第二三章八日の月〔五九〇〕
言依別命は、八島主の天使其他の天使と別れを告げ、後日の面会を約したまひぬ。
清き心の玉彦や月日の影は叢雲を
四方に掻き分け厳彦や神の御稜威も弥深く
高く奇しき楠彦の広き恵を三人連れ
神素盞嗚の大神の留守の館を後にして
千里の馬に跨がりつ轡の音も勇ましく
手綱掻い繰りシトシトと瑞の御魂の三つの坂
心の駒も乗る駒もいと勇ましくシヤンシヤンと
声も涼しき琵琶の湖浜辺を指して下り行く
浪も長閑な海原を駒諸共に船の中
浪を分けてぞ進みける折から吹き来る東南の
風に真帆をば掲げつつ船脚早くコウカスの
山の麓へ紀の港此処に御船を横たへて
又もや駒に打ち乗りてさしもに嶮しき嶮道を
シヤンコシヤンコと登りつつ君の便りも松代姫
神の御前に平伏して祈る誠も麻柱の
神の教の宣伝使言依別を始めとし
玉彦厳彦楠彦の三つの御魂の神司
此場に漸く現はれて社の前の常磐木に
駒を繋ぎて静々と境内さして進み入り
四人一度に大前に頸根つきぬき畏まり
打つ拍手の音も清く詔る言霊はさやさやと
水の流るる如くなり折しも御前に額づきて
皇大神の身の上を守らせたまへ国治立の
神の命の大前に乞ひのみまつる姫神の
声も涼しき太祝詞清しく言霊宣り終へて
静々御階段を下り来る階下を見ればこは如何に
誠一つの麻柱の神の使の宣伝使
言依別の一行が此場にあるに心づき
慌てて御階段をかけ下り四人の前に平伏して
神素盞嗚の大神の御身の上は如何にぞと
問ふ言の葉も涙声心の闇ぞ哀れなる
言依別の宣伝使神素盞嗚の大神の
其消息を詳細に包まず隠さず宣りつれば
松代の姫は雀躍りし嗚呼有難し有難し
皇大神の御恵と又もや御階段を駆け上り
心静めて皇神の深き恵を嬉しみて
感謝するこそ殊勝なれ神が表に現はれて
善と悪とを立て分ける此世を造りし神直日
心も広き大直日唯何事も現世は
直日に見直せ聞き直せ世の曲事は宣り直す
三五教の神の道四方の国々照り渡る
其功績ぞ尊けれ古き神代の物語
十五の巻を述べ終へし大正壬戌の春
陰暦弥生の上八日新の四月の上四日
神代を明かす言の葉も五百九十の節も今
緯機織なす瑞月が横に臥しつつ呉竹の
節さへ合はぬ七五調岩より加藤村肝の
心定めて千早振古き神代の因縁を
此処に新に説き明かす今日の生日ぞ尊けれ
今日の生日ぞ目出たけれ。
(大正一一・四・四旧三・八加藤明子録)
(昭和一〇・三・二五王仁校正)
No.: 1655