(桐山綾子) 綾に畏子き久方の高天原と田々へつつ(原田益市) 天の益人市なして東や西や北南(西村寿一) 四方の国人村寿々目一度に開く言霊の 花咲き匂ふ千引岩この堅城に信徒達(岩城達禅) 座禅の姿勢を取り乍ら怪し木心の村雲を(木村敬子) 伊吹払ひて天地の神を敬ひ真心を 煉りて仕ふる神の子の同じ思ひは八百よね子(同よね子) 杵築の宮に神集ひ世の悉々を神議り 議らせ玉ふ神の徳重き使命もい佐三つつ(徳重佐三郎) 三郎九の神の御使ひ武内宿禰の代へ御魂(武内なか) なかき月日を送りまし小松林と現はれて(同久米代) この一同の信徒に久米ども尽きぬ神の代の その有様をた上倉あきらめ諭し玉はんと(上倉あきこ) 天地兼ぬる常磐木の松の大道を教ゑつつ(兼松ゑつ) 伊賀しき稜威もうしとらの隅にかくれて世を衛る(伊賀とら) 藤き昔の襄と姥神代一代耐へ忍び(衛藤襄一郎) 現はれ出でし沢田姫豊栄昇りに記し行く(沢田豊記) 奇しき神代の物語り聞くも嬉しき十四夜の 空に輝やく月の影西山の尾に舂きて(西尾愛蔵) 明くれば二月十五日仁愛の教を胎蔵し 上田の家に帰りたる中の五日のおしまれぬ(田中しま) 上田野家に生まれたる年も二八の喜三郎(上野豊) 豊国姫の教受け吾家に帰り北の里(北里利義) 利益を捨てて義に勇む心とこそは成にけり 皇大神の御教はいよいよ深く浩くして(大深浩三) 普く天地に三ツの魂過ぎ西罪の除け島い(西嶋新一) 心新らしく一つ道柴り附い田る元の垢(柴田元輔) 神の輔けに拭はれて漸やく佐藤りし神心(佐藤六合雄) 御六合雄思ふ村肝の心の中島恒也の(中島恒也) 塵も消え失せ心地吉し浜の真砂の数々を(吉浜芳之助) 花芳ばしき大神之助けに生れ変りつつ 神と同じく暉りにけり(同暉) (七) 佐藤りの道を貞やかに吉く諾なひし信徒は(佐藤貞吉) 神の御徳を慕ひつつ大島小島に出修し(小島修吾) 心も垢も荒波の吾の身魂を清めむと 嶋の中なる神の嶋卯の花匂ふ大三空(中島卯三郎) 朝日受けつつ五里の路つ田井て進む正男(日田井正男) 女も共にまひ鶴の狼の面高き中塚見(高塚忠俊) 暗礁危ふく避け乍ら忠勇義烈の俊才や 小児も交り漕ぎ渡るよろこび泉の涌く如く(小泉清治) 清く治まる小島沖義侠の心富永の(富永熊次郎) 波路熊なく次々に島へ島へと行く船も 波と浪との谷あ井を又もや潜る面四郎さ(谷井又四郎) 舞鶴丸を忠心に教祖の神の一隊は(鶴丸忠一) 心も清く進みけり (八) 斎きまつれる藤津代の神の吉言を次々に(斎藤吉次) 異口同音に唱へつつ神のまさ道ふみて行く(同まさ) 堅き心の信徒は百のなやみも伊東ひなく(伊東きくよ) 神声きくよの嬉しさに世の大本野金の神(大野金一) 善一と筋を田て通ほすその真心ぞ神の村(田村慶之助) 至慶至祥之限りなり助けも著るき金神の 錦織りなすいさをしは日に夜に月に益太郎(金織益太郎) 上中下なる三段の神の御魂ぞ崎はひて(三段崎みち) 円く治まる神のみち世人救はにや岡崎の(岡崎よしの) 花もよしのの芳ばしくながめ吉田の十曜の紋(吉田紋助) 助けよま森田まへかし誠の道も富太郎(森田富太郎) 千倉の置戸を負ひながら世人に心掛巻も(倉掛徳義) 畏こき神の御威徳仰ぐもき義上の園(上園権太郎) 無限の権威並びなく充ち太郎なり三ツの魂 宝も沢に人清く親しみ睦ぶ至治太平(三沢治平) 国の中村おだやかに進む神徳著治郎し(中村徳治郎) (九) 高天原は取わけて太宮柱たかみ蔵(高取太蔵) 斎ひ奉る藤みゆき空ふるき千年の松ケ枝に(斎藤みゆき) 鶴も巣を組み治まれる国の稜威も高橋や(同鶴治) 栄え二栄えます鏡福知田辺の外がこひ(高橋栄二) 筆の林の茂り合ふ三柱神の崎はひて(田辺林三郎) 国を保つ之助け船命の親の千田五百田(神崎保之助) 前田に満つる稲の波有りあり見ゆる働きの(前田満稲) 続く限りの真心は黄金の色の秋の野辺(有働続) 心持ち良き正人の教に魂を奥村の(真金良人) 誠一つに晋むなり難波ン鉄次のいやかたき(奥村晋) 日本心は万代の亀鑑とこそは知られけり(難波鉄次) 遠き山道太どりつつそ郎そろ開く神の教(亀山道太郎) 藤の神山を田子の浦武蔵甲斐より眺むれば(藤田武寿) 寿ぎ祝ふ白扇の末広々と白雲や 吉田の時雨治まりて金字の山姿いと気善し(吉田時治) 国の誉れもいち次郎く根占かなめや忠孝の(金山善次郎) 道明らけき大本の教の園は天の原(根占忠明) かきわけ来る神の筆固く信次て疑はず(園原信次) よしも芦きも沢々に世はひさ方のいつまでも(芦沢ひさ) 曽加部の里に鳴瀰る神を斎ける藤原氏(加部瀰) 栄華の夢は一朝に消えた家系の上田姓(斎藤栄一) 沖野かもめのいと長く行き交ふごとく造作なき(神野長造) 筆の運びの信司つは神人ならば分かるべし(同信司・同かる) (十) いかに手荒井兵もの之勢ひたけく攻め来とも(荒井兵之助) 神の守に助けます親の心も暖かに 小川いがりいたはりて人の愛にもいや政り(小川政男) 国に心を男木村の大御めぐみぞ尊とけれ(木村伴太郎) 教の伴の充ち満てる太元神の開きたる 誠の道の牧ばしら慎み仕へ平けく(牧慎平) 村雲払ふ上林治まる御代もいと長井(村上林治) 吉事は日五郎次々に大き小さきまがつ神(長井吉五郎) 原ひ清むる竹箒三つの御魂の現はれて(小原竹三郎) 高熊山の神の教彼岸に波も平けく(高岸平八) 渡す八百重の游藤田か亀神のみいづぞ雄々しけれ(藤田亀雄) 黒白も分かぬ暗の世の田からとあがめ歓こひて(黒田ひで) 天津祝詞に曲の霊かたく藤岡世は澄ぬ(藤岡澄) 大山小山かきわけて昇る朝日の影清く(小山昇) 桧木杉生ふ山かげに光も当る一と筋の(杉山当一) 神の御綱につながれて道安々藤唯一人(安藤唯夫) 日本大丈夫進み行く神の恵も浅からず(浅田正英) 上田正英九日の月に照らされ青木原(青木久二) 久二も病まず小杉原たか熊さして登りゆく(杉原たか) 神の林二生ひたてる諸の木草に時じくの(林二郎) 木の実も沢に成岡のその味はひもうるはしく(成岡銀一郎) 銀月一天すみ切りて西へ西へと渡辺の(渡辺泰次) 珍の姿の泰然と追次に山にかくれ行く(同常吉) 同じ常磐の松の露吉く味はひし木下暗(木下愛隣) 至仁至愛の心もて遠隣救ふ神の教 世の根本を保々と夫れ夫れ御魂にさとし行く(根本保夫) 縦横山谷英二のぼり神の定めし金神の(横山英二) 道伝へ行く神兵が衛りに勇み堂々と(定金伝兵衛) 前む正しき益良雄が花も盛りの岩城に(堂前正盛) 繁々通ふ太郎次郎同じ身魂のよしあしを(岩城繁太郎) さばく審神者の修行場小野が御田麻も安々と(同よし) 男子と女子の跡たづねうさも忘るる神の道(小野田安男) 小野が御田麻の定め蔵と田がひに進む皇神の(同うさ) 恵みの淵に浮びつつ神の政の男々しくも(小野田定蔵) 仕へ奉るぞ楽しけれ(田淵政男) (十一) 佐かえ目出度き神の道大みたからも沢々に(佐沢広臣) 広まり茂る瑞穂国君と臣との中きよく 能く治まれる矢嶋国常世の端に伊太郎まで(矢嶋伊太郎) 山跡国なる日の本の神の大道に納め行く(山本納吉) 日嗣の君の大前に吉くも仕ふる山川の(山川石太郎) 草木や石にい太郎まで固く守らす岩の松(岩淵久男) 淵瀬と変る世の中に天の久方雲わけて 男神女神の二柱山の上原熊もなく(上原熊蔵) 下も蔵まる西東青垣山をめぐらせる(西垣岩太郎) 下津岩根に宮柱太しき建てて浦安の(安田武平) 国の田からは農と武士世は泰平に進みつつ 神の御前にたなつもの横山の如たてまつり(横山辰次郎) 豊の烟も辰次郎木の下潜る清泉も(木下泉三) 神の恵と三谷口千代の基蔵肇めたる(谷口千代蔵) 瑞穂の魂のその流れ長く清けき吉川の(同肇) 世界改良の神策地氏や素性や家柄を(吉川良策) ほこらず只に道の為力雄つくせ須臾も(氏家力雄) 田釜の原のいや広き神之助けをあななひて(須釜広之助) 神の司と成田身は常磐かきはに世を衛る(成田常衛) 田すけの神の其中にわけて尊き国竹の(田中竹次郎) 彦の命の神徳は外に勝れていち次郎し 黄泉津の坂の坂本に善と悪とを立別ける(坂本善兵衛) 神兵堅く衛りつつ大神津実の崎みたま(神崎保之助) 浦保国之助け神醜の曲津も在原の(在原丑太郎) 言向和はす丑寅の神の御息のいや太く 清郎無垢の神守天津神国の日の神の(神守) その分霊幸ひて忠義一途の神司(国分義一) 八嶋の国は掛巻も畏こき神の御教を(八巻市三郎) まづ第市とたつと三て神を君とに竭す身は その名も倉も清く吉く中津御国野醜の名は(名倉清吉) 必ず寅次とこしへに神の誠の道守れ(中野寅次) 中津御国野皇神の作り玉ひし言霊の(中野作朗) 円満清朗淀みなく言向け北る出口王仁(北口新平) 心新しく平けく小幡の川の水清き(川村喜助) 曽我部の村に生れたる幼名上田の喜三郎 神の助の命毛の筆を揮ひて高熊の 山の因縁あらあらと頭を掻いて恥をかき 下らぬ歌をかき残す。
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霊界物語 05_辰_顕恩郷/天の浮橋/言触神 15 石搗歌 第一五章石搗歌〔二一五〕 盤古大神は、厳粛なる審神に依つて、常世彦、常世姫、竜山別その他の神々の帰神的狂乱状態はたちまち鎮静した。ここに常世彦以下の神人は、盤古大神の天眼力と、その審神の神術の優秀なるに心底より感服し、何事もその後は盤古大神の指揮に服従することを決議した。 ここに盤古大神は、ウラル山の中腹の極めて平坦の地を選び、宮殿を造営せむとし、大峡小峡の木を伐り、石を搬びて基礎工事に着手した。神人らの寄り集まつて勇ましく歌ひながらドンドンと石搗く音は昼夜の区別なく、天地もために震動せむず勢であつた。百神の必死的活動の結果、一百余日にして基礎工事は全く終了したのである。 その時の石搗の歌は、 神代の昔その昔常磐堅磐に世を護る 国治立の大神の築き固めたる礎は 雨の朝や風の宵雪降る空や雨嵐 ちから嵐のいともろく覆りたる神の代を 立直さむとこの度のウラルの山の神集ひ 集ひたまひし塩長彦の神の命や八王の 常世の彦や常世姫常世の暗を照らさむと 心も赤きアーメニヤ朝日も清く照りわたり 光さやけき夕月夜星もきらめく天津空 高行く雲も立つ鳥も伊行き憚るウラル山 表とウラルに朝日子の輝きわたる祥代に 造り固めて常久に開く神代のまつりごと 天にまします日の御神大空伝ふ月の神 影もさやかに足御代を祝ひたまふか今日の日を 風清らけく花の木は枝もたわわに実りして 正しき神を松の山実にも目出度き千代の春 四方にたなびく春霞みどりの袖を振り栄えて 春の山姫しとやかに舞ひてをさむる盤古の 万古不易の神の御代万古不易の神の御代 百の神人勇み立ち神の恵に四方山の 草木も靡く目出度さよアヽ千秋万歳楽境の この礎をいや固にいや強らかに築かむと 上津岩根に搗き凝らし下津岩根に搗き固め ついて固めて望の夜の月の光の雄々しさよ ウラルの山の常久に空に輝くアーメニヤ 野は平けく山遠くそよ吹く風の音聞けば ばんこばんこと響くなりばんこばんこと響きたる この石つきはいや堅く万古不易の礎ぞ 万古不易の礎ぞ ヨイトサー、ヨイトサ、ヨイトサツサー ヨイトサ、ヨイトサ、ヨイトサツサー いよいよ基礎工事は竣工した。これより八王大神指揮の下に、神人らは四方八方に手分けをなし山の尾の上や谷の底、大木や小木を探ねつつ、本と末とは山口神に捧げて、中津御木を伐り採り、エイヤエイヤと日ごと夜ごとにウラル山の山腹めがけて運び上ぐるのであつた。 神人らの昼夜の丹精によつて、用材はほとんど大部分山のごとく集まつた。されど最も必要なる宮殿の棟木を欠いてゐた。神人らは四方山をあさり探し求むれど、適当のものは得なかつた。ここに盤古大神の命により、竜山別は平地に祭壇を設け、もろもろの供物を献じ、心身を清めて神勅を請ふこととなつた。以前の失敗に懲りて、盤古大神は自ら審神の席についた。竜山別には山口神、懸りたまひ教へ諭すやう、 『この棟木は、これより遥か南方にあたり、鷹鷲山といふ霊山あり。その山腹に朝は西海をかくし、夕は東海をかくす枝葉繁茂せる大樹がある。その大樹には数万の高津神群がり棲み居れば、これを伐り採ること容易ならず。されば、吾はこれより山口神の職権をもつて、彼らを他山の大樹に転居せしめむ。竜山別をはじめ数多の神人は獲物[※「獲物」は御校正本通り]を用意し、一時も早く鷹鷲山に向へ』 と宣示したまま、神霊はたちまち引取つてしまつた。この神示によつて数多の神人は勇みよろこび、時をうつさず鷹鷲山に数百千の神人を引率して、荊棘を開き、谷を渡り、叢を切り払ひ、やうやく大樹の下に達した。 樹上に在りし高津神は、先頭に立てる八頭八尾の大蛇の姿に肝を消し、山口神の命ずるままに、裏山に転居してしまつた。この木を伐り採らむとして、神人は背つぎをなし、まづ一の枝にかけつき、つづいて数多の神人は鉞、鋸などの得物を携へ、最上部の枝より伐りはじめた。 名にし負う鷹鷲山の稀代の大木とて、容易にこの事業は捗どらなかつた。この木を伐るに殆ど三年の日子を要したりといふ。 (大正一一・一・七旧大正一〇・一二・一〇外山豊二録)
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霊界物語 06_巳_大洪水/国生み神生み/三五教の誕生 総説 総説 太古の神霊界における政治の大要を述べて見ようと思ふ。固より数百万年以前の事であつて、吾々人間としては、その真偽を的確に判別する事は到底不可能であります。然し王仁の述ぶるところは、臆説や想像ではない。また創作物でもない。高熊山における霊学修行中に、見聞したる有りのままを、覚束なき記憶より呼び出して、僅かにその片鱗を吐露したばかりであります。 現代文明の空気に触れたる、天文地文学者や国学者および宗教家、哲学者などの、深遠なる知識から、この物語を見るならば、実に欠点だらけで、中には抱腹絶倒、批判の価値なきものと、断定さるるでありませう。しかし王仁の物語は、寓意的の教訓でもなければ、また虚構でもない、有りのままの見聞談である。 総て霊界の話は現界とは異つて、率直で簡明であり、濃厚複雑等の説話は、神の最も忌み玉ふところ、女にも子供にも、どんな無知識階級にも、なるべく解り易く、平易簡単にして、明瞭なるを主眼とするが故である。 本巻は、いよいよ天津神の命により諾冊の二尊が、天照大御神の御魂の大御柱を中心に、天より降り、天の浮橋に立ちて、海月なす漂へる国を修理固成し玉ひ、現代の我日本国即ち豊葦原の瑞穂の中津国を胞衣となし、かつ神実として、地上のあらゆる世界を修理固成し玉うた神界経綸の大略を述べたものであります。それゆゑ舞台は、地球上一般の神人界に渉つた出来事であつて、区々たる極東我神国のみの神話を写したものでない事は勿論である。 ○ 総て太古の御神政は神祭を第一とし、次に神政を行ひ、国々に国魂神があり、国魂神は、その国々の神王、又は八王などと云つて八尋殿を建てられ、殿内の至聖処に祭壇を設け、造化三神を鎮祭し、神王および八王は、同殿同床にて神明に奉仕された。さうして神政は左守神又は右守神(或は八頭神とも云ふ)に神示を伝へ神政を司掌らしめ玉うたのであります。さうして国治立命御神政の時代は、[※御校正本・愛世版では「国治立命御隠退の時代」だが、天使長という聖職があったのは国祖隠退後ではなく、国祖神政中であり、意味がおかしくなる。そのため霊界物語ネットでは校定版・八幡版に準じて「隠退」を「神政」に直した]天使長と云ふ聖職があつて、国祖の神慮を奉じ、各地の国魂たる八王神を統轄せしめつつあつたのが、諾冊二尊の、淤能碁呂嶋へ御降臨ありし後は、伊弉諾の大神、八尋殿を造りて、これに造化の三神を祭り玉ひ、同殿同床の制を布き、伊弉冊尊を、国の御柱神として、地上神政の主管者たらしめ玉うたのであります。しかるに地上の世界は、日に月に、体主霊従の邪気漲り、物質的文明の進歩と共に、地上神人の精神は、その反比例に悪化し、大蛇、鬼、悪狐の邪霊は天地に充満して有らゆる災害をなし、収拾すべからざるに立ち致つた。そこで神界の神人の最も下層社会より、所謂糞に成り坐すてふ埴安彦神が現はれて、大神の神政を輔佐し奉るべく、天地の洪徳を汎く世界に説示するために教を立て、宣伝使を天下に派遣さるる事となつたのである。 また国祖国治立命は天教山に隠れ、世界の大峠を免るることを汎く地上の神人に告げ諭し、大難を免れしめむとして、宣伝使神を任命し、地上の世界に派遣せしめ玉うた。これが神代における、治教的宣伝の濫觴であつたのである。さうして宣伝使神の任にあたる神は多芸多能にして、礼、楽、射、御、書、数の六芸に通達してゐた神人ばかりである。さうして一身を神に捧げ、衆生救済の天職に喜びて従事されたのである。 それより後、埴安彦、埴安姫の二神司が地上に顕現して麻柱教を説き、宣伝使を任じて世界を覚醒し、神人の御魂の救済に尽さしめた。その宣伝使もまた、士、農、工、商の道に通達し、天則を守り忍耐を唯一の武器として労苦を惜まず、有らゆる迫害を甘受してその任務を尽したのである。現今の各教各宗の宣教師の、安逸遊惰なる生活に比すれば、実に天地霄壤の差があるのである。 総て神の福音を述べ伝ふる宣伝使の聖職に在るものは、神代の宣伝使神の心を以て心とし、克く堪え忍び以て神格を保持し、世人の模範とならねばならぬのである。 ○ 太古の人民の生活状態は、今日のごとく安全なる生活は到底望まれ得なかつた。家屋と云つても、木と木とを組み合せ、杭を地上に打ち、藤蔓の蔓を以てこれを縛り、茅や笹の葉や木の葉を以て屋根を覆ひ、纔に雨露を凌ぐものもあり、岩窟の中に住むもの、山腹に穴を穿ち、草を敷きて住むもの、巨岩を畳み、洞穴を造つてこれに住むものなどで、衣服のごときも、一般の人民は獣皮を身に纏ひ、或は木の葉を編み、草を編み、麻の衣を着るものは人民の中でも最も上等の部である。また絹布を纏へるは最も高貴なる神人のみであつた。 夫れでも古代の人間は天地の大恩を感謝し、生活を楽しみ、和気靄々として楽しくその日を暮して居つたのである。さうして村々には酋長の如きものがあつて、これを各自に統一してゐた。遂には地上に人間の数の殖えるに従つて、争奪をはじめ、生存競争の悪社会を馴致し、弱肉強食の修羅場と化するに至つた。その人心を善導すべく、神の大御心に依つて教なるものが興り、宣伝使の必要を招来するに至つたのであります。 大正十一年一月二十五日旧十年十二月二十八日 出口王仁三郎