第八章思出の歌〔五〇四〕
月日の駒の関も無く豊にめぐり如月の
上九日の今日の日は稜威も高き高熊山の
神の巌窟に誘はれ五六七の御代を松岡の
九山八海の山の御使月早西に傾きて
風も静まり水さへも子の正刻に賤の家を
そつと立出で道の奥の人に知られぬ神国の
花を手折りし今日の日は二十五年の時津風
厳の御魂や瑞御魂教の光隈もなく
清く流るる小雲川常磐の松生ふ川の辺に
聳り立ちたる松雲閣いよいよ十二の物語
聖き神代の消息を音無瀬川の川の瀬に
流すが如くすくすくと滑り出でたる蓄音器
瑞の御魂の開け口梅を尋ねて鳥が啼く
東の遠き都より瑞霊輝く三光堂
松の大本常久に三五の月の御教は(松本常三郎)
円満清朗比ひ無く綾の錦の服部の(服部静夫)
静夫の大人の計ひに谷の戸開けて鶯の(谷広賢)
声も長閑に世を歌ふ広き賢き道の教
神野出口の岩の上に栄え吉しき千代の松(野口岩吉)
本の教の神直日枝も鳴らさぬ神の風(松本直枝)
海の内外に極みなく山は豊二芽含みつつ(外山豊二)
花咲く春も北村の天津御空に隆光る(北村隆光)
聖の御代を松村や弥仙の山に現はれし(松村仙造)
木の花姫の御教を造次顛沛村肝の
心に加けて藤つ代の神代を明す物語(加藤明)
藤の御山の高津神教の道を永久に(藤津久)
伝へむものと中津国野立の彦や野立姫(中野祝)
聖き教の太祝詞宣る言霊は山の上(山上郁太郎)
谷の底まで押しつつむ村雲四方に吹き払ひ(谷村真友)
真の道の教の友心の華も馥郁と
皇大神の伝へ太郎日本心の雄心は
清く空しき仇言を一人も岩田の久太郎(岩田久太郎)
宣る言霊は命毛の筆に任せて記し行く
今日の生日ぞ尊けれなんの辛の酉の年
神の御声を菊月の中の八日に神懸り
神の出口の口開き誠一つの霊界の
奇しき神代の物語二つの巻の口演を
うまらに委曲に宣り了へて闇夜も秋の神祭り
事なく済みて万代の基芽出度き瑞祥の
やかたに到り名も高き高熊山に百人を
伴ひ参り岩屋戸の貴の稜威を称へつつ
神の集まる宮垣内わが故郷を訪れて
産土神を伏し拝み名さへ芽出度き亀岡の
教の園に立帰り言葉の華の開け口
瑞の身魂に因みたる三つの巻をば半まで
録して帰る竜宮館黄金閣に向ひたる
教主殿に三柱の教の御子に筆とらせ
本宮山や四尾山峰の嵐に吹かれつつ
吹きも吹いたり四つの巻いつかは尽きぬ物語
五の御魂の五つの巻端緒開けて言霊の
速き車に身を任せ千代を岩井の温泉場
神の恵みも暖かに廻るこまやの三階に
五六七の居間を陣取りて五も変らぬ六まじく
六びて語る六つの巻師走三十日になりぬれば
心の駒のせくままに足並早き汽車の上
綾の高天に恙なく帰りて述ぶる七つ巻
錦水亭に横たはり四日の間に述べ終へて
壬戌の節分の祭もここに恙なく
年を重ねて瑞祥の再び館の人となり
祭すませて高熊の峰に二百と五十人
誘ひ詣で神徳の花開くなる八つの巻
九つの巻、十の巻半ならずに引返し
綾の高天の教主殿奥の一間に横たはり
漸く胸も十の巻芽出度く編みて並松の
松雲閣に立帰り七日の夕十一の
巻物語り相済みて思ひ出深き如月の
八日いよいよ十あまり二つの巻に取かかる
斯る尊き神の代のその有様の万分一
一々筆に書きとめて今日の生日を祝ひつつ
世人の為に録すなりアヽ惟神々々
御霊幸はひましませよアヽ惟神々々
御霊幸はひましませよ
(大正一一・三・七旧二・九外山豊二録)
No.: 1554