| 番号 (No.) |
書籍 | 巻 | 章 | 内容 |
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21 (656) |
ひふみ神示 | 26_黒金の巻 | 第38帖 | 人間の死後、自分の命の最も相応しい状態におかれるのであるそ。悪好きなら悪の、善好きなら善の状態におかれるのであるぞ。皆々、極楽行きぢゃ。極楽にもピンからキリまであるぞ。神の旨に添ふ極楽を天国と云ひ、添はぬ極楽を幽界と申すのぢゃ。心の世界を整理せよ。そこには無限のものが、無限にあるのであるぞ。神の理が判れば、判っただけ自分がわかる。めでたさの九月八日の九のしぐみ、とけて流れて世界一つぢゃ。白銀、鉄、これで終り。旧九月八日 |
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22 (1050) |
霊界物語 | 02_丑_常世姫の陰謀/シオン山攻防戦 | 序 | 序 本書は王仁が明治三十一年旧如月九日より、同月十五日にいたる前後一週間の荒行を神界より命ぜられ、帰宅後また一週間床縛りの修業を命ぜられ、その間に王仁の霊魂は霊界に遊び、種々幽界神界の消息を実見せしめられたる物語であります。すべて霊界にては時間空間を超越し、遠近大小明暗の区別なく、古今東西の霊界の出来事はいづれも平面的に霊眼に映じますので、その糸口を見付け、なるべく読者の了解し易からむことを主眼として口述いたしました。 霊界の消息に通ぜざる人士は、私の『霊界物語』を読んで、子供だましのおとぎ話と笑はれるでせう。ドンキホーテ式の滑稽な物語と嘲る方もありませう。中には一篇の夢物語として顧みない方もあるでせう。また偶意的教訓談と思ふ方もありませう。しかし私は何と批判されてもよろしい。要は一度でも読んでいただきまして、霊界の一部の消息を窺ひ、神々の活動を幾分なりと了解して下されば、それで私の口述の目的は達するのであります。 本書の述ぶるところは概してシオン山攻撃の神戦であつて、国祖の大神が天地の律法を制定したまひ、第一に稚桜姫命の天則違反の罪を犯し幽界に神退ひに退はれたまへる、経緯を述べたのであります。本書を信用されない方は、一つのおとぎ話か拙い小説として読んで下さい。これを読んで幾分なりとも、精神上の立替立直しのできる方々があれば、王仁としては望外の幸であります。 『三千世界一度に開く梅の花。艮の金神の世になりたぞよ。須弥仙山に腰を掛け、鬼門の金神、守るぞよ』との神示は、神世開基の身魂ともいふべき教祖に帰神された最初の艮の金神様が、救世のための一大獅子吼であつた。アゝ何たる雄大にして、荘厳なる神言でありませうか。『三千世界一度に開く』とは、宇宙万有一切の物に活生命を与へ、世界のあらゆる生物に、安心立命の神鍵を授けたまへる一大慈言でありますまいか。 口述者はいつも此の神言を読む度ごとに、無限絶対、無始無終の大原因神の洪大なる御経綸と、その抱負の雄偉にして、なんとなく吾人が心の海面に、真如の月の光り輝き、慈悲の太陽の宇内を一斉に公平に照臨したまひ、万界の暗を晴らしたまふやうな心持になるのであります。 そして、『三千世界一度に開く』と宇宙の経綸を竪に、しかと完全に言ひ表はし、句の終りにいたつて『梅の花』とつづめたるところ、あたかも白扇を拡げて涼風を起し、梅の花の小さき要をもつて之を統一したる、至大無外、至小無内の神権発動の真相を説明したまひしところ、到底智者、学者などの企て及ぶべきところではない。 またその次に『須弥仙山に腰をかけ、艮の金神守るぞよ』との神示がある。アゝこれまたなんたる偉大なる神格の表現であらうか。なんたる大名文であらうか。到底人心小智の企及すべきところではない。そのほか、大神の帰神の産物としては、三千世界いはゆる神界、幽界、現界にたいし、神祇はさらなり、諸仏、各人類にいたるまで大慈の神心をもつて警告を与へ、将来を顕示して、懇切いたらざるはなく、実に古今にその類例を絶つてゐる。 かかる尊き大神の神示は、俗人の容易に解し難きはむしろ当然の理にして、したがつて誤解を生じ易きところ、口述者は常にこれを患ひ、おほけなくも神諭の一端をも解釈をほどこし、大神の大御心の、那辺に存するやを明らかに示したく、思ひ煩ふことほとんど前後二十三年間の久しきにわたつた。されど神界にては、その発表を許したまはざりしため、今日まで御神諭の文章の意義については、一言半句も説明したことは無かつたのであります。 しかるに本年の旧九月八日にいたつて、突然神命は口述者の身魂に降り、いよいよ明治三十一年の如月に、『神より開示しおきたる霊界の消息を発表せよ』との神教に接しましたので、二十四年間わが胸中に蓄蔵せる霊界の物語を発表する決心を定めました。しかるに口述者は、本春以来眼を病み、頭脳を痛めてより、執筆の自由を有せず、かつ強て執筆せむとすれば、たちまち眼と頭部に痛苦を覚え如何ともすること能はず、殆んどその取扱ひについて非常に心神を悩めてゐたのであります。その神教降下ありて後、十日を過ぎし十八日の朝にいたり、神教ありて『汝は執筆するを要せず、神は汝の口を藉りて口述すべければ、外山豊二、加藤明子、桜井重雄、谷口正治の四人を招き、汝の口より出づるところの神言を筆録せしめよ』とのことでありました。 そこで自分はいよいよ意を決し、並松の松雲閣に隠棲して霊媒者となり、神示を口伝へすることになつたのであります。二十四年間心に秘めたる霊界の消息も、いよいよ開く時津風、三千世界の梅の花、薫る常磐の松の代の、神の経綸の開け口、開いた口が閉まらぬやうな、不思議な物語り、夢かうつつか幻か、神のしらせか、白瀬川、下は音無瀬由良の川、和知川、上林川の清流静かに流れ、その中央の小雲川、並木の老松川の辺に影を浸して立ならぶ、流れも清く、風清く、本宮山の麓なる、並松に、新に建ちし松雲閣書斎の間にて五人連れ、口から語る、筆を執る、五人が活気凛々として、神示のままを口述発表することとなつたのであります。 大正十年十一月旧十月九日 於松雲閣瑞月出口王仁三郎誌 |
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23 (1105) |
霊界物語 | 03_寅_十二の国魂/大道別/天使長の更迭 | 序文 | 序文 艮の金神出現以後三十年の立替は、いよいよ明治五十五年、すなはち大正の十一年、三千世界一度に開く梅の花の機運に到達したのである。つぎに坤の金神出現以後二十五年、桃李もの言はずして桃李ものとなりし神の教示も、いよいよ開く桃の春、五十二歳の暁に、月の光に照らされて、霊界探険物語り、ももの千草も、百鳥も、百の言問ひ言止めて、三月三日五月五日の神の経綸を詳細に、悟る神代の魁となつたのも、まつたく時の力といふべきである。明治三十三年九月八日の神筆に、 『出口直は三千世界の根本の因縁から末の世のことまで書かす御役なり、それを細かう説いて聞かせるのが海潮の役であるから、一番に男子が現はれて、次に女子が表はれたら、大本の中の役員も、あまり思ひが違ふてをりたと申して、きりきり舞をいたして喜ぶ人と、きりきり舞をして苦しむ人と、力一杯われの目的のために、男子女子を悪くまをすものとができるぞよ。神を突込みておいて我で開いて、まだ悪く申して歩行く、取次がたくさんにできるぞよ。云々』 大本の筆先は、どうしても男子女子でなければ真解することはできぬのは神示のとほりである。しかるに各自の守護神の御都合の悪いことがあると、「女子の筆先は審神をせなそのままとつてはいかぬ」と申す守護神が現はれてくる、困つたものだ。九月八日にいよいよ神示のとほり女子の役となり、隠退して霊界の消息を口述するや、またまた途中の鼻高がゴテゴテ蔭で申し出したのである。女子の帰神の筆を審神者する立派な方が沢山できて、神様も御満足でありませう。 また、明治五十五年の三月三日五月五日といふ神の抽象的教示にたいして、五十五年は大正十一年に相当するから、今年は女子の御魂にたいして肉体的結構があるとか、大本の神の経綸について花々しきことが出現するかのやうに期待してをる審神者があるやうにきく。されど、神の御心と人間の心とは、天地霄壌の相違があるから、人間の智慧や考へでは、たうてい、その真相は判るものでない。五十五年といふことは、明治二十五年から三十年間の神界経綸の表面に具体的にあらはれる年のいひである。 三月三日とは三ツの御魂なる月の大神の示顕が、天地人三体に輝きわたる日といふことである。日は「カ」と読む、「カ」はかがやくといふことである。今まで三十年間男子の筆先の真意が充分に了解され、また従道二十五年に相当する女子の御魂の光が、そろそろ現はれることを暗示された神諭である。二十五年間、周囲の障壁物にさまたげられた女子の御魂の神界経綸の解釈も、やや真面目になつて耳をかたむくる人が出現するのを、「女子にとりて結構な日である」と示されたものである。あたかも暗黒の天地に、日月の東天を出でて万界を照らすがごとき瑞祥を、五月五日といふのである。五は言霊学上「出」であつて、五月五日は出月出日の意味である。二十五年の天津風、いま吹きそめて経緯の、神の教示も明らけく、治まる御代の五十五年(出神出念)、いよいよ神徳出現して、神慮の深遠なるを宇宙に現出すべき時運にむかふことを慶賀されたる神示であります。 月光世に出でて万界の暗を照破す、これ言霊学上の五月五日となるのであつて、けつして暦学上の月日でないことは明白である。三月三日と五月五日に、変つたことがなければ信仰をやめるといふ無明暗黒の雲が、遠近の天地を包むでゐるやうに思はれましたから、一寸略解をほどこしておきました。これでもまた女子の御魂の言は審神者をせなくてはいかぬと、唱ふる豪い人々が出現するかもしれませぬ。これが暗黒の世の中といふのでせう。 神諭に「女子にとりて結構な日である」云々は微々たる五尺の肉体にたいしての言ではない。神霊そのものの大目的の開き初むるを慶賀されたる意味であることを了解すべきである。千座の置戸は、瑞の御魂の天賦的神業たることを承知してもらひたい。 霊界物語を読ンで、初めて今日までの神諭の解釈にたいする疑雲は一掃され、心天たちまち晴明の日月をうかべ、霊体力に光輝をそへ歓喜と了解の日月出現していはゆる三月三日五月五日の瑞祥を神人ともに祝することになるのである。 五月五日は男子の祝日、菖蒲の節句である。三月三日は女子の祝日で、桃の節句である。女子の御魂聖地に出現してより二十五年の間桃李物言はず自ら蹊をなせしもの、ここに目出度く世にあらはれて苦、集、滅、道を説き、道、法、礼、節をはなばなしく開示することとなつたのも、神界経綸の神業成就の曙光をみとめ、旭光照破の瑞祥にむかつたので、神人界のともに祝福すべき年であります。 ○ この物語のうちに大自在天とあるは、神典にいはゆる、大国主之神の御事であつて、大国彦命、八千矛神、大己貴命、葦原醜男神、宇都志国魂神などの御名を有したまひ、武力絶倫の神にましまして国平矛を天孫にたてまつり、君臣の大義を明らかにし、忠誠の道を克く守りたまふた神であります。本物語にては大自在天、または常世神王と申しあげてあります。 大自在天とは仏典にある仏の名であるが、神界にては大国主神様の御事であります。この神は八代矛の威力をふるつて、天下を治めたまうた英雄神である。皇祖の神は、平和の象徴たる璽と、智慧の表徴たる鏡とをもつて、世を治めたまふのが御神意である。故に我皇孫命の世界統御の御神政は、飽く迄も道義的統一であつて、武断的ではないのである。故に天津日嗣天皇の世界御統一は、侵略でも征伐でもない、併呑でも無い、皇祖大神の大御心を心とし玉ふたのである。劍を用ゐ玉ふは、変事に際してのみ其神聖不可犯の御威力を発揮し玉ふので、是又止むを得ざるに出でさせ玉ふ御神業であります。決して大自在天的武力統一ではない、御仁慈の御政治であります。[※「故に我皇孫命の」から「御仁慈の御政治であります。」までは、戦前の版・聖師御校正本には書いてあるが、戦後の版からは削除されている。霊界物語ネットでも削除されていたが、2020/4/27に追加した。] また盤古大神塩長彦は一名潮沫彦と申し上げる、善良なる神にましますことは、前篇に述べたとほりであります。この神を奉戴して荒ぶる神人等が色々の計画をたて、神界に活動して国治立命の神政に対抗し、種々の波瀾をまきおこしたことはすでに述べたとほりである。そこでこの世界を救ふべく、諾冊二神がわが国土を中心として天降りまし、修理固成の神業を励ませたまふこととなつた、ありがたき物語は篇を逐うて判明することであらうと思ひます。惟神霊幸倍坐世 大正十一年一月三日 王仁識 |
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24 (1253) |
霊界物語 | 05_辰_顕恩郷/天の浮橋/言触神 | 36 言霊の響 | 第三六章言霊の響〔二三六〕 『昔の昔、其昔国治立の大神は 天地四方の神人の拗け曲れる霊魂をば 直さむために神柱四方の御国に遣はして 世の立替へを知らせむと東や西や北南 千々に其の身を窶しつつ雪の晨や雨の宵 虎棲む野辺も厭ひなく神の救ひの言の葉を 科戸の風に吹き拡め四方の国々隈もなく 行き渡りたる暁に天教山に現はれし 野立の彦の大神や木花姫の御指揮 地教の山に現はれし野立の姫の大神の 宣示を背にいそいそとめぐり車のいとはやく 変る浮世の有様を心にかくる空の月 つきせぬ願は神人の霊魂、霊魂を立直し 清き神代に救はむとわが身を風に梳り 激しき雨を浴びつつも三千世界の梅の花 一度に開く常磐樹の常磐の松の神の御代 心も清き木花の開いて散りて実を結び スの種四方に間配りし神の恵を白浪に 漂ふ神こそ憐れなり朝日は照るとも曇るとも 月は盈つとも虧くるとも假令天地は倒に 地は覆へり天となり天はかへりて地となるも 何と詮方千秋の恨を胎すな万歳に 神の恵の言の葉に眼をさませ百の神 耳を欹だて聞けよかし聞けば香ばし長月の 九月八日のこの経綸九つ花の開くてふ 今日九日の菊の花花より団子と今の世は 体主霊従の神ばかり世は常暗と鳴門灘 渦まきのぼる荒浪に浚はれ霊魂は根の国や 底の国へと落ち行きて消えぬ地獄の火に焼かれ 或は氷の刃もて無限の艱苦をなめくじり 蛙に出会うたその如く天地はかへる蛇の群 蛇に等しき舌剣を振ふは大蛇の悪神ぞ その悪神に取りつかれ素より清き大神の 霊魂と生れし神人は知らず識らずの其間に 体主霊従となり果てぬ体主霊従となり果てぬ この惨状を救はむと国治立尊もて 百の神々天教の山に集ひて諸共に 赤き心を筑紫潟誠を尽す神々の 清き心も不知火の波に漂ふ憐れさよ 暗路を照らす朝日子の神のみことの隠れます 天の岩戸はいつ開くこの世は終りに近づきて この世は終りに近づきて鬼や大蛇やまがつみや 醜女探女の時を得て荒振る世とぞなりにけり 荒振る世とぞなりにけりあゝ神人よ神人よ 神の救ひの声を聞け耳を浚へてよつく聞け 眼を洗つてよつく見よ眼を洗つてよつく見よ』 と節面白く謡ひながら異様の扮装にて、数多の神人に取囲まれ謡ふ神があつた。祝部神はこの声を聞き、何となく心勇み、祝彦、杉高彦と共に、肩を搖りながらその声目蒐けて突進した。 激しき風に吹き捲くられて、地上の一切は、見るも無残に落花狼藉、神人は烈風に遇ひし蚊の如く、蟆子のごとく中天に捲き上げられてしまつた。されど臍下丹田に心を鎮め神力を蒙りし神のみは、大地より生えたる岩石の如くびくとも動かず、悠々として烈風吹き荒ぶ広野を、風に向つて濶歩しつつ、雄々しくも宣伝歌を謠つた。その声は風の共響きに送られて地教山の高照姫神の御許に達した。真澄姫神、祝姫神の耳にはことさらに痛切に響いたのである。果して何人の宣伝歌であらうか。云はずと知れた月照彦神と祝部神の宣伝歌であつた。 高照姫神は黄金の幣を奥殿より取り出し、烈風に向つて左右左と振り払ひ給へば、風は逆転して東北より西南に向つて吹き捲つた。その時二神使はまたもや歌をよまれた。その歌は地中海の西南なる埃の宮を通行しつつある夫神の耳に音楽のごとく微妙に響いた。真澄姫神は地教山の高閣に登り言葉涼しく謡ひ始めた。 『仰けば高し久方の天津御空に澄み渡る 月照彦の大神の恋しき御声は聞えけり 雨の晨や風の宵この世を思ふ真心の 君が御声は天の下四方の国々鳴り響き 響き渡りて今ここに地教の山まで届きけり 地教の山まで届きけり嗚呼尊しや言霊の 誠の響きは鳴り渡る雄々しき声は雷か 雷ならぬ神の声その声こそは世を救ふ 神の御旨に叶ふべし神の御旨に叶ふべし 妾は茲に大神のみこと畏み日に夜に 世の神人らを救はむと思ひあまりて村肝の 心の空も掻き曇る心の空も掻き曇る 曇るこの世を清めむと心も清く身も清く 光隈なき月照彦の神の命の雄叫びに 四方の草木も靡き伏し伏して仕へむ天地の 草木の神も山川の正しき神は君が辺に い寄り集ひて統神の教へたまひし言の葉の 三千世界の梅の花曇る心の岩屋戸を 一度に開く梅の花月照彦の大神の 霊魂は照るとも曇るとも神の依さしの神業に はむかふ魔神は非ざらむあゝ勇ましき月照彦の 神の命の功績やあゝ勇ましき祝部の 神の命の宣伝よ』 と声涼しく謡ひ始めた。風は涼しき声を乗せて地中海の西南にいます二神の許に送り届けた。二神は勇気百倍して、さしも激しき烈風の中を撓まず屈せず、またもや声を張り上げて、山野河海の神人らに警告を与へつつ、ヱルサレムの聖地を指して進む。 (大正一一・一・一二旧大正一〇・一二・一五加藤明子録) (昭和一〇・三・三〇朝於吉野丸船室王仁校正) |
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25 (1325) |
霊界物語 | 07_午_日の出神のアフリカ物語 | 総説 | 総説 神界の示教は、到底現代人のごとく、数理的頭脳の活力を以て窺知することは出来ないものである。神は言霊即ち道である。言葉を主として解すべきものである。神諭の三月三日五月五日の数字についても、現代の物質かぶれをした人士は、非常な論議の花を咲かして居られるさうです。出口教祖の直筆の文句には『明治三十年で世の立替云々』と、明治三十三年ごろになつても、依然として記されてあるのを見ても、神界の示教の現代的解釈に合致せないことは明瞭であります。 また教祖の直筆は所謂お筆先であり、そのお筆先を神示に随つて、取捨按配して発表したのが大本神諭である。之を経の筆先と称して、変性女子の緯の筆先と区別し、経は信ずるが、緯は信じないと謂つてゐる人々が、処々に散見される様ですが、経緯不二の真相を知らんと思へば、教祖の直筆をお読みに成つたら判然するでせう。お筆先そのままの発表は、随分断片的に語句が列べられ、かつ一見して矛盾撞着せし文句があるやうに浅い信者は採るやうなことが沢山ある。また教祖が明治二十五年より、大正五年旧九月八日まで筆先を書かれたのは、全部御修行時代の産物であり、矛盾のあることは、教祖自筆の同年九月九日の御筆先を見れば判然します。 変性女子のやり方について、今日まで誤解して居たといふ意味を書いて居られる。その未成品の御筆先しかも変性女子みづから取捨按配した神諭を見て、かれこれ批評するのは、批評する人が根本の緯緯を知らないからの誤りであります。私はもはや止むに止まれない場合に立到つたので、露骨に事実を告白しておきます。要するに教祖は、明治二十五年より大正五年まで前後二十五年間、未見真実の境遇にありて神務に奉仕し、神政成就の基本的神業の先駆を勤められたのである。女子は入道は明治三十一年であるが、未見真実の神業は、同三十三年まで全二ケ年間で、その後は見真実の神業である。霊的に言ふならば教祖よりも十八年魁けて、見真実の境域に進ンでゐたのは、お筆先の直筆を熟読さるれば判りませう。 三千年と五十一年、三四月、八九月、正月三日、三月三日、五月五日なぞの数字に囚はれてゐた、いはゆる○○派、○○派の説明に誤られてはならぬ。五十一年の五は、厳の意味であり、十は火水[※「火水」は御校正本にルビなし]、または神の意、一年は始めの年の意味である。要するに三千年(無限の年数)の間の、大神の御艱苦が出現して、神徳の発揮さるる最初の年が、明治二十五年正月からと云ふ意義である。九月八日の九はツクシであり、月はミロクであり、八は開く、日は輝くの意味で、梅で開いて松で治めるといふ意義である。九月とは松で治める意義、八日とは梅で開く意義である。また正月三日の正は、一と止と合した意味であり、月は月光、三は瑞または栄え、日は輝くことで、神徳の完全に発揮されることを、正月三日といふのである。故に神諭の解釈は容易にできない。また筆先と神諭の区別も弁へて読ンで貰はねばなりませぬ。 この霊界物語も、人智を以て判断することは出来ませぬ。たとへ編輯人、筆録者の解説といへども、肯定しては成りませぬ。ただ単に文句のまま、素直に読むのが、第一安全でありますから、一寸書加へておきます。 大正十一年瑞月祥日 於瑞祥閣王仁識 |
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霊界物語 | 16_卯_丹波物語1 大江山/冠島沓島/丹波村 | 総説歌 | 総説歌 廿五年の時つ風待ちに待つたる三月三日 梅は散れども桃李の花香も馥郁と天地の 神の集まる園の内物は言はねどおのづから 小径をなして集ひ来る民は豊に豊国姫の 貴の命の分霊瑞の御魂の開け口 深き恵は大八洲彦神の司の遠近に 輝き亘る三五の月の教は五六七殿 神代を明かす物語清く伝へて末の世の 鑑となさむ礎を修理固成し瑞霊 厳の霊を経となし緯機織りなす瑞月が 過去と未来と現在に亘りて述ぶる言の葉も 栄ゆる天の橋立や文珠の智慧の神心 身は虚空蔵の空に置き妙音菩薩、最勝妙如来 三十三相の観世音大日如来と現はれし 日の出神の御活動木の花四方に咲耶姫 松の神世の開くまで深き経綸は弥仙山 曲津の荒ぶ世の中に心を配り気を配り 此世を渡す地蔵尊神も悪魔も助け行く 大慈大悲の弥勒神現はれ出でて治す世は 亀の齢の瑞祥閣御空に高く舞鶴の 神代の幸を冠島畏き御代に大島や 人に踏まるる沓島の小島の果に至る迄 あら有難や荒波に漂ふ世人を助けむと 綾の高天原に現はれて教を流す和知の川 金竜銀竜舞ひ遊ぶ綾と錦の錦水亭 言霊閣は大空に雲を圧して聳ゆれど 暗に迷へる人の目は神の光も三重の塔 梅さく苑や常磐木の小松茂れる竜宮館 春の嵐に吹かれつつ教御祖を祀りたる 珍の御舎ふしをがみ身を横たへて神霊の 厳しき鞭に打たれつつ横に立てりて述べてゆく 神素盞嗚の大神が生ませ給ひし八柱の 心優しき乙女子がメソポタミヤの楽園を 後に眺めて四方の国父の尊の遭難を 風の便りに聞きしより豊葦原の八洲国 西や東や北南国の八十国八十の島 隈なく尋来て大神に廻り会はむと御跡を 慕ふ心の矢も楯も堪りかねてぞ種々に 姿をやつし出で給ふ悲しき神代の経緯を 三月三日に因みたる瑞の御魂の和魂 畏き御代に大八洲彦神の司の神実を 高天原に神集ふ教司や信徒が 赤き心の花開く神の都の五六七殿 斎き祀りて演芸の守りの神と斎ひつつ 誠一つの教子は神と君とに二心 吾あらめやと仕へ行く三四の栄は五までも 六び栄えよ七の国神徳かをる大八洲 九つ花の咲き出でて常夜の闇を照らし行く 十曜の神紋きらきらと輝く棟を眺めつつ 玉の御柱つき固め栄ゆる御代を松村や(松村仙造) 御国の先祖(仙造)と現れませる国常立の大神の 教を開き北村や隆々光る神の教(北村隆光) 外山の霞かきわけて豊二昇る朝日影(外山豊二) 山の尾の上を照らしつつ百花千花は馥郁と(山上郁太郎) 輝き渡り澄みわたり薫るもゆかし教の花 遠つ(藤津)神代の昔より幾億年の末迄も(藤津久子) 見きはめ尽す久方の神の御言をいや加藤(加藤明月) 項に受けて説き明かす三五の月の数みちて 四四十六の菊の巻九月八日の神界の 錦の機の糸口を結ぶも嬉し道の友 栄五六七の末迄も堅磐常磐に宣り伝ふ 口の車や筆の梶果しもあらず進み行く 今日の生日ぞ芽出たけれあゝ惟神々々 霊幸倍坐世よ。 (大正一一・四・五旧三・九松村真澄録) |
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霊界物語 | 16_卯_丹波物語1 大江山/冠島沓島/丹波村 | 04 夢か現か | 第四章夢か現か〔五九四〕 亀彦は二人の門番を、靴に穿いたやうな心持で、本宅の入口迄やつて来た。門口の騒がしさに中より戸を引き開けて現はれし二人の女、 二人『ヤア貴方は亀彦さま』 亀彦『ヨウ、お二人様、不思議な処でお目に掛りました』 英子姫『亀彦さま、貴方何を足に引つかけてゐらつしやるの』 亀彦『ヤア、何でも御座らぬ、糞から生いた銀蠅が一匹と糞亀が一匹、足に喰ひつきました、鰌の生でもあつたら一つやつて下さいナ、アハヽヽヽ』 二女『ホヽヽヽ』 銀、加米『チエツ、人を馬鹿にして居やがる、此銀公司を捉へて銀蠅だの、加米を糞亀だのと虫の好い事を云やがるワイ。これや亀の奴、今に、一寸の虫でも五分の魂だ、むしかへしをやつてやるから、其覚悟で居たらよからうぞ』 亀彦は、右の足を中天に向つてピンと跳る途端に、銀公は七八間プリンプリンプリンと中天に舞ひ上り、表門の自分の室の前に行儀よく落ちたまま、チヨコナンと坐つて居る。亀彦は又も左の足をピンと跳ると、加米公は中空を毬の如く舞ひながら再び自分の門番小屋にチヨコナンと坐つて居る。 銀公『アヽヽヽ、淋しい事だ、偉い奴が来よつて、俺を中天に蹴り上げよつたと思つたら、何んだ夢を見て居たのか、それにしても怪体な夢を見たもんだワイ』 加米公『ヤヤ銀公、貴様も夢を見たのか、俺も其通りだ。亀と云ふ奴が来よつて、俺を足の先で中天に蹴りよつたと思つたら、俺も矢張り夢だつた。アヽコンナ夢を見るやうでは、碌な事はない哩、獏に喰はせ獏に喰はせ、茫々漠々として夢の如しだアハヽヽ』 此時門前に声あつて、 女『モシモシ門番様、妾は漂泊の旅の女、何卒お慈悲に此門開いて下さいませ。悪神に取巻かれ、命からがら此処迄逃げて参りました』 門番(銀公または加米公)『ヤア聞き慣れぬ女の声』 と云ひながら門をサラリと開けば、二人は丁寧に目礼しながら、奥を目蒐けて足早に進み往く。 銀公『オイ加米公、夢に見た通りの二人の美人がやつて来よつた。夢と云ふものは馬鹿にならぬなア』 加米公『ヨー其夢なら俺も見たのだ。夢に見た美人と些とも違はぬ瓜二つだ、併しながら、斯う夢が当るとすれば、今度目に出て来る亀彦と云ふ強い奴は、それこそ大変だぞ、柔なしく下に出て無事に門を通すに限るぞ』 銀公『オヽさうだ、相手にならぬやうに柔しく開けてやらうかい』 斯かる所へ門前に聞ゆる男の声、門をポンポンと叩いて、 亀彦『モシモシ、私は旅の男亀彦と申します、お邪魔で有りませうが、此門を何うか開けて下さいますまいか』 加米公『それそれ夢が本当になつて来たぞ、加米さんがよい相方だ』 と又もや門をサラリと開き、 加米公『これはこれはようこそお出で下さいました。サアずつと奥へお通り下さい、どうぞ中天へ放り上げる事だけは、オツト、ドツコイこれは夢で御座いました、早く柔しく暴れずにお入りなさいませ』 亀彦『私は決して乱暴な事は致しませぬ、御安心下さいませ』 と奥を目蒐けて悠々と進み入る。 由良の港の人子の司秋山彦の門前を サツと開かせ入り来る暗夜もはれて英子姫 四方の景色も悦子姫小春の朝日を身にうけて 冬の初と云ひながらまだ温かき破風口に 猫の眠て居る長閑さよ夜昼不寝身の門番も 主には尽す忠勤振中門サラリと引き開けて 何の躊躇も荒男門番役に送られて 玄関口にさしかかり頼も頼もと訪へば あいと応へて二人の女襖押しあけ出で来る アツと見合す顔と顔オヽ亀彦か姫様か 思はぬ所で遇ひました魔神の様子は如何にぞと 問はむとせしが待て暫し心許せぬ此館 如何なる魔神の潜むやら隙行く駒のいつしかに 漏れてはならぬ壁に耳父の便りを菊月の 九月八日の今朝の秋目と目に物を云はせつつ 二人の女は静々と奥の間さして入りにける 後にしよんぼり亀彦は両手を組みて思案顔 あゝ訝かしや訝かしや様子ありげの此館 英子の姫の御眼つき只事ならぬ気配なり 戸を押し明けて踏み込もか待て待て暫し待て暫し 大事の前の一小事もしも仕損じた其時は 長の苦労も水の泡遇はぬは遇ふに弥まさる 例も数多ある月日暫しは此処に佇みて 家の内外の様子をば事細やかに探らむと 直日に見直し聞直し思ひ直すぞ雄々しけれ。 玄関に佇みし亀彦は、さし上る朝日に向つて合掌し、何事か沁々と暗祈黙祷を続けて居る。此時玄関の襖を颯と開いて現はれ出でたる二人の娘は、亀彦に向つて丁寧に会釈し、 二人の娘『これはこれは遠方のお客様、奥へ案内致しませう、サアこうお出でなさいませ』 と廊下を指して、ニコニコしながら先に立つて進み入る。 亀彦は、 亀彦『ヤア有難い有難い、一つ違へば門前払ひの憂目に遇ふ所だつた。アヽ世間に鬼はない、此処には広いお庭がある。鬼は外々福は内、家の様子は何処となく物床しげに、一弦の琴の音さへも聞えて居る。あの声は確に英子姫の御手すさび、此家は自と平和な風も福の神、上下揃うて睦まじく月日を送る其様子、もしや此家に、吾が慕ふ神素盞嗚の大神の隠れ在すには非ざるか、神ならぬ身の心にも、物穏かな内外の空気』 と独り言ちつつ娘の後に従ひて、長き廊下を伝ひ行く。 此家の主人と見えて、人品骨柄卑しからぬ、五十前後の男、服装正しく衣紋繕ひ出で迎へ、 秋山彦『これはこれは噂に聞き及ぶ三五教の宣伝使亀彦様、よくも入らせられました。私は此郷の人子の司、秋山彦と申すもの、サアサア遠慮なくズツと大奥へお通り下さいませ、御案内致しませう』 と先に立つて進み往く。亀彦は不審の首を傾けながら、前後左右に目を配り、心を注ぎ、 亀彦『ヤア、嫌らしき程の鄭重なもてなしだ。愚図々々して居ると抱き落しにかけられて、醜の窟のやうに陥穽にでも落されるのではあるまいか。否々人を疑ふは罪の最も大なるもの、心に曇りあれば人を疑ふとやら、アヽ恥かしい、未だ副守護神の奴、身体の一部に割拠して猜疑心の矢を放ち猛威を逞しうせむと計画して居るらしい、恐るべきは心の内の敵だ』 と思はず大声を出した。 秋山彦は此声を聞いて後振り返り、 秋山彦『これはこれは亀彦様、貴方は今敵だと仰せられましたが、決して敵では御座いませぬ、御心配なくお通り下さい』 亀彦『イヤ誠に済みませぬ、吾々の心中に潜む副守の奴が囁いたのです、心の鬼が身を責るとやら、いやもう神ならぬ身の吾々人間は、宣伝使と云ふ立派なレツテルは貼つて居りますが、実にお恥かしい代物です』 と歩み歩み語り居る。 秋山彦『サアこれが大奥の間で御座います、貴方にお会はせ申度き御方も御座いますれば、何卒お入り下さいませ』 と腰を屈め、淑やかに襖を押しあけ案内する。亀彦は不審の雲に包まれながら進み入り、上座を見れば、こは如何に、正面の高座には、神素盞嗚の大神、厳然として控へさせたまひ、少しく下がつて国武彦、右側には英子姫、ズツと下がつて悦子姫、此家の妻と見えて四十歳許りの麗しき女、行儀よく控へ居る。亀彦は一目見るより打ち驚き、 亀彦『ヤア貴神は尊様』 と一言云つたきり後は涙にかき曇り、袖に顔をば覆ひつつ暫しが間は平伏沈黙を持続し居たりける。四十許りの女は亀彦の頭を上ぐるを待ちかねたやうな調子で、 紅葉姫『これはこれは亀彦様とやら、よく来て下さいました。妾は秋山彦の妻紅葉姫と申す者、御存じの通り不便の土地、お構ひも出来ませぬが、どうぞ、ゆるりと御逗留下さいませ』 亀彦『これはこれは痛み入つたる御挨拶、何分宜敷くお願ひ致します。ヤア貴神は尊様で御座いましたか、好うまア無事で居て下さいました。嬉しう存じます』 素尊『其方は亀彦なりしか、無事で先づ目出度い。英子姫が途中に於ていかいお世話になつたさうだナア』 亀彦『どう致しまして』 英子姫『亀彦さま貴方も無事でお目出度う、妾は今の今迄お案じ申て居りました、安心安心』 と喜ぶ折しも、門外俄に騒がしく数多の人声、秋山彦は慌しく入り来り、 秋山彦『アヽ皆様、お静かにして下さいませ、表は私が引受けます、一寸した事が起つて来ました』 素尊『アハヽヽヽ、其方好きに取計らへ』 亀彦『秋山彦殿、事が起つたとは鬼雲彦の襲来したのでせう、何卒私も連れて行つて下さい、ヤア面白い面白い、日頃鍛へし言霊の力を試すは今此時』 と先に立つて行かむとす。国武彦は初めて口を開き、 国武彦『ヤア亀彦暫く待たれよ、尊の御許しあるまでは、一寸も此場を動く事罷りなりませぬぞ』 亀彦右の手にて頭を掻きながら、 亀彦『ヘエヘエヘヽヽヽヘイ、シシ仕方がありませぬ、ハイ、鳴るは鳴るは此腕が、ウンウンと云つて仕方が無いワイ』 一同『アハヽヽヽ、オホヽヽヽ』 (大正一一・四・五旧三・九加藤明子録) |
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霊界物語 | 22_酉_鷹鳥山の鷹鳥姫 | 総説 | 総説 天の下に生きとし生ける万物の中にありて、最も身魂の勝れたる人間には、天より上中下三段の御霊を授けて、各自の御霊相応に世界経綸の神業を負はしめ給ひ、天国の状態を地上に移してそれぞれ身魂の階級を立別けられてあるけれども、今の世は身魂の位置顛倒して霊肉一致の大道破れ、八頭八尾の邪霊や金毛九尾の悪狐の霊や邪鬼の霊魂なぞ人類の精神を誑惑し、終には地上の世界を体主霊従、弱肉強食の暗黒界と化せしめたるため、今の世界の惨状である。是だけ混乱した社会を何とも思はぬやうに成つたのも、地上の人類が皆邪神の霊魂に感染し切つて居るからである。 天下経綸の神業に奉仕すべき人類の御魂が全然脱退て了ひ、九分九厘まで獣畜の心に堕落して世界は上げも下しも成らぬやうになり、彼方の大空より此方の空へ電火のひらめくが如き急変事の突発せずとも断定しがたい。世界の人類は一日も早く眼を覚し、誠一つの麻柱の道によりて霊魂を研き、神心に立帰らねばならぬ。 真心とは天地の先祖の大神の大精神に合致したる清浄心である。至仁至愛にして万事に心を配り意を注ぎ、善事に遭ふも凶事に遇ふも、大山の泰然として動かざるが如く、微躯つかず、焦慮らず、物質欲に淡白く、心神を安静に保ち、何事も天意を以て本となし、人と争はず能く耐へ忍び、宇宙万有一切を我身魂の所有となし、春夏秋冬、昼夜風雨雷電霜雪、何れも言霊の御稜威に服従するまでに到らば、始めて神心を発揚し得たのである。又小三災の饑病戦、大三災の風水火に攻められ、如何なる艱苦の淵に沈む時ありとも介意せず、幸運に向ふも油断せず、生死一如と心得、生死に対しては昼夜の往来を見るが如く、世事一切を神明の御心に任せ、好みなく憎みなく、義を見ては進み、利を見て心を悩まさず、心魂常に安静にして人事を見る事、流水の如く天地の自然を楽しみ、小我を棄て大我に合し、才智に頼らず、天の時に応じ、神意に随ひ、天下公共の為に舎身の活動を為し、万難に撓まず屈せず、善を思ひ、善を言ひ、善を行ひ、奇魂の真智を照らして大人の行ひを備へ、物を以て物を見極め、他人の自己に等しからむことを欲せず、心中常に蒼空の如く、海洋の如く二六時中意思内にのみ向ひ、自己の独り知る所を慎み、その力量才覚を人に知られむことを望まず、天地の大道に従つて世に処し、善言美辞を用ゐ、光風霽月少しの遅滞なく神明の代表者たる品位を保ち、自然にして世界を輝かし、心神虚しくして一点の私心なき時は、その胸中に永遠無窮の神国あり、至善至美至真の行動を励み、善者又は老者を友とし、之を尊み敬まひ、悪人愚者劣者を憐み、精神上に将又物質上に恵み救ひ、富貴を羨まず貧賤を厭はず侮らず、天分に安んじ社会のために焦慮して最善を竭し、富貴に処しては神国のために心魂を傾け、貧に処しては簡易なる生活に感謝し、我欲貪欲心を戒め、他を害せず傷つけず、失敗来るも自暴自棄せず、天命を楽しみ、人たるの天職を尽し、自己の生業を励み、天下修斎の大神業に参加する時と雖も、頭脳を冷静に治めて周章ず騒がず、心魂洋々として大海の如く、天の空しうして百鳥の飛翔するに任せ、海の広大にして魚族の遊踊するに任すが如く不動にして、寛仁大度の精神を養ひ、神政成就の神業を輔佐し、仮令善事と見るも神界の律法に照合して悪ければ断じて之を為さず、天意に従つて一々最善の行動を採り、昆虫と雖も妄りに傷害せず、至仁至愛の真情を以て万有を守る。又乱世に乗じて野望を起さず、至公至平の精神を持するの人格具はりたる時は、即ち神人にしてその心魂は即ち真心であり神心である。 利害得失のために精神を左右にし、暗黒の淵に沈み良心を傷め、些少の事変に際して狼狽し、忽ち顔色を変へ、体主霊従、利己主義を専らとするものは、小人の魔心より来るのである。内心頑空妄慮にして、小事に心身を傷り乍ら表面を飾り、人の前に剛胆らしく、殊勝らしく見せむとするは、小人の好んで行ふ所である。霊界を無視し万世生き通し生死往来の神理を知らず、現世の外に神界幽界の儼存せる事を弁へず、故に神明を畏れず、祖先を拝せず、単に物質上の欲望に駆られて、天下国家のために身命を捧ぐる真人を罵り嘲り、死を恐れ肉体欲に耽り、肝腎の天より使命を受けたる神の生宮たることを忘却する小人数多現はれ来る時は、世界は日に月に災害と悪事続発し、天下益々混乱し、薄志弱行の徒のみとなり天命を畏れず、誠を忘れ利欲に走り、義を弁へず富貴を羨み嫉み、貧賤を侮り己より勝れたる人を見れば、従つて学び且つ教へらるることを為さず、却つて之を譏り嘲り己れの足らざる点を補ふことを為さず、善にもあれ悪にもあれ、己を賞め己に随従するものを親友となし、遂に一身上の災禍を招き、忽ち怨恨の炎を燃やすもの、是魔心の結実である。執着心強くして解脱し能はず、自ら地獄道を造り出し邪気を生み、自ら苦しむもの天下に充満し、阿鼻叫喚の惨状を露出する社会の惨状を見たまひて至仁至愛の大神は坐視するに耐へず、娑婆即寂光土の真諦を説き、人生をして意義あらしめむとの大慈悲心より、胎蔵せし苦集滅道を説き、道法礼節を開示したまひたるは、此の物語であります。非は理に克たず、理は法に克たず、法は権に克たず、権は天に克たず、天定まつて人を制するてふ真諦を、神のまにまに二十二巻まで口述し了りました。神諭に曰ふ、 『三月三日、五月五日は変性女子に取りて結構な日柄である云々』 と、いよいよ大正十年九月八日に神命降り十日間の斎戒沐浴を了つて、同十八日より口述を始め、大正十一年壬戌の旧三月三日迄に五六七の神に因みたる五百六十七章を述べ了へ、続いて五月五日までに瑞月王仁に因みたる七百十二章を惟神的に述べ了りたるも、又神界の御経綸の毫も違算なきに驚歎する次第であります。本年五十二歳の瑞月が、本書を口述し始むるや、パリサイ人の批難攻撃相当に現はれ、随分編輯者以下筆録者も甚だしく苦しまれたのですが、神助の下に辛ふじて本巻まで口述筆記を終り、神竜の片鱗を爰に開示し得たるを、大教祖の神霊に謹んで感謝し奉り、外山豊二を始め加藤女史、松村真澄、谷村真友、近藤貞二、谷口雅治[※「雅治」は底本通り。正しくは「正治」または「雅春」。]、桜井重雄、北村隆光、山上女史その他本書関係の諸氏が渾身の努力を、茲に謹んで感謝する次第であります。 大正十一年五月二十八日旧五月二日於松雲閣 |
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霊界物語 | 26_丑_麻邇宝珠が錦の宮に奉納 | 02 真心の花(一) | 第二章真心の花(一)〔七六七〕 天火水地結の竜宮の麻邇の玉の無事、秋山彦館に安着せし歓喜と、感謝を兼ねたる荘厳なる祭典は無事終了し、直会の宴は盛に開かれ、いよいよ五個の神宝は聖地を指して賑々しく由良川を遡り送らるる事となつた。それに就ては一同由良の港の川口に出て御禊祓を修し、再び神前に立帰り祭典を行ひ、美はしき神輿を造り、これに納めて聖地へ、水に逆らひ、金銀色の帆に風を孕ませ上る事となつた。 茲に一同は玉の安着を祝する為、各立つて歌をうたひ舞ふ事となつた。先づ第一に秋山彦は立つて、神素盞嗚尊、国武彦命に一礼し、許可をえて、金扇を両手に拡げ、宣伝使服を身に纏ひ、悠々として座敷の中央に歌ひ舞ひ始めた。 秋山彦『年てふ年は多けれど月てふ月は多けれど 生日足日は沢なれど今日は如何なる吉日ぞや 九月八日の秋の空四方の山々紅葉して 錦織りなす佐保姫の機の仕組も目のあたり 綾の高天に宮柱太しり建てて永久に 鎮まりいます国治立の厳の命や豊国姫の 瑞の命の生御魂国武彦や言依別の 貴の命と現はれて裏と表の神界の 仕組も茲に仄見えて天火水地と結びたる 竜宮島の麻邇の玉己が館に入りましぬ あゝ惟神々々御霊幸はへましまして 一度ならずも二度も三つの御霊の神柱 神素盞嗚大神の大御恵のいや深く 吾館にとまりましまして深遠無量の御経綸 心の色は紅葉姫唐紅の大和魂 輝き初めし今日の空あゝ有難し有難し 恵は深き由良の海清き流れの川口に 百の罪咎浄めつつ貴の玉筥いや清く 五つの御玉を納めたる新つの御船に身を任せ 心も涼しき神風に黄金の真帆を掲げつつ 聖地に送る尊さよ三千世界の梅の花 一度に開く常磐木の松の神世も近づきて 海の内外の極みなく瑞の御霊の御恵の 堅磐常磐に照り渡る瑞祥は思ひ知られけり あゝ惟神々々御霊幸はへましまして 波斯の国より遥々と降り来ませる素盞嗚の 瑞の御霊の大御神四尾の山に奥深く 隠れて時を待ち給ふ国武彦の御前に 心の幕も秋山彦の賤の男が真心を こめて祝ぎ奉るあゝ惟神々々 御霊幸はへましませよ』 紅葉姫は又もや立上り、 紅葉姫『月日の駒はいと早く思ひ返せば満三年 辛酉の菊月の八日に吾館に出でましし 神素盞嗚大神の尊き御影を拝してゆ 心も赤き紅葉姫誠の限り身を尽し 仕へ奉りし甲斐ありて天地に充つる喜びは 又もや廻り甲子の九月八日の今日の空 嬉しき便り菊月の薫り床しき此祭典 金剛不壊の如意宝珠古き神代の昔より 波に漂ふ沓島の巌の中に秘めおける 神秘の鍵を預りし秋山彦の表口 黄金の鍵を高姫にまんまと盗み出されて 一同心を焦ちしが漸く島に馳せついて 危き所を発見し高姫さまを伴ひて 吾館に帰り来る折忽ち腹に呑み込みて 雲を霞と逃げられし其古事を思ひ出し 又もや麻邇の此宝珠無事に聖地に御安着 遊ばす迄は村肝の心を配り気をくばり 送らせ給へよ人々よ朝な夕なに高姫が 玉に心を抜かれつつ隙ゆく駒の隙あらば 又もや腹に呑み込みて如何なる事を仕出かすか 計り知られぬ一大事あゝ惟神々々 御霊幸はへましまして神素盞嗚大神が 天地を救ひ助けむと配らせ給ふ真心を よく汲み取りて仕へませ初稚姫や玉能姫 玉治別や其外の百の司の御前に 紅葉の姫が老婆心僅に披瀝し奉る あゝ惟神々々御霊幸はへましませよ』 と歌ひ終り舞ひ納めた。初稚姫は又もや立ちあがつて金扇を拡げ、歌ひ且自ら舞ふ。 初稚姫『遠き神代の其昔日の大神の御水火より 生れ出でませる稚姫君の神の命は天が下 四方の国々安国といと平けく治めむと 心を尽し身を尽し神の御業に朝夕に 仕へ給ひし折もあれ八十の曲津の醜魂に 取り挫がれて妹と背の道を誤り大神の 御教に触れて底の国身魂を隠し給ひつつ 天より高く咲く花も地獄の釜のこげ起し 百の悩みを身に受けていよいよ心を立直し 時を待ちつつ時置師の神の化身の杢助が 妻のお杉が腹を借り初稚姫と現はれて 国武彦と現れませる国治立大神の 尊き神業に仕へむと心を配る幼年の 年端も行かぬ身ながらも言依別命より 尊き神業命ぜられ三千世界の神宝 金剛不壊の如意宝珠千代に八千代に永久に 動かぬ松の幹の根に隠し奉りて開け渡る 天の岩戸も五六七の世開かむ為の御経綸 深き心を白浪の高姫司や黒姫が 玉の在処を探らむと現界幽界の瀬戸の海 太平洋の荒浪を乗り越え乗り越え竜宮の 一つの島に上陸し隠せし場所を探らむと 焦ち給ふぞ悲しけれ玉治別や玉能姫 神の司と諸共に高姫さまを気遣ひて 荒浪猛る海原を見えつ隠れつ漕ぎ渡り 御身の上を守りつつ妾も同じ竜宮の 一つの島へ上陸し人跡絶えし荒野原 山を踏み越え谷渉り黄金の波を湛へたる 玉依姫の隠れ場所諏訪の湖水に辿り着き 神の御旨をあななひて三五教の御教を 彼方此方と布き拡め弘め終つて八咫烏 黄金の翼に乗せられて朝日輝き夕日照る 竜の宮居にいまします玉依姫命より 天火水地を統べ結ぶ紫色の麻邇の玉 無言の儘に拝受して梅子の姫の御前に 捧げ奉りし嬉しさよ仰げば高し天の原 雲霧分けて自転倒島の秀妻の国の中心地 外の囲ひと聞えたる由良の港の人子の司 秋山彦が御館降り来りし嬉しさよ あゝ惟神々々御霊幸はへましまして 十曜の紋の十人連れ空前絶後の神業に 仕へ奉りし嬉しさを吾等一人の物とせず 高姫司や黒姫の神の使の御前に 此喜びをかき分けて手を携へて天地の 尊き道に仕へなば三五教の大空は 月日も清く明かに厳と瑞との神界の 機織り上げて綾錦輝く宮に永久に 仕へて互に歓ぎつつ教の栄えを見るならむ あゝ惟神々々御霊幸はへましまして 初稚姫が真心をうまらにつばらに聞し召せ 神素盞嗚大御神国治立大神の 分の御霊の御前に畏み畏み願ぎまつる 畏み畏み祈ぎまつる』 梅子姫は立上り歌ひ舞ひ始めた。 梅子姫『父大神の神言もて顕恩城に現れませる バラモン教の神司鬼雲彦や其外の 捻け曲れる人々を誠の神の大道に 言向け和す神業に八人乙女は身をやつし エデンの河を打渡り種々雑多と気を配り あらむ限りのベストをば尽せし事も水の泡 太玉命の神司顕恩城を主宰して 教を開き給ひつつ吾等姉妹各自は 顕恩城を後にして彼方此方と三五の 道を伝ふる折柄にバラモン教の醜人に 情容赦も荒浪の寄る辺渚の捨小舟 波に漂ひ竜宮の宝の島に上陸し 小糸の姫を守立てて五十子の姫や今子姫 宇豆姫伴ひ地恩郷光を隠し黄竜姫の 貴の命を表とし影身に添ひて大神の 尊き御教を説き示し心配りし甲斐ありて 身魂も清き小糸姫バラモン教の醜道を 弊履の如く脱ぎ棄てて誠の道に服従ひし 其嬉しさは如何ばかり高山彦や黒姫も 心を尽し身を尽し三五教の御教に 尽し給へど村肝の心にかかる執着の 雲晴れやらず黄金の玉の在処に魂抜かれ 教の道を外にして朝な夕なに気を焦つ 其御心の憐れさよ時しもあれや三五の 神の教の宣伝使初稚姫や玉能姫 玉治別と諸共に浪路を分けて来ります 神の柱の高姫が地恩の城に来りまし 高山彦や黒姫を密かに誘ひ一つ島 後に見棄てて波の上南洋諸島を隈もなく 探し索めて瀬戸海の淡路の島の司神 東助館に出でまして玉の在処を疑ひつ 再度山の山麓に国依別を訪ねつつ 執着心はまだ晴れず彼方此方と彷徨ひて 玉の在処を索めますその御心ぞ可憐らしき 地恩の城を後にして黄竜姫や蜈蚣姫 テールス姫や友彦を伴ひ山の尾打渉り 深き谷間を潜り抜けネルソン山を後にして ジヤンナの郷やイールの郷玉野ケ原を踏み越えて 金砂銀砂の輝きし諏訪の湖水の手前まで 漸う進む折柄に紺青の波を湛へたる 波上を駆る金銀の八咫烏やアンボリー 取りつく島もなき折に黄竜姫を先頭に 初めて悟る神の道心の空は忽ちに 転迷開悟の花咲きて朱欄碧瓦の竜宮城 玉依姫の御館奥の一間に参入し 一行五人の五つ身魂初稚姫の一行と ものをも言はずしづしづと玉依姫の御前に 月の形の座を占めて月光輝く麻邇の玉 心も色も紫の色映え渡る初稚姫の 貴の命はしとやかに吾手に渡し給ひけり 初稚姫の真心は雪より清く紅葉の 色にも優る御姿妾は忽ち感じ入り 無言の儘に受取りて黄金の翼を拡げたる 八咫烏に助けられ漸くここに着きにけり あゝ惟神々々神の御心汲み取りて 三五教に仕へたる神の司の高姫や 高山彦や黒姫や竜国別や鷹依姫の 貴の命と諸共に玉依姫の賜はりし 麻邇の宝珠の神業に仕へまほしき吾願ひ うまらにつばらに聞し召せ三五教を守ります 国治立大御神豊国姫大神の 御前に畏み願ぎまつるあゝ惟神々々 御霊幸はへましませよ』 と歌ひ終り、悠々として吾席に帰り給うた。 (大正一一・七・一七旧閏五・二三松村真澄録) |
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霊界物語 | 26_丑_麻邇宝珠が錦の宮に奉納 | 06 大神宣 | 第六章大神宣〔七七一〕 素盞嗚尊は儼然として立上り、荘重なる口調を以て歌はせ給うた。 素尊『豊葦原の国中に八岐大蛇や醜狐 曲鬼共のはびこりて山の尾の上や川の瀬を 醜の魔風に汚しつつ天の下なる民草を 苦め悩ます此惨状を見るに見兼ねて瑞御魂 神素盞嗚と現はれて八十の猛の神司 八人乙女や貴の子を四方に遣はし三五の 神の教を宣べ伝へ山川草木鳥獣 虫族までも言霊の清き御水火に助けむと ウブスナ山の斎苑館後に残して八洲国 彷徨ふ折りしも自転倒の大和島根の中心地 綾の高天の聖域に此世の根元と現れませる 国治立大神の国武彦と世を忍び 隠れいますぞ尊けれ此世を救ふ厳御霊 瑞の御霊と相並び天地の神に三五の 教を開き天が下四方の木草に至る迄 安息と生命を永久に賜はむ為に朝夕を 心配らせ給ひつつ三つの御玉の神宝 高天原に永久に鎮まりまして又もはや 現はれ給ふ麻邇の玉五づの御玉と照り映えて 三五の月の影清く埴安彦や埴安姫の 神の命と現れませる神の御霊も今茲に いよいよ清く玉照彦の貴の命や玉照姫の 貴の命の御前に納まる世とはなりにけり 瑞の御霊と現れませる三五教の神司 言霊幸はふ言依別の神の命は皇神の 錦の機の経綸を心の底に秘めおきて 松の神世の来る迄浮きつ沈みつ世を忍び 深遠微妙の神策を堅磐常磐にたてませよ 神素盞嗚の我が身魂八洲の国に蟠まる 八岐大蛇を言向けて高天原を治しめす 天照します大神の御許に到り復命 仕へまつらむそれ迄は蠑螈蚯蚓と身を潜め 木の葉の下をかいくぐり花咲く春を待ちつつも 完全に委曲に松の世の尊き仕組を成し遂げむ 国武彦大神よ汝が命も今暫し 深山の奥の時鳥姿隠して長年の 憂目を忍びやがて来む松の神世の神政を 心静かに待たせまし竜宮城より現はれし 五つの麻邇の此玉は綾の聖地に永久に 鎮まりまして桶伏の山に匂へる蓮華台 天火水地と結びたる薫りも高き梅の花 木花姫の生御魂三十三相に身を現じ 世人洽く救はむと流す涙は和知の川 流れ流れて由良の海救ひの船に帆をあげて 尽す誠の一つ島秋山彦の真心や 言依別が犠牲の清き心を永久に 五六七の神世の礎と神の定めし厳御魂 実に尊さの限りなりあゝ惟神々々 御霊幸はへましまして国治立大神の 厳の御霊は今暫し四尾の山の奥深く 国武彦と現はれて草の片葉に身を隠し 錦の宮にあれませる玉照彦や姫神を 表に立てて言依別の神の命を司とし 深遠微妙の神界の仕組の業に仕へませ 朝日は照るとも曇るとも月は盈つとも虧くるとも 仮令大地は沈むとも厳と瑞との此仕組 千代も八千代も永久に変らざらまし天地の 初発し時ゆ定まりし万古不易の真理なり 万古不易の真理なり此世を造りし神直日 心も広き大直日只何事も神直日 大直日にと見直して天地百の神人を 救はむ為の我が聖苦思ひは同じ国治立の 神の尊の御心深くも察し奉る 深くも感謝し奉る』 と歌ひ終り、一同に微笑を与へて、奥の間に姿をかくさせ給うた。 国武彦命は神素盞嗚尊の御後姿を見送り、手を合せ感謝の意を表し、終つて一同の前に立ち、稍悲調を帯びた声音を張り上げ歌ひ給うた。 国武彦『天の下なる国土を汗と涙の滝水に 造り固めて清めたる豊葦原の国の祖 国治立の厳御霊御稜威も高き貴の宮 高天原に現はれて百の神等人草の 守らむ道を宣り伝へ神の祭を詳細に 布き拡めたる元津祖天足の彦や胞場姫の 捻け曲れる身魂より生れ出でたる曲身魂 八岐大蛇や醜狐醜女探女や曲鬼の 怪しの雲に包まれてさも美はしき国土も 汚れ果てたる泥水の溢れ漂ふ世となりぬ 醜の曲霊に憑かれたる常世の彦や常世姫 千五百万の神々の罪や穢を身に負ひて 木花姫の守ります天教山の火口より 身を躍らして荒金の地の底迄身を忍び 根底の国を隈もなくさ迷ひ巡り村肝の 心を尽し身を尽し造り固めて天教の 山の火口に再現し野立の彦と名を変へて 洽く国内を駆け巡り豊国姫の神御霊 野立の姫と現はれてヒマラヤ山を本拠とし 身を忍びつつ四方の国夫婦の水火を合せつつ 世界隈なく検めて再び来る松の世の 其礎を固めむと自転倒島の中心地 綾の高天と聞えたる桶伏山の片ほとり 此世を洗ふ瑞御霊四尾の山に身を忍び 五つの御霊の経綸を仕へまつらむ其為に 日の大神の神言もて天の石座相放れ 下津磐根に降り来て国武彦となりすまし 神素盞嗚大神の御供の神と現はれぬ 此世を思ふ真心の清き思ひは仇ならず 現幽神を照り透す金剛不壊の如意宝珠 黄金の玉や紫の貴の宝は逸早く 自転倒島に集まりて三千世界を統べ守る 其礎はいや固く国常立となりにけり 又もや嬉しき五つ御玉波に漂ふ竜宮の 一つ島なる秘密郷金波漂ふ諏訪の湖 底ひも深く秘めおきし五つの御霊と称へたる 青赤白黄紫の光眩ゆき麻邇の玉 梅子の姫や黄竜姫蜈蚣の姫や友彦や テールス姫の御使に持たせ給ひて遥々と 黄金翼の八咫烏天津御空を輝かし 雲路を別けて自転倒の松生ひ茂る神の島 綾の聖地に程近き恵も深き由良の海 其川口に聳り立つ秋山彦の神館 心の色は綾錦空照り渡る紅葉姫 夫婦の水火も相生の松葉茂れる庭先に 十曜の紋の十人連しづしづ帰り降り来る 其御姿の尊さよいよいよ茲に五つ御玉 国武彦も永久に隠れて此世を守り行く 玉依姫のおくりたる麻邇の宝珠は手に入りぬ あゝ惟神々々時は待たねばならぬもの 時程尊きものはなし此世を造り固めたる 元の誠の祖神も時を得ざれば世に落ちて 苦み深き丹波路の草葉の影に身を凌ぎ 雨の晨や雪の宵尾の上を渡る風にさへ 心を苦しめ身を痛め天地の為に吾力 尽さむ由も泣くばかり胸もはり裂く時鳥 八千八声の血を吐きて時の来るを待つ間に 今日は如何なる吉日ぞや神世の姿甲子の 九月八日の秋の庭御空は高く風は澄み 人の心も涼やかに日本晴れのわが思ひ 瑞と厳との睦び合ひ八洲の国を照らすてふ 三五の月の御教の元を固むる瑞祥は 此世の開けし初よりまだ新玉のあが心 あゝ惟神々々天津御空の若宮に 鎮まりいます日の神の御前に慎み畏みて 国治立の御分霊国武彦の隠れ神 遥に感謝し奉る千座の置戸を身に負ひて 此世を救ふ生神の瑞の御霊と現れませる 神素盞嗚大神の仁慈無限の御心を 喜び敬ひ奉り言依別の神司 此行先の神業に又もや千座の置戸負ひ あれの身魂と諸共に三柱揃ふ三つ身魂 濁り果てたる現世を洗ひ清むる神業に 仕へまつらせ天地の百の神たち人草の 救ひの為に真心を千々に砕きて筑紫潟 深き思ひは竜の海忍び忍びに神業を 仕へまつりて松の世の五六七の神の神政を 心を清め身を浄め指折り数へ待ち暮す あが三柱の神心完全に委曲に聞し召し 天津御空の若宮に堅磐常磐に現れませる 日の大神の御前に重ねて敬ひ願ぎまつる あゝ惟神々々御霊幸はへましませよ』 と歌ひ了り給ひ、一同に軽く目礼し、其儘御姿は白煙となりて其場に消えさせ給うた。一同はハツと驚き、直に拍手し天津祝詞を奏上し、御神慮の尊さを思ひ浮べて、感涙に咽ぶのであつた。 (大正一一・七・一八旧閏五・二四松村真澄録) |
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霊界物語 | 26_丑_麻邇宝珠が錦の宮に奉納 | 12 秋の色 | 第一二章秋の色〔七七七〕 松の神世の礎は目出度く立ちて足曳の 山と山との奥深く紅葉踏み分け鳴く鹿の 声爽かに佐保姫の錦織りなす秋の空 雲井の空もいと高く和知の流は淙々と 言霊鼓打ちながら神世を祝ふ尊さよ 天地開けし始めより金竜銀竜二柱 海月の如く漂へる泥の海原練固め 海と陸とも立別けて山川草木生ましつつ 完全に委曲に現世を開き給ひし国治立の 神の命に引添うて豊国姫大御神 厳と瑞との三五の錦の機を織らせつつ いと安らけく平けく神世を開き給ふ折 エデンの園に現はれし天足の彦や胞場姫の 体主霊従の醜業に魂は乱れて日に月に 弱り果てたる其隙を八岐大蛇や醜狐 曲鬼共が忍び入り常世の国の天地を 曇らせ乱す常世彦常世の姫の二柱 塩長彦を推戴し豊葦原の瑞穂国 醜の魔の手に握らむと心を尽し身を尽し 権謀術数限りなく醜の荒びを不知火の 地上に生れし百神は仁慈無限の大御神 国治立大神の開き給ひし神政に 向つて醜の鉾を向け常世の彦を謀主とし 力限りに攻め来り天地暗澹曲津霊の 荒ぶる世とは成り果てぬ国治立大神は 天津御空の神国の日の若宮に登りまし 大海原に瀰れる醜の雄猛び詳細に 詔らせ給ひて天の下百の罪咎残りなく 償ひ玉ひて天教の山の火口に身を投げて 世人の為めに根の国や底の国まで遍歴し 野立の彦と名を変へて忍び忍びに世の中を 守らせ給ふ尊さよ豊国姫も夫神の 後を慕うて波の上阿波の鳴門の底深く 沈み給ひて根の国や底の国まで到りまし 野立の姫と身を変じ再び地上に現はれて 夫婦の水火を合せつつ仁慈無限の御心に 百の神人救はむと黄金山下に現はれて 埴安彦や埴安姫の瑞の命の御経綸 種々雑多と身を変じ珍の都を後にして 波に浮べる神の島自転倒島の中心地 青山四方に繞らせる下津岩根の霊場に 尊き御姿隠しつつ此世の曲を払はむと 百千万の苦みを忍び給ひて松の世の 安けき神世を待ち給ふ桶伏山の蓮華台 橄欖山になぞらへし四尾の峰の山麓に 国武彦と身を変じ言依別と現はれて 綾の錦の貴機を織らせ給へる時もあれ 青雲山より送り来し黄金の玉を始めとし 国治立大神の沓になります沖の島 秘め置かれたる貴宝金剛不壊の如意宝珠 又もや聖地に現はれて神徳日々に栄え行く 高春山にアルプスの教を楯に籠りたる 鷹依姫が守れりし紫色の宝玉も 神のまにまに集まりて高天原の御宝 霊力体の三つ御霊此処に揃ひて神界の 尊き経綸の開け口天地の神も勇み立ち 百千万の民草も厳の恵みに浴しつつ 神の立てたる三五の教は日々に栄え行く 錦の宮はキラキラと旭に輝く美はしさ 又も竜宮の一つ島諏訪の湖底深く 秘め置かれたる麻邇の玉玉依姫の計らひに 目出度く聖地に納まりて神徳輝く四尾の 峰も黄金の色添ひて機の仕組も明かに 現はれたりと言依別の瑞の命を始めとし 錦の宮に並びたる八尋の殿に集まれる 信徒達も勇み立ち老若男女の別ちなく 綾の聖地に堵列して玉を迎ふる勇ましさ あゝ惟神々々尊き神の御計らひ 麻邇の宝珠は恙なく清く正しき人々に 前後左右を守られて八尋の殿に造られし 宝座にこそは入り給ふかかる例は久方の 天の岩戸の開けてゆ今に至るもあら尊と 世界を治むる神国の瑞兆とこそ知られけり あゝ惟神々々御霊幸はへましませよ。 ○ 錦の宮の神司月日も清く玉照彦の 厳の命や玉照姫の瑞の命は欣々と お玉の方に導かれ八尋の殿に出でまして 梅子の姫や初稚姫の貴の命の一行が 黄金の島より遥々と麻邇の宝珠を奉迎し 聖地に送り来りたる其功績を賞せむと 聖顔殊に麗しく所狭き迄立ち並ぶ 老若男女を掻き分けて一段高き段上に 相並ばして立ち給ふ其神姿の崇高さよ 三つの御玉や五つ御玉其宝玉と相並び 光争ふ玉照彦の伊都の命や玉照姫の 瑞の命の神司お玉の方を差し加へ 愈此処に三つ御魂玉治別や玉能姫 加へて此処に五つ御魂三五の月の神教は 世界隈なく冴え渡り常世の暗を晴らすなる 尊き厳の神業は九月八日の秋の空 澄み渡りたる明かさ手に取る如く思はれぬ あゝ惟神々々御霊幸はへましまして 経と緯との機織の錦の宮の神柱 玉照彦の美はしく玉照姫のいと清き 厳の御霊は天地に輝き渡り紅葉の 赤き心は葦原の瑞穂の国に隈もなく 伊照り渡らす尊さよ二人の玉照神司 送り来れる玉の輿サツと開いて麻邇の玉 深く包める柳筥弥次々に取り出し 言依別の玉の手に渡し給へば謹みて 一々玉筥奥殿に斎かせ給ふ尊さよ 天地の神は勇み立ち百の信徒歓ぎ合ひ 御空は高く風清く人の心は靉々と 平和の女神の如くなり愈此処に納玉の 式も目出度く終了し言依別の神言もて 玉照彦を始めとし麻邇の宝珠に仕へたる 神の司は云ふも更三五教のピユリタンは 老も若きも隔てなく男女の差別なく 皇大神に供へたる珍の神酒御食美味物 山野海河取揃へ心も開く直会の 宴の蓆賑しく此瑞祥を祝ぎて 歓び歌ひ舞ひ踊り聖地の秋は天国の 開き初めたる如くなりあゝ惟神々々 御霊幸はへましまして此歓びは永久に 外へはやらじと勇み立ち金扇銀扇打開き 天の数歌うたひ上げ金蝶銀蝶の春の野に 戯れ狂ふ其状は絵にも描かれぬ景色なり。 由良の港の秋山彦の館より、御船に奉安し迎へ来りし、五個の麻邇宝珠は玉照彦、玉照姫、お玉の方の介添へにて教主に渡し給へば、言依別命は恭しく推戴き、錦の宮の奥殿に一つづつ納め給ふ事となつた。それより神饌に供したる山野河海の美味物を拝戴し、酒肴其他種々の馳走をこしらへ、一同之を頂き十二分の歓喜を尽し、大神の御神徳を讃美しながら、各吾住家に引返すのであつた。 (大正一一・七・一九旧閏五・二五谷村真友録) |
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霊界物語 | 26_丑_麻邇宝珠が錦の宮に奉納 | 14 大変歌 | 第一四章大変歌〔七七九〕 折から吹き来る夜嵐に湖水の面は波高く 島の老木の根本より吹きも倒さむ勢に 神さび建てる神社風にゆられてギクギクと 怪しき音を立て初めぬこれ幸ひと亀彦は 社の扉を打開きそろそろ階段下り来て 玉に魂をばぬかれたる三つ巴の玉奴 身辺近く進み寄り白衣の着物を頭より フワリと被り吹く風に長き袖をばなぶらせつ 声も女神の淑かに宣り出せるぞ面白き 天教山に現はれしわれは木花姫神 その御心を汲みとりて汝等三人の迷人に 玉の在処を説き示すあゝ惟神々々 御霊幸はへましまして三五教やバラモンの どちらか知らぬが宣伝使三人ここに現はれて 憑依もせない天狗の宣示を誠と思ひつめ 長途の旅をエチエチと暗かき分けて波の上 三つの御霊の鎮まれる竹生の島に漕ぎつけて 隠してもない神宝を下らぬ意地に絡まれて 探しに来る愚さよ鼻高姫や村肝の 心の暗の黒姫や頭の光る福禄寿面 揃ひも揃うた大馬鹿の社殿の下の玉探し たとへ百丈掘つたとて金輪奈落その玉は 出て来る気づかひあるまいぞ日の出神や竜宮の 乙姫さまの生宮と威張つて居たが何の態 女神の癖に荒い事吐くと思ふか知らねども 決して女神が云ふでない三人の心に憑りたる 副守の鬼が吐くのだ要らぬ苦労をするよりも 吾身の行ひ省みて玉の詮索思ひ切り 一日も早く大神の誠の道を世の中に 懺悔さらして仕へ行け先に来たのは高姫ぢや 次に出て来た黒姫が言依別の遣はせし 玉掘神と誤解して吾劣らじと暗雲で 指の先まですりむきつオチヨボのやうに砂を掘り いよいよ味噌を摺鉢の糠喜びの砂煙 何時迄お前が掘つたとて隠してないもな出ては来ぬ 高山彦のハズバンド婆さまのお尻をつけ狙ひ 六十面を下げながらようも天狗に欺された あゝ惟神々々訳の解らぬ奴ばかり こんなお方が三五の教の幹部に坐るなら それこそ勿ち聖場は地異天変の大騒動 亀彦ドツコイ亀の背に乗つて波間に浮び来る 木花姫の御心を承はりて現れた 玉の在処を守り居るわしは誠の女神ぞや 三つの玉は神界の御経綸なれば高姫が 何程日の出神ぢやとて現はれ来る筈はない そんな謀反は諦めて一時も早く三五の 綾の聖地に立帰り神に御詫をするがよい 九月八日の秋の空黄金花咲く竜宮の 一つ島なる諏訪の湖玉依姫の御宝 天火水地と結びたる麻邇の宝珠は由良港 秋山彦の庭先に鳩の如くに下りまし 言依別を始めとし梅子の姫や五十子姫 お前の嫌ひな玉能姫初稚姫も諸共に 神輿に乗せて悠々と由良の川瀬を遡り 嬉しき便りを菊の月今日は九日四尾の 山の麓の八尋殿たしかに納まる日なるぞや お前もグヅグヅして居ると後の祭の十日菊 恥の上塗りせにやならぬ生田の森の館から 直様聖地に帰りなば前代未聞の盛典に 首尾よく列して五色の麻邇の宝珠を拝観し 尊き神業の末端に奉仕出来たであらうのに 執着心に煽られて憑依もせない天狗に だまされぬいて遥々と探ねて来る盲神 気の毒なりける次第なりあゝ惟神々々 それが叶はぬと思ふなら一時も早く立帰れ 玉守姫が親切で一寸誠を明し置く そろそろ風も強なつた嵐に吹かれて何時迄も ここに居つては堪らないウントコドツコイ高姫さま ヤツトコドツコイ黒姫さま高山彦の福禄寿さま そんならお暇申しますドツコイシヨのドツコイシヨ ウントコドツコイドツコイシヨヤツトコセーのヨーイヤナ アレはのせーコレはのせーヤツトコドツコイ玉探せ。 と歌ひ了り、暗に紛れてクツクツ噴出しながら英子姫の館を指して帰り行く。 ○ ここに三人の玉探し汗をタラタラ流しつつ 無言のままで一心に側目もふらず土掘りの 真最中に亀彦が俄に女神の作り声 高姫、黒姫、高山彦の福禄寿頭の三人と 図星を指されて高姫はハツと驚き立上り よくよく見れば黒姫や高山彦の二人連れ アヽ残念や口惜しや国依別の極道奴 日の出神や高姫や竜宮さまの生宮を マンマとよくも騙したな馬鹿にするのも程がある 十里二十里三十里痛い足をば引ずつて いよいよ今度は如意宝珠その外二つの宝をも うまく手に入れ年来の願望成就と思ひきや 又だまされて玉探しわしより若い奴輩に 馬鹿にしられて口惜しい黒姫さまもこれからは チツとしつかりするがよい高山彦も余りぢや 朝から晩までニヤニヤと黒姫さまの面計り 眺めて居るからこんな事流石に尊い竜宮の 乙姫さまも腹を立て遠くの昔に魂ぬけの あとは盲の守護神今までお前を生宮と 思うて居たのが情無い思へば思へば腹が立つ それぢやに依つて初から神の誠の御道は 夫婦あつては勤まらぬわしがあれ程言うたのに 馬耳東風と聞き流し肝腎要の竜宮の 乙姫さまにぬけられてその面付は何の事 暗夜でお面は分らねど定めて夜食に外れたる 梟のやうな面付でアフンとしてるに違ひない 私も愛想がつきました何程日の出神ぢやとて こんな分らぬ守護神憑いた御身を伴にして どうして神業が勤まらうチツとは改心なされませ 性懲もなく又しても油揚鳶にさらはれた 高山彦の親爺さま六日の菖蒲十日菊 きくさへ胸が悪くなる再度山の大天狗 身魂の曇つた国公にサツと憑つて世迷言 吐いた言葉を真にうけてここ迄来たのは情無や あゝ惟神々々神の御都合と諦めて これから大きな面をして正々堂々陣を張り 言依別のハイカラに恨みを晴らす逆理屈 御二人しつかりしなされよ神の教を次にして 親爺の事や女房の身の上計り気にかけて 現を吐すと此通りこれこそ神の御戒め これで改心なさつたか思へば思へば馬鹿らしい お前のやうな没分暁漢黄金の玉を盗まれて 在処探ねてはるばると竜宮島に二三年 留まりながら何の態お前の帰つたその後で 初稚姫や玉能姫玉治別や友彦に 又もや麻邇の如意宝珠尊い御用を占領され 天地の神の御前に何うして顔が立ちますか 胸に手を当てつくづくと考へなさるがよからうぞ 何程泣いて悔んでももう斯うなれば是非は無い サアサア皆さま帰りませう一度に開く梅の花 開いて散りて実を結ぶ平助お楢の両人が 腹から生れたお節等に馬鹿にしられて堪らうか 高姫ぢやとて骨があるお前のやうなグニヤグニヤの 蒟蒻腰では無い程に見違ひなさるな高姫が 岩より堅い大和魂日の出神の生宮に お前のやうな盲神何うしてついて来たであろ うまい果実にや虫がつく賢い人には魔が来る お前の忠告真に受けて今迄出て来た高姫も 余り偉そにや言はれねど大将は素より看板ぢや 側に付添ふ副柱こいつに力の無い時は 何程偉い生宮も策を施す余地がない 持つべきものは家来ぢやが持つて困るは馬鹿家来 こんな事なら初からお前を使ふぢや無かつたに 悔みて返らぬ今日の首尾諦めようより仕様が無い あゝ惟神々々御霊幸はへましませよ。 と、流石の高姫も焼糞になつて、黒姫、高山彦に八当りの歌をうたひ、胸の焔を消さむとして居る。 ○ 星の明りに黒姫は高慢強き高姫の 歌を聞くより腹を立て暗をすかして眺むれば 前歯のぬけた膨れ面汗をブルブルかきながら 蟹の様なる泡を吹き眼を怒らして睨み居る 黒姫見るより腹を立てこちらも劣らぬムツと顔 声の色まで尖らして日の出神の生宮と 当てすつぽうな名をとなへ世界が見え透く見え透くと 何時も仰有るその癖にたかの知れたる再度の 山に隠れた野天狗にうまく騙され泡を吹き 何程腹が立つたとて私に当るといふ事は お前さまそれはチト無理ぢや口に税金要らぬとて 業託言ふにも程がある私も女の端くれぢや 日の出神の生宮が高姫さまなら黒姫は 矢張竜宮の乙姫ぢや日の出神と引添うて 竜宮さまの御手伝これで無ければ神界の 経綸は成就せぬぢや無いかあなたは何時も言うただろ その言霊を夢の如ケロリと忘れて黒姫に 熱を吹くとは余りぢや私もチツトは腹が立つ 私丈なら何うなりと悔しい残念堪らうが 二世を契つたハズバンド高山さままで引出して 悪口言ふとは虫がよい神のお道を世の中に 伝へて歩く高姫の仰有る事とは受取れぬ 真の日の出神さまは余り偉い慢神に 愛想をつかして御帰りのあとに曲津が巣をくみて お前の御口を自由にしそんな悪口吐くのだろ 油断も隙も無い御道一寸慢神するや否 八岐の大蛇の醜魂にのり憑られて眼はくらみ 魂は捻けて此の通り国依別や秋彦の 身体に憑つた野天狗にチヨロマカされてはるばると 夜を日についで三十里琵琶の湖までやつて来て 寄辺渚の離れ島隠してもない玉探し お腹が立つのは尤もぢやさはさりながらお前さま 胸に手をあてトツクリと考へなさるが宜しかろ 真の日の出神ならば玉の在処は居ながらに 判然分らにやなるまいに海洋万里の島々を うろつき廻る玉探しそれから可笑しと思て居た 何うしても斯うしても腑に落ちぬ口先ばかり偉さうに 頬桁叩くやくざ神早く帰すがよいわいな これから心改めて三五教の神司 言依別の命令にハイハイハイと箱根山 痩馬追うて登る様に神妙に御用を聞きなされ 私はこれで三五の神の御道は止めまする 聖地へ帰つて人々に何うして面が合はされよう 鉄面皮なる黒姫も今度計りは何うしても 面向け致す術が無い変性男子の筆先に 慢神致すと面の皮引きめくられて家の外 歩けぬやうに成り果てて頭抱へて奥の間に 潜みて居らねばならないと御示しなさつてあるものを 日の出神の生宮を無性矢鱈に振り廻し せつぱつまつた今日の空思へば思へば御気の毒 私は同情いたしますこれから聖地へ立帰り 心の底から改めて今迄とつたる横柄な 態度をすつかり止めにして小猫のやうになりなされ 仁慈無限の神様の尊き試練に遇ひました あゝ惟神々々御霊幸はへましませよ 叶はぬから帰りませう。 ○ 高山彦はムツとして薬鑵頭に湯気を立て ドス声頻りに張りあげて高姫さまよ黒姫よ 日の出神や竜宮の乙姫さまを楯にとり 一丈二尺の褌を締めた男を馬鹿にした 俺は元からお前等の言うとる事が怪しいと 思うて居たがまさかにもこんな馬鹿とは知らなんだ 男の顔に泥を塗り返しのつかぬ恥かかせ 日の出神もあるものか尻が呆れて屁も出でぬ お前の様な年寄を女房に持つのは厭なれど 尊い竜宮の乙姫が肉の宮ぢやと聞いた故 高姫さまの媒介で波斯の国から遥々と 天の鳥船空高く乗つて来たのは馬鹿らしい 白い頭に黒い汁コテコテ塗つて誤魔化して 枯木に花の咲きほこりこんな事だと知つたなら お前と添ふのぢや無かつたに日の出神も竜宮の 乙姫さまも此頃はねつから当にはならないぞ 執着心にそそられて国々島々かけめぐり 玉の在処を探し行く二人の婆の馬鹿加減 俺は愛想が尽きたぞよ国依別や秋彦の 若い男の憑霊に眉毛をよまれてこんな態 どうして聖地へ帰られうか女子供に到る迄 俺の顔見りや馬鹿にするかうなり行くも高姫や 黒姫二人の為す業ぞあゝ惟神々々 玉の詮議は今日限りすつぱり思ひ諦めて 誠心に立帰り三五教の神司 玉照彦や玉照姫の貴の命の神人が 御言畏みよく仕へ必ず自我を出すでない 高山彦が両人に真心こめて気を付ける あゝ惟神々々神のまします此島に 何時迄居つても仕様がない恥をばしのび面被り 兎も角聖地へ立帰り心の底から今迄の 誤解慢神悉く神の御前に御詫して 赤恥さらせばせめてもの罪滅しとなるであろ それが嫌なら高姫も女房の黒姫今日限り 三行半の離縁状すつぱり書いて渡さうか 今迄男を馬鹿にした天罰忽ち報い来て こんな憂目に遇うたのだ改心するのは結構だ 高天原の門開き慢心すると此通り 世間の人に顔向けのならない様な事が来る 今日からサツパり心をば洗ひ直して惟神 うぶの心になるがよいサアサア帰のうサア帰のう 吹き来る風は強くとも高波如何に猛ぶとも 仁慈無限の大神の大御守を力とし 杖と頼みて帰らうぞあゝ惟神々々 御霊幸はへましませよ。 (大正一一・七・一九旧閏五・二五外山豊二録) |
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霊界物語 | 33_申_玉の御用の完了/高姫と黒姫の過去 | 18 神風清 | 第一八章神風清〔九三三〕 秋山彦は東助、玉治別其他一同の集まる広間に現はれ、 秋山彦『皆様、御苦労で御座いました。高姫様初め黒姫、鷹依姫、竜国別の御一行は漸く惟神の御経綸に依り、私の館までお帰り下さいまして、実にこれ位喜ばしい事は御座いませぬ。就いては言依別命様が責任を負うて、聖地をお立退きになりました大事件の根源たる麻邇の宝珠の所在が、高姫様以下御一同の熱誠に依つて、判明致しましたに付いては、軈て近き内に麻邇の宝珠を持つてお帰りになることで御座いませう。皆様はどうぞ、これより聖地に帰り、歓迎の御準備を願ひます。国治立命様、豊国姫命様を初め、神々様の御仁慈は到底吾々の語り尽すべき所では御座いませぬ』 と嬉し涙に湿つた声を張上げて挨拶をするのであつた。東助、玉治別其他の一同は、秋山彦の案に相違の言葉に驚き且つ怪しみ乍ら、高姫以下の此場より何処ともなく消えたるに拍子抜したる面色にて、急ぎ聖地を指して帰り行くのであつた。 聖地の錦の宮の八尋殿には、玉照彦、玉照姫、英子姫は、紫姫と共に数多の幹部を従へ、一行の帰り来るを待ちつつあつた。東助は三人の神司の前に恭しく進み寄り、頭を下げ両手をつかへ、 東助『由良の港の秋山彦の館へ、高姫一行を迎への為参りました所、竹島丸に乗込み、高砂島より一行八人お帰りになりました。それより秋山彦館にお迎へ致し、一夜を明かし、いろいろの款待に預り、無事の帰国を祝して居る際、黒姫もお帰りになり高姫一行四人の方々は麻邇の宝珠の所在が分つたとかで、ソツトどこかへ御出でになりました。就いては近日其玉を得て聖地へお帰りになるから、早く帰つて歓迎の準備をせよとの事で御座いました。何が何だか、私には一向要領を得ませぬが、是非なく此処まで帰つて参りました。如何致せば宜しいので御座いませうか。紫姫様、どうぞあなたより三柱の神司へ宜しく言上を願ひます』 と云つた。紫姫は『ハイ』と答へて高座にのぼり、三柱の前に額づき、東助の言葉を一々言上した。英子姫、玉照彦、玉照姫の三柱の神司はニコニコし乍ら、頭を縦に振つてゐられる。其の様子がどこやらに深き確信あるものの如く見られた。三柱の神司は神前に向ひ、恭しく祝詞を奏上し終つて、一同の神司及び信徒に目礼を施し乍ら館の奥深く忍び入り給うた。 紫姫は東助に向ひ、 紫姫『只今三柱の大神司より承はりますれば、高姫様は明日四人連れにてお帰りのはずで御座いますから、どうぞ歓迎の準備を遊ばして下さいませ』 東助『ハイ委細承知仕りました』 と此場をさがり、歓迎の準備に全力を尽し、高姫の帰るを今や遅しと待ちつつあつた。 明くれば九月八日、高姫、鷹依姫、黒姫、竜国別の四人は嬉々として、麻邇の宝珠を捧じ、錦の宮の八尋殿指して帰り来り、直に神殿の前に進み、各玉を捧持して、無言の儘控へて居る。紫姫は此体を見て、直に三柱の大神司に奉告した。 茲に玉照彦、玉照姫、英子姫、紫姫は礼装を調へ、四人の前に無言の儘現はれ、玉照彦は高姫の手より青色の麻邇の宝珠を受取り、玉照姫は黒姫の手より赤色の宝珠を受取り、英子姫は鷹依姫の手より白色の宝珠を受取り、紫姫は竜国別の手より黄色の麻邇の宝珠を受取り、頭上高く捧げ乍ら悠々として錦の宮の神前に進み、案上に恭しく安置され、再び八尋殿に下り来り、高姫外三人の手を取り、殿内に導き感謝祈願の祝詞を共に奏上し、八人相伴ひて、教主殿の奥の間さして進み入り、互に歓を尽して、無事の帰国と其成功を祝し玉うたのである。 英子姫『皆様、随分御苦労で御座いましたなア。神界の御経綸は到底、人間共の量り知る所で御座いませぬ。只何事も神様の御命令に従ふより外に途は御座いませぬ』 高姫『ハイ、有難う御座います。私も余り神様の御道を大事に思ふ余り、言依別命様の行方を見て、大神様の御経綸を妨害し、再び天の岩戸をとざす悪魔の所為と思ひつめ、いろいろ雑多と誤解を致し妨害のみ致して参りました。今日となつて顧みれば実に恥かしう御座います。私の改心が遅れた計りで、皆様にいろいろの御苦労をかけ騒がしました。言依別の教主様も、私の為に大変な御艱難を遊ばし、実に申訳が御座いませぬ。大化者だとか、体主霊従の身魂だとか、世界悪の映像だとか、いろいろ雑多と云ひふらし、邪魔計り致して来ましたが、顧みれば私こそ悪神の虜となり、知らず識らずに体主霊従の行ひをなし、世界悪の根本を敢てしながら人の事計り喧しく申上げて来ました。私の迂愚迂濶、今更弁解の辞も御座いませぬ。大化者と云ふ事は、決して悪い意味では御座いませなんだ。余り人物が大き過ぎて、吾々の身魂では測量することが出来なかつた為に、訳の分らぬ教主だと思ひ、大化者だと云つて罵つたので御座いました。仁慈の深き、到底吾々凡夫の知る所ではないことを、深く深く身に沁み渡つて感じまして御座います。何程あせつても、身魂の因縁だけの事より出来るものでは御座いませぬ。どうぞ今迄の不都合をお許し下さいまして、身魂相応の御用を仰せ付け下さいますれば、有難う存じます』 英子姫『其お言葉を聞いて、妾も安心致しました。玉照彦様、玉照姫様、さぞお喜びで御座いませう。第一、国治立大神様の御化身国武彦命様、神素盞嗚大神様は貴女の御改心をお聞き遊ばして、さぞ御満足に思召すで御座いませう。貴女の御改心が出来て、身魂の御因縁が御了解になれば、三五教は上下一致して御神業に参加し、五六七神政の基礎が確実に築き上げられる事と喜びに堪へませぬ』 高姫『ハイ、何から何まで、御注意下さいまして有難う存じます』 黒姫『私は最早何にも申上げる事は御座いませぬ。只感謝より外に道は御座いませぬ。どうぞ万事宜しく、今後とても不都合なき様、御注意を願ひます』 鷹依姫『私も高姫様に聖地を追ひ出され、いろいろと艱難苦労を致しまして、一時は高姫様をお恨み申したことさへ御座いましたが、今となつて考へて見ますれば、何事も皆神様の御仕組で、曇つた魂を研いて、神界の御用に立ててやらうとの御取りなしであつたことを、今更の如く感じました。実に申上げ様もなき有難き瑞の御霊の思召し、言依別命様のお心遣ひ、お礼は口では申上げられませぬ』 と嬉し涙にかき暮れる。 竜国別『神恩の高き深き、感謝の外御座いませぬ。何卒万事不束な者、宜しくお願ひ致します』 玉照彦、玉照姫は四人に向ひ鎮魂を施し、悠々として我居間に帰り玉うた。高姫は初めて今迄の我を払拭し、青色の麻邇の宝珠の玉に対する神業に参加することを決意し、金剛不壊の如意宝珠の御用の吾身に添はざることを深く悟ることを得たのである。 ○ 茲に金剛不壊の如意宝珠の御用を勤めたる初稚姫は初めて錦の宮の八尋殿の教主となり、紫色の宝玉の御用に仕へたる玉能姫は生田の森の神館に於て、若彦(後に国玉別と名を賜ふ)と夫婦相並びて、生田の森の神館に仕ふることとなつた。 又黄金の玉の神業に奉仕したる言依別命は少名彦名神の神霊と共に斎苑の館を立出で、アーメニヤに渡り、エルサレムに現はれ、立派なる宮殿を造り、黄金の玉の威徳と琉の玉の威徳とを以て、普く神人を教化し玉ふこととなつた。 又梅子姫は父大神のまします斎苑の館に帰り、紫の麻邇の玉の威徳に依つてフサの国の斎苑館に仕へて神業に参加し、高姫は八尋殿に大神司を初め紫姫の部下となつて神妙に奉仕し、黒姫、鷹依姫、竜国別もそれぞれの身魂だけの神務に奉仕し、神政成就の基礎的活動を励む事となつたのである。 此等の神々の舎身的活動の結果、いよいよ四尾山麓に時節到来して、国常立尊と現はれ、現幽神三界の修理固成を開始し玉ふことを得るに至つたのである。これが即ち大本の教を国祖国常立尊が変性男子の身魂、出口教祖に帰懸し玉ひて神宮本宮の坪の内より現はれ玉うた原因である。又言依別命の舎身的活動に依つて黄金の玉の威霊より変性女子の身魂、高熊山の霊山を基点として現はれ、大本の教を輔助し且つ開くこととなつたのである。あゝ惟神霊幸倍坐世。 (大正一一・八・二九旧七・七松村真澄録) |
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霊界物語 | 54_巳_ビクの国の物語2(後継者問題) | 余白歌 | 余白歌 天恩郷の花 経綸の花の香匂ふ春は来ぬ燃ゆる陽炎殊にうるはし〈序文(初版)〉 新しき御代の開くる心地していそしみ仕ふわが身嬉しも〈総説(初版)〉 万代をことほぎ奉る亀山の下津岩根に立つる礎〈総説(初版)〉 梓弓春立ち初めて信徒の心の園に白梅かをる〈総説(初版)〉 遠寺の鐘の響きも何処となく淋しく聞えぬ天恩の郷〈総説(初版)〉 古の大英雄の住みしてふ城跡に千代の礎固む〈総説(初版)〉 戦ひの激しき暗の世の中の光とならむ三五の月〈総説(初版)〉 言さやぐ醜のものしり多き世にかくれて説かむ救世の御教 (大正十四年二月、於亀岡万寿苑)〈総説(初版)〉 草の葉の露に等しき醜の世は月光にさへ恐れをののく〈第2章(初版)〉 朝日影草葉の露に照り初めてもろくも散らむ高山の雲〈第5章(初版)〉 常世往く暗世を照らす月光を蔽はむとする高山の雲〈第6章(初版)〉 久方の大空わたる三五の月の姿を世人さげしむ〈第6章(初版)〉 風荒び雨しきりなる今の世に雷なくば如何で晴れなむ〈第6章(初版)〉 濁流を逆しまに妨ぐ手力男神の出でずば御世はとこやみ〈第6章(初版)〉 天地を吾ものとして楽しめば心の園に常永の花咲く〈第6章(初版)〉 神の国聖界霊語読みながらあつき一日を今日も送りつ〈第8章(初版)〉 根の国や底の国をば幾度も探険したる吾面白きかな〈第8章(初版)〉 衣は裂け手足は霜に破れつつ御用いそしむ尊き献労〈第8章(初版)〉 身も魂も捧げて高天の聖場を守るは神子のつとめなりけり〈第9章(初版)〉 からやまと月の国まで言霊の光を放つ三五の月〈第11章(初版)〉 天地に唯一つなる神苑に千年の松の一本茂れる〈第11章(初版)〉 蒙古野に一度隠れし月影の再び空にかがやく御代かも〈第11章(初版)〉 花もかをれ蝶も来て舞へと朝夕に望み抱へて待つ人のあり〈第12章(初版)〉 日の国の御空を包む黒雲も何時かは晴れなむ神の稜威に〈第12章(初版)〉 言さやぐ君が御代こそ忌々しけれ山川海の神もなげきて〈第12章(初版)〉 功験録 世以七年人示盛衰果人胆以三年世示進退 世与人関係五年之後心然興新陳代謝要求 諺日十年星霜是一昔有祥慶有変遷有後悔〈第14章(初版)〉 空顕録 大正辛酉九月八日晨沐浴斎戒待神命降下 弥勒神聖忽感応来格宣日爾速説苦集滅道 可開示道法礼節本義瑞月謹発表霊界真相 ○ 文芸講談其他諸雑誌日夜耽読反覆養神気 惜哉其程度為極低級不適進取的男子趣味 回首覩神諭霊界聖語光照赫燿有照暗夜思〈第14章(初版)〉 惟神教かしこみ進み行く誠の道に障る曲なし〈第15章(初版)〉 今は只神の心にまかすのみ人の心の儘にならねば〈第15章(初版)〉 天の下四方の国々和め行く吾が玉の緒の在らむ限りは〈第17章(初版)〉 櫟原きり開きつつ常磐木の千年の小松植ゑて楽しむ〈第18章(初版)〉 限りなき希望に充ちて天恩の郷に静かに時臻る待つ〈第18章(初版)〉 天の下四方の国々乱れ行く様をながめて立つ人もあり〈第20章(初版)〉 地獄にも堕す術なき曲人の醜の叫びの耳を打つかも〈第20章(初版)〉 もろこしも西洋も大和も押並べて靡き伏しなむ神の御旗に〈第21章(初版)〉 何となく心急ぎぬ天地の神の御業に尽す吾が身は〈第21章(初版)〉 ある時は死なましくおもひ或時は活きむと思ふ救世のために〈第21章(初版)〉 天恩郷 幗松森々茂満山神苑清浄無俗塵 祝詞言霊洗乾坤月高風薫亀城跡。 巨石掘出亀城跡献労集来悉信徒 高壁堅三五道場青松繁茂天恩郷。 千歳青松鶴来遊万寿苑内充瑞気 億兆慕集天恩郷神教宣伝大道場。 蒙古帰来無寧日神務多端百事忙 得小閑遊万寿苑畳巨石築天恩城。 乙丑如月九日朝当陽暦三月三天 三時三十三分開鶏鳴明美交子領。〈巻末(初版)〉[この余白歌は八幡書店版霊界物語収録の余白歌を参考に他の資料と付き合わせて作成しました] |
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霊界物語 | 65_辰_虎熊山と仙聖郷の物語/七福神 | 26 七福神 | 第二六章七福神〔一六八二〕 日の出別命の左右には道彦、安彦の両人が従ひ、初稚姫一行を導いて数百旒の五色の旗を風に翻し乍ら、百花爛漫たるゲッセマネの園にと進み入つた。玉国別一行が竜王の三個の玉を捧持して来りし其功績を賞する為め、特に埴安彦尊の命により歓迎宴が開かれた。ゲッセマネの園には種々の作物や、音楽や演劇が盛んに催されて居た。さうしてコウカス山よりは、言依別命が数多の神司を引き連れ、二三日前に早くも聖地に到着されて居た。 玉国別、真純彦は途中に於て初稚姫に『聖地は結構な所の恐ろしい所だ』と誡められ、筋肉迄緊張させ居たにも拘はらず、この大袈裟の歓迎に肝をつぶし、夢かと許り呆れてゐる。只見るもの、聞くもの意外の事許りで語る事も知らず、無言の儘初稚姫の後について進んで往く。日出別の神は俄作りの建物をさし示し、 日の出別『サア皆様、貴方方の御苦労を慰める為め、神様の思召によつて、種々の余興が催されて居ます。これから此建造物に於て、七福神宝の入船と云ふお芝居が初まりますから、悠悠気をゆるして御覧下さいませ』 玉国別は案に相違しながら、 玉国『いや、どうしてどうして、そんな気楽な事が出来ませうか。真純彦に持たせた此宝玉を、無事神様にお渡しする迄は、芝居所では厶いませぬ。是ばかりは平にお恕し下さいませ。うつかりして九分九厘で顛覆しては大変ですからなア』 と何処迄も警戒し体を固くして居る。 日の出別『決して決して御心配なさいますな。此通り貴方方の御到着を祝ふために宝の入船と云ふ神劇が催されて居るのです。貴方も宝を抱いてヨルダン河を船にて渡り、この聖地へお這りになつたのですから、宝の入船の主人公は貴方方ですよ』 玉国『ハイ。真純彦、お前はどう考へるか。どうも大教主のお言葉が私には些と許り解し兼ねるのだがなア』 真純『先生、これや神様から気を引かれて居るのかも知れませぬよ。兎も角お断りを申て、早く此玉を埴安彦の神様にお渡しして来うではありませぬか。さうでなくてはお芝居を見る気がしませぬわ』 初稚『決して御心配は要りませぬ。這入つて御覧なさいませ。いやいや貴方方が役者にならねばならぬのですよ。やがて治道居士、伊太彦、三千彦、デビス姫、ブラヷーダさまが見えることですから、七福神になつて貰ふ積りです。治道居士さまは布袋、玉国別さまが寿老人、真純彦さまが毘沙門天、伊太彦さまが大黒さま、三千彦さまが恵比寿さま、それから、デビス姫さまが弁財天、と云ふやうに、各自にちやんとお役が定つて居るのです。サアどうぞ楽屋へお這入り下さい。私等は見せて貰ふのです。実の所は貴方方に役者になつて貰ふのですから、是も御神業だと思つてお勤め下さいませ』 玉国『ハテナ、些とも合点が往きませぬわ。御命令とあれば俄俳優になつてもよろしいが、てんで台詞が分りませぬからねえ』 日の出別『台詞なんか要りませぬよ。其時神様が憑つて口を借りて仰有いますから、承諾なさればよいのです』 真純『モシ先生、イヤ寿老人さま、神様の命令だ、千両役者になりませうか』 玉国『何と云つても神様の御命令とあれば背く訳には行きますまい。勤めさして頂きませう。そして三千彦、伊太彦はもはや此方へ見えて居りますか。どうしても吾々とは二三日後れるやうに思ひますがなア』 言依別『時間空間を超越したる神の道、そんな御心配は要りませぬ。直に今此処へお出になりますよ。総て神様の御国は想念の世界ですから、想念の儘になるのです。此処が外の地点とは違つて尊い所以です。さうでなくてはエルサレムと云つて神様がお集まり遊ばす道理がありませぬから』 玉国『左様ならばお受け致します』 真純『私も先生と同様お受を致します』 と云ふや否や、二人の姿は忽ち七福神の中の一人となつて居た。いつの間にやら、治道居士、三千彦、伊太彦、デビス姫、ブラヷーダ姫其外の人々は集まり来りて、何れも七福神の姿となつて居る。愈茲に七福神宝の入船の奉祝神劇は演ぜられた。数多の神司や信者は、此広き建物の中に、立錐の余地なき迄に集まつて、愉快げに観覧し、其妙技を口を極めて賞揚した。神劇の次第は左記の通りであつた。 抑我日の下は神の御国なり天地ひらけ陰陽分れ 青人草を始めとし万物爰に発生して 天地人の三体備はりぬ天津御国の太元は 大国常立の大御神又の御名は天照皇大御神なり 地津神の太元は豊国主の大御神又の御名は神素盞嗚尊 豊葦原の瑞穂の国産土山の底津岩根に宮柱太敷立て 三五の神の都を奠め賜ひしより千代万代に動ぎなく 天下泰平国土安穏五穀成就万民鼓腹撃壤の楽みを享く 実に有難き神の国の草木も靡く君が御代 かくも目出度国の中に四海波風豊にて 雲井の空に寿ぎ舞ふ鶴や千年の松の緑の色深く 万歳の亀も楽しむ天教の山の高く澄みきる月のあたり たなびく霞の中よりも真帆をば風に孕ませつ 浮かれ入り来る宝の御船七五三の静波かきわけて 積み込む宝の数々やまばゆきばかりあたりを照らす うるはしさ 丁子や分銅の玉の袋に黄金の鍵もかくれ蓑 七宝壮厳の雨に濡れし小笠の露や玉の光と 打出の小槌七福神の銘々が 乗合舟の話こそ面白き。 中にも口まめな福禄寿長い天窓を振り立てて、 福禄『天下無双のナイスお弁さま、イナ弁財天女どの、貴女は新しい女と見えて、こんな変痴奇珍な男子計りの船の中へ、案内もせないのに、何と思つて同席の栄を賜はつたのかな』 弁天女は面恥ゆげに莞爾と笑み乍ら、 弁天『ホヽヽヽ、アノまあ福禄寿さまの御言葉とも覚えませぬ。好く考へて御覧、何程新しい女だとて、ナイスだとて、五百羅漢堂を覗いたやうなスタイルして居らつしやる醜男子の側に来られないと云ふ法律は発布されては居りますまい。五六七の御代が開ける魁として、今度エルサレムの宮に於て、玉照彦命、玉照姫命二柱の神様のお目出度い御婚礼があるので、御祝のため貴神等は、この宝舟に乗つて聖地エルサレムの竜宮城へ昇られるのでせう。何程福の神だと云つて、男子許りでは花も実もありますまい。昔から七福神は聞いて居るが、六福神は聞いた事が無い。夫れで妾が天津神様の御命令で、俄に貴神等の仲間に加はつたのですよ』 福禄『コレお弁さま、御心配下さるな。この福禄寿一神あつても下から読み上げて見ると十六福の神だよ。ヘン済みませぬナア。そこへ寿老人(十六神)を加へて三十二神ですよアハヽヽヽヽ。それよりも身の上話でも聞かして貰つた上、都合によつて加へて上げようかい』 弁天『三十二神の処へ妾が一神加はれば、三十三相の瑞の御魂ですよ。一神欠けても三十三魂にはなりますまい。女は社交上の花ですからねー。妾の素性を一通り聞かして上げますから、十六神さま謹聴なさいませホヽヽヽヽ』 六福『謹聴々々ヒヤヒヤ』 弁天『妾は神代の昔の或る歳、頃は弥生の己の巳日、二本竹の根節を揃へて、動ぎ出でたる嶋だと云ふので、竹生島と称へられる、裏の国の琵琶の湖に浮べる一つの嶋に、天降りました天女の中でも、最も勝れたナイスの乙女ですよ。自分から申しますと何んだか自慢するやうですが、神徳があまりあらたかなと言ふので、世人より妙音弁財天女と崇められ、妾の身体は引張り凧の様に日の下の国の四方に分霊を祭られて居ります。先づ東の国では江の島、西の国では宮嶋に、今一体は勿体なくも古、伊邪那岐尊、伊邪那美尊の二柱の神様が天の浮橋に渡らせたまひ、大海原に天降り、始めて開かれたる淤能碁呂嶋、その時、鶺鴒と云ふ小鳥に夫婦の道を教へられ、天照大神を生み給ふてより、又一名を日の出嶋と名付けられ、この国人に帰依せられ、福徳を授けしによつて、美人賢婦の標本として七福神の列に加はつた事は、十六福神さまも遠うの昔に御存知の筈。アナタも何時の間にやら福禄寿でなくて、モウロク(最う六)十三になりましたねー、ホヽヽヽヽ』 福禄『ヒドイなア』 六福『アハヽヽ。オホヽヽヽヽヽ』 顔色の黒いのを自慢の大黒天は、槌を持つた儘座に直り、 大黒『弁天ナイスの今の話を聞いた以上は拙者も男だ。一つ身の上話を初めて見よう。一同御迷惑ながら御聴聞なさいませ。 抑も拙者は、神素盞嗚大神の御子にて、八百米杵築の宮に鎮まりし、大国主命でござる。生れつきの慈悲心包むに由なく、貧しき者を見るに付け、不便さ忍び難く、一切の衆生に福徳を与へむとして心を砕き、チンチンチン一に米俵を踏まへて、二に賑はしう治めて、三に栄えの基となり、四ツ世の中悦んで、五ツいつも機嫌よく、六ツ無病息災で、七ツ難事もないやうに、八ツ屋敷を開ひて、九ツ花の倉を建て、十分満ればこぼるるぞ。コレ此槌は福を打出す槌ぢやない、お土を大切にして生命の種のお米を作れと知らすためぢや。モ一つには奢れる奴等の天窓をば打砕く槌ぢやわい。アハヽヽヽヽ』 福禄『アハヽヽヽヽ、コリヤ御尤もだ。オイ戎、コレサ聾どの、エベスどのエベスどのエベスどの貴神は、マア舳に出て釣許りして厶るは一体、こなたは何う云ふ福の神ぢやい。福の神にも色々あつて、雑巾を持つて縁板などをフクの神もあれば、尻をフクの紙もある。きつぱりと素性を明かして呉れないか』 戎『俺かい。おれはナ、何事も聞かざる、見ざる、言はざると云つて、庚申の眷属を気取り、三猿主義を固守し、只堪忍をのみ守つて居るのだ。徳は堪忍五万歳だ。抑も拙者は、蛭子の命と云つて、正月三日寅の一天に誕生した若蛭子だ。商売繁昌を祈るが故に欲の深い連中から商売の神と崇められて居るのだ。誠に目出度う候ひけるだ、アハヽヽヽヽ。十日戎の売物は、はぜ袋に、取鉢、銭がます、小判に金箱、立烏帽子、桝に財槌、束熨斗、お笹をかたげて千鳥足』 大黒『アヽコレコレさう踊り廻すと船の上は危険だ。モウ良いモウ良い御中止を願ひます』 大黒『エヽ時に寿老人殿、貴神は何時も何時も渋い面をして落付払つて厶るが、こんな芽出度い時には、チツと笑つて見せても可いぢやないか』 寿老『イヤ是は又迷惑千万、物価謄貴生活難の声喧しき、この辛い時節に、あまい顔をせよとは、粋にして且つ賢明なる方々にも似合ぬお言葉では厶らぬか。拙者は何時も苦い顔をして倹約を第一と守り、郵便貯金を沢山にして、他人に損をかけず、自分も損を致さねば、心労なき故、長命を仕るのぢや。長命に過ぎたる宝は厶らぬ。兎角、拙者の行り方を見習へば、たとへ福は授からなくとも、自然に福徳が保てますぞや』 福禄『ヘン、何程長命したとて、ソンナ苦い顔をして一生送るのなら、余り福徳でも在るまい。笑つて暮すのが、何より人生の幸福だ。高利貸の親父でも、たまには笑ふぢやないか。ナア、皆の福神連中さま』 寿老『イヤ恐れ入る。併し自分は是でも人の知らぬ心のよろこびに充ちて、楽しく日を送つて居るのだ。サテ、愚老許りお喋舌いたして皆様の交際を忘れて居た。余りの楽しさと、面白さと、今度の御婚礼の目出度さとに気を取られて、アハヽヽヽヽ。サア是からお交際申さう』 と傍にあり合ふ妻琴を引寄せ掻きならし、 (歌)『忍ぶ身や夜な夜なもゆる沢の螢火に夜更渡りぬる』 寿老『余り長いのは皆様のさはりになる。長い者を俗に長者と言ふさうぢや。ヤ、是はしたり、長い者とは福禄寿様へ差合ました。失礼々々』 布袋和尚は吹出して、 布袋『アハヽヽヽアハヽヽヽ、オホヽヽヽ、ハテ、コリヤ面白い面白い面白いハヽヽヽヽヽ奇妙々々』 毘沙門天は、むつとした顔しながら、 毘沙『ヤイ、そこな土仏坊主奴。何がそれ程可笑しいのだい。袋と腹とで乗合船の居所を狭めて居る癖に、チツと位遠慮召さつても可いだらう』 布袋『アヽ、コレコレ毘沙殿。さう腹立まいぞや、腹立まいぞや、立腹まいぞや。少々は乗合の邪魔にも成るだらうが、ソコは仲間の事だから、神直日大直日に見直し聞直してマアマア曰く因縁を聞き玉へ。夫れ一家一門附合、朋友、得意先、丸う無くては治まらないと云ふ道理は、拙者のこの天窓で判るだらう。眼まで丸い布袋和尚だ、ハヽヽヽヽ。まつた腹は大きくなければ、心がさもしいものだ。そこで愚僧が此大きい腹を突き出し、腹鼓を打つて一通りお話致すで厶らう。 「ソレ、この袋といつぱ」見たる事聞きたる事、よしあし共に忘れぬ様、中へ納めて斯の通り、もたれて居申すなり。又世に子宝と云へるが、稚き者ほど可愛者はあり申さぬ。その稚き者を団扇を持つて行司仕り居り候也。アヽ宜き楽みかな宜き楽みかな』 福禄『イヤ布袋どの、尤も尤も、尤も次手に笑はしやるのも尤も尤も。「笑ふ門へは福禄寿」サレバお咄し申しませう。夫れ天窓が長ければ背はズント低う厶る。低うなければ愛嬌を失ひます。先づ入口を這入るにも長いによつて余ります。天窓を下げて這入ります。それで愛嬌が厶るだらうがの、愛嬌ついでに皆さま、おはやし頼みます。 「越後の国の角兵衛獅子、国を出る時や、親子連れ、獅子をかぶりて、くるりと廻つて、首をふりまする、親父や、まじめで笛を吹く」 ヨー、ハヽヽヽヽ福禄寿さま、大当りだ大当りだ。アハヽヽヽヽ』 六福『併し獅子の頭が少々高過ぎるぢやないか。ハヽヽヽヽ』 福禄『ハテ、頭が高うもなければ納まらぬ事もある物だ。是もやつぱり世界の道具だからのう。ハヽヽヽヽ』 毘沙門天は居直りて、 毘沙『ムヽヽヽヽ、ハヽヽヽヽ面白し面白し、吾は異形の姿にて鉾携へし身乍らも、七福神の列に加はる其由来を物語らむ。そも不身持山の皆身(南)に当りて難渋ケ嶽の峰に住む、貧乏困神とて悪神あり、彼に徒党の奴原を悉く誠罰し諸人の患を救はむと、この日の国に天降り、日出る国信貴山に根城を構へ、追付悪神討亡ぼし、困窮の根をたやさむこと、此多聞天が方寸の内にあり、ハヽヽハヽヽハヽヽヽヽ、悦ばしや嬉しや』 と勇める顔色、威あつて尊く、実に有難き霊験なり。 皆一同にあふぎ立て、中に取分け弁財天。 弁天『何れに、おろかは無けれども、多聞天のおん物語、勇ましや。イザヤ発船、又の御げん』 とのたまふにぞ、さらばさらばと漕ぎよせて、竜宮館の水の面に、清き宝の入船や、七福神の霊験も、仁義釈教、恋無常、勧善懲悪聞明し、改過を作るその主は、近松ならで松の元、一とふし込し、竹本ならぬ国武彦の御助け、梅の香床しき一輪の、花の流れや汲み取る綾の、聖地の玉の井に、映る言霊影きよく、照り輝きし玉照姫や、暗をも照らす玉照彦二柱、九月八日の慶びを、筆にうつして末広く、伝へ栄ゆる神祝ぎの、尽きせぬ神代こそ芽出度けれ。 (大正一二・七・一八旧六・五北村隆光・加藤明子共録) (昭和一〇・六・一六王仁校正) |
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霊界物語 | 68_未_タラハン国の国政改革2 | 序文 | 序文 大正甲子は古来稀なる変つた年であつた。世界に取つても、大本に取つても、又著者自身に取つても、大革新の気分の漂うた不思議な年である。先づ世界の出来事はさて措いて、大本の過去一年間の活躍史を見れば、エスペラント語を以て綴りたる大本雑誌を世界四十八ケ国に発送し、且世界の各地より大本を求めて来る者最多く、次いで大本瑞祥会を亀岡より綾部に移して、教務の統一を計り、役員職員を新任し、規約を制定して、大いに神人愛の為鵬翼を張つて天下に高翔せむとする機運に向つた。次いで黒竜会との精神的提携、普天教との関係は益々濃厚の度を加へ、支那道院紅卍字会と提携して神戸に道院を設け、広く各宗の信徒を集め、宗教統一の大本が理想の実現に着手した。又回教徒にして吾派遣したる公文直太郎氏の復命を始め田中逸平氏の参綾、支蒙学者の石山福治氏其他数多名士の参綾となり、大本は愈此年より復興革新の曙光を認むることとなつた。又著者個人に取つては、正月九日より亜細亜聯盟の基礎を造らむ為、秘書長松村氏外二名と共に朝鮮を経由して奉天に渡り、蒙古の英雄蘆占魁其他の豪傑連を率ゐて蒙古救援軍を起し、深く奥地に入つて、索倫山に軍の編成をなし、大本喇嘛教を設立し、日地月星の教旗を翻し、着々として人類愛実行の緒に就きしが、大神の摂理に依りて白因太拉の難を無事突破し、支那並びに日本領事館の監獄生活を甞め、新暦七月廿五日再び内地に帰り、警官に護送されて、同月廿七日大阪若松町の刑務所に投込まれ、九十九日の獄舎生活を了へて、十一月一日漸く綾部に帰り、霊界物語第六十七巻として蒙古入の梗概を口述し、表面上野公園著として天下に発表する事とした。それより寸閑を窺ひ、六十八、九の巻を口述し、又更に正月五日より七日に亘り、古稀の巻(七十巻)を口述し了る事となつた。五日の五は厳の御魂に因あり、且大正十年著者が始めて京都の刑務所に投込まれたる記念すべき日である。六日の六、水火の調節に仍つて万物萌え出づるといふ言霊であり、七日は天地完成の意を含んだ吉日である。此目出度き五六七の三六の三ケ日は瑞の御魂に因んでゐる。又五六七殿の七五三の太鼓は甲子九月八日より五六七と打つ事になり、此日は印象深き神島詣での際、二代澄子が紫の玉にも譬ふべき、尉と姥との神像を迎へ帰りし瑞祥の日である。又二女の梅野、三女の八重野の結婚も甲子の年に執り行ふ事となつた。何に付けても千変万化、端倪す可らざる事物の続出したる記念の年である。 月光愈世に出でて万界の暗を照破すとは霊界物語の発表に対し、神界より示されたる聖句である。古来稀有と称する七十巻の巻を編述するに当り、月光閣に於て、始めて完成したるも、御幣担ぎか知らねども、著者に取つては、実に何かの神界の経綸が秘んでゐるやうにも考へられる。筆録者松村真澄、北村隆光、加藤明子諸氏の筆録の労苦を謝し、後日の記念の為に茲に誌しおく次第である。六日の夕方より七日の午後にかけ黄白色の降雪あり。地上に積む事殆んど二寸、之れ亦実に古来稀有の現象といふべしである。惟神霊幸倍坐世。 大正十四年正月七日新一月三十日於月光閣 (編輯者から)本巻は都合により第六十八巻として発行されます。以後も引続き順送りとなりますから御諒承下さい。 |
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霊界物語 | □_特別編-入蒙記 | 08 聖雄と英雄 | 第八章聖雄と英雄 寒月冴渡り、烈風吹荒ぶ奉天日本租界を離れて二台の自動車はまつしぐらに東三省陸軍中将盧占魁が公館に着いた。一方は大本の前教主輔大怪物と仇名をとつた源日出雄、一方は陸軍中将で蒙古の英雄、馬賊の大巨頭盧占魁との会見である。真澄別、岡崎鉄首、唐国別、佐々木弥市、大倉伍一、揚萃廷、守高、名田彦の面々は盧氏の公館にストーブを中に置き、円形の座を作つて椅子に腰打掛け、蒙古進出の英雄的協議に耽つた。佐々木は支那語を能くするので、彼が日出雄と盧との通弁を勤めた。 佐々木は盧占魁を指さし、 佐々木『先生、此方が盧占魁さんです』 日出雄『成程、一見しても目元の凛とした英雄的人物だ。此男ならば何も云ふに及ばぬ、一切万事を委任せやう。真澄別さん、あなた何う考へますか』 と真澄別を顧みた。真澄別は微笑し乍ら『宜しからう』と答へた。盧は日出雄に向つて云ふ。 盧占魁『私は十年前に七万の精兵を引率して、大庫倫市を占領しました。其時は二十九歳でした。それから新彊を取り雲南迄活動しました。それから奉直戦争にも参加した事もあります。私が上海にゐる時孫逸仙[※孫文の号]に会ひ、先生の御高名を承はり、機会があらば御面会を願ひたいと、常に憧憬して居りましたが、機縁が熟したと見えて、今日拙宅に於て先生に面会する事を得たのは、私に取つては光栄の至りです。どうか私をあなたの下に使つて下さい。屹度貴方の目的に叶ふべく活動をしてお目に掛けるでせう』 日出雄『相互に協心戮力、東亜存立と開発の為に尽しませう』 二人の応答は之にて済んだのである。宗教界の英雄と馬賊界の英雄とが肝胆相照して空前絶後の大業を企図したのは、実に小説的趣味を帯びて居るやうだ。 日出雄と守高、通訳の王元祺は盧氏の公館に宿泊する事となり、其他の人々は水也商会其他を指して帰つて行く。正月十一日の月光は西の空に傾いてゐる。 二月十六日盧の公館に於て内外蒙古の救援軍組織に付き、志士の会合があつた。午後八時頃唐国別、真澄別其他の志士は会議の大略を報じて来た。其会議の結果は、先づ張作霖の諒解を得る事、武器を購入する事及び大本喇嘛教を創立し、日地月星の教旗を飜へして日出雄は達頼喇嘛となり、真澄別は班善喇嘛となり盧占魁を従へて蒙古に進入する事であつた。 元来蒙古は支那の属邦である。そして一百六名の蒙古王は北京に参勤交代を行つてゐる。日本人が支那の領地に日本宗教を開く事は条約上許されてゐない。併しながら彼は支那の新宗教五大教の高級宣伝使である。それ故彼が蒙古に宗教を宣布するのは公然の権利であつた。日本は仏教家や神道家が支那に渡つて布教宣伝をやつて居る者も沢山あるが、それは在留日本人に限られてゐる。支那人に宗教を宣伝する事は許されてゐない。そして日本在留民の一部に宗教を吹込んでゐる位が関の山である。彼日出雄は五大教の宣伝使たるを以て容易く宗教宣布をなす事を得る地位にあつたのは、今回の企に対して最も好都合であつた。協議の結果盧占魁の命に依つて、揚萃廷は喇嘛服や附属品を調製すべく、急遽北京に赴いた。日本人井上兼吉は盧占魁等の命に依つて、哥老会の残党揚成業其他の大頭株に対し盧氏が挙兵入蒙の報告を兼ね応援を求むべく、綏遠ならびに帰化城方面へと出て行つた。揚成業は哥老会の大頭株であつて、一万七八千の部下を有し、盧の今回の壮挙に対し極力後援せむ事を誓つたのである。 有志は蒙古進出の準備の為東奔西走し、北京に走る者、蒙古に使する者、日本に帰る者など大活気が湧いて来た。越えて二月廿八日民国十三年正月廿四日愈々東三省保安総司令張作霖より、盧占魁将軍に対し、内外蒙古出征の命が下つて来た。同志の面々は欣喜雀躍して今更の如く早速諸般の準備に着手せんと揚々として四方に飛んだ。軍隊を十個旅団となし、日地月星を染抜いたる大本更始会の徽章を旗印となし、それに第一旅団より第十旅団迄の刺繍を施したる軍旗や司令旗を誂へる事となつた。そして大本喇嘛教旗として日地月星を染抜いた文字無しの神旗も共に調製する事と定めたのである。何れも意気天を衝き已に満蒙の天地を併呑して了つた様な慨があつた。彼源日出雄が盧の公館に滞在中、試に作つた詩がある。此詩は彼の計画の一部を現はして居る如うだから左に摘載しておかう。 ○ 天時地利得人和今丈夫救民立覇 是宇宙神聖之命義軍嚮処若竹破 ○ 王仁有一万精兵樹仁義旗進故洲 嗚盛哉神軍陣形山河草木靡威風 ○ 防寒旅装漸調了奥蒙荒原将跋渉 神兵猛虎破竹勢旗鼓堂々進庫府 ○ 内外蒙古惟神洲正義軍旅有天佑 勿躊躇蒙古丈夫勝利都城在庫府 ○ 山河千里奉天空日月星辰同蜻洲 神雄連馬為出陣蒙古荒原靡英風[※以上の漢文をChatGPTによって書き下し文(読み下し文)に直した文を以下に記す(正確性は低い)。天時(てんじ)と地利(ちり)を得て人和(じんわ)をも得、今、丈夫(じょうぶ)は民を救い覇を立つ。是れ宇宙の神聖なる命(めい)、義軍は向かう所、竹を破るが如し。王仁は一万の精兵を有し、仁義の旗を樹て故州(こしゅう)に進む。嗚呼、盛なり神軍の陣形。山河草木、皆その威風に靡く。防寒の旅装を漸く調え、奥深き蒙古の荒原を渉らんとす。神兵は猛虎の如く竹を破る勢い、旗鼓堂々と庫府(こふ)に進む。内外蒙古は唯一の神州、正義の軍旅(ぐんりょ)は天の佑け(たすけ)を有す。蒙古の丈夫(じょうぶ)よ、躊躇う(ためらう)なかれ。勝利の都は庫府(こふ)にあり。山河千里、天に仕え、日月星辰は蜻州(せいしゅう)と共にあり。神雄は馬を連ねて出陣し、蒙古の荒原に英風を靡かす。] ○ 神が表に現はれて善悪正邪を立別ける 高天原より降り来て寒風荒ぶ荒野原 神馬に鞭ち進み行く仁義の軍に敵は無し 進めよ進めいざ進め神は汝と倶に在り 神に叶ひし汝等の勇気は天地に充満し 山河草木ことごとく靡き伏すなり神軍に。 ○ 仁義の旗を押立てて進む吾等は神軍ぞ 来れよ来れ皆来れ故国に仇なす曲神を 千里の外に追散らし祖先の造りし神洲を 神の稜威に回復し都を中央に奠めつつ 上は活仏諸王より下蒼生に至る迄 救はむ為めの此軍神は吾等と倶にあり 人は神の子神の宮神に従ひ進む身は 如何なる曲も障らむや進めよ進めいざ進め 仁義の軍に敵はなし。 ○ 路は三千六百里奉天城を後にして 王仁の率ゐる義勇軍獅子奮迅の勢で 悍馬に鞭ち進み行く。 ○ 我は神軍王天竜皇天皇土の勅を受け 獅子奮迅の勢で仁義の軍を守りつつ 神のまにまに進み行く。 ○ 道は九千八百里奉天城をあとにして 一万有余の神卒は轡を並べて進み行く 寒風烈しき外蒙地如何なる敵の来る共 我には神の守護あり進めよ進め快男児 勇めよ勇め神軍士。 日出雄は大本喇嘛教の経文を、盧公館内に於て神示に依り認めた。 ○ 弥勒如来精霊下生印度霊鷲山成長顕現東瀛天教山将以五拾弐歳対衆生説明苦集滅道開示道法礼節再臨而顕現仏縁深蒙古為達頼喇嘛済度普一切衆生年将五拾四歳。[※読み下し文の一例(正確性は低い)。弥勒如来の精霊が印度の霊鷲山に下生し、成長して、東瀛(とうえい。日本の意)の天教山に顕現す。将に以て五十二歳。衆生に対し苦集滅道を説明し、道法礼節を開示す。再び臨みて顕現し、仏縁深き蒙古に達頼喇嘛と為して一切衆生を普く済度す。年は将に五十四歳。] ○ ヒマラヤの山より降り霊の本に育ちて今や蒙古に現はる ○ 三柱の御子を引連れ降りたる達頼は弥勒の下生なりけり ○ 興安嶺山秀生み出す瑞御霊蒙古に再び現はれにけり ○ 観世音最勝妙智大如来救世の為に達頼と化現す ○ 掌中に五大天紋皆流紋固く握りて降る救世主 ○ 基督の聖痕迄も手に印し天降りたる救世の活仏 ○ 神素盞嗚尊の聖霊、万有愛護の為め大八洲彦命と顕現し、更に化生して釈迦如来と成り、印度に降臨し、再び昇天して其聖霊蒙古興安嶺に降り、瑞霊化生の肉体に宿り、地教山に於て仏果を修了し、蜻洲出生の肉体を藉りて、高熊山に現はれ、衆生を救ふ。時に年歯将に二十有八歳なり。二十九歳の秋九月八日更に聖地桶伏山に坤金神豊国主命と現はれ、天教山に修して観世音菩薩木花姫命と現じ、五拾弐歳を以て伊都能売御魂(弥勒最勝妙如来)となり、普く衆生済度の為め更に蒙古に降り、活仏として、万有愛護の誓願を成就し、五六七の神世を建設す。 南無弥勒最勝妙如来謹請再拝 ○ 瑞霊弐拾八歳にして成道し、日洲霊鷲山に顕現し、三拾歳にして弥仙山に再臨し、三十三相木花咲耶姫と現じ、天教山の秀霊と現じ最勝妙如来として、五拾弐歳円山にて苦集滅道を説き道法礼節を開示す。教章将に三千三百三十三章也。五拾四歳仏縁最も深き蒙古に顕現し、現代仏法の邪曲を正し、真正の仏教を樹立し、普く一切の衆生をして天国浄土に安住せしむ、阿難尊者其他の仏弟子の精霊随従す。将に五六七の祥代完成万民和楽の大本なり。 惟神霊幸倍坐世 南無最勝妙如来 斯かる大活劇の脚色最中に日出雄は優美なる詩句に筆を動かす余裕を綽々として有つて居た。 静かなる夜 静かな夜なりメリメリと 氷の解くる音に暖い春が流れる あゝ何といふ嬉しい音だらう 花笑ひ蝶舞ふ 天国浄土の出現も やがて近いだらう。 ○ 渤海湾の氷日々に解けて 海神の奏づる神秘の曲 浪の中から長閑に聞える あゝ嬉しい勇ましい 春の曲陽炎が静に燃える。 私の昨今 私の脳裡の暗黒から明るみへ 勇ましく雄々しく煙の様な 期待が流れてぐるぐる廻る 走馬燈のやうに聖地母上妻子 弟妹愛児数多の信徒 あゝそれは私の過去の断片だ 半世の俤だ現世の縮図だ さて今日から張り替へる 走馬燈は随分世界の 見物だらう。 (大正一四、八、筆録) |
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伊都能売神諭 | 神諭一覧 | 大正8年1月21日 | 大正八年一月二七日 大正八年一月廿七日 現はれて間無く隠るる西の空、二日の月は上弦の、敏鎌の如き鋭鉾を、暫し隠して武蔵野の、草木も靡く時津風、時を松風梅ケ香の、薫る小さき神の森に、三五の月は澄渡り、谷の戸開けて鴬の、声も長閑な足御代の、竹の園生の清くして、功績も太く村肝の、心の奥は朗らかに、皇大神に捧げ奉りし真心の、千歳の鶴の替玉と、仕えて誉れを酉の年、四十四度の紀元節、五六七の神代の初春ぞ、正しき友の寄り集い、雄々しき清き活動に、助けの神と表はれて、雲井に高き高松の、八重の玉垣いと赤き、心の色は日月の、光に疑ふ尉と姥、鶴は千年亀万年、東方朔の九千年、栄え三浦の王統家は、日夜久睦まじく神国の神世の姿備はりて、三千世界の太平を、松竹梅の経綸ぞよ。辛の酉の紀元節、四四十六の花の春、世の立替立直し、凡夫の耳も菊の年、九月八日のこの仕組。 天津国玉、国津御魂、石凝姥の神御魂、金銀竜の神馬の御魂、高天原に納まりて、天下太平、千秋万歳万々歳、七福神の楽遊び、豊受の神の豊国の、主と現はれ真寸鏡。 |