総説歌
久方の天津御空の八重雲を伊都の千別きに掻別けて
天降りましたる諾冊の神の命の二柱
豊葦原の瑞穂国造りなさむと千万に
心つくしの立花の天教山の阿波岐原に現れまして
八尋の殿を見たてまし月日も清く澄渡る
五六七の御代を建てむとて大海原に漂へる
国の司と豊国の姫の命の瑞御魂
神素盞嗚の神を生み百の神人平けく
治めしめむとし給ひし大御心も潮沫の
こおろこおろにかき乱れ山の尾の上や川の瀬に
八十の曲津のさやりゐて山川どよみ国土も
万の物も皆騒ぎ常夜の暗となり響く
豊国姫と現れませる国大立の大神は
神素盞嗚と現はれて月照彦や大足彦
少名彦神弘子の彦の命を国々の
守りの神と言よさし天津誠のあななひの
教を開き給へども曲のみたまの猛くして
天足の彦や胞場姫の汚れ果てたる分霊
末つみたまの鬼大蛇醜女探女や曲神と
なりてこの世を乱しける神素盞嗚の大神は
神伊弉諾の大神の依さしのままに生魂
四方に配らせ給へども隙行く駒の荒れ狂ひ
黒白も分かぬ暗の世の黄泉の島の戦ひは
神の稜威に凪ぎつれどあちらこちらに散りはてし
八岐の大蛇や曲鬼や醜の狐の醜魂は
侮り難き勢の八洲の国を掻乱す
堅磐常盤の神の世を経と緯との二柱
現はれまして野立彦野立の姫の御心を
配らせ給ひて麻柱の道を開かせ天地に
塞がる醜の村雲を伊吹払ひに払はむと
神の御鼻になりませる神素盞嗚の大神は
天教地教の神の山黄金山や万寿山
霊鷲山に集まりし神の司に言依さし
大海原に漂へる八洲の国を開かむと
青雲別の宣伝使白雲別や三葉彦
東雲別や久方の彦の命を遣はして
神の稜威も高彦の天児屋根の神司
天津祝詞の神言に醜の雲霧払ひ行く
あゝ勇ましき神の業神の御業の物語
十余り一つの巻の初めに高天原の神々の
奇しき貴き活動を三五の月の面清く
説き明すこそ目出度けれ。
No.: 1513