第二〇章道すがら〔八四二〕
大き正しき聖の世十一年の夏の末
八月三日に聖地をば出口の王仁や松村氏(出口王仁・松村真澄)
佐賀の伊佐男の三人は厳と瑞との機を織る(佐賀伊佐男)
伊豆の霊の杉山氏一行四人と諸共に(杉山当一)
夕日を浴びて汽車の窓本宮山や小雲川
左右に眺めて上り行く山家の駅や和知の駅(和知)
神の仕組を細胡麻と説き明かしつつ木の花の(胡麻)
一度に開く此仕組花の園部や小麦山(園部)
いつしか八木の関越えて万世祝ふ亀岡の(八木・亀岡)
瑞祥会の役員に見送られつつ谷間の
岩石穿つトンネルを七八つ越えて嵐山(嵐山)
花園、二条、丹波口京都の駅に着きにける。(花園・二条・丹波口)
急行列車に身を任せ神の恵に逢阪の(逢阪)
関路をわたる夜の内人も大津の夏の旅(大津)
琵琶の湖水を眺めつついづの御霊の現はれし(琵琶)
由緒の深き彦根城米原駅を乗越えて(米原)
昇降客も大垣や岐阜々々つまる汽車の中(大垣・岐阜)
名古屋豊橋浜松と浜辺の駅に停車しつ(名古屋・豊橋・浜松)
わだちの音も静岡の数多の信者に迎へられ
沼津の駅に着きにける。伊豆の身魂の人々に(沼津)
自動車持ちて迎へられ軌を連ねて桃源の
里の名を負ふ桃の郷眺めも清き江の浦や(桃源・江ノ浦)
口野の村の天皇山斎きまつれる皇神の(口野・天皇山)
祠に一同参拝し天津祝詞を宣り終へて
社前の雑草抜き取りつ遥に霞む富士の山
清き眺めを賞め乍ら鰐の島をば前に見て
再び車の客となり北条、南条束の間に(北条・南条)
矢を射る如く田京村心地も吉田の造酒店(田京・吉田)
杉原方にと安着し茲に車を乗捨てて(杉原)
汗を入れつつ半日の楽しき休養取り乍ら
再び車の人となり迎ひの数も大仁や(大仁)
横瀬に立野黒い影鮎かけ人も大平(横瀬・立野・大平)
針にかかるを松ケ瀬や神の出口の里越えて(松ケ瀬・出口)
梅はなけれど月が瀬の空に輝く十一夜
門野ケ原を乗越えて待ちに待ちたる湯ケ島の(門野ケ原・湯ケ島)
安藤旅館温泉場狩野の激流音高く(安藤唯夫)
谷口清く涼風満ち夏を忘るる計り也(谷口清水)
アヽ惟神々々御霊幸はひましまして
温泉の伊佐男に身を浄め明くれば旧の十二日
杉原氏より送られし安楽椅子に横はり
奇き神代の物語いよいよ二十八の巻
言霊車乗り出せば万年筆を携へて
手具脛引いて松村氏心真澄のすがすがと
一々茲に書きとめる神代を松村、杉山氏
三千世界を当一の珍の神風福井氏(福井精平)
我精魂も平かに筆の林の影うつす(林波)
硯の海も波静か青木が原に現れませる
厳の御霊の大御神久二常立の御教を(青木久二)
浅な夕なに田づねつつ清く正しく澄み昇る(浅田正英)
日の出神や木の花の珍の英芳ばしく
詔る言霊も漸くに安藤の胸を撫で降し
唯夫も白く語り出す台湾島の物語
日月潭の霊境も早杉原や小松原
花佐久野辺を後にして教を照らす瑞月が(杉原佐久)
三五教の宣伝使高姫、常彦、春彦が
高島丸に助けられテルの港に上陸し
鏡の池に立寄りて月照彦大神に
百の戒め与へられ生命カラガラアリナ山
櫟ケ原に立向ひ天教山の御神霊
日の出姫の計らひに心の暗も晴れ渡り
開悟の花にみたされてアルゼンチンの極東の
アルの港に到着しカーリン丸に身を托し
やうやうゼムの港まで高姫一行ヨブ一人
天祥山に詣でむとゼムの街道辿る折
マール、ボールの両人に茲に端なく巡り会ひ
鷹依姫や竜国別の教司の消息を
探りてここを出立し山を乗越え川渡り
日数を重ねてブラジルのチンの港に安着し
又もや船に帆をあげてアマゾン河を溯り
モールバンドの巣ぐひたる玉の森林指して行く
高姫冒険物語八岐の大蛇も影隠し
世は太平の松の御代恵の風も福三郎(平松福三郎)
壬戌の秋の野辺豊に稔り米倉に(米倉嘉兵衛)
道治まりし聖の世今から嘉言ぎ奉り
神の兵士に衛られて二十九巻の物語
ここにいよいよ述べ終る豊葦原の中津国(中村純也)
さやる村雲晴れわたり空も純也の信徒が
東の国より遥々と訪ね来れる雄々しさよ
あゝ惟神々々神の御霊を蒙ぶりて
心も清き神人や信徒等に守られて
霊物語述べ終る。
(大正一一・八・一三旧六・二一松村真澄録)
(昭和一〇・六・八王仁校正)
名に高き地名人名読み込みて
この巻末を飾る旅かな
No.: 1975